JP3940120B2 - 抄紙機のカンバスに対する汚染防止剤の吹付付与方法、及びそれに用いる摺動散布装置 - Google Patents

抄紙機のカンバスに対する汚染防止剤の吹付付与方法、及びそれに用いる摺動散布装置 Download PDF

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Description

本発明は、抄紙機のカンバスに対する汚染防止剤の吹付付与方法、及びそれに用いる散布ノズル及び汚染防止剤に関する。
紙製品の製造(抄紙)工程において、紙体(湿紙)の乾燥は必須であり、乾燥の良・不良は、紙製品の品質に非常に大きな影響を与える。
そのため、抄紙機のドライパート(乾燥工程)は、抄紙過程の中でも極めて重要な部分に位置付けられている。
抄紙機のドライパートでは、紙体の乾燥は、通常、加熱された複数のドライヤロールの表面に紙体を巻き付けるようにして行われる。
そして、複数のドライヤロールを用いる場合には、紙体をその外側からドライヤロールの表面に押し付けて乾燥効率を上げるために、通常、カンバスが備えられる。
図1は、抄紙機のドライパートにおけるカンバスの使用形態の一例を示す概略図である(便宜的に、上方のカンバスは一部省略した)。
カンバスAは、10本前後の一群のドライヤロールRにつき、上下に1枚ずつ設けられ(ダブルカンバスの場合)、カンバスロールKやテンションロールL、カンバスドライヤM等によって支持されて、閉ループを形成する。
そして、紙体WをカンバスAとドライヤロールRとの間に挟み込み、加熱されたドライヤロールRの表面に強く押し付けて、紙体Wの乾燥効率を上げる。
紙体Wから蒸発した水蒸気は、通常、ドライヤロールRや上下カンバスA等に囲まれた空間であるドライヤポケット部Dに吐き出され、同部のベンチレーションにより、最終的にドライパートを覆うフードの排気口から排気される。
このドライヤポケット部Dのベンチレーションは、紙体の乾燥に大きな影響を与えるため、非常に重要である。
ベンチレーションは、熱風ロールや熱風ダクト等によりカンバスを貫通して熱風を吹き込むなどして行われるが、カンバスの通気度に左右され易い。
そのため、適切な通気度を有するカンバスが選択されて用いられる。
また、1枚のカンバスで複数のドライヤロールを抱いて紙体の乾燥を行うシングルカンバス方式(ベルラン等のシングルデッキを含む)においても、カンバスの通気度は重要である。
通気度が適切でないと、バルーニングやブローイング等の現象を生じ、紙体にしわが生じたり紙切れを起こしたりするトラブルにつながる場合がある。
しかし、カンバスは紙体と強く接触するため、逆に、カンバスの紙体と接触する面(本明細書ではカンバスの外面という)に紙体に含まれる紙粉やピッチ等が徐々に転移して、カンバスが汚染され易い(特許文献1参照)。
そして、紙粉やピッチ等はカンバスの織りの空隙部分(いわゆるカンバスの)に入り込んで目を詰まらせてカンバスの通気度を下げ、その結果として、紙体の乾燥効率を著しく低下させてしまう。
また、カンバスの外面に転移した紙粉やピッチ等が、更にカンバスの外面からカンバスの外面に接するロール類に転移することがある。
ここで、カンバスの外面に接するロール類とは、図1でいえば、テンションロールLやカンバスドライヤM等のことであり、カンバスロールKのうちカンバスの外面側にある外側カンバスロールNも含まれる(本明細書ではこれらのカンバスの外面に接するロール類をまとめてアウトロールという)。
アウトロールにカンバスを介して微細な紙粉やピッチ等が次々と転移すると、紙粉やピッチ等はアウトロールの表面上で互いに結び付き合い、次第に大きな固まりとなる。
そして、紙粉やピッチ等が蓄積してアウトロールの表面上に層状に形成されると、抄紙機を止めて除去しなければならず、製造効率が低下する(特許文献1参照)。
また、ある程度の大きさになった固まりがアウトロールの表面から剥がれて、逆に、カンバスの外面に転移することもある。
そうなると、カンバスを汚染するだけでなく、今度は、固まりがカンバスの外面から紙体に転移してしまい、紙製品に欠点を生じたり断紙の原因となる。
このように、紙体Wから徐々に紙粉やピッチ等が転移してカンバスが汚染されるのを
放置すると、上記のような種々の深刻な問題が発生してしまう。
こうした事態を防止するため、通常、紙粉やピッチ等が紙体からカンバスに転移するのを防止する汚染防止剤が、カンバスに対して付与される。
従来、汚染防止剤のエマルジョン等をカンバスに対して直接散布して付与する方法が採られていた。
また、汚染防止剤であるオイルエマルジョンをカンバス上方の液溜容器から回転軸に滴下し、回転軸の遠心力で細かい液滴として飛散させて付与する方法も提案された(特許文献2参照)。
しかし、これらの方法では、汚染防止剤の液滴がカンバスの移動に伴う表層気流(随伴気流)により容易に吹き飛ばされて、液滴がカンバス面に到達せず、歩留まりが悪化する。
また、吹き飛ばされた液滴が抄紙機の部材等に付着してその表面で大きくなり、液滴となって紙体上に落下(いわゆるボタ落ち)し、紙製品の品質を著しく害することもある。
更に、近年の抄紙機の高速化によりカンバスの表層気流が極めて激しくなっているため、これらの方法では液滴の殆どが巻き上げられて、効果的にカンバス面に付与できないという事態に陥ってしまう。
別の付与方法としては、汚染防止剤のエマルジョン等に浸したアウトロール等を介してカンバスに汚染防止剤を塗工する方法が採られることもあった(特許文献3参照)。
しかし、こうした方法では、多くの場合、汚染防止剤を多量に塗布してしまうため、汚染防止剤がカンバスの目に詰まり、或いはカンバスが濡れて汚染防止剤が的確にカンバスに付与されずに紙粉等で目詰まりを生じ、結果的に紙体の乾燥効率を著しく低下させてしまった。
本発明者等は、こうした種々の問題点を克服するために、汚染防止剤を一旦カンバスのアウトロールに付与し、アウトロールを介してカンバスに適量の汚染防止剤を付与する方法の発明を提示した(特許文献1及び特許文献4参照)。
