JP3937816B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法等の、トナーを用いて静電潜像を現像する工程を有する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的な電子写真の画像形成方法としては、例えば、像担持体としての感光体表面に静電潜像を形成し、トナー担持体としての現像スリーブと、トナーとの摩擦、及び/又は現像スリーブ上のトナーコート量を規制するためのトナー層厚規制部材とトナーとの摩擦により、トナーに正又は負の電荷を与え、更にこのトナーを表面に薄く塗布した現像スリーブによって、上記の正又は負に帯電されているトナーを感光体と現像スリーブとが対向した現像領域に搬送し、該現像領域において、トナーを前記感光体表面の静電潜像に飛翔・付着させて現像し、次いで静電潜像をトナーを用いて現像し、必要に応じて紙等の転写材にトナー像を転写した後、加熱、圧力、加熱加圧あるいは溶剤蒸気により定着し、トナー像を得るものであり、感光体上に転写されずに残った転写残トナーは種々の方法でクリーニングされ、上記の工程が繰り返されるものである。
【0003】
現像方法において、キャリアを必要とせず、装置の小型化が有利な点で一成分現像方式が好ましく用いられるが、一成分現像方式に用いる絶縁性トナー中には微粉末状の磁性体が相当量混合分散されており、該磁性体の一部がトナー粒子の表面に露出しているため、磁性トナーの流動性及び摩擦帯電性に影響し、結果として、磁性トナーの現像特性、耐久性等の磁性トナーに要求される種々の特性の変動あるいは劣化を引き起こす。
【0004】
一方、複写機においては高機能化が進んでおり、そのためデジタル複写機が主流となりつつある。このデジタル複写機は、静電荷像をレーザで形成させる方法が主である為、高解像・高精細の現像方式を達成するためにトナーの小粒径化が進んでいるが、かかる磁性トナーを小粒径化すると、帯電性と磁気特性のバランスの関係から、全体の磁性体量を増量する必要があり、このような場合、トナー表面に存在する磁性体が帯電性やその他のトナー特性に及ぼす影響が大きくなる。
【0005】
一つには、結着樹脂よりも低抵抗の磁性体がトナー表面に多く露出することは、摩擦帯電で得られた電荷がリークしやすく、磁性トナーは高帯電量が得られにくくなるだけでなく、この磁性体と結着樹脂との接触で逆極性トナーを発生し易くする原因となる。この逆極性トナーは、反転カブリの原因となるばかりか、後述するトナー付着の核となる。
【0006】
したがって、磁性トナーは、帯電量分布がブロードとなる。その結果、ある範囲の帯電量分布を持つトナーが優先的に消費されるいわゆる選択現像が行われやすく、長時間にわたり複写工程を繰り返すと、画質劣化を引き起こしやすい。この現象は後述するような従来の電位むらの大きな感光体ではより問題となり易い。
【0007】
一方、高速複写機やレーザプリンタなどの高速機器に用いる感光体には、高い信頼性と耐久性が望まれる。したがって、高速機には、可視光領域の全般にわたって高い感光度を有し、表面硬度が高くて耐久性、耐熱性等に優れたアモルファスシリコン感光体が好ましく用いられる。
【0008】
小粒径化されたトナーはクリーニング性が悪いため、クリーニングブレードの当接圧を上げることなどにより対応しようとすると、表面に露出している磁性体が多くなっている小粒径磁性トナーにおいては、その表面の磁性体による摺擦によりアモルファスシリコン感光体が傷つけられ画質の劣化が生じる原因となる。
【0009】
しかし、感光体が削れない圧の範囲でクリーニングブレードを当接すると、上記のクリーニング工程または他の工程と同時に進行させるトナー除去工程において、転写残トナーの除去が難しくなり、複写を繰り返した結果、該転写残トナーが感光体表面に固着し、画像に黒点乃至白点の画像欠陥が発生するトナー付着という問題を生じる場合があった。
【0010】
上記の問題を解決するための対策として、特開平9−297420号公報に開示されているように、アモルファスシリコンを感光層とした感光体において、該感光層を成膜形成する導電性基体表面を切削或いは回転ボールミル装置を用いてあらかじめ粗しておく方法が提案されているが、この方法では、基体形状に起因し、光導電層への入射露光量に差を生じ、その結果縞模様が印刷画像上に発生してしまうという問題点があった。また、導電性基体の表面をあらかじめ粗しておく工程を新たに設けることはコスト高につながるため好ましくなかった。逆に、前記縞模様の発生しない範囲の粗さで基体を加工するとトナー付着を十分に抑制できないことが問題となった。さらに、従来の感光体においては、光導電層のバンドギャップにより生じる画像露光の実質的な吸収深さの変動により静電潜像の電位むらが生ずる。この電位むら、具体的には残留電位、ゴースト電位により、トナー付着の核となるカブリ、または画像の鮮鋭さを悪化させるものである。
【0011】
このように、一成分現像方式において、高速デジタル機に十分適用できる画像形成方法はないのが実状である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術における上記のような事情に鑑み、その欠点を改善することを目的としてなされたものである。即ち、本発明の目的は、小粒径化されても画像形成方法に用いたときにクリーニング性が良好で感光体削れが少ない画像形成方法を提供することにある。
【0013】
本発明の目的は、長時間の耐久による選択現像を抑制し、長期にわたり高画質な画像を安定して得ることのできるトナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、像担持体を帯電させる帯電工程;帯電された像担持体に静電潜像を形成させる潜像形成工程;前記静電潜像を磁性トナーによってトナー像に現像する現像工程;及び前記像担持体上のトナー像を転写材に転写させる転写工程;を有する画像形成方法において、
前記像担持体は、導電性基体上に少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層及び表面保護層を順次積層しており、前記表面保護層と前記光導電層の界面組成が連続的に変化しており、前記像担持体の平均傾斜Δaが0.12〜1.0の範囲にあり、
前記磁性トナーは、結着樹脂と磁性体とを少なくとも有し、重量平均粒径(D4)が5〜10μmであり、該磁性トナー表面における5μm×5μmの範囲を電子顕微鏡像で画像解析することによって得られる磁性体の表面存在率が0.05〜0.70であることを特徴とする画像形成方法に関する
【0015】
【発明の実施の形態】
<1>本発明の画像形成方法
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、像担持体として、導電性基体上に少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層および表面保護層を順次積層してなり、前記表面保護層と前記光導電層の界面組成が連続的に変化しており、前記像担持体の平均傾斜Δaが0.12〜1.0の範囲、好ましくは0.15〜0.8の範囲にあるアモルファスシリコン(a−Si)感光体を用い、
トナーとして、結着樹脂と外添剤とを少なくとも有し、重量平均粒径(D4)が5〜10μmであり、トナー表面の5μm×5μmの範囲における磁性体の表面存在率が0.05〜0.70の範囲、好ましくは0.10〜0.50の範囲にある磁性トナーを同時に用いることによって、本発明の目的である、小粒径化されたトナーであっても、クリーニング性が良好で、且つ感光体削れが少なく、また、長時間の耐久による選択現像を抑制し、長期にわたり高画質な画像を安定して得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
ここで、クリーニング過程において、転写残トナーを感光体表面上から除去する際に、感光体表面に付着している残留トナーの付着力を減少させておくことは、良好なクリーニング効果を得るために非常に重要である。
(a)本発明の画像形成方法に用いる感光体
本発明の画像形成方法に用いる像担持体は、導電性基体上に少なくともa−Siを含む光導電層および表面保護層を順次積層してなる感光体であり、感光体の平均傾斜Δaが0.12〜1.0の範囲、好ましくは0.15〜0.8の範囲であることにより、良好な転写効率や、ドット再現性のある画像を得る事が出来る。
【0017】
a−Si感光体におけるΔaが極端に小さく、即ち0.12未満になると、感光体に対するトナーの付着力の原因となるファンデルワールス力が増大することになり、特に常温低湿環境下におけるトナー付着を促進してしまう傾向がある。
【0018】
また、Δaの値が小さいと、感光体表面とクリーニングブレードとの摩擦係数が大きくなり、上記のように転写残トナーの付着力が大きい状態で、高いブレード圧をもってクリーニングすると、a−Si感光体表面に傷を与えることになり、感光体表面に傷がついたまま画像の複写を行うと、黒点、スジ等のある異常画像が形成されてしまう傾向がある。
【0019】
したがって、ある程度Δaの値が大きい方が、トナー付着及び感光体の傷に対して有利であるが、Δaの値が極端に大きく、即ち1.0以上になると、クリーニングブレードと感光体表面の接点が減少し、トナーが該表面の凹部に入り込み、転写残トナーのクリーニング性が著しく低下することになるだけでなく、静電潜像の電位むらが大きくなり、長期にわたる複写工程において、画像劣化を起こしやすくなる。
【0020】
