JP3937252B2 - 超音波洗滌装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超音波洗滌装置に係り、特に検査に使用された内視鏡を洗滌槽に収容して超音波洗滌する超音波洗滌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
検査に使用された内視鏡は、超音波洗滌装置の洗滌槽内に収容された後、前洗滌、超音波洗滌、薬液消毒、すすぎ等の複数の洗滌工程を経て洗滌される。このように洗滌された内視鏡は、乾燥された後に超音波洗滌装置から取り出されて次の検査使用時まで保管される。
【0003】
ところで、従来の超音波洗滌装置は、装置本体に固定した洗滌槽の外面に複数の超音波振動子を密着固定し、その発生振動を洗滌槽に溜められた洗滌液に伝達して超音波洗滌することにより、内視鏡の洗滌効果を向上させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の超音波洗滌装置は、超音波振動子が洗滌槽に固定されているので、洗滌槽内では常にその超音波振動子近辺の一定箇所のみ振動が良く伝達し、他の部分ではその効果があまり得られない。このため、従来の超音波洗滌装置では、内視鏡に洗滌ムラが生じるという欠点がある。
【0005】
ところで、内視鏡は、可撓性の長い挿入部を有しており、その長さは使用用途(内視鏡の種類)により異なるため、洗滌槽への収容位置を一定にするのは極めて困難である。この結果、従来の超音波洗滌装置では、内視鏡の種類によっても洗滌ムラが生じるという欠点がある。このような不具合は、多数の超音波振動子を洗滌槽に密に取り付けることで解消できるが、これでは部品点数が増加して製造コストが増大してしまうという欠点がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、少数の超音波振動子で被洗滌物の洗滌ムラを抑えることができる超音波洗滌装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するために、洗滌液が溜められた洗滌槽に超音波振動子から超音波を与えることにより、前記洗滌液に浸漬された被洗滌物を超音波洗滌する超音波洗滌装置において、前記洗滌槽を超音波洗滌装置本体に対して回転自在に設けると共に該洗滌槽に超音波モータを構成するロータ及びステータを取り付け、該超音波モータに前記超音波振動子から超音波を与えることにより、超音波モータの駆動力で洗滌槽を回転させることを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、超音波振動子を駆動して所定時間超音波洗滌を実施し、所定時間経過後、超音波振動子を超音波モータに超音波を与える位置に移動させる。そして、超音波振動子で超音波モータを駆動して洗滌槽を所定角度回転させ、その後に、移動手段で超音波振動子を元の位置に移動させて超音波洗滌を再開する。
【0009】
このように、本発明は、超音波洗滌と洗滌槽の回転とを繰り返しながら被洗滌物を洗滌することが可能なので、少数の超音波振動子で被洗滌物の洗滌ムラを抑えることができる。即ち、被洗滌物は、洗滌槽の回転によって前回洗滌された部位とは異なる部位が効果的に超音波洗滌されるのでムラなく洗滌される。また、本発明は、超音波洗滌用の超音波振動子を、洗滌槽回転用の駆動源と兼用したので、洗滌槽の回転駆動源を別個に設けなくて済む。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る超音波洗滌装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1は、本発明の超音波洗滌装置が適用された内視鏡洗滌装置10の外観図である。同図に示す内視鏡洗滌装置10の箱型の装置本体12には、上蓋14が開閉自在に設けられている。装置本体12の上面には、内視鏡16を収容する洗滌槽18が設けられ、この洗滌槽18内には、回転型噴射装置20が設けられている。内視鏡16は、洗滌槽18に収容されて上蓋14が閉じられた後に、前記回転噴射装置20から噴き出される洗滌液によって洗滌される。
【0011】
