JP3937913B2 - 情報処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、3D(dimensional)−CAD(computer aided design)を用いて作成した3Dモデル(3D形状)を利用した情報処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CAD装置(特に、3D−CAD装置)を用いて、商品や製品を構成する部品等の3次元の形状を有する物品(以下、単に部品という)の設計が行われている。
【0003】
そして、上記設計に基づき、部品製作あるいは部品を作成するための金型の製作が行われている。
【0004】
また、CAD装置により作成された設計情報を利用するにあたり、3Dモデル(3D形状)に、寸法、寸法公差、幾何公差、注記、記号などの属性情報が入力付加されている。
【0005】
3Dモデルに属性情報を入力するためには、3Dモデルの面、稜線、中心線、あるいは頂点等を指示選択することにより行われる。例えば図25に示されるような3Dモデル41(この3Dモデルの正面図、平面図、側面図を図26(a)〜(c)に示す)には、例えば図27に示されるように属性情報が入力される。
【0006】
ここで、属性情報とは、
距離(長さ、幅、厚さ等)、角度、穴径、半径、面取り等の寸法、および、その寸法に付随する寸法公差、
あるいは、面、稜線等に寸法の入力なしで付加される幾何公差および寸法公差、あるいは、部品、ユニット、製品を加工、製作するにあたり伝えるべき、指示すべき情報である注記、
あるいは、表面粗さ等のあらかじめ約束事として決められている記号
などである。
【0007】
3Dモデルに属性情報を付ける方法は、大別すると次の2種類がある。
(1)寸法、寸法公差、幾何公差、注記、記号を付与する場合
寸法、寸法公差を記入するために寸法線および寸法補助線が必要、また、幾何公差、注記、記号を記入するために引き出し線が必要となる。
(2)寸法は付けず、寸法公差、幾何公差、注記、記号を付与する場合
寸法線および寸法補助線は不要であるが、寸法公差、幾何公差、注記、記号を記入するために引き出し線が必要となる。
【0008】
また、上記属性情報の付与に際し、補助的な線、あるいは記号、あるいはテキストの情報が必要な場合は、3Dモデルの形状データからいわゆる二次元的に形状を表した二次元図面を作成し、その二次元図面上で表現されている。上記情報は、例えばJIS B 0001 機械製図 の中の以下のような情報である。
座標寸法記入法の穴等を表す記号、および穴位置等の一覧表
寸法数値の代わりに、文字記号を用いる場合の、別に表示する数値
外形線の延長線の交点に寸法を付与するときの延長線
隣接部分、あるいは工具、ジグなどの形状、位置を参考に表す
平面であることを表す細い実線
テーパ・勾配を図示で明示する
特殊な加工部分の範囲および特殊な加工に関する必要事項
矢視図あるいは部分拡大図等の文字あるいは倍率の表記
また、製作した部品、あるいは製作した金型、その金型により成形された成形品が、設計した通りに出来上がっているか、測定検査する必要があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例の如き、3Dモデルに属性情報を付ける方法においては、以下の問題点がある。
【0010】
上記(1)の場合は、寸法と寸法公差、およびそれらを記入するための寸法線および寸法補助線が煩雑になり、3Dモデルの形状および属性情報が見難くなってしまう。
【0011】
図27のように、比較的簡単な形状で、属性情報の個数が数十個程度であればなんとか見ることもできるが、複雑な形状あるいは大型の形状の場合、必要に応じ数百〜数千の属性情報が3Dモデルに付与されるため、「属性情報同士が重なる」、「属性情報と寸法線、寸法補助線、あるいは引き出し線とが重なる」、「寸法線、寸法補助線、あるいは引き出し線の引き出し位置が分かりづらい」等のために、属性情報読み取りは極めて困難になってしまう(図27の角部の階段形状ですら多少見づらい)。
【0012】
上記のような場合は、属性情報を入力するオペレータ自身が入力情報を見ることが困難であり、入力内容の確認もできず、すなわち属性情報の入力そのものが困難になってしまう。
【0013】
また、関係する属性情報の読み取りも極めて困難になってしまう。また、3Dモデルに対し属性情報が占有する空間が大きくなってしまい、限られた大きさの表示画面上では、3Dモデルの形状と属性情報を同時に見ることができなくなってしまう。
【0014】
さらに、いわゆる断面図等で指示すべき属性情報(例えば図27のザグリ穴の深さ12±0.1)は、3Dモデル41の指示場所が見えず、分かりづらい。
【0015】
上記(2)の場合は、寸法線および寸法補助線は不要であるが、引き出し線を使用するため、上記(1)と同様に、引き出し線が煩雑になり、3Dモデルの形状および属性情報が見難くなってしまう。また、複雑な形状あるいは大型の形状の場合、必要に応じ数百から数千の属性情報が3Dモデルに付与されるため、属性情報読み取りは極めて困難になってしまう。
【0016】
また、金型を製作し、出来上がった金型、およびその金型により成形された成形品を検査するとき等に、寸法等を測定する必要が生じる。そのため、寸法値を読み取るために3Dモデル形状を計測機能による計測操作が強要される。
【0017】
この場合、読み取りたい面、稜線等の箇所に対し、寸法の基準となる箇所を指示選択する必要があり、複数の箇所の寸法を読み取る場合には、多くの操作回数および長い操作時間がかかってしまうものである。また、操作ミスによる誤読の可能性は避けられない。さらには全ての箇所の寸法を読み取る場合には、きわめて膨大な労力を強いるものである。
【0018】
そもそも、3Dモデルおよび属性情報のいわゆる設計情報は、部品、ユニット、製品を加工、製作するための情報であり、入力するオペレータ=設計者から、見るオペレータ=加工、製造、検査等の技術者に、情報が分かりやすく、効率的に、間違うことなく、伝達されるものでなくてはならない。上記従来技術においては、これらがまったく満足されておらず、工業的に有効に利用できる形態ではない。
【0019】
また、上記属性情報の付与に際し、補助的な線、あるいは記号、あるいはテキストの情報が必要な場合に、3Dモデルのデータからいわゆる二次元の図面を作成し、その二次元の図面上で表現するとなると、設計情報の全てを入力あるいは見るためには、3Dモデルと属性情報と二次元図面を用意しなければならず、入力する場合にも見る場合にも極めて効率が悪くなるものである。
【0020】
さらに、上記3Dモデルと属性情報と二次元図面は、設計情報として整合性が求められるものである。すなわち、3Dモデルと二次元図面の形状は同一の必要がある。また、属性情報と二次元図面の情報は誤解、混乱を避けるために重複があってはならない。これらは、形状等を変更した場合にも整合性を保つ必要があり、運用上多大な労力を強いるものである。
【0021】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、CAD装置などで作成したデータに、入力しやすく、また見やすい、すなわち操作性良く属性を入力付加することができる情報処理装置を提供することにある。
