JP3940871B2 - 倍力装置の反力機構 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は自動車のブレーキ等に用いられる倍力装置に関し、より詳しくは、倍力装置の反力機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来一般に、ブレーキ倍力装置は、シェル内に摺動自在に設けたバルブボデイと、このバルブボデイに設けたパワーピストンと、このパワーピストンの前後に形成した定圧室と変圧室と、上記バルブボデイ内に設けられて流路を切換え制御する弁機構と、上記バルブボデイ内に摺動自在に設けられて上記弁機構の一部を構成する弁プランジャと、上記弁プランジャを進退動させて弁機構の流路を切換えさせる入力軸と、上記パワーピストンの前進によって前進される出力軸とを備えている。
そして従来一般の反力機構は、上記出力軸と弁プランジャとの間に配置したゴム製のリアクションディスクを備えており、ブレーキ倍力装置の作動時には上記リアクションディスクにバルブボデイと弁プランジャを同時に接触させ、出力軸に加わるブレーキ反力の一部をバルブボデイで受けさせるとともに、残部を弁プランジャに伝達させ、この弁プランジャに加わるブレーキ反力を入力軸およびブレーキペダルを介して運転者に感知させるようにしている。
このとき、上記バルブボデイで受ける反力と、弁プランジャで受ける反力との比率、より具体的には両者の受圧面積の比率を変えることにより、ブレーキ倍力装置のサーボ比を変更することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のブレーキ倍力装置のサーボ比は、一般に小さなブレーキペダルの踏力で大きなブレーキ液圧を発生させることができるように大きく設定されているが、急制動時にはブレーキ倍力装置の作動遅れから予定した大きな出力が得られず、老人や女性等の非力な運転者では急制動を行なうことが困難であることが判明した。
すなわち、ブレーキペダルを踏み込んだ際には入力軸を介して弁機構の流路が切換えられ、それにより変圧室に圧力流体が導入されてパワーピストンおよびバルブボデイが前進されるようになる。そしてバルブボデイが前進するとリアクションディスクを介して出力軸が前進され、該出力軸の前進によりブレーキ液圧が発生してその反力が出力軸に加わると、上述したように出力軸に加わるブレーキ反力がバルブボデイと弁プランジャとに分配されるようになる。
しかしながら、急制動時には変圧室に導入される圧力流体によってパワーピストンおよびバルブボデイが前進される前に、ブレーキペダルに入力軸を介して連動している弁プランジャが前進されてしまうので、出力軸に加わるブレーキ反力はその大部分が弁プランジャに伝達されてしまい、その結果、運転者に伝達されるブレーキ反力は異常に大きなものとなる。
その結果、急制動を行なう際にはその異常に大きなブレーキ反力に打勝ってブレーキペダルを踏み込まなければならず、徐々にブレーキペダルを踏み込んで大きな制動力を得ている通常のブレーキ作動の場合に比較して、はるかに大きな力でブレーキペダルを踏み込まなければ急制動に必要な大きな制動力が得られなかった。
本発明はそのような事情に鑑み、急制動時にも軽い踏力で大きな出力が得られるようにした倍力装置の反力機構を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、上述した倍力装置において、倍力装置が作動された際に出力軸に加わる反力を弁プランジャに伝達されないように構成するとともに、上記バルブボデイに摺動自在に設けた反力ピストンと該反力ピストンと弁プランジャとの間に設けた緩衝部材を備え、該反力ピストンに作用する上記変圧室と定圧室の圧力の差によって付勢される付勢力を擬似反力として上記緩衝部材を介して弁プランジャに伝達する擬似反力付与手段を設け、さらに上記擬似反力付与手段は、上記弁プランジャがバルブボデイに対して所定量以上前進した際に、上記反力ピストンに作用する変圧室の流体の流れを閉鎖する閉鎖手段を備えていること特徴とするものである。
【0005】
【作用】
