JP3937417B2 - 含フッ素不飽和エステルの製造方法 - Google Patents
含フッ素不飽和エステルの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素医農薬の中間体として有用な新規な含フッ素カルボン酸エステルおよびその中間体の製造方法、および、該中間体として新規な不飽和エステルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、(1)カルボニル基をメチレン基に変換する方法としては、クレメンゼン還元(Ber. ,1913,46,1837)や、ウォルフ−キシュナー還元(J.Russ.Phys.Chem.Soc.,1911,43,582、Ann.,1911,394,86)等の方法、(2)α−置換−β−ケトエステルを合成する方法としては、金属ナトリウムの存在下にクライゼン縮合する方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、(1)β−ケトエステル構造を有する化合物のカルボニル基をメチレン基に変換するためには、上記の方法ではうまくいかない問題があり、実際には多段階の工程からなる反応方法が採用されていた。このような多段階の工程からなる方法の工業化は難しい問題があった。(2)の方法における金属ナトリウムは、取扱いが難しい欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来の技術の上記問題を解決するためになされたものである。本発明の方法は、反応操作が簡便で取扱いの容易な試薬を用い、かつ、短い工程で、医薬・農薬等の合成中間体として有用な化合物を提供する。また、本発明の方法によれば、新規な中間体化合物を提供する。
【0005】
すなわち本発明は、下式1で表される化合物と下式2で表される化合物とを縮合反応して下式3で表される含フッ素β−ケトエステルとし、つぎに該式3で表される含フッ素β−ケトエステルと、下式4で表されるカルボン酸無水物、下式5で表されるカルボン酸ハライド化合物、または下式6で表されるスルホン酸ハライド化合物とを、塩基の存在下に反応させる、下式7で表される含フッ素不飽和エステルの製造方法を提供する。
【0006】
また、本発明は、式7で表される含フッ素不飽和エステルの還元反応および脱(R 5 −Q 1 −O−)基反応を同時に行うことを特徴とする下式8で表される含フッ素カルボン酸エステルの製造方法を提供する。なお、式8で表される含フッ素カルボン酸エステルをさらに加水分解することにより下式9で表される含フッ素カルボン酸を製造することができる。
【0007】
ただし、下式中の記号は、以下の意味を示す。
R1 :水素原子、フッ素原子、アリール基、アルアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基。
R3 :水素原子、アリール基、アルアルキル基、または炭素数1〜10のアルキル基。
R5 :アリール基、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフルオロアルキル基。
R4 :炭素数1〜4のアルキル基。
R2 :炭素数1〜5のアルキル基。
X1 、X2 :それぞれ独立に、ハロゲン原子。
Q1 :−CO−または−SO2 −。
【0008】
【化7】
R1 CF2 COOR2 ・・・式1
R3 CH2 COOR4 ・・・式2
R1 CF2 −C(O)−CH(R3 )(COOR4 )・・・式3
[R5 C(O)]2 O・・・式4
R5 C(O)X1 ・・・式5
R5 SO2 X2 ・・・式6
(R1 CF2 )(R5 −Q1 −O)C=C(R3 )(COOR4 )・・・式7
R1 CF2 CH2 −CH(R3 )(COOR4 )・・・式8
R1 CF2 CH2 −CH(R3 )(COOH)・・・式9
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、発明を詳細に説明する。