【0022】
また、本発明の目的は、付加した属性が見やすく、かつ分かりやすく確実に設計情報が伝達される情報処理装置を提供することにある。
【0023】
また、本発明の目的は、CAD装置などで作成したデータを有効に利用し、二次元の図面を使用することなく、そのデータを活用した部品製作を効率良く行う情報処理装置を提供することにある。
【0024】
さらに、本発明の目的は、CAD装置などで作成したデータを用いて、検査ステップを効率良く行う情報処理装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、3Dモデルに対する属性情報が関連付けられる仮想的な平面に3Dモデルを投影する投影手段であって、前記関連付けは前記仮想的な平面の視線方向に正対するように前記仮想的な平面上に属性情報が付与されている、投影手段と、前記3Dモデルおよび前記仮想的な平面が配置される三次元空間内において、前記3Dモデルと前記仮想的な平面上の前記3Dモデルの投影形状とを結ぶ引出し線を前記視線方向に表示する表示手段とを備え、前記表示手段は、前記3Dモデルの投影形状から前記仮想的な平面上に前記属性情報を引き出して表示し、前記投影形状と前記属性情報とを同一面上に配置することを特徴とする。
【0027】
本発明の以上の構成により、属性情報を所望の仮想平面上に入力配置でき、また該仮想平面上に3Dモデルを投影した投影形状を作成することで、属性情報の数によらず極めて容易に入力が可能となり、また見やすく、かつ分かりやすく確実に情報が伝達できるものである。
【0032】
本発明の以上の構成により、3Dモデルの形状データからいわゆる二次元的に形状を表した二次元図面を作成することなく、3Dモデルと属性情報と仮想平面上の2D図形とテキスト情報で、効率良く設計情報を伝達できるものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0034】
《モールド金型生産の全体の流れ》
図1は、本発明の実施形態のモールド部品金型生産の全体の流れを示す図である。
【0035】
図1において、ステップS101で、製品の設計を行い、個々の部品の設計図面を作成する。部品の設計図面には、部品製作に必要な情報、制約情報などが含まれている。本実施形態においては、部品の設計図面は3D−CADで作成され、3D−CADで作成された図面(3D図面)は、形状、寸法公差、テキスト(注記)などの属性情報からなる。その属性情報は形状(面、稜線、点)と関連付けることができ、寸法公差は成形品の検査指示、金型精度指示などに利用される。
【0036】
ステップS102において、製品の組み立てや成形などの製造性の検討を行い、部品毎の工程図を作成する。部品の工程図には、部品製作に必要な情報に加えて、詳細な検査指示が含まれる。部品の工程図は2D−CADまたは3D−CADで作成される。
【0037】
ここで、詳細な検査指示の例として、
測定項目(寸法あるいは寸法公差)の番号付け
測定項目に対して測定ポイントや測定方法の指示
などがある。
詳細な検査指示情報はCAD上で寸法公差と関連付けることができる。
【0038】
ステップS103において、ステップS102で作成した部品の工程図(工程図面、金型仕様書)を基に金型設計を行い、金型図面を作成する。金型図面には金型製作に必要な情報、制約条件が含まれる。金型図面は、2D−CADまたは3D−CADで作成され、3D−CADで作成された金型図面(3D図面)は、形状、寸法公差、テキスト(注記)などの属性情報からなる。
【0039】
ステップS104において、ステップS103で作成した金型図面を基に金型の製作工程を検討し、金型工程図を作成する。金型加工工程は、NC(numerical control)加工及び汎用加工からなる。NC加工(数値制御による自動加工)を行う工程に対しては、NCプログラムの作成指示を行う。汎用加工(手動による加工)工程には、汎用加工を行うための指示を行う。
【0040】
ステップS105において、金型図面を基に、NCプログラムを作成する。
ステップS106において、工作機械などで金型部品を製作する。
ステップS107において、製作された金型部品を、ステップS103で作成した情報に基づき検査する。
ステップS108において、金型部品を組み立て、成形する。
ステップS109において、成形されたモールド部品をステップS101、ステップS102で作成した情報に基づき検査し、OKであれば終了する。
ステップS110において、ステップS109の検査の結果に基づき成形品の精度不足(精度不良)の個所に対応する金型の箇所を修正する。
【0041】
《製品の設計》
次に、製品の設計を行い、個々の部品の設計図面の作成について説明する。部品の設計図面は、3D−CAD装置により作成される。
【0042】
ここで、図2に示す情報処理装置である3D−CAD装置を用いた部品の設計について説明する。
【0043】
図2は、CAD装置のブロック図である。図2において、図中符号201は内部記憶装置、202は外部記憶装置であり、CADデータやCADプログラムを保管するRAM(random access memory)等の半導体記憶装置、磁気記憶装置等からなる。
【0044】
203はCPU(central processing unit)装置であり、CADプログラムの命令に沿って処理を実行する。
【0045】
204は表示装置であり、CPU装置203の命令に沿って形状などを表示する。
【0046】
205はCADプログラムに対して指示等を与えるマウス、キーボードなどの入力装置である。
【0047】
206はCPU装置203の命令に沿って紙図面などを出力するプリンタなどの出力装置である。
【0048】
207は外部接続装置であり、本CAD装置と外部の装置とを接続し、本装置からのデータを外部装置へ供給したり、外部の装置から本装置を制御したりする。
【0049】
図3は、図2に示したCAD装置の処理動作を示すフローチャートである。 まず、オペレータが入力装置205により、CADプログラムの起動を指示すると、外部記憶装置202に格納されているCADプログラムが内部記憶装置201に読み込まれ、CADプログラムがCPU装置203上で実行される(ステップS301)。
【0050】
オペレータが入力装置205により対話的に指示することにより、内部記憶装置201上に形状モデルを生成し、表示装置204上に画像として表示する(ステップS302)。この形状モデルについては、後述する。なお、オペレータが入力装置205によりファイル名などを指定することにより、既に外部記憶装置202上に作成されている形状モデルをCADプログラム上で取り扱えるように、内部記憶装置201に読み込むこともできる。
【0051】
オペレータが入力装置205により、形状モデルを作成した3次元空間内に、属性配置平面を作成する(ステップS303)。
【0052】
この属性配置平面の位置が判別しやすいように、フレーム(2重枠、枠内塗りつぶし)などの画像情報として表示装置に表示する。また、属性配置平面の設定情報は形状モデルに関連付けられて内部記憶装置201に保管される。
また、必要に応じて作成した属性配置平面に名称をつけることが望ましい。
【0053】
