JP3880379B2 - 現像剤、画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式を利用し、静電潜像担持体上に形成した静電潜像を現像して可視化する現像剤、画像形成方法及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては多数の方法が知られているが、一般には光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体に電気的潜像を形成し、次いで該潜像をトナーで現像を行って可視像化し、必要に応じて紙等の転写材にトナー像を転写した後に熱/圧力により転写材上にトナー像を定着して最終画像を得るものである。
【0003】
静電潜像を形成する方法としては、従来、原稿をハロゲンランプ等で照射し、反射光を静電潜像保持体上に結像させるアナログ方式と、レーザー光、LED光等を直接、静電潜像保持体上に照射し潜像を形成するデジタル方式とがある。アナログ潜像を形成するためには、400〜700nmの可視光で行う為、この波長域に分光感度をもつ感光ドラムが用いられている。一方、デジタル潜像を形成させるとき、半導体レーザー等で行われる場合には、800nm付近に分光感度をもつ感光ドラムが用いられている。
【0004】
これらの両者の分光感度をもつ感光体には、アモルファスシリコン(以後a−Siと記す)感光体があるが、コスト上膜厚を厚くすることは難しく、実用上では帯電能を上げることが困難であり、低電位コントラストで現像するトナーが必要となる。しかしながら、a−Siの感光体は、耐熱性、耐摩擦性などの耐久性が高く、感度領域が広い上、高感度である為、静電潜像の形成には種々のレーザー光を用いることができる。
【0005】
また、電子写真の現像方法として種々の方法が実用化されており、中でもシンプルな構造の現像器で行え、トラブルも少なく、寿命も長く、メンテナンスも容易であることから、磁性トナーを用いた一成分現像法が好ましく用いられている。
【0006】
しかしながら、これら磁性トナーは、磁性体を含有させることでトナーに磁性を持たせているため、トナーの磁気力で感光体上の現像トナー像が磁性の穂を形成し、転写後の画像の飛び散りや熱圧定着による定着画像尾引きを生じやすい。また転写残トナーにおいても磁性の穂立ちがあるためクリーニングブレードとの摺擦により感光体に傷を作りやすい傾向にある。
【0007】
近年、複写機及びプリンター等の超高速化、長寿命化が望まれており、高耐久性をもつa−Si感光体においてもさらなる長寿命化が望まれている。特にデジタル情報のショートラン印刷としての電子写真現像装置は急速に市場を拡大しており、大量プリントにおける高品位画質の安定化が最重要課題である。この大量プリントにおいて、感光体の回転方向にしたがい形成される罫線画像は、クリーニングブレードに過大な負荷をかけ、転写残トナーによる傷の形成、またクリーニング不良と呼ばれるトナーのすり抜けが顕著になる。
【0008】
上記のような問題点に対してはトナーの転写性をより向上させることが解決策として考えられるが、トナーの形状制御による転写性改良については従来より種々の提案がなされている、例えば、特開昭61−279864号公報においては形状計数SF−1及びSF−2を規定したトナーが提案されている。また特開昭63−235953号公報においては機械的衝撃により球形化した磁性トナーが提案されている。しかしこれらのトナーは、転写残トナーは減少するものの転写残トナーの穂立ちは存在し、ドラムの傷に対する寿命は十分に改善されていない。
【0009】
またアモルファスシリコンを用いた感光体においても種々の提案がされている。例えば、特開平9−297420号公報に開示されているように、アモルファスシリコンを感光層とした感光体において、該感光層を成膜形成する導電性基体表面を切削或いは回転ボールミル装置でもってあらかじめ粗くしておく方法が提案され、表面粗さ計により測定したμmオーダーの表面粗さにより、トナーの付着性を抑制する方法が提案されている。
【0010】
しかし、このような方法では基体形状に起因する光導電層への入射露光量に差を生じやすく、これに微小な傷が生じた場合、より顕著に縞模様が印刷画像上に発生してしまうという問題点があった。また、導電性基体をあらかじめ粗くしておく工程を新たに設けることはコスト高につながるため好ましくない。
【0011】
また、特開平8−129266号公報においては、表面粗度として平均傾斜角θaの値が規定されているが、これは導電性基体の加工形状を規定するもので、表面粗さ計によるmmオーダーの評価長さで測定した値で規定されている(その値はΔa換算で0.0035〜0.0524相当である)。しかし上記公報の技術では、磁性トナーの転写残トナーによる感光体の傷発生を抑制する顕著な効果は認められない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の如き問題点を解決した現像剤、画像形成方法及び画像形成装置を提供するものである。
【0013】
さらに本発明の目的は、常に安定した高精細複写画像を長期にわたり得る現像剤、画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0014】
さらに、本発明の目的は、a−Si感光体を用いたデジタル反転現像、及びアナログ現像において、鮮鋭度の高く、良好な階調性を有するハーフトーン画像と画像部のエッジが目立たない画像を得る現像剤、画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0015】
さらに本発明の目的は、а−Si感光体のさらなる長寿命化を達成することができる現像剤、画像形成方法及び画像形成装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、静電潜像が形成される静電潜像担持体と、現像剤を担持する現像剤担持体とを有し、該現像剤担持体に所定の現像バイアスを印加することにより現像剤を該静電潜像担持体上の静電潜像に付着させトナー像を形成する画像形成装置に使用される現像剤において、静電潜像担持体は、導電性基体と、少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層と、シリコン及び炭素の少なくともいずれかを母体とする非晶質材料で形成される表面保護層とを有し、光導電層及び表面保護層が導電性基体上に順次積層してなり、かつ光導電層及び表面保護層の界面組成が連続的に変化しており、原子間力顕微鏡によって測定される静電潜像担持体表面の平均傾斜が0.12〜1.0の範囲にあり、現像剤は、少なくとも結着樹脂及び磁性酸化鉄を含有するトナー粒子を有し、3μm以下の粒径のトナー粒子を45個数%以上80個数%未満含有し、平均粒径が2.5〜6μmである粒度分布を有し、トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して磁性酸化鉄を10〜200質量部含有しており、3μm以下のトナー粒子中に含まれている磁性酸化鉄がトナー粒子に対して40質量%以下である現像剤を提供する。
【0017】
また本発明は、前記静電潜像担持体、前記現像剤担持体及び前記現像剤を用いる画像形成方法、及び前記静電潜像担持体、前記現像剤担持体を有し、前記現像剤を用いる画像形成装置を提供する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本出願に係る発明によれば、静電潜像担持体(以下、「感光体」とも言う)表面にはトナー粒子の中でとりわけ3μm以下のトナー粒子を多く含む微粒子現像剤から現像層が構築され、3μm以下の微粒子現像剤の存在が多い現像剤は、高精彩潜像を忠実に現像できるものの、転写で感光体上から転写紙に均一に転写することが困難で、特に低濃度画像部の濃度均一性を十分に保ちにくい欠点を有する。
【0019】
さらに3μm以下の粒径のトナー粒子は、潜像を厳密に覆い、忠実に再現する能力を有するが、潜像自身において、特に表面保護層と感光層との界面組成が連続的に変化している場合は、該表面保護層と感光層の量子効率も連続的に変化しており、ハーフトーンの階調潜像は良好であるが、画像部のエッジで光はある程度まわりこみ潜像周囲のエッジ部の電界強度が中央部よりも高くなり、そのため、潜像内部ではエッジ部に比べてトナー粒子の乗りがより少なくなり、画像濃度が薄く見える傾向にある。このため従来では、3μm以下の微粒子現像剤の存在率を極力低下させ、高精彩画像出力性(解像度や細線再現性など)を犠牲にせざるを得ない状況にあった。
【0020】
本発明者らは、鋭意検討の結果 少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層及び表面保護層を順次積層してなる静電潜像担持体である感光体の10μm×10μmの範囲における平均傾斜Δaが0.12〜1.0の範囲にあり、感光体の表面保護層と感光層の界面組成を連続的に変化させることで、現像剤の鏡像力を緩和し、帯電量の高い現像剤の転写性を向上し、かつ現像剤を、3μm以下の粒径のトナー粒子を45個数%以上80個数%未満含有し、トナー粒子の体積平均粒径が2.5〜6μmである粒度分布を有することで、デジタル潜像特有の高精彩画像を忠実に現像することができ、かつ低湿下など現像剤の帯電量が上昇しやすい場合においても転写効率を向上させ、また再転写を防止し、長期間の画出し(現像)に対して安定して高い画像濃度、及び粒状感のない均一かつ高品位なデジタル潜像特有のハーフトーン画像とエッジ効果の軽減を両立できることを見出した。
【0021】
さらに本発明者らは、現像剤の鏡像力軽減効果は必ずしも導電性基体の加工形状に依存する表面粗さ計で測定したμmオーダーの表面粗さによって決まらず、むしろアモルファスシリコン膜固有の微視的な(具体的には数nmから数十nmオーダー)表面粗さに大きく依存していることを見出した。さらに、この微視的な表面形状から求められる平均傾斜Δaに現像剤の鏡像力軽減効果との有意な相関を見出した。
【0022】
特に、ハーフトーンを形成する感光体の静電潜像を本発明に係わる現像剤で現像した場合、すなわち現像剤が3μm以下の粒子を45%以上含有する場合は、アモルファスシリコン感光体の表面における、トナー粒子との接触による感光体の点電荷が多くなるため、平均傾斜Δaが0.12未満であれば鏡像力が強く働く傾向にある。また平均傾斜Δaが1.0を超えれば、静電潜像の乱れからトナー粒子個々に働く鏡像力にバラツキが生じやすい。
【0023】
