JP2003251259A - 液体の吹き付け付与方法 - Google Patents

液体の吹き付け付与方法

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JP2003251259A
JP2003251259A JP2002052318A JP2002052318A JP2003251259A JP 2003251259 A JP2003251259 A JP 2003251259A JP 2002052318 A JP2002052318 A JP 2002052318A JP 2002052318 A JP2002052318 A JP 2002052318A JP 2003251259 A JP2003251259 A JP 2003251259A
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Kunio Sekiya
邦夫 関谷
Hiroshi Sekiya
宏 関谷
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MENTEKKU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 超高速の抄紙機等においても可能な限り噴霧
液を下流側に巻き上げずに液体(処理液、薬剤等)を走
行体に確実に付与可能な吹き付け付与方法を提供するこ
と。 【解決手段】 走行体Rに対して液体を吹き付けて付与
する液体の吹き付け付与方法であって、ノズル1から噴
霧された液体2に対して、別のノズル3aから気流4を
噴射し、噴霧された液体2を該気流4に乗せて吹き付け
ることにより、走行体Rに液体2を付与する液体の吹き
付け付与方法。 【効果】 超高速の抄紙機等においても噴霧液を下流側
に巻き上げずに液体を走行体に確実に付与することが可
能となり、特に、超高速抄紙機においては付与すること
が困難である2流体ノズルからの薬剤の少量付与を実現
可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速で走行する物
に対する液体の吹き付け付与方法に関し、更に詳しく
は、抄紙機等を高速で移動する紙料、及び回転するドラ
イヤロール、プレスロール等のロール類、循環するカン
バス、ワイヤ等の抄紙機等の部材に対して確実に液体を
付与する液体の吹き付け付与方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、紙力増強や多層板紙の抄造な
どのために、抄紙機内を移動する紙料に対して、紙力増
強剤や層間接着剤等の液体が噴霧され吹き付け付与され
てきた。また、最近、原料として古紙等の再生利用が盛
んに行われるようになり、紙力増強剤等の吹き付け付与
の必要性が高まっている。
【0003】一方、ドライヤロールやプレスロール、カ
ンバス等の抄紙機の部材に対しても、紙料からパルプ原
料や古紙原料由来の異物の転移防止や紙料の紙離れ向上
等のために、汚染防止剤や離型剤(過付着防止剤)等の
液体を噴霧するケースも増えている。このように、近
年、抄造工程においては、紙料や部材等に対して液体が
噴霧され吹き付け付与される工程が多くなってきた。
【0004】液体が噴霧される紙料や部材等は、通常、
抄紙機内において高速で運動している。例えば、プレス
ロールやドライヤロール等の部材は高速で回転し、カン
バスやワイヤは高速で循環し、紙料はそれらの部材の間
を又はそれらの部材の運動に合わせて、抄紙機内を高速
で移動している(本明細書においては、上記のように運
動している紙料や部材を総称して走行体という)。
【0005】一般に、高速で運動する物体の周囲には、
その物体の運動に沿ってその表面に空気の流れが生じ
る。実際、抄紙機においても、走行体の表面付近ではそ
の動きに伴って空気の流れ(以下表面流という)が生じ
ている。この表面流があると、噴霧された液体(以下噴
霧液という)が下流側に巻き上げられ、走行体の表面に
液が付着するのを妨げられる。
【0006】また、噴霧液が巻き上げられることで、フ
レームやフード、ドクター等の他の部材に対して噴霧液
が付着し、抄紙機が汚染される。或いは噴霧液がフード
等の表面で結露して紙料に落下し、紙製品の品質を落と
す等のトラブルを生じる。更に、噴霧液が巻き上げられ