次に、オペレータが入力装置205により、属性配置平面上に形状モデルの投影形状を作成する。その投影形状は、属性配置平面の方向により、いわゆる平面図、正面図等の六面図に相当する投影形状、および断面が投影された断面の投影形状のいずれかである(ステップS304)。投影形状はモデル全体を投影させたものが好ましいが、面あるいは稜線を選択的に、あるいは部分的に投影させてもよい。
【0054】
ここで、投影形状と属性配置平面とは関連付けられて、その関連情報は内部記憶装置201に保管される。
【0055】
次に、オペレータが入力装置205により、形状モデルに対して、寸法、寸法公差、テキスト(注記)などを属性情報として付加する(ステップS305)。付加された属性情報は、ラベルなどの画像情報として、形状モデルと投影された形状と共に表示装置に表示することができる。付加された属性情報は、形状モデルに関連付けられて内部記憶装置201に保管される。
【0056】
次に、オペレータが入力装置205により、属性情報を属性配置平面に対して関連付ける(ステップS306)。属性情報と属性配置平面の関連情報は、内部記憶装置201に保管される。
【0057】
オペレータがあらかじめ属性配置平面を指定して、属性配置平面属性配置平面との関連付けを行いながら属性付けを行うようにしても良い。また、オペレータが入力装置205により、属性情報の属性配置平面への関連付けを設定・解除することができる。
【0058】
次に、オペレータは入力装置205により、属性配置平面を指定することによって属性配置平面、その属性配置平面に関連付けられた投影形状、およびその属性配置平面に関連付けられた寸法公差、テキスト(注記)などの属性情報の表示・非表示、あるいは色付けなどの表示制御を行う(ステップS307)。
【0059】
また、オペレータが入力装置205により属性配置平面を作成する際に、属性配置平面の視点の位置、視線方向、倍率を設定する(ステップS307)。この属性配置平面の表示情報を設定し、この属性配置平面を指定することで、設定された視点の位置、視線方向、倍率で形状モデルを表示することが出来る。またこの属性配置平面と属性情報は関連付けられているので、指定された属性配置平面に関係付けられている属性情報を選択的に表示することができる。属性配置平面の表示情報は内部記憶装置に保管される。
【0060】
また、属性情報に識別子を付加することができ、この識別子を付加して外部記憶装置202に保管することができる。この識別子を利用して他のデータと属性データを関連付ける。
【0061】
また、外部記憶装置202上の属性情報に情報を追加したものを内部記憶装置201に読み込んで、属性情報を更新することができる。
【0062】
そして、オペレータが入力装置205により、形状モデルに属性配置平面の位置情報、属性配置平面上の投影形状、属性配置平面の表示情報、および属性情報を付加したCAD属性モデルを外部記憶装置202に保管する(ステップS308)。
【0063】
ここで、形状モデルとCAD属性モデルについて説明する。
図4(a)、(b)は形状モデルの例を示す図であり、図5は形状モデルを構成する各部の関連を示す概念図である。
【0064】
図4(a)、(b)は、形状モデルの代表例として、SolidModelである。図に示すように、SolidModelは部品などの形状をCAD上の3次元空間上に定義する表現方法で、位相情報(Topology)と幾何情報(Geometory)からなる。SolidModelの位相情報は、図5に示すように、内部記憶装置201上で階層的に記憶され、
1つ以上のShellと、
1つShellに対して1つ以上のFaceと、
1つのFaceに対して1つ以上のLoopと、
1つのLoopに対して1つ以上のEdgeと、
1つのEdgeに対して2個のVertexと
からなる。
【0065】
また、Faceに対して平面や円筒面といったFace形状を表現するSurface情報が内部記憶装置201上で関連付けられて保管される。Edgeに対して直線や円弧といったEdgeの形状を表現するCurve情報が内部記憶装置201上で関連付けられて保管される。Vertlexに対して三次元空間上の座標値を内部記憶装置201上で関連付けられて保管される。
【0066】
Shell、Face、Loop、Vertexの各位相要素には、夫々属性情報が内部記憶装置201上で関連付けられて保管されている。
【0067】
ここで、Face情報を例に、内部記憶装置201上での保管方法の一例を説明する。
【0068】
図6は、内部記憶装置201上でのFace情報の保管方法を示す概念図である。
図に示すように、Face情報はFaceID、Faceを構成するLoopListへのポインタ、Face形状を表すSurfaceデータへのポインタ及び属性情報へのポインタからなる。
【0069】
LoopListは、Faceを構成する全てのLoopのIDをリスト形式で保管したものである。Surface情報は、SurfaceTypeとSurfaceTypeに応じたSurfaceParameterから構成される。
【0070】
属性情報は、属性タイプ及び属性タイプに応じた属性値から構成される。属性値には、Faceへのポインタや属性が所属するグループへのポインタなども含まれる。
【0071】
《3Dモデルの投影形状と属性情報の入力と表示》
次に、3Dモデルへの属性情報の入力、属性配置平面の作成方法、および属性情報が付加された3Dモデルと属性配置平面上の投影形状の表示について、詳細に説明する。
【0072】
図7〜図11は、3Dモデル、属性配置平面、投影形状、および属性情報を示す図であり、図12〜図14は3Dモデルに属性配置平面、投影形状、および属性情報を付加するときの処理動作を示すフローチャートである。
【0073】
図12のステップS121で、図7に示す3Dモデル1を作成し、作成した3Dモデル1に属性情報を付与するために、ステップS122で必要な属性配置平面を設定する。
【0074】
ここで、属性配置平面は、3Dモデル1、および3Dモデル1に付加された属性情報の表示に関わる要件を規定するものである。
【0075】
本実施形態では、属性配置平面を(仮想的な)三次元空間上の一点(以下、視点という)の位置、作成する平面の法線方向(視線方向)で定義し、更に3Dモデル1、および3Dモデル1に付加された属性情報の表示倍率(以下単に倍率)の情報も有するものとする。
【0076】
すなわち、視点の位置とは、視線方向において属性配置平面が設定される位置であり、例えば属性配置平面211、212、213は3Dモデル1の最外形から60mmの位置に設定される(図7)。
【0077】
ただし、ここで、いわゆる三角法による投影図(正面図、平面図、左右の側面図、下面図、背面図)の視線方向に相当する属性配置平面については、視点の位置が3Dモデル1の外部に位置していれば、いずれの位置でも表示内容には関係しない。
【0078】
また、その視点の位置は、3Dモデル1、および3Dモデル1に付加された属性情報を表示する際に表示装置204の表示中心と一致する点である。
次に、法線方向はその視点の位置から、3Dモデル1、および3Dモデル1に付加された属性情報を表示する際の視線方向と一致させる。
【0079】
また、倍率とは(仮想的な)三次元空間上の3Dモデル形状を表示装置204上で表示する際の拡大する倍率とする。
【0080】
属性配置平面のパラメータである、視点の位置、視線方向、倍率は随時変更可能とする。