そこでは、アウトロール(特にテンションロール)に対して、固定型散布ノズルより散布する方法、摺動型散布ノズルによる方法、及び長尺型散布ノズルによる方法を提示している(特に特許文献1参照)。
しかし、固定型散布ノズルによる散布方法では、アウトロールの長さが長くなった場合、汚染防止剤がアウトロールの端部付近に多く散布され易く、アウトロールの全面に均一に散布することが必ずしも容易でなくなる場合がある。
この点で、長尺型散布ノズルや摺動型散布ノズルは、ノズルの個数や摺動幅を任意に決めることにより、アウトロールの全面に均一に散布することが可能である。
但し、長尺型散布ノズルによる散布方法では、通常、薬剤を水で数百倍に希釈して使用するため、摺動型散布ノズルの場合に較べて、汚染防止剤の散布量が多くなる傾向がある。
また、アウトロール両端のカンバスが接しない部分にまで薬剤を散布してしまい、その部分に薬剤が蓄積してトラブルを生じてしまう場合がある。
その点、摺動型散布ノズルによる散布方法では、こうした問題は発生せず、汚染防止剤を均一に散布することができるという利点を有する。
しかも、使用するノズルの種類(例えば1流体ノズルか2流体ノズルか)や散布量、ノズルの摺動速度等を自由に調整することができ、薬液の適量散布に適している。
この場合、散布ノズルとしては、1流体ノズルを使用すると散布量が多くなり過ぎ、上記の種々の問題が生じるため、通常、2流体ノズルが採用される。
しかし、2流体ノズルを用いた場合、噴霧された薬液の運動量が小さいため、アウトロールやカンバスの表層気流によりその一部が巻き上げられ、薬液がアウトロールに到達しない場合があった。
そこで、本発明者等は、こうした薬液の巻き上がりを防止するための装置として、薬液の噴出用ノズルの上流側と下流側にエアカーテンを形成し、表層気流を遮断して、その間の空間で薬液を噴霧する流体散布用流体飛散防止装置を提案した(特許文献5参照)。
しかし、このような装置では、特に抄紙機の抄速が高速の場合、エアカーテンが表層気流を必ずしも遮断し切れず、逆に、表層気流を大きく掻き乱してしまう場合がある。
そうした場合、掻き乱された気流により薬液の巻き上がりがかえって激しくなり、所定量の付与を行えず、反対に、上記ボタ落ち等の問題が発生してしまう恐れがあった。
特開2000−96476号公報(第8−10図、第13図) 特開平7−292382号公報(第4頁、第3図) 英国特許第2284833号明細書(1995、第1図) 特開平11−217786号公報(第3、4図) 実開平1−152762号公報
このように、カンバスは、紙製品の品質に大きな影響を与える紙体の乾燥において重要な役割を果たす部材であるが、紙体に直接接するため、紙粉やピッチ等が転移し易く、カンバスが汚染されると、結果的に紙体の乾燥効率が著しく低下してしまう。
こうした汚染を防止するためにカンバスに汚染防止剤が付与されるが、的確に薬剤を付与できないと、カンバスの目を詰まらせたり、カンバスを濡らしたりして、かえって乾燥効率を落とすこととなる。
一方、抄速が上がるにつれ、抄紙機内を走行する紙体の端部がばたばたと波打つフラッタリングを抑えるため、通気度の低いモノフィラメント製のカンバスや目をより小さく織ったマルチフィラメント製や表層スパン製等のカンバスが用いられるようになってきた。
また、紙製品の表面にカンバスの織目の痕跡(凹凸)が残らないように、カンバスの表面に立毛を設けたニードルスパン製のカンバスも使われている。
これらのカンバスは、従来のカンバスと比較して、紙粉等や汚染防止剤で目が詰まり易く、また水分を吸収し易い。
特に、通気度が20000cm/cm/分以下のカンバスではこの傾向が顕著であった。
カンバスに対する汚染防止剤の付与の観点から見た場合、抄紙機の抄速の高速化、それに伴う表層気流の強力化、及び上記のようなカンバスの改良等、年々、付与を困難にする要素が増え、条件が厳しくなりつつある。
逆に言えば、こうした厳しい環境の中においても、カンバスに対してより確実にしかも適量の汚染防止剤を付与することを可能にする付与方法の開発が、強く求められている。
本発明は、かかる実状を背景に、上記の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明の目的は、カンバスに対して確実に且つ適量の汚染防止剤を付与できる汚染防止剤の吹付付与方法を提供することである。
また、上記吹付付与方法を実現可能な散布ノズル及び摺動散布装置を提供することである。
更には、上記吹付付与方法に用いる汚染防止剤を提供することである。
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して、鋭意研究を重ねた結果、 散布ノズルから、上記閉ループを周回してきたカンバスの外面がテンションロールや外側カンバスロール等のアウトロールと初めて接触する部位(接触開始部位)に向けて汚染防止剤を散布させることにより、適量の汚染防止剤をカンバスの表層気流に巻き上げられることなく散布することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、(1)、抄紙機において紙体の乾燥に用いられるカンバスに対して汚染防止剤を付与する汚染防止剤の付与方法であって、カンバスの外面とアウトロールとの接触開始部位に向けて散布ノズルから汚染防止剤を散布し、該汚染防止剤をカンバス及びアウトロールの両表層気流により運ばれて収束された状態で前記接触開始部位に吹き付けてアウトロールに汚染防止剤を付着させ、該アウトロールを介してカンバスに汚染防止剤を転移させて付与する汚染防止剤の吹付付与方法に存する。
そして、(2)、前記アウトロールは、カンバスが紙体から離れて最初に接するアウトロールである汚染防止剤の吹付付与方法に存する。
そしてまた、(3)、前記散布ノズルを、カンバスのアウトロールの回転軸に平行に摺動させながら汚染防止剤を散布する汚染防止剤の吹付付与方法に存する。