本発明における平均傾斜Δaとは、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscopy)[Quesant社製 Q-Scope250(Version3.181)を用いて測定した結果を指し、微視的な表面粗さを高い精度で再現性良く測定するためには、10μm×10μmの測定範囲で、かつサンプルの曲率傾き(tilt)による誤差を避けるように測定した結果であることが望ましい。具体的には、Quesant社製Q-Scope250のTilt Removalモードにより、試料のAFM像の持つ曲率を放物線にフィットさせた後、平坦化する補正(Parabolic)があげられる。感光体は一般に円筒形状を取っており好適な手法である。更に、像に傾きが残る場合には、傾きを除去する補正(Line by line)を行う。この様に、データに歪みを生じさせない範囲でサンプルの傾きを適宜補正することが可能である。
【0021】
更に、本発明者らは、上記の表面形状に加え、光導電層を複数の層で構成することがトナー付着の抑制を促進させることを見出した。光導電層のバンドギャップにより生じる画像露光の実質的な吸収深さの変動により静電潜像の電位むらが生ずる。この電位むら、具体的には残留電位、ゴースト電位により、トナー付着の核となるカブリ、または画像の鮮鋭さを悪化させるものと考える。
【0022】
なお、本発明においては、光導電層および表面保護層が形成される基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さRaが9nm未満であることが好ましく、6nm未満であることがさらに好ましい。基体の表面粗さをRaを上記範囲とすることにより光導電層への入射露光量が基体形状に影響されることを防止でき、印刷画面の画質低下を防ぐことができる。表面粗さRaは(株)小坂研究所製(1993年3月製造)の表面粗さ測定器SE−3300の取扱説明書第8章「表面粗さの用語とパラメータの定義」8−9項に記載の下記式により定義される。
【数3】
Figure 0003937816
更に、本発明者らは、上記の表面形状に加え、表面保護層と光導電層の界面組成を連続的に変化させることにより、更に効果的にトナー付着の抑制ができることを見出した。
【0023】
また、導電性基体の表面粗さRaを上記範囲とするには、切削加工、ディンプル加工等の基体の加工条件を調整すれば良い。
【0024】
具体的には、上記界面組成において分光反射率が、波長450〜650nmの範囲における反射率の最大値をMax(%)、最小値をMin(%)としたとき、下記式(1)を満たすことが好ましい。
【0025】
【数4】
0≦(Max−Min)/(Max+Min)≦0.4 (1)
ここで、本発明における反射率とは、分光光度計大塚電子社製MCPD−2000を用いて測定した反射率(百分率)の値をさす。概要を述べるとまず、分光器の光源の分光発光強度I(0)を取り、次いで感光体の分光反射光度I(D)を取り、反射率R=I(D)/I(0)を求める。高い精度で再現性良く測定するためには、曲率をもつ感光体に対して角度が一定となるようにディテクター治具を固定することが望ましい。
【0026】
界面制御の具体例を図1に示す。図1(a)に示した例A(上記式(1)の値:0.48)、B(上記式(1)の値:0.41)が上記式の範囲外である「界面あり」の測定例、図1(b)に示した例C(上記式(1)の値:0.28)、D(上記式(1)の値:0.16)が本発明に係わる式を満たす「界面なし」選定例である。2本線があるのは、それぞれ表面保護層の膜厚違いによる差であり、膜厚の差に応じてグラフ上、左右に波形が移動する。その最大値は波形の振幅に相当するため、界面ありは界面なしに比べ、単一波長固定でみた場合、膜厚変動に対して、反射率は大きく変動する。すなわち、膜厚変動に対して大きく感度変動が生じる。
【0027】
本発明の特徴である感光体表面の微細粗さにより、画像露光入射光路上における表面保護層の実質的な膜厚むらが生ずる。界面ありの場合、この膜厚むらにより界面なしの場合よりも感度の変動が大きくなり、トナー付着の核となるカブリ、または画像の鮮鋭さを悪化させるものと考える。即ち、光導電層と表面保護層の界面領域の組成を連続的に変化させることにより、感光体の上記界面領域における分光反射率が上記式(1)を満たすものとなり、感光体表面の微細粗さによる感度の変動を小さく抑え、良好な画像を作成することができる。
【0028】
<平均傾斜Δaの測定>
以下、本発明の重要な指標である平均傾斜Δaに付いて述べる。
【0029】
平均傾斜Δaは、(株)小坂研究所製(1993年3月製造)の表面粗さ測定器SE−3300の取扱説明書第8章「表面粗さの用語とパラメータの定義」8−12項に記載の下式(2)により定義される。
【0030】
【数5】
Figure 0003937816
一方、本発明の平均傾斜Δaは、原子間力顕微鏡(AFM)[Quesant社製Q-Scope250(Version3.181)]により、三次元形状から計算された値を指す。
【0031】
本発明者らが、原子間力顕微鏡により測定した三次元形状から任意の断面曲線の二次元平均傾斜Δaを求めたところ、三次元形状から求めた10μm×10μmの範囲における平均傾斜Δaと概ね一致した。しかしながら、測定値の安定性、トナー付着防止効果との相関性の面では、三次元形状から求めたΔaがより好ましい。以上の経緯から、本発明の発明思想は三次元形状から求めた10μm×10μmの範囲におけるΔaに限定されるものではない。
【0032】
原子間力顕微鏡は横分解能(試料面に平行な方向の分解能)は0.5nmを上まわり、縦分解能(試料面に垂直方向の分解能)は0.01〜0.02nmを持ち、試料の三次元的な形状を測定することが可能で、従来から広く用いられている表面粗さ計との大きな違いは、その高い分解能にある。
【0033】
これほどまでの高い分解能においては、感光体の導電性基体の粗さが支配的なオーダーの粗さではなく、光導電層や表面保護層と言った堆積膜そのものの性質に起因する粗さの測定が可能である。
【0034】
感光体の導電性基体上の粗さは、前記の旋盤やボールミル、ディンプル処理加工と言った「歯形」や「処理部材」と言った「型」に依存するものであるが、堆積膜そのものの粗さには「型」はなく、単にJISで規定されるRa(中心線平均粗さ)やRz(十点平均粗さ)では表現しきれない形状因子が存在し、それが前記トナー付着防止の糸口になるのではないかと発明者等は考えた。
【0035】
具体的には、同一視野(10μm×10μm)の範囲における表面粗さRaが9nm未満の導電性基体の上に、各種条件にてアモルファスシリコン感光体の各機能層(後述の阻止層、光導電層、表面保護層、各層の界面を含む全層)を作製し、表面の微細形状を原子間力顕微鏡で観測し、平均傾斜Δaを求めて比較検討する。
【0036】
同様の測定を従来広く用いられている表面粗さ計、例えば(株)小坂研究所製接触式表面粗さ計(SE−3400)では有意な差を観測できない。このことからも、本出願で用いる平均傾斜Δaの指標はアモルファスシリコン感光体の材料の特性を示す新規な指標であると考える。
【0037】
尚、本発明者らは原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy)の測定に際して、いくつかの試料に対して、いくつかのスキャンサイズで測定を行う。スキャンサイズ(Scan Size)とはスキャンする四角形の一辺の長さであり、従ってスキャンサイズ10μmとは、10μm×10μmすなわち100μm2の範囲をスキャンすることを意味する。グラフ横軸をスキャンサイズにして、平均傾斜Δaとの関係を調べた結果の一部を図2に示す。
【0038】
スキャンサイズを大きく、すなわち測定範囲を広くすると測定値は安定するが、試料基体のうねり、突起などの特異形状、加工形状の影響により、微細形状が反映され難くなり、スキャンサイズが小さいと測定個所の選択バラツキが大きくなる為、本発明においては、測定の検知能力と安定性の総合的に優れた10μm×10μm視野で表記する。以上の経緯から、本発明の発明思想は10μm×10μm視野に限定されるものではない。
【0039】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を詳細に説明する。
【0040】
図3に本発明に係わるアモルファスシリコン(a−Si)感光体の一例を示す。
【0041】
本発明におけるa−Si感光体の一例は、図3の(a)〜(c)に示すように例えばAl、ステンレス等の導電性材料からなる基体(導電性基体)101上に、光導電層102および表面保護層103を順次積層したものを挙げることができる。
【0042】
もちろん、これら層の他に、図示されるように阻止層104、反射防止層ないしは界面層107などの種々の機能層を必要に応じて設けてもよい。例えば、阻止層104、界面層107等を設けそのドーパントをIII族元素、V族元素など選択する事により、正帯電、負帯電と言った帯電極性の制御も可能となる。導電性基体形状は感光体の駆動方式などに応じた所望のものとしてよい。導電性基体材質としては上記Alやステンレスのような導電性材料が一般的であるが、例えば各種のプラスチックやセラミックス等、特には導電性を有しないものにこれら導電性材料を蒸着するなどして導電性を付与したものも用いることができる。
【0043】
光導電層102としては、ハロゲン原子を含む水素化アモルファスシリコン(「a−Si(H,X)」と略記する)を用いることができる。また、光導電層102の層厚としては特に限定はないが、製造コストなどを考慮すると15〜50μm程度が適当である。
【0044】
更に、特性を向上させる為に光導電層102を、下部光導電層105と上部光導電層106の様に複数の層構成にしても良い。特に、半導体レーザの様に、比較的長い波長であって且つ波長ばらつきのほとんどない光源に対しては、こうした層構成の工夫によって画期的な効果が現れる。
【0045】