しかし、導電性基体上に少なくともアモルファスシリコンを含む感光層及び表面保護層を順次積層してなる感光体においては、10μm×10μmの範囲における平均傾斜Δaが0.12〜1.0の範囲、好ましくは0.15〜0.8の範囲であることにより、現像剤の鏡像力を抑制できることと共に、感光体上現像像での現像剤の穂立ちが均一に短く抑制されることを見出した。その結果転写後の画像の飛び散りや熱圧定着による定着画像尾引きが軽減され、転写残トナーにおいても磁性の穂立ちがあるため、クリーニングブレードとの摺擦による感光体の傷が発生しにくいことを本発明者らは見出すことができた。
【0024】
本発明に用いられる静電潜像担持体(感光体)は、導電性基体と、少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層及び表面保護層とを有し、光導電層及び表面保護層が導電性基体上に順次積層してなり、かつ光導電層及び表面保護層の界面組成が連続的に変化しており、原子間力顕微鏡によって測定される静電潜像担持体表面の平均傾斜(Δa)が0.12〜1.0の範囲にある。
【0025】
また本発明に用いられる静電潜像担持体は、後述するが、3μm以下を除くトナー粒子の円形度に対するトナー粒子全体の円形度の比が0.97以上1.03以下である場合では、平均傾斜Δaが0.15〜0.8の範囲にあることが、現像剤の鏡像力を抑制し、感光体上における現像剤の穂立ちを均一かつ短く制御する上でより好ましい。
【0026】
以下、本発明の重要な指標である平均傾斜Δaについて述べる。
平均傾斜Δaは、(株)小坂研究所製(1993年3月製造)の表面粗さ測定器SE−3300の取り扱い説明書 第8章「表面粗さの用語とパラメータの定義」8−12項に記載されているように、測定範囲内に存在し、互いに隣接する全ての山と谷において、谷底から山頂までの高低差の総和を測定長さで除したものであり、測定長さをL、粗さ曲線の関数をf(x)とするときに、以下の式で表される。
【数4】
【0027】
感光体基体の粗さは、前記の旋盤やボールミル、ディンプル処理加工と言った「歯形」や、「処理部材」と言った「型」に依存するものであるが、堆積膜そのものの粗さには「型」はなく、単にJISで規定されるRa(中心線平均粗さ)やRz(十点平均粗さ)では表現しきれない形状因子が存在し、それが前記トナー付着防止の糸口になるのではないかと本発明者らは考えた。
【0028】
具体的には、同一視野(10μm×10μm)の範囲における表面粗さRaが9nm未満の導電性基体の上に、各種条件にてアモルファスシリコン感光層(阻止層、光導電層、表面層、各層の界面を含む全層)を作製し、表面の微細形状を原子間力顕微鏡で観測し、平均傾斜Δaを求めて比較検討した。
【0029】
同様の測定を、従来広く用いられている表面粗さ計、例えば(株)小坂研究所製 接触式表面粗さ計(SE−3400)によって観測したところ、上記表面粗さ計では有意な差を観測できず、本出願で用いる指標はアモルファスシリコン感光体の材料の特性を示す新規な指標であると考えられる。
【0030】
平均傾斜Δaは、原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)によって測定される。原子間力顕微鏡は、横分解能(試料面に平行方向の分解能)は0.5nmを上まわり、縦分解能(試料面に垂直方向の分解能)は0.01〜0.02nmを持ち、試料の三次元的な形状を測定することが可能で、従来から広く用いられている表面粗さ計との大きな違いは、その高い分解能にある。これほどまでの高い分解能においては、感光体基板の粗さが支配的なオーダーの粗さではなく、光導電層や表面保護層と言った、堆積膜そのものの性質に起因する粗さの測定が可能である。このような原子間力顕微鏡としては、例えばQuesant社製 Q−Scope250(Version3.181)が挙げられる。
【0031】
具体的には、Quesant社製 Q−Scope250のTilt Removalモードにより、試料のAFM像の持つ曲線を放物線にフィットさせた後、平坦化する補正(Parabolic)が挙げられる。静電潜像担持体は一般に円筒形状を取っており、前述した手法が本発明においては好適な手法である。さらに、像に傾きが残る場合には、傾きを除去する補正(Line by line)を行う。このように、前述した原子間力顕微鏡を用いる測定では、データに歪みを生じさせない範囲でサンプルの傾きを適宜補正することが可能である。
【0032】
前記原子間力顕微鏡を用いる測定では、微視的な表面粗さを高い精度で再現性良く測定するために、10μm×10μmの測定範囲で、かつサンプルの曲率傾き(tilt)による誤差を避けるように測定することが望ましい。
【0033】
尚、本発明者らはAFMによる測定に際して、幾つかの試料に対して幾つかのスキャンサイズで測定を行った。スキャンサイズ(Scan Size)とはスキャン領域である四角形の一辺の長さであり、したがってスキャンサイズ10μmとは10μm×10μm、すなわち100μm2の範囲をスキャンすることを意味する。グラフ横軸をスキャンサイズにして、平均傾斜Δaとの関係を調べた結果の一部を図10に示す。
【0034】
スキャンサイズを大きく、すなわち測定範囲を広くすると、測定値は安定するが、試料基体のうねり、突起などの特異形状、加工形状の影響により、微細形状が反映され難くなり、スキャンサイズが小さいと測定箇所の選択バラツキが大きくなる。したがって、本発明では上記の測定において10μm×10μm視野に限定するものではないが、測定の検知能力と安定性の総合的に優れた10μm×10μm視野で測定を行うことが好ましい。
【0035】
また本発明者らは、該原子間力顕微鏡により測定した三次元形状から任意の断面曲線の二次元平均傾斜Δaを求めたところ、三次元形状から求めた10μm×10μmの範囲における平均傾斜Δaと概ね一致した。したがって、本発明では上記の測定において三次元形状から求めた10μm×10μmの範囲におけるΔaに限定するものではないが、測定値の安定性、トナー付着防止効果との相関性の面では、三次元形状から求めたΔaであることがより好ましい。
【0036】
また本発明では、導電性基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さが9nm未満、さらには6nm未満であることがより好ましい。導電性基体の表面粗さが9nmよりも大きすぎると、基体形状に起因する光導電層への入射露光量に差を生じやすく、印刷画像上に縞模様が発生することがある。導電性基体の表面粗さは、切削や研磨によって制御することができる。導電性基体の表面粗さは、前述した原子間力顕微鏡(AFM)によって測定することができる。
【0037】
また本発明者らは、感光体の表面保護層と感光層の界面組成を連続的に変化させることで、さらに効果的に現像剤(特に3μm以下の磁性トナー)の鏡像力の抑制ができることを見出した。本発明に用いられる静電潜像担持体の反射率が以下の式を満たすことが望ましい。
【数5】
0≦(Max−Min)/(Max+Min)≦0.4 (1)
(式中、Maxは波長450nmから650nmの範囲における反射率(%)の最大値を示し、Minは波長450nmから650nmの範囲における反射率(%)の最小値を示す。)
【0038】
上記反射率の比が0.4よりも大きいと、静電潜像担持体の感度が表面保護層の膜厚の変化に応じて変動しやすく、表面保護層の膜厚変化に起因するカブリ等の画像不良を生じることがある。
【0039】
上記反射率は分光光度計によって測定することが可能である。本発明では、分光光度計[大塚電子社製 MCPD−2000]を用いて測定することが好ましい。この分光光度計による測定の概要を述べると、まず、分光器の光源の分光発光強度I(0)を取り、次いで感光体の分光反射光度I(D)を取り、反射率R=I(D)/I(0)を求める。高い精度で再現性良く測定するためには、曲率をもつ感光体に対して角度が一定となるようにディテクター治具を固定することが望ましい。
【0040】
界面制御の具体例を図8及び図9に示す。同図8に示した例A(上記式(1)の値:0.48)、B(上記式(1)の値:0.41)が上記式の範囲外である「界面あり」の測定例、同図9に示した例C(上記式(1)の値:0.28)、D(上記式(1)の値:0.16)が本発明に係わる式を満たす「界面なし」の測定例である。図中、二本の線があるのは、それぞれ表面保護層の膜厚違いによる差であり、膜厚の差に応じてグラフ上左右に波形が移動する。
【0041】
反射率の最大値は波形の頂点に相当し、反射率の最小値は波形の谷底に相当し、これらの差は振幅に相当する為、界面ありは界面なしに比べ、単一波長固定で見た場合、膜厚変動に対応して反射率は大きく変動する。すなわち、表面保護層の膜厚変動に対応して静電潜像担持体の感度が大きく変動する。
【0042】
つまり、表面保護層に微細な膜厚変化、例えば微細粗さによる膜厚変化がある場合では、画像露光入射光路の差異に起因する実質的な表面保護層の膜厚むらが生ずる。この膜厚むらにより、界面ありの場合は、界面なしの場合よりも感度の変動が大きくなり、トナー付着の核となるカブリ、又は画像の鮮鋭さをより悪化させるものと考えられる。
【0043】
さらに本発明者らは、上記の表面形状に加え、光導電層を複数の層から構成することが現像剤の鏡像力の抑制を促進させることを見出した。光導電層のバンドギャップにより生じる画像露光の実質的な吸収深さの変動により静電潜像の電位むらが生ずる。この電位むら、具体的には残留電位、ゴースト電位により、画像の鮮鋭さを悪化させるものと考えられる。そこで、光導電層を複数の層から構成すると、前述した電位むらを抑えることが可能となる。組成の異なる複数の層から光導電層を構成する場合では、その界面組成を連続的に変化させることが、積層構造の利点を生かし、かつ前述した残留電位等の電位むらを抑える上で好ましい。
【0044】
以下、本発明に用いられる静電潜像担持体を必要に応じて図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0045】
図1に本発明に用いられる静電潜像担持体の形態を示す。
本発明に用いられる静電潜像担持体は、例えばAl、ステンレス等の導電性材料からなる導電性基体101上に、光導電層102及び表面保護層103を順次積層したものである。尚、光導電層102及び表面保護層103の界面組成は連続的に変化しており、両層の間には両層の組成が連続的に変化する界面層107が形成されている。
【0046】