なお、以下において、式1で表される化合物と式2で表される化合物との縮合反応により式3で表される含フッ素β−ケトエステルとする反応を「反応1」、式3で表される含フッ素β−ケトエステルと、式4で表されるカルボン酸無水物、式5で表されるカルボン酸ハライド化合物、または式6で表されるスルホン酸ハライド化合物とを、塩基の存在下に反応させて式7で表される含フッ素不飽和エステルとする反応を「反応2」、式7で表される含フッ素不飽和エステルの還元反応および脱(R5 −Q1 −O−)基反応を同時に(一段階の反応で)行って式8で表される含フッ素カルボン酸エステルとする反応を「反応3」、含フッ素カルボン酸エステルを加水分解して含フッ素カルボン酸とする反応を「反応4」という。
【0010】
また本明細書におけるアリール基としては、フェニル基、ビフェニリル基(フェニルフェニル基)、ナフチル基等が挙げられる。また、アリール基の芳香環にはハロゲン原子や置換基が結合していてもよく、たとえば、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基等が挙げられる。
【0011】
本明細書におけるアルアルキル基としては、炭素数1〜2のアルキル基の末端水素原子に上記のアリール基が結合した基が好ましく、ベンジル基、フェニルエチル基、2−メチルベンジル基、3−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0012】
本明細書におけるアルキル基としては、直鎖構造または分岐構造のアルキル基が好ましい。炭素数1〜10のアルキル基の具体例としては、−CH3 、−(CH2 )n CH3 (nは1〜9の整数。)、−(CH2 )m CH(CH3 )2 (mは1〜7整数。)、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。また、炭素数1〜5または炭素数1〜4のアルキル基の具体例としては、前記アルキル基の例のうち炭素数1〜5または炭素数1〜4の範囲にあるものが好ましい。
【0013】
本明細書におけるフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の1個以上がフッ素原子に置換された基を意味する。また、フルオロアルキル基のうち、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換されたフルオロアルキル基をパーフルオロアルキル基という。パーフルオロアルキル基は、直鎖構造または分岐構造のパーフルオロアルキル基が好ましい。パーフルオロアルキル基の炭素数は1〜6が好ましく、特に1〜4が好ましい。パーフルオロアルキル基の具体例としては、−CF3 、−(CF2 )3 CF3 、−CF2 CF(CF3 )2 等が挙げられる。
【0014】
本発明の製造方法は、必ずしも明確ではないが、下式で表すことができる。ただし、式中の記号は、上記と同じ意味を示す。
【0015】
【化8】
【0016】
本発明における反応1〜反応4を順に説明する。
反応1は、化合物(式1)と化合物(式2)とを縮合反応して含フッ素β−ケトエステル(式3)とする反応である。該縮合反応は、エステル縮合またはクライゼン縮合としても知られる公知の反応であり、公知の方法(特開昭62−84064)にしたがって実施できる。
【0017】
本発明の反応1は、金属ナトリウムを用いたクライゼン縮合反応の金属ナトリウムを水素化ナトリウムに変え、その他の条件や方法は、通常のクライゼン縮合と同様の方法により実施するのが好ましい。水素化ナトリウムを用いた反応は、取扱いが容易である試薬を用いる点で有利であり、かつ、該反応は収率がよい利点がある。
【0018】
化合物(式1)におけるR1 は、フッ素原子が好ましい。化合物(式1)としては、下記化合物が挙げられる。なお、本明細書においてPhはフェニル基を示す。
【0019】
CF3 COOCH3 、
CF3 COOCH2 CH3 、
CF3 COO(CH2 )2 CH3 、
CF3 COO(CH2 )3 CH3 、
CF3 COO(CH2 )4 CH3 、
CF2 HCOOCH3 、
CH3 CF2 COOCH3 、
CH3 CH2 CF2 COOCH3 、
CF3 CF2 COOCH3 、
PhCF2 COOCH3 、
PhCH2 CF2 COOCH3 。
【0020】
