JP3933234B2 - 紫外線吸収透明導電基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種エレクトリックデバイスとして有用な紫外線遮断能を付与された透明導電基板に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
液晶やエレクトロクロミック材料を用いたエレクトリックデバイスは、紫外線の照射によって劣化してしまう。これを防ぐためには紫外線遮断層を透明導電膜の下に設けると、デバイスを構成するガラスの耐擦過性などに影響しない。しかし、ITOなどの透明導電膜の作製には、高真空度と高温が必要となり、有機紫外線吸収剤を含む紫外線吸収層だけではこの条件に耐えられず、紫外線吸収剤が揮発してしまい、充分な性能を出すことができなかった。
従って、例えば、特開平1−276120に見られるように、デバイスの外側に紫外線吸収層を設け、その上をさらにもう一枚のガラスで覆うなどの試みがなされてきた。しかし、構造が複雑である上に、工程が多くなってしまう。また、特開昭63−236016にみられるようなダイクロイック層を設けたものでは、コストが高くついてしまうなどの課題があった。そして、特開昭62−148339に見られるような、金属酸化物からなる紫外線吸収層を用いた場合には、近紫外域を充分にカットすることが難しいなどの問題点があった。
本発明の目的は、優れた紫外線遮断能を有する比較的単純な構造の透明導電基板を安価に提供するものである。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、本目的に鑑み鋭意検討した結果、特定の紫外線吸収層を有する新規な透明導電基板を見出した。
すなわち、本発明によれば、少なくとも、透明基板と透明導電膜とから構成される透明導電基板であり、透明基板と透明導電膜の間に有機紫外線吸収剤を含有する紫外線吸収層を有し、該紫外線吸収層が、少なくとも、(a)下記一般式(1)に示されるアミノシラン化合物またはその誘導体(以下、「成分A」と称す)と、(b)分子内にカルボキシル基を有する紫外線吸収剤(以下「成分B」と称す)とを反応させて生成されるアミド結合を生成せしめた成分を、透明基板の上に塗布、硬化することによって作製されることを特徴とする紫外線吸収透明導電基板が提供される。また、本発明によれば、前記紫外線吸収層と透明導電膜の間にオーバーコート層を有することを特徴とする紫外線吸収透明導電基板が提供される。
【化2】
尚、一般式(1)の各置換基に関しては後述する。
【0004】
【発明の実施の形態】
本発明の紫外線吸収透明導電基板は、少なくとも、透明基板と透明導電膜の間に紫外線吸収層を有する。また好適な態様として前記紫外線吸収層と透明導電膜の間にオーバーコート層を有する。
本発明で使用する透明基板は特に限定されないが、例えば、無色あるいは有色ガラス、強化ガラス等が用いられる他、無色あるいは有色の透明性を有する樹脂が使用できる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、などが挙げられる。
本発明で言う透明とは、通常3%以上、好ましくは10〜100%の可視光透過率を有することを意味する。また、本発明における基板は常温において平滑な面を有するものであり、その面は平面あるいは曲面であってもよく、また応力によって変形するものであってもよい。
本発明において用られる透明導電膜は、透明性を満たすものであれば特に限定されないが、例えば、金、銀などの金属薄膜、金属酸化物からなる導電膜などが挙げられる。金属酸化物としては、例えばITO(In2 O3 - SnO2 )、酸化錫、酸化亜鉛、酸化バナジウムなどが用いられる。
膜厚は通常、100〜5000オングストローム、好ましくは500〜3000オングストロームである。また、表面抵抗(抵抗率)は、本発明の基板の用途により適宜選択されるところであるが、通常、0. 5〜500Ω/cm2 、好ましくは2〜50Ω/cm2 である。
前記透明導電膜の形成法は、特に限定されなく、導電層として用いる前述の金属や金属酸化物の種類により適宜公知の方法が選択使用されるところであるが、通常、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法あるいはゾルゲル法などが用いられる。いずれの場合も基板温度100〜350℃の範囲内で形成されるのが望ましい。
【0005】
本発明において成分Aとして用いるアミノシラン化合物は、下記の一般式(1)で示される。
【化3】
一般式(1)において、R1 は炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキレン基、または一般式−(CH2 )m −NH−[mは1≦m≦4の整数]で表される2価の基を示す。該アルキレン基としては具体的にはメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が例示される。各々のR2 は同一若しくは異なる基であって、水素原子、水酸基、塩素、臭素等のハロゲン原子、炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基、または炭素数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基を示す。但し、全てのR2 のうち少なくとも一つはアルコキシ基若しくは水酸基である。前記R2 のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基等が例示でき、アリール基としてはフェニル基、トリル基などが例示できる。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i-プロポキシ基等が例示できる。nはn≧0、好ましくは0≦n≦3の整数を示す。