本発明に用いられる静電潜像担持体は、これら層の他に、例えば導電性基体101から光導電層102への電荷の注入を阻止する阻止層104や反射防止層などの種々の機能層を必要に応じて設けてもよいものである。例えば、ドーパントを第13族元素、第15族元素などから選択する事により、正帯電、負帯電と言った帯電極性が制御された阻止層104、界面層107等を設けることが可能となる。
【0047】
基体形状は静電潜像担持体の駆動方式などに応じた所望のものとしてよい。導電性基体の材質としては上記Alやステンレスの如き導電性材料が一般的であるが、例えば各種のプラスチックやセラミックス等、特には導電性を有しないものにこれら導電性材料を蒸着するなどして導電性を付与したものも用いることができる。
【0048】
光導電層102としては、少なくともアモルファスシリコンを含む光導電性の層であれば良く、例えばシリコン原子と、水素原子はハロゲン原子を含む非晶質材料(「a−Si(H,X)」と略記する)等が挙げられる。また、光導電層102の層厚としては特に限定はないが、製造コストなどを考慮すると15〜50μm程度が適当である。
【0049】
さらに、特性を向上させる為に下部光導電層105(例えば電荷輸送層)と上部光導電層106(例えば電荷発生層)のように複数の層構成にしても良い。特に半導体レーザーのように、比較的長波長であってかつ波長ばらつきのほとんどない光源に対しては、こうした層構成の工夫によって画期的な効果が現れる。
【0050】
表面保護層103は、シリコン及び炭素の少なくともいずれかを母体とする非晶質材料で構成されるものであれば良く、一般的にa−SiC(H,X)で形成されるが、a−C(H,X)としても良い。光導電層102と表面保護層103の界面組成は連続的に変化させ、当該部分の界面反射を抑制させるように制御する。
【0051】
本発明に用いられる静電潜像担持体は、所望の元素組成の非晶質膜を所望の膜厚で形成する化学蒸着等の方法によって形成することができ、特に好ましい方法としては、高周波プラズマCVD(PCVD)法が挙げられる。本発明に用いられる静電潜像担持体は、図3に示すPCVD装置によって製造することができる。
【0052】
図3に示すPCVD装置は、電子写真用感光体の製造に使用する一般的なPCVD装置である。このPCVD装置は、堆積装置300、原料ガス供給装置及び排気装置(共に図示せず)を備えている。
【0053】
堆積装置300には縦型の真空容器からなる反応容器301を有し、この反応容器301内の周囲には内には縦方向の原料ガス導入管303が複数本配設され、ガス導入管303の側面には、長手方向に沿って多数の細孔が設けられている。反応容器301内の中心には、螺旋状に巻線したヒータ302が縦方向に延設され、導電性基体312は、容器301内の上部の蓋301aを開けて反応容器301内に挿入され、ヒータ302を内側にして反応容器301内に垂直に設置される。また、反応容器301の側面の一方に設けた凸部304から高周波電力が供給される。
【0054】
反応容器301の下部には、原料ガス導入管303に接続された原料ガス供給管305が取り付けられ、この原料ガス供給管305は、供給バルブ306を介して図示しない前記原料ガス供給装置に接続されている。
【0055】
また、反応容器301に下部には排気管307が取り付けられ、この排気管307はメイン排気バルブ308を介して図示しない前記排気装置(例えば真空ポンプ)に接続されている。排気管307には、他に真空計309、サブ排気バルブ310が取り付けられている。
【0056】
上記の装置を用いたPCVD法による静電潜像担持体の製造は次のように行われる。
まず、反応容器301内に導電性基体312をセットし、蓋301aを閉じた後、図示しない排気装置により反応容器301内を所定の圧以下まで排気し、以後排気を続けながら、ヒータ302により導電性基体312を内側から加熱して、導電性基体312を20℃〜450℃の範囲内の所定の温度に制御する。
【0057】
導電性基体312が所定の温度に維持されたら、所望の原料ガスをそれぞれの流量制御器(図示せず)により調節しながら、供給バルブ306、原料ガス供給管305及び原料ガス導入管303を介して反応容器301内に導入する。導入された原料ガスは反応容器301内を満たした後、排気管307を通って反応容器301外に排気される。
【0058】
このようにして、原料ガスが満たされた反応容器301内が所定の圧力になって安定したことを真空計309により確認したら、図示しない高周波電源(13.56MHzのRF帯域、又は50〜150MHzのVHF帯域、等)により、高周波を所望の投入電力量で反応容器301内に導入し、反応容器301内にグロー放電を発生させる。このグロー放電のエネルギーによって、原料ガスの成分が分解してプラズマイオンが生成し、導電性基体312の表面に非晶質構造の堆積膜(例えばケイ素を主体としたa−Si堆積層)が形成される。この際、ガス種、ガス導入量、ガス導入比率、圧力、基体温度、投入電力、膜厚などのパラメータを調整することにより様々な特性のa−Si堆積層等を形成することにより、電子写真特性を制御することができる。
【0059】
このようにして導電性基体312の表面にa−Si堆積層等が所望の膜厚で形成されたら、高周波電力の供給を止め、供給バルブ306等を閉じて、反応容器301内への原料ガスの導入を停止し、一層分のa−Si堆積層等の形成を終える。
【0060】
同様の操作を複数回繰り返すことにより所望の多層構造のa−Si感光層が形成され、導電性基体312の表面に多層構造のa−Si感光層を有する静電潜像担持体が製造される。
【0061】
また、表面保護層と光導電層の界面反射の低減、制御については、前述の一層分のa−Si堆積層の形成を終える際に、高周波電力を停止させず、かつ原料ガスの供給も停止させず連続的に次の層の電力条件、ガス組成に変化させることで達成される。又は、高周波電力は一旦停止させるものの、原料ガスを前の層の構成から開始し、所望の構成に連続的に変化させながら成膜させることによっても達成が可能である。
【0062】
以上において、原料ガス導入管303の長手方向上に分布した細孔から反応容器301内に導入される原料ガスの原料ガス導入管303長手方向での流量分布、排気管307からの排ガスの流出速度、放電エネルギー等を調整することによって、導電性基体312上におけるa−Si堆積層の、長手方向に沿った電子写真特性を制御することができる。
【0063】
本発明に用いられる静電潜像担持体の平均傾斜Δaの制御方法の一例を以下に示す。
本発明では、導電性基体上に阻止層、光導電層、表面保護層などの各機能層を高周波プラズマCVD(PCVD)法により成膜することによって静電潜像担持体を製造することができるが、本発明に好適なΔa=0.12〜1.0の範囲の表面粗さを得るためには、高周波電力及びその周波数、ガス流量、圧力、基板温度、膜厚などの製造条件の各パラメーターを調整することが有効である。
【0064】
一般にΔaの大きい堆積膜表面を形成するための条件としては、(1)堆積膜の成長表面に到達する膜形成の前駆体が十分に表面拡散しない、或いは前駆体の到達量が多く表面拡散する時間が十分に得られない場合、(2)気相重合反応が起き易い条件で堆積膜の形成を行い、気相中で発生した重合体を取り込みながら堆積膜が形成される場合、が挙げられる。具体的には、高周波電力を大きくする、ガス流量を増加する、圧力を大きくする、基板温度を低くする、膜厚を増加するなどがΔaの大きい堆積膜表面を形成するための条件として考えられる。
【0065】
しかしながら、このような製造条件では堆積膜の品質低下につながり易く、a−Si感光体を作製した場合に十分な電子写真特性を得るのが困難となり、歩留まりの低下をもたらす場合がある。特に、(2)の重合体の取り込みはa−Si堆積膜の光劣化を誘発することが示唆されており、できる限り重合体の取り込みを抑制しながらa−Si感光体を作製することが好ましい。即ち、Δaの大きい静電潜像担持体を形成するためには、堆積膜の品質をできる限り低下させないように注意深く製造条件の各パラメーターを調整することが必須となる。
【0066】
また、このようなΔaの大きい堆積膜表面を形成するための製造条件は、その効果を考えると感光体の大部分を占める光導電層に採用することが好ましいが、電子写真特性に及ぼす影響が少ない阻止層や表面保護層においてのみΔaを制御する条件を採用しても良い。
【0067】
本発明の現像剤の構成について、詳しく説明をする。本発明者らは、前述の静電潜像担持体と、後述する現像剤とを用いて画像を形成することにより、高精彩デジタル潜像をより忠実に現像することを可能にし、転写残トナーの感光体へのクリーニングブレードで生じる傷を顕著に抑制できることを見出した。
【0068】
本発明の現像剤は、少なくとも結着樹脂及び磁性酸化鉄を含有するトナー粒子を有し、3μm以下の粒径のトナー粒子を45個数%以上80個数%未満含有し、平均粒径が2.5〜6μmである粒度分布を有する。また前記トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して磁性酸化鉄を10〜200質量部含有しており、3μm以下のトナー粒子中に含まれている磁性酸化鉄がトナー粒子に対して40質量%以下である。
【0069】
本発明の現像剤は、3μm以下の粒径のトナー粒子が全粒子数の45個数%以上80個数%未満であり、好ましくは50〜79個数%であり、さらに好ましくは55〜75個数%である。3μm以下の粒径のトナー粒子が45個数%よりも少ないと、高画質に有効なトナー粒子が少なく、現像像の磁性の穂立ちを抑制できず、現像剤が穂状態で転写されるため、転写での画像飛び散りや定着飛び散り、さらにはハーフトーンの均一性等に劣る傾向にある。特に、コピー又はプリントアウトを続けることによって現像剤が使われるにしたがい、有効なトナー粒子成分が減少して、画質が次第に低下してくると共に、ブレードクリーニングにおいてクリーニング不良が生じやすい。
【0070】
また、3μm以下の粒径のトナー粒子が全粒子数の80個数%以上であると、トナー粒子相互の凝集状態が生じやすく、本来の粒径以上のトナー塊となるため、荒れた画質となり、解像性を低下させる場合がある。
【0071】
また、本発明の現像剤は平均粒径が2.5〜6μmである粒度分布を有する。現像剤の平均粒径が2.5μm未満の場合、微粒子トナーが過剰となり、転写電界が一様でなくなり、現像像、特に細線やライン画像で転写による飛び散りが目立つ傾向にある。現像剤の平均粒径が6.0μmを超える場合、現像像での磁性の穂立ちが高くなり定着で穂がつぶれることによる飛び散り、尾引き現象が顕著となる傾向にある。上記個数%及び粒度分布は、トナー粒子製造時における分級条件によって制御することが可能である。
【0072】