化合物(式2)におけるR3 は、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基が好ましい。R4 は、メチル基またはエチル基が好ましい。化合物(式2)としては、下記化合物が挙げられる。
【0021】
CH3 COOCH3 、
CH3 COOCH2 CH3 、
CH3 COO(CH2 )2 CH3 、
CH3 CH2 COOCH3 、
CH3 CH2 CH2 COO(CH2 )2 CH3 、
PhCH2 COO(CH2 )2 CH3 、
PhCH2 CH2 COO(CH2 )2 CH3 。
【0022】
反応1における化合物(式2)の量は、化合物(式1)に対して50〜200モル%が好ましく、90〜120モル%が特に好ましい。水素化ナトリウムの量は、式8の化合物の50〜200モル%が好ましく、90〜120モル%が特に好ましい。
【0023】
反応1においては、反応溶媒を用いてもよく、用いなくてもよい。反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル系溶媒、t−ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等の鎖状エーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒等が挙げられ、環状エーテル系溶媒またはアミド系溶媒が特に好ましい。
【0024】
反応1の反応温度は室温〜150℃が好ましく、40〜100℃が特に好ましい。また、反応溶媒を用いる場合の反応温度は、40℃以上、溶媒沸点以下とするのが好ましい。
【0025】
反応1では、含フッ素β−ケトエステル(式3)が生成する。含フッ素β−ケトエステル(式3)中のR3 が水素原子以外の基である場合、R3 が結合する炭素原子は不斉炭素原子となる。含フッ素β−ケトエステル(式3)中に不斉炭素原子が存在する場合、該不斉炭素原子に結合する基の絶対配置は特に限定されない。また、不斉炭素原子を有する含フッ素β−ケトエステル(式3)としては、光学的対掌体のいずれかを光学分割したものであってもよく、光学的対掌体の混合物(たとえばラセミ体等)であってもよい。
【0026】
含フッ素β−ケトエステル(式3)におけるR1 、R3 、R4 は、式1または式2における対応する基または原子と同一である。R1 、R3 、R4 の好ましい態様は上記と同じである。
【0027】
含フッ素β−ケトエステル(式3)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。ただし、含フッ素β−ケトエステル(式3)中の不斉炭素原子はC* で表し、該C* に結合する基または原子の絶対配置はSまたはRのいずれでもよい。
【0028】
CF3COCH2(COOCH3)、
CF3COC*H(CH3)(COOCH3) 、
CF3COC*H(CH3)(COOCH2CH3)、
CF2HCOC*H(CH3)(COOCH2CH3) 、
CH3CF2COC*H(CH3)(COOCH2CH3) 、
CH3CH2CF2COC*H(CH3)(COOCH3) 、
CF3(CF2)2COC*H(CH3)(COOCH3) 、
CF3(CF2)2COC*H(CH3)(COOCH2CH3)、
PhCF2COC*H(CH3)(COOCH2CH3)、
PhCH2CF2COC*H(CH3)(COOCH2CH3) 、
CF3COCH2(COOCH3)、
CF3COCH2(COOCH2CH3) 、
CF3COC*H(Ph)(COOCH3)、
CF3COC*H(CH2Ph)(COOCH3) 。
【0029】
反応2においては、上記の反応で得られる含フッ素β−ケトエステル(式3)と、カルボン酸無水物(式4)、カルボン酸ハライド化合物(式5)、またはスルホン酸ハライド化合物(式6)とを、塩基の存在下に反応させることにより含フッ素不飽和エステル(式7)とする。
【0030】
カルボン酸無水物(式4)におけるR5 はメチル基が好ましい。すなわち、カルボン酸無水物(式4)としては、無水酢酸が好ましい。