上記構成によれば、倍力装置の作動時に上記出力軸に加わる反力が弁プランジャに伝達されないようにしているので、急作動時に、変圧室に導入される圧力流体によってパワーピストンおよびバルブボデイが前進される前に、入力軸を介して連動している弁プランジャが大きく前進されたとしても、出力軸に加わる反力が弁プランジャおよび入力軸を介して運転者に伝達されることはない。
他方、上記擬似反力付与手段は、定圧室の圧力が導入される第2定圧室と変圧室の圧力が導入される第2変圧室との圧力差が作用する反力ピストンを備えているので、通常の踏込み時には上記圧力差に応じた擬似反力を弁プランジャに伝達することができる。そして急制動時には、その瞬間には倍力装置の作動遅れにより変圧室の圧力が増大しないので第2変圧室の圧力も増大せず、しかも上記弁プランジャがバルブボデイに対して所定量以上前進すると上記閉鎖手段が反力ピストンに作用する変圧室の流体の流れを閉鎖するようになる。したがって反力ピストンに大きな差圧力が加わらないので、軽い操作力で弁プランジャを大きく前進させることができ、それによって軽い操作力で大きな出力を得ることができる。
また、上記反力ピストンは、上記緩衝部材を介して弁プランジャに当接するので、その緩衝部材を省略した場合のように、反力ピストンが弁プランジャに当接した瞬間に入力軸が押し戻されるような衝撃が発生することがなく、それにより操作フィーリングを良好なものとすることができる。
【0006】
【実施例】
以下図示実施例について本発明を説明すると、フロントシェル1とリヤシェル2内にバルブボデイ3を摺動可能に設けている。
本実施例のバルブボデイ3は、リヤシェル2の筒状部2A内に摺動自在に設けた入力側部材4と、この入力側部材4のフロント側端部に相対変位可能に嵌合させた出力側部材5とを備えている。
上記入力側部材4は、リヤシェル2の筒状部2A内に摺動自在に貫通させた筒状部材6と、この筒状部材6のフロント側端部の外周面に嵌合固定され、そのフロント側端部が開口する断面概略コ字状の外側部材7と、上記筒状部材6のフロント側端部の内周面に嵌合固定された筒状の内側部材8とから構成している。
他方、上記出力側部材5は、リヤ側に配置され、そのリヤ側が開口する断面概略コ字状のリヤ側部材10と、このリヤ側部材10のフロント側に連結され、そのリヤ側が開口する有底筒状のフロント側部材11とから構成している。
そして、上記出力側部材5のリヤ側部材10を、その開口するフロント側から入力側部材4の外側部材7に摺動自在に嵌合させてあり、それにより出力側部材5は、外側部材7とリヤ側部材10に取付けたストッパ12との間で摺動することができるようになっている。また上記リヤ側部材10と外側部材7との間にはばね13を弾装してあり、このばね13によって出力側部材5と入力側部材4とを軸方向において相互に離隔する方向に付勢している。
上記出力側部材5の外周部には、パワーピストン14とこのパワーピストン14のリヤ側に添設したダイアフラム15とを連結してあり、このダイアフラム15によって密封容器内を前方側の定圧室Aと後方側の変圧室Bとに区画している。
【0007】
次に、上記定圧室Aと変圧室Bとの間の流体回路を切換える弁機構17について説明する。この弁機構17は、入力側部材4の筒状部材6に形成した環状の第1弁座18と、この筒状部材6内に摺動自在に嵌合した弁プランジャ19の右端に形成した環状の第2弁座20と、さらにこれら両弁座18、20に図1の右方からポペットリターンスプリング21によって着座する弁体22とを備えている。
そして上記第1弁座18よりも外周側を、筒状部材6の軸部、および外側部材7と内側部材8との間に形成した定圧通路23を介して定圧室Aに連通させ、この定圧室Aをフロントシェル1に連設した負圧導入管24を介して図示しないエンジンのインテークマニホールドに連通させて常時負圧を導入させている。また、上記第1弁座18と第2弁座20との中間部分は、筒状部材6に形成した半径方向の変圧通路25を介して変圧室Bに連通させている。さらに上記第2弁座20よりも内周側は入力側部材4内に形成した圧力通路26を介して大気に連通させている。
【0008】
上記バルブボデイ3の入力側部材4内に摺動自在に設けた弁プランジャ19の右端には入力軸30の先端部を枢支連結してあり、この入力軸30とバルブボデイ3の入力側部材4とにわたって、上記ポペットリターンスプリング21の弾発力よりも大きな弾発力を有するばね31を弾装しており、このばね31の弾発力によってブレーキペダルが踏み込まれていない図示非作動時では弁プランジャ19の第2弁座20に弁体22を着座させ、かつこの弁体22を入力側部材4の第1弁座18から離座させるようにしている。上記入力軸30の末端部は、操作杆としての図示しないブレーキペダルに連動させている。
