JP3936414B2 - 密閉型容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は所定の開蓋以外のいたずらによる開蓋を困難又は防止すると共に仮に所定以外の初期の開蓋があってもその初期の開蓋の有無を容易に確認でき、さらに所定の目的による開蓋後においては蓋体を全部開放しなくても内容物を取り出すことが可能な密閉型容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、悪戲を防止できるように工夫されたものとして特開平7−315398号公報に記載されているようなオーバーキャップが提案されている。
また、蓋体を全部開放しなくても内容物を取り出すことが可能なものとしてヒンジを介して開閉するものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者は仮に無理やり開蓋して再度閉蓋した場合、一旦開蓋したことの見分けが不可能で悪戲されているのか否か不明であり、さらに蓋体と容器本体とが全周で嵌合密着しているため通常時における開閉が堅く所謂パッチン音がないものであった。また、後者は開閉蓋部を開蓋した場合、その蓋の安定性がなく閉蓋したりブラブラした状態となるものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その手段は、缶巻締め突部を有する缶本体の上端開口部に、ヒンジ部を介して固定蓋部と開閉蓋部とに区分けした合成樹脂製蓋体を嵌合する密閉型容器において、前記缶巻締め突部を断面略U字形に形成して、その内部空間と缶本体の内部とを連通させ、蓋体には、この缶巻締め突部が嵌合する嵌合溝を設けると共に、該嵌合溝を挟んで、缶巻締め突部の内周面と当接する凸状内周部と、缶巻締め突部の外周面と当接して係止する凸部とを夫々形成したことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に、前記蓋体の外周縁には立上り片を、ヒンジ部を境にして固定蓋部側と開閉蓋部側とに分離されるように突出形成し、これら立上り片のいずれか一方の両端側と他方の両端側とを、該ヒンジ部の軸方向へ位置ズレした平行状に配置して、開蓋時に互いに面接触して擦り合うようにしたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に、前記缶巻締め突部の下部に環状溝を設け、該環状溝に弾性を有する開缶防止リングを嵌合して缶巻締め突部よりも大径の凸条部を形成し、この開缶防止リングには本体から分離除去するための切り取り用凹溝を環状溝に連続させて設けた構成を加えたことを特徴とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて以下説明する。
缶本体Aは鉄製、鋼製などの金属で形成されたこの種の技術分野において周知の形態である缶容器であり、上端部に缶巻締め突部1を構成して開口部2が設けられ、その缶巻締め突部1に蓋体Bを嵌合して開口部2を密閉せしめるものであって、缶巻締め突部1の下部に缶本体Aの外径よりも小径の環状溝3を設け、この環状溝3に開缶防止リング4を嵌合して缶巻締め突部1の外径よりも大径で缶本体Aの外径よりも小径か或いは略同径の凸条部5を形成するか、又は缶本体Aの缶巻締め突部1の下部に缶巻締め突部1の外径よりも大径で缶本体Aの外径よりも小径か或いは略同径の凸条部5を一体的に突出形成せしめる。
【0006】