た分、紙料等に到達する液体量が減少するため、歩留ま
りが悪化する。
【0007】特に、ドライヤロールやカンバス等に対し
て液体を噴霧する場合、大量に噴霧すると紙料の乾燥不
良が生じてしまう。そのため、このような場合には、通
常、少量噴霧に適した2流体ノズルを用いて必要量の液
体を噴霧する。
【0008】しかし、2流体ノズルにより噴霧された噴
霧液は、一般に、大量噴霧に適した1流体ノズルによる
噴霧と比較して、噴霧液が走行体に到達する際のインパ
クト(運動量)が弱い。そのため、2流体ノズルで噴霧
された噴霧液は、ドライヤロールやカンバス等の表面流
に抗して表面に到達できず、比較的容易に下流側に巻き
上げられてしまう。
【0009】表面流に打ち勝つためには、噴霧液のイン
パクトを強くすればよい。しかし、そのために2流体ノ
ズルの空気圧を上げると、今度は、噴霧液のミストの粒
径が小さくなってしまい、かえって表面流による巻き上
げがより激しくなるというジレンマがあった。
【0010】そこで、このような噴霧液の巻き上げを防
止する方法として、例えば、抄紙機内を循環するカンバ
スに対し表側(付与面)には通常の方法で液体を噴霧す
ると同時に、カンバスの裏側から吸引装置でバキューム
し、噴霧液をカンバスに吸い付けて付着させる方法が提
案されている。この場合、カンバスの繊維の目(いわゆ
るカンバスの目)は粗いほど吸引効果が表側に伝わり易
くなり、噴霧液の付着率がより向上する。
【0011】しかし、一般的に、カンバスの目が粗い
と、カンバスの循環により発生した表面流の一部がカン
バスの目を通過して走行する紙料をばたつかせる、いわ
ゆるフラッタリング現象が発生することがある。そし
て、このフラッタリング現象は、紙料の移動速度が高速
になればなるほど、その激しさを増し、紙料の破断を招
く場合もある。
【0012】このフラッタリング現象は、カンバスの目
を細かくすることによりその発生を軽減することができ
る。そのため、抄紙機が高速になるほど、通常、カンバ
スは繊維の目がより細かいものが選定される。
【0013】しかし、カンバスの目がより細かくなる
と、その裏側からバキュームしても噴霧液はほとんど吸
引されなくなり、カンバスに吸い付けられ難くなる。従
って、特に、最近の超高速の抄紙機に上記のバキューム
による方法を用いても、吸引効果は期待できず、噴霧液
の付着率向上も期待できない。
【0014】一方、発明者は以前、巻き上げ防止のため
の装置として、噴霧液(流体)の噴出用ノズルの上流側
と下流側にエアカーテンを形成して噴霧液の巻き上げを
防止する流体散布用流体飛散防止装置(実開平1−15
2762号公報参照)を提案した(図10参照)。
【0015】この装置100は、噴出用ノズル102の
前後2つのエアカーテン103により、走行体周囲の表
面流104を遮断することで、走行体105への噴霧液
101の安定した吹き付けを得ることを意図したもので
ある。そして、この装置によれば、従来の、抄速がまだ
比較的低速であった抄紙機においては、ほとんどの場
合、噴霧液の90%以上が走行体に到達し、上記問題点
を解消することが可能であった。
【0016】しかし、最近、抄紙機の抄速は非常に高速
化し、今や1500m/分の抄速を有するものが出現
し、2000m/分にまで達しようとしている。このよ
うな超高速の抄紙機においては、紙料やドライヤロー
ル、カンバス等の走行体周囲の表面流は、風速・風圧と
もに極めて強いものとなる。
【0017】こうした超高速の抄紙機内で上記装置によ
り走行体に液体を噴霧した場合、表面流が激しくて、上
記装置のエアカーテンでは必ずしも十分には表面流を遮
断し切れない場合が生じる。そうした場合には、2つの
エアカーテンにより走行体の周囲の表面流が大きく掻き
乱され、乱気流の中に液体を噴霧する形になるため、か
えって噴霧液が下流側に激しく巻き上げられるケースが
多数発生した。
【0018】このように、超高速化した抄紙機の登場に
より、もはや上記のように表面流を遮断するという手法
では、噴霧液を走行体へ安定して吹き付けて付与するこ
とは難しくなりつつある。しかし一方では、リサイクル
等の観点から、近年、紙原料として古紙等の占める割合
が大きく増加し、紙力増強、部材の汚染防止、部材から
の紙離れの向上等々の要請が年々強まり、抄紙機の部材