表面保護層103は、一般的にシリコン原子を母体とし、炭素原子と、必要に応じて水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶(好ましくは非晶質)材料(a−SiC(H,X))が用いられるが、シリコン原子を母体とし、窒素原子と、必要に応じて水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶(好ましくは非晶質)材料(a−SiN(H,X))、または炭素原子を母体とし、必要に応じて水素原子またはハロゲン原子を含有する非単結晶炭素(好ましくは非晶質炭素)(a−C(H,X))等を用いることも可能である。また、光導電層102と表面保護層103の界面組成を連続的に変化させた界面層107を設け、当該部分の界面反射を抑制させるように制御することが好ましい。また、図1(b)及び図1(c)に示されるように、導電性基体101の表面は切削などによる凹凸溝あるいはディンプル形状とすることも好ましい。このような表面形状とすることで、導電性基体101表面に到達した露光光が反射することによって生じる干渉縞を、例えば目に見えない微小領域内に閉じ込めることができる。もちろん、導電性基体101上に形成される膜の基体101との密着性の向上も期待できる。
本発明に係わるa−Si感光体成膜装置の一例を説明する。
【0046】
本発明では、感光体はa−Si感光体としており、a−Si光導電層を高周波プラズマCVD(PCVD)法により成膜する。本発明で使用可能なPCVD装置の一例を図4に示す。図4に示す装置は、a−Si感光体の製造に使用する一般的なPCVD装置である。このPCVD装置は、堆積装置300、原料ガス供給装置及び排気装置(ともに図示せず)を備えて構成されている。堆積装置300には縦型の真空容器からなる反応容器301を有し、この反応容器301内の周囲には内には縦方向の原料ガス導入管303が複数本配設され、ガス導入管303の側面には、長手方向に沿って多数の細孔が設けられている。反応容器301内の中心には、螺旋状に巻線したヒータ302が縦方向に延設され、感光体ドラムの導電性基体となる円筒体312は、容器301内の上部の蓋301aを開けて挿入され、ヒータ302を内側にして容器301内に垂直に設置される。また、反応容器301の側面の一方に設けた凸部304から高周波電力が供給される。
【0047】
反応容器301の下部には、原料ガス導入管303に接続された原料ガス供給管305が取り付けられ、この供給管305は、供給バルブ306を介して図示しないガス供給装置に接続されている。また、反応容器301に下部には排気管307が取り付けられ、この排気管307はメイン排気バルブ308を介して図示しない排気装置(真空ポンプ)に接続されている。排気管307には、他に真空計309、サブ排気バルブ310が取り付けられている。
【0048】
上記の装置を用いたPCVD法によるa−Si光導電層の形成は次のように行われる。まず、反応容器301内に感光体ドラムの基体となる円筒体312をセットし、蓋301aを閉じた後、図示しない排気装置により容器301内を所定の低圧以下の圧力まで排気し、以後排気を続けながら、ヒータ302により導電性基体312を内側から加熱して、導電性基体312を20〜450℃の範囲内の所望の温度に制御する。導電性基体312が所定の温度に維持されたら、所望の原料ガスをそれぞれの流量制御器(図示せず)により調節しながら、導入管303を通って反応容器301内に導入する。導入された原料ガスは反応容器301内を満たした後、排気管307を通って容器301外に排気される。
【0049】
このようにして、原料ガスが満たされた反応容器301内が所定の圧力になって安定したことを真空計309により確認したら、図示しない高周波電源(13.56MHzのRF帯域、または50〜150MHzのVHF帯域等)により、高周波を所望の投入電力量で容器301内に導入し、反応容器301内にグロー放電を発生させる。このグロー放電のエネルギーによって、原料ガスの成分が分解してプラズマイオンが生成され、導電性基体312の表面に珪素を主体としたa−Si堆積層が形成される。この際、ガス種、ガス導入量、ガス導入比率、圧力、基体温度、投入電力、膜厚などのパラメータを調整することにより様々な特性のa−Si堆積層を形成することができる。これにより、電子写真特性を制御することが出来る。
【0050】
このようにして導電性基体312の表面にa−Si堆積層が所望の膜厚で形成されたら、高周波電力の供給を止め、供給バルブ306等を閉じて、反応容器301内への原料ガスの導入を停止し、一層分のa−Si堆積層の形成を終える。同様の操作を適宜条件や使用ガスを変えて複数回繰り返すことにより所望の多層構造のa−Si堆積層、つまりa−Siの機能層が形成され、基体312の表面に多層構造のa−Si感光体ドラムが製造される。
【0051】
また、本発明に係わる表面保護層と光導電層の界面反射の低減、制御については、前述の一層分のa−Si堆積層の形成を終える際に、高周波電力を停止させず、かつ原料ガスの供給も停止させず連続的に次の層の電力条件、ガス組成に変化させることで達成される。または、高周波電力は一旦停止させるものの、原料ガスを前の層の構成から開始し、所望の構成に連続的に変化させながら成膜させることによっても達成が可能である。
【0052】
以上において、ガス導入管303の長手方向上に分布した細孔から反応容器301内に導入される原料ガスの導入管303長手方向での流量分布、排気管からの排ガスの流出速度、放電エネルギー等を調整することによって、導電性基体312上のa−Si堆積層の長手方向に沿った電子写真特性を制御することが出来る。
【0053】
<本発明に係わるa−Si感光体の平均傾斜Δaの制御方法>
上記のa−Si感光体成膜装置を用いて、平均傾斜Δaを制御する方法の一例を以下に示す。
【0054】
本発明では、導電性基体上に阻止層、光導電層、表面保護層などの各機能層を高周波プラズマCVD(PCVD)法により成膜しa−Si感光体を作製するが、本発明に好適なΔa=0.12〜1.0の範囲の表面粗さを得るためには、高周波電力及びその周波数、ガス流量、圧力、導電性基体温度、膜厚などの製造条件の各パラメータを調整することが有効である。
【0055】
一般にΔaの大きい堆積膜表面を形成するための条件としては、(1)堆積膜の成長表面に到達する膜形成の前駆体が十分に表面拡散しない、或いは前駆体の到達量が多く表面拡散する時間が十分に得られないようにする、(2)気相重合反応が起き易い条件で堆積膜の形成を行い、気相中で発生した重合体を取り込みながら堆積膜が形成されるようにする、等が挙げられる。
【0056】
具体的には、高周波電力を大きくする、ガス流量を増加する、圧力を大きくする、導電性基体温度を低くする、膜厚を増加するなどがΔaの大きい堆積膜表面を形成するための条件として考えられる。しかしながら、このような製造条件下では堆積膜の品質低下につながり易く、a−Si感光体を作製した場合に十分な電子写真特性を得るのが困難となり、歩留まりの低下をもたらす場合がある。とくに、(2)の重合体の取り込みはa−Si堆積膜の光劣化を誘発することが示唆されており、できる限り重合体の取り込みを抑制しながらa−Si感光体を作製することが好ましい。即ち、Δaの大きいa−Si感光体を形成するためには、堆積膜の品質をできる限り低下させないように注意深く製造条件の各パラメータを調整することが必須となる。
【0057】
また、このようなΔaの大きい堆積膜表面を形成するための製造条件は、その効果を考えると感光体の大部分を占める光導電層に採用することが好ましいが、電子写真特性に及ぼす影響が少ない阻止層や表面保護層においてのみΔaを制御する条件を採用しても良い。
【0058】
(b)本発明の画像形成方法を用いた電子写真装置
上記a−Si感光体と本発明のトナーを用いた本発明に係る電子写真装置の一例を図5に示す。尚、図5に示す電子写真装置は、円筒状のa−Si感光体を用いる場合に好適なものであるが、本発明に係る電子写真装置は本例に限定されるものではなく、感光体形状は無端ベルト状等の所望のものであってよい。
【0059】
図5において、本発明における上記a−Si感光体204の周囲に、感光体204に静電潜像形成のための帯電を行う一次帯電器205と、静電潜像の形成された感光体204に現像剤(本発明のトナー)を供給するための現像器206と、感光体表面のトナーを紙などの転写材213に移行させるための転写帯電器207と、感光体表面の浄化を図るクリーナ208とが配設されている。本例は感光体表面の均一削除を有効に行うため、前述のような弾性ローラ208−1とクリーニングブレード208−2を用いて感光体表面の浄化を行っているが、いずれか一方のみでも差し支えない。また、クリーナ208と一次帯電器205の間には、次回の複写動作に備えて感光体表面の除電を行うための除電ランプ210が配設されており、また転写材213は送りローラ214により送られる。露光Aの光源には、ハロゲン光源、あるいは単一波長を主とする光源を用いる。
このような装置を用い、複写画像の形成は、例えば以下のように行われる。
【0060】
まず感光体204を所定の速度で矢印の方向へ回転させ、一次帯電器205を用いて感光体204の表面を一様に帯電させる。次に、帯電された感光体204の表面に画像の露光Aを行い、該画像の静電潜像を感光体204の表面に形成させる。
【0061】
そして感光体204の表面の静電潜像の形成された部分が現像器206の設置部を通過する際に、現像器206によってトナーが感光体204の表面に供給され、静電潜像がトナー206aによるトナー像として顕像化(現像)され、更にこのトナー像は、感光体204の回転とともに転写帯電器207の設置部に到達し、ここで送りローラ214によって送られてくる転写材213に転写されるのである。
