JP3931791B2 - 車両用シートベルト装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シートベルトのリトラクタ装置がルーフ部に配設されると共に、シートベルト非使用時にタングを固定するタングホルダが設けられたような車両用シートベルト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、後席中央に着座した乗員を拘束する車両用シートベルト装置としては、ルーフ部にシートベルトのリトラクタ装置を配設する一方、トップシーリングの所定部にベゼルを取付け、このベゼルのシートベルト挿通孔から車室内に導出させたシートベルトにて上記乗員を拘束し、シートベルト非使用時には、シートベルトが垂れ下がって揺動することを回避する目的で、上述のシートベルト先端に設けられたタングプレートを、上記ベゼルに形成したタングプレート保持部に係止させるように構成したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献】
特開2001−191898号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来構造の車両用シートベルト装置はショルダベルトの先端に単一のタングプレートを設けたもので、このタングプレートを上記保持部に保持させることは比較的簡単であるが、シートベルトに対してバックル部に係合する中間タングと、アンカ部に係合する先端タングとの合計2つのタングを設けた場合には、シートベルト非使用時のタングの固定が比較的煩雑となる。
【0005】
すなわち、中間タングと先端タングとを固定する場合、2つのタングを重ね合わせてルーフ側の凹部に収納させる構造が考えられるが、この場合には車両走行中の振動等により各タング先端の金具が接触して異音が発生する問題点があった。
【0006】
また、中間タングと先端タングとをそれぞれ別々にルーフ側の凹部に収納する構造も考えられるが、この場合には、異音の発生は防止できるものの、2つのタングをそれぞれ別々に収納する必要があるので、収納操作性が悪化する問題点があった。
【0007】
そこで、この発明は、シートベルト非使用時にタングを固定するタングホルダを設け、このタングホルダの上部に第1タングを保持する第1保持部を設け、しかも、上記第1および第2の各保持部は、シートベルトが通るタングホルダの開口部を形成した部分を囲む縦壁に形成され、上記第1保持部と第2保持部とは、上記タングホルダの縦壁の上下において、第1、第2タングをそれぞれ、縦壁の前記開口部側の面から、その反対側の面に向かう方向に挿通するように形成されると共に、上記第1保持部と第2保持部とを互に区画することにより、第1タングおよび第2タングをワン操作でタングホルダの各保持部に収納でき、着脱も容易かつ両タングの接触による異音の発生も確実に防止することができる車両用シートベルト装置の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両用シートベルト装置は、シートベルトのリトラクタ装置がルーフ部に配設されると共に、シートベルト非使用時にタングを固定するタングホルダが設けられた車両用シートベルト装置であって、上記シートベルトは先端にアンカ部と係合する第1タングと、中間部にバックル部と係合する第2タングとを備え、上記タングホルダは上部に第1タングを保持する第1保持部と、該第1保持部の下部に第2タングを保持する第2保持部とが形成されると共に、シートベルトが通る開口部が形成され、上記第1および第2の各保持部は、上記タングホルダの開口部を形成した部分を囲む縦壁に形成され、上記第1保持部と第2保持部とは、上記タングホルダの縦壁の上下において、第1、第2タングをそれぞれ、縦壁の前記開口部側の面から、その反対側の面に向かう方向に挿通するように形成されると共に、上記第1保持部と第2保持部とが互に区画されたものである。
【0009】
上記構成の第1タングは先端タングまたは固定タングを構成し、