そしてまた、(4)、前記カンバスは、通気度が20000cm/cm/分以下のカンバスである汚染防止剤の吹付付与方法に存する。
そしてまた、(5)、(3)記載の汚染防止剤の吹付付与方法に用いる散布ノズルを備えた摺動散布装置であって、該散布ノズルが2流体ノズルである摺動散布装置に存する。
そしてまた、(6)、(3)記載の汚染防止剤の吹付付与方法に用いる散布ノズルを備えた摺動散布装置であって、該散布ノズルが、液体を噴霧するための2流体ノズルと、気流を噴射するための気流噴射ノズルとを備え、該2流体ノズルから噴霧された液体に対して該気流噴射ノズルから気流を噴射し、噴霧された液体を該気流で加速して吹き付ける二次ブロー付き2流体ノズルである摺動散布装置に存する。
そしてまた、(7)、前記摺動散布装置は、リミットスイッチで設定された摺動幅に基づいて散布ノズルを摺動させるものである摺動散布装置に存する。
本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記1〜の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然可能である。
本発明によれば、カンバスに対して、確実に且つ適量の汚染防止剤を付与できる。
通気度が高いカンバスのみならず、通気度が低く(例えば20000cm/cm/分以下)乾燥し難いカンバスに対して、カンバスに余分な水分を与えることなく汚染防止剤を均一に、確実に且つ適量に付与することができ、より効果的である。
また、本発明の汚染防止剤及び摺動散布装置を用いれば、カンバスに対する紙粉やピッチ等の転移が有効に阻止され、汚染防止効果が発揮される。
以下、図面に基づいて、本発明の抄紙機のカンバスに対する汚染防止剤の吹付付与方法、及びそれに用いる散布ノズル及び汚染防止剤について、好適な実施の形態を挙げて説明する。
〔汚染防止剤の吹付付与方法について〕
図2は、カンバスの外面とアウトロールとの接触開始部位を説明する図である。
図3は、接触開始部位に向けて散布ノズルから汚染防止剤を散布している状態を横から見た概略図である。
本発明の汚染防止剤の吹付付与方法は、散布ノズルSを摺動させながら、汚染防止剤TをカンバスAの外面とアウトロールBとの接触開始部位Cに向けて散布することを特徴とする。
ここで、接触開始部位Cとは、閉ループを周回してきたカンバスAの外面がアウトロールBと最初に接触する部位のことであり、図2において斜線が付された部位のことである。
図において、カンバスAは上方から下方に向けて高速で移動し、アウトロールBはカンバスAの移動に対応して高速回転している。
そのため、カンバスAの表面付近では図3の白抜き矢印の方向に表層気流が発生し、また、アウトロールBの表面付近でも図3の点線矢印の方向に表層気流が発生している。
本発明の汚染防止剤の吹付付与方法では、図3に示すように、散布ノズルSから汚染防止剤Tを接触開始部位Cに向けて散布する。
このように吹き付けると、汚染防止剤Tは、カンバスA及びアウトロールBの両表層気流に運ばれて吹き付けられることとなる。
他方ではアウトロールBの表層気流が生じているために、汚染防止剤Tは両方の表層気流により散布状態が集束され、的確に接触開始部位Cに到達することができる。
当然、汚染防止剤Tは広範囲の飛散することはなく効率的に付与される。
従来の散布位置Saで散布すると、汚染防止剤Tは、アウトロールBの表層気流(点線矢印)に行く手を遮られて、その一部が巻き上げられてしまい、汚染防止剤Tが効率的にアウトロールBに付与されない。
この歩留まり低下分をカバーするために、例えば、長尺型散布ノズルによる散布において汚染防止剤Tの散布量を増やすと、希釈水の散布量も多くなり、カンバスを必要以上に濡らしてしまう。
本発明によれば、汚染防止剤TをアウトロールBの表層気流及びカンバスAの表層気流の衝合領域で散布されるため、逆に表層気流を積極的に利用することとなる。
すなわち、散布状態が集束され、汚染防止剤Tを巻き上げられることなく接触開始部位Cに到達させることができるのである。
ここで、本発明の汚染防止剤の吹付付与方法の原理について説明する。
本発明の汚染防止剤の吹付付与方法は、上記散布ノズルからカンバスの外面とアウトロールとの接触開始部位に向けて汚染防止剤を散布して、アウトロールに汚染防止剤を付着させ、この汚染防止剤がアウトロールからカンバスに転移することを利用して汚染防止剤をカンバスに付与させるというものである。
図1に示したように、カンバスAは、例えば80〜100℃程度に加熱された複数ドライヤロールRに紙体Wを介して圧接され、他方では、カンバスドライヤMにより直接加熱乾燥される。
そのため、カンバスAは高温状態で走行しており、それに接するテンションロールLや外側カンバスロールN(即ちアウトロール)も、常にカンバスAを介してドライヤロールRやカンバスドライヤMから熱が伝達され、高温の状態で回転している。
こうした高温のアウトロールに汚染防止剤を吹付付与して付着させると、汚染防止剤中の余分な水分は蒸発するが、汚染防止剤中のワックスやオイル等が熱で油化して粘性が小さくなり、アウトロールの表面に拡散して油膜を形成する。
そして、この油膜の一部が、あたかもローラで壁にペンキを塗布するようにアウトロールからカンバスAの外面全体に転移されることにより、カンバスの外面へのオイル等の均一な付与が達成できる(ペンキローラ効果)。
しかも、適量のオイル等が高温状態のカンバスの外面の表層部分にのみ均一に付与されるため、カンバスを濡らしたりカンバスの目を詰まらせたりすることなく、カンバスの表面にも薄い油膜が有効に形成される。
このようにカンバスに油膜が形成されることにより、紙体からの紙粉やピッチ等の転移を十分に有効に防止することができるのである。
更に、このようにカンバスの表層部分にのみオイル等が転移するので、抄紙機に通常用いられるカンバス、即ちモノフィラメントやマルチフィラメント等を組み合わせた平織、二重織、三重織、ニードルタイプ、スパイラルタイプ、表層スパンタイプ等のいかなるカンバスにも対応できる。