また、上記弁プランジャ19は、キー部材32によってバルブボデイ3の入力側部材4の筒状部材6から抜出るのを防止している。上記キー部材32は、図示しないがその中央部から先端部にかけて二股状に形成してあり、該キー部材32を入力側部材4の筒状部材6の直径方向に形成した挿入孔33内に挿入して、その二股状部分の基部を弁プランジャ19の小径部19aに係合させている。
このとき、上記挿入孔33と変圧通路25とを入力側部材4の軸方向に隣接させて一体に形成しているが、挿入孔33の幅、すなわち入力側部材4の軸方向に直交し、かつキー部材32の挿入孔33への挿入方向と直交する方向の幅は、変圧通路25の同方向の幅よりも広く設定してあり、それによってキー部材32は挿入孔33内のみで入力側部材4の軸方向に変位可能となっている。
また、キー部材32と弁プランジャ19とは、上記小径部19aの軸方向長さの範囲内でキー部材32に対して軸方向に変位可能となっており、それによりブレーキ倍力装置の非作動時にはリヤシェル2の内面に当接したキー部材32に入力側部材4および弁プランジャ19が当接して停止されている。この状態では、弁プランジャ19はバルブボデイ3に対する相対的に前進した位置に保持されており、これによりブレーキ倍力装置の作動開始時における入力軸30のロスストロークを減少させることができるようになっている。
そして、ブレーキ倍力装置の非作動時には、フロントシェル1の内面と上記出力側部材5のフロント側部材11との間に弾装したリターンスプリング34によって、この出力側部材5のリヤ側部材10をばね13の弾発力に抗して後退させて入力側部材4の外側部材7に当接させた状態で図示非作動位置に保持している。
【0009】
次に、本実施例の出力軸35の先端部は、フロントシェル1の軸部より外部に突出させてあり、図示しないマスターシリンダのピストンに連動させている。他方、出力軸35の基部35Aは、出力側部材5のフロント側部材11に形成した凹部11A内に嵌合させて該出力側部材5に一体に連結している。
これにより本実施例では、ブレーキ倍力装置が作動された際に、マスターシリンダを介して出力軸35に作用するブレーキ反力は全てバルブボデイ3の出力側部材5で受け止められて入力側部材4および弁プランジャ19には伝達されることがないようになっている。
ところで、ブレーキ反力が弁プランジャ19に伝達されないように構成すると、運転者はブレーキの操作感を得ることができない。
このため本実施例では、擬似反力付与手段37を設けることにより、ブレーキペダルの踏込み量に応じた擬似反力を運転者に付与するようにしている。
すなわち、上記擬似反力付与手段37は、出力側部材5のフロント側部材11内に摺動自在に嵌合した反力ピストン38を備えており、この反力ピストン38によりフロント側部材11内のリヤ側に第2定圧室39を、フロント側部材11のフロント側に第2変圧室40をそれぞれ区画形成している。この反力ピストン38の外周部にはリング状のシール部材41を設けてあり、このシール部材41により反力ピストン38の外周面とフロント側部材11の内周面との気密を保持している。
上記第2定圧室39は、フロント側部材11のリヤ側先端に形成した連通孔41を介して定圧室Aに連通するとともに、上記定圧通路23とも連通している。これに対し、上記第2変圧室40は、上記反力ピストン38の軸部からリヤ側に突出させた突出部38Aの軸部に形成した通路42A、および入力側部材4の内側部材8の内周面と弁プランジャ19の大径部19bの一部を切り欠いた部分との間に形成した通路42Bとから構成される反力通路43を介して変圧通路25に連通しており、それにより上記第2変圧室40は反力通路43および変圧通路25を介して変圧室Bに連通されるとともに、反力通路43および定圧通路23を介して定圧室Aとも連通している。
上記反力通路43を構成する反力ピストン38の通路42Aの流路面積は、内側部材8と弁プランジャ19とで構成される通路42Bおよび変圧通路25の流路面積よりも小さく設定してあり、この通路42Aは実質的にはオリフィス通路に相当するものである。
