JP3934335B2 - ポリイミドおよびその製造方法 - Google Patents

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【0001】
【従来の技術】
一般にポリイミドは、無水ピロメリット酸などの芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンとをジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶媒中で等モル反応させ容易に得られる高重合度のポリイミド前駆体を、膜などに成形し加熱硬化して得られる。このような全芳香族ポリイミドは優れた耐熱性、耐薬品性、耐放射線性、電気絶縁性、機械的性質などの性質を併せ持つことから、フレキシブルプリント配線回路用基板、テープオートメーションボンディング用基材、半導体素子の保護膜、集積回路の層間絶縁膜等、様々な電子デバイスに現在広く利用されている。
【0002】
最近では特にマイクロプロセッサーの演算速度の高速化やクロック信号の立ち上がり時間の短縮化が情報処理・通信分野で重要な課題になってきているが、そのためには層間絶縁膜として使用するポリイミド膜の誘電率を下げることが必要となる。
【0003】
ポリイミドの誘電率を下げるためにはポリイミド構造中にフッ素基を導入すること(Macromolecules, 24, 5001 (1991))や、芳香族単位を脂環族単位に置き換えてπ電子を減少することにより、分子内共役および電荷移動錯体形成を妨害すること(Macromolecules, 32, 4933 (1999))が提案されている。
【0004】
一方、ポリイミド膜を層間絶縁膜として銅などの金属基板と積層する場合、それぞれの線熱膨張係数のミスマッチにより残留応力が発生し、カーリング、膜の剥離、割れ等の重大な問題を引き起こすことが知られている。この問題を回避するためにはポリイミド膜の線熱膨張係数を金属基板のそれに近づけること即ちポリイミドの低熱膨張化が必要となる。現在知られているポリイミドの殆どは40〜80ppm/Kの線熱膨張係数を持ち、銅板の18ppm/Kに比べてはるかに高い。最近では電子回路の高密度化に伴い、配線基板の多層化の必要性が高まってきているが、多層基板における残留応力はデバイスの信頼性を著しく低下させる。
【0005】
ポリイミドの低熱膨張発現には一般に、主鎖構造が直線的で内部回転が束縛されていることが必要条件であることが知られている(Polymer, 28, 2282 (1987))。現在実用的な低熱膨張ポリイミド材料としては3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンから形成されるポリイミドが知られている。
【0006】
しかしながら、低誘電率と低熱膨張係数を同時に有し、かつハンダ耐熱性を保持しているポリイミドを得ることは容易ではない。ポリイミド以外の低誘電率芳香族高分子材料も検討されているが、熱膨張係数および耐熱性の点で要求特性が十分に満たされていないのが現状である。ポリイミド構造中へのフッ素基の導入は分子間相互作用を弱め、低熱膨張化の要因であるイミド化時の分子配向を妨げる傾向をもたらす。
【0007】
また脂環式構造単位の導入もポリイミド主鎖の直線性を低下させ、熱膨張係数を増大を引き起こすという問題がある。例えば4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)のような屈曲性の高い脂環式ジアミンを用いた場合、各種酸二無水物と容易に重合が進行し、高重合度のポリアミド酸を生成するが、加熱により得られるポリイミド膜は非常に高い線熱膨張係数をもたらす。
【0008】
テトラカルボン酸成分として1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物21.51g、ジアミン成分としてp−フェニレンジアミン5.93gと4,4'-ジアミノ-2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル17.56gから得られる重合体が特開平8−36183号公報に開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は低誘電率、低線熱膨張係数、充分高いハンダ耐熱性、および充分な強靭さを併せ持つポリイミド、その前駆体及びその製造方法を提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の問題を鑑み、鋭意研究を積み重ねたところ、脂環式構造単位を有する比較的直線的なトランス-1,4-ジアミノシクロヘキサンを直線性の高いテトラカルボン酸誘導体と反応させることで低誘電率かつ低線熱膨張率のポリイミドの得られることが期待されたが、テトラカルボン酸誘導体として1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を使用すると重合反応初期に強固な錯塩形成が起こり、重合反応が全く進行しないとの知見を得たのでさらに検討を加えたところ、テトラカルボン酸誘導体として1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ジアミンとして1,4-ジアミノシクロヘキサンおよび共重合成分として2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンを含有した組成で重合すると、上記の目的を達成できるポリイミドが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、式(1)で表される反復単位をモル分率x[xは、0<x<1を表す。]と、式(2)で表される反復単位をモル分率y[yは、0<y<1を表す。]で含んでなり、x≦yであり且つ x+y=1であるポリイミド前駆体、
【0012】
【化5】
Figure 0003934335
【0013】
【化6】
Figure 0003934335
【0014】
及び下記式(3)で表される反復単位をモル分率x[xは、0<x<1を表す。]と、式(4)で表される反復単位をモル分率y[yは、0<y<1を表す。]で含んでなり、x≦yであり且つ x+y=1であるポリイミドである。
