JP3932616B2 - オゾン吸脱着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、オゾン吸脱着装置に係わり、更に詳しくは、酸素をリサイクルしてオゾン吸着剤にオゾンを吸着させ、これを高濃度で脱着させるオゾン吸脱着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
パルプの漂白、水処理における殺菌や脱臭、下水処理における有機物の分解等に、従来の塩素等に代えて安全性の高いオゾンの利用が進められている。しかし、オゾン導入のデメリットは、酸素製造とオゾン製造のイニシャルコストとランニングコストが高いことにあり、この両方を一挙に解決する技術として、本願発明者等は、先に特開平7−144903号(発明の名称:「オゾン発生濃縮装置」)を提案した。
【0003】
この装置は、図4に示すように酸素製造機1、オゾン発生器2、オゾン濃縮装置3、及び反応塔4からなり、酸素製造機1の窒素吸着塔5a,5bにより圧縮空気中の窒素が吸着されて酸素が製造され、この酸素がオゾン発生器2に供給され、そこで電離されてオゾンが生成される。オゾン濃縮装置3はシリカゲル等を充填した2つのオゾン吸着塔7a,7bからなり、生成したオゾンはその一方(例えば7a)に導入されて吸着され、残りの吸着されない酸素は、循環ライン8を介してオゾン発生器2に再循環され再利用される。他方の吸着塔(例えば7b)では、窒素吸着塔5a,5bから脱着された窒素がキャリアガスライン9より導入され、吸着された濃縮オゾンが脱着されて反応塔4に送られる。この構成により、窒素吸着塔5a,5bとオゾン吸着塔7a,7bをそれぞれ交互に切り換えることにより、吸着と脱着を交互に行い、濃縮オゾンを反応塔4に連続的に供給するようになっている。
【0004】
オゾン発生器2は、例えば図5に模式的に示す無声放電オゾナイザであり、空隙である放電ギャップ▲3▼を誘電体▲2▼(絶縁体)で挟み、その裏に導電性の電極▲1▼を設置した構成になっている。電極▲1▼に交流高電圧を印加し、電圧をコロナ開始電圧以上にすると放電ギャップ▲3▼にいわゆる無声放電が生じ、酸素又は空気を通すとオゾンが生成される。この無声放電は、誘電体▲2▼が放電の進展を抑制するため、電子温度は数万度(数eV)と高いが、分子温度はほほ室温に保たれたいわゆる低温プラズマである特徴がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述したオゾン発生装置において、オゾン発生器2の電極は通常冷却水等で冷却されている。しかし、無声放電によりガスが加熱されるため、放電ギャップ中のガスは、注入エネルギと電極からの熱除去分とのバランスで決まるΔTだけ温度上昇する。この温度上昇ΔTにより、オゾン発生器における電力効率が低下し、オゾン濃度を効率よく高められなくなる問題点があった。
【0006】
すなわち、放電ギャップ中のオゾンは、O+O3 →2O2 ..(式1)の反応で解離(熱分解)し、この反応の反応速度定数はk=1.8×10-11 exp(−2300/T)..(式2)で与えられるため、温度が高いほど熱分解反応が進み、一旦発生したオゾンが酸素に戻り、この結果、電力効率が低下し、オゾン濃度が低下することになる。
【0007】
図6は、この関係を示す解析結果であり、横軸は注入エネルギー、縦軸はオゾン濃度を示している。この図から注入エネルギーが小さい(オゾン濃度が低い)領域Iでは注入エネルギーの増大と共にオゾン濃度は直線的に増加するが、更に濃度が高くなると、その増加割合は減少し、ついには飽和傾向を示すことがわかる。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、オゾンの熱分解を抑制し、電力効率を高め、高濃度のオゾンを効率良く発生させ、オゾン吸着器に供給し、オゾン吸着量を高めたオゾン吸脱着装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、酸素からオゾンを発生させるオゾン発生器と、発生したオゾンを吸着剤に吸着させるオゾン吸着器と、オゾン発生器の出口とオゾン吸着器の入口を結ぶ吸着ラインと、オゾン吸着器の出口ガスをオゾン発生器に戻す再循環ラインと、を備え、前記オゾン吸着器の出口から再循環ラインを介してオゾン発生器の入口までのラインは十分に保冷されており、低温の再循環ガスをオゾン発生器に導入し、常温の原料ガスで発生できるオゾン濃度よりも高いオゾンガスをオゾン吸着器に供給し、オゾン吸着率を高めたオゾン吸脱着装置が提供される。
【0010】
上記本発明の構成によれば、オゾン吸着器の出口から再循環ラインを介してオゾン発生器の入口までのラインは十分に保冷されており、かつ吸着温度制御器によりオゾン吸着器を冷却し再循環ガスによりオゾン発生器を冷却するので、オゾン吸着器の冷却により吸着剤の吸着能力が高まると共に、十分に冷却されたガス(例えば273K以下)が保冷されたままオゾン発生器に供給されて内部のガスを冷却し、オゾン発生器におけるガス温度を低く保持し熱分解を抑制することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記オゾン発生器は、直列に配置された複数のオゾナイザユニットであり、前記再循環ラインは複数のオゾナイザユニットの中間にガスを再循環するように構成されている。