合成樹脂製蓋体Bはポリエチレンやポリプロピレンなどの可塑性合成樹脂でヒンジ部7を介して固定蓋部b1と開閉蓋部b2とに区分けされ缶本体Aの缶巻締め突部1に嵌合せしめる嵌合溝8が外周側縁部9と内周部10とで環状に形成されると共に外周側縁部9を上側周側縁部91と下側周側縁部92と二段にリング状に形成し、上面の略外周縁には立上り片11が形成されているものであって、上側周側縁部91と下側周側縁部92とで缶巻締め突部1および凸条部5を覆い、下側周側縁部92の下端が缶本体Aの外周部と略面一状となるようにし、前記の嵌合溝8が上側周側縁部91の内面に形成されており、さらに上側周側縁部91には固定蓋部b1の内周面及び開閉蓋部b2の舌片部12を設けた部分の内面に缶巻締め突部1が係止する凸部13を形成し、下側周側縁部92の内周面には凸条部5が係止する隆起部14を形成し、その適宜箇所に多数のスリットによる薄肉部17を形成し、この上側周側縁部91と下側周側縁部92との間に切除可能な溝15を設けて所定目的の開蓋時には下側周側縁部92を除去できるようにすると共に立上り片11はヒンジ部7を境に固定蓋部側と開閉蓋部側とに分離され、その両端部は擦り合わせ状に形成してなるものである。
【0007】
凸条部5は缶本体Aの缶巻締め突部1の下部に該缶巻締め突部1の外径よりも大径であって缶本体Aの外径よりもわずかに小径か或いは略同径となるように形成し、合成樹脂製蓋体Bの開蓋を防止するものであって、後述する開缶防止リング4を設けて形成するか又は缶本体Aを加工する際に絞り加工して一体的に突出形成し、蓋体Bに設けた下側周側縁部92の隆起部14がこの凸条部5に係止して開蓋できないようにするものであり、缶本体A内に所定の内容物を収納した後に合成樹脂製蓋体Bを嵌合被冠する場合には多少この凸条部5が弾性によって下側周側縁部92の隆起部14を通すが、該蓋体Bを開ける場合にはこの凸条部5に該隆起部14が係止して開蓋することができないようにするものである。
【0008】
開缶防止リング4は前記した凸条部5を形成するもので、缶本体Aには環状溝3を形成し、その環状溝3に嵌合して凸条部5とするものであって、合成樹脂やゴムで弾性を有する環状に形成し、この弾性は開缶防止リング4の凸部自体が弾力性を有していても或いは形状的に弾力性を有するように形成しても良い。合成樹脂製蓋体Bを缶本体Aに嵌合被冠する際、下側周側縁部92の隆起部14が、この開缶防止リング4(凸条部5)を押圧させて或いは乗り越え閉蓋した後開蓋を防止又は困難な状態にせしめる。この開缶防止リング4は所定の開蓋後は不要となるものであり、分別ゴミ対策上、缶本体Aから開缶防止リング4を分離除去するための切り取り用凹溝を環状溝3に連続させて設ける。また、この開缶防止リング4を用いない場合は前述のように缶本体Aに直接一体的に凸条部5を突出形成し、該開缶防止リング4と同様な状態とする。
【0009】
固定蓋部b1及び開閉蓋部b2はこの種の技術分野において周知のごとく薄肉状に形成したヒンジ部7を境に固定蓋部b1が缶本体Aの缶巻締め突部1に嵌合され上側周側縁部91の内周面に設けた凸部13によって缶巻締め突部1が抜け止め状態で固定され、開閉蓋部b2には上側周側縁部91の内面に凸部13が開閉用の舌片部12を設けた部分の内面にのみに設けられているので、缶巻締め突部1に開閉(着脱)自在に嵌合される。この固定蓋部b1及び開閉蓋部b2の上面における略外周縁には立上り片11がほぼ同円心状に起立されるが、ヒンジ部7を境にして分離され、いずれか一方の両端側を他方の両端側の内面又は外面と擦り合わせ状に形成する。
【0010】
外周側縁部9は缶本体Aの缶巻締め突部1および凸条部5を覆うように上側周側縁部91と下側周側縁部92と二段に形成し、両周側縁部の間には所定(初め)の開蓋時に下側周側縁部92を除去するための切除溝15が薄肉状に設けられており、この所定の開蓋に際して該下側周側縁部92を除去する摘み片16をヒンジ部分に下側周側縁部92と連続させて設ける。
【0011】
