JP3939424B2 - 粘着テープ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着テープ及びその製造方法に関する。詳しくは本発明は、粘着テープの厚さ方向に形成されてなる多数の微細な孔を有する基材と粘着剤層とからなる、手切れ性(鋏や鋸歯状のカッター等の切断具を使用せずに手の指先のみで粘着テープを幅方向に切断し得る性能)が良好であって、ロール状に重ね巻きした巻物の嵩張りが低減された粘着テープ及びその製造方法に関する。本発明において「孔」とは、基材の一方の面から他方の面まで貫通している孔(以下「貫通孔」と言う)のみならず、貫通していない孔(以下「非貫通孔」と言う)をも意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】
粘着テープは一般に、図4に示す通り、樹脂・紙・布・金属等からなる薄物の基材101と、基材101の上に塗布された粘着剤層102とからなり、ロール状に重ね巻きされた巻物の形態で市販されている。この粘着テープは、巻物から粘着テープを必要な長さにまで引き出したあと所望の箇所で切断して用いられる。巻物からの粘着テープの引き出し易さを高めるために、必要に応じて粘着剤を塗布していない基材の背面103の上に剥離剤が塗布される。
【0003】
厚さ方向に多数の微細な孔を有する基材と粘着剤層とからなる手切れ性の良好な粘着テープとして、特開平8−199123号公報に記載された粘着テープが知られている。この粘着テープは、テーパー状の貫通孔を有するプラスチックフィルムなる基材と粘着剤層とからなる粘着テープであって、具体的なプラスチックとしてポリエステル、ポリプロピレン他が例示されている。
【0004】
この粘着テープの製造方法について前記公報には、表面に微細なダイヤモンド粒子を付着させた第一ロールと、硬質の平滑表面を有する第二ロールとの間にフィルムを通して両ロールによりフィルムを押圧し、第一ロールの表面の微細な粒子によってフィルムに貫通孔を形成させ、得られた基材に粘着剤を塗布するという製造方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記公報に記載された粘着テープは、基材のどちら側の面に粘着剤を塗布したとしても、図4に示す巻物の径(厚さ)が大になるという嵩張りの問題点を持っており、かかる問題点が発生する原因については以下の通り考えられる。
【0006】
フィルムの貫通孔は、先端の鋭利なダイヤモンド粒子をフィルムの一方の面から他方の面に向かってロール間で押圧するという物理的な方法で形成されるものであるから、基材の他方の面の孔の周辺部には、孔を形成させることによって生じた基材片(以下、この基材片を「バリ」と言う)が、孔の周辺部において基材の表面から上方向に立ち上がった状態で存在しており(図2参照)、基材の表面からのバリの高さは孔の径(図2に示した孔径D)が大ほど大である。
【0007】
図2に示した立ち上がったバリ6を有する基材の一方の面(図2の下側の面)に粘着剤を塗布する場合には、バリ6の高さに起因して粘着テープの厚さが大になり嵩張りの問題点が発生する。反対に、基材の他方の面(図2の上側の面)に粘着剤を塗布する場合には、粘着性を向上させるためにバリ6全体を粘着剤で覆わなければならず、その結果、粘着テープの厚さが大になり嵩張りの問題点が発生する。
【0008】
本発明の目的は、手切れ性が良好であって、ロール状に重ね巻きした巻物の嵩張りが低減された粘着テープ及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、厚さ方向に多数の微細な孔を有する基材を用いて、手切れ性が良好であって、ロール状に重ね巻きした巻物の嵩張りが低減された粘着テープの開発について研究を重ねてきた。その結果、熱可塑性樹脂製フィルムに先端が鋭利な針を突き刺すことによってフィルムの厚さ方向に形成されてなる多数の微細な孔を有するフィルム(図2に示す孔の周辺部に立ち上がったバリを有するフィルム)を得、次いでこのフィルムを押圧下に熱処理することによってバリが平坦化されたフィルムを得(図3参照)、バリが平坦化されたフィルムに粘着剤を塗布することによって、手切れ性が良好であって、ロール状に重ね巻きした巻物の嵩張りが低減された粘着テープが得られることを見い出したことを発端として、本発明を完成させるに至った。本発明の粘着テープの手切れ性が良好な理由は基材が有する多数の微細な孔によるものであり、嵩張りが低減される理由はバリの平坦化によるものである。
【0010】