前記装置本体12の上面には、操作パネル26及び表示パネル28が設けられており、操作パネル26を操作することにより各洗滌工程の所要時間の設定や洗滌開始等の指示を入力することができる。前記洗滌工程の所要時間の設定内容は、前記表示パネル28に表示される。
前記洗滌槽18は図2、図3に示すように上下方向に配置された回転軸30に固定され、この回転軸30は装置本体12に固定された軸受32に回転自在に支持されている。これにより、洗滌槽18が装置本体12に対して回転自在に設置されている。
【0012】
また、前記洗滌槽18の底面には複数個の超音波振動子34、34…が配置され、これらの超音波振動子34、34…は図4に示すように、前記回転軸30を中心とする同心円上に8個配置されている。超音波振動子34、34…が駆動されると、洗滌槽18に超音波振動が与えられ、洗滌槽18内の内視鏡16が超音波洗滌される。なお、この超音波洗滌時には、洗滌槽18に洗滌液が予め溜められており、この洗滌液中に内視鏡が浸漬された状態で超音波洗滌される。
【0013】
ところで、前記超音波振動子34、34…は、移動機構36によって図2に示す洗滌槽18に超音波を与える位置と、図3に示す洗滌槽18を回転させる位置との範囲で往復移動される。図3の位置に対応した洗滌槽18の底面には、超音波モータを構成するロータ38、及びステータ40が設けられている。ロータ38及びステータ40は薄板でドーナツ状に形成され、洗滌槽18の底面に形成された図5に示すドーナツ状の凹部19内に重ねられて固定されている。したがって、超音波振動子34、34…が図3の位置に移動されると、超音波振動子34、34…がステータ40に当接され、この位置で超音波振動子34、34…が駆動されると、ロータ38及びステータ40からなる超音波モータが駆動される。これにより、洗滌槽18が超音波モータの原理により回転される。なお、超音波振動子34、34…は、洗滌時には30kHzで、また洗滌槽18の回転時には20kHzで超音波を発振するよう制御されている。
【0014】
前記移動機構36は図2〜図4に示すようにカム板42、固定板44、及びカム板42を回動させる切替ツマミ46等から構成される。前記カム板42と固定板44とは、前記回転軸30と同軸上に配置されると共に、カム板42は回転軸30を中心に回転自在に配置され、前記固定板44は装置本体12に対して固定されている。
【0015】
前記カム板42には図4に示すように、8本のカム溝43、43…が等間隔に形成され、これらのカム溝43に、超音波振動子34に設けられたカムピン35が係合されている。また、超音波振動子34には、アーム48の一端部が固定されており、このアーム48の他端部にピン50が固着されている。このピン50は、前記固定板44に形成された図示しない孔に回転自在に係合されている。更に、前記カム板42には、カム板42と同軸上にギア52が取り付けられている。このギア52にはギア54が噛合されており、ギア54は前記切替ツマミ48に連結された軸56に固定されている。よって、切替ツマミ48を回動操作すれば、ギア54、52を介してカム板42が回動する。したがって、切替ツマミ48でカム板42を図4上矢印方向(時計回り方向)に回動させると、各超音波振動子34、34…が、ピン50を中心にカム溝43に沿って移動する(時計回り方向)。これにより、超音波振動子34が図2の位置(超音波洗滌位置)から図3の位置(洗滌槽回転位置)に移動する。
【0016】
一方、図4に示すように前記カム板42と装置本体12との間には、スプリング58が架け渡されて取り付けられている。このスプリング58の付勢力によって前記カム板42は、図4上反時計回り方向に付勢されている。したがって、切替ツマミ48が操作されない時には、前記超音波振動子34は図2の位置(超音波洗滌位置)に常に位置される。なお、前記切替ツマミ48の操作は、手動でも自動でも良い。
【0017】
次に、前記の如く構成された内視鏡洗滌装置10の作用について、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、内視鏡16を洗滌槽18に収容し、上蓋14を閉じた後、スタートボタンを押して前洗滌を開始する(ステップ100)。この前洗滌工程で、内視鏡16の外表面に付着した塵が洗滌槽18に供給される水によって除去される。