上側周側縁部91は外周側縁部9の上側部分であって、その内面には内周部10との間に嵌合溝8を形成し、その嵌合溝8に嵌合される缶巻締め突部1の外形形状に略沿った形状とし、更にこの上側周側縁部91には固定蓋部b1の内周面及び開閉蓋部b2の舌片部12を設けた部分の内面に缶巻締め突部1が係止して容易に開蓋しないように凸部13を形成する。したがって、必要に応じて一旦開蓋した後は外周側縁部9の下側周側縁部92が除去された状態で上側周側縁部91が残り、この上側周側縁部91の部分が通常の蓋として使用する場合の周縁袴部となる。また、開閉蓋部b2の外周ほぼ中央部には開閉蓋部b2を開閉するための舌片部12を設ける。
【0012】
下側周側縁部92は外周側縁部9の下側部分であって上側周側縁部91の下部に切除可能溝15を介して設けられ内周面には缶本体Aに形成された凸条部5が係止して所定の目的以外に開蓋されないようにする隆起部14を環状に突出形成し、該隆起部14には垂直に細幅線(スリット)状の薄肉部17を適宜間隔をおいて多数設け、無理やりに開蓋した場合にこの薄肉部17が切損するようにすると共にヒンジ部7部分の外側に摘み片16を連続状態に設けて、この下側周側縁部92を切除溝15に沿って切除する場合のつかみ部とする。したがってこの下側周側縁部92は所定の目的によって開蓋した後には不要となるが、いたずら行為すなわち目的以外の無理な開蓋を行った場合には細幅線状の薄肉部17が切損するので、そのような行為があったことを容易に知ることができる。。
【0013】
凸部13は缶巻締め突部1が係止して容易に開蓋しないように上側周側縁部91の内面に突出形成するもので、固定蓋部b1の内周面には全面的に形成するが、開閉蓋部b2においては舌片部12を設けた部分の内面に形成する。したがってこの凸部13が缶巻締め突部1と凸条部5との間の缶本体Aに密着し、固定蓋部b1においては全周が内外嵌合状態となって缶巻締め突部1に係止して開蓋されず、開閉蓋部b2を開閉する場合には舌片部12の内面の凸部13のみが缶巻締め突部1に係止するので開閉作業が容易となると共に蓋を閉めた時には音すなわちパッチン音がするようになる。
【0014】
隆起部14は目的以外の開蓋を防止するもので下側周側縁部92の内周面に突出形成し、開蓋しようとしても凸条部5に係止して開蓋できないようにする。この隆起部14には下側周側縁部92の上下方向に適宜間隔をおいて多数の細幅線状の薄肉部17を形成し、無理に開蓋しようとした場合又は無理に開蓋した場合にこの薄肉部17が切れるようにする。
【0015】
立上り片11は蓋体bの上面の略外周縁に突出形成するもので、固定蓋部b1及び開閉蓋部b2の上面にほぼ同円心状に起立せしめ、ヒンジ部7を境に分離し、互いの両端側を内面又は外面とが擦り合わせ状になるように形成する。たとえば開閉蓋部b2の立上り片11の両端側が固定蓋部b1の立上り片11の両端側の内側面に擦り合わされるように両端側の彎曲面を平行状にし、開閉蓋部b2を開いた際にその立上り片11の両端側が固定蓋部b1の立上り片11の両端側に面接触して擦り合いストッパー機能となる。
【0016】
【発明の効果】
本発明は缶巻締め突部を有する缶本体の上端開口部に、ヒンジ部を介して固定蓋部と開閉蓋部とに区分けした合成樹脂製蓋体を嵌合する密閉型容器において、缶本体は缶巻締め突部の下部に缶巻締め突部の外径よりも大径の凸条部を形成し、蓋体はその外周側縁部を上側周側縁部と下側周側縁部と二段に形成して缶巻締め突部および凸条部を覆うようにし、上側周側縁部の内面には内周部との間に缶巻締め突部が嵌合する嵌合溝を設け、固定蓋部の内周面に缶巻締め突部が係止する凸部を形成し、下側周側縁部の内周面に凸条部が係止する隆起部を形成したから合成樹脂製蓋体が缶本体の上端開口部に嵌合密閉することができ、所定の目的以外による他人が開蓋しようとしても下側周側縁部の内周面に設けた隆起部が缶本体の凸条部に係止するため開蓋ができない。また、所定の目的による開蓋後においては固定蓋部が内周面に設けた凸部が缶巻締め突部に係止するため開蓋されず全面開放とはならないため異物の混入が少なく、外れないから置き忘れたり、紛失したりすることがないし、開閉蓋部の開閉のみで内容物を取り出すことができる。