すなわち、本発明は、熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物の厚さ方向に形成され、孔が粘着テープの幅方向の直線状に配列されてなる多数の微細な孔を有し、針ロールと軟質の素材で被覆された平滑ロールとの間に薄物を通して針ロールと平滑ロールで押圧し、針ロールの針が平滑ロールの軟質の素材に突き刺さる程度にまで針を薄物に貫通させて孔の形成時に生じたバリは平坦化されてなる薄物からなる基材と粘着剤層とからなる粘着テープである。また、本発明は、少なくとも次の工程からなる粘着テープの製造方法である。
工程(1):熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物に針ロールで多数の微細な孔を形 成する工程
工程(2):針ロールで形成された多数の微細な孔を有する薄物を押圧下に熱処理す る工程
工程(3):押圧下に熱処理された薄物からなる基材の少なくとも片面に粘着剤を塗 布する工程
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明を図によって説明する場合、図示したものは本発明の例に過ぎず、本発明は図示されたものに限定されるものではない。また、図は本発明を分かり易く描くことに重点を置いており、縮尺は必ずしも実際のものを正確に反映したものではない。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着テープの基材にかかる熱可塑性樹脂は、例えば溶融押出成形法やインフレーション法等の成形方法でフィルム状に成形し得るものであればよく、特に制限されない。かかる熱可塑性樹脂の例として、ポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂やポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂;硬質塩化ビニル樹脂等の塩化ビニル樹脂;ポリメチルメタクリレート樹脂等のメタクリル樹脂、などを例示することができ、好ましい熱可塑性樹脂としてポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂を例示し得る。ポリオレフィン樹脂の例としてポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレンとプロピレンとの共重合体樹脂、エチレン及び/又はプロピレンと他の一種または二種以上のα−オレフィンとの共重合体樹脂などを例示することができ、好ましいポリオレフィン樹脂としてポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂を例示し得る。ここで、α−オレフィンとしてブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、4−メチルペンテン−1、デセン−1等を例示し得る。
【0012】
本発明の粘着テープにかかる基材が有する多数の微細な孔の孔径・孔密度(孔数)は、基材に手切れ性を付与する範囲でありさえすればよく、一般に孔径D(図3参照)は2μm〜4mm、好ましくは20μm〜800μm、更に好ましくは20μm〜400μmであり、孔密度は、孔径Dにも関係するが、基材の単位表面積(1cm2 )当たり4個〜400個、好ましくは9個〜72個である。同様に、孔形状や孔配列も基材に手切れ性を付与するものでありさえすればよく、孔形状(孔径Dの部分の形状)は、孔を形成するための針等の治具の形状に依存するが、円形・楕円形・角形・不定形であり、孔配列は無秩序な配列であっても、例えば格子状のような秩序ある配列であってもよい。ここで、本発明において、孔形状が円形の場合の孔径とはその直径を意味するが、孔形状が円形以外の形状の場合の孔径とは、該孔と同面積の円の直径を意味するものとする。
【0013】
本発明の粘着テープの手切れ性の良否は粘着テープの切断の開始点である基材の幅方向の端部の引き裂き性の良否に依存し、端部の引き裂き性の良否は引き裂きに対する抵抗(端裂抵抗)の大小に依存するから、手切れ性を高めるためには孔密度に傾斜を持たせること、すなわち基材端部の孔密度を基材中央部の孔密度より大とするのが好ましい。また、幅方向に且つ真っ直ぐに切断し得る粘着テープを得るためには、孔を粘着テープの幅方向の直線状に配列すればよい。
【0014】