【0062】
転写終了後、次の複写工程に備えるために電子写真感光体204の表面から残留トナーがクリーナ208によって除去され、更に該表面の電位がゼロ若しくは殆どゼロとなるように除電器209および除電ランプ210により除電され、1回の複写工程を終了する。
【0063】
<2>本発明に用いられる磁性トナー
本発明に用いられる磁性トナーは、結着樹脂と磁性体とを少なくとも有し、重量平均粒径(D4)が5〜10μmであり、該磁性トナー表面における5μm×5μmの範囲を電子顕微鏡像で画像解析することによって得られる磁性体の表面存在率が0.05〜0.70、好ましくは0.10〜0.50であることを特徴とする。
【0064】
トナー表面に存在する磁性体が極端に少なく、表面存在率が0.05未満になると、帯電のリークサイトがほとんどなくなり、必要以上の帯電量の増加、特に常温低湿環境でのチャージアップ現象、すなわち、画像濃度の低下、カブリの発生等の問題が生ずる傾向がある。
【0065】
逆に、トナー表面に露出する磁性体が極端に多く、表面存在率が0.70より大きくなると、前述したように現像特性、耐久性等の特性の変動を引き起こす傾向がある。即ち、摩擦帯電で得られた電荷がリークしやすく、高帯電量が得られにくくなるだけでなく、逆極性トナーを発生し易くなるため、帯電量がブロードになり、選択現像が行われやすくなる。したがって、長期にわたり複写工程を繰り返すと、現像器の中のトナーの粒度が粗くなったり、とくに上記のような電位むらの大きな感光体と組み合わせた場合、画質劣化を引き起こしやすい。また、トナー表面に存在する磁性体が多くなると、トナー表面の磁性体の摺擦によりアモルファスシリコン感光体がより傷つけられやすくなる。
【0066】
<磁性体の表面存在率の測定>
本発明のもう一つの重要な指標である磁性体の表面存在率について述べる。
【0067】
磁性体の表面存在率を算出するには、まずトナー表面近傍の電子顕微鏡像を撮影する。より詳細には、走査型電子顕微鏡(SEM)S−800又はS−4700(いずれも日立製作所製)を用い、トナー表面近傍を撮影(倍率10000〜20000倍)する。この際、試料表面を蒸着せずに、加速電圧を変化させて観察すると、加速電圧が高いほどより試料内部の情報を得ることができる。即ち、加速電圧を5kVにした場合に比較し、10kVにした場合では、より多くの磁性体を確認することが可能となるが、表面付近に磁性体の少ないトナーにおいては、かかる見え方の差がより大きい。
【0068】
したがって、磁性トナー表面の電子顕微鏡像を256階調のスキャナーで読み取り多値画情報とすると、結着樹脂への磁性体の埋没の度合いで磁性体部分の濃度が異なるが、その顕微鏡像に応じたしきい値を定めることにより、表面に存在する磁性体と埋没している磁性体を区別する。
【0069】
即ち、256階調で表された顕微鏡像において、1つ1つの画素の濃度に注目し、それらの平均濃度を算出し、かかる平均濃度を該しきい値とする。そこで、加速電圧を5kVの場合と10kVの場合のそれぞれの電子顕微鏡像を、該しきい値により2値化し、白濃度部分の面積率を求め、加速電圧10kVの場合における白濃度部分の面積率に対する加速電圧5kVの場合における白濃度部分の面積率の比を磁性体の表面存在率とする。このとき、同一試料中の異なる10個のトナーの粒子表面について表面存在率を算出し、試料間の比較の際にはそれらの平均値を用いる。
【0070】
トナー全体の磁性体量が同じ場合には、加速電圧を10kVに設定すると、磁性体の見え方はほとんど変わらない。一方、5kVに設定すると、表面に存在する磁性体の割合のトナー間での違いがより見やすい。
【0071】
以上の経緯から、本発明の発明思想は加速電圧5kV及び10kVに限定されるものではない。
より詳細には、加速電圧を5kV若しくは10kVに設定し撮影した写真を、スキャナーで読み取り、画像解析フリーウェアソフト・NIH imageを用いて、前記しきい値により2値化する。この際、白濃度部分が磁性体である。したがって、トナー表面上の5μm×5μmの範囲において、白濃度部分の面積率を算出することにより、加速電圧に応じた観測面に占める磁性体の面積率を算出することが可能である。
【0072】
この際、画像解析の対象範囲を広くすると、面積率の値は安定するが、トナーの外周付近にまで解析対象範囲が及ぶと誤差の要因となるので、トナーの中心付近を可能な限り広く解析できる5μm×5μmの範囲を画像解析対象範囲とする。
【0073】
以上の経緯から、本発明の発明思想は5μm×5μmの解析範囲に限定されるものではない。
【0074】
更に本発明において好ましいトナーの構成を以下に詳述する。
【0075】
本発明における磁性トナーは、少なくとも結着樹脂及び磁性体からなり、その他荷電制御剤、離型剤などを適宜含有させることが好ましい。
【0076】
上記結着樹脂としては、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられるが、特に限定されず、公知の樹脂を用いることができる。このうち、特にビニル系樹脂とポリエステル系樹脂が帯電性や定着性の点でより好ましい。
【0077】
ビニル系樹脂を構成するモノマーとしては、例えばスチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等の不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体;α,β−不飽和酸のエステル、二塩基酸のジエステル類が挙げられる。本発明におけるビニル系樹脂は、これらのビニル系モノマーが単独もしくは2つ以上で用いられる。
【0078】
これらの中でもスチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
【0079】
また、ビニル系樹脂は、必要に応じて以下に例示する様な架橋性モノマーで架橋された重合体又は共重合体であってもよい。
【0080】
ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等のエーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、及び以上の化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの;ポリオキシエチレン(2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート、ポリオキシエチレン(4)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジアクリレート等の芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;商品名MANDA(日本化薬)等のポリエステル型ジアクリレート類;が架橋性モノマーとして挙げられる。
【0081】
上記架橋性モノマー以外にも、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート等、及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの;トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテート;等の多官能の架橋性モノマーが挙げられる。
【0082】
上記架橋性モノマーは、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01〜10質量部(さらに好ましくは0.03〜5質量部)用いることができる。
【0083】
これらの架橋性モノマーのうち、結着樹脂の定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に用いられる。
【0084】
結着樹脂として用いるポリエステル系樹脂は、全成分中45〜55mol%がアルコール成分であり、55〜45mol%が酸成分であるものが好ましい。
【0085】
アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、下記(B)式で表わされるビスフェノール誘導体;
【0086】
【化1】
Figure 0003937816
また、下記(C)式で示されるジオール類;
【0087】
【化2】
Figure 0003937816
グリセリン、ソルビット、ソルビタン等の多価アルコール類が挙げられる。
【0088】
また、本発明において結着樹脂として用いるポリエステル系樹脂は、全酸成分中の50mol%以上が2価のカルボン酸であることが好ましく、2価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸等のベンゼンジカルボン酸類又はその無水物;こはく酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、またさらに炭素数6〜18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたこはく酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物等が挙げられ、また、3価以上のカルボン酸としてはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等が挙げられる。
【0089】
特に好ましいポリエステル系樹脂のアルコール成分としては、前記(B)式で示されるビスフェノール誘導体であり、酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸又はその無水物、こはく酸、n−ドデセニルコハク酸又はその無水物、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のジカルボン酸類;トリメリット酸又はその無水物のトリカルボン酸類が挙げられる。