また本発明の現像剤においてトナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して磁性酸化鉄を10〜200質量部含有している。磁性酸化鉄の含有量は結着樹脂100質量部に対し、好ましくは30〜200質量部、より好ましくは40〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部である。磁性酸化鉄の含有量が10質量部未満では、現像剤の搬送に磁気力を用いる現像器においては、搬送性が不十分で現像剤担持体上の現像剤層にむらが生じ画像むらとなる傾向にあり、さらに現像剤トリボの上昇に起因する画像濃度の低下が生じ易い傾向にある。また磁性酸化鉄の含有量が200質量部を超えると定着性に問題が生ずる傾向にある。
【0073】
本発明では、以下に示す方法によってトナー粒子中の磁性酸化鉄の定量を行うことができる。トナー粒子2gを秤量し、1Nの塩化水素水溶液200mlにトナー粒子を24時間分散させる。トナー粒子中の結着樹脂分は不溶であるため、磁性酸化鉄が溶出する。この分散液をろ過し、ろ液をICP発光分光法にて鉄原子濃度を測定する、この測定値は磁性酸化鉄(Fe3O4)の鉄分であり、磁性酸化鉄(Fe3O4)として換算してトナー粒子中の磁性酸化鉄量(質量%)を求める。
【0074】
また本発明の現像剤において、3μm以下のトナー粒子中に含まれている磁性酸化鉄がトナー粒子に対して40質量%以下である。3μm以下のトナー粒子中に含まれている磁性酸化鉄が上記数値よりも多いと、感光体上で現像像を形成するトナー粒子の穂立ちの高さをより均一に抑制できなくなる傾向にある。これは、3μm以下のトナー粒子が現像像の最下層部(感光体に接する箇所)に集中する傾向にあることに起因する。
【0075】
前述のごとき本発明の現像剤は、感光体上での磁性の穂立ちをより均一に抑制できるため、感光体上に形成された潜像の細線に至るまで忠実に再現することが可能であり、網点及びデジタルのようなドット潜像の再現にも優れ、階調性及び解像性に優れた画像を与える。さらに、コピー又はプリントアウトを続けた場合でも高画質を維持し、かつ、高濃度の画像の場合でも、従来の磁性トナーより少ないトナー消費量で良好な現像を行うことが可能であり、経済性、及び複写機又はプリンター本体の小型化にも利点を有するものである。
【0076】
また本発明において前記トナー粒子は、トナー粒子全体の円形度をRTとし、3μm以下を除くトナー粒子の円形度をRSとしたときに、0.97≦RS/RT≦1.03であることが好ましい。この範囲にあるトナー粒子は、その粒子径に係わらずその形状が均質になっており、前述した静電潜像担持体との鏡像力が軽減され、かつ現像性、転写性でトナー粒子間の相互作用も均質的になるため、高精細かつ高精彩デジタル潜像を生かした画像形成を行う上でより好ましい。
【0077】
上記円形度の比が上記範囲よりも小さいと、相対的に粒子径の大きいトナー粒子が不定形であることを示し、静電潜像の微小ドットの現像で不定形なトナー粒子の存在によりドットが乱れる傾向にあり、上記円形度の比が上記範囲よりも大きいと、粒子径の小さいトナー粒子が不定形であることを示し、前述した静電潜像担持体との鏡像力が軽減されにくいことに起因する転写、クリーニング等の問題が生じやすい傾向にある。
【0078】
本発明におけるトナー粒子の粒度や円形度は、それぞれ別個に測定しても良いが、本発明ではトナー粒子の粒度分布を測定でき、かつ円形度も測定できる測定装置を用いて、本発明の現像剤に係る粒度分布及び円形度を測定することが好ましい。
【0079】
ここで円形度とは、粒子の形状を定量的に表現するものであり、下記式で表される。円形度は1.000に近づくほど完全な円に近づき、それよりも小さくなるほど非円形であることを示す。
【数6】
円形度(R)=L0/L
(式中、L0は粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは粒子の投影像の周囲長を示す。)
【0080】
前述した粒度分布及び円形度の両方を測定できる測定装置としては、東亜医用電子製フロー式粒子像分析装置FPIA−1000が挙げられる。
【0081】
上記装置を用いた具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、さらに測定試料を0.1〜0.5g程度加え、試料を分散した懸濁液に超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナー粒子の形状、粒度及び円形度を測定する。
【0082】
本発明においてトナー粒子の粒度測定は、従来のエレクトロゾーン法では細孔内容積に比べて粒子が小さいため正確に測定することは困難であり、フラットシースフローセルを通過したトナー粒子を1/30秒間隔でCCDカメラで撮像された静止画像で画像解析するフロー式粒子像分析装置が、3μm以下の粒子を測定するのに適している。
【0083】
本発明に使用される結着樹脂の種類としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂及び石油系樹脂が使用できる。架橋されたスチレン系樹脂も好ましい結着樹脂である。
【0084】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドのような二重結合を有するモノカルボン酸若しくはその置換体;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルのような二重結合を有するジカルボン酸及びその置換体;例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルのようなビニルエステル類;例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンのようなエチレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンのようなビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル類;が挙げられる。これらのビニル単量体は、単独若しくは組み合わせて用いられる。
【0085】
ここで架橋剤としては、主として二個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート及び1,3−ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を二個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド及びジビニルスルホンのジビニル化合物;及び三個以上のビニル基を有する化合物;が単独若しくは混合物として使用できる。
【0086】
圧力定着用に供されるトナー粒子用の結着樹脂としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、高級脂肪酸、ポリアミド樹脂及びポリエステル樹脂が挙げられる。これらは単独又は混合して用いることが好ましい。
【0087】
本発明の現像剤に用いられる結着樹脂のガラス転移点(Tg)は好ましくは45〜80℃、より好ましくは50〜70℃である。
【0088】
本発明の現像剤は、THF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布において、分子量3,000〜20,000の領域、好ましくは分子量3,500〜19,000の領域、さらに好ましくは分子量4,000〜18,000の領域に最大ピークを少なくとも1つ有することが良い。
【0089】
この領域に分子量の最大ピークを有する現像剤は、トナー粒子中の磁性酸化鉄の分散性が良好なため、現像剤の磁気的な穂立ちが緻密化され、細線の再現性、ハーフトーンの現像性が良好となる。また静電潜像担持体上に形成された現像像の穂立ちや転写後の穂立ちも低くなるため、本発明の作用効果である、転写、定着の尾引き抑制、クリーニング不良抑制についてもより効果的になる。
【0090】
分子量3,000未満の最大ピークを有する現像剤では熱的弾性が低下し、クリーニングブレードの摩擦力で融着が発生しやすく、また分子量20,000を超える最大ピークを有する現像剤では、磁性酸化鉄の分散性が不十分になる傾向にあるため、本発明の転写、定着の尾引き抑制、クリーニング不良抑制効果が十分に発揮できなくなる傾向にある。
【0091】
本発明において、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムのピーク又は/及びショルダーの分子量は次の条件で測定される。
【0092】
まず、試料は以下のようにして作製する。
試料をTHF中に入れ、約12時間放置したのち十分に振とうしTHFとよく混ぜ、さらに12時間以上静置する。その後サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.45μm、例えばエキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製が利用できる。)を通過させたものを、GPCの試料とする。試料濃度は、樹脂成分が0.5〜5mg/mlとなるように調整する。
【0093】
本発明において、THF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムのピーク又は/及びショルダーの分子量は次の条件で測定される。
【0094】
すなわち、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。
【0095】
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製、あるいは東洋ソーダ工業社製、昭和電工社製の、分子量が102〜108程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
【0096】
なお、カラムとしては102〜3×107の分子量領域を測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、800pの組み合わせや、Waters社製のウルトラスタイラジェル500A−THF、103A−THF、104A−THF、105A−THF、106A−THFの組み合わせ、或いはA−Tolueneシリーズの組み合わせを挙げることができる。
【0097】