本発明の粘着テープにかかる基材の厚さは、粘着テープの用途等によって適宜に決定すればよく特に制限されないが、一般に7μm〜200μm、好ましくは12μm〜80μmであり、例えば段ボール箱組み立て用の粘着テープの場合は38μm〜60μmである。
本発明の粘着テープにかかる粘着剤は特に制限されず、粘着テープの分野において公知の粘着剤であってもよい。粘着剤としてアクリル系粘着剤、ビニルエーテル系粘着剤、シリコン系粘着剤、ゴム系粘着剤等を例示し得る。粘着剤の形態も特に制限されず、溶液型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤等のどの型のものでもよい。後記の孔径d(図3参照)が十分に小さくない場合、基材のどちら側に粘着剤を塗布した時でも粘着剤の裏抜け(裏抜けとは、粘着剤等の塗布剤が基材の反対側の面にまで達すること)が起こり易くなるので、裏抜けの問題を起こさないためには粘度(20℃)が8000cps〜70000cps、好ましくは20000cps〜50000cpsなる高粘度の粘着剤が好ましい。孔径dが小さい場合は2000cps〜8000cpsなる低粘度の粘着剤でも裏抜けの問題は起こらない。
【0015】
本発明の粘着テープは、基材の一方の面のみに粘着剤を塗布してなる粘着テープだけでなく、基材の他方の面にも粘着剤を塗布してなる両面粘着テープも意味し、また、再剥離型のテープも意味する。再剥離型の粘着テープとする場合、粘着剤は再剥離型のテープの分野で公知の粘着剤の中から適宜選んでもよい。
本発明の粘着テープにかかる粘着剤層の厚さは特に制限されず、粘着テープのサイズ(基材の幅や厚さ)や用途等に応じて適宜決めればよく、一般に10μm〜50μmである。
【0016】
本発明の粘着テープの製造方法は特に制限されないが、好ましい方法として、前記の製造方法を例示し得る。
前記の製造方法の工程(1)にかかる熱可塑性樹脂製フィルムは前記に例示した熱可塑性樹脂から製造されるフィルムであって、熱可塑性樹脂をフィルムに成形する方法は制限されず前記の溶融押出法やインフレーション法等の公知の方法で成形してもよい。熱可塑性樹脂製フィルムは未延伸フィルムでも延伸フィルムでもよいが、引張強度等の物性の良好な粘着テープを得る観点から延伸フィルムが好ましい場合がある。
【0017】
熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物に針ロールで多数の微細な孔を形成させる方法としては、表面がシリコンゴムやウレタン樹脂のような軟質の素材で被覆された平滑なロール(以下、該ロールを「平滑ロール」と言い、公知のロールである)と針ロールとの間で薄物を例えば室温下に押圧する方法を例示し得る。ここで、針ロールとは多数の微細な径の硬い突起状物を表面に有するロールを意味し、該ロールとしては先端が鋭利な多数の硬質の金属製の微細な径の針状物を表面に埋め込んだロールを例示することができ、このロールは公知である。
【0018】
図1は、熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物を針ロール1と平滑ロール2との間で押圧することによって、多数の微細な孔を有する薄物を連続的に製造する態様を示す図である。図の左側から連続的に供給される熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物3を、針ロール1と平滑ロール2との間に例えば室温下に通して両ロール1・2で押圧し、針ロール1の針4が平滑ロール2の軟質の素材に突き刺さる程度にまで針4を薄物3に貫通させることによって、多数の微細な孔5を有する薄物が得られる。
【0019】
図2は、図1の態様で得られる多数の微細な孔5を有する熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物3を、一個の孔に焦点を当てて模式的に示す断面図であり、図2の上側の面すなわち平滑ロール2と接触した履歴を有する面の各孔の周辺部には、バリ6が面から上方向に立ち上がった状態で存在している。
工程(2)にかかる押圧下の熱処理は、例えば加熱された表面が平滑な金属ロールと表面が平滑なゴムロールとの間で押圧する処理であって、この工程において、面から上方向に立ち上がっていた図2に示すバリ6は、図3に示すように実質的に平坦化される。
【0020】