この構成により、中間より下流側のオゾナイザユニットのみに再循環ガス(例えば273K以下)が流入するので、オゾン濃度が高く、熱分解が生じやすい下流側のオゾナイザユニットを積極的に冷却し、オゾンの熱分解を抑制し、電力効率を高め、高濃度のオゾンを効率良く発生させることができる。また、再循環ガスが流れない上流側のオゾナイザユニットは常温付近に保たれるが、オゾン濃度が低いため、同様に高い効率でのオゾン発生を維持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付して使用する。
図1は、本発明によるオゾン吸脱着装置の全体構成図である。この図において、オゾン吸脱着装置は、酸素からオゾンを発生させるオゾン発生器10と、発生したオゾンを吸着剤に吸着させるオゾン吸着器12と、オゾン発生器10の出口とオゾン吸着器12の入口を結ぶ吸着ライン11aと、オゾン吸着器12の出口ガスをオゾン発生器10に戻す再循環ライン11bと、を備えている。
【0013】
また、オゾン発生器10の出口とオゾン吸着器12の入口を結ぶ吸着ライン11aには、ポンプ13と切換弁15aが設けられ、オゾン吸着器12の出口とオゾン発生器11の入口を結ぶ再循環ライン11bには切換弁15bと圧力調節器17aが設けられている。なお、15cは流量調節弁であり、図示しない酸素製造装置から供給する酸素の流量を調節するようになっている。
【0014】
本発明のオゾン吸脱着装置は、更に、オゾン吸着器12にキャリアガスを供給するキャリアガスライン14aと、オゾン吸着器12からオゾンガスを次工程(図示せず)に供給するオゾンガスライン14bとを備えている。キャリアガスライン14aには、切換弁16aが設けられ、オゾンガスライン14bには、切換弁16b、圧力調節器17bが設けられている。また、キャリアガスライン14aには、図示しないキャリアガス供給装置から必要な圧力のキャリアガス(好ましくは酸素又は乾燥空気)が供給されるようになっている。
【0015】
更に、オゾン吸着器12は温度調節器12aを備えており、オゾン吸着器12内の吸着剤を冷却又は加熱できるようになっている。
【0016】
上述した構成により、吸着工程において、切換弁16a,16bを閉じ、切換弁15a,15bを開いて、酸素供給源(図示せず)から供給された酸素によりオゾン発生器10でオゾンを発生させ、余剰酸素をオゾン発生器10へ再循環させながら、オゾン吸着器12内の吸着剤にオゾンを吸着させることができる。また、逆に脱着工程において、切換弁15a,15bを閉じ、切換弁16a,16bを開いて、キャリアガスを供給し、キャリアガスと共にオゾン吸着器12から脱着したオゾンを次工程に供給することができる。
【0017】
本発明によれば、オゾン吸着器12の出口から再循環ライン11bを介してオゾン発生器10の入口までのラインは適当な断熱材により十分に保冷されている。また、オゾン発生器10の出口からオゾン吸着器12の入口までのラインも同様に十分に保冷されているのがよい。
更に、本発明のオゾン吸脱着装置は、オゾン吸着器12の入口側及び出口側にそれぞれ設けられたオゾン濃度計18a,18bと、オゾン発生器10の出口側に設けられたガス温度検出器19と、オゾン吸着器12の温度を制御する吸着温度制御器20とを備えている。オゾン濃度計18a,18bには、例えば紫外線吸収式オゾン濃度計を用いることができる。
【0018】
図2は、オゾン吸着器の入口側と出口側のオゾン濃度を示す図である。この図において、横軸は時間、縦軸はオゾン濃度であり、図中の実線は本発明、破線は従来例を示している。
オゾン発生器10で発生するオゾン濃度は、3〜10%であり、このオゾンガスはそのままオゾン吸着器12に供給され、オゾン吸着器12に充填されたオゾン吸着剤(例えばシリカゲル)に吸着される。従って、吸着工程の初期には図2に示すように、オゾン吸着器の入口側のオゾン濃度は3〜10%となり、出口側のオゾン濃度はほとんどゼロとなる。
【0019】
時間の経過と共に吸着剤の吸着能力が徐々に低下し、吸着しきれないオゾンがそのまま通過して出口側で検出されるようになる。そのオゾンガスは、再循環ライン11bを介してオゾン発生器10に再供給されるので、オゾン発生器10におけるオゾン発生分に再循環オゾンが加わり、オゾン発生器10の出口におけるオゾン濃度(すなわちオゾン吸着器の入口側のオゾン濃度)は図に示すように徐々に増加する。
【0020】
従来のオゾン発生装置では、再循環ライン11bは保冷されていないため、再循環ガスの温度は常温に近く、オゾン発生器10も常温で運転されている。そのため、再循環ガス中のオゾン濃度が高まるにつれ、オゾン発生器内のオゾン濃度も高くなり、この濃度が常温における発生限界オゾン濃度に近くなって、図2に破線で示すようにそれ以上にオゾン濃度を高めることができず、かつ電力効率が低下していた。
【0021】