【0015】
【化7】
Figure 0003934335
【0016】
【化8】
Figure 0003934335
【0017】
また、本発明は、重合溶媒中で実質的に等モルのジアミン成分とテトラカルボン酸成分を反応させるポリイミド前駆体の製造方法であって、溶媒中に少なくとも1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸成分1モルと2,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンxモル[xは、0<x<1を表す。]を溶解・反応させる工程と、次いでそこへ1,4−ジアミノシクロヘキサンyモル[yは、0<y<1を表し、x≦yであり且つ x+y=1である。]を溶解し反応させる工程を少なくとも有する前記ポリイミド前駆体の製造方法並びにそのポリイミド前駆体を脱水することからなるポリイミドの製造方法である。
【0018】
本発明のポリイミドを低熱膨張化するためにはジアミン成分である1,4-ジアミノシクロヘキサンの立体構造が化9に示すトランス型で2つのアミノ基が共にエクアトリアル配置であることが特に望ましい。シス型1,4-ジアミノシクロヘキサンの使用はその折れ曲がり構造に起因して線熱膨張係数の低下に寄与しないことがある。
【0019】
【化9】
Figure 0003934335
【0020】
またテトラカルボン酸成分の酸二無水物モノマーである1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物は化10に示すanti-型立体配置のものが特に望ましい。syn-型1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物の使用はその折れ曲がり構造に起因して線熱膨張係数の低下に寄与しないことがある。
【0021】
【化10】
Figure 0003934335
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0023】
本発明のポリイミド前駆体は、式(1)で表される反復単位をモル分率x[xは、0<x<1を表す。]と、式(2)で表される反復単位をモル分率y[yは、0<y<1を表す。]を含んでなる。ここでx及びyは0<x+y≦1である。また、x≦y及び/またはx+y=1であるのが好ましい。
【0024】
本発明のポリイミド前駆体は、式(1)及び式(2)で表される反復単位と異なるアミド酸単位からなる反復単位を含むことができる。
【0025】
その様な反復単位を構成する構造の由来するジアミンとしては、特に限定されないが、3,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、2,5−ジアミノベンゾトリフルオリド、3,3’−ビストリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ビストリフルオロメチル−5,5’−ジアミノビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノジフェニル、ビス(フッ素化アルキル)−4,4’−ジアミノジフェニル、ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニル、ジブロモ−4,4’−ジアミノジフェニル、ビス(フッ素化アルコキシ)−4,4’−ジアミノジフェニル、ジフェニル−4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノテトラフルオロフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ビナフチルアミン、o−、m−、p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノジュレン、ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニル、ジアルキル−4,4’−ジアミノジフェニル、ジメトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、ジエトキシ−4,4’−ジアミノジフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’−ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルフォン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)オクタフルオロビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド等が例示でき、これらを2種以上併用することもできる。
【0026】
また、その様な反復単位を構成する構造の由来するテトラカルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、ピロメリット酸、トリフルオロメチルベンゼンテトラカルボン酸、ビストリフルオロメチルベンゼンテトラカルボン酸、ジフルオロベンゼンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ターフェニルテトラカルボン酸、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸、オキシジフタル酸、ビシクロ(2,2,2)オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸などが挙げられる。これらのテトラカルボン酸構造を有する反復単位の調製は、テトラカルボン酸ニ無水物、テトラカルボン酸エステル、テトラカルボン酸塩化物としてジアミンと混合することで行える。
【0027】
本発明のポリイミド前駆体を製造する方法は、特に限定されず、公知の方法を適用することもできる。通常、重合溶媒中で実質的に等モルのジアミン成分とテトラカルボン酸成分を反応させることでポリイミド前駆体を製造することができる。例えば、脂肪族ジアミンを用いるポリイミド前駆体を合成する経路として、テトラカルボン酸のジアルキルエステルの酸塩化物と脂肪族ジアミンよりポリアミド酸のアルキルエステルの合成が一般に知られている(High Performance Polymer, 10, 11 (1998))。この方法では、重合初期に起こる強固な錯塩を回避できるが、最終的に得られるポリイミド樹脂中に痕跡量の塩素成分が残留し、金属基板等を浸食する恐れがある。