図3はバリが平坦化された薄物を模式的に示す断面図である。図2に示す薄物3の面から上方向に立ち上がっていたバリ6は、押圧下の熱処理よって図3に示すように、薄物3の上側の面とほぼ同一の面にまで平坦化される。すなわち、図3に示した薄物は、孔を有しているにもかかわらず面から上方向に立ち上がったバリを実質的に持たないものである。図3に示す平坦化されたバリ6は孔5を覆うので、図3の上側の孔径dは押圧下の熱処理前の孔径(図2の上側の孔径)より小さい孔径にまで縮小化される。孔径dは一般に孔径Dの約1/10〜約1/4であるが、熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物の種類を適宜選ぶことにより、孔径dを部分的にゼロにすることができ、この場合の孔は非貫通孔となる。ここで、「孔径dが部分的にゼロである」とは、「孔のいずれかの部分(例えば薄物の表面に近い内部)が塞がれている」の意味である。
【0021】
バリが平坦化され且つ孔径dが部分的にゼロである(非貫通孔である)薄物は、孔が非貫通孔であるから低粘度の粘着剤でさえも裏抜けの問題を起こすことなく塗布することができ、且つ、バリが平坦化されているから粘着剤を有効に塗布することができるという観点において、更に、印刷インク(印刷インクの粘度は概して低粘度である)を用いて粘着テープの背面に文字や絵柄等を印刷する場合、孔が非貫通孔であるから裏抜けの問題を起こさず、且つ、バリが平坦化されているから鮮明に印刷できるという観点において、好ましいものである。
【0022】
工程(2)における熱処理の温度は、粘着テープの基材としての特性を阻害せずにバリを平坦化させ得る温度であり、熱可塑性樹脂の軟化点等の熱的特性等に応じて適宜設定すればよい。一般に、熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂のときの熱処理温度は約120℃〜約240℃であり、ポリエチレン樹脂のときの熱処理温度は約80℃〜約180℃である。
【0023】
工程(3)は基材の少なくとも片面に粘着剤を塗布する工程であって、粘着剤としては前記のものを例示し得る。粘着剤を塗布する方法は特に制限されず、例えばロールコーター法など粘着テープの分野で公知の方法を採用してもよい。ここで、粘着剤を塗布する基材の面と粘着剤との親和性を高めるために、すなわち基材に対する粘着剤の投錨性を高めるために、粘着剤を塗布する基材の面を予めコロナ放電処理やプライマー処理しておいてもよく、これらの前処理は粘着テープの分野で良く知られたものである。
【0024】
本発明の粘着テープにかかる基材の最も単純な態様は、バリが平坦化された孔を有する熱可塑性樹脂製フィルムのみからなる単層の薄物であるが、本発明の粘着テープにかかる基材はこの態様のものに限定されない。本発明の粘着テープにかかる基材は、本発明の目的を損なわない限り、複数枚のフィルム等の薄物を積層してなる多層のものであってバリが平坦化された孔を有するものであってもよく、基材用の素材としては樹脂の他に紙・布・金属等を例示し得る。また、基材や粘着剤層は、粘着テープの用途等に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で各種の充填剤や着色剤を含んでいてもよい。
【0025】
多層の基材を用いる場合、得られる粘着テープの手切れ性が阻害されない限り、全ての層が孔を有することは必須ではない。例えば、孔を有しないと良好な手切れ性を示さない層(例えば手切れ性が良好でない樹脂製フィルムからなる層)に孔を形成することは必須であるが、そうでない層(手切れ性の良好な樹脂・紙・布・金属等からなる層)に孔を形成することは必須ではない。また、多層を構成する層同士を接合する接着剤等を選ぶことによって、層間割れ(粘着テープを切断したとき、切断部において層と層とが剥がれる現象)の起こり難い粘着テープを得ることができる。
【0026】
基材を構成するフィルムとして例えば延伸されたポリオレフィン樹脂製フィルムのごとき延伸フィルムを用いる場合、延伸フィルムの延伸度が工程(2)にかかる熱処理によって低下することを抑制するために、延伸フィルムを単独で使用する代わりに、該延伸フィルムより低い温度でバリを平坦化し得る熱可塑性樹脂製フィルムと該延伸フィルムとからなる多層フィルムを用いてもよい。かかる多層フィルムを用いる場合、バリが前者のフィルムの側に生ずるように位置させて多層フィルムに孔を開けた後、バリが加熱された金属ロールに向き合うように位置させて多層フィルムを押圧するのが好ましい。
【0027】