カルボン酸ハライド化合物(式5)におけるR5 は、メチル基またはフェニル基が好ましく、X1 は塩素原子またはフッ素原子が好ましい。カルボン酸ハライド化合物(式5)としては、アセチルフルオリド(CH3 COF)、アセチルクロリド(CH3 COCl)、ベンゾイルクロリド(PhCOCl)、または、ベンゾイルフルオリド(PhCOF)が好ましい。
【0031】
スルホン酸ハライド化合物(式6)におけるR5 は、メチル基、トリフルオロメチル基、4−メチルフェニル基が好ましく、X2 は塩素原子またはフッ素原子が好ましい。スルホン酸ハライド化合物(式6)としては、メタンスルホニルクロリド、メタンスルホニルフルオリド、トリフルオメタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルフルオリド、p−トルエンスルホニルクロリド、またはp−トルエンスルホニルフルオリドが好ましい。
【0032】
含フッ素β−ケトエステル(式3)に反応させる化合物としては、カルボン酸無水物(式4)が好ましく、特に含フッ素β−ケトエステル(式3)と無水酢酸とを反応させるのが好ましい。
【0033】
反応2は、塩基の存在下に実施する。反応2における塩基は、有機塩基が好ましい。有機塩基としてはピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等が好ましい。
【0034】
また、反応2は反応溶媒の存在下に実施してもよい。反応溶媒としては、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族系炭化水素系溶媒、またはハロゲン化炭化水素溶媒等が好ましい。ハロゲン化炭化水素溶媒としては、ジクロロメタン、クロロメタンなどの塩素化炭化水素溶媒が好ましい。
【0035】
反応2における塩基量は、含フッ素β−ケトエステル(式3)の1〜10倍モルとするのが好ましい。溶媒量は重量で含フッ素不飽和エステル(式7)の0.5〜20倍が好ましく、1〜10倍が特に好ましい。反応温度は、−100℃〜+100℃が好ましく、特に0℃〜40℃が好ましい。反応溶媒の存在下に実施する場合には、上限は反応溶媒の還流温度以下とするのが好ましい。反応時間は、1〜72時間が好ましく、特に1〜24時間が好ましい。
【0036】
反応2において生成する含フッ素不飽和エステル(式7)中のR5 は、反応に用いたカルボン酸無水物(式4)、カルボン酸ハライド化合物(式5)、またはスルホン酸ハライド化合物(式6)におけるR5 と同じものを意味し、Q1 は、カルボン酸無水物(式4)またはカルボン酸ハライド化合物(式5)を採用した場合には−CO−を示し、スルホン酸ハライド化合物(式6)を採用した場合には−SO2 −となる。R5 は炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、トリフルオロメチル基が好ましい。R5 またはQ1 は、目的とする含フッ素不飽和エステル(式7)に応じて適宜変更されうる。
【0037】
含フッ素不飽和エステル(式7)は新規化合物である。含フッ素不飽和エステル(式7)としては、二重結合に置換する原子または置換基の相対配置により、E体およびまたはZ体の両方が存在する。なお、式7は、以下の2つの構造(E体およびZ体)の両方を総じて表現しているものとする。
【0038】
【化9】
【0039】
反応2によって生成する含フッ素不飽和エステル(式7)は、通常の場合、E体およびZ体の混合物であり、これらの異性体は、必要に応じて分離すればよい。また、以下に述べる反応3を反応2に連続して実施する場合には、特にこれらの異性体を分離しなくてもよい。
【0040】
含フッ素不飽和エステル(式7)におけるR5 はメチル基が好ましく、Q1 は−CO−が好ましい。含フッ素不飽和エステル(式7)の具体例としては、下記化合物が挙げられる。なお、下式中の二重結合に結合する基の相対配置は、EであってもZであってもよい。
【0041】
(CF3)(CH3COO)C=C(CH3)(COOCH3) 、
(CF3)(CH3COO)C=C(CH3)(COOCH2CH3)、
(CF2H)(CH3COO)C=C(CH3)(COOCH2CH3) 、
(CH3CF2)(CH3COO)C=C(CH3)(COOCH2CH3) 、