一般式(1)で示されるアミノシラン化合物の好適な例としては、3- アミノプロピルトリエトキシシラン、3- アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン、3- アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3- アミノプロピルトリクロロシラン、3- アミノプロピルポリジメチルシロキサン、N- (2- アミノエチル)- 3- アミノプロピルトリメトキシシラン、3- アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。
本発明では成分Aとして前記アミノシラン化合物の誘導体が使用可能であるが、その誘導体としては前記好適なアミノシラン化合物の加水分解物等が好ましく挙げられる。これらのアミノシラン化合物又はその誘導体は公知の方法により製造できる。
成分Bとして用いる分子内にカルボキシル基を有する紫外線吸収剤は、分子の側鎖にカルボキシル基を1個または2個以上有する化合物であって、例えば、ベンゾトリアゾール骨格またはベンゾフェノン骨格を有する化合物等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物としては、下記一般式(2)により表される化合物が好適に挙げられる。
【化4】
一般式(2)に於いて、R3 は水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜10 、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等が例示できる。R3 の置換位置は、ベンゾトリアゾール骨格の4位または5位であるが、ハロゲン原子及びアルキル基は通常4位に位置する。式中のR4 は、水素原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等が例示できる。式中のR5 は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基または、アルキリデン基を示す。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が、アルキリデン基としては、エチリデン、プロピリデン基等が挙げられる。
一般式(2)で示される化合物としては、3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパン酸、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシベンゼンエタン酸、3−(5−メチル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1−メチルエチル)−4−ヒドロキシベンゼンプロパン酸等が例示できる。
前記ベンゾフェノン骨格を有する化合物としては、下記の一般式(3)〜(6)にて示されるベンゾフェノン系化合物等が好適に挙げられる。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
一般式(3)〜(6)に於いて、R7 及びR8 は、同一若しくは異なる基であって、水素原子、水酸基、炭素数1〜10、好ましくは1〜6のアルキル基又はアルコキシ基を示す。n、mは、0≦m≦3、0≦n≦3の範囲の整数を示す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基、シクロヘキシル基等が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、i-プロポキシ基、ブトキシ基等が具体的に例示される。式中R6 は、炭素数1〜10、好ましくは1〜3のアルキレン基又は、アルキリデン基を示す。アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が、アルキリデン基としてはエチリデン基、プロピリデン基等が挙げられる。
このようなベンゾフェノン骨格を有する化合物の具体例としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−カルボン酸、4−(2−ヒドロキシベンゾイル)−3−ヒドロキシベンゼンプロパン酸等が好適に挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール骨格又はベンゾフェノン骨格を有する紫外線吸収剤は公知の方法により製造できる。