本発明の粘着テープにかかる好ましい多層の基材を例示すると、(a)延伸されたポリプロピレン樹脂製フィルム等の延伸ポリオレフィン樹脂製フィルム同士を接着剤で接合して多層フィルムを得、次いで多層フィルムに針ロールで孔を形成し、最後に孔を有する多層フィルムを押圧下に熱処理して得られる基材;(b)延伸されたポリプロピレン樹脂製フィルム等の延伸ポリオレフィン樹脂製フィルムの複数枚の各々の片面に接着剤を塗布し、次いで接着剤を塗布したフィルムの各々に針ロールで孔を形成し、最後に孔を有するこれらのフィルムを合わせて押圧下に熱処理して得られる基材;(c)延伸されたポリプロピレン樹脂製フィルム等の延伸ポリオレフィン樹脂製フィルムと不織布とを接着剤で接合して多層フィルムを得、次いで多層フィルムに針ロールで孔を形成し、最後に孔を有する多層フィルムを押圧下に熱処理して得られる基材、を挙げることができる。
【0028】
上記(a)〜(c)なる基材を用いた場合、手切れ性が良好であって、ロール状に重ね巻きしたときの巻物の嵩張りが低減された粘着テープが得られるのみならず、層の素材や接着剤の種類等の条件を選ぶことによって、孔径d(図3参照)がゼロ又はそれに近い粘着テープや、層間割れの発生し難い粘着テープが得られる。ここで、孔径dがゼロ又はそれに近い粘着テープが得られたり、層間割れの発生し難い粘着テープが得られたりする理由の詳細については不明であるが、(a)〜(c)なる素材にかかる各種素材と工程(2)とを組み合わせたことが、孔径の縮小化や層間割れ発生の抑制に効いているものと考えられる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。
実施例1
東レ(株)製の品名がYT−22なる厚さ25μmの延伸ポリプロピレン樹脂製フィルム(二軸延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムと、横一軸延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムとの積層フィルム)の長尺物を図1に示す方法で処理し、孔径(図2に示す孔径D)が0.3mmの多数の微細な孔および立ち上がったバリを有するフィルムを得た。孔形状はほぼ円形であって、孔はフィルムの幅方向(粘着テープの幅方向に相当する)の直線上に等間隔で空けられ、該多数の孔は格子状に配列されており、隣接する孔と孔との間隔は2mmであった。得られた多数の微細な孔およびバリを有するフィルムを、それぞれ80℃、120℃及び140℃に加熱された表面が平滑な金属ロールと表面が平滑なゴムロールとの間で連続的に押圧して粘着テープ用の基材を得た。
【0030】
この基材の片面に、ロールコーター方式(この方式は基材を二本のロールの間に通しながら粘着剤を塗布する方式であって、粘着テープの分野で良く知られた粘着剤塗布方式である)により固形分として50g/m2 の塗布量で粘着剤を塗布し、粘着テープを得た。粘着剤としては、天然ゴムとロジンとを主成分としトルエンを溶媒とする粘度16000cps(20℃)のゴム系粘着剤(固形分濃度30%)、及び、綜研化学(株)製の品名が♯1717なるトルエンを溶媒とする粘度4000cps(20℃)のアクリル系粘着剤(固形分濃度45%)をそれぞれ用いた。
【0031】
塗布された粘着剤が孔を通して基材の背面に達している(裏抜けがある)かどうかを調べるために、粘着剤を塗布する時に、東洋紡績(株)製の品名がE2025なる厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂製フィルム(PETフィルム)を基材の背面に接触させた状態でロールの間に通した。
粘着剤の裏抜け有無の判定方法については、粘着剤を塗布したあと直ちに粘着剤を塗布した基材とPETフィルムとからなる一体物をそのままの状態で70℃のオーブンに入れ、3分後にそれを取り出し、PETフィルムを基材から静かに剥離した。剥離する時に粘着剤が糸引き現象を起こしたり剥離音が発生したりする場合や、剥離した後のPETフィルムの上に粘着剤が付着している場合は「粘着剤の裏抜け有り」と判定し、そうでない場合は「粘着剤の裏抜け無し」と判定した。
【0032】
得られた粘着テープの手切れ性は良好で真っ直ぐに切断することができ、図4に示すロール状に重ね巻きした巻物の嵩張りは、後記の比較例1で得られた巻物の嵩張りと比べて低減されたものであった。裏抜けの判定結果を表1に示した。
比較例1
立ち上がったバリを有するフィルムを加熱された金属ロールとゴムロールとの間で押圧しなかった(工程(2)の処理をしなかった)こと以外は実施例1と同様に行い、粘着テープを得た。得られた粘着テープの手切れ性は良好であったものの、粘着テープの厚さは実施例1で得られた粘着テープの厚さの約2倍もあり、図4に示すロール状に重ね巻きした巻物の嵩張りは、実施例1で得られた巻物の嵩張りより大であった。裏抜けの判定結果は表1に示す通り、実施例1で得られた粘着テープに比べて劣っていた。