【0081】
例えば、図7においては、いわゆる正面図、平面図、右側面図の方向に相当する属性配置平面211、212、213が設定される。視線方向は3Dモデルの外から内部へ向かう向きが定められる。図7においては、属性配置平面211は3Dモデル1の正面201aと平行であり、属性配置平面212は3Dモデル1の上面201bと平行であり、属性配置平面213は3Dモデル1の側面201cと平行の関係となる。視点の位置と倍率は、3Dモデル1の形状と付与する属性情報の概ね全てが表示装置204の表示画面に表示できるように定められる。
【0082】
各属性配置平面の位置を明示するために、属性配置平面を枠取りした四角で表現してある。この属性配置平面の位置を明示する手段として本実施例では枠を用いて表現したがこれに限られるものではなく、形状としては、四角以外の多角形、あるいは円形であっても良い。
【0083】
次に、投影形状を設定する(ステップS123)。投影形状は、上記各属性配置平面211,212,213に対し、3Dモデル1の外形形状が投影される形状である。例えば図7に示すように正面図の視線方向に相当する属性配置平面211上に投影形状2、平面図の視線方向に相当する属性配置平面212上に投影形状3、右側面図の視線方向に相当する属性配置平面213上に投影形状4、および図8に示すように断面図の視線方向に相当する属性配置平面214上に投影形状5が設定される。投影形状は、各々の属性配置平面を選択することにより、外形形状を一括して投影する、あるいは単一の面を選択してその面の形状を投影する、あるいは複数の面を選択してその面の形状を投影する、のいずれの方法でもよいものである。
【0084】
上記の属性配置平面と投影形状は、3Dモデル1と同じ三次元空間内に配置されているため、3Dモデル1を三次元的に回転、ズームイン/アウト等すれば、3Dモデル1と共に回転、ズームイン/アウト等できるものである。必要に応じ、随時属性配置平面および投影形状が追加設定あるいは削除されることは言うまでもない。
【0085】
次に、ステップS124で設定された各属性配置平面に関連付けて、各属性配置平面の視線方向に正対するように、属性情報を入力する。図9は正面図の視線方向に相当する属性配置平面211上に属性情報を付与した状態を示す図である。図10(a)、(b)、(c)は各々の属性配置平面の視線方向から見た3Dモデル1、投影形状2,3,4および属性情報である。ここで、属性情報は投影形状と同様に属性配置平面上に配置されるものである。属性情報の配置についての詳細は後述する。なお、図10においては、投影形状2、3、4は3Dモデル1の形状に重なって表示されている。
【0086】
属性配置平面に関連付けられた属性情報の大きさ(文字やシンボルの高さ)を、属性配置平面の倍率に応じて変更する。属性情報の大きさ(mm)とは、3Dモデル1が存在する仮想的3次元空間における大きさと定義する(表示装置204において表示された際の大きさではない)。属性情報が別の属性配置平面に関連付けられた場合、変更先の属性配置平面の倍率に応じて属性情報の大きさを変更する。
【0087】
また、各属性配置平面と属性情報の関連付けは、属性情報の入力後でもよい。たとえば図13に示すフローチャートのように、3Dモデル1を作成し(ステップS131)、ステップS132にて属性を入力、ステップS133、S134で属性配置平面と投影形状を作成後、ステップS135にて所望の属性配置平面に属性情報が関連付けられるものである。また、必要に応じ、属性配置平面に対し関連付けられる属性情報の追加、削除等の修正がなされるものである。
また、投影形状の作成は、属性情報の入力後でもよい。
【0088】
属性情報の入力は、3Dモデル1および所望の投影形状を二次元的に表示させて入力させてもよく、また必要に応じ、三次元的に表示させながら入力してもよい。その入力はいわゆる2D−CADで二次元図面を作成する工数と何ら変わることなく実現できるものである。さらには、必要に応じ三次元的に3Dモデル1を見ながら入力することができるので、より効率的かつミスなく実現できるものである。
【0089】
次に、属性配置平面上での2D図形およびテキスト情報を作成編集する場合の説明を行う。その2D図形およびテキスト情報は、例えば以下の情報を表記する場合に用いられるものである。
座標寸法記入法において、穴等を表す記号、および穴位置等の一覧表を作成編集する。
【0090】
また、寸法数値の代わりに、文字記号を用いる場合において、別に表示するテキスト、数値を作成編集する。
また、外形線の延長線の交点に寸法を付与するとき、交点を明らかにするために外形線の延長線を作成編集する。
また、隣接部分、あるいは工具、ジグなどの形状、位置を参考に表す線を作成編集する。
また、平面であることを表す細い実線を作成編集する。
また、テーパ・勾配を図示で明示するために、斜面から引出線を引き出して図と寸法を作成編集する。
また、特殊な加工部分の範囲を指示する線、および特殊な加工に関する必要事項に関するテキストを作成編集する。
また、矢視図あるいは部分拡大図等の文字あるいは倍率に関するテキストを作成編集する。
また、中心線あるいはかくれ線等を投影形状に付加する。
【0091】
上記各場合において、必要に応じ、いわゆる実線、破線、一点鎖線、二点鎖線の太線あるいは細線が用いられるものである。また、必要に応じ上記各種線の色が設定できるものである。
【0092】
また、上記各種の線は、属性配置平面上の任意の2点を指示する、1点と方向を指示する、あるいは中心と半径を指示する等のよく知られた各種の方法で作成される。また、線の作成に際し、必要に応じ3Dモデル1あるいは投影形状が利用されるのは言うまでもない。
【0093】
上記各種情報が所望の属性配置平面と関連付けられ、属性配置平面上に作成される。これにより、より分かりやすく適切な設計情報が表現可能となるものである。
【0094】
次に、3Dモデル1の属性情報を見る場合の説明を行う。図14のステップS141において所望の属性配置平面を選択することで、ステップS142において選択された属性配置平面の視点の位置、視線方向、および倍率に基づき3Dモデル1の形状とその属性配置平面に関連付けて付与されている投影形状と属性情報が表示されるものである。例えば属性配置平面211、属性配置平面212、あるいは属性配置平面213が選択されると、それぞれ図10(a)、(b)、あるいは(c)が表示される。このとき、属性情報は各属性配置平面の視線方向に正対して配置されているため、表示画面上では二次元的に極めて容易に分かりやすく見ることができる。
【0095】
さらには、3Dモデル1を回転させて三次元的に見る場合においても、投影形状と属性情報とが同一面上に配置されているために、極めて容易に分かりやすく見ることができる。例えば図9と図11とにおいて、投影形状2の有無を比較すれば明らかなように、投影形状2がある場合には属性情報の指示位置がより見やすくなるものである。
【0096】
次に、属性配置平面を容易に選択可能とするための例を紹介する。まず、選択可能な3Dモデルの属性配置平面の枠を表示させ、オペレタータが、マウスなどのポインティングデバイス等の入力装置を使用して、属性配置平面を選択する方法が考えられる(図7)。
【0097】