上記した成分Aと成分Bとを反応させることによって得られる反応混合物には、成分Aに由来するアミド結合が生成されるが、この反応は通常脱水反応が主である。反応により生成するアミド結合の量は、特に限定されないが、通常、成分Aの全アミノシランの10モル%以上、好ましくは、50モル%以上にアミド結合が生成することが好ましく、上限は通常100モル%であるが、上限が100モル%未満でも差し支えない。
【0006】
成分Aと成分Bを反応させる際又は両成分の反応後に、本発明の目的を損なわない範囲で任意成分をさらに共存・添加することができる。
そうした任意成分の一例はシリコーン樹脂(以下、「成分C」と称す)であって、成分Cとしては反応性シリコーン樹脂、即ち、成分Aのアルコキシシリル基部分と反応(通常脱水反応および/または脱アルコール反応等)し得る官能基を有するシリコーン樹脂が好ましい。官能基としてはアルコキシシリル基やシラノール基等が好ましい。
このような反応性シリコーン樹脂は、一般的にアルコキシシランやクロロシラン類の部分加水分解反応とそれに続く縮合反応によって容易に合成することができる。市販品では、純シリコーンワニス(例えば、商品名「XO7931−クリヤー」:オキツモ(株)製)、シリコーンレジン(例えば、商品名「SR2410」:東レ・ダウコーニングシリコーン(株)製)、アクリル変性シリコーン樹脂(例えば、商品名「サイラコート1000」:チッソ(株)製)等が好適に挙げられる。また、シリコーン樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で各種溶剤を用いた溶液の形で用いることができる。溶剤は特に限定されないが、通常は各種炭化水素系溶剤、ケトン類、エーテル類、エステル類、エーテル・エステル類などが使用される。また、シリコーン樹脂を変性したものを用いても良い。
成分Cは、成分Aおよび成分Bの反応の際、または反応後のいずれにおいても共存させられるが、成分Aおよび成分Bの反応の際に共存させることが特に好ましい。
前記任意成分の他の例は、各種のエポキシシラン類(以下「成分D」と称す)であって、好ましくは下記一般式(7)〜(8)に示すようなエポキシシラン類が使用される。
【化9】
【化10】
一般式(7)〜(8)に於いて、R9 およびR11は個別に炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキレン基又は、式−R−O−R' −(但し、R及びR' は各々炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキレン基を示す)により示される2価の基を示し、各々のR10は個別に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基、または炭素数6〜10好ましくは6〜8のアリール基を示す。但し、全ての、R10のうち少なくとも1つはアルコキシ基若しくは水酸基である。nはn≧0、好ましくは0≦n≦3の整数を示す。
前記アルキレン基としては、メチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が好適に例示できる。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好適に挙げられ、前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、前記アリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
成分Dの具体例としては、3- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシ- 3- グリシドキシプロピルメチルシラン、2- (3,4- エポキシシクロヘキシルエチル)トリメトキシシラン、ジメチルエトキシ- 3- グリシドキシプロピルシラン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシジシロキサン又はこれらの混合物等が好適に挙げられる。
成分Dは予め加水分解して用いても良い。また予め適当な重合触媒でエポキシ基を開環重合させて用いることもできる。重合触媒としては、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、塩化アルミニウム、ジエチル亜鉛等のルイス酸触媒が好適である。また、エポキシ基を開環重合させる際の重合条件は特に限定されないが、通常、−80℃〜130℃、好ましくは−20℃〜80℃程度が望ましく、反応時間は反応条件、反応様式等により適宜選択でき、通常10分〜10時間、好ましくは1時間〜6時間程度が望ましい。この際用いる溶媒は特に限定されないが、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、各種のケトン類やエステル類等が挙げられる。
成分Dは成分Aおよび成分Bの反応の際、または反応後のいずれにおいても共存させられるが、成分Aおよび成分Bの反応の後に加えることが好ましい。但し、前記予め成分Dのエポキシ基を開環重合させたものを用いる場合には、成分A及び成分Bの反応の際に加えるのが好ましい。
他の任意成分は、ポリエーテル変性ポリシロキサン類(以下「成分E」と称す)であって、この成分としては好ましくは下記一般式(9)で示されるポリエーテル変性ポリシロキサン類が例示できる。