上記反力ピストン38の突出部38Aは、入力側部材4の内側部材8内に気密を保持して摺動自在に嵌合してあり、この内側部材8内にフロント側より嵌合させた弁プランジャ19の大径部19bと対向させてある。そして、上記反力ピストン38と入力側部材4の内側部材8との間にばね44を弾装し、このばね44により、ブレーキ倍力装置の非作動時には反力ピストン38を出力側部材5のフロント側部材11に当接させて前進端位置に保持している。この状態では反力ピストン38の突出部38Aと弁プランジャ19の大径部19bとの間には間隙が形成されている。
また上記反力ピストン38の突出部38Aの軸部に形成した通路42Aは、突出部38Aのリヤ側端面に形成した半径方向の溝45内に開口させてあり、それによって突出部38Aが弁プランジャ19の大径部19bに当接したときこの溝45を介して通路42Aと通路42Bとが連通されるようになっている。
ところで、反力ピストン38は非作動時にはばね44の弾発力によって弁プランジャ19から離隔しているので、この離隔した状態から反力ピストン38が後退して弁プランジャ19に当接した瞬間の衝撃が大きく、これにより運転者にブレーキペダルが瞬間押し戻されるような感覚を与える虞がある。
このため、本実施例では上記弁プランジャ19の大径部19bのフロント側端面に弾性素材からなる薄肉な円板状の緩衝部材46を設けている。この緩衝部材46は反力通路43を閉鎖しないように、弁プランジャ19の大径部19bと同一の箇所の一部を切欠いてある。
なお上記緩衝部材46は弾性素材に限定されるものではなく、皿ばねやコイルばねであってもよい。
【0010】
また本実施例では、通常の踏込み時よりも急制動時により小さな踏力で大きな制動力を得ることができるように、弁プランジャ19の大径部19bの外周部に反力通路43を閉鎖する閉鎖手段としてシール部材48を設けている。
このシール部材48は、非作動時や通常の操作時には反力通路43を形成する入力側部材4の内側部材8の内周面に切欠き形成した大径部49(図2参照)内に位置するようになっており、この状態ではシール部材48と大径部49との間を介して変圧通路25と第2変圧室40とが連通されるようになっている。
これに対し、上記弁プランジャ19が入力側部材4に対して所定量以上前進した際には、シール部材48は上記大径部49内から脱出してこれよりもフロント側に形成した小径部50に位置するようになっており、この状態ではシール部材48が小径部50に完全に密着してこの部分をシールするようになっている。
このことから理解されるように、ブレーキペダルが急激に踏み込まれた際には、図2に示すように、弁プランジャ19が入力側部材4に対して大きく前進されるので、シール部材48により変圧通路25と第2変圧室40の連通が遮断されるようになる。
また、上記シール部材48は、ブレーキペダルが徐々に踏み込まれてブレーキ倍力装置が全負荷状態になった際にも、図3に示すように、弁プランジャ19が入力側部材4に対して大きく前進するようになるので、シール部材48により変圧通路25と第2変圧室40の連通が遮断されるようになる。
【0011】
以上の構成において、上述した非作動状態からブレーキペダルが相対的に緩やかに踏み込まれたときには、入力側部材4に形成した第1弁座18に弁体22が着座して今まで連通していた定圧通路23と変圧通路25との連通を遮断するとともに、弁プランジャ19に形成した第2弁座20から弁体22が離隔して変圧通路25と圧力通路26とを連通させる。これにより変圧通路25を介して変圧室Bに大気が導入されるので、定圧室Aと変圧室Bとで圧力差が生じ、その圧力差によりバルブボデイ3の出力側部材5およびパワーピストン14が前進されるようになる。
これに対し、入力側部材4は、出力側部材5およびパワーピストン14の前進量に比較してその前進量は相対的に小さくなる。
すなわち、入力側部材4の変圧室B内に位置する部分には負圧が作用し、他方、変圧室Bの外部に突出した部分には大気が作用している。それにより弁機構17が切換わった直後は、入力側部材4にはばね13A、13Bのセット荷重よりも大きな差圧が作用しているので該入力側部材4は出力側部材5に当接して一体に前進するが、やがてその差圧は変圧室B内の負圧の低下とともに小さくなるので該差圧がばね13A、13Bのセット荷重を下回るようになると、入力側部材4は出力側部材5から徐々に離隔するようになる。