等に液体を付与する必要性は益々高まっている。
【0019】従って、上記のような超高速化する抄紙機
においても、液体を紙料や部材等の走行体に確実に付与
可能な吹き付け付与方法が求められている。しかも、そ
の吹き付け付与方法は、可能な限り噴霧液を下流側に巻
き上げないような方法でなければならない。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる実情
を背景に、上記の問題点を克服するためになされたもの
である。即ち、本発明の目的は、超高速の抄紙機等にお
いても可能な限り噴霧液を下流側に巻き上げずに液体
(処理液、薬剤等)を走行体に確実に付与可能な吹き付
け付与方法を提供することである。
【0021】
【課題を解決するための手段】かくして、本発明者は、
このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、噴
霧された液体をより高速の気流で加速してから走行体に
吹き付けることにより、風速や風圧が大きな表面流の中
でもより確実に、しかも下流側への噴霧液の巻き上げが
抑えられた状態で液体を吹き付けることが可能となるこ
とを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたも
のである。
【0022】即ち、本発明は、(1)、走行体に対して
液体を吹き付けて付与する液体の吹き付け付与方法であ
って、ノズルから噴霧された液体に対して、別のノズル
から気流を噴射し、噴霧された液体を該気流に乗せて吹
き付けることにより、走行体に液体を付与する液体の吹
き付け付与方法に存する。
【0023】そして、(2)、抄紙機において走行体に
対して液体を吹き付けて付与する液体の吹き付け付与方
法であって、ノズルから噴霧された液体に対して、別の
ノズルから気流を噴射し、噴霧された液体を該気流に乗
せて吹き付けることにより、走行体に液体を付与する液
体の吹き付け付与方法に存する。
【0024】そしてまた、(3)、前記走行体は、抄紙
機で回転し又は循環する部材である液体の吹き付け付与
方法に存する。
【0025】そしてまた、(4)、前記走行体は、抄紙
機を移動する紙料である液体の吹き付け付与方法に存す
る。
【0026】そしてまた、(5)、前記走行体は、カン
バスである液体の吹き付け付与方法に存する。
【0027】そしてまた、(6)、前記走行体は、ヤン
キ―ドライヤである液体の吹き付け付与方法に存する。
【0028】そしてまた、(7)、前記走行体は、ドラ
イヤロールである液体の吹き付け付与方法に存する。
【0029】そしてまた、(8)、前記走行体は、プレ
スロールである液体の吹き付け付与方法に存する。
【0030】そしてまた、(9)、前記走行体は、ワイ
ヤである液体の吹き付け付与方法に存する。
【0031】そしてまた、(10)、前記走行体は、フ
ェルトである液体の吹き付け付与方法に存する。
【0032】本発明はこの目的に沿ったものであれば、
上記1〜10の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた
構成も当然採用可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて、本発明の
液体の吹き付け付与方法について述べる。先述したよう
に、抄紙機内では種々の工程で走行体に液体が噴霧され
るが、本実施形態では、ドライパートにおけるカンバス
に乳化剤でシリコンオイルをエマルジョン状にした汚染
防止剤を噴霧する場合を例に取って説明する。
【0034】図1は、抄紙機のドライパートの一部を概
略的に表した図である。抄紙機のドライパートは、通
常、数十本のドライヤロール(シリンダーともいう)が
上下に配設されてなる。
【0035】また、ドライヤロールの約10本ずつ(図
ではA1〜A8)を1つの群とし、その1群に1対の割
合で上下にカンバス(上段カンバスA9と下段カンバス
A10)が設けられる。以下、下段との重複を避けるた
めに、主に上段のドライヤロールA2〜A8及び上段カ
ンバスA9について述べる。
【0036】紙料Wは、カンバスA9によりドライヤロ
ール(A2等)に圧接され、ドライヤロールの回転に合
わせて移動しながら、ドライヤロールの熱により水分を
蒸発させ乾燥される。水蒸気は、カンバスの目を通過