【化11】
一般式(9)に於いて、R12、R13およびR14は個別に炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキレン基を示し、各々のR15は個別に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキル基若しくはアルコキシ基、または炭素数6〜10好ましくは6〜8のアリール基を示す。またR15のうち少なくとも一つはアルコキシ基若しくは水酸基である。m、n、pは、各々m≧0、好ましくは0≦m≦100、n≧0、好ましくは0≦n≦10、p≧0、好ましくは0≦p≦10の整数を示す。
前記アルキレン基としては、メチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などが好適に挙げられる。前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i-プロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、、オクチル基等が好適に挙げられる。前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられる。前記アリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。
成分Eの具体例には、テトラエチレングリコール- ビス(トリエトキシシリルエチル)エーテル、ポリエチレングリコール- ビス(トリエトキシシリルエチル)エーテル、ポリプロピレングリコール- ビス(トリエトキシシリルエチル)エーテル又はこれらの混合物が包含される。成分Eは予め加水分解して使用しても差し支えない。
成分Eは、成分Aおよび成分Bの反応の際、または反応後のいずれにおいても共存させられるが、成分Aおよび成分Bの反応の際に加えるのが好ましい。
任意成分として、成分Dのエポキシシラン類や成分Eのポリエーテル変性ポリシロキサン類を用いた場合、基板上に形成される紫外線吸収性被膜は、耐熱性を損なうことなく基板への密着性が改善され、厚膜にしても割れにくくなる等の効果を奏する。
【0007】
上記以外の任意成分としては、無機微粒子分散液(以下、「成分F」と称す)が挙げられる。成分Fは特に限定されないが、一般的にはシリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化アンチモン等の微粒子の分散液等が使用される。微粒子の粒子径は1〜100nm程度であり、分散媒としては水、メタノール、キシレン、メチルエチルケトン等が普通である。市販品ではLUDOX L S(デュポン社製)や、XBA−ST(日産化学社製)などが好適に挙げられる。
成分Fは、成分Aおよび成分Bの反応の際、または反応後のいずれにおいても共存させられるが、成分Aおよび成分Bの反応の後に加えることが好ましい。
成分Fを加えることで、被膜の表面硬度が改善され、耐摩耗性,耐薬品性などを向上させることができる。
なお、上記した各任意成分は公知の方法により製造できる。
【0008】
任意成分が共存しているか否かにかかわらず、成分Aと成分Bとを反応させることによって、所望量のアミド結合を含有する反応混合物を得ることができる。この反応の反応条件は、成分Aに由来するアミド結合が生成する条件であれば適宜選択することができるが、通常は成分Aと成分Bを、さらに所望により任意成分を溶媒中にて混合したのち、溶媒の存在下において、室温〜350℃、好ましくは60〜250℃において、通常5分〜50時間、好ましくは10分〜15時間反応させるのが一般的である。この反応操作は繰り返し行うことができる。
反応に用いる溶媒は、本発明の目的を損なわない限り特に限定されず、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤やシクロヘキサノン等のケトン系溶剤、またはこれらの混合物が使用可能である。溶媒は反応後除去してもよく、除去しなくても良い。
前記反応において、成分Aと成分Bとの使用割合は、特に限定されないが、成分Bの使用量が、成分Aと成分Bとの総量に対し、通常5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%の範囲で任意に選択することができる。
こうして得られる反応混合物は、必要に応じて上記した任意成分をこれに添加して、透明基板上に塗布することができる。この塗布液には、本発明の目的を損なわない限り、任意の添加剤を配合することができる。そうした添加剤としては、例えば、酸化防止剤、クエンチャーもしくはラジカル捕捉剤、または塩酸、硫酸、酢酸などの無機酸や有機酸、3フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体、6フッ化アンチモン酸ナトリウム等のルイス酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、トリエチルアミン、アニリンなどの塩基、ジブチルスズジラウレート、チタンテトライソプロポキサイドなどの有機金属に例示されるような、硬化促進作用を有するする触媒(紫外線吸収材料に対して、通常0.1〜5.0質量%であることが好ましい)、トルエン、キシレン、エタノール、イソプロパノール、ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、1−メトキシ−2−アセトキシプロパン等、各種シンナー等の溶剤等が例示できる。