即ち、先述したように、従来の方法では通気度が20000cm/cm/分以下のカンバスでは、紙粉や汚染防止剤のオイル等でカンバスの目詰まりが頻繁に生じ、又は余分な水分を吸収して濡れ易い傾向が顕著であった。
しかし、本発明によれば、上記のようなペンキローラ効果によりカンバスの表層部分にのみオイル等を転移させることができるため、こうしたカンバスでも何ら支障なく汚染防止剤を付与することが可能となる。
本発明の汚染防止剤の吹付付与方法は、上記ペンキローラ効果によりアウトロールの表面から少量ずつ失われる油膜のオイル等(汚染防止剤)を適量ずつ的確に補充する方法である。
このような汚染防止剤の付与は、複数のノズル口を有する長尺型散布ノズルを用いて行うことができる。
しかし、先述したように、長尺型散布ノズルで汚染防止剤を散布する場合、通常、薬剤を水で数百倍に希釈して使用するため、アウトロールの表面全体に同時にくまなく散布すると、カンバスに水分が大量に転移してカンバスが濡れてしまう場合がある。
その点、1つの散布ノズルをアウトロールに平行に摺動させながら散布する摺動型散布ノズルでは、汚染防止剤を水で希釈せずに原液のまま散布するため、カンバスの濡れを確実に抑えることができ、好ましい。
アウトロールに対する汚染防止剤の散布量は、抄速、カンバスの材質や幅、アウトロールの本数、紙製品の種類、該カンバスが抱いているドライヤロールの本数や温度等、種々の要因によって変化する。
しかし、本発明では、上記のような散布ノズル(長尺型散布ノズル又は摺動型散布ノズル)で散布すれば、散布量や摺動速度を変えたり散布ノズルを交換したりすることで、こうした微妙な調整を即座に的確に行うことができる。
また、図3に示したように、カンバスの外面とアウトロールとの接触開始部位に向けて散布すると、汚染防止剤(オイルや水等)の一部はカンバスに付与されることがあるが、その直後にアウトロールに瞬時に接触するため、結果的に全量をアウトロールに直接散布したのと同じ効果が得られる。
また、直接付与された一部の汚染防止剤中の水分は、アウトロールやカンバスドライヤ、ドライヤロール等に接して即座に乾燥される程度のものなので、カンバス表面の油膜形成に影響が生じるほどのものではない。
因みに、アウトロール(例えばテンションロール)からカンバスに転移した汚染防止剤のオイルは、カンバスに運ばれて、その一部が紙体や他のアウトロール(例えばカンバスドライヤや外側カンバスロール)にも転移して付着する。
他のアウトロールに付着したオイルは、ロール表面に油膜を形成する。
しかし、カンバスから一方的にオイルの供給を受け続けるばかりではなく、ある程度オイルが蓄積すると、今度は逆に、他のアウトロールからカンバスに対してオイルが転移するようになる。
このようにして、他のアウトロールでは、カンバスとの間でのオイルのやりとりが平衡に達し、その表面上に油膜が一定の厚さに保たれた状態が続く。
また、紙体に転移したオイルは、紙体によって運ばれて、最後には紙体ごと抄紙機から除去される。
そのため、その分だけ絶えずアウトロールに汚染防止剤を供給し続けなければならないのである。
このように、適量の汚染防止剤(オイル等)が散布されている状態では、1つのアウトロールに汚染防止剤を散布すると、そのアウトロールのみならず他のアウトロールにも油膜が形成される。
そして、その結果、全てのアウトロールを紙体由来の紙粉やピッチ等による汚染から守ることができる。
〔汚染防止剤の吹付位置について〕
本発明の汚染防止剤の吹付付与方法によれば、従来のように、カンバスやアウトロールの表層気流に抗して汚染防止剤を散布する(図3の破線で示すSa参照)のとは異なり、前述したようにそれらの表層気流を活用する。
即ち、汚染防止剤をそれらの表層気流に乗せて運ばせて接触開始部位に的確に到達させることで、カンバスに対して(アウトロールを介して)確実に且つ適量の汚染防止剤を付与するという課題を解決した。
更に、この汚染防止剤をカンバスやアウトロールの表層気流に乗せて運ばせるという思想が、意外にも新たな有利な効果を生み出したので、ここで説明する。
従来の吹付付与方法(図3のSa参照)は、先述したように、カンバスやアウトロールの表層気流による妨害を受け易く、実際には、テンションロールLのように深く引き込まれた状態にあるアウトロールでしか行えなかった(図4のS5の位置)。
それに対し、本発明の吹付付与方法によれば、後で実施例において検証したように、カンバス等の表層気流の影響を受け易い、カンバスに押し付けられた程度の引き込まれの浅いアウトロール(図4の外側カンバスロールNに対するS1やカンバスドライヤMに対するS3等参照)においても、十分にその機能を発揮し得ることが分かった。
つまり、本発明によれば、従来の方法では実現が困難だった引き込まれの浅いアウトロールに対する汚染防止剤の吹付付与が、汚染防止剤を巻き上げられることなく的確に行えるようになった。
従って、本発明は、どのアウトロールにも適用できるという利点を有する。
また、先述したように、アウトロールに吹き付けされた汚染防止剤(のオイル)は、カンバスを介して他のアウトロールに転移し、油膜を形成してそのアウトロールが汚染されるのを阻止し、更にはカンバスの汚染を防止する。
そのため、複数のアウトロールが設けられている場合には、カンバスの移動方向の上流に位置するアウトロールに汚染防止剤を付与すれば、下流の他のアウトロールに汚染防止剤(オイル)が転移し、その汚染をより有効に防止することができる。
即ち、本発明の吹付付与方法では、カンバスが紙体から離れて最初に接するアウトロール(図4では外側カンバスロールN)に汚染防止剤を散布するのが、より好ましい。
〔摺動散布装置について〕
本発明の汚染防止剤の吹付付与方法においては、長尺型散布ノズルを用いることができるが、先述したように、薬剤を水で数百倍に希釈して使用するため、カンバスを濡らしてしまう場合がある。
その点、摺動型散布ノズルでは、汚染防止剤を水で希釈せずに原液のまま散布できる利点がある。