仮に無理に開蓋しようとした場合又は無理に開蓋した場合には隆起部にスリット状の薄肉部が形成されているため、薄肉部が切れ、開蓋しようとしたこと又は開蓋の有無が容易に確認できる。
【0017】
所定の目的による開蓋の場合には上側周側縁部と下側周側縁部との間に切除可能な溝が設けて有るので、この溝に沿って下側周側縁部を切り離し得て、容易に開蓋ができる。また、下側周側縁部を除去した後は通常の蓋として使用し得ると共に開閉蓋部の舌片部の内面に凸部を設けているので開閉蓋部を閉じると凸部が缶巻締め突部に当たって擦り音が発生するためいわゆるパッチン音により閉蓋したことが確認できる。
【0018】
さらに蓋体の上面略外周縁には立上り片を形成して固定蓋部と開閉蓋部との立上り片の両端部を擦り合わせ状にしているから開閉蓋部を開いた場合、開閉蓋部の立上り片の両端部が固定蓋部の両端部の立上り片に接触して擦り合いストッパーとしての機能が働き開閉蓋部がブラブラすることなく安定した状態になる。
【0019】
又、凸条部が缶巻締め突部の下部に設けた環状溝に弾性を有する開缶防止リングを嵌合して形成した場合には、所定の開蓋後は不要となり、除去することが分別ゴミ対策上好ましく、該環状溝に連なる切り取り用の凹溝を設けることにより開缶防止リングを切除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 容器の一部断面図。
【図2】 他の実施例の一部断面図。
【図3】 蓋体の平面図
【図4】 蓋体の一部拡大断面図。
【図5】 開蓋状態の斜視図
【符号の説明】
Aは缶本体、Bは、合成樹脂製蓋体、b1は固定蓋部、b2は開閉蓋部、1は缶巻締め突部、2は開口部、3は環状溝、4は開缶防止リング、5は凸条部、7はヒンジ部、8は嵌合溝、9は外周側縁部、91は上側周側縁部、92は下側周側縁部、11は立上り片、13は凸部、14は隆起部、15は切除可能溝、17は薄肉部である。
Claims (3)
- 缶巻締め突部(1)を有する缶本体(A)の上端開口部(2)に、ヒンジ部(7)を介して固定蓋部(b1)と開閉蓋部(b2)とに区分けした合成樹脂製蓋体(B)を嵌合する密閉型容器において、
前記缶巻締め突部(1)を断面略U字形に形成して、その内部空間と缶本体(A)の内部とを連通させ、蓋体(B)には、この缶巻締め突部(1)が嵌合する嵌合溝(8)を設けると共に、該嵌合溝(8)を挟んで、缶巻締め突部(1)の内周面と当接する凸状内周部(10)と、缶巻締め突部(1)の外周面と当接して係止する凸部(13)とを夫々形成したことを特徴とする密閉型容器。 - 前記蓋体(B)の外周縁には立上り片(11)を、ヒンジ部(7)を境にして固定蓋部(b 1 )側と開閉蓋部(b 2 )側とに分離されるように突出形成し、これら立上り片(11)のいずれか一方の両端側と他方の両端側とを、該ヒンジ部(7)の軸方向へ位置ズレした平行状に配置して、開蓋時に互いに面接触して擦り合うようにした請求項1記載の密閉型容器。
- 前記缶巻締め突部(1)の下部に環状溝(3)を設け、該環状溝(3)に弾性を有する開缶防止リング(4)を嵌合して缶巻締め突部(1)の外径よりも大径の凸条部(5)を形成し、この開缶防止リング(4)には本体(A)から分離除去するための切り取り用凹溝を環状溝(3)に連続させて設けた請求項1または2記載の密閉型容器。
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JP22363996A Expired - Lifetime JP3936414B2 (ja) | 1996-08-26 | 1996-08-26 | 密閉型容器 |
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