JP3877115B2 - スピンドルモータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピンドルモータ、特にハードディスクドライブ装置(以下、HDD)に用いる、動圧軸受機構を有するスピンドルモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3を用いて、従来技術に係る、HDD用スピンドルモータを説明する。
図3は、従来技術に係るHDD用スピンドルモータ(500)の断面図である。
【0003】
図3において、アルミあるいはアルミ合金で形成したモータベース(1)の中央にシャフト(2)が立設されている。
モータベース(1)の上面にはコイル(11)と、コイル(11)を巻回した12極の磁極を有するステータコア(10)が固定されている。
【0004】
モータベース(1)とコイル(11)とステータコア(10)とはステータ部(700)を構成する。
【0005】
シャフト(2)はステンレス系材料で形成され、モータベース(1)に圧入接着により固定されている。シャフト(2)の上端にはHDDへの取り付け用ねじ穴(14)が、下端にはスピンドルモータ(500)の位置決め用の穴(15)が設けてある。
【0006】
シャフト(2)の外周には、筒状のスリーブ(6)が回転自在に外挿されている。
スリーブ(6)の上部には、後で説明するスラスト動圧軸受機構が収納される空間が設けられている。
【0007】
スリーブ(6)の外周には、アルミ製のハブ(5)が圧入接着で固定されている。
ハブ(5)の下面(ステータ部(700)と対向する面)には、ステータコア(10)に対向する8極着磁のリング状磁石(12)とロータヨーク(13)が固定されている。
【0008】
スリーブ(6)とハブ(5)とリング状磁石(12)とロータヨーク(13)は、ロータ部(600)を構成する。
【0009】
また、シャフト(2)とスリーブ(6)がラジアル動圧軸受機構を構成している。
ラジアル動圧軸受機構を以下に説明する。
シャフト(2)の外周面に対向する、スリーブ(6)の内周面には、2個所の動圧溝部(3)(4)が形成され、それぞれの溝部にはへリングボン(魚骨)状の動圧溝が形成されている。
【0010】
動圧溝部(3)(4)とシャフト(2)との間には、粘性を有する流体である、潤滑油が保持されている。
スリーブ(6)の回転時に動圧溝部(3)(4)は、シャフト(2)の外周部を均等に中心軸に向かって押す動圧を発生する。
この動圧によって、シャフト(2)とスリーブ(6)とは相対的に回転自在に保持される。
【0011】
なお、動圧溝部(3)(4)はシャフト(2)の外周面に形成されてもよい。
また図3および後で説明する図1中において、動圧溝部(3)(4)は実際の円周状ではなく平面的に描いてある。
【0012】
次にスピンドルモータ(500)が有するスラスト動圧軸受機構について説明する。
【0013】
スラスト動圧軸受機構は、シャフト(2)に設けられたフランジ(8)とブッシュ(9)と、先に説明したスリーブ(6)とから構成される。
スラスト動圧軸受機構を、図3および主要部の拡大図である図4を用いて行う。
【0014】
フランジ(8)は、銅系の材料よりなり、中央に貫通穴を有する円盤状の部材であり、シャフト(2)の外周に設けた取り付け用溝に圧入嵌合して接着され、シャフト(2)と一体になっている。
【0015】
またフランジ(8)はスラスト方向(図の上下方向)に互いに逆方向に面する2つの面を有している。
【0016】
スリーブ(6)は、その上部にスラスト動圧軸受機構を収納する空間を有し、その空間の底部は上方に面し、底部には上下二段に別れた同心円状の二つの平面が形成されている。
ブッシュ(9)は、中央に貫通穴を有する、円盤状の部材である。
【0017】
フランジ(8)は、その下面がスリーブ(6)の内部空間底部にある下段の面と相対するようにスリーブ(6)の内部に収納されている。
スリーブ(6)は、シャフト(2)と一体になったフランジ(8)に対して回転自在となっている。
【0018】
ブッシュ(9)はスリーブ(6)の内部空間底部の上段の面に突き当たった状態で、スリーブ(6)の内径部に嵌合して固定されている。
この時、ブッシュ(9)とスリーブ(6)とがフランジ(8)をスラスト方向に挟んで収納する空間の高さ、すなわちスリーブ(6)内部空間の底面にある2つの同心円状平面の高さの差は、フランジ(8)のスラスト方向厚みよりもわずかに大きいように構成されている。