【0033】
【表1】
Figure 0003939424
【0034】
実施例2
サントックス(株)製の品名がPA−20なる厚さ25μmの二軸延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムなる長尺物の片面に、ノーテープ工業(株)製の品名が#3540なる溶剤型ウレタン系接着剤を、固形分としての厚さが5μmとなるような量でグラビヤロールコーター法により塗布し乾燥させた後、乾燥させたフィルムと実施例1で用いた東レ(株)製の延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムなる長尺物とを重ね合わせて(ドライラミネートして)接合し、多層構造の薄物を得た。
【0035】
この薄物を、サントックス(株)製のフィルムが針ロールに向き合うように位置させて実施例1と同様に図1の方法で処理し、多数の微細な孔および立ち上がったバリを有する薄物を得た。バリを有するこの薄物を、東レ(株)製のフィルムが金属ロールに向き合うように位置させて、140℃に加熱された表面が平滑な金属ロールと表面が平滑なゴムロールとの間で連続的に押圧し、バリが平坦化された基材を得た。この基材の片面にトルエンを塗布したあとロールで圧力をかけても、トルエンは基材の他面に浸透しなかった。このことから、基材の孔は非貫通孔であると認められる。
【0036】
この基材の片面に実施例1と同様に粘着剤を塗布して得られた粘着テープの手切れ性は良好であって真っ直ぐに切断することができ、ロール状に重ね巻きした巻物は嵩張らず、且つ、層間割れの発生しない粘着テープであった。
実施例3
実施例1で用いた東レ(株)製の延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムなる長尺物、および実施例2で用いたサントックス(株)製の二軸延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムなる長尺物のそれぞれの片面に、昭和高分子(株)製の品名がAD−901なるEVA系樹脂製接着剤(エチレンと酢酸ビニルとのランダム共重合体のエマルジョン型接着剤)を、固形分としての厚さが4μmとなるような量でグラビヤロールコーター法により塗布し、乾燥させた。
【0037】
乾燥させたそれぞれのフィルムを、フィルム面が針ロールに向き合うように位置させて実施例1と同様に図1の方法で処理し、多数の微細な孔および立ち上がったバリを有するフィルムを得た。
バリを有するこれらフィルムの接着剤塗布面同士が向き合うように、且つサントックス(株)製のフィルムが金属ロールに向き合うように位置させて、実施例1と同様に140℃に加熱された表面が平滑な金属ロールと表面が平滑なゴムロールとの間で連続的に押圧して両者を接合し、バリが平坦化された多層構造の基材を得た。
【0038】
この基材の片面に水を塗布したあとロールで圧力をかけても、水は基材の他面に浸透しなかった。また、この基材の片面にトルエンを塗布したあとロールで圧力をかけるとトルエンはわずかながら基材の他面に浸透したものの、圧力をかけなければトルエンは基材の他面に全く浸透しなかった。このことから、基材の孔は非貫通孔に近いものであると認められる。
【0039】
この基材の片面に実施例1と同様に粘着剤を塗布して得られた粘着テープは、若干の層間割れは発生したものの手切れ性は良好であって真っ直ぐに切断することができ、ロール状に重ね巻きした巻物は嵩張らない粘着テープであった。また、この基材に粘度が2400cps(20℃)なる低粘度の溶液型粘着剤を塗布したところ、塗布後10分を経過した時点においても、粘着剤の裏抜けは認められなかった。
実施例4
実施例2で用いたサントックス(株)製の延伸ポリプロピレン樹脂製フィルムなる長尺物の片面に、ノーテープ工業(株)製の品名が#3540なる溶剤型ウレタン系接着剤を、固形分としての厚さが3μmとなるような量でグラビヤロールコーター法により塗布し乾燥させた後、乾燥させたこのフィルムと、三木特殊製紙(株)製の品名がミキロン008なる坪量8g/m2 の湿式不織布なる長尺物とを重ね合わせて(ドライラミネートして)接合し、樹脂製フィルムと不織布とからなる多層構造の薄物を得た。
【0040】