(CH3CH2CF2)(CH3COO)C=C(CH3)(COOCH3) 、
(CH3CH2CF2)(CH3COO)C=C(CH3)(COOCH2CH3)、
(CF3CF2)(CH3COO)C=C(CH3)(COOCH2CH3) 、
[CF3(CF2)2](CH3COO)C=C(CH3)(COOCH3) 、
[CF3(CF2)2](CH3COO)C=C(CH3)(COOCH2CH3)、
(PhCF2)(CH3COO)C=C(CH3)(COOCH2CH3)、
(PhCH2CF2)(CH3COO)C=C(CH3)(COOCH2CH3) 、
(CF3)(CH3CH2COO)C=C(CH3)(COOCH3)、
(CF3)[CH3(CH2)2COO]C=C(CH3)(COOCH3) 、
(CF3)(CH3SO2O)C=C(CH3)(COOCH3)、
(CF3)(CH3SO2O)C=C(CH3)(COOCH2CH3) 、
(CF3CF2)(CH3SO2O)C=C(CH3)(COOCH2CH3)、
(CF3)(CH3COO)C=CH(COOCH3) 、
(CF3)(CH3COO)C=CH(COOCH2CH3)、
(CF3)(CH3COO)C=C(Ph)(COOCH3)、
(CF3)(CH3COO)C=C(CH2Ph)(COOCH2CH3)。
【0042】
反応3は、上記の反応により得られる含フッ素不飽和エステル(式7)の還元反応および脱(R5 −Q1 −O−)基反応を同時に行って含フッ素カルボン酸エステル(式8)とする反応である。反応3は、含フッ素不飽和エステル(式7)を水素またはギ酸アンモニウム塩を用いて遷移金属触媒の存在下に接触還元する方法(以下、方法3A )、バーチ還元(J.Chem.Soc.,1944,430)に付す方法(以下、方法3B )、トリアルキルスズを用いて還元する方法(以下、方法3c )により実施するのが好ましい。
【0043】
これらのうち、反応3は方法3A によるのが好ましい。方法3A におけるギ酸塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩等が挙げられる。アルカリ金属塩におけるアルカリ金属としてはLi、Ni、K等が挙げられる。方法3A における遷移金属触媒としては、パラジウム、白金、ニッケル、イットリウム、ロジウム、またはルテニウム、またはこれらの遷移金属を含有する還元触媒が好ましく、特に、パラジウム、またはパラジウムを含有する還元触媒が好ましい。
【0044】
方法3A における水素またはギ酸アンモニウム塩の量は、含フッ素不飽和エステル(式7)の1モルに対して、1〜10モルが好ましく、特に1〜5モルが好ましい。遷移金属触媒の量は、含フッ素不飽和エステル(式7)の1重量部に対して、0.01〜10重量部が好ましく、特に0.1〜1重量部が好ましい。
【0045】
これらのうち方法3A としては、遷移金属触媒の存在下に水素を用いて接触還元反応する方法が特に好ましい。
【0046】
また、方法3A は水素またはギ酸アンモニウム塩のいずれを用いる場合においても、反応溶媒の存在下に実施してもよい。反応溶媒としては、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、低級アルコール類、低級エステル類等が好ましく、特に、低級アルコール類、低級エステル類が好ましく、とりわけ、メタノール、エタノール、酢酸エチルが好ましい。反応温度は−100℃〜+100℃が好ましく、特に好ましくは、0℃〜40℃程度が好ましい。また、反応圧力は、常圧〜100気圧が好ましく、特に常圧〜10気圧が好ましい。反応時間は1〜24時間程度が好ましい。
【0047】
方法3では、含フッ素カルボン酸エステル(式8)が生成する。含フッ素カルボン酸エステル(式8)中のR1 、R3 、およびR4 は、それぞれ、含フッ素不飽和エステル(式7)におけるものと同じ意味を示す。
【0048】
また、含フッ素カルボン酸エステル(式8)におけるR3 が水素原子以外の基である場合には、R3 が結合する炭素原子は不斉炭素原子となる。該不斉炭素原子に結合する基または原子の絶対配置は特に限定されず、RまたはSのいずれの配置のものであってもよい。通常、還元反応により生成する含フッ素カルボン酸エステル(式8)が不斉炭素原子を有する場合には、該含フッ素カルボン酸エステル(式8)はS体とR体の混合物である。