【0019】
従って、フランジ(8)の上面とブッシュ(9)の下面、およびフランジ(8)の下面とスリーブ(6)内空間の下段の上面とは、微小な隙間を挟んで相対している。
【0020】
その微小な隙間には粘性を有する流体である潤滑油が充填されている。
さらに、フランジ(8)のスラスト方向の2つの面(上面および下面)には、ヘリングボン(魚骨)状の動圧溝が全周に渡って形成されている。(図示せず)
【0021】
駆動電流がコイル(11)に印加されスピンドルモータ(500)が回転すると、フランジ(8)の2つの面に形成された動圧溝と潤滑油との相対的な動きによって、潤滑油内部に動圧が発生する。
フランジ(8)の下面に形成された動圧溝はロータ部(600)を下に押し下げる方向に動圧を生じさせ、フランジ(8)の上面に形成された動圧溝はロータ部(600)を上に押し上げる方向に動圧を生じさせる。
【0022】
2つの方向の動圧が均衡し、ロータ部(600)はステータ部(700)に対して安定に回転自在に保持される。
以上の様にしてスラスト動圧軸受機構が動作する。
【0023】
なお、上記の構成において動圧溝はフランジ(8)の2つのスラスト面に形成したものとして説明したが、フランジ(8)に相対する面(ブッシュ(9)の下面、スリーブ(6)内部の空間の下段面)に形成しても同様の効果が得られる。
また、動圧が発生する粘性流体は潤滑油の他に空気を用いてもよい。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したスラスト動圧軸受機構において、動圧が発生する隙間のスラスト方向の寸法は、極めて精密な管理を要する。
【0025】
すなわち隙間のスラスト方向寸法を決定する2つの要素である、フランジ(8)のスラスト方向厚みと、スリーブ(6)内部空間の上下段の高さとを、それぞれの公差を±1μm以下という極めて高精度で管理し、各部材を製造する必要がある。
【0026】
特にスリーブ(6)は図3に示すごとく複雑な形状を有する部材であり、寸法上管理すべきポイントを多数持っている。
そのような部材をさらに、公差1μm以内といった極めて高精度の寸法管理ポイントを含めて製造しようとすると、歩留りが悪くコストが上昇したり、あるいは特殊な製造装置、特殊な製造方法により製造しなくてはならず、コストの上昇、生産性の悪化が避けられない、という課題が存在した。
スリーブ(6)というひとつの部材が高コスト、低生産性であることにより、スリーブ(6)を搭載するスピンドルモータ(500)もまた高コスト、低生産性という欠点を有することとなった。
【0027】
本発明は以上の状況に鑑みてなされたものであり、スラスト動圧軸受における動圧が発生する空間のスラスト方向寸法の管理を容易に行うことが出来、低コスト、高生産性という特長を備えたスピンドルモータを提供するものである。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、「スリーブ(6)を含むロータ部(200)と、前記スリーブ(6)に挿通されたシャフト(2)を含むステータ部(300)と、より成り、前記シャフト(2)に設けられ、前記スリーブ(6)の端面と第1の隙間を有して対向する第1のスラスト面及び該第1のスラスト面とは逆方向に面する第2のスラスト面とを有するフランジ(8)と、前記ロータ部(200)に設けられ、前記第2のスラスト面と第2の隙間を有して対向する対向面を有するブッシュ(9)と、前記第1及び第2の隙間に保持された潤滑油と、該潤滑油と、前記第1のスラスト面または前記スリーブ(6)の前記端面及び前記第2のスラスト面または前記ブッシュ(9)の前記対向面に形成された動圧溝と、を含んで構成されるスラスト動圧軸受機構と、前記スリーブ(6)及び前記ブッシュ(9)が前記フランジ(8)と前記第1及び第2の間隙を有してそれぞれ対向するように前記スリーブ(6)と前記ブッシュ(9)との間の前記フランジ(8)の径方向外側に挟持されたスペーサ(7)と、を備え、前記スペーサ(7)は、有孔材料で形成され前記潤滑油が含浸して成ることを特徴とするスピンドルモータ(100)」を提供する。
【0029】
【発明の詳細な説明】
本発明の一実施の形態であるHDD用スピンドルモータ(100)を、図1ないし図2を用いて以下に説明する。