次に、選択可能な属性配置平面の名称をリスト形式で表示して、その中から選択する方法も考えられる(不図示)。
【0098】
さらには、属性配置平面の視線方向から見た状態(図10(a)、(b)、あるいは(c))の画像をサムネイル画像としてアイコン表示して、選択する方法も考えられる。
【0099】
《属性情報の他の入力方法》
図11〜図14を用いて説明した上述の属性情報の入力においては、各属性配置平面に属性情報を関連付けたが、関連付ける手段は上記に限定されるものではなく、例えば属性情報をグループ化し、そのグループと属性配置平面を関連付けてもよい。
【0100】
図15、図16に示すフローチャートに基づき、説明する。
あらかじめ入力された属性情報を選択的に、あるいは検索結果に基づきグループ化し、そのグループと任意の属性配置平面関連付けすることで上記と同様の結果および効果が得られる。また、属性情報のグループへの追加、削除等の修正がなされることにより、属性配置平面に関連付けられる属性情報を操作することができる。
【0101】
即ち、3Dモデルを生成し(ステップS151)、属性情報を入力し(ステップS152)、3Dモデルに対し属性配置平面の視点の位置、視線方向、および倍率を設定する(ステップS153)。そして、ステップS152で入力され属性情報をグループ化し、設定した属性配置平面とグループ化した属性情報とを関連付けて設定するものである(ステップS154)。
【0102】
また、表示を行うときは、図16に示すように、属性配置平面選択し(ステップS161)、選択された属性配置平面に関連付けられている属性情報を属性配置平面の視点の位置、視線方向、および倍率の情報に従って表示装置204で表示する(ステップS162)ものである。
【0103】
《断面の属性配置平面と投影形状の設定》
断面の投影形状5について、図17に基づきさらに説明する。3Dモデル1内の所望の位置に切断面を設定し(例えば、穴の中心を通り正面図に平行)、その切断面の表裏いずれかの法線方向を視線方向として属性配置平面214を設定する。例えば、視線方向に対し切断面の手前側を非表示とすることで、3Dモデル1の断面形状を表示することができる。断面および切断面の向こう側の形状の投影形状5は上記属性配置平面214上に配置される。その属性配置平面214に関連付けて属性情報を入力、表示することで、二次元的にも三次元的にも、断面形状および投影形状を見ながら、属性情報の指示箇所が容易にかつ即座に分かるものである。その属性情報は例えば、断面で表示しないと見えない面の寸法、注記、あるいは断面で表示しないと寸法引き出し線が見えない寸法等である。
【0104】
《複数の投影図の設定》
また、3Dモデル1の形状が同一に見える、すなわち視線方向が同一の属性配置平面を複数設定し、各々の属性配置平面に同一の投影形状を配置する構成としてもよい。断面の属性配置平面についても同様に、同一の切断面で、同一の視線方向である複数の属性配置平面を設定してもよい。
【0105】
図18に同一の視線方向の複数の属性配置平面215、216、および各々の属性配置平面215、216に投影された同一の複数の投影形状6、7を示す。図18においては、属性配置平面215と属性配置平面216とは3Dモデル1の平面図に相当する属性配置平面215、216である。各々の属性配置平面215、216に属性情報を、例えばグループ化し関連付けることで、より見やすい属性情報を実現できる。例えば、属性配置平面215には3Dモデル1の概略の外形寸法に関わる属性情報を関連付け、属性配置平面216には3Dモデル1の細かい(詳細の)形状を関連付けることができる(図19)。この場合、属性配置平面215、216の倍率を異なる設定とすることができるものである。属性配置平面215に関連付けられるビューの倍率を1、属性配置平面216に関連付けられるビューの倍率を2とすることで、細かい形状と関連付けられた属性情報も容易に分かりやすく見ることができる。
【0106】
また、複数の属性配置平面の設定においては、穴位置および穴形状に関わる属性情報、あるいは印刷、塗装等の二次加工に関連する属性情報等、属性情報の種類ごとに関連付ける属性配置平面を設定するという取り扱いもできるものである。
【0107】
《属性情報の配置》
3Dモデルとその3Dモデルに付加する属性情報を2次元な図面として極めてわかりやすく表示画面上で表現するため、オペレータは表現したい3Dモデルの部位の複数の属性情報を適宜選択もしくはグループ化して属性配置平面に関連付ける。2次元的な図面の表現方法であれば、属性情報の位置は関連する投影図の投影方向、すなわちビューの視線方向の領域に正対配置すればよいが、3Dモデルに属性情報を付加し図面とするいわゆる「3D図面」においては、3Dモデルのメリットを十分生かすため工夫が必要となる。
【0108】
3Dモデルのメリットの一つは、表示画面上で実物に近い形で立体的に表現できるため、3Dモデルを作成するオペレータあるいはその3Dモデルを用いる次工程のオペレータ(工程設計者、金型設計・製作者、測定者等)にとって、2次元図を扱う際に必要となる2次元から3次元への変換作業(これは主にオペレータの頭の中で行われていた)が省ける点である。この変換作業はオペレータの力量によるところが多く、いきおいこの変換作業において誤変換による誤造や変換時間のロスが発生することがある。
【0109】
3D図面において、3Dモデルのメリットである立体的に表現できる点を損なわないために、立体表示した際の属性情報の表示(属性情報の配置)に工夫をする必要がある。
【0110】
その工夫する点について、図20(a)〜(d)を用いて説明を行う。
第一の工夫は、属性情報を配置する面についてである。
図20(a)は説明に使用する3Dモデル21の斜視図、図20(b)は3Dモデル2の平面図、図20(c)は3Dモデル21に工夫しないで属性情報を付加した状態を説明する斜視図、図20(d)は属性情報の配置を工夫して行った斜視図である。
【0111】
まず、3Dモデル21に対して、平面図を作成するため属性配置平面(不図示)、投影形状22、および属性情報の入力を行う。この属性配置平面の視線方向から表示した状態が図20(b)である。
【0112】
その属性情報の入力に関して、図20(c)の様に複数の属性情報の配置する面を互い違いにすると、属性情報が重なりあい属性情報の内容が判別し難くなる。図20(c)のように属性情報が少なくても見にくいので、より複雑な形状であれば、もはや属性情報は有益な情報ではなくなり、斜視状態では図面として成り立たなくなることは容易に想像できる。
【0113】
ところが、図20(d)の様に属性情報を投影形状22と同一平面内に配置することで属性情報どうしが重なり合うことはなく、2次元的な図面の表現(図20(b))と同等に属性情報の判別は容易にできる。
【0114】
こうすることで、3Dモデル21に属性情報を付加する図面形態(3D図面)において2次元的な図面の表現だけでなく、3Dモデル21のメリットである立体的に3Dモデル21を表現しながら、属性情報の判別が容易にできるので、立体図面(3D図面)として利用することが可能となる。
【0115】
上記は同一視線方向の複数の属性配置平面に属性情報を関連付ける場合においても同様である。
【0116】