【0049】
含フッ素カルボン酸エステル(式8)の具体例としては下記化合物が挙げられる。ただし、含フッ素カルボン酸エステル(式8)中の不斉炭素原子はC* で表し、該C* に結合する基または原子の絶対配置はSまたはRのいずれでもよい。
【0050】
CF3CH2C*H(CH3)(COOCH3)、
CF3CH2C*H(CH3)(COOCH2CH3) 、
CF2HCH2C*H(CH3)(COOCH2CH3)、
CH3CF2CH2C*H(CH3)(COOCH2CH3)、
CH3CH2CF2CH2C*H(CH3)(COOCH3)、
CF3(CF2)2CH2C*H(CH3)(COOCH3)、
CF3(CF2)2CH2C*H(CH3)(COOCH2CH3) 、
PhCF2CH2C*H(CH3)(COOCH2CH3) 、
PhCH2CF2CH2C*H(CH3)(COOCH2CH3)、
CF3CH2CH2(COOCH3) 、
CF3CH2CH2(COOCH2CH3)、
CF3CH2C*H(Ph)(COOCH3) 。
【0051】
含フッ素カルボン酸エステル(式8)は、さらに、公知の方法にしたがって、他の医農薬中間体や他の有用な化合物に変換できる。たとえば、含フッ素カルボン酸エステル(式8)を加水分解して含フッ素カルボン酸(式9)とすることができる(反応4)。反応4は必要に応じて実施すればよい。ただし、式9中の記号は、式8における意味と同じ意味を示す。
【0052】
該含フッ素カルボン酸(式9)は、医薬および農薬の合成中間体として有用な化合物である。たとえば、含フッ素カルボン酸(式9)を出発物質として特開平7−70061に記載される方法に従って有用な医薬品が合成できる。
【0053】
【実施例】
[例1]4,4,4−トリフルオロ−2−メチル−3−オキソブタン酸エチル(式3の一例)の合成例
トリフルオロ酢酸エチル2500g(17.6モル)、テトラヒドロフラン3000ml、水素化ナトリウム(含量60%、ミネラルオイルディスパージョン)774g(19.4モル)を10リットルのガラス製反応器に仕込み、撹拌した。50℃に加熱しつつ、プロピオン酸エチル1977g(19.4モル)を水素の発生量を制御しながら徐々に加えた。内温62℃で3時間還流加熱した後、25℃まで冷却し、15%硫酸水溶液2リットルを1時間にわたり徐々に滴下した。この間、内温が35℃以下になるように冷却した。30分撹拌した後、静置し有機相と水相に分離した。分液によって得られた有機相からテトラヒフドロフランを留去した反応粗液を蒸留し、無色透明液体である4,4,4−トリフルオロ−2−メチル−3−オキソブタン酸エチル2487gを得た。沸点64℃。
【0054】
[例2]3−アセトキシ−4,4,4−トリフルオロ−2−メチル−2−ブテン酸エチル(式7の一例)の合成例
例1で得た4,4,4−トリフルオロ−2−メチル−3−オキソブタン酸エチル8.04g(40.6ミリモル)とピリジン16.2ml(200ミリモル)をガラス製反応器に仕込み、冷却しつつ無水酢酸5.75ml(60.9ミリモル)を滴下した。室温で18時間撹拌した後、ヘキサン20ml、次いで冷却しつつ15%硫酸50mlを加えて室温で15分撹拌した。
【0055】
撹拌を停止し静置した後、上層の有機相を分離し、無水硫酸マグネシウム0.8gを加えて脱水し、減圧下で溶媒を留去した。油状物質9.61gを得、これを減圧蒸留で精製し、無色透明液体の標記化合物9.27g(38.6ミリモル)を得た。
【0056】
標記化合物の沸点は75℃(5mmHg)であり、収率は95%であった。
【0057】
このものは、E体およびZ体の混合物であり、キャピラリーガスクロマトグラフィー分析によるとその比率はE体:Z体=65:35(モル比)であった。
【0058】
E体のスペクトルデータ:1H-NMR(CDCl3) δ(ppm):1.3(3H,t,J=7Hz),1.9(3H,m),2.3(3H,s),4.3(2H,q,J=7Hz); 19F-NMR(CDCl3) δ(ppm):-66.7