本発明の現像剤には荷電制御剤をトナー粒子に配合(内添)、又はトナー粒子と混合(外添)して用いることが好ましい。荷電制御剤によって、現像システムに応じた最適の荷電量コントロールが可能となり、特に本発明の現像剤においては、粒度分布と荷電量とのバランスをさらに安定したものとすることが可能である。
【0098】
現像剤を負荷電性に制御するための負荷電制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸金属錯体、芳香族ジカルボン酸金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノカルボン酸及び芳香族ポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類が挙げられる。
【0099】
また現像剤を正荷電性に制御するための正荷電制御剤としては、例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物等);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;が挙げられる。
【0100】
これらの荷電制御剤は、単独あるいは二種類以上組み合わせて用いることができる。
【0101】
上述した荷電制御剤は微粒子状として用いることが好ましく、この場合これらの荷電制御剤の個数平均粒径は4μm以下さらには3μm以下が特に好ましい。これらの荷電制御剤をトナー粒子に内添する場合は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部、特に0.2〜10質量部添加することが好ましい。
【0102】
本発明において用いられる磁性酸化鉄としては、四三酸化鉄、γ−酸化鉄の如き酸化鉄を主成分とするもので、必要に応じて鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム及びケイ素等の一種又は二種以上の元素を含む金属酸化物等が挙げられる。現像剤の帯電性コントロールの観点から、ケイ素元素又はアルミニウム元素の如き他の元素を含有していてもよい。これら磁性酸化鉄は、窒素吸着法によるBET比表面積が好ましく2〜30m2/g、特に3〜28m2/g、さらにモース硬度が5〜7であることが好ましい。
【0103】
磁性酸化鉄の形状としては、8面体、6面体、球体、針状、鱗片状などがあるが、8面体、6面体、球体及び不定型の如き異方性の少ない形状のものが画像濃度を高める上で好ましい。磁性酸化鉄の平均粒径としては、好ましくは0.05〜1.0μm、より好ましくは0.1〜0.6μm、さらに好ましくは、0.1〜0.4μmである。
【0104】
本発明の現像剤は、従来より知られている種々の外添剤をトナー粒子と混合して構成することができる。このような外添剤としては、例えば現像剤の流動性をより向上させるための無機微粉体が挙げられる。
【0105】
トナー粒子と共に含有される無機微粉体としては公知のものを用いることができるが、帯電安定性、現像性、流動性及び保存性向上のため、シリカ、アルミナ、チタニア及びその複酸化物の中から選ばれることが好ましい。さらには、シリカであることがより好ましい。例えば、シリカはケイ素ハロゲン化物やアルコキシドの蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式シリカ、ヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及びアルコキシド、水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの少なくともいずれかが使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3 2-の如き製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、前記シリカはそれらも包含する。
【0106】
本発明に用いられる無機微粉体はBET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上、特に50〜400m2/gの範囲のものが良好な結果を与える。
【0107】
この無機微粉体の現像剤における含有量は、現像剤100質量部に対して好ましくは0.1〜8質量部、より好ましくは0.5〜5質量部、さらに好ましくは1.0を超えて3.0質量部までである。
【0108】
本発明に用いられる無機微粉体は、必要に応じ、疎水化及び帯電性制御の目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で、あるいは併用して処理されていることが好ましい。例えば低消費量及び高転写率を達成するためには、無機微粉体をシリコーンオイル等で処理することが好ましい。
【0109】
なお、無機微粉体の比表面積は、BET法にしたがって、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて求めることができる。
【0110】
また、本発明の現像剤においては、実質的な悪影響を与えない範囲内でさらに他の添加剤、例えばテフロン粉末、ステアリン酸亜鉛粉末、ポリフッ化ビニリデン粉末の如き滑剤粉末;酸化セリウム粉末、炭化ケイ素粉末、チタン酸ストロンチウム粉末の如き研磨剤;例えば酸化チタン粉末、酸化アルミニウム粉末の如き流動性付与剤;ケーキング防止剤;例えばカーボンブラック粉末、酸化亜鉛粉末、酸化スズ粉末の如き導電性付与剤;逆極性の有機微粒子及び逆極性の無機微粒子の如き現像性向上剤を用いることもできる。
【0111】
本発明の現像剤は、例えば、結着樹脂、磁性酸化鉄、及びワックス、金属塩ないしは金属錯体、着色剤としての顔料、染料、又は磁性酸化鉄、荷電制御剤、その他の添加剤を必要に応じて用い、ヘンシェルミキサー、ボールミルの如き混合機により十分混合してから加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して、樹脂類をお互いに相溶せしめた中に金属化合物、顔料、染料、磁性酸化鉄を分散又は溶解せしめ、冷却固化、粉砕後、必要に応じて分級及び表面処理を行ってトナー粒子を得、必要に応じ無機微粉体等を添加混合して製造する方法が好ましく用いられる。
【0112】
本発明の現像剤における特定の粒度分布を達成するためには、機械衝撃式粉砕装置及びジェット式粉砕装置の如き一般的な粉砕装置を用いた方法により粉砕(必要に応じて分級)するだけでも良いが、さらに補助的に機械的衝撃を加える処理をしてもよい。
【0113】
機械的衝撃力を加える処理としては、例えば、川崎重工社製のクリプトロンシステムやターボ工業社製のターボミルの如き機械衝撃式粉砕機を用いる方法;或いは、ホソカワミクロン社製のメカノフュージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナー粒子をケーシングの内側に遠心力により押し付け、圧縮力及び摩擦力によりトナー粒子に機械的衝撃力を加える方法;が挙げられる。
【0114】
特に無機微粉体等をトナー粒子に添加混合する際に機械的衝撃による粉砕を行う方法が3μm以下のトナー粒子分布を調整しやすい。この方法によれば、トナー粒子でトナー粒度分布を調整してから無機微粉体を添加混合する場合と比較して、無機微粉体のトナー粒子への付着性が良好であり、遊離の無機微粉体が生じにくい。
【0115】
具体的な一例として、ヘンシェルミキサーの槽内では混合回転方向にトナー粒子の大きな流れがあり、これに邪魔板を用い回転軸方向にも循環流(軸流)を生じさせ、無機微粉体をトナー粒子へ付着させながらトナー粒子を互いにぶつけ合いその衝撃によって粉砕する方法がある。ただし邪魔板は槽内壁に当接せず、槽内壁から邪魔板の最近接距離を1mm〜30mmの範囲で設定することが好ましい。
【0116】
本発明では、前述した現像剤を担持する現像剤担持体が用いられる。この現像剤担持体は、磁性酸化鉄を含有する現像剤を表面に担持できるものであれば特に限定されず従来より知られている現像剤担持体を用いることができる。このような現像剤担持体としては、例えばステンレスやアルミニウム等の非磁性導電性円筒体を回転自在に設け、一方で複数の磁極を有し円筒体表面に複数の磁界を形成するマグネットロールを前記円筒体の中に固定した現像剤担持体が挙げられる。
【0117】
本発明では、前述した静電潜像担持体、現像剤、及び現像剤担持体を用い、現像剤担持体に所定の現像バイアスを印加することにより現像剤を静電潜像担持体上の静電潜像に付着させトナー像を形成する。
【0118】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段としては、従来より知られているように、静電潜像担持体を帯電させる帯電手段と、画像情報に応じた光を帯電した静電潜像担持体に照射する露光手段とが用いられる。帯電手段や露光手段には従来より知られている種々の手段を用いることができ、例えば帯電手段にはコロナ帯電器や帯電ローラ等の接触帯電部材を有する接触帯電手段等、露光手段には半導体レーザー照射装置等を用いることができる。
【0119】
現像剤担持体は、従来より知られている現像装置、すなわち現像剤を収容する現像容器と、現像容器の開口部に設けられる現像剤担持体と、現像剤担持体上の現像剤を規制して現像剤担持体上の現像剤の層厚を規制する層厚規制手段とを有する現像装置を用いることができる。また現像剤担持体に印加される現像バイアスについては、直流、交流、及びこれらの重畳バイアスが知られており、本発明ではそのいずれであっても良い。
【0120】
また、現像方法については、現像剤担持体上に担持された現像剤が静電潜像担持体に対して非接触となるように現像剤担持体と静電潜像担持体とを配置して、現像剤担持体上の現像剤を静電潜像担持体へ飛翔させる非接触式現像方法と、現像剤担持体上に担持された現像剤が静電潜像担持体に対して接触するように現像剤担持体と静電潜像担持体とを配置して、現像剤担持体上の現像剤を静電潜像担持体に摺擦させる接触式現像方法とが知られているが、本発明ではそのいずれであっても良い。
【0121】
また本発明では、静電潜像担持体に形成されたトナー像を紙等の転写材に転写する転写手段、転写材上の未定着トナー像を転写材に定着させる定着手段、転写後の静電潜像担持体上に残留する転写残トナーをクリーニングブレード等のクリーニング部材によって除去するクリーニング手段、クリーニング後の静電潜像担持体表面の静電履歴を消去する前露光手段等、種々の手段を必要に応じて用いることができる。
【0122】
本発明に用いられる画像形成装置の一例を以下に説明する。
