JP3932781B2 - アロエ青汁の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アロエ青汁の製造方法、とくにキダチアロエの生葉に含有されている有効成分を全て活用したアロエ青汁の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アロエは「医者いらず」の格言が示すとおり、古来より外用薬としての効用、例えば火傷、虫刺され、切り傷、打ち身、ニキビ、湿疹、あせも、抜け毛、肌の老化等に対する効用や内服薬としての効用、例えば胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、糖尿病、高血圧、低血圧、肝臓病、二日酔い、便秘、冷え性等に対する効用を有することが知られている。
【0003】
従来よりアロエ、特にキダチアロエを使用して薬効を有する各種製剤を製造することが行われている。その製造方法としては、例えばアロエの生葉を洗浄し、両側のトゲを取った後、おろし金ですりおろし、あるいはミキサー等の破砕機により破砕し、これを布で絞ったり、遠心分離機等により液汁(アロエエキス)を得る方法、あるいはアロエの生葉を薄く切って、それを倍量の水で煮沸し、その後布で絞ってアロエエキスを含んだアロエ液を得る方法等がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した前者の製造方法においては、アロエの生葉を単に破砕し、搾汁しただけのものであるため、アロエエキスの溶出効果が低く、加えてアロエエキス中に生葉の残滓が多量に残り飲用感を損なうという問題、また保存性に欠けるという問題がある。また、後者の方法であっても、やはりアロエエキスの溶出効果が低く、加えてアロエ溶液中に残滓が多く残るという問題がある。
【0005】
上述した従来技術の問題点に鑑み、本発明者は先に特願平10−145820号(特開平11−335291号)において、アロエ溶液の製造方法を提案した。この製造方法によれば、アロエエキスの溶出効果が高く、しかもアロエ溶液中に生葉の残滓が極めて少なく、透明感があり、しかも保存性に優れたアロエ溶液を得ることができるもので、上記従来技術の問題点を解決するものであった。
【0006】
上述した特願平10−145820号の製造方法は、アロエ溶液中の不純物、すなわち生葉の残滓を除去するものであるが、本発明者がこの生葉の残滓を調べたところ、この残滓中にも依然として有効成分が含まれていることを見出した。
【0007】
本発明は、有効成分が含まれている生葉の残滓を使用し、キダチアロエの生葉に含有されている有効成分を全て活用したアロエ青汁の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、原料となるアロエの生葉を所望の幅にスライスする工程と、スライスした所定量の生葉に所定量の水を加えて、該生葉と水とを加圧下にて煮沸して、アロエエキスを含んだアロエ溶液を生成する工程と、該アロエ溶液から煮沸した生葉を取出し、これを微細に破砕して湿潤性をもった粉砕生葉を得る工程と、粉砕生葉に前記アロエエキスを含んだアロエ溶液を加えるとともに所定量の水を加え、これらを銅製釜に投入し攪拌しながら所定時間煮沸する工程と、を具備したアロエ青汁の製造方法に存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態の例に基づき更に詳細に説明する。原料となるアロエの生葉としては、好ましくはキダチアロエの生葉が使用される。このキダチアロエは味がよく、生葉中にアロイン、アルボランA・B、アロエマンナン、アロクチンA、アロエウルシン、アロエチン、アロミチンなど有効成分を多量に含んでいる。
【0010】
アロエの生葉を手または洗浄器により水洗浄し、この洗浄後、アロエの生葉表面から水分を除去した後、アロエの生葉を該生葉の長手方向と直交する方向に概ね0.5〜10mm、好ましくは0.5〜5mmの幅にスライスする。このスライス工程において、単に刃物(包丁、ナイフ等)でスライスする方法、刃物を回転させて連続的にスライスする方法などが使用される。スライスされた生葉は生葉中から出た粘液により粘稠性がある。
【0011】
スライスしたアロエの生葉は所望の量だけ計量され、この計量された所定量が圧力容器に投入されるとともに、該生葉の重量と同量またはそれ以下の量の水が該容器に加えられる。圧力容器としては、圧力鍋あるいは圧力釜が使用される。
【0012】