【0090】
これらの酸成分及びアルコール成分から得られたポリエステル系樹脂を結着樹脂として使用したトナーは、定着性が良好で、耐オフセット性に優れている。
【0091】
ポリエステル系樹脂のガラス転移温度は好ましくは50〜75℃、より好ましくは55〜65℃であり、さらに数平均分子量(Mn)は好ましくは1,500〜50,000、より好ましくは2,000〜20,000であり、重量平均分子量(Mw)は好ましくは6,000〜100,000、より好ましくは10,000〜90,000であることが良い。
【0092】
本発明において、ビニル系モノマーの単重合体または共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂等を、必要に応じて前述した結着樹脂に混合して用いることができる。
2種以上の樹脂を混合して、結着樹脂として用いる場合、より好ましい形態としては分子量の異なるものを適当な割合で混合するのが好ましい。
【0093】
本発明のトナーの結着樹脂は、ガラス転移温度が好ましくは45〜80℃、より好ましくは55〜70℃であり、数平均分子量(Mn)は2,500〜50,000、重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000であることが好ましい。
【0094】
結着樹脂のガラス転移温度及び平均分子量の調整は、原料モノマー混合物中の重合開始剤あるいは触媒の量の調整、反応条件の選択により容易に行う事ができる。
ビニル系樹脂としてのビニル系重合体又は共重合体からなる結着樹脂を合成する方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の重合法が利用できる。
【0095】
カルボン酸モノマー又は酸無水物モノマーを結着樹脂のモノマー成分として用いる場合には、モノマーの性質上、塊状重合法または溶液重合法を利用することが好ましい。一例として次のような方法が挙げられる。ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸モノエステル等のモノマーを用い、塊状重合法、溶液重合法によりビニル系共重合体を得ることができる。溶液重合法においては、溶媒留去時にジカルボン酸、ジカルボン酸モノエステル単位を、留去条件を工夫することにより一部無水化することができる。更に、塊状重合法または溶液重合法によって得られたビニル系共重合体を加熱処理することで更に無水化を行うことができる。酸無水物をアルコール等の化合物を用いて一部エステル化することもできる。
【0096】
逆に、この様にして得られたビニル系共重合体を加水分解処理で酸無水物基を閉環させ、一部ジカルボン酸とすることができる。
【0097】
一方、ジカルボン酸モノエステルモノマーを用い、懸濁重合法、乳化重合法で得られたビニル系共重合体を加熱処理による無水化及び加水分解処理による開環により無水物からジカルボン酸を得ることができる。塊状重合法または溶液重合法で得られたビニル系共重合体を、モノマー中に溶解し、次いで懸濁重合法または乳化重合法により、ビニル系重合体または共重合体を得る方法を用いれば、酸無水物の一部は開環してジカルボン酸単位を得ることができる。重合時にモノマー中に他の樹脂を混合してもよく、得られた樹脂を加熱処理による酸無水物化、弱アルカリ水処理による酸無水物の開環アルコール処理によりエステル化を行うことができる。
【0098】
ジカルボン酸、ジカルボン酸無水物モノマーは交互重合性が強いので、無水物、ジカルボン酸等の官能基をランダムに分散させたビニル系共重合体を得る為には以下の方法が好ましい方法の一つである。ジカルボン酸モノエステルモノマーを用い溶液重合法によってビニル系共重合体を得、このビニル系共重合体をモノマー中に溶解し、懸濁重合法によって結着樹脂を得る方法である。この方法では溶液重合後の溶媒留去時に処理条件により、全部またはジカルボン酸モノエステル部を脱アルコール閉環無水化させることができ、酸無水物を得ることができる。懸濁重合時には酸無水物基が加水分解開環し、ジカルボン酸が得られる。
【0099】
重合体における酸無水物化は、カルボニルの赤外吸収が酸またはエステルの時よりも高波数側にシフトするので酸無水物の生成または消滅は確認できる。
【0100】
この様にして得られる結着樹脂は、カルボキシル基、無水物基、ジカルボン酸基が結着樹脂中に均一に分散されているので、トナーに良好な帯電性を与えることができる。
【0101】
また、本発明に用いられるトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に、必要に応じて荷電制御剤を含有させることができる。荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.1〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部使用するのが好ましい。
【0102】
荷電制御剤としては、以下のものが挙げられる。
【0103】
トナーを負荷電性に制御する負荷電制御剤として、例えば有機金属錯体又はキレート化合物が有効である。モノアゾ金属錯体、芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体、芳香族ジカルボン酸系の金属錯体が挙げられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、又はそのエステル類、又は、ビスフェノールのフェノール誘導体類が挙げられる。
【0104】
トナーを正荷電性に制御する正荷電制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのキレート顔料として、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物等)、高級脂肪酸の金属塩として、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキシド等のジオルガノスズオキサイドやジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレートが挙げられる。
【0105】
本発明において、磁性トナーに含まれる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄;Fe,Co,Niのような金属、あるいは、これらの金属とAl,Co,Cu,Pb,Mg,Ni,Sn,Zn,Sb,Be,Bi,Cd,Ca,Mn,Se,Ti,W,Vのような金属との合金、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0106】
具体的な磁性体としては、四三酸化鉄(Fe34)、三二酸化鉄(γ−Fe23)、酸化鉄亜鉛(ZnFe24)、酸化鉄イットリウム(Y3Fe512)、酸化鉄カドミウム(CdFe24)、酸化鉄ガドリニウム(Gd3Fe512)、酸化鉄銅(CuFe24)、酸化鉄鉛(PbFe1219)、酸化鉄ニッケル(NiFe24)、酸化鉄ネオジム(NdFe23)、酸化鉄バリウム(BaFe1219)、酸化鉄マグネシウム(MgFe24)、酸化鉄マンガン(MnFe24)、酸化鉄ランタン(LaFeO3)、鉄粉(Fe)、コバルト粉(Co)、ニッケル粉(Ni)等が挙げられる。上述した磁性体を単独で或いは2種以上の組み合わせ使用する。特に好適な磁性体は、四三酸化鉄又はγ−三二酸化鉄の微粉末である。
【0107】
これらの磁性体は平均粒径が0.05〜1.00μmで、795.8kA/m印加での磁気特性が抗磁力1.6〜12.0kA/m、飽和磁化50〜200Am2/kg(好ましくは50〜100Am2/kg)、残留磁化2〜20Am2/kgのものが好ましい。
【0108】
磁性体の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(30000倍)の写真を撮影し、フェレ径にて算出した。
磁性体の磁気特性の測定は、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−35を用いて行う。測定条件としては、795.8kA/mの外部磁場を作り、そのときの磁化の強さを求める。磁性体を円筒状のプラスチック容器に磁性体が動かない様に十分密になる様にパッキングした状態に作製し、この状態で磁化モーメントを測定し、試料を入れたときの実際の質量を測定して、磁気特性を求める。
【0109】
また、磁性体として用いられる酸化鉄の形状は、八面体であることが好ましい。このような形状を呈する酸化鉄粒子は粒子同士が分離しやすく、凝集性が少なく、結着樹脂へ均一に分散できるためである。また、この様な磁性酸化鉄粒子は、粒子表面に凹凸があったり、多くの面と稜線を有し、適度な角度を有するため、結着樹脂に対する密着性にも優れ物理的に磁性トナー表面上においても固着されているので、磁性トナー粒子からの脱落を防止できる。
【0110】
また、結着樹脂100質量部に対して、磁性体20〜150質量部、好ましくは40〜120質量部使用するのが良い。
【0111】
本発明において、必要に応じて一種又は二種以上の離型剤を、トナー中に含有させてもかまわない。離型剤としては次のものが挙げられる。
【0112】