また、同一視線方向に複数の属性配置平面を作成する際には、離して配置するのが好ましい(図18)。この複数の属性配置平面、各々の属性配置平面に投影された投影形状、および各々の属性配置平面に関連付けられている属性情報を同時に表示する際、属性配置平面を同一位置に作成すると各属性情報の配置面が同一面になるので、視線方向はもとより視線方向をずらして斜めから見ても属性情報同士が重なり見にくくなる。そもそも同一方向からみて属性情報が多いために複数の属性配置平面に分けており、同時に属性情報を表示する際には属性情報が重なってしまうことは避けられない。
【0117】
視線方向からの見にくいのは救えないとしても、斜視状態で属性情報を判別し易くするために手段として、同一視線方向の投影形状は離して配置するのが有効である。
【0118】
第二の工夫は、属性情報の引き出し方である。
属性情報を、3Dモデルから三次元空間内の投影形状が配置された属性配置平面に引き出すためには、引き出し線あるいは寸法補助線に相当する線を、例えば一度折り曲げてL字状に引き出す必要がある。この引き出し方としては、図21に示すように、3Dモデル31側で折り曲げる方法(まず3Dモデル31から属性情報を引き出し、寸法線等の位置で投影形状32が作成されている属性配置平面(不図示)に引き出す。線11)と、属性配置平面の面で折り曲げる方法(3Dモデル31と属性配置平面上の投影形状32をまず線で結び、属性配置平面において属性情報を引き出す。線12)とが考えられる。本発明においては、属性情報を投影形状をより有効に活用するために、上記属性配置平面の面上で折り曲げる方法が好ましい。その方法により、属性情報が投影形状のどの部位に関係しているのかが極めて明確となり、「3D図面」において、3Dモデルのメリットを十分に生かすことができるものである。
【0119】
《倍率》
次に、属性配置平面の倍率について説明する。倍率とは(仮想的な)三次元空間上の3Dモデル形状、投影形状、および属性情報を表示装置204上で表示する際の拡大縮小する倍率である。その倍率を所望の倍率とすることで、複雑な形状あるいは詳細な形状をより見やすくできる。また、サイズの大きな形状を縮小して形状全体を見ることで、形状がより理解しやすくなるものである。
【0120】
図22(a)、(b)、(c)は、3Dモデル51の一部を拡大して表示した状態を示す図である。例えば、図22(a)のように、3Dモデル51に対し、視線方向を平面図に対応する属性配置平面の視線方向に向け、視線中心を角部近傍とし、倍率を例えば5倍とするビューを設定することで、階段状の形状および属性情報が極めて分かりやすく表示できる。(図22(b))
本実施形態においては、3D−CAD装置を構成するハードウェア、あるいは3D形状モデルの構成方法によらず3D−CAD全般に対し有効である。
【0121】
さらに、属性配置平面(不図示)に関連付けられた属性情報の大きさ(文字やシンボルの高さ)は、属性配置平面に関連付けられる倍率に応じて変更するものとする。(図22(b))
属性情報の大きさ(単位は例えばmmとする)とは、3Dモデル51が存在する仮想的3次元空間における大きさと定義する(表示装置204において表示された際の大きさではない)。
【0122】
例えば、属性配置平面において倍率1の時の属性情報の大きさを3mmとする。その属性配置平面を倍率5で同じように文字高さを3mmとして表示した例を図22(c)で示す。属性配置平面に関連付けられた属性情報は5倍の表示倍率で表示されるのでその大きさは15mmとなる。見るために、表示される大きさが大きいのはよいことであるが、その15mmは必要以上に大きく、一度に見たい情報が多数ある場合には好適とは言えない。
【0123】
図22(b)、(c)において四角線は表示装置204での表示可能範囲を示す。
属性情報が重ならないように配置すると、3Dモデルおよび投影形状と、属性情報の位置が離れてしまうので形状とそれに関係する属性情報の関わりがわかりにくく、誤読する可能性も発生する。また表示したい属性情報が多いと全ての属性情報を表示装置204で表示しきれなくなり、表示可能範囲外の属性情報を見るために表示範囲を変更しなくてはならない煩わしさを伴う。
【0124】
また、縮小して表示したい場合(倍率は1未満)に文字の大きさを変更しないと、縮小図表示状態で属性情報の表示装置204上の表示大きさが小さくなり、属性情報の内容が判別できなくなる。
【0125】
そこで、属性情報が表示される時のことを考慮して、属性情報の情報の大きさを倍率によって変更するのが望ましい。
【0126】
そのため、倍率と属性情報の大きさをおおよそ反比例の関係にすると良い。例えば属性配置平面の倍率が1の時、属性情報の大きさを3mmと設定する場合、上記属性配置平面32のビューの倍率を5とすれば、関連付けられた属性情報の大きさを0.6mmとする。
【0127】
また、任意の属性配置平面に関連付けられている属性情報が他の属性配置平面に関連付けられた場合、変更先の属性配置平面の倍率に応じて属性情報の大きさを変更する。
【0128】
《投影図の複数選択》
上述の実施例において、属性配置平面に関連付けられた属性情報を表示する場合、選択対象の属性配置平面の数はただ一つとしていたが、本発明の目的を鑑みると、複数の属性配置平面を選択してもなんら問題ない。
【0129】
ただし、属性配置平面の単一選択を行う場合は、視線方向、倍率、視線中心が唯一つなので、表示装置上での表示方法は一つになるが、複数選択した場合は表示方法が複数になるので工夫をしなければならない。たとえば、複数選択を行った場合、選択された属性配置平面に関連付けられた属性情報をすべて表示し、視線方向、倍率、視線中心についてはどの属性配置平面の設定を採用するか選択できるようにすることが考えられる。
【0130】
また、属性情報の表示は関連する属性配置平面毎に色を変えるなどして、グループがわかりやすく判別できるように工夫を行う。
【0131】
《属性情報の表示方法》
上記従来例では、3Dモデル対して入力された属性情報を選択的に表示する順序として、まず最初に属性配置平面の選択を行い、次にその属性配置平面に関連付けられた属性情報を適宜表示する、この順番で説明を行ったが、この方法に限定されるものではなく、属性情報を選択し、その次に、その属性情報が関連付けられている属性配置平面の視線方向、倍率、視線中心で、3Dモデル、投影形状およびその属性情報を表示する手法も有効である。
【0132】
図23は、この一連の処理動作を示すフローチャートである。
図9の様に3Dモデル1と属性情報が表示された状態(他の属性配置平面に関連付けられている属性情報が同時に表示されていてもよいことは言うまでもない)で、属性情報(例えば35±0.3)を選択する(ステップS311)。
【0133】
この選択により、上記属性情報が関連付けられている属性配置平面の視線方向、倍率、視線中心に基づいて、3Dモデル1、投影形状、および属性情報を表示する(ステップS312)。この場合図10(b)で示す如く正面図が表示される。
これによって、選択された属性情報と3Dモデル1との関係が、2次元的に表示されるので、より認識しやすくなる。
【0134】
また、3Dモデルの幾何情報(稜線、面、頂点)を選択し、その幾何情報に関連付けられている属性情報の表示、さらにはその属性情報が関連付けられている属性配置平面の視線方向、倍率、視線中心で、3Dモデル、投影形状およびその属性情報を表示する手法も有効である。