任意成分であるシリコーン樹脂の使用量は特に限定されないが、成分Aと成分Bの総量100質量部に対して、5〜300質量部、好ましくは20〜150質量部が望ましい。
また、エポキシシラン類の使用量も特に限定されないが、成分Aと成分Bの総量100質量部に対して、10〜500質量部、好ましくは100〜400質量部が望ましい。
また、ポリエーテル変性ポリシロキサン類の使用量も特に限定されないが、成分Aと成分Bの総量100質量部に対して、10〜500質量部、好ましくは100〜400質量部が望ましい。
また、コロイダルシリカの使用量も特に限定されないが、成分Aと成分Bの総量100質量部に対して、5〜400質量部、好ましくは10〜200質量部が望ましい。
【0009】
本発明に係る紫外線吸収層は、上記反応混合物を含有する塗布液を基板の上に塗布して硬化させることによって得ることができる。塗布方法に特別な限定はなく、適宜公知の方法が採用できる。例えば、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、キャストコート、ブレードコート、フローコートなどが、目的に応じて適宜採用可能である。
塗布膜は、前記硬化促進作用を有する触媒を用いた場合は、通常室温から250℃、好ましくは40℃〜200℃程度で硬化させることができる。また該触媒を用いなくても通常室温〜350℃、好ましくは60℃〜250℃で加熱することによって硬化させることができる。硬化に要する時間は、硬化温度にもよるが、通常10分〜5時間程度である。
透明基板上に形成される紫外線吸収層の膜厚は、特に限定されなく適宜選択されるところであるが、通常0. 5〜50μm程度の範囲内で用いられる。0. 5μm以下では充分な紫外線遮断能力を出すことが難しい場合があり、50μm以上では亀裂を生じさせずに塗布するのが難しい場合がある。
【0010】
本発明に係る紫外線吸収透明導電基板には、その紫外線吸収層と透明導電膜とに隣接してオーバーコート層を設けることができる。このオーバーコート層形成用材料には特別な限定はないが、通常は耐熱性に優れた樹脂で形成され、具体的には、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルサルフォン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコーンワニスなどのシリコーン樹脂、尿素樹脂などが使用される。これらの中でもシリコーン樹脂のオーバーコート剤が最適である。またこれらを組み合わせて用いても良い。ガラスフィラーや無機粉体を併用することも行われる。無機粉体としては、通常ZnO、TiO2 、CeO2 、シリカなどの微粒子が用いられる。シリコーン樹脂オーバーコート剤としては、コロイダルシリカなどの無機微粒子を分散させたシリコーンレジン系やアルコキシシラン、クロロシランなどのシラン類の部分加水分解生成物及び部分重縮合生成物などが挙げられる。具体的には、市販品ではトスガード510 (東芝シリコーン製)やAPZ7703 、APZ7705 (日本ユニカー製)、N- L110,N- L710等のポリシラザン(東燃製)が挙げられる。またエポキシシランの部分加水分解生成物もオーバーコート剤として耐摩耗性などが優れていることが知られている。オーバーコート層の形成法としては、特に限定されなく適宜公知の方法が選択されるところであるが、通常、オーバーコート層を構成する樹脂の溶液、あるいは前駆体からなる溶液を塗布することによって得られる。塗布後はそれぞれの樹脂の性質によって必要な処理がなされ、オーバーコート層が得られる。また上記樹脂からなるフィルムを貼る方法でオーバーコート層を設けることもできる。
ちなみに、シリコーンワニスを用いた場合、ジブチルスズジラウリレートなどの触媒をこれに加え、塗布した後100〜200℃程度で5分〜2時間程度加熱硬化することで、1〜20μmのオーバーコート層を得ることができる。また、アクリル−メラミン樹脂前駆体を用いた場合には、塗布した後130〜190℃で5分〜2時間程度加熱硬化することで、10〜100μmのオーバーコート層を得ることができる。また光硬化型のアクリル系樹脂前駆体などを用いた場合には、塗布した後、高圧水銀灯照射下に置くことによって通常5分以内に1〜10μmのオーバーコート層を得ることができる。
塗布方法には既知の方法が用いられる。例えば、スピンコート、スプレーコート、キャストコート、ブレードコート、ディップコートなどが使用できる。 また、オーバーコート層形成前に紫外線吸収層に光表面改質やプライマー処理を施すことで、オーバーコート材の塗れ性改善やオーバーコート層の紫外線吸収層への密着性を改善することができる。
【0011】
本発明の透明導電基板の好ましい構成は、透明基板と透明導電膜の間に特定の紫外線吸収層を有し、かつ該紫外線吸収層と透明導電膜の間にオーバーコート層を有するものであるが、その最も単純な例は図1に示されように、透明基板1、紫外線吸収層2、オーバーコート層3および透明導電膜4を順次設けたものである。