本発明に用いられる画像形成装置としては、例えば図2に示す画像形成装置が挙げられる。この画像形成装置は、静電潜像担持体204と、静電潜像担持体204を帯電させる一次帯電器205と、帯電した静電潜像担持体204に画像露光Aを照射して静電潜像を形成するレーザー照射装置(図示せず)と、トナー206aを収容し開口部に現像剤担持体と現像剤層厚規制手段とを有する現像器206と、静電潜像担持体204上のトナー像を転写材213に転写する転写帯電器217と、転写後の静電潜像担持体204上に残留する転写残トナーを除去するクリーナー208と、クリーニング後の静電潜像担持体204表面の静電履歴を消去する除電ランプ210と、転写材213を転写帯電器217及び静電潜像担持体204の間に送る送りローラー214と、トナー像を転写した後の転写材213を静電潜像担持体204の表面から分離するための分離帯電器215とを有する。
【0123】
静電潜像担持体204は、本発明に用いられる静電潜像担持体として前述したa−Si系感光体であり、トナー206aは前述した本発明の現像剤である。またクリーナー208は、除去された転写残トナーを収容する廃トナー容器と、廃トナー容器の開口部に回転自在に設けられ静電潜像担持体204に当接する弾性ローラー208−1と、静電潜像担持体204の回転方向において弾性ローラー208−1よりも下流側にあり、廃トナー容器の開口部に設けられ静電潜像担持体204に当接する弾性ブレードであるクリーニングブレード208−2とを有する。
【0124】
また本発明では、図4に示すように、静電潜像担持体の導電性基体に光透過性の導電性基体を用いることにより、露光手段を静電潜像担持体の内側に設けた画像形成装置を用いることも可能である。
【0125】
【実施例】
以下、本発明を製造例及び実施例により具体的に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0126】
上記材料をブレンダーにて混合し、材料投入口温度を50℃、混練シェアがかかるニーディングゾーンでは120℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗砕物をジェットミルで微粉砕した。次いで得られた微粉砕物を、コアンダ効果を用いた多分割分級機にて分級して磁性トナー母粒子を得た。
【0127】
次いで得られた磁性トナー母粒子100質量部(10kg)に対し、アミノ変性シリコーンオイルとアミノシランカップリング剤で疎水化処理された乾式シリカ(処理後のBET比表面積100m2/g)を0.8質量部(80g)、チタン酸ストロンチウム微粒子(BET比表面積2.1m2/g)を3.0質量部(300g)添加し、ヘンシェルミキサー混合機(75J型、下羽根S0/上羽根Z0、邪魔板と槽内壁との距離10mm、1900rpm、8分間混合)にて混合し、磁性トナー1を得た。
【0128】
得られた磁性トナー1の平均粒径は3.1μm、3μm以下の粒子は65.2個数%であった。得られた磁性トナー1を(コアンダ効果を用いた)多分割分級機にて分級して3μm以下の粒子に含有される磁性酸化鉄の存在量を測定したところ25.3質量%であった。これらの測定の結果を表1に示す。また磁性トナー1のTHF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布において、最大ピーク分子量は12,000であった。また磁性トナー1全体の円形度(RT)と3μm以下を除く磁性トナー1の円形度(RS)との比RS/RTは0.99であった。
【0129】
上記材料をブレンダーにて混合し、材料投入口温度を50℃、混練シェアがかかるニーディングゾーンでは120℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗砕物をジェットミルで微粉砕した。次いで得られた微粉砕物を、コアンダ効果を用いた多分割分級機にて分級して磁性トナー母粒子を得た。
【0130】
次いで得られた磁性トナー母粒子100質量部(10kg)に対し、アミノ変性シリコーンオイルとアミノシランカップリング剤で疎水化処理された乾式シリカ(処理後のBET比表面積100m2/g)を0.8質量部(80g)、チタン酸ストロンチウム微粒子(BET比表面積2.1m2/g)を2.5質量部(250g)添加し、ヘンシェルミキサー混合機(75J型、下羽根S0/上羽根Z0、邪魔板と槽内壁との距離7mm、1900rpm、10分間混合)にて混合し、磁性トナー2を得た。
【0131】
得られた磁性トナー2の平均粒径は2.6μm、3μm以下の粒子は71.3個数%であった。得られた磁性トナー2を(コアンダ効果を用いた)多分割分級機にて分級して3μm以下の粒子に含有される磁性酸化鉄の存在量を測定したところ14.1質量%であった。これらの測定の結果を表1に示す。また磁性トナー2のTHF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布において、最大ピーク分子量は14,000であった。また磁性トナー2全体の円形度(RT)と3μm以下を除く磁性トナー2の円形度(RS)との比RS/RTは0.98であった。
【0132】
上記材料をブレンダーにて混合し、材料投入口温度を70℃、混練シェアがかかるニーディングゾーンでは120℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗砕物をジェットミルで微粉砕した。次いで得られた微粉砕物を、コアンダ効果を用いた多分割分級機にて分級して磁性トナー母粒子を得た。
【0133】
次いで得られた磁性トナー母粒子100質量部(10kg)に対し、アミノ変性シリコーンオイルとアミノシランカップリング剤で疎水化処理された乾式シリカ(処理後のBET比表面積100m2/g)を0.8質量部(80g)、チタン酸ストロンチウム微粒子(BET比表面積2.1m2/g)を4.0質量部(400g)添加し、ヘンシェルミキサー混合機(75J型、下羽根S0/上羽根Z0、邪魔板と槽内壁との距離20mm、1000rpm、5分間混合)にて混合し、磁性トナー3を得た。
【0134】
得られた磁性トナー3の平均粒径は5.5μm、3μm以下の粒子は50.1個数%であった。得られた磁性トナー3を(コアンダ効果を用いた)多分割分級機にて分級して3μm以下の粒子に含有される磁性酸化鉄の存在量を測定したところ34.1質量%であった。これらの測定の結果を表1に示す。また磁性トナー3のTHF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布において、最大ピーク分子量は10,000であった。また磁性トナー3全体の円形度(RT)と3μm以下を除く磁性トナー3の円形度(RS)との比RS/RTは1.00であった。
【0135】
上記材料をブレンダーにて混合し、材料投入口温度を80℃、混練シェアがかかるニーディングゾーンでは130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗砕物をジェットミルで微粉砕した。次いで得られた微粉砕物を、コアンダ効果を用いた多分割分級機にて分級して磁性トナー母粒子を得た。
【0136】
次いで得られた磁性トナー母粒子100質量部(10kg)に対し、アミノ変性シリコーンオイルとアミノシランカップリング剤で疎水化処理された乾式シリカ(処理後のBET比表面積100m2/g)を0.8質量部(80g)、チタン酸ストロンチウム微粒子(BET比表面積2.1m2/g)を1.5質量部(150g)添加し、ヘンシェルミキサー混合機(75J型、下羽根S0/上羽根Z0、邪魔板と槽内壁との距離30mm、1500rpm、6分間混合)にて混合し、磁性トナー4を得た。
【0137】
得られた磁性トナー4の平均粒径は5.7μm、3μm以下の粒子は46.3個数%であった。得られた磁性トナー4を(コアンダ効果を用いた)多分割分級機にて分級して3μm以下の粒子に含有される磁性酸化鉄の存在量を測定したところ38.5質量%であった。これらの測定の結果を表1に示す。また磁性トナー4のTHF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布において、最大ピーク分子量は5,000であった。また磁性トナー4全体の円形度(RT)と3μm以下を除く磁性トナー4の円形度(RS)との比RS/RTは1.03であった。
【0138】
上記材料をブレンダーにて混合し、材料投入口温度を80℃、混練シェアがかかるニーディングゾーンでは130℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗砕物をジェットミルで微粉砕した。次いで得られた微粉砕物を、コアンダ効果を用いた多分割分級機にて分級して磁性トナー母粒子を得た。
【0139】
次いで得られた磁性トナー母粒子100質量部(10kg)に対し、アミノ変性シリコーンオイルとアミノシランカップリング剤で疎水化処理された乾式シリカ(処理後のBET比表面積300m2/g)を0.6質量部(60g)、チタン酸ストロンチウム微粒子(BET比表面積2.1m2/g)を3.5質量部(350g)添加し、ヘンシェルミキサー混合機(75J型、下羽根S0/上羽根Z0、邪魔板と槽内壁との距離5mm、2100rpm、8分間混合)にて混合し、磁性トナー5を得た。
【0140】
得られた磁性トナー5の平均粒径は2.6μm、3μm以下の粒子は79.3個数%であった。得られた磁性トナー5を(コアンダ効果を用いた)多分割分級機にて分級して3μm以下の粒子に含有される磁性酸化鉄の存在量を測定したところ29.5質量%であった。これらの測定の結果を表1に示す。また磁性トナー5のTHF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布において、最大ピーク分子量は18,000であった。また磁性トナー5全体の円形度(RT)と3μm以下を除く磁性トナー5の円形度(RS)との比RS/RTは0.97であった。
【0141】
上記材料をブレンダーにて混合し、材料投入口温度を100℃、混練シェアがかかるニーディングゾーンでは150℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗砕物をジェットミルで微粉砕した。次いで得られた微粉砕物を、コアンダ効果を用いた多分割分級機にて分級して磁性トナー母粒子を得た。
【0142】
次いで得られた磁性トナー母粒子100質量部(10kg)に対し、アミノ変性シリコーンオイルとアミノシランカップリング剤で疎水化処理された乾式シリカ(処理後のBET比表面積200m2/g)を0.6質量部(60g)、チタン酸ストロンチウム微粒子(BET比表面積2.1m2/g)を1.0質量部(100g)添加し、ヘンシェルミキサー混合機(75J型、下羽根S0/上羽根Z0、邪魔板と槽内壁との距離60mm、1000rpm、3分間混合)にて混合し、比較磁性トナー1を得た。