し、図示しないフードによりバキュームされて場外に排
気されるのである。
【0037】先述したように、汚染防止剤を噴霧するた
めのノズルは、カンバスを必要以上に濡らさないよう
に、2流体ノズルが通常採用される。しかも、紙料を圧
接する際、カンバスはできるだけ乾いた状態であること
が好ましいことから、カンバスに対する汚染防止剤の噴
霧は、最後のドライヤロールA8の直後、即ち図1のX
地点(下段カンバスA10ではY地点)で行われる。
【0038】図2は、噴霧装置よりカンバスに汚染防止
剤を噴霧している状態の例を示す概略図である。この例
では、扇形(フラット)タイプの2流体ノズルNが並設
された噴霧装置Sにより、汚染防止剤が噴霧されてい
る。
【0039】この際、図に示したように、隣接するノズ
ルNから噴霧された噴霧液同士が幾分重なり合うように
噴霧することにより、汚染防止剤をカンバスの全面に間
断なく付与することができる。因みに、汚染防止剤をカ
ンバスに直接噴霧するのではなく、アウトロールA11
(図1のZ地点)やカンバスドライヤA12に噴霧して
汚染防止剤をカンバスに転移させる方法もあるが、ここ
ではその説明を省略する。
【0040】さて、このような状態のまま噴霧したので
は、カンバスA9の移動(図2においては上方向)に伴
う表面流により、噴霧液が(上方に)巻き上げられ、汚
染防止剤をカンバスに確実に付与できないことは既に述
べた。本発明の液体の吹き付け付与方法は、このような
噴霧液に対して、別のノズルから気流(即ちブローエ
ア)を噴射し、噴霧液をこの気流に乗せて吹き付けるこ
とにより、走行体(この場合はカンバス)に液体を確実
に付与することを特徴とする。
【0041】本発明の液体の吹き付け付与方法の概念図
を、図3に示す。噴霧装置Sのノズル1より噴霧された
噴霧液2に対して、別のノズル3aより気流4を噴射
し、噴霧液2を気流4に乗せて(図中の噴霧液2及び気
流4中の矢印方向)吹き付けることにより、走行体R
(この場合はカンバスA9)に液体を付与する。
【0042】この際、例えば、噴霧装置から平均粒径約
45μmの噴霧液を約2m/sの粒速で噴霧し、それを
流速約50m/sの気流(ノズル口での値。ノズル口か
ら10cm離れた地点では約20m/s、20cmの地
点では約10m/s)に乗せて加速してカンバスに吹き
付け付与する。このように、本発明の液体の吹き付け付
与方法は、ノズル3aより噴射した気流4により噴霧液
2を積極的に加速して走行体Rに吹き付ける点で、図1
0に示した従来の流体散布用流体飛散防止装置100の
原理とは全く異なる。
【0043】因みに、従来の装置100は、エアカーテ
ンを備えるものの、エアカーテンは噴霧液の吹き付け付
与には直接関与せず、インパクトの弱い噴霧液を走行体
に直接噴霧するため、噴霧液が容易に巻き上げられてし
まう。先述したように、特に、超高速の抄紙機では、寧
ろ2つのエアカーテンは走行体の周囲の表面流を大きく
掻き乱し、噴霧液の吹き付け付与の妨げとなる傾向があ
る。
【0044】そして、噴霧液のインパクトを強くしてそ
の表面流(又は乱気流)を突き破るために、2流体ノズ
ルの空気圧を上げると、噴霧液のミストの粒径がより小
さくなり、かえって巻き上げが激しくなる。また、噴霧
液のミストの粒径を大きくするために空気圧を下げる
と、ミストの速度が遅くなり、この場合も容易に巻き上
げられてしまう。
【0045】それに対し、本発明によれば、別のノズル
から噴射した気流に噴霧液を積極的に乗せて加速してい
る。上記の例では、平均粒径約45μmの噴霧液を10
〜20m/sにまで加速するため、例えば、1500m
/分の抄速に合わせて循環するカンバスに対しても、空
気の流れである表面流に抗して噴霧液を付与することが
できる。
【0046】即ち、本発明の液体の吹き付け付与方法に
よれば、噴霧液に大きな運動量(即ちインパクト)を与
え、叩きつけるように作用させることが可能となり、走
行体に対して確実に噴霧液を到達させることができる。
そして、2流体ノズルが本来有するインパクトの弱さと
いう機能上の欠点を補って、液体の少量噴霧においても
確実に走行体に吹き付け付与することが可能となるので
ある。
【0047】この液体の吹き付け付与方法は、1流体ノ
ズルによる大量付与の場合にも当然採用できる。例え
ば、高速で回転するヤンキ―ドライヤ(2000m/分