圧力容器中に投入されたアロエの生葉と水とを、該容器中で加圧下にて100℃以上の温度で60〜90分間煮沸し、水分中にアロエエキスを溶出する。煮沸する時間はスライスされたアロエの生葉の幅に依存し、アロエの生葉のスライス幅が0.5〜3mm程度であれば煮沸時間は短く、またスライス幅が3〜10mm程度であれば煮沸時間を長くする。この圧力容器にてアロエの生葉を加圧下で煮沸することにより、アロエ生葉の表皮の繊維をやわらかくし、後述する摩砕工程においてアロエ生葉の表皮に含まれているアロエの有効成分を取出すことができる。
【0013】
アロエエキスを含んだアロエ溶液から煮沸したアロエ生葉を取出し、これを微細に粉砕して湿潤性をもった粉砕生葉を得る。アロエ生葉を微細に粉砕する方法としては、例えばジューサーミキサーまたは摩砕機あるいは両者を使用する方法が挙げられる。
【0014】
微細に粉砕したアロエ生葉を銅製の鍋または釜に投入するとともに前記アロエエキスを含んだアロエ溶液を加え、さらに微細に粉砕したアロエ生葉とアロエエキスとの合計重量とほぼ同量の水を加える。そして、これらを攪拌しながら30〜60分間煮沸する。この煮沸工程において、微細に粉砕したアロエ生葉は鮮やかな緑色に変色する。このアロエ生葉が緑色に変色する理由は詳らかでないが、鉄製、アルミニウム製あるいはステンレス製の鍋や釜中で煮沸したものは何ら変色しないことから、おそらくアロエ生葉に含まれている成分が銅製の鍋または釜の銅成分と反応したものと考えられる。なお、銅製の鍋または釜中で攪拌しながら煮沸する手段として、銅製の鍋または釜に攪拌翼を備えた直火固定釜攪拌機を使用してもよい。
【0015】
以上の工程を経て、原料のキダチアロエに含まれている有効成分の全てを含んだアロエ青汁が得られる。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0017】
葉幅がおおよそ3cmのキダチアロエの生葉を準備し、水で洗浄して生葉に付着した土や水垢を除去したのち、生葉表面から水分を除去した。
【0018】
ついで、生葉をおおよそ3mmの幅(生葉長手方向と直交する方向)にスライスした。
【0019】
スライスした生葉9kgを圧力釜に投入するとともに該圧力釜に水6リットルを加え、これを100℃の温度で90分間煮沸して、アロエエキスを溶出し、アロエエキスを含んだアロエ溶液6.3リットルと表皮の繊維がやわらかくなった生葉2.7kgを得た。
【0020】
表皮の繊維がやわらかくなった生葉2.7kgをジューサーミキサーに投入して該生葉を粉砕し、さらに粉砕した生葉を摩砕機により微細に粉砕し、湿潤性をもった粉砕生葉を得た。
【0021】
攪拌翼を具備した銅製の直火固定釜を準備し、該釜中に前記アロエエキスを含んだアロエ溶液6.3リットルと粉砕生葉2.7kgを加えるとともに、さらに水9リットルを加え、おおよそ60分間攪拌しながら煮沸した。この煮沸により、粉砕生葉は緑色に変色していることを確認した。
【0022】
かくして得られたアロエ青汁は緑色を呈し、該青汁は原料のキダチアロエの生葉に含有されている有効成分を全て活用するものであった。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、キダチアロエの生葉に含有されている有効成分を全て活用し、かつ緑色を呈するアロエ青汁を製造できる。

Claims (7)

  1. 原料となるキダチアロエの生葉を所望の幅にスライスする工程と、スライスした所定量のキダチアロエの生葉に所定量の水を加えて、該キダチアロエの生葉と水とを加圧下にて煮沸して、キダチアロエエキスを含んだキダチアロエ溶液を生成する工程と、該キダチアロエ溶液から煮沸したキダチアロエの生葉を取出し、これを微細に破砕して湿潤性をもった粉砕生葉を得る工程と、粉砕生葉に前記キダチアロエエキスを含んだキダチアロエ溶液を加えるとともに所定量の水を加え、これらを銅製釜に投入し攪拌しながら所定時間煮沸する工程と、を具備したアロエ青汁の製造方法。
  2. スライスした所定量のキダチアロエの生葉に加える所定量の水は、スライスした所定量のキダチアロエの生葉の重量に対して同量もしくはそれ以下である請求項1に記載のアロエ青汁の製造方法。
  3. キダチアロエの生葉と水との加圧下での煮沸を、圧力容器を用いて行う請求項1又は2に記載のアロエ青汁の製造方法。
  4. 圧力容器は、圧力釜または圧力鍋である請求項3に記載のアロエ青汁の製造方法。
  5. キダチアロエの生葉と水との加圧下での煮沸を60〜90分間行う請求項1から4のいずれか一項に記載のアロエ青汁の製造方法。
  6. キダチアロエの生葉のスライス幅寸法は、0.5〜10mmである請求項1から5のいずれか一項に記載のアロエ青汁の製造方法。
  7. 粉砕生葉とキダチアロエエキスを含んだキダチアロエ溶液と水との煮沸は、銅製釜で攪拌しながら30〜60分間行う請求項1から6のいずれか一項に記載のアロエ青汁の製造方法。
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