【0018】
前洗滌が終了すると、超音波洗滌を開始する(ステップ110)。この超音波洗滌工程では、まず、洗滌槽18に水を注入して内視鏡16を水中に浸漬する。次に、超音波振動子34を駆動して、洗滌槽18に超音波振動を与えることにより内視鏡16を超音波洗滌する。そして、所定時間経過後、洗滌槽18を回転する(ステップ120)。即ち、図5に示す切替ツマミ46を回動操作してカム板42を回動することにより、超音波振動子34を図2の位置(超音波洗滌位置)から図3の位置(洗滌槽回転位置)に移動する。この後、超音波振動子34を再駆動して、超音波モータの原理により洗滌槽18を回転させる。そして、洗滌槽18が所定角度回動すると、カム板42をスプリング58の付勢力で図2の位置(超音波洗滌位置)に戻し、この後に超音波振動子34を再駆動して、内視鏡16を再び超音波洗滌する。そして、前記ステップ110とステップ120との工程を複数回繰り返した後、超音波洗滌を終了する。
【0019】
超音波洗滌が終了すると、洗滌槽18に溜められた水を排水して、薬液消毒を開始する(ステップ130)。この薬液消毒工程で、内視鏡の外表面及び各チャネル内を薬液消毒する。
薬液消毒が終了すると、薬液を排液してすすぎを行う(ステップ140)。このすすぎ工程で、内視鏡に付着した薬液を洗い流す。そして、すすぎの終了後に、内視鏡16を乾燥する(ステップ150)。以上で前記内視鏡洗滌装置10による内視鏡16の洗滌が終了する。
【0020】
このように、本実施の形態の内視鏡洗滌装置10によれば、超音波洗滌工程において、超音波洗滌と洗滌槽18の回転とを繰り返しながら内視鏡16を洗滌するようにしたので、少数の超音波振動子34、34…で内視鏡16の洗滌ムラを抑えることができる。要するに内視鏡16は、洗滌槽18の間欠回転によって前回洗滌された部位とは異なる部位が効果的に超音波洗滌されるのでムラなく洗滌される。
【0021】
また、本実施の形態は、超音波洗滌用の超音波振動子34、34…を、洗滌槽回転用の駆動源として兼用したので、洗滌槽18の回転用駆動源を別個に設けなくて済む。
本実施の形態では、内視鏡洗滌装置10を例に挙げて説明したが、これに限られるものではなく、被洗滌物を超音波洗滌する装置であれば適用することができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る超音波洗滌装置によれば、超音波洗滌と洗滌槽の回転とを繰り返しながら被洗滌物を洗滌するようにしたので、少数の超音波振動子で被洗滌物の洗滌ムラを抑えることができる。また、本発明は、超音波洗滌用の超音波振動子を、洗滌槽回転用の駆動源と兼用したので、洗滌槽の回転駆動源を別個に設けなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超音波振動子が適用された内視鏡洗滌装置の外観を示す斜視図
【図2】超音波洗滌中の洗滌槽の断面図
【図3】洗滌槽回転中の洗滌槽の断面図
【図4】図2の4−4線からみた超音波振動子の移動機構を示す平面図
【図5】洗滌槽の底面に取り付けられたステータに超音波振動子が当接した拡大断面図
【図6】内視鏡洗滌装置による内視鏡洗滌工程を示すフローチャート
【符号の説明】
10…超音波洗滌装置
12…装置本体
16…内視鏡
18…洗滌槽
30…回転軸
34…超音波振動子
36…移動機構
38…ロータ
40…ステータ
Claims (2)
- 洗滌液が溜められた洗滌槽に超音波振動子から超音波を与えることにより、前記洗滌液に浸漬された被洗滌物を超音波洗滌する超音波洗滌装置において、
前記洗滌槽を超音波洗滌装置本体に対して回転自在に設けると共に該洗滌槽に超音波モータを構成するロータ及びステータを取り付け、該超音波モータに前記超音波振動子から超音波を与えることにより、超音波モータの駆動力で洗滌槽を回転させることを特徴とする超音波洗滌装置。 - 前記超音波振動子は、前記洗滌槽に超音波を与える位置と、前記超音波モータに超音波を与える位置との間で移動手段により移動されることを特徴とする請求項1記載の超音波洗滌装置。
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