また、図2に示すように、透明基板1と紫外線吸収層2との間に、1層以上の中間層5を設けることもできる。中間層5の機能は特に限定されないが、例えば遠紫外による有機紫外線吸収剤の劣化を抑制する目的で、ZnO、CeO2 、TiO2 などの無機酸化物を含む紫外線吸収層を設けたり、あるいは、透明基板1と紫外線吸収層2との密着性を向上させる目的で、シランカップリング剤や界面活性剤などを含む中間層とすることができる。
さらに、図3に示すように、紫外線吸収層2とオーバーコート層3との間に、1層以上の中間層6を設けることもできる。中間層6の機能は特に限定されないが、例えば紫外線吸収層2とオーバーコート層3との密着性を向上させる目的で、シランカップリング剤や界面活性剤などを含む中間層とすることができる。
さらにまた、図4に示すように、透明基板1と紫外線吸収層2との間及び紫外線吸収層2とオーバーコート層3との間にそれぞれ1層以上の中間層5,6を設けることもできる。中間層5,6の機能は特に限定されないが、前記図2及び図3において述べたものと同様の機能を付与させることができる。
本発明の透明導電基板において、前記積層構造は基板の片面のみではなく、基板の両面に同様に備えることもできる。
【0012】
【発明の効果】
本発明の透明導電基板は、高い導電性と優れた紫外線遮断効果を両方具備するものである。特に紫外線吸収層を適宜選択することにより400nm以下の波長を極めてクリアに遮断することができる。また、透明導電膜と紫外線吸収層との間に設けられたオーバーコート層の効果により、透明導電膜を容易に形成することが可能となり、且つこれを用いて作製したエレクトリックデバイスを紫外線から保護することが可能である。さらに、紫外線吸収剤をポリマーと化学的に結合させることによって、透明導電膜形成時に安定な紫外線吸収層を得ることができ、容易に紫外線吸収層を持つ透明導電基板を得ることができる。
さらに、本発明の透明導電性基板はこのような特長を具備することから、各種用途に使用でき、例えば、調光や表示等を目的としたエレクトロクロミック素子や表示用等の液晶素子などに使用でき、優れた効果を発揮することができる。
以上、本発明について詳細に説明してきたが、本発明の紫外線吸収透明導電基板にに関して好適な実施態様としては以下の態様が挙げられる。
1.紫外線吸収層形成性塗布成分が、前記シリコーン樹脂の存在下に、(a)前記一般式(1)に示されるアミノシラン化合物またはその誘導体と、(b)前記分子内にカルボン酸残基を有する紫外線吸収剤を反応させて得られる反応混合物を含有することを特徴とする本願発明の紫外線吸収透明導電基板。
2.紫外線吸収層形成性塗布成分が、(a)前記一般式(1)に示されるアミノシラン化合物またはその誘導体と、(b)前記分子内にカルボン酸残基を有する紫外線吸収剤とを反応させて得られるアミド結合含有反応混合物に、前記エポキシシラン類をさらに加えることにより得られるものであることを特徴とする本願発明の紫外線吸収透明導電基板。
3.紫外線吸収層形成性塗布成分が、(a)前記一般式(1)に示されるアミノシラン化合物またはその誘導体と、(b)前記分子内にカルボン酸残基を有する紫外線吸収剤とを反応させて得られるアミド結合含有反応混合物に、コロイダルシリカをさらに加えることにより得られるものであることを特徴とする本願発明の紫外線吸収透明導電基板。
【0013】
【実施例】
以下に本発明の実施例を挙げ説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0014】
実施例1
カルボン酸残基含有紫外線吸収剤の合成
225g(0. 46モル)の3- (5- クロロ- 2H- ベンゾトリアゾール- 2- イル)- 5- (1, 1- ジメチルエチル)- 4- ヒドロキシ- ベンゼンプロパン酸オクチルエステル(TINUVIN 109、商標名、Ciba−Geigy社製)を700mlのアセトンに溶解し、2N水酸化ナトリウム水溶液600mlを加えて室温で24時間攪拌した。2N塩酸650mlを加えて酸性にした後、不溶化した生成物を濾別し、蒸留水で濾液が中性になるまで洗浄した。この生成物を真空乾燥した後、トルエンからの再結晶を行うことで3- (5- クロロ- 2H- ベンゾトリアゾール- 2- イル)- 5- (1, 1- ジメチルエチル)- 4- ヒドロキシ- ベンゼンプロパン酸[化合物I]を得た。
紫外線吸収性塗布液の製造
3−アミノプロピルトリエトキシシラン3gをキシレン35gに溶解し、80℃に加熱しながら、前記化合物Iを5g徐々に添加した。添加終了後、130℃まで昇温し、3時間還流した。放冷後、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを16g添加し、これを紫外線吸収性塗布液とした。
得られた塗布液を13C−NMRにより分析したところ、アミド結合に由来するカルボニルのピーク(約173ppm)が観測され、原料のアミノシラン類に由来するアミド結合が存在していることを確認した。
紫外線吸収透明板の製造
前記紫外線吸収性塗布液をガラス基板上にスプレー塗布し、室温で20分放置後200℃で20分加熱し、厚さ約17μmの紫外線吸収被膜を有する紫外線吸収ガラスを作製した。さらに、この紫外線吸収層の上に、シリコーンレジン(APZ−7705、日本ユニカー製、)をスプレー塗布し、100℃で20分乾燥して、厚さ約2μmの保護膜を設けた。