【0028】
また、脂肪族ジアミンを用いるポリイミド前駆体を合成するもう1つの方法として、ジシリル化脂肪族ジアミンと酸二無水物を反応させてポリアミド酸のシリルエステルを合成する方法が知られている(高分子討論会予稿集, 49, 1917 (2000))。この方法ではジシリル化脂肪族ジアミンを合成、単離の工程を必要とし、工程が複雑化する。
【0029】
さらに、ポリアミド等の重合の際しばしば添加される高分子溶解促進剤即ちリチウムブロマイドやリチウムクロライドの如き金属塩類を添加することも知られている。
【0030】
以下に特に好ましい本発明のポリイミド前駆体の製造方法を説明する。
【0031】
まず、第一の工程では、重合溶媒中に少なくとも1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸成分1モルに対して2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンxモル[xは、0<x<1を表す。]を溶解・反応させる。ここで、xは1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物のモル数以上であるのが好ましい。テトラカルボン酸誘導体として1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物以外のものを併用する際には前記したテトラカルボン酸誘導体を使用することができる。前記したテトラカルボン酸誘導体は0.5モル未満で使用する。第一工程では、ジアミン成分の一部のみを添加・反応させる。攪拌することで反応時間を短縮することができる。反応時間は1〜48時間程度である。反応温度は、0〜60℃程度であり、通常加熱、冷却を行わない雰囲気温度(室温)で行うことができる。
【0032】
重合溶媒としてはN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホオキシド等の非プロトン性溶媒が好ましいが、原料モノマーであるジアミンと酸二無水物が溶解すればその構造には特に限定されない。具体的に例示するならば、N−メチルピロリドン、スルホラン、m−クレゾール、p−クレゾール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコール、アセトフェノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドなどが好ましく採用される。さらに、その他の一般的な有機溶剤、即ちフェノール、o−クレゾール、酢酸ブチル、酢酸エチル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、2−メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルアセテート、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、ブタノール、エタノール、キシレン、トルエン、クロルベンゼン、ターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ系溶媒なども添加して使用できる。
【0033】
第二の工程では、第一の工程に引き続き1,4-ジアミノシクロヘキサンyモル[yは、0<y<1を表し、0<x+y≦1である。]を溶解し反応させる。1,4-ジアミノシクロヘキサンは粉末の状態で添加することもでき、その粉末は徐々に溶解していき、所定の時間撹拌後、粘稠な均一溶液としてポリイミド前駆体溶液がえられる。
【0034】
上記製造方法において、ジアミン成分として1,4-ジアミノシクロヘキサン及び2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン以外を併用する場合には、1,4-ジアミノシクロヘキサンまたは2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンとともに、または別途添加することができる。その使用量は0.5モル未満でとするの好ましい。反応時間は1〜48時間程度である。反応温度は、0〜60℃程度であり、通常加熱、冷却を行わない雰囲気温度(室温)で行うことができる。
【0035】
本発明のポリイミド前駆体は、N,N-ジメチルアセトアミド中、30℃で測定した固有粘度は0.01〜3.0dL/g程度である。
【0036】
本発明のポリイミド前駆体は、200℃〜400℃、好ましくは300℃〜350℃の温度で熱処理してポリイミドとすることができる。また熱処理に代えて無水酢酸などの脱水試薬と反応させて化学的に行うこともできる。
【0037】
本発明のポリイミド前駆体は、前記重合溶媒を溶媒とする溶液として物品の表面に被膜を形成することができ、次いで上記熱処理または化学的脱水によりポリイミド被膜を形成することができる。ポリイミド前駆体溶液を塗布された後、予め50℃〜150℃範囲で乾燥し、次いで200℃〜400℃、好ましくは300℃〜350℃の温度で熱処理してポリイミド膜とすることができる。
【0038】
本発明のポリイミドは、必要に応じて酸化安定剤、フィラー、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤および増感剤等の添加物を加えることができる。
【0039】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
【0040】
(実施例1)