このことから理解されるように、本実施例では出力側部材5の前進量よりも弁機構17を収容した入力側部材4の前進量を小さく設定しているので、入力側部材4の前進に伴って前進される入力軸30およびこれに連動するブレーキペダルのストロークを相対的に小さくすることができるので、出力側部材5と入力側部材4とを固定して出力側部材5と入力側部材4の前進量を同一とする場合に比較してブレーキフィーリングの向上を図ることが可能となる。
また、反力ピストン38のフロント側に形成した第2変圧室40には、反力通路43を介して大気が導入されるので、第2変圧室40と第2定圧室39とで差圧が生じ、その差圧により反力ピストン38がリヤ側に付勢されるようになる。
これにより反力ピストン38がばね44を圧縮して後退して突出部38Aが対抗する弁プランジャ19の大径部19bの端面に当接するので、この反力ピストン38に作用する差圧が弁プランジャ19および入力軸30を介してブレーキペダルに伝達されるようになるので、運転者はブレーキの操作感を感知することができる。
そして、上記反力ピストン38が弁プランジャ19の大径部19bに当接したときの衝撃は、緩衝部材46によって有効に吸収されるので、弁プランジャ19に伝達される衝撃を小さくすることができ、その結果、操作フィーリングが阻害されるのを防止することができる。
なお、入力側部材4が出力側部材5から離隔するタイミングおよび離隔する速度は、ばね13のセット荷重およびばね定数により調整することができる。
【0012】
次に上述した緩やかな操作時よりも多少速くブレーキペダルが踏み込まれたときの作動について説明すると、このような作動時には、入力軸30を介してブレーキペダルに連動する弁プランジャ19が通常の踏込み時よりも入力側部材4に対して大きく前進されるようになる。
これにより、弁プランジャ19に形成した第2弁座20から弁体22が緩やかに操作された時よりも大きく離隔するので、変圧通路25を介して変圧室Bに大量の大気が導入され、それによりバルブボデイ3の出力側部材5およびパワーピストン14が相対的に速く前進されるようになる。
これに対し、反力ピストン38のフロント側の第2変圧室40には、反力通路43を介して緩やかな操作時と同量の大気しか導入されないので、出力の上昇に対して反力が遅れて上昇するようになる。
換言すると、反力ピストン38が後退する速さは、第2弁座20と弁体22の開口量が大きくなってもさほど変化することはないので、ブレーキペダルが相対的に早く操作された場合であっても、反力ピストン38が弁プランジャ19に当接するときの衝撃の大きさはほとんど増加しないので、その結果、操作フィーリングが阻害されることはない。
したがって、上記流体圧反力機構37がブレーキペダルに与える反力は、ブレーキペダルの操作速度が速いときには緩やかな作動時と比較して相対的に小さな力でブレーキ倍力装置を作動させることができる。
【0013】
次に、急激にブレーキペダルが操作されたときの作動について説明する。このような急激な作動時には、入力軸30を介してブレーキペダルに連動する弁プランジャ19が入力側部材4に対する前進端位置まで一気に前進されるようになる。
これにより、弁プランジャ19に形成した第2弁座20から弁体22が大きく離隔するので、変圧通路25を介して変圧室Bに大量の大気が導入される。
これにより、出力側部材5およびパワーピストン14に作用する差圧が急激に上昇して出力側部材5およびパワーピストン14が急激に前進されて急制動が行なわれる。
また、反力ピストン38のフロント側の第2変圧室40には、これまでであれば反力通路43、より具体的にはシール部材48と大径部49との間を介して大気が導入されていたが、このような急激な作動時には弁機構17が切換わった直後にシール部材48が大径部49を越えて小径部50に密着して反力通路43を閉鎖するので、反力ピストン38は僅かな差圧によってリヤ側に付勢されて弁プランジャ19に着座するようになる。
その結果、上記流体圧反力機構37がブレーキペダルに与える反力は、弁プランジャ19がバルブボデイ3に対する前進端位置まで前進されるような急激な作動時には小さな反力が伝達されるので、このような急激な作動時には通常の作動時よりも一層軽い踏力でブレーキ倍力装置を急作動させることができる。
【0014】