【0135】
図24(属性情報選択から表示)は、この一連の処理動作を示すフローチャートである。
3Dモデルの幾何情報を選択する(ステップS321)。
選択した幾何情報に関連付けられている、属性情報を表示する(ステップS322)。
関連付けられている、属性情報が複数存在するならば、それらをすべて表示しても良い。また、属性情報が関連付けられている属性配置平面に属する属性情報すべてを表示してもよい。
【0136】
次に、表示した属性情報に関連する属性配置平面の、視線方向、倍率、視線中心に基づいて3Dモデル、投影形状および属性情報を表示する。
このように、3Dモデルの幾何情報から、関連する属性情報の検索および、表示が出来るのでとても使いやすい。
【0137】
《表示》
ここで、上述のように作成した属性情報が付加された3Dモデルの表示について述べる。
【0138】
図2に示した情報処理装置で作成した属性情報が付加された3Dモデルは、作成した装置自身、或いは、外部接続装置を介して作成した3Dモデルのデータを転送することにより、他の同様な情報処理装置を用いて、図1に示した各工程で表示し、利用することができる。
【0139】
まず、3Dモデルを作成した、製品/ユニット・部品の設計技術者あるいはデザイン設計者であるオペレータ自身が、自ら作成した3Dモデルを、図10(a)、(b)、(c)に示すように表示を行うことで、あたかも二次元の図面を作成するごとく3Dモデルに新たな属性情報を付加することができるものである。また、例えば、形状が複雑な場合に、必要に応じて3Dモデルを3次元表示と二次元的表示とを交互に、或いは、同一画面に表示することにより、効率良くかつ正確に所望の属性情報を入力していくことができる。
【0140】
また、作成された3Dモデルをチェック/承認する立場にあるオペレータが、作成した3Dモデルを図10(a)、(b)、(c)に示す表示を、同一画面或いは切替えて表示することにより、チェックを行い、チェック済み、OK、NG、保留、要検討などを意味するマーク、記号、或いは色つけなどの属性情報が付加される。必要に応じて、複数の製品/ユニット/部品を比較、参照しながらチェックが行われるのは言うまでもない。
【0141】
また、作成された3Dモデルの作成者以外の設計技術者あるいはデザイン設計者が、作成された3Dモデルを参照して、他の製品/ユニット/部品を設計する場合に利用することができる。この3Dモデルを参照することにより、容易に作成者の意図、あるいは設計手法を理解できるものである。
【0142】
また、3Dモデルを製作、製造するに当たり、そのために必要な情報を3Dモデルあるいは属性情報に付与するオペレータが利用することができる。この場合、オペレータは製品/ユニット/部品の製作工程を設定する技術者である。オペレータは、例えば加工工程の種類、使用する工具等の指示、あるいは3Dモデルへ加工上必要な稜線部、角部、隅部等へのコーナR、面取りを付加する。あるいは寸法、寸法公差等に対する測定方法の指示、測定点の3Dモデルへの付加、測定上注意すべき情報等を入力する。これらは、図10(a)、(b)、(c)のように見やすく配置作成された表示を見ながら、また必要に応じ三次元的に形状を確認しながら、効率良く確実に行われる。
【0143】
また、3Dモデルを製作、製造するに当たり、所望の準備をするために必要な情報を3Dモデルあるいは属性情報から得るオペレータが利用することができる。この場合、オペレータは製作、製造に必要な金型、治工具、各種装置等を設計する設計技術者である。オペレータは3Dモデルを三次元状態で見ながら形状を理解、把握しつつ、必要な属性情報を図10(a)、(b)、(c)のように見やすく配置作成された表示でチェック、抽出していく。それらの属性情報を元に、オペレータは金型、治工具、各種装置等を設計する。例えば、オペレータが金型の設計技術者である場合は、オペレータは3Dモデルおよび属性情報から、金型の構成、構造等を検討しつつ設計する。また、必要に応じ、金型製作上必要な稜線部、角部、隅部等へのコーナR、面取りを付加する。また、金型が樹脂の射出成形用金型の場合には、オペレータは、例えば3Dモデルに成形上必要な抜き勾配等を付加する。
【0144】
また、製品/ユニット/部品を製作、製造するオペレータが利用することができる。この場合、オペレータは製品/ユニット/部品の加工技術者、組立て技術者である。オペレータは3Dモデルを三次元状態で見ながら加工すべき形状、あるいは組み立てるべき形状を容易に理解、把握しつつ、図10(a)、(b)、(c)のように見やすく配置作成された表示を見て加工、組立てを行う。そして必要に応じ、オペレータは加工部、組立て部の形状等をチェックする。また、加工済み、加工が困難、あるいは加工結果等を属性情報として3Dモデルあるいはすでに付加されている属性情報に付加し、その情報を設計技術者等にフィードバックしてもよい。
【0145】
また、製作、製造された製品/ユニット/部品を検査、測定、評価するオペレータが利用することができる。この場合、オペレータは製品/ユニット/部品の検査、測定、評価する技術者である。オペレータは、上記の寸法、寸法公差等に対する測定方法、測定点、測定上注意すべき情報を、図10(a)、(b)、(c)のように見やすく配置作成された表示を見ながら、また必要に応じ三次元的に形状を確認しながら、効率良く確実に得て、検査、測定、評価を実行する。そして、オペレータは必要に応じ、検査、測定、評価を属性情報として、3Dモデルに付与することができる。例えば、寸法に対応する測定結果を付与する。また、寸法公差外、キズ等の不具合箇所の属性情報あるいは3Dモデルにマークあるいは記号等を付与する。また、上記チェック結果と同様に、検査、測定、評価済みのマーク、記号、あるいは色付け等がなされてもよい。
【0146】
また、製品/ユニット/部品の製作、製造に関係する各種の部門、役割のオペレータが利用することができる。この場合、オペレータは例えば、製作、製造コストを分析する担当者、あるいは製品/ユニット/部品自体、関連する各種部品等を発注する担当者、製品/ユニット/部品のマニュアル、梱包材等を作成する担当者、等である。この場合もオペレータは3Dモデルを三次元状態で見ながら製品/ユニット/部品の形状を容易に理解、把握しつつ、図10(a)、(b)、(c)のように見やすく配置作成された表示を見て効率的に各種業務を遂行する。
【0147】
《検査指示の入力》
次に、検査指示に関して述べる。
出来上がった金型や、部品などを検査するためには、予め、3Dモデルに寸法などを割り当てて表示することは上述した通りである。
【0148】
ここでは、設定された属性配置平面に対して、検査する位置が明確となる表示となるように属性情報を入力する。
【0149】
即ち、3Dモデルを構成する、面、線、稜線などに対して、検査する順番、検査位置、検査項目などを入力する。そして、その順番に検査することにより、検査工数を軽減するものである。
【0150】
まず、検査する項目と位置を入力することにより、全体が入力される。次に、所定の方法により、検査の順番を割り振り、それぞれの項目に順番を割り当てる。そして、実際に検査を行う場合は、順番を指示することにより、属性配置平面が選択され、表示されている属性配置平面において、検査すべき位置の面などが、他と異なった形態(色などが異なる)で表示され、検査位置が明確になる。