反応容器中に2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン16.01g(0.05モル)を入れ、N,N-ジメチルアセトアミド234gに溶解した後、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物粉末19.61g(0.1モル)を加え室温で約2時間撹拌した。得られた均一な溶液にトランス-1,4-ジアミノシクロヘキサン粉末5.71g(0.05モル)を撹拌しながら徐々に加えた。24時間後、透明で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。N,N-ジメチルアセトアミド中、30℃で測定した固有粘度は1.0dL/gであった。この溶液をガラス基板に塗布し、60℃、1時間で乾燥後、330℃、1時間で熱的にイミド化を行い膜厚10μmの柔軟なポリイミド膜を得た。膜物性は誘電率2.6(1MHz)、線熱膨張係数30ppm/K(100℃〜200℃の間の平均値)、およびガラス転移温度は370℃であった。合成したポリイミド前駆体およびその熱硬化膜の赤外線吸収スペクトルを図1、図2にそれぞれ示す。
【0041】
(比較例1)
反応容器中にパラフェニレンジアミン10.8g(0.1モル)を入れ、N,N-ジメチルアセトアミド362gに溶解した後、撹拌しながら3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の粉末29.4g(0.1モル)を徐々に加えた。室温で3時間撹拌後、粘稠なポリイミド前駆体溶液が得られた。これより実施例1と同様にして膜厚10μmのポリイミド膜を得た。膜物性は誘電率3.2、線熱膨張係数6ppm/K、およびガラス転移温度360℃であった。線熱膨張係数は非常に低いが、誘電率が高いことがわかる。これは酸二無水物成分、ジアミン成分共に芳香族モノマーを用いたことが原因である。
【0042】
(比較例2)
反応容器中に4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)21.04g(0.1モル)を入れ、N,N-ジメチルアセトアミド230gに溶解した後、撹拌しながら1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物粉末19.61g(0.1モル)を加え室温で24時間撹拌し均一な溶液を得た。この溶液をガラス基板に塗布し、60℃、1時間で乾燥後、300℃、1時間で熱的にイミド化を行い膜厚10μmの脆弱なポリイミド膜を得た。膜物性は誘電率が2.6と低い値が得られたが、線熱膨張係数は60ppm/Kと高くなった。これは屈曲性の脂肪族ジアミンを用いたことにより面内配向が疎外されたためである。
【0043】
(比較例3)
反応容器中に2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン32.02g(0.1モル)を入れ、N,N-ジメチルアセトアミド305gに溶解した後、撹拌しながらピロメリット酸二無水物粉末21.81g(0.1モル)を加え室温で24時間撹拌し均一で粘稠な溶液を得た。この溶液をガラス基板に塗布し、60℃、1時間で乾燥後、350℃、1時間で熱的にイミド化を行い膜厚10μmの柔軟なポリイミド膜を得た。膜物性は線熱膨張係数が3ppm/Kと極めて低い値が得られたが、誘電率は3.2と高くなった。これは酸二無水物成分にピロメリット酸二無水物を用いたことにより、分極率の高いイミドカルボニル基およびπ電子が増加したためである。
【0044】
(比較例4)
反応容器中に2,2'-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン32.02g(0.1モル)を入れ、N,N-ジメチルアセトアミド433gに溶解した後、撹拌しながら2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物粉末44.42g(0.1モル)を加え室温で24時間撹拌し均一で粘稠な溶液を得た。この溶液をガラス基板に塗布し、60℃、1時間で乾燥後、350℃、1時間で熱的にイミド化を行い膜厚10μmの柔軟なポリイミド膜を得た。膜物性は誘電率2.8と低い値が得られたが、線熱膨張係数は60ppm/Kと高くなった。これは酸二無水物成分に直線性の低い2,2'-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物を用いたことにより、面内配向が疎外されたためである。
【0045】
【発明の効果】
本発明のポリイミドは、高い耐熱性を有するとともに、低誘電率と低線熱膨張係数を併せ有するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で得られたポリイミド前駆体の赤外線吸収スペクトルである。
【図2】実施例で得られたポリイミドの赤外線吸収スペクトルである。

Claims (4)

  1. 式(1)で表される反復単位をモル分率x[xは、0<x<1を表す。]と、式(2)で表される反復単位をモル分率y[yは、0<y<1を表す。]で含んでなり、x≦yであり且つ x+y=1であるポリイミド前駆体。
    Figure 0003934335
    Figure 0003934335
  2. 式(3)で表される反復単位をモル分率x[xは、0<x<1を表す。]と、式(4)で表される反復単位をモル分率y[yは、0<y<1を表す。]で含んでなり、x≦yであり且つ x+y=1であるポリイミド。
    Figure 0003934335
    Figure 0003934335
  3. 重合溶媒中で実質的に等モルのジアミン成分とテトラカルボン酸成分を反応させるポリイミド前駆体の製造方法であって、溶媒中に少なくとも1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を含むテトラカルボン酸成分1モルと2,2−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンxモル[xは、0<x<1を表す。]を溶解・反応させる工程と、次いでそこへ1,4−ジアミノシクロヘキサンyモル[yは、0<y<1を表し、x≦yであり且つ x+y=1である。]を溶解し反応させる工程を少なくとも有する請求項1記載のポリイミド前駆体の製造方法。
  4. 請求項1に記載のポリイミド前駆体を脱水することからなるポリイミドの製造方法。
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