の抄速を有するものもある)に対して、1流体ノズルで
大量に汚染防止剤を吹き付ける場合などにも、この液体
の吹き付け付与方法により薬剤を吹き付けることが可能
である。
【0048】このような場合には、図4に示すように、
噴霧液2の一部分が気流4に乗るような状態にして噴霧
することも可能である。図4のように噴霧すると、1流
体ノズルにより噴霧された噴霧液は、その強いインパク
トにより走行体Rに直接到達できる上、一部下流に巻き
上げられかけたミストが気流4に乗り、走行体Rに吹き
付けられるのである。2流体ノズルによる噴霧におい
て、図4のように噴霧することが可能なことは言うまで
もない。
【0049】さて、本発明の液体の吹き付け付与方法
は、上記のカンバスやヤンキードライヤ以外にも、ドラ
イヤロールやプレスロールに汚染防止剤や離型剤等を噴
霧する場合や、紙料を搬送するワイヤやプレスパートの
フェルトに汚染防止剤や洗浄剤等を噴霧する場合などに
も当然適用可能である。具体的には、ドライヤロールや
プレスロール、ワイヤ、フェルト等に対して、図2に示
したような噴霧装置で液体を吹き付ける際、その扇形に
広がった噴霧液に対して図3で示したように更に上方か
ら気流を噴射して吹き付け付与するのである。
【0050】以上、抄紙機の部材に液体を吹き付け付与
する場合について述べてきたが、本発明の液体の吹き付
け付与方法は、抄紙機内を移動する紙料に対して吹き付
け液体を付与する場合にも優れた機能を発揮する。ここ
では、多層構造を有する板紙の抄き合わせ工程におい
て、紙料に層間接着剤を噴霧する場合を例に取って述べ
る。
【0051】図5に、抄紙機における紙料の抄き合わせ
工程の例を概略的に示す。紙料W1は、搬送帯B1によ
り下流方向(図では右方向)に搬送されてくる。そし
て、ヘッドボックス(図示しない)等より供給されフォ
ーミングワイヤB2により搬送された紙料W2とフォー
ミングロールB3の地点で合流する。
【0052】紙料W1及びW2は、フォーミングロール
B3及びタッチロールB4の間でニップされ抄き合わさ
れて紙料W3となり、搬送帯B1により更に下流に送ら
れる。紙料に対する層間接着剤の吹き付け付与は、紙料
W2と合流する直前の紙料W1に対して行われる。
【0053】この際、紙料W1の高速移動に伴って、紙
料W1の周囲には激しい表面流が生じているが、先述し
た部材における場合と同様に、本発明の液体の吹き付け
付与方法によれば、確実に層間接着剤を吹き付け付与す
ることができるのである。この液体の吹き付け付与方法
は、プレスパート等における表面紙力増強剤の吹き付け
付与においても同様に採用できる。因みに、上記の搬送
帯やフォーミングワイヤ、フォーミングロール、タッチ
ロールに種々の処理液や薬剤を噴霧する際も、本発明の
液体の吹き付け付与方法を採用可能であることは言うま
でもない。
【0054】参考までに、上記の層間接着剤や表面紙力
増強剤等は、薬剤が紙料の内部にまで十分に浸透する必
要はなく、主に紙料の表面に付与できればよい。そのた
め、1流体ノズルで濃度の薄い薬剤を大量に噴霧するの
ではなく、濃い濃度の薬剤を2流体ノズルで少量付与す
る方がよい。
【0055】具体的には、図2に示したような噴霧装置
により薬剤を噴霧し、気流噴射装置からの気流で紙料に
吹き付けるようにして薬剤を付与する。この際、噴霧装
置(2流体ノズル)の空気圧をあまり上げずに噴霧液の
ミストの粒径がある程度の大きさを有する状態で噴霧す
れば、紙料の周囲の表面流による影響を受け難くなる。
【0056】また、実際には、噴霧液が気流噴射装置か
らの気流で加速される際、噴霧液のミストがある程度分
解されてより小さな粒径になるので、紙料に均一に薬剤
を付与することが可能となるのである。
【0057】さて、これまで抄紙機における液体の吹き
付け付与方法について述べてきたが、本発明の液体の吹
き付け付与方法は、ほかにも種々の用途に採用できる。
例えば、コルゲータにおける中芯原紙やライナー等に対
する静電防止剤等の噴霧、紙の加工機や加湿機における
紙料への抗菌剤や香料、水分等の付与等のみならず、半
導体の製造装置等、各種製品の製造装置内を走行する半
製品に対して薬剤等の液体を噴霧する場合や、走行する
対象に対して塗料を吹き付ける場合などにも、本発明の
液体の吹き付け付与方法は効果的にその機能を発揮でき
る。