紫外線吸収透明導電基板の製造
上記紫外線吸収ガラス上に基板温度250℃でITOのスパッタリングを行い、膜厚約3300オングストローム、抵抗7. 5Ω/cm2 の透明導電膜を形成し、紫外線遮断能を有する透明導電基板を得た。この透明導電基板の分光透過率を図5に示した。
【0015】
実施例2
紫外線吸収性塗布液の製造
3gの3- アミノプロピルトリエトキシシランをキシレン40gに溶解し60℃に加熱しつつ、5gの実施例1における化合物Iを徐々に加えた。添加終了後、130℃まで昇温し、3時間還流し、溶液状の紫外線吸収性塗布液を得た。
得られた溶液を13C−NMRにより分析したところ、アミド結合に由来するカルボニルのピーク(約173ppm)が観測され、原料のアミノシラン類に由来するアミド結合が存在していることを確認した。
紫外線吸収透明板の製造
前記塗布液をガラス基板上にスプレー塗布し、室温で20分放置後130℃で30分加熱し、厚さ約10μmの紫外線吸収被膜を有する紫外線吸収ガラスを作製した。さらに、この紫外線吸収層の上に、シリコーンレジン(APZ−7705、日本ユニカー製、)をスプレー塗布し、100℃で20分乾燥して、厚さ約2μmの保護膜を設けた。
この紫外線吸収ガラスの紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、実施例1と同様に紫外線を完全に遮断するガラス基板が得られた。
紫外線吸収透明導電基板の製造
上記紫外線吸収ガラス上に基板温度250℃でITOのスパッタリングを行い、膜厚約3300オングストローム、抵抗7. 5Ω/cm2 の透明導電膜を形成し、紫外線遮断能を有する透明導電基板を得た。この場合も実施例1と同様にスパッタリング前のスペクトルと比較してほとんど変化が見られなかった。
【0016】
実施例3
紫外線吸収性塗布液の製造
シリコーンワニス(XO−7931−クリヤー、オキツモ製)17.7gと3- アミノプロピルトリエトキシシラン3gをキシレン35gに溶解し、80℃に加熱しながら5gの化合物Iを徐々に添加した。添加終了後、130℃まで昇温し3時間還流し、溶液状の紫外線吸収性塗布液を得た。
紫外線吸収透明板の製造
前記紫外線吸収性塗布液をガラス基板上にスプレー塗布し、室温で20分放置後、200℃で20分加熱し、厚さ約17μmの紫外線吸収被膜を有する紫外線吸収ガラスを作製した。この紫外線吸収ガラスに対して碁盤目試験を行ったところ、50%剥離が見られた。鉛筆硬度は2Hだった。さらに、この紫外線吸収層の上に、シリコーンレジン(APZ−7705、日本ユニカー製、)をスプレー塗布し、100℃で20分乾燥して、厚さ約2μmの保護膜を設けた。
紫外線吸収透明導電基板の製造
上記紫外線吸収ガラス上に基板温度250℃でITOのスパッタリングを行い、膜厚約3300オングストローム、抵抗7. 5Ω/cm2 の透明導電膜を形成し、紫外線遮断能を有する透明導電基板を得た。この透明導電基板の分光透過率を図6に示した。
【0017】
実施例4
紫外線吸収性塗布液の製造
シリコーンワニス(XO−7931−クリヤー、オキツモ製)17.7gと3- アミノプロピルトリエトキシシラン3gをキシレン35gに溶解し、80℃に加熱しながら5gの化合物Iを徐々に添加した。添加終了後、130℃まで昇温し3時間還流した。放冷後、3- グリシドキシプロピルトリメトキシシランを16g添加し、紫外線吸収性塗布液を得た。
紫外線吸収透明板の製造
前記紫外線吸収性塗布液をガラス基板上にスプレー塗布し、室温で20分放置後、200℃で20分加熱し、厚さ約17μmの紫外線吸収被膜を有する紫外線吸収ガラスを作製した。実施例3のように碁盤目試験での剥離は認められなかった。さらに、この紫外線吸収層の上に、シリコーンレジン(APZ−7705、日本ユニカー製、)をスプレー塗布し、100℃で20分乾燥して、厚さ約2μmの保護膜を設けた。
紫外線吸収透明導電基板の製造
上記紫外線吸収ガラス上に基板温度250℃でITOのスパッタリングを行い、膜厚約3300オングストローム、抵抗7. 5Ω/cm2 の透明導電膜を形成し、紫外線遮断能を有する透明導電基板を得た。この透明導電基板の分光透過率を図7に示した。
【0018】
実施例5
紫外線吸収性塗布液の製造
シリコーンワニス(XO−7931−クリヤー、オキツモ製)17.7gと3- アミノプロピルトリエトキシシラン3gをキシレン35gに溶解し、80℃に加熱しながら5gの化合物Iを徐々に添加した。添加終了後、130℃まで昇温し3時間還流した。放冷後、3- グリシドキシプロピルトリメトキシシランを16g、コロイダルシリカ分散液(日産化学製、MIBK-ST )を8g添加し紫外線吸収性塗布液を得た。
紫外線吸収透明板の製造
前記紫外線吸収性塗布液をガラス基板上にスプレー塗布し、室温で20分放置後、200℃で20分加熱し、厚さ約17μmの紫外線吸収被膜を有する紫外線吸収ガラスを作製した。鉛筆硬度は4Hであった。
紫外線吸収透明導電基板の製造
上記紫外線吸収ガラス上に基板温度250℃でITOのスパッタリングを行い、膜厚約3300オングストローム、抵抗7. 5Ω/cm2 の透明導電膜を形成し、紫外線遮断能を有する透明導電基板を得た。この透明導電基板の分光透過率を図8に示した。