そこで、まず、散布ノズルを摺動させるための摺動散布装置について述べる。
図5は、摺動散布装置の構成例を示す概略図である。
この構成例では、散布ノズルが2流体ノズルである場合を示す。
摺動散布装置1は、枠体11、左右のボックス部12L及び12R、散布ノズルS、散布ノズルSを固定し摺動(往復移動)させるための移動ベルト13、駆動モータ14、左右のリミットスイッチ15L及び15R等を備える。
散布ノズルSは、移動ベルト13に取付け固定されている支持台13aから立設された支持体16に固定されて支持される。
散布ノズルSには、汚染防止剤を供給するための液体供給管17及びブロー用のエア供給管18が取り付けられており、それらの下端は支持台13aに嵌入固定される。
液体供給管17及びエア供給管18は、枠体11の内側でそれぞれ対応するチューブ17a及び18aに連結する。
チューブ17a及び18aは、移動ベルト13の往復移動に合わせてフレキシブルに形状を変化させて追従する登録商標ケーブルベア19に挿通され、左ボックス部12L内を通って装置外部の薬液タンクやコンプレッサ等(図示しない)に連結される。
移動ベルト13は、右ボックス部12R内のローラと左ボックス部12L内で駆動モータ14により駆動されるローラ(ともに図示しない)との間に張設される。
枠体11には、左右にリミットスイッチ15L及び15Rが設けられており、これらのリミットスイッチにより、散布ノズルSの摺動幅を設定することができる。
即ち、この摺動散布装置1では、駆動モータ14を駆動して移動ベルト13を正方向又は逆方向に移動させることにより、リミットスイッチで設定された摺動幅に基づいて、散布ノズルSを摺動散布装置1の長手方向に往復移動(摺動)させることができる。
そのため、アウトロール両端のカンバスが接しない部分にまで薬剤を散布することを、極力、防止でき、先述した従来例のように、その部分に薬剤が蓄積してトラブルが発生することがない。
また、液体供給管17やエア供給管18に連結するフレキシブルなチューブ17a及び18aは、登録商標ケーブルベア19の変形に追従できる。
そのため、散布ノズルSが摺動する間、汚染防止剤及びブロー用エアを連続的に供給することができ、散布ノズルSは摺動しながら同時に汚染防止剤を散布し続けることができるのである。
〔散布ノズルについて〕
次に、散布ノズルについて述べる。
散布ノズルSとしては、通常、1流体ノズル又は2流体ノズルが採用される。
1流体ノズルは、液体に圧力を掛けて噴射するもので、噴射される液体の量が多量であり、液体のインパクト(流速や運動量等)が大きいという特徴がある。
2流体ノズルは、液体をブローエアで押し出して散布するもので、液体の少量散布に適するが、インパクトが比較的小さいという特徴を有する。
カンバスに対する汚染防止剤の吹付付与においては、先述したように、カンバスによる紙体の乾燥効率を低下させないようにすることが必須条件であり、カンバスを濡らさず、しかもカンバスの目を詰まらせないような量の汚染防止剤を付与しなければならない。
そのため、汚染防止剤を希釈する水をできる限り少量に、できれば水で希釈せずに原液のまま散布するのが好ましく、従って、本発明の摺動散布装置では、散布ノズルとして2流体ノズルを用いることが好ましい。
この際、2流体ノズルは、種々のものが開発され上市されているが、汚染防止剤の散布量等に基づいて、適宜選択され、或いは設計されることは言うまでもない。
〔二次ブロー付き2流体ノズルについて〕
本発明の吹付付与方法は、先述したように、カンバスやアウトロールの表層気流に乗せて汚染防止剤を付与するものであるから、2流体ノズルを用いた場合でも巻き上がりを生じずに十分に汚染防止剤を付与することができる。
しかし、抄紙機の抄速が非常に高速化して、カンバス等の表層気流(図3の白抜き矢印や点線矢印参照)が激しいような場合は、より確実に汚染防止剤をカンバスに到達させるために、散布ノズルとして二次ブロー付き2流体ノズルを用いることができる。
二次ブロー付き2流体ノズルは、液体(汚染防止剤)を噴霧するための2流体ノズルと、気流(二次ブロー)を噴射するための気流噴射ノズルとを備え、2流体ノズルから噴霧された液体に対して気流噴射ノズルから気流を噴射し、噴霧された液体を気流で加速してカンバスに吹き付けるものである。
図6は、二次ブロー付き2流体ノズルの構成例を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)のX−X断面図である(但し(B)においては、2流体ノズルを破線で示した)。
図6(B)中の矢印は、二次ブローエアの流れを示す。
本構成例においては、二次ブロー付き2流体ノズル2は、2流体ノズル3とエアボックス4とを備え、2流体ノズル3を略コ字形のエアボックス4に嵌め込み螺着固定している(図示なし)。
2流体ノズル3は、噴霧ノズル31と、液体注入口32と、エア注入口33とを備える。
2流体ノズル3(噴霧ノズル31)は、先述した2流体ノズルと同様に、汚染防止剤の散布量等に基づいて適宜選択されて用いられる。
また、液体注入口32には液体供給管17(図5参照)が、エア注入口33にはエア供給管18が、それぞれシーリングを介して螺着される。
エアボックス4の側壁41の内側には凹部が形成されており、該側壁41と2流体ノズル3の側壁に囲まれた気流噴射ノズル42を形成している。
エアボックス4の底部の二次ブロー用エア注入口43には、図5における支持体16の代わりに、二次ブロー用のエアを供給するための二次ブロー用エア供給管21がシーリングを介して螺着されている。
図示しないが、二次ブロー用エア供給管21が、液体供給管17等と同様、支持台13aに嵌入固定され、チューブと連結し、登録商標ケーブルベアに挿通され、装置外部のコンプレッサ等に連結されることは言うまでもない。
以上の構成を有する二次ブロー付き2流体ノズル2が、図5に示した摺動散布装置1に散布ノズルSとして取り付けられて用いられる。