ところで上記シール部材48は、ブレーキペダルが緩やかに踏み込まれて全負荷状態となったときにも、内側部材8の小径部50に密着して反力通路43を閉鎖するようになっている(図3参照)。
すなわち本実施例では、上述したように出力側部材5の前進量よりも入力側部材4の前進量を相対的に小さくしているので、ブレーキ倍力装置が全負荷状態となった状態からブレーキペダルを踏込んでさらに大きな制動力を得ようとしたときには、前進している出力側部材5に入力側部材4が当接するまでの間はブレーキペダルを踏み込んでも出力および反力が増大しない無反応な区間が生じてしまう。
しかしながらブレーキ倍力装置が全負荷状態になると、上述したようにシール部材48が反力通路43を閉鎖して第2変圧室40を密封するので、その結果、第2変圧室40内に導入されいる大気によって入力側部材4と出力側部材5とを一体的に前進させることができるので、操作フィーリングが阻害されるのを防止することができる。
【0015】
なお上記実施例では、バルブボデイ3を構成する入力側部材4と出力側部材5とを摺動自在に設けているが、これに限定されるものではなく、入力側部材4と出力側部材5とが一体となっている通常の倍力装置に本発明を適用できることは勿論である。
また上記実施例では、シール部材48を設けて急作動時の反力を低減するようにしていたが、これに限定されるものではなく適宜省略してもよい。
【0016】
【発明の効果】
以上のように本発明においては、通常の踏込み時には擬似反力付与手段によって踏力に応じた擬似反力を伝達し、また急制動時には擬似反力付与手段による反力が伝達されないので、軽い踏力で大きな制動力を得ることができるという効果が得られる。
さらに、反力ピストンは緩衝部材を介して弁プランジャに当接するので、その緩衝部材を省略した場合のように、反力ピストンが弁プランジャに当接した瞬間に入力軸が押し戻されるような衝撃が発生することがなく、それにより操作フィーリングを良好なものとすることができるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図。
【図2】急制動時の状態を示す要部の拡大断面図。
【図3】ブレーキ倍力装置の全負荷状態を示す拡大断面図。
【符号の説明】
3…バルブボデイ 4…入力側部材
5…出力側部材 6…筒状部材
7…外側部材 8…内側部材
10…リヤ側部材 11…フロント側部材
17…弁機構 25…変圧通路
30…入力軸 35…出力軸
37…擬似反力付与手段 38…反力ピストン
39…第2定圧室 40…第2変圧室
42A…通路(オリフィス通路) 43…反力通路
46…緩衝部材 48…シール部材
A…定圧室 B…変圧室
Claims (3)
- シェル内に摺動自在に設けたバルブボデイと、このバルブボデイに設けたパワーピストンと、このパワーピストンの前後に形成した定圧室と変圧室と、上記バルブボデイ内に設けられて流路を切換え制御する弁機構と、上記バルブボデイ内に摺動自在に設けられて上記弁機構の一部を構成する弁プランジャと、上記弁プランジャを進退動させて弁機構の流路を切換えさせる入力軸と、上記パワーピストンの前進によって前進される出力軸とを備えた倍力装置において、
倍力装置が作動された際に出力軸に加わる反力を弁プランジャに伝達されないように構成するとともに、上記バルブボデイに摺動自在に設けた反力ピストンと該反力ピストンと弁プランジャとの間に設けた緩衝部材を備え、該反力ピストンに作用する上記変圧室と定圧室の圧力の差によって付勢される付勢力を擬似反力として上記緩衝部材を介して弁プランジャに伝達する擬似反力付与手段を設け、
さらに上記擬似反力付与手段は、上記弁プランジャがバルブボデイに対して所定量以上前進した際に、上記反力ピストンに作用する変圧室の流体の流れを閉鎖する閉鎖手段を備えていること特徴とする倍力装置の反力機構。 - 上記擬似反力付与手段は、上記反力ピストンに作用する変圧室の流体の流れを制限するオリフィスを有することを特徴とする請求項1に記載の倍力装置の反力機構。
- 上記反力ピストンは、上記バルブボデイに摺動自在に嵌合させるとともに、上記反力ピストンの外周部にシール部材を配設したことを特徴とする請求項1に記載の倍力装置の反力機構。
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