この薄物を、フィルムが針ロールに向き合うように位置させて実施例1と同様に図1の方法で処理し、多数の微細な孔およびバリを有する薄物を得た後、バリを有するこの薄物を、フィルムが金属ロールに向き合うように位置させて、実施例1と同様に140℃に加熱された表面が平滑な金属ロールと表面が平滑なゴムロールとの間で連続的に押圧して、バリが平坦化された厚さが85μmの基材を得た。
【0041】
この基材の不織布の面に、昭和高分子(株)製の品名が#3004なる水溶液型アクリル系粘着剤を固形分としての厚さが30μmとなるような量で塗布し(粘着剤の裏抜けなし)、手切れ性が良好であってロール状に重ね巻きした巻物は嵩張らない粘着テープを得た。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物の厚さ方向に形成され、孔が粘着テープの幅方向の直線状に配列されてなる多数の微細な孔を有し、針ロールと軟質の素材で被覆された平滑ロールとの間に薄物を通して針ロールと平滑ロールで押圧し、針ロールの針が平滑ロールの軟質の素材に突き刺さる程度にまで針を薄物に貫通させて孔の形成時に生じたバリは平坦化されてなる薄物からなる基材と粘着剤層とからなる粘着テープとすることにより、手切れ性が良好であって嵩張りの低減された粘着テープが得られる。
【0043】
また、本発明の粘着テープは、工程(1)熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物に針ロールで多数の微細な孔を形成する工程、工程(2)針ロールで形成された多数の微細な孔を有する薄物を押圧下に熱処理する工程、工程(3)押圧下に熱処理された薄物からなる基材の少なくとも片面に粘着剤を塗布する工程、を含む工程によって製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着テープに係る基材を製造するための、多数の微細な孔を有する熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物を連続的に製造する態様を示す図である。
【図2】図1の態様で得られるフィルムを模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の粘着テープに係る基材を模式的に示す断面図である。
【図4】粘着テープをロール状に重ね巻きした巻物の一部を引き出した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1─針ロール
2─平滑ロール
3─薄物
4─針
5─孔
6─バリ

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物の厚さ方向に形成され、孔が粘着テープの幅方向の直線状に配列されてなる多数の微細な孔を有し、針ロールと軟質の素材で被覆された平滑ロールとの間に薄物を通して針ロールと平滑ロールで押圧し、針ロールの針が平滑ロールの軟質の素材に突き刺さる程度にまで針を薄物に貫通させて孔の形成時に生じたバリは平坦化されてなる薄物からなる基材と粘着剤層とからなる粘着テープ。
  2. 熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂である請求項1記載の粘着テープ。
  3. 熱可塑性樹脂製フィルムが延伸ポリオレフィン樹脂製フィルムである請求項1記載の粘着テープ。
  4. 薄物が延伸ポリオレフィン樹脂製フィルムと不織布とからなる薄物である請求項1記載の粘着テープ。
  5. 少なくとも次の工程からなる粘着テープの製造方法。
    工程(1):熱可塑性樹脂製フィルムからなる薄物に針ロールで多数の微細な孔を形成 する工程
    工程(2):針ロールで形成された多数の微細な孔を有する薄物を押圧下に熱処理する 工程
    工程(3):押圧下に熱処理された薄物からなる基材の少なくとも片面に粘着剤を塗布 する工程
  6. 孔が粘着テープの幅方向の直線状に配列されてなる請求項記載の粘着テープの製造方法。
  7. 熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂またはポリエステル樹脂である請求項記載の粘着テープの製造方法。
  8. 熱可塑性樹脂製フィルムが延伸ポリオレフィン樹脂製フィルムである請求項記載の粘着テープの製造方法。
  9. 薄物が延伸ポリオレフィン樹脂製フィルムと不織布とからなる薄物である請求項記載の粘着テープの製造方法。
  10. 押圧下の熱処理が熱ロールによる処理である請求項記載の粘着テープの製造方法。
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