このような構成の二次ブロー付き2流体ノズル2に二次ブロー用エア供給管21から圧搾空気(二次ブロー用エア)を供給すると、圧搾空気は二次ブロー用エア注入口43を通り、空間44を充填し、孔45を通って、気流噴射ノズル42から噴射され、二次ブローEを形成する。
図7は、二次ブロー付き2流体ノズルから汚染防止剤を散布する状態を示す図である。
二次ブロー付き2流体ノズル2の噴霧ノズル31から噴霧された汚染防止剤Tに対して気流噴射ノズル42から二次ブローEを噴射すると、汚染防止剤Tがより流速が速い二次ブローEに加速されることが、図7から容易に理解されよう。
このようにして、二次ブロー付き2流体ノズルは、もともとインパクトの弱い2流体ノズルによる液体の噴射を、インパクトの強いものにすることができる。
〔汚染防止剤について〕
本発明の汚染防止剤の吹付付与方法に用いられる汚染防止剤としては、ワックスやオイル又はその両方を含むエマルジョンが挙げられる。
ワックスやオイルは、アウトロールの表面で油化して拡散し易く、より効果的な撥水性を有する油膜を形成できるため、離型剤として好ましく用いられる。
中でも、ひまし油やなたね油等の植物油は、カンバスやアウトロール上での定着性が良く、紙の印刷適性を阻害しないため、汚染防止剤として好ましく用いられる。
また、シリコーンオイルは、カンバスやアウトロールの表面にシリコーンオイル独特の離型性及び撥水性を有する被膜を形成するため、汚染防止剤の主成分として好ましく用いられる。
シリコーンオイルには、種々のものが採用可能である。
中でも、ジメチルポリシロキサン系のオイル(通称「ジメチル」)は、種類が非常に多いという特徴があり、カンバスの材質や使用時の温度等の使用条件に合わせて適宜選択して用いることができるため、好ましい。
また、シリコーンオイルには、上記のジメチルポリシロキサン系オイルの他にも、側鎖や末端基が他の有機官能基に種々に置換された変性シリコーンオイルが上市されており、好ましく用いられる。
変性シリコーンオイルには、その置換基により、例えば、アミノ変性、エポキシ変性、アルコキシ変性、カルボキシ変性、カルビノール変性、メルカプト変性等の種々の変性タイプがある。
また、置換位置により側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型等に分けられ、この置換位置と上記の変性タイプ等の組み合わせにより、変性シリコーンオイルはそれぞれ独特な特性を有する。
例えば、側鎖型アミノ変性シリコーンオイルは、アクリル板に付着させてティッシュペーパーで拭き取る実験を行うと、ジメチル(一回拭けばほとんど拭き取られる)よりも拭き取り難い(通常一回の拭き取りでは拭き取れず油膜が残る)という特性をもつ。
つまり、側鎖型アミノ変性シリコーンオイルは、プラスチックに対して粘着性(定着性)が強いという特性があり、実際、合成繊維や金属板に対しても強く粘着する。
これは、側鎖の極性を有する有機官能基が金属板等と強く引き合い、金属板等の表面に対して投錨効果を発揮するためと考えられている。
このような変性シリコーンオイルを本発明の汚染防止剤の吹付付与方法に用いれば、一旦カンバスやアウトロールに付着した変性シリコーンオイルは、それらに強力に粘着してそれらから容易に脱落しないため、好ましい。
また、そうした特性のため、先述したようにオイルが紙体に転移して除去される量も少なくなるため、汚染防止剤の付与量をより少量にすることが可能となる利点もある。
そのため、カンバスの目詰まり等の問題もより確実に防止することができる。
また、変性シリコーンオイルはその強い粘着性により、汚染防止剤の付与開始直後からカンバスに的確に付着し、即座にアウトロールに油膜を形成するため、汚染防止効果の発現(いわゆる立ち上がり)が非常に速いという利点もある。
汚染防止剤の散布量は、先述したように、カンバスの材質や幅、ドライヤロールの本数や温度設定、製造される紙製品の種類、抄速、散布されるアウトロールの材質や使用時の温度等、及び汚染防止剤の主成分(ワックス、オイル、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル)等の条件に合わせて決められる。
以下、実施例について述べる。
本発明は、これらの実施例に限定されるものでないことは言うまでもない。
〔汚染防止剤〕
汚染防止剤(エマルジョン)は、以下のように調製した。
(変性)シリコーンオイル又はひまし油 10重量%
乳化剤〔エマルゲン109P(花王株式会社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ノニオン系)〕 2重量%
水 88重量%
計 100重量%
〔抄紙条件〕
抄紙機:ウルトラフォーマー(株式会社小林製作所製)
抄造銘柄:ライナー
坪量:160g/m
抄速:650m/分
紙幅:4m
カンバス幅:4.5m
なお、使用したカンバスの通気度は16000cm/cm/分である。
アウトロールは、図4に示したように、カンバスの上流側から外側カンバスロールN、テンションロールL、カンバスドライヤMの順に配置した。
〔散布条件〕
図5に示した摺動散布装置(散布ノズルは2流体ノズル)を用い、汚染防止剤の散布量を5cm/分とし、摺動速度、散布位置(図4のS1〜S6)、及びシリコーンオイルの種類を変えて、実働14日間散布した。
因みに、図4において、S1、S2、S3は本発明におけるカンバスの外面とアウトロールとの接触開始部位に向けて散布する場合を示し、S4、S5はアウトロールに散布する従来の散布位置、S6はカンバスの外面に直接散布する場合をそれぞれ示す。
因みに、汚染防止剤の散布量5cm/分は、エマルジョンの比重を1.0g/cmとした場合、オイル分で0.19mg/m散布することに相当する。
参考までに計算式を示す。
(計算式)5cm/分×0.1×1.0g/cm÷(650m/分×4.0m)
=0.5g/分÷2600m/分
=500mg/分÷2600m/分
=0.19mg/m
〔結果及び評価〕
結果を〔表1〕に示す。
表1において、摺動速度は散布ノズルの摺動速度を示す。