【0030】
なお、先に図3ないし図4を用いて説明した従来技術に係るスピンドルモータ(500)と同一の機能を有する構成については同一の符号を付し、また重複して説明することを避けるために、一部説明を省略した点もある。
【0031】
図1は本実施の形態のスピンドルモータ(100)の断面図である。また図2はその主要部の拡大図である。
【0032】
本スピンドルモータにおけるスラスト動圧軸受機構は、フランジ(8)とブッシュ(9)とスリーブ(6)とスペーサ(7)とから構成される。
本スピンドルモータ(100)のスラスト動圧軸受機構を除く各構成要素は、先に説明した従来技術に係るスピンドルモータ(500)と同一である。
【0033】
フランジ(8)は、従来技術のスピンドルモータと同様に構成される。
すなわち銅系の材料よりなり、中央に貫通穴を有する円盤状の部材であり、シャフト(2)の外周に設けた取り付け用溝に圧入嵌合して接着され、シャフト(2)と一体に固定される。
【0034】
またフランジ(8)はスラスト方向(図の上下方向)に互いに逆方向に面する2つの面を有している。
【0035】
スリーブ(6)は、その上部にスラスト動圧軸受機構を収納する空間を有し、空間の底部は上方に面している。
しかし従来技術にかかるスピンドルモータ(500)と異なり、空間の底部に段部は存在せず、ひとつの同心円状の平面が上方に面している。
【0036】
ブッシュ(9)は従来技術と同様に、中央に貫通穴を有する、円盤状の部材である。
【0037】
スペーサ(7)は貫通穴を有する円盤状の部材で、鉄あるいはステンレス材で形成されている。
スペーサ(7)はスリーブ(6)内部の空間の底面に接し、スリーブ(6)の内径に嵌合して圧入あるいは接着により固定されている。
またスペーサ(7)の貫通穴の内径は、フランジ(8)の外径より大なるように構成されている。
【0038】
フランジ(8)は、スリーブ(6)内部の空間において、スペーサ(7)の貫通穴の内部に位置し、またスペーサ(7)と接触することなく、スリーブ(6)とは回転自在に保持されている。
【0039】
スリーブ(6)内部の空間において、ブッシュ(9)は、スペーサ(7)の上面に突き当たった状態でスリーブ(6)の内径部に嵌合し圧入接着により固定されている。
【0040】
またスペーサ(7)のスラスト方向厚みは、フランジ(8)のスラスト方向厚みよりもわずかに大なる様に構成されている。
従って、図2に示すスラスト動圧軸受機構においてフランジ(8)はスラスト方向に微小な隙間を挟んで、ブッシュ(9)およびスリーブ(6)と相対している。
また、フランジ(8)上下の隙間には潤滑油等の粘性を有する流体、あるいは空気が保持されている。
【0041】
フランジ(8)の2つのスラスト面、あるいはフランジ(8)とスラスト方向に対向するブッシュ(9)またはスリーブ(6)のスラスト面には動圧溝が形成されており、スピンドルモータ(100)のロータ部(200)が回転すると、動圧溝に誘起された動圧によってロータ部(200)がステータ部(300)に対して安定に回転自在に保持されることは、先に従来技術のスピンドルモータにおいて説明した点と同様である。
【0042】
本実施の形態において、スラスト動圧軸受の動圧が生ずる隙間のスラスト方向寸法を決定するのは、フランジ(8)のスラスト方向厚み、およびスペーサ(7)のスラスト方向厚みである。
【0043】
スラスト動圧軸受機構が正常に機能するためには、動圧が生ずる隙間の寸法を精密に管理して構成する必要があることは、本スピンドルモータ(100)も、従来技術のスピンドルモータ(500)と同様である。
しかし先に説明した、図3および図4に示す従来技術のスピンドルモータ(500)において隙間の寸法を決定していたスリーブ(6)は、スラスト動圧軸受の隙間寸法を決定する機能の他に、ラジアル動圧軸受機構の構成要素でもあり、ハブ(5)と嵌合しモータの同軸度を決定する要素ともなっている。
さらにまたスリーブ(6)は、その内径部にブッシュ(9)およびシャフト(2)とともに囲む空間内に潤滑油や空気などの粘性流体を封止して保持し、スラスト動圧軸受け機構のハウジング(筐体)の機能も担っている。
そのためにスリーブ(6)はブッシュ(9)と連結固定する構造になっている。