【0143】
得られた比較磁性トナー1の平均粒径は6.3μm、3μm以下の粒子は33.3個数%であった。得られた比較磁性トナー1を(コアンダ効果を用いた)多分割分級機にて分級して3μm以下の粒子に含有される磁性酸化鉄の存在量を測定したところ46.5質量%であった。これらの測定の結果を表1に示す。また比較磁性トナー1のTHF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布において、最大ピーク分子量は21,800であった。また比較磁性トナー1全体の円形度(RT)と3μm以下を除く比較磁性トナー1の円形度(RS)との比RS/RTは1.06であった。
【0144】
上記材料をブレンダーにて混合し、材料投入口温度を100℃、混練シェアがかかるニーディングゾーンでは120℃に加熱した二軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗砕物をジェットミルで微粉砕した。次いで得られた微粉砕物を、コアンダ効果を用いた多分割分級機にて分級して磁性トナー母粒子を得た。
【0145】
次いで得られた磁性トナー母粒子100質量部(10kg)に対し、アミノ変性シリコーンオイルとアミノシランカップリング剤で疎水化処理された乾式シリカ(処理後のBET比表面積200m2/g)を0.6質量部(60g)、チタン酸ストロンチウム微粒子(BET比表面積2.1m2/g)を3.0質量部(300g)添加し、ヘンシェルミキサー混合機(75J型、下羽根S0/上羽根Z0、邪魔板と槽内壁との距離7mm、1900rpm、12分間混合)にて混合し、比較磁性トナー2を得た。
【0146】
得られた比較磁性トナー2の平均粒径は2.2μm、3μm以下の粒子は84.3個数%であった。得られた比較磁性トナー2を(コアンダ効果を用いた)多分割分級機にて分級して3μm以下の粒子に含有される磁性酸化鉄の存在量を測定したところ66.5質量%であった。これらの測定の結果を表1に示す。また比較磁性トナー2のTHF可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布において、最大ピーク分子量は2,800であった。また比較磁性トナー2全体の円形度(RT)と3μm以下を除く比較磁性トナー2の円形度(RS)との比RS/RTは0.95であった。
【0147】
【表1】
【0148】
<ドラムの製造例>
本実施例では、前駆体の到達量が多くなる条件を選択しつつ、気相中での重合体の発生量を制御することで、堆積膜の品質をできる限り低下させずにΔaを制御して、導電性基体上に阻止層、光導電層及び表面保護層を形成し、a−Si系感光体を製造した。
【0149】
具体的には、VHF帯域の高周波電力を用い、さらに高周波電力を高低二段にパルス変動させ、かつ、高周波電力の高い方の値を増加させることにより、堆積膜の品質を維持しながらΔaを変化させた。さらに、高周波電力の高低二段の電力値、高周波電力の高い方の値を変化させる変化幅、パルス変動のデューティー比を変化させることにより、Δaを制御したa−Si感光体を作製した。
【0150】
以下に、本実施例に用いたa−Si感光体の製造条件の具体例を示す。図3に示したa−Si感光体成膜装置において、発振周波数105MHzの高周波電源を用い、直径108mmのAl基体上に、表2に示した条件で堆積膜を形成し、a−Si感光体を作製した。その際、光導電層を作製する条件として、表3に示したように高周波電力を高低二段にパルス変動(周波数1kHz)させ、高周波電力の高い方の値PHを1000〜3000Wの範囲内で変化幅をもって変化させ、低い方の値PLを200〜600Wの範囲で設定し、デューティー比[PH印加時間/(PH印加時間+PL印加時間)]を30〜90%の範囲で設定した。
【0151】
表3に、パルス変動の条件を変更して作製したa−Si感光体の10μm×10μm範囲の平均傾斜ΔaをAFMにより測定した結果を示す。PHの「A[W]→B[W]」は、高低二段にパルス変動させた高い方の高周波電力を、光導電層の成膜開始時はA[W]、終了時はB[W]でその間は一定の変化率で増加させることを示す。
【0152】
表3から分かるように、パルス変動させる際の高周波電力の高低二段の電力値、高周波電力の高い方の値を変化させる変化幅、パルス変動のデューティー比を変化させることにより、a−Si感光体の10μm×10μm範囲における平均傾斜Δaを0.11〜1.10の範囲で変化させて作製することができた。なお、表3における感光体1のAFM観察画像を図5に、比較感光体1のAFM観察画像を図6、に上記Al基体のAFM観察画像を図7にそれぞれ示す。
【0153】
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
また表3における感光体1と比較感光体1の表面を、従来より広く用いられている表面粗さ計として、(株)小坂研究所製 接触式表面粗さ計(SE−3400)によって観測したところ、図11に示すように、上記表面粗さ計では両感光体間に有意な差を観測することができなかった。
【0156】
<実施例1>
市販のデジタル複写機GP−605(キヤノン(株)製)に、ドラム製造例1の感光体1を組み込み、トナー製造例1の磁性トナー1を用いて、温度10℃、湿度5%RH(低温・低湿環境下)にて300,000枚の複写試験を行い、以下の項目について評価した。300,000枚複写後の画像評価結果を表4に示す。なお、出力画像は感光体ドラム周方向にベタ黒ライン幅3mm、ライン間隔12mmのパターンがA4横全面にある画像にした。
【0157】
(1)画像濃度
マクベス濃度計(マクベス社製)でSPIフィルターを使用して、反射濃度測定を行い、直径5mm丸(50)の画像を測定した。
【0158】
(2)カブリ
反射濃度計(リフレクトメーターモデルTC6DS東京電色社製)をもちいて行い、画像形成後の白地部反射濃度最悪値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Ds−Drをカブリ量としてカブリの評価を行った。数値の少ない方がカブリが少なく良い。
【0159】
(3)クリーニング不良
低温低湿環境下(温度10℃、湿度5%RH)での300,000枚の耐久後、A3ベタ黒全面画像を10枚画出し後、ベタ白画像を画出し、画像に確認できるクリーニング不良の評価を行った。
◎(優):未発生。
○(良):わずかに発生するが、画像への影響は殆どない。
△(可):トナーがクリーニングブレードをすり抜けたと思われる画像(罫線部に)が観察された。
×(不可):クリーニングブレードをすり抜けたと思われる画像が多く、画像への影響が大きい。
【0160】
(4) ドラム傷
300,000枚耐久後にハーフトーン画像を出力し、感光体の表面の傷を出力画像で目視評価した。
◎(優):未発生。
○(良):わずかに発生するが、画像への影響はない。
△(可):小さな傷があり画像への影響が認められる。
×(不可):深い傷が多く画像への影響が大きい。
【0161】
(5)高精細現像性
本実施例では、高精細現像性として細線再現性を次に示すような方法によって測定した。正確に幅50μmとした細線のオリジナル原稿を適正なる複写条件でコピーし、得られた画像を測定用サンプルとし、測定装置として、ルーゼックス450粒子アナライザーを用いて、拡大したモニター画像からインジケーターによって線幅の測定を行う。このとき、線幅の測定位置は、トナーの細線画像の幅方向に凹凸があるため、凹凸の平均的線幅をもって測定点とする。これにより、細線再現性の値(%)は、下記式によって算出する。
【数7】
【0162】
(6)解像力の測定
本実施例では、解像力の測定は次の方法によって行った。すなわち、線幅及び間隔の等しい5本の細線よりなるパターンで、1mmの間に2.8、3.2、3.6、4.0、4.5、5.0、5.6、6.3、7.1、8.0本あるように描かれているオリジナル画像をつくる。この10種類の線画像を有するオリジナル原稿を適正なる複写条件でコピーし、得られた画像を拡大鏡にて観察し、細線間が明確に分離している画像の本数(本/mm)をもって解像力の値とする。この数字が大きいほど、解像力が高いことを示す。
【0163】
<実施例2〜5>
磁性トナー1を磁性トナー2、磁性トナー3、磁性トナー4、及び磁性トナー5に変更する以外は、実施例1と同様にして評価した。結果を表4に示す。
【0164】
<実施例6〜9>
感光体1を感光体2、感光体3、感光体4及び感光体5に変更する以外は実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0165】
<比較例1>
磁性トナー1の代わりに比較磁性トナー1、感光体1の代わりに比較感光体1を用いる以外は、実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示す。
【0166】
<比較例2>
磁性トナー1の代わりに比較磁性トナー2を用いる以外は実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示す。
【0167】
<比較例3>
磁性トナー1の代わりに磁性トナー4、感光体1の代わりに比較感光体2を用いる以外は実施例1と同様にして評価した。評価結果を表4に示す
【0168】
【表4】
【0169】
【発明の効果】
本発明によれば、導電性基体と、少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層と、シリコン及び炭素の少なくともいずれかを母体とする非晶質材料で形成される表面保護層とを有し、前記光導電層及び表面保護層が導電性基体上に順次積層してなり、かつ光導電層及び表面保護層の界面組成が連続的に変化しており、原子間力顕微鏡によって測定される静電潜像担持体表面の平均傾斜が0.12〜1.0の範囲にある静電潜像担持体と、現像剤を担持する現像剤担持体とを有し、該現像剤担持体に所定の現像バイアスを印加することにより現像剤を該静電潜像担持体上の静電潜像に付着させトナー像を形成する画像形成装置に使用される現像剤であって、少なくとも結着樹脂及び磁性酸化鉄を含有するトナー粒子を有し、3μm以下の粒径のトナー粒子を45個数%以上80個数%未満含有し、平均粒径が2.5〜6μmである粒度分布を有し、トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して磁性酸化鉄を10〜200質量部含有しており、3μm以下のトナー粒子中に含まれている磁性酸化鉄がトナー粒子に対して40質量%以下であることから、a−Si感光体上に形成されたアナログ及びデジタル静電荷像を高精細に顕像化し、長期間にわたり高精細、高品位画像を提供でき、さらにa−Si感光体の寿命特にデジタル潜像では顕在化する耐傷寿命を飛躍的の延ばす現像剤を提供することができる。