そして、指示された検査項目毎に、検査した結果を入力し、再成形が必要か否かが判断されるものである。
【0151】
以上説明のように本発明の実施形態によれば、設定された属性配置平面と属性情報により、簡単な操作で見やすい画面を得ることができる。また、視線方向と属性情報の関係も一覧してわかるものである。さらには、あらかじめ寸法値などが入力されていることにより、オペレータによる操作ミスによる誤読が軽減される。
【0152】
また、属性配置平面に関連付けられた情報のみを見ることができ、必要とする情報を容易に知ることができる。
【0153】
また、同一視線方向の大量の属性情報を、複数の属性配置平面に割り当てることにより、見やすい画面を得ることができ、必要な情報を容易に知ることができる。
【0154】
また、3Dモデルの内部、即ち、断面位置に属性配置平面を設定することにより、属性情報をわかりやすく表示することができる。
【0155】
また、属性配置平面の表示倍率にしたがって、属性情報の大きさを変更するので、わかりやすくそして、適切に表現できる。
【0156】
また、属性情報と投影形状を属性配置平面に配置することで、3Dモデルを斜めから見た立体的な表現を行っても、属性情報を読み取ることが出来る。
【0157】
さらには、属性配置平面上に2D図形あるいはテキスト情報を作成することで、より分かりやすく適切な表現、表示ができる。
【0158】
また、属性情報から、属性配置平面の検索および、その属性配置平面に関連付けられた情報のみを見ることができ、必要とする情報を容易に知ることができる。
【0159】
また、幾何情報から、属性情報および属性配置平面の検索さらには、その属性配置平面に関連付けられた情報のみを見ることができ、必要とする情報を容易に知ることができる。
【0160】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、属性情報を所望の仮想平面上に入力配置でき、またその仮想平面上に3Dモデルを投影した投影形状を作成することで、属性情報の数によらず極めて容易に入力が可能となり、また見やすく、かつ分かりやすく確実に情報が伝達できる。
【0162】
また、本発明によれば、3Dモデルの形状データからいわゆる二次元的に形状を表した二次元図面を作成することなく、3Dモデルと属性情報と仮想平面上の2D図形とテキスト情報で、効率良く設計情報を伝達できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のモールド部品金型生産の全体の流れを示す図である。
【図2】本発明の実施形態のCAD装置のブロック図である。
【図3】図2に示したCAD装置の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の形状モデルの例を示す図で、(a)はSolidModelの図、(b)はShellの図を示す。
【図5】本発明の実施形態の形状モデルを構成する各部の関連を示す概念図である。
【図6】本発明の実施形態の内部記憶装置201上でのFace情報の保管方法を示す概念図である。
【図7】本発明の実施形態の3Dモデル、属性配置平面および投影形状を示す図である。
【図8】本発明の実施形態の3Dモデルおよび断面の属性配置平面および投影形状を示す図である。
【図9】本発明の実施形態の3Dモデル、属性配置平面、投影形状および属性情報を示す図である。
【図10】本発明の実施形態の各属性配置平面から見た3Dモデルと属性情報を示す図で、(a)は平面図の視線方向から見た3Dモデルおよび属性情報、(b)は正面図の視線方向から見た3Dモデルおよび属性情報、(c)は右側面図の視線方向から見た3Dモデルおよび属性情報を示す図である。
【図11】本発明の実施形態の3Dモデル、属性配置平面および属性情報を示す図である。
【図12】本発明の実施形態の3Dモデルに属性情報を付加するときの処理動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施形態の3Dモデルに属性情報を付加するときの処理動作を示すフローチャートである。
【図14】本発明の実施形態の3Dモデルに属性情報を付加するときの処理動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施形態の3Dモデルに属性情報を付加するときの処理動作を示すフローチャートである。
【図16】本発明の実施形態の属性情報を付加された3Dモデルの表示を行うときのフローチャートである。
【図17】本発明の実施形態の3Dモデル、断面の属性配置平面と投影形状、および属性情報を示す図である。
【図18】本発明の実施形態の3Dモデルに複数の属性配置平面と投影形状を設定した状態の図である。
【図19】本発明の実施形態の3Dモデル、投影形状および属性情報を示す図である。
【図20】本発明の実施形態の3Dモデルの一例を示す図で、(a)は3Dモデルの斜視図、(b)は3Dモデルの平面図、(c)は3Dモデルに工夫しないで属性情報を付加した状態を説明する斜視図、(d)は属性情報の配置を工夫して行った斜視図を示す。
【図21】本発明の実施形態の属性情報の引き出し方の説明図である。
【図22】本発明の実施形態の3Dモデルの一部に属性配置平面を割り当てた場合を示す図で、(a)は3Dモデルの図、(b)は階段状の形状および属性情報を分かりやすく表示した図、(c)は投影図を倍率5のビューで文字高さを3mmとして表示した例を示す図である。
【図23】本発明の実施形態の属性情報から3Dモデルと属性情報の表示を行うときのフローチャートである。
【図24】本発明の実施形態の幾何情報から3Dモデルと属性情報の表示を行うときのフローチャートである。
【図25】従来の3Dモデルの一例を示す図である。
【図26】従来の図25に示した3Dモデルの図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図を示す。
【図27】従来の図25に示した3Dモデルに属性情報を付与した状態の図である。
【符号の説明】
1、21、31、41、51 3Dモデル
2、3、4、5、6、7、22、32 投影図
11、12 寸法補助線
32 投影図
201 内部記憶装置
201a 正面
201b 上面
201c 側面
202 外部記憶装置
203 CPU装置
204 表示装置
205 入力装置
206 出力装置
207 外部接続装置
211、212、213、214、215、216 属性配置平面
Claims (1)
- 3Dモデルに対する属性情報が関連付けられる仮想的な平面に3Dモデルを投影する投影手段であって、前記関連付けは前記仮想的な平面の視線方向に正対するように前記仮想的な平面上に属性情報が付与されている、投影手段と、
前記3Dモデルおよび前記仮想的な平面が配置される三次元空間内において、前記3Dモデルと前記仮想的な平面上の前記3Dモデルの投影形状とを結ぶ引出し線を前記視線方向に表示する表示手段とを備え、
前記表示手段は、前記3Dモデルの投影形状から前記仮想的な平面上に前記属性情報を引き出して表示し、前記投影形状と前記属性情報とを同一面上に配置する
ことを特徴とする情報処理装置。
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