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックス、また、酸化ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;及び脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;プラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;長鎖アルキルアルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの)、また、脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;また、ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物、また、植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0113】
離型剤の量は、結着樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部、好ましくは0.5〜10質量部が好ましい。
【0114】
また、これらの離型剤は、通常、結着樹脂を溶剤に溶解して、結着樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながら添加混合する方法や、混練時に混合する方法で結着樹脂に含有させることができる。
【0115】
本発明においては、トナーに流動性向上剤を添加しても良い。本発明に用いられるトナーは、上記結着樹脂、磁性体等からなるトナー粒子に、流動性向上剤を外添したものが好ましい。流動性向上剤とは、トナーの流動性が添加前後を比較すると増加し得るものである。流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉体、ポリテトラフルオロエチレン微粉体等のフッ素系樹脂微粉体;湿式製法シリカ微粉体、乾式製法シリカ等のシリカ微粉体酸化チタン微粉体アルミナ微粉体が挙げられ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理したものも好ましい。
【0116】
シリカ微粉体としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものが挙げられる。具体的には、例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次の様なものである。
【0117】
【化3】
SiCl2+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。
【0118】
ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば以下の様な商品名で市販されているものがある。
【0119】
日本アエロジル社のAEROSIL130、200、300、380、TT600、MOX170、MOX80、COK84;CABOT Co.社のCa−O−SiL M−5、MS−7、MS−75、HS−5、EH−5;WACKER−CHEMIE GMBH社のWacker HDK N 20 V15、N20E、T30、T40;ダウコーニングCo.社のD−C Fine Silica;Fransil社のFransol。
【0120】
さらには、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。該処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が30〜80の範囲の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。
【0121】
疎水化方法は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的に処理することによって行う。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法が挙げられる。
【0122】
有機ケイ素化合物としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、および1分子当り2〜12個のシロキサン単位を有し末端に位置する単位にそれぞれ1個宛のSiに結合した水酸基を含有するジメチルポリシロキサン等がある。さらに、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0123】
流動性向上剤の粒径は、平均一次粒径として、0.001〜2μmであることが好ましく、特に好ましくは、0.002〜0.2μmのものを使用するのが良い。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、好ましくは50m2/g以上のものが良好な結果を与える。トナー100質量部に対して流動性向上剤0.01〜8質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0124】
また、必要に応じて、シリカ微粉体以外の外部添加剤を添加してもよい。例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ロール定着時の滑剤または研磨剤の如き働きをする微粉体である。
このような微粉体としては、無機微粉体又は有機微粉体が挙げられる。例えば、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、ケーキング防止剤、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤、現像剤と逆極性の白色微粉体及び黒色微粉体の如き現像性向上剤が挙げられる。混合される外部添加剤の添加量は、トナー100質量部に対して0.1〜5質量部、好ましくは0.1〜4質量部使用するのが良い。
【0125】
以下、本発明におけるトナーの好ましい製造方法の実施の形態を、具体的に説明する。
【0126】
結着樹脂及び磁性体を少なくとも含有し、必要により荷電制御剤、離型剤等を含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粉砕手段によって粗粉砕し、得られた粗粉砕物からなる粉体原料を、第1定量供給機に導入する。具体的には、少なくとも中心回転軸に取り付けられた回転体からなる回転子と、該回転子表面と一定間隔を保持して回転子の周囲に配置されている固定子とを具備し、且つ間隔を保持することによって形成される環状空間が気密状態となるように構成されている機械式粉砕機内に、上記第1定量供給機から所定量の粉体原料を該機械式粉砕機の粉体導入口を介して導入し、該機械式粉砕機の上記回転子を高速回転させることによって粉体原料を微粉砕する。
【0127】
微粉砕された微粉砕物を機械式粉砕機の粉体排出口から排出して、第2定量供給機に導入し、第2定量供給機から所定量の微粉砕物を、交差気流とコアンダ効果を利用して粉体を気流分級する多分割気流式分級機に導入し、該多分割気流式分級機内で微粉砕物を少なくとも微粉体、中粉体及び粗粉体に分級する。分級された粗粉体を粉体原料と混入し、上記機械式粉砕機に再導入して粉砕し、中粉体に分級する。このようにして分級された中粉体からトナーを生成する。
【0128】
上記の方法により、回転子と固定子、それぞれの表面材質を最適化し、且つ回転子と固定子の間隔を最適に保持することによって、重量平均粒径(D4)が5〜10μmであり、該トナー表面において、磁性体の表面存在率が0.05〜0.70である、本発明の磁性トナーを得ることができる。
【0129】
トナーを微粉砕する微粉砕装置としては、上記のように、機械式粉砕機が好ましく用いられるが、その他、ジェット気流を用いたジェット気流式粉砕機、特に衝突式気流式粉砕機を用いることが好ましく、機械式粉砕機に限定されるものではない。ただし、かかる気流式粉砕機を用いた場合は、粉砕後に更に処理工程を加える必要がある。即ち、粉砕法で製造されたトナーを機械式衝撃(ハイブリタイザー)により、トナー粒子の形状及び表面性を改質することによっても本発明のトナーを得ることが可能である。
【0130】
<3>各種物性の測定方法
次に、本発明にかかる各種物性データの測定方法に関して以下に説明する。なお、後述の実施例においても同様に測定した。
(1)粒度分布の測定
粒度分布については、種々の方法によって測定できるが、本発明においてはコールターカウンターのマルチサイザーを用いて行う。
【0131】
測定装置としてはコールターカウンターのマルチサイザーII型(コールター社製)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びCX−1パーソナルコンピュータ(キヤノン製)を接続し、電解液は特級または1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。測定法としては前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記コールターカウンターのマルチサイザーII型により、アパーチャーとして、トナー粒径を測定するときは100μmアパーチャーを用い、無機微粉体の粒径を測定するときは13μmアパーチャーを用いて測定する。トナー及び無機微粉体の体積、個数を測定して、体積分布と、個数分布とを算出する。それから体積分布から求めた重量基準の重量平均粒径を求める。
【0132】
(2)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
【0133】
測定試料は5〜20mg、好ましくは10mgを精密に秤量する。
【0134】
これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30〜200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下測定を行う。
【0135】
この昇温過程で、温度40〜100℃の範囲におけるメインピークの吸熱ピークが得られる。このときの吸熱ピークが出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を本発明におけるガラス転移温度Tgとする。
【0136】
(3)結着樹脂原料の分子量分布の測定
結着樹脂の平均分子量は、GPCによるクロマトグラムから測定したものであり、次の条件で測定される。
【0137】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流す。試料をTHFに溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾液を試料として用いる。試料濃度として0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0138】
カラムとしては、103〜2×106の分子量領域を適確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせるのが良く、例えば、Waters社製のμ−styragel 500,103,104,105の組み合わせや、昭和電工社製のshodex KA−801,802,803,804,805,806,807の組み合わせが好ましい。
【0139】
【実施例】
<1>トナーの製造
<トナー製造例1>
・結着樹脂(ポリエステル樹脂):100質量部
(Tg60℃、酸価20mgKOH/g、分子量:Mp8000、Mw53000、Mw/Mn=17.1)
・酸化鉄(八面体形状):90質量部
(平均粒径0.22μm、Hc(抗磁力)9.5kA/m、σs(飽和磁化)81.5Am2/kg、σr(残留磁化)11.0Am2/kg)
・サリチル酸系アルミ錯体:2質量部
・低分子量ポリエチレン:5質量部
上記の処方の材料を、ヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度130℃に設定した2軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルを用いて1mm以下に粗粉砕した。この粗粉砕物を機械式粉砕機であるターボ工業社製ターボミルT−250型を用い、微粉砕した。
【0140】
粉砕されて得られた微粉砕品を、気流式分級機で分級し、重量平均径7.5μmの磁性トナー粒子を得た。この磁性トナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ微粉体(BET300m2/g)1.0質量部と無機微粉体(M−1)4.0質量部をヘンシェルミキサーにて外添添加して評価用トナー(A)とした。このときの磁性体の表面存在率を算出したところ、表1に示すように0.32となった。
【0141】
<トナー製造例2〜5>
トナー製造例1において、酸化鉄の添加量を変更し、微粉砕及び分級における条件をふり、重量平均粒径を変更した以外は同様にして評価用トナー(B)、(C)、(D)、(E)を得た。これらのトナーにおける磁性体の表面存在率を算出した結果を表1に示す。
【0142】
<トナー製造例6>
トナー製造例1において、結着樹脂をスチレンアクリル樹脂(Tg60.4℃、酸価8.1mgKOH/g、分子量:Mp8000、Mw12000、Mw/Mn=2.2)とした以外は同様にして評価用トナー(F)を得た。磁性体の表面存在率を算出した結果を表1に示す。
【0143】
<トナー製造例7>
トナー製造例1において、その形状が球状の酸化鉄を用いた以外は同様にして評価用トナー(G)を得た。磁性体の表面存在率を算出した結果を表1に示す。
【0144】
<トナー製造例8〜11>
トナー製造例1において、ターボミルT−250型の回転子及び固定子の表面材質、回転子と固定子の間隔、また微粉砕時の温度条件を変更した以外は同様にして評価用トナー(H)、(I)、(J)、(K)を得た。これらのトナーにおける磁性体の表面存在率を算出した結果を表1に示す。
【0145】
<トナー比較製造例1>
トナー製造例1において、ターボミルT−250型の回転子及び固定子の表面材質、回転子と固定子の間隔、また微粉砕時の温度条件を変更した以外は同様にして比較評価用トナー(L)を得た。このトナーにおける磁性体の表面存在率を算出した結果を表1に示す。
【0146】
<トナー比較製造例2>
トナー製造例1において、微粉砕手段をジェットミル粉砕機とした以外は同様にして比較評価用トナー(M)を得た。このトナーにおける磁性体の表面存在率を算出した結果を表1に示す。
【0147】
<トナー比較製造例3〜4>
トナー製造例1において、酸化鉄の添加量を変更し、微粉砕及び分級における条件をふり、重量平均粒径を変更した以外は同様にして比較評価用トナー(N)、(O)を得た。これらのトナーにおける磁性体の表面存在率を算出した結果を表1に示す。
【0148】
【表1】
Figure 0003937816
【0149】
<2>アモルファスシリコン感光体の製造
<アモルファスシリコン感光体の製造例1>
本発明におけるアモルファスシリコン感光体を製造する際には、前駆体の到達量が多くなる条件を選択しつつ、気相中での重合体の発生量を制御することで、堆積膜の品質をできる限り低下させずにΔaを制御して形成した。具体的には、VHF帯域の高周波電力を用い、さらに高周波電力を高低二段にパルス変動させ、且つ、高周波電力の高い方の値を増加させることにより、堆積膜の品質を維持しながらΔaを変化させた。さらに、高周波電力の高低二段の電力値、高周波電力の高い方の値を変化させる変化幅、パルス変動のデューティー比を変化させることによりΔaを制御したアモルファスシリコン感光体1の作製を達成した。
【0150】
以下に、アモルファスシリコン感光体1の製造条件の具体例を示す。
【0151】
図4に示したアモルファスシリコン感光体成膜装置において、発振周波数105MHzの高周波電源を用い、直径80mmのAl基体上に表2に示した条件によりアモルファスシリコン感光体を作製した。その際、光導電層を作製する条件として、高周波電力を高低二段にパルス変動(周波数1KHz)させ、高周波電力の高い方の値PHを1000〜1500Wの変化幅をもって変化させ、低い方の値PLを200Wに設定し、デューティー比[PH印加時間/(PH印加時間+PL印加時間)]を70%に設定した。
【0152】
表3に、作製したアモルファスシリコン感光体1の10μm×10μm範囲の平均傾斜ΔaをAFMにより測定した結果を示す。PHの「1000[W]→1500[W]」は、高低二段にパルス変動させた高い方の高周波電力を光導電層の成膜開始時は1000[W]、終了時は1500[W]でその間は一定の変化率で増加させることを示す。
【0153】
また、アモルファスシリコン感光体製造例1に用いた導電性基体の10μm×10μmの範囲でAFMにより測定した微視的な粗さの観察像を図6に、アモルファスシリコン感光体製造例1で製造した感光体表面の10μm×10μmの範囲でAFMにより測定した微視的な粗さの観察像を図7に示す。
【0154】
<アモルファスシリコン感光体製造例2〜5>
表3にパルス変動の条件を変更して作製したアモルファスシリコン感光体2〜5の10μm×10μm範囲の平均傾斜ΔaをAFMにより測定した結果を示す。パルス変動させる際の高周波電力の高低二段の電力値、高周波電力の高い方の値を変化させる変化幅、パルス変動のデューティー比を変化させることにより、アモルファスシリコン感光体の10μm×10μm範囲における平均傾斜Δaを変化させて作製した。
【0155】
<アモルファスシリコン感光体比較製造例1〜2>
アモルファスシリコン感光体製造例1において、パルス変動の条件を変更して、10μm×10μm範囲の平均傾斜Δaが0.11と1.10のアモルファスSi感光体を作製し、それぞれ比較感光体1、2とした。パルス変動の条件、基体の微視的表面粗さ、界面反射度合い式(1)の値とともに、表3に示す。
【0156】
また、アモルファスシリコン感光体比較製造例1で製造した感光体表面の10μm×10μmの範囲でAFMにより測定した微視的な粗さの観察像を図8に示す。
【0157】
【表2】
Figure 0003937816
【0158】
【表3】
Figure 0003937816
【0159】
【実施例1】
(評価1)
キヤノン製複写機NP6350をデジタル機に改造し、更に、現像、感光体、光学、紙搬送系等を全て調整して複写速度を20%アップさせた。また、感光体としてアモルファスシリコン感光体製造例1において作成した感光体1を搭載させた。この改造機と評価用トナー(A)を、常温低湿(23℃/5%)に一晩(12h以上)放置した。その後、上記トナーをホッパーから補給し現像スリーブを3分間回転させた。
【0160】
印字率3%と、通常より印字率を下げたテストチャートを用いて50万枚の通紙耐久を行い、定期的にべた白、べた黒画像を出力し、トナー付着、クリーニング不良、画像の鮮鋭さの評価を行った。
【0161】
(1−1)トナー付着の評価は、べた黒画像における画像欠陥である白点の個数によって評価した。表4中の記号において、トナー付着の評価は、べた黒画像を出力した際の白点が以下の基準であったことを意味する。
◎:50万枚の耐久後にも、5個以下。
〇:30万枚の耐久後に5個以下で、実用上問題なし。
△:10万枚の耐久後に5個以下、30万枚の耐久後に5個以上。
×:10万枚の耐久後に5個以上確認できる。実用上問題あり。
その結果、トナー付着に関しては、50万枚の耐久後にも白点が4個しか確認されなかったので、◎レベルとした。