これに対して、本発明のオゾン吸脱着装置では、オゾン吸着器12の出口から再循環ライン11bを介してオゾン発生器10の入口までのラインが十分に保冷されており、かつ吸着温度制御器20によりオゾン吸着器12を冷却し再循環ガスによりオゾン発生器10を冷却するので、オゾン吸着器12の冷却により吸着剤の吸着能力が高まると共に、十分に冷却されたガス(例えば273K以下)が保冷されたままオゾン発生器10に供給されて内部のガスを冷却し、オゾン発生器10におけるガス温度を低く保持し熱分解を抑制することができる。
【0022】
また、本発明によれば、低温の再循環ガスをオゾン発生器に導入し、常温の原料ガスで発生できるオゾン濃度よりも高いオゾンガスをオゾン吸着器に供給することによりオゾン吸着量を高めることができる。
【0023】
図3は、オゾン発生器10の別の実施形態を示す図である。この図において、オゾン発生器10は、直列に配置された複数(この例では3台)の無声放電オゾナイザユニット10aからなり、かつ再循環ライン11bは複数のオゾナイザユニット10aの中間にガスを再循環するように構成されている。
なお、この図では、最上流側と中間のオゾナイザユニット10aの間にガスを再循環しているが、中間と最下流側の間に再循環してもよい。また、2台又は4台以上でもよく、そのどの中間位置に再循環してもよい。その他の構成は図1と同様である。
【0024】
この構成により、中間より下流側のオゾナイザユニット10aのみに冷却され保冷された再循環ガス(例えば273K以下)が流入するので、オゾン濃度が高く、熱分解が生じやすい下流側のオゾナイザユニット10aを積極的に冷却し、オゾンの熱分解を抑制し、電力効率を高め、高濃度のオゾンを効率良く発生させることができる。また、再循環ガスが流れない上流側のオゾナイザユニットは常温付近に保たれるが、オゾン濃度が低いため、同様に高い効率でのオゾン発生を維持することができる。
【0025】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、低温の再循環ガスを戻すことにより、加熱によるオゾンの分解が防止でき、従来より高い濃度のオゾンガスが発生できる。また、オゾンの吸着剤への吸着はオゾン濃度が高いほど単位重量当たりの吸着量が増す。更に、より高濃度のオゾンガスを供給することにより、より多くのオゾンを吸着することができる。
【0027】
従って、本発明のオゾン吸脱着装置は、オゾンの熱分解を抑制し、電力効率を高め、高濃度のオゾンを効率良く発生させることができる等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるオゾン吸脱着装置の全体構成図である。
【図2】オゾン吸着器の入口側と出口側のオゾン濃度を示す図である。
【図3】オゾン吸着器の別の実施形態を示す図である。
【図4】本発明者等の先願にかかるオゾン発生装置の構成図である。
【図5】無声放電オゾナイザの模式図である。
【図6】注入エネルギーとオゾン濃度の関係図である。
【符号の説明】
1 酸素製造機
2 オゾン発生器
3 オゾン濃縮装置
4 反応塔
5a,5b 窒素吸着塔
7a,7b オゾン吸着塔
8 循環ライン
9 キャリアガスライン
10 オゾン発生器
10a オゾナイザユニット
12 オゾン吸着器
12a 温度調節器
13 ポンプ
14a キャリアガスライン
14b オゾンガスライン
15a,15b 切換弁
15c 流量調節弁
17a,17b 圧力調節器
18a,18b オゾン濃度計
19 ガス温度検出器
20 吸着温度制御器
Claims (2)
- 酸素からオゾンを発生させるオゾン発生器と、発生したオゾンを吸着剤に吸着させるオゾン吸着器と、オゾン発生器の出口とオゾン吸着器の入口を結ぶ吸着ラインと、オゾン吸着器の出口ガスをオゾン発生器に戻す再循環ラインと、を備え、
前記オゾン吸着器の出口から再循環ラインを介してオゾン発生器の入口までのラインは十分に保冷されており、低温の再循環ガスをオゾン発生器に導入し、常温の原料ガスで発生できるオゾン濃度よりも高いオゾンガスをオゾン吸着器に供給し、オゾン吸着率を高めたオゾン吸脱着装置。 - 前記オゾン発生器は、直列に配置された複数のオゾナイザユニットであり、前記再循環ラインは複数のオゾナイザユニットの中間にガスを再循環するように構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載のオゾン吸脱着装置。
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JP25544597A JP3932616B2 (ja) | 1997-09-19 | 1997-09-19 | オゾン吸脱着装置 |
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JP25544597A JP3932616B2 (ja) | 1997-09-19 | 1997-09-19 | オゾン吸脱着装置 |
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- 1997-09-19 JP JP25544597A patent/JP3932616B2/ja not_active Expired - Fee Related
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