【0170】
また本発明によれば、導電性基体と、少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層と、シリコン及び炭素の少なくともいずれかを母体とする非晶質材料で形成される表面保護層とを有し、前記光導電層及び表面保護層が導電性基体上に順次積層してなり、かつ光導電層及び表面保護層の界面組成が連続的に変化しており、原子間力顕微鏡によって測定される静電潜像担持体表面の平均傾斜が0.12〜1.0の範囲にある静電潜像担持体、現像剤を担持する現像剤担持体、及び、少なくとも結着樹脂及び磁性酸化鉄を含有するトナー粒子を有し、3μm以下の粒径のトナー粒子を45個数%以上80個数%未満含有し、平均粒径が2.5〜6μmである粒度分布を有し、トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して磁性酸化鉄を10〜200質量部含有しており、3μm以下のトナー粒子中に含まれている磁性酸化鉄がトナー粒子に対して40質量%以下である現像剤、を用いることから、長期間にわたり高精細、高品位画像を提供でき、さらにa−Si感光体の寿命特にデジタル潜像では顕在化する耐傷寿命を飛躍的の延ばすことができる。
【0171】
また本発明では、トナー粒子全体の円形度をRTとし、3μm以下を除くトナー粒子の円形度をRSとしたときに、0.97≦RS/RT≦1.03であり、静電潜像担持体の平均傾斜が0.15〜0.8の範囲にあると、現像剤及び転写性に優れ、転写後の現像剤の飛び散りや定着時における尾引きが抑制され、かつ静電潜像担持体の傷発生を抑制する上でより一層効果的である。
【0172】
また本発明では、導電性基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さが9nm未満であると、光導電層への入射露光量の差に伴う画像上の縞模様の発生を抑制する上でより効果的であり、導電性基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さが6nm未満であるとより一層効果的である。
【0173】
また本発明では、静電潜像担持体は、波長450nmから650nmの範囲における反射率(%)の最大値をMax、最小値をMinとしたときに、0≦(Max−Min)/(Max+Min)≦0.4の関係を満たすと、光導電層及び表面保護層等を含む静電潜像担持体上の層の膜厚変動に起因する画質の低下を抑制する上でより一層効果的である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる静電潜像担持体の一例を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の画像形成装置における一実施の形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明に用いられる静電潜像担持体を製造するための成膜装置の一例を示す要部概略断面図である。
【図4】本発明の画像形成装置における他の実施の形態を示す要部概略構成図である。
【図5】実施例における感光体1の原子間力顕微鏡観察像を示す図である。
【図6】実施例における比較感光体1の原子間力顕微鏡観察像を示す図である。
【図7】実施例で用いられた導電性基体の原子間力顕微鏡観察像を示す図である。
【図8】表面保護層と光導電層との間に界面が存在する静電潜像担持体の反射率測定における測定波長と反射率との関係を示すグラフである。
【図9】表面保護層と光導電層との間に界面が存在しない静電潜像担持体の反射率測定における測定波長と反射率との関係を示すグラフである。
【図10】AFMの測定範囲と平均傾斜の関係を示すグラフである。
【図11】従来の表面粗さ計による測定範囲と平均傾斜の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
101、312 導電性基体
102、405 光導電層
103、406 表面保護層
104 阻止層
105 電荷輸送層
106 電荷発生層
107 界面層
204、402 静電潜像担持体
205 一次帯電器
206、408 現像器
206a トナー
207 転写帯電器
208 クリーナー
208−1 弾性ローラー
208−2 クリーニングブレード
210 除電ランプ
213 転写材
214 送りローラー
215 分離帯電器
300 堆積装置
301 反応容器
301a 蓋
302 ヒータ
303 原料ガス導入管
304 凸部
305 原料ガス供給管
306 供給バルブ
307 排気管
308 メイン排気バルブ
309 真空計
310 サブ排気バルブ
403 透孔性支持体
404 透孔性導電性層
405a 絶縁性キャリア注入阻止層
407 LEDヘッド
409 転写ローラー
411 磁極ローラ
412 導電性スリーブ
413 トナー受け
414 磁気ブラシ
415 バイアス電源
416 トナー層
417 記録紙
418 残留トナー
A 画像露光(アナログ光、或いはデジタル光)
Claims (10)
- 静電潜像が形成される静電潜像担持体と、現像剤を担持する現像剤担持体とを用い、該現像剤担持体に所定の現像バイアスを印加することにより現像剤を該静電潜像担持体上の静電潜像に付着させトナー像を形成する画像形成方法において、前記静電潜像担持体は、導電性基体と、少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層と、シリコン及び炭素の少なくともいずれかを母体とする非晶質材料で形成される表面保護層とを有し、前記光導電層及び表面保護層が導電性基体上に順次積層してなり、かつ光導電層及び表面保護層の界面組成が連続的に変化しており、原子間力顕微鏡によって測定される静電潜像担持体表面の平均傾斜が0.12〜1.0の範囲にあり、前記現像剤は、少なくとも結着樹脂及び磁性酸化鉄を含有するトナー粒子を有し、3μm以下の粒径のトナー粒子を45個数%以上80個数%未満含有し、平均粒径が2.5〜6μmである粒度分布を有し、前記トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して磁性酸化鉄を10〜200質量部含有しており、3μm以下のトナー粒子中に含まれている磁性酸化鉄がトナー粒子に対して40質量%以下であることを特徴とする画像形成方法。
- 前記トナー粒子全体の円形度をRTとし、3μm以下を除くトナー粒子の円形度をRSとしたときに、0.97≦RS/RT≦1.03であり、前記静電潜像担持体の平均傾斜が0.15〜0.8の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記導電性基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さが9nm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
- 前記導電性基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さが6nm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記静電潜像担持体は、波長450nmから650nmの範囲における反射率(%)の最大値をMax、最小値をMinとしたときに、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【数1】
0≦(Max−Min)/(Max+Min)≦0.4 - 静電潜像が形成される静電潜像担持体と、現像剤を担持する現像剤担持体とを有し、該
現像剤担持体に所定の現像バイアスを印加することにより現像剤を該静電潜像担持体上の静電潜像に付着させトナー像を形成する画像形成装置において、前記静電潜像担持体は、導電性基体と、少なくともアモルファスシリコンを含む光導電層と、シリコン及び炭素の少なくともいずれかを母体とする非晶質材料で形成される表面保護層とを有し、前記光導電層及び表面保護層が導電性基体上に順次積層してなり、かつ光導電層及び表面保護層の界面組成が連続的に変化しており、原子間力顕微鏡によって測定される静電潜像担持体表面の平均傾斜が0.12〜1.0の範囲にあり、前記現像剤は、少なくとも結着樹脂及び磁性酸化鉄を含有するトナー粒子を有し、3μm以下の粒径のトナー粒子を45個数%以上80個数%未満含有し、平均粒径が2.5〜6μmである粒度分布を有し、前記トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して磁性酸化鉄を10〜200質量部含有しており、3μm以下のトナー粒子中に含まれている磁性酸化鉄がトナー粒子に対して40質量%以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記トナー粒子全体の円形度をRTとし、3μm以下を除くトナー粒子の円形度をRSとしたときに、0.97≦RS/RT≦1.03であり、前記静電潜像担持体の平均傾斜が0.15〜0.8の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
- 前記導電性基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さが9nm未満であることを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成装置。
- 前記導電性基体の10μm×10μmの範囲における表面粗さが6nm未満であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記静電潜像担持体は、波長450nmから650nmの範囲における反射率(%)の最大値をMax、最小値をMinとしたときに、以下の式を満たすことを特徴とする請求項6〜9のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【数2】
0≦(Max−Min)/(Max+Min)≦0.4
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