【0162】
(1−2)クリーニング不良は、耐久後の感光体表面の観察、及びべた黒画像の白スジによって評価した。表4中の記号において、クリーニング不良の評価基準は以下の通りである。
◎:クリーニングブレードからのトナーのすり抜けが全くない。
〇:画像には現れないが、クリーニングブレードからのすり抜けがある。
△:50万枚耐久後のべた黒画像上にクリーニング不良による白スジが3本以下確認できる。
×:50万枚耐久後のべた黒画像上にクリーニング不良による白スジが多数確認できる。
その結果、クリーニングブレードからのトナーのすり抜けが全く見られなかったので、◎レベルとした。
【0163】
(1−3)画像の鮮鋭さは線幅60〜500μm、間隔60〜500μmの範囲でパターンを形成し、その再現性の良否で判定した。表4中の記号において、画像の鮮鋭さの評価基準は以下の通りである。
◎:50万枚の耐久後にも、線幅を忠実に再現している。
〇:30万枚の耐久後までは、線幅を忠実に再現している。
△:10万枚の耐久後までは、線幅を忠実に再現している。
×:10万枚の耐久後ですでに線幅を再現できていない。
その結果、50万枚の耐久後にも、線幅を忠実に再現していたので、◎レベルとした。
【0164】
(評価2)感光体削れ
評価1で使用したNP6350改造機に、感光体としてアモルファスシリコン感光体製造例1において作成した感光体1を搭載させ、この改造機と評価用トナー(A)を、常温低湿(23℃/5%)に一晩(12h以上)放置した。その後、上記トナーをホッパーから補給し現像スリーブを3分間回転させた。
【0165】
印字率5%のテストチャートを用いて10万枚の通紙耐久を行い、耐久前後での感光体膜厚を測定した。なお、この時、クリーニングブレードの当接圧を50%上げて、感光体に当接させた。表4中の記号において、感光体削れの評価基準は、以下の通りである。
◎:5nm未満
〇:5nm〜10nm
△:10nm〜20nm
×:20nm以上。
【0166】
感光体削れ量が4.7nmだったことから、◎レベルとした。
【0167】
(評価3)粒度変化
評価2につづいて、選択現像の程度を評価するために、現像器を取り出し、スリーブ上の粒度を測定した。粒度の評価は、初期の重量平均粒径(D4)に対する、10万枚耐久後のスリーブ上トナーの重量平均粒径(D4)の比が、以下の値であることを基準とした。結果を表4に示す。
◎:1.1未満
〇:1.1〜1.25
△:1.25〜1.5
×:1.5以上。
【0168】
初期の重量平均粒径7.5μmに対して、10万枚耐久後のスリーブ裏トナーの重量平均粒径8.1μmの比が、1.08だったので、◎レベルとした。
【0169】
【表4】
Figure 0003937816
【0170】
【実施例2〜5】
実施例1において、感光体1の代わりに感光体2〜5をそれぞれ使用した以外は実施例1と同様の評価を行い、表4の結果を得た。
【0171】
【実施例6】
実施例1において、評価トナー(B)を用い、感光体3を使用した以外は実施例1と同様の評価を行い、表4の結果を得た。
【0172】
【実施例7〜15】
実施例6において、評価トナーを、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(I)、(J)、(K)とした以外は実施例6と同様の評価を行い、表4の結果を得た。
【0173】
【比較例1】
実施例1において、評価トナー(L)を用い、感光体3を使用した以外は実施例1と同様の評価を行い、表4の結果を得た。
【0174】
【比較例2〜4】
比較例1において、評価トナー(M)、(N)、(O)を用いた以外は比較例1と同様の評価を行い、表4の結果を得た。
【0175】
【比較例5】
比較例1において、評価トナー(A)を用い、比較感光体1を使用した以外は比較例1と同様の評価を行い、表4の結果を得た。
【0176】
【比較例6】
比較例5において、比較感光体2を使用した以外は比較例5と同様の評価を行い、表4の結果を得た。
【0177】
【発明の効果】
本発明によれば、小粒径のトナーの場合でもクリーニング性が良好で、且つ感光体削れの少ない画像形成方法を提供できる。また、長時間の耐久による選択現像を抑制し、長期にわたり高画質な画像を安定して得ることのできる画像形成方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明におけるアモルファスシリコン感光体の表面保護層の界面反射制御を説明する図。
【図2】 本発明における原子間力顕微鏡(AFM)による平均傾斜Δaの測定範囲を説明する図。
【図3】 本発明におけるアモルファスシリコン感光体の一例の模式的断面図を示す。
【図4】 本発明におけるアモルファスシリコン感光体を製造するためのアモルファスシリコン感光体成膜装置の概略断面図を示す。
【図5】 本発明の画像形成方法を用いた電子写真装置の一例の模式的断面図を示す。
【図6】 本発明に関わる導電性基体の原子間力顕微鏡観察像の一例を示す。
【図7】 実施例で得られたアモルファスシリコン感光体表面の原子間力顕微鏡観察像の一例を示す。
【図8】 比較例で得られたアモルファスシリコン感光体表面の原子間力顕微鏡観察像の一例を示す。
【符号の説明】
101 導電性基体
102 光導電層
103 表面保護層
104 阻止層
105 下部光導電層
106 上部光導電層
107 界面層
300 堆積装置
301 反応容器
312 導電性基体
204 感光体
205 一次帯電器
206 現像器
206a トナー
207 転写帯電器
208 クリーナ
208−1 弾性ローラ
208−2 クリーニングブレード
210 除電ランプ
213 転写材
214 送りローラ
A 画像露光(アナログ光、或いはデジタル光)

Claims (13)

  1. 像担持体を帯電させる帯電工程;帯電された像担持体に静電潜像を形成させる潜像形成工程;前記静電潜像を磁性トナーによってトナー像に現像する現像工程;及び前記像担持体上のトナー像を転写材に転写させる転写工程;転写終了後、像担持体の表面からクリーナーによって残留トナーを除去する工程;を有する画像形成方法において、
    前記像担持体は、導電性基体上に少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層及び表面保護層を順次積層しており、前記表面保護層と前記光導電層の界面組成が連続的に変化しており、前記像担持体の平均傾斜Δaが0.12〜1.0の範囲にあり、
    前記磁性トナーは、結着樹脂と磁性体とを少なくとも有し、重量平均粒径(D4)が5〜10μmであり、該磁性トナー表面における5μm×5μmの範囲を電子顕微鏡像で画像解析することによって得られる磁性体の表面存在率が0.05〜0.70であることを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記表面存在率が0.10〜0.50であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記磁性体は、形状が八面体であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
  4. 前記磁性体は、結着樹脂100質量部に対して20〜150質量部含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 前記磁性体は、結着樹脂100質量部に対して40〜120質量部含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
  6. 前記磁性体の795.8kA/m印加での飽和磁化が50〜200Am/kgであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 前記磁性体の795.8kA/m印加での飽和磁化が50〜100Am/kgであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. 疎水化処理されたシリカ微粉体が外添されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成方法。
  9. 前記像担持体の平均傾斜Δaが0.15〜0.80であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成方法。
  10. 前記像担持体は、導電性基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さRaが9nm未満であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成方法。
  11. 前記像担持体は、導電性基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さRaが6nm未満であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成方法。
  12. 前記界面組成における分光反射率は、波長450〜650nmの範囲における分光反射率の最大値をMax(%)、最小値をMin(%)としたとき、下式(1)を満たすことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の画像形成方法。
    0≦(Max−Min)/(Max+Min)≦0.4 (1)
  13. 前記画像形成方法は、単一波長を主とする光源により画像形成が成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の画像形成方法。
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