Z体のスペクタルデータ:1H-NMR(CDCl3) δ(ppm):1.3(3H,t,J=7Hz),2.1(3H,m),2.2(3H,s),4.3(2H,q,J=7Hz); 19F-NMR(CDCl3) δ(ppm):-64.9
【0059】
[例3]4,4,4−トリフルオロ−2−メチルブタン酸エチル(式8の一例)の合成例
例2で得た3−アセトキシ−4,4,4−トリフルオロ−2−メチル−2−ブテン酸エチル(E体およびZ体の混合物)100g(416ミリモル)、5%パラジウム炭素20g、炭酸カリウム34.4g(250ミリモル)、酢酸エチル500mlをガラス製反応器に仕込み、水素ガスを入れたゴム風船による微圧加圧下で室温にて18時間撹拌した。
【0060】
ろ過助剤としてハイフロスーパーセルを用いて発火を防ぐため窒素雰囲気下でろ過して触媒を除いた後、溶媒を留去して油状物質62.1gを得た。このものを蒸留精製し、無色透明液体の標記化合物55.1g(299ミリモル)を得た。該化合物の沸点は130〜132℃(760mmHg)であり、収率は72%であった。
【0061】
[例4]4,4,4−トリフルオロ−2−メチルブタン酸(式9の一例)の合成例
例3で得た4,4,4−トリフルオロ−2−メチルブタン酸エチル64.6g(351ミリモル)、水90ml、水酸化ナトリウム21.1g(528ミリモル)、エタノール90mlをガラス反応器に仕込み、還流させながら2時間加熱した。ジエチルエーテル300ml、飽和食塩水300mlを加えて撹拌し、静置した後、下層の水相を得た。水相に2規定塩酸を加えてpHを2に調整し、ジエチルエーテル300mlで2度抽出した。その有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し、油状物質51.2gを得た。このものを蒸留精製し、無色透明液体の標記化合物48.5g(311ミリモル)を得た。該化合物の沸点は170〜175℃(760mmHg)であり、収率は89%であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、医薬・農薬等の合成中間体として有用な含フッ素カルボン酸エステル、含フッ素カルボン酸、それらの中間体の製造方法、およびな新規な含フッ素不飽和エステルが提供される。本発明の製造方法は、反応操作が簡便で取扱いの容易な試薬を用いる方法であり収率もよい。また、従来の方法よりも工程が短い利点がある。さらに本発明の製造方法は、種々の化合物の製造方法として利用できる汎用性に優れた方法である。
Claims (5)
- 下式3で表される含フッ素β−ケトエステルを、下式1で表される化合物と下式2で表される化合物とを縮合反応して製造し、つぎに該式3で表される含フッ素β−ケトエステルと、下式4で表されるカルボン酸無水物、下式5で表されるカルボン酸ハライド化合物、または下式6で表されるスルホン酸ハライド化合物とを、塩基の存在下に反応させることを特徴とする下式7で表される含フッ素不飽和エステルの製造方法。
ただし、下式中の記号は、以下の意味を示す。
R 1 :水素原子、フッ素原子、アリール基、アルアルキル基、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基。
R 2 :炭素数1〜5のアルキル基。
R 3 :水素原子、アリール基、アルアルキル基、または炭素数1〜10のアルキル基。
R 4 :炭素数1〜4のアルキル基。
R 5 :アリール基、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフルオロアルキル基。
X 1 、X 2 :それぞれ独立に、ハロゲン原子。
Q 1 :−CO−または−SO 2 −。
- 式1で表される化合物と式2で表される化合物とを水素化ナトリウムの存在下に縮合反応する、請求項1に記載の製造方法。
- 遷移金属触媒の存在下に水素と反応させることにより還元反応および脱(R5−Q1−O−)基反応を同時に行う請求項3に記載の製造方法。
- 式7で表される含フッ素不飽和エステルを、請求項1または2に記載の製造方法で製造する、請求項3または4に記載の製造方法。
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