【0058】次に、本発明の実施例について述べるが、
本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0059】
【実施例】ヤンキードライヤ(直径約4m)を備えた抄
紙機において、本発明の液体の吹き付け付与方法を用い
た場合の液体の付着率と、気流の噴射がない場合の液体
の付着率を比較する実験を行った。
【0060】〔実験の方法〕実験の概要を、図8に示す
(抄紙機は要部のみを示しカンバスや搬送帯等は省
略)。実験は、ヤンキードライヤC1で乾燥等される前
の段階で、紙料Wに対して、本発明の液体の吹き付け付
与方法により染料で着色した水を噴霧し、紙製品Pの染
色度から水の付着率を評価する方法で行った。
【0061】実験では、噴霧装置Sとして、2流体ノズ
ル(扇形フラットタイプ)を100mm間隔で21個並
べたもの(図2参照)を用いた。また、気流噴射装置3
は、10mm長、0.5mm幅のスリットを20mm間
隔(スリットの端間では10mm間隔)に並設したノズ
ルを備えたものを用いた。
【0062】噴霧装置S及び気流噴射装置3は、紙料W
より約200mm離れた位置にそれぞれ固定した。ま
た、気流の噴射を止めて染料で着色した水の噴霧のみを
行う対照実験も行った。
【0063】〔実験条件〕実験条件は、以下の通りであ
る。 〔抄紙条件〕 紙製品:ティッシュ(紙幅2000mm、抄速1500
m/分) 〔噴霧装置の噴霧条件〕 噴霧量:ノズル21個で計0.5リットル/分・m 粒径(平均):40μm 速度(平均):2.5m/s 〔気流噴射装置の噴射条件〕 流速(ノズル直下):50m/s (ノズル下20cm):10m/s
【0064】〔結果〕実験によって得られた本実験(本
発明の液体の吹き付け付与方法)及び対照実験(着色水
のみ噴霧)の付着率のデータをグラフにして、図9に示
す。グラフでは、曲線Iが本実験の結果、曲線Jが対照
実験に結果を示す。
【0065】グラフに示すように、本実験における付着
率が平均で約90%であったのに対し、対象実験におい
ては付着率は平均約20%である。また、目視観察を行
って噴霧状態を見た。その結果、本実験では着色水の巻
き上げは微小なものであったが、対象実験においては下
流側に着色水が大量に巻き上げられ、図示しないマシン
のフレームや足場等に付着した。
【0066】〔評価〕実験結果は、本発明の液体の吹き
付け付与方法が、液体の巻上げを抑え、液体を走行体
(紙料)に確実に付与させることができることを明確に
示している。また同時に、対照実験では付着率が不均一
になっているのと比較して、本発明によれば、走行体
(紙料)の全幅にわたってムラなく均一に液体を付与す
ることができることも示している。
【0067】以上、本発明を説明してきたが、本発明は
実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸
脱しない範囲で、他の種々の変形例が可能であることは
言うまでもない。例えば、図3又は図4に示す吹き付け
は、気流4が走行体Rに対して略垂直に吹き付けるよう
に限定されるものではなく、図6又は図7に示すよう
に、走行体Rに対してある角度を有する状態で吹き付け
ることも当然可能である。また、図3等に示すように、
噴霧装置Sと気流噴射装置3を別体とする必要はなく、
一体化することも当然可能である。
【0068】また、本発明の液体の吹き付け付与方法
は、超高速の抄紙機において有効ではあるが、従来の低
速の抄紙機に用いることも当然可能である。更に、本発
明に使用されるノズルは、フラット、広角フラット、ホ
ロコーン、フルコーン、ソリッド等のスプレーパターン
を形成する如何なる1流体ノズル又は2流体ノズルに対
しても有効にその機能が発揮される。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、超高速の抄紙機等にお
いても噴霧液を下流側に巻き上げずに液体を走行体に確
実に付与することが可能となる。特に、超高速の抄紙機
等においては付与することが困難である2流体ノズルか
らの薬剤の少量付与を実現可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、抄紙機のドライパートの一部を概略的
に表した図である。
【図2】図2は、噴霧装置よりカンバスに汚染防止剤を