また、N、L、Mは、それぞれ図4における外側カンバスロールN、テンションロールL、カンバスドライヤMを表す。
この際、評価は目視にて行い、以下のように分類した。
◎:カンバス又はアウトロールに汚れ(紙粉やピッチ等)が確認できない
○:カンバス又はアウトロールに汚れがごく僅かに付着している
△:カンバス又はアウトロールに汚れが付着している
×:カンバスの目が詰まっている、又はアウトロールに層状に汚れが形成されている。
〔散布ノズルの摺動速度を変えた場合〕
本発明における散布方法では散布ノズルの摺動速度が1.5m/分以上が好ましい。
すなわち、実施例1〜3,実施例8,実施例4、実施例9に示すように、図4のS1の位置で散布ノズルの摺動速度を変えてジメチルシリコーンオイル(ジメチルポリシロキサン系オイル)を散布した場合を比較すると、摺動速度が小さくなるにつれてカンバス等に汚れが付着するようになることが分かる。
また、摺動速度が2.0m/分より小さいと、カンバス等に小さな汚れの固まりができ始めていることが分かる。
これは、散布ノズルの摺動速度が小さ過ぎると、アウトロールの油膜の減耗にオイルの補充が間に合わないからであると考えられる。
つまり、アウトロールの表面のうち、汚染防止剤の散布を受けていない部分では次々と油膜が剥離し、カンバスはアウトロールのその部分からオイルの供給を有効に受けられず、カンバスの表面にも有効に油膜が形成できない。
そのため、紙体からの紙粉やピッチ等の転移を許してしまい、その紙粉等がカンバスによって運ばれて他のアウトロールにも転移して汚染される。
このようなことから散布ノズルの摺動速度はキャンバス等の汚れ防止に影響することが理解できる。
〔変性シリコーンオイルを用いた場合〕
この傾向は、ジメチルの代わりに側鎖型アミノ変性シリコーンオイルを用いた場合(実施例4及び実施例9)でも同様である。
しかし、実施例3と実施例4(及び実施例8と実施例9)を比較して分かるように、変性シリコーンオイルを用いた場合の方が、同じ摺動速度でジメチルの場合より、汚染防止効果は良好であり、改善が見られる。
〔散布位置を変えた場合〕
汚染防止剤の散布位置を、S1(実施例1)、S2(実施例5)、S3(実施例6)、S4(比較例1)、S5(比較例2)、S6(比較例3)と変えた場合を比較すると、本発明の吹付付与方法によって散布したS1〜S3では汚染防止効果は良好であった。
S4では、汚染防止剤の液滴の巻き上げが観察された。
S4での汚染防止効果がほとんど確認されないのは、このカンバスの表層気流による激しい巻き上げのため、外側カンバスロールNに十分な量の汚染防止剤が到達していなかったためと考えられる。
S5でも、汚染防止剤の液滴の一部が巻き上げられているのが観察された。
上記のS4の場合と比較した場合、巻き上げの量が少量であった分、良好な結果が得られている。
しかし、S2で散布した実施例5と比較した場合、汚染防止効果は十分とは言えず、上記のように巻き上げられた結果、テンションロールLに到達する量が減り、必要量に達しなかったようである。
S6において汚染防止剤をカンバスに直接散布すると、カンバス及びアウトロールはともにひどく汚染された。
この際、汚染防止剤は、激しく巻き上げられていた。
表1には示さないが、ジメチルの代わりに側鎖型アミノ変性シリコーンオイルのエマルジョンを用いた場合も、結果は同様であった。
また、2流体ノズルの代わりに二次ブロー付き2流体ノズルを用いて同様の実験を行ったが、巻き上げはほとんど抑えられたものの、カンバス及びアウトロールが汚染されるという結果は変わらなかった。
つまり、カンバスに直接散布したのでは、汚染防止剤(オイル及び水等)がカンバスに到達してもその場で吸収されてしまい、面方向に拡散しない。
そのため、汚染防止剤が散布されていないカンバス部分のオイルが紙体に転移して失われ、逆に紙粉やピッチ等の転移を許して汚染される(即ち、アウトロールに散布したときのようなペンキローラ効果が得られない)。
また、アウトロールには有効な油膜が形成されないため、カンバスから紙粉等が次々と転移して蓄積されてしまうと考えられる。
〔より効果的な散布位置〕
実施例1、実施例5、及び実施例6は、本発明の吹付付与方法による汚染防止剤の散布位置のみ変えた場合である。
この結果から分かるのは、
(1)汚染防止剤が散布されたアウトロールには油膜が形成され、その下流のアウトロールにもカンバスを介してオイルが運ばれ、有効に油膜を形成する、
(2)しかし、汚染防止剤が散布されるアウトロールの上流側にあるアウトロールは、紙粉やピッチ等で僅かに汚れる場合がある、
ということである。
これらの原因を考察すると、(1)については、先述した本発明の汚染防止剤の吹付付与方法の原理から容易に理解される。
また、(2)については、カンバスが紙体に圧接されると、先述したように、オイルの一部が紙体に転移するため、その直後に位置するアウトロール(上記の上流側のアウトロール)に転移するオイルの量が少なくなり、汚染防止効果が多少低下してしまうためと考えられる。
また、カンバスが紙体に圧接されると、偶発的に紙粉やピッチ等が転移することがある。
こうした紙粉等は、通常は、カンバスが周回するうちカンバスから紙体に転移して戻りカンバス等が汚染されることはないが、一部は上記のように汚染防止効果が若干低下したアウトロールに転移してトラップされるため、アウトロールが僅かに汚れると考えられる。
従って、本発明の吹付付与方法では、カンバスが紙体から離れて最初に接するアウトロールに汚染防止剤を散布することにより、すべてのアウトロールに対して有効に汚染を防止することが可能となる。
また、実施例3と実施例4とを比較しても分かるように、変性シリコーンオイルを用いれば、より効果的である。
〔植物油を用いた場合〕
汚染防止剤の主成分としてひまし油を使用した場合(実施例7)も、ジメチルシリコーンオイルを用いた場合(実施例1)と同様に、カンバスやアウトロールに汚れ(紙粉やピッチ等)が確認されず、良好な結果が得られた。