このようにスリーブ(6)は多くの機能を兼ね備えているので、スピンドルモータ(100)の機能、性能を維持するために製造時に寸法を規定公差内に管理すべきポイントが多数ありコストは比較的高いものとなる。
【0044】
一方スペーサ(7)は、上記に説明したように、スリーブ(6)とブッシュ(9)とによって挟時され、その状態でスリーブ(6)とブッシュ(9)とが連結固定する構造となっている。
【0045】
本実施の形態においては上記のように、スペーサ(7)がスラスト動圧機構の隙間寸法を決定する機能に特化した部材であるように構成したので、構造がはるかに単純であり、スラスト方向の厚さ以外に製造上精密に管理すべきポイントがなく、コストはスリーブ(6)よりも低くすることが可能である。
【0046】
またスペーサ(7)は貫通穴を有する円盤、という単純な構造としたので、比較的安価な切削機等の治工具で製作でき、低コスト、高生産性という条件のもとで製造できる。
従って本実施の形態に係るスピンドルモータ(100)は、従来技術と比較して、より低コスト、より高生産性な条件で製造することが可能となる。
【0047】
また、本発明のスピンドルモータは、上記に説明した構成の他に、以下のように構成してもよい。
【0048】
すなわち、スペーサ(7)を有孔性材料で形成し、あらかじめ潤滑油を含浸させておきスピンドルモータ(100)に組み込む構成とする。
このように構成するとスペーサ(7)がその形成材質中に潤滑油を保持しているので、スピンドルモータ(100)が製造後長期間に渡って使用され、あるいは高温など不利な環境条件のもとで使用された場合などスラスト動圧軸受け機構の隙間に保持された潤滑油が外部に拡散したり、蒸散したりした場合でも、それを補うようにスペーサ(7)から潤滑油が浸出し、動圧発生空間に常に必要な潤滑油を保持することが可能となる。
【0049】
すなわち上記のようにスペーサ(7)を構成することで、スラスト動圧軸受機構における潤滑油切れを防止し、スピンドルモータ(100)の信頼性、耐久性を向上させる効果が生ずる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係るスピンドルモータによれば、スラスト方向動圧軸受機構を有するスピンドルモータにおいて、動圧の生ずる空間の隙間寸法の管理を容易に行うことが出来、スピンドルモータのコストを低下させ、生産性を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のスピンドルモータの断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態のスピンドルモータの断面拡大図である。
【図3】従来技術のスピンドルモータの断面図である。
【図4】従来技術のスピンドルモータの断面拡大図である。
【符号の説明】
1 モータベース
2 シャフト
3 動圧溝部
4 動圧溝部
5 ハブ
6 スリーブ
7 スペーサ
8 フランジ
9 ブッシュ
10 ステータコア
11 コイル
12 リング状磁石
13 ロータヨーク
14 HDD取り付け用ねじ穴
15 位置決め穴
100 スピンドルモータ
200 ロータ部
300 ステータ部
500 スピンドルモータ
600 ロータ部
700 ステータ部
Claims (1)
- スリーブを含むロータ部と、前記スリーブに挿通されたシャフトを含むステータ部と、より成り、
前記シャフトに設けられ、前記スリーブの端面と第1の隙間を有して対向する第1のスラスト面及び該第1のスラスト面とは逆方向に面する第2のスラスト面とを有するフランジと、
前記ロータ部に設けられ、前記第2のスラスト面と第2の隙間を有して対向する対向面を有するブッシュと、
前記第1及び第2の隙間に保持された潤滑油と、
該潤滑油と、前記第1のスラスト面又は前記スリーブの前記端面と前記第2のスラスト面又は前記ブッシュの前記対向面とに形成された動圧溝と、を含んで構成されるスラスト動圧軸受機構と、
前記スリーブ及び前記ブッシュが前記フランジと前記第1及び第2の間隙を有してそれぞれ対向するように前記スリーブと前記ブッシュとの間の前記フランジの径方向外側に挟持されたスペーサと、を備え、
前記スペーサは、有孔材料で形成され前記潤滑油が含浸して成ることを特徴とするスピンドルモータ。
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