噴霧している状態の例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の液体の吹き付け付与方法を示
す概念図である。
【図4】図4は、噴霧液の一部分が気流に乗るようにし
て噴霧した状態を示す図である。
【図5】図5は、抄紙機における紙料の抄き合わせ工程
の例を示す概略図である。
【図6】図6は、走行体の進行方向に対して上流に向け
て気流を噴射した状態を示す概念図であり(a)は図3
に、(b)は図4に対応する場合を示している。
【図7】図7は、走行体の進行方向に対して下流に向け
て気流を噴射した状態を示す概念図であり(a)は図3
に、(b)は図4に対応する場合を示している。
【図8】図8は、実験の概要を示す図である。
【図9】図9は、本実験及び対照実験の付着率のデータ
を示すグラフである。
【図10】図10は、従来の流体散布用流体飛散防止装
置を示す図である。
【符号の説明】
1…ノズル 2…噴霧液 3…気流噴射装置 3a…ノズル 4…気流 100…流体散布用流体飛散防止装置 101…噴霧液 102…噴出用ノズル 103…エアカーテン 104…表面流 105…走行体 106…エアパイプ A1〜A8…ドライヤロール A9…上段カンバス A10…下段カンバス A11…アウトロール A12…カンバスドライヤ B1…搬送帯 B2…フォーミングワイヤ B3…フォーミングロール B4…タッチロール C1…ヤンキードライヤ C2…ドクター C3…タッチロール C4…ガイドロール I、J…付着率を示す曲線 N…ノズル P…紙製品 R…走行体 S…噴霧装置 W、W1、W2、W3…紙料 X、Y、Z…噴霧位置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21F 7/00 D21F 7/00 Z Fターム(参考) 4D075 AA01 AA22 AA52 AA85 CA09 DA04 DA10 DA15 DB18 EA06 EA13 EA37 4F033 BA03 CA01 DA01 EA01 JA01 LA01 4L055 CE90 CF50 CG20 CG40 CH10 FA22 FA30

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 走行体に対して液体を吹き付けて付与す
    る液体の吹き付け付与方法であって、ノズルから噴霧さ
    れた液体に対して、別のノズルから気流を噴射し、噴霧
    された液体を該気流に乗せて吹き付けることにより、走
    行体に液体を付与することを特徴とする液体の吹き付け
    付与方法。
  2. 【請求項2】 抄紙機において走行体に対して液体を吹
    き付けて付与する液体の吹き付け付与方法であって、ノ
    ズルから噴霧された液体に対して、別のノズルから気流
    を噴射し、噴霧された液体を該気流に乗せて吹き付ける
    ことにより、走行体に液体を付与することを特徴とする
    液体の吹き付け付与方法。
  3. 【請求項3】 前記走行体は、抄紙機で回転し又は循環
    する部材であることを特徴とする請求項2記載の液体の
    吹き付け付与方法。
  4. 【請求項4】 前記走行体は、抄紙機を移動する紙料で
    あることを特徴とする請求項2記載の液体の吹き付け付
    与方法。
  5. 【請求項5】 前記走行体は、カンバスであることを特
    徴とする請求項2記載の液体の吹き付け付与方法。
  6. 【請求項6】 前記走行体は、ヤンキ―ドライヤである
    ことを特徴とする請求項2記載の液体の吹き付け付与方
    法。
  7. 【請求項7】 前記走行体は、ドライヤロールであるこ
    とを特徴とする請求項2記載の液体の吹き付け付与方
    法。
  8. 【請求項8】 前記走行体は、プレスロールであること
    を特徴とする請求項2記載の液体の吹き付け付与方法。
  9. 【請求項9】 前記走行体は、ワイヤであることを特徴
    とする請求項2記載の液体の吹き付け付与方法。
  10. 【請求項10】 前記走行体は、フェルトであることを
    特徴とする請求項2記載の液体の吹き付け付与方法。
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