【0019】
実施例6
エポキシシランの重合
3- グリシドキシプロピルトリメトキシシラン200gをキシレン75gに溶解させ、3フッ化ホウ素・ジエチルエーテル錯体4mlを室温で徐々に加えた後、4時間撹拌しエポキシ基の開環重合を行った。得られたポリマーの分子量はMw=3300(ポリスチレン換算)であった。
紫外線吸収性塗布液の製造
シリコーンワニス(XO−7931−クリヤー、オキツモ製)17.7gと3- アミノプロピルトリエトキシシラン3gをキシレン29gに溶解し、80℃に加熱しながら5gの化合物Iを徐々に添加した。添加終了後、130℃まで昇温し3時間還流した。放冷後、上記エポキシシラン重合体溶液を22gを加え紫外線吸収材料を得た。
紫外線吸収透明板の製造
前記溶液状の紫外線吸収材料をコーテング液として、これをガラス基板上にスプレー塗布し、室温で20分放置後、150℃で30分加熱し、厚さ約15μmの紫外線吸収層のついたガラス基板を作製した。鉛筆硬度は6Hであった。さらに、この紫外線吸収層の上に、シリコーンレジン(APZ−7705、日本ユニカー製、)をスプレー塗布し、100℃で20分乾燥して、厚さ約2μmの保護膜を設けた。
紫外線吸収透明導電基板の製造
上記紫外線吸収ガラス上に基板温度250℃でITOのスパッタリングを行い、膜厚約3300オングストローム、抵抗7. 5Ω/cm2 の透明導電膜を形成し、紫外線遮断能を有する透明導電基板を得た。この透明導電基板の分光透過率を図9に示した。
【0020】
実施例7
紫外線吸収塗布液の製造
3- アミノプロピルトリエトキシシラン3gと実施例6のエポキシシラン重合体溶液11gをキシレン32gに溶解し、80℃に加熱しながら5gの化合物Iを徐々に添加した。添加終了後、130℃まで昇温し3時間還流し、紫外線吸収材料を得た。
紫外線吸収透明板の製造
前記溶液状の紫外線吸収材料をコーテング液として、これをガラス基板上にスプレー塗布し、室温で20分放置後、150℃で30分加熱し、厚さ約15μmの紫外線吸収層のついたガラス基板を作製した。鉛筆硬度は5Hであった。さらに、この紫外線吸収層の上に、シリコーンレジン(APZ−7705、日本ユニカー製、)をスプレー塗布し、100℃で20分乾燥して、厚さ約2μmの保護膜を設けた。
紫外線吸収透明導電基板の製造
上記紫外線吸収ガラス上に基板温度250℃でITOのスパッタリングを行い、膜厚約3300オングストローム、抵抗7. 5Ω/cm2 の透明導電膜を形成し、紫外線遮断能を有する透明導電基板を得た。この透明導電基板の分光透過率を図10に示した。
【0021】
比較例1
ガラス基板上にZnO超微粒子分散塗料(レジノカラー工業社製、UV−S−400)をディップコートにより塗布し、200℃で20分加熱硬化させることによって、厚さ約2μmの紫外線吸収層を作製した。この上にポリエーテルサルフォン(ICI社製、`VICTREX´PES 4100P)の塩化メチレン溶液をスピンコートすることにより、厚さ約2μmのポリマー層を作製した。
さらに、実施例2のシリコーンワニスを用いて、厚さ約15μmの紫外線吸収層を作製した。
こうして得られた紫外線吸収層の上に、ポリイミドワニス(日産化学工業社製、RN−812)をスピンコートした。ホットプレート上60℃で溶媒が乾燥させた後、オーブン中200℃で30分加熱硬化させることによって、厚さ約2μmの保護層を得た。さらにこの上に、基板温度250℃以下でITOのスパッタリングを行い、膜厚2050オングストローム、表面抵抗9. 5Ω/cm2 の透明導電膜紫外線遮断能を有する透明導電基板を得た。この透明導電基板の分光透過率を図11に示した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の透明導電基板の構造説明図である。
【図2】本発明の他の透明導電基板の構造説明図である。
【図3】本発明の他の透明導電基板の構造説明図である。
【図4】本発明の他の透明導電基板の構造説明図である。
【図5】実施例1の分光透過率を表すグラフである。
【図6】実施例3の分光透過率を表すグラフである。
【図7】実施例4の分光透過率を表すグラフである。
【図8】実施例5の分光透過率を表すグラフである。
【図9】実施例6の分光透過率を表すグラフである。
【図10】実施例7の分光透過率を表すグラフである。
【図11】比較例2の分光透過率を表すグラフである。
【符号の説明】
1:透明基板
2:紫外線吸収層
3:保護層
4:透明導電膜
5:中間層
6:中間層
Claims (2)
- 少なくとも透明基板と透明導電膜とから構成される透明導電基板であり、透明基板と透明導電膜の間に紫外線吸収層を有し、該紫外線吸収層が、少なくとも、
(a)一般式(1)に示されるアミノシラン化合物またはその誘導体と、
(b)分子内にカルボキシル基を有する紫外線吸収剤と
を反応させて前記アミノシラン化合物又はその誘導体に由来するアミド結合が生成した成分を、透明基板の上に塗布、硬化することによって作製されたことを特徴とする紫外線吸収透明導電透明基板。 - 上記紫外線吸収層と透明導電膜の間にオーバーコート層を有する請求項1に記載の紫外線吸収透明導電基板。
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