これは、ジメチルや側鎖型アミノ変性シリコーンオイルの場合と同様に、ひまし油もカンバスやアウトロールの表面に定着して有効に油膜を形成し、紙粉やピッチ等の転移を効果的に阻止するためと考えられる。
〔カンバスの通気度〕
最後にカンバスの通気度について述べる。
従来の散布方法においては、既に述べたように、通気度が20000cm/cm/分以下のカンバスでは、紙粉や汚染防止剤のオイル等でカンバスの目詰まりが頻繁に生じ、又は余分な水分を吸収して濡れ易い傾向があった。
本願発明では、そのようなことが解消され、寧ろ、この通気度の範囲でより優れた効果を発揮できる。
そのことを検証するために、先述した実施例における抄紙条件のカンバス(すなわち16000cm/cm/分)とは異なった25000cm/cmを有するカンバスを使い、他の条件は同じで、実働14日間の散布実験を行った。
なお、散布位置はテンションロールLにおけるS2(実施例10)とS5(比較例4)で行った。
その結果を〔表2〕に示す。
実施例5、実施例10、比較例2、比較例4の結果から、本発明の散布方法は、寧ろ通気度が小さい程、優れた効果を奏することが理解できよう。
そのため、繊細な薄紙の製造には好適である。
以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形例が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明においては、主に2流体ノズルについて述べたが、場合によっては1流体ノズルを用いることも当然可能である。
また、変性シリコーンオイルについて、本明細書では側鎖型アミノ変性シリコーンオイルを主に取り上げたが、これはあくまで一例であり、他の置換基によるオイルや他の置換位置のオイルを用いることも当然可能である。
更に、テンションロール等を含めてカンバスロールを全てインナ側(内側)に設けたタイプのカンバス(インナロール型)では、例えば、カンバスの外側からカンバスロールを押し付けるようにすれば、本発明を実施することができる。
本発明の抄紙機のカンバスに対する汚染防止剤の吹付付与方法、及びそれに用いる摺動散布装置及び汚染防止剤は、抄紙機に限らず、その原理が適用される限り、製紙業全般の技術分野に利用可能である。
Figure 0003940120
Figure 0003940120
図1は、抄紙機のドライパートにおけるカンバスの使用形態の一例を示す概略図である。 図2は、カンバスの外面とアウトロールとの接触開始部位を説明する図である。 図3は、接触開始部位に向けて散布ノズルから汚染防止剤を散布している状態を横から見た概略図である。 図4は、図1における汚染防止剤の散布位置を示す概略図である。 図5は、摺動散布装置の構成例を示す概略図である。 図6は、二次ブロー付き2流体ノズルの構成例を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は(A)のX−X断面図である。 図7は、二次ブロー付き2流体ノズルから汚染防止剤を散布する状態を示す図である。
符号の説明
1…摺動散布装置
11…枠体
12L…左ボックス部
12R…右ボックス部
13…移動ベルト
13a…支持台
14…駆動モータ
15L…左リミットスイッチ
15R…右リミットスイッチ
16…支持体
17…液体供給管
18…エア供給管
17a、18a…チューブ
19…登録商標ケーブルベア
2…二次ブロー付き2流体ノズル
21…二次ブロー用エア供給管
3…2流体ノズル
31…噴霧ノズル
32…液体注入口
33…エア注入口
4…エアボックス
41…側壁
42…気流噴射ノズル
43…二次ブロー用エア注入口
44…空間
45…孔
A…カンバス
B…アウトロール
C…接触開始部位
D…ドライヤポケット部
E…二次ブロー
K…カンバスロール
L…テンションロール
M…カンバスドライヤ
N…外側カンバスロール
R…ドライヤロール
S…散布ノズル
Sa…従来の散布位置
S1、S2、S3、S4、S5、S6…散布位置
T…汚染防止剤
W…紙体



Claims (7)

  1. 抄紙機において紙体の乾燥に用いられるカンバスに対して汚染防止剤を付与する汚染防止剤の付与方法であって、カンバスの外面とアウトロールとの接触開始部位に向けて散布ノズルから汚染防止剤を散布し、該汚染防止剤をカンバス及びアウトロールの両表層気流により運ばれて収束された状態で前記接触開始部位に吹き付けてアウトロールに汚染防止剤を付着させ、該アウトロールを介してカンバスに汚染防止剤を転移させて付与することを特徴とする汚染防止剤の吹付付与方法。
  2. 前記アウトロールは、カンバスが紙体から離れて最初に接するアウトロールであること
    を特徴とする、請求項1記載の汚染防止剤の吹付付与方法。
  3. 前記散布ノズルを、カンバスのアウトロールの回転軸に平行に摺動させながら汚染防止
    剤を散布することを特徴とする、請求項1記載の汚染防止剤の吹付付与方法。
  4. 前記カンバスは、通気度が20000cm/cm/分以下のカンバスであることを
    特徴とする、請求項1記載の汚染防止剤の吹付付与方法。
  5. 請求項3記載の汚染防止剤の吹付付与方法に用いる散布ノズルを備えた摺動散布装置であって、該散布ノズルが2流体ノズルであることを特徴とする摺動散布装置。
  6. 請求項3記載の汚染防止剤の吹付付与方法に用いる散布ノズルを備えた摺動散布装置であって、前記散布ノズルが、液体を噴霧するための2流体ノズルと、気流を噴射するための気流噴射ノズルとを備え、該2流体ノズルから噴霧された液体に対して該気流噴射ノズ
    ルから気流を噴射し、噴霧された液体を該気流で加速して吹き付ける二次ブロー付き2流
    体ノズルであることを特徴とする摺動散布装置。
  7. 前記摺動散布装置は、リミットスイッチで設定された摺動幅に基づいて散布ノズルを摺
    動させるものであることを特徴とする、請求項5又は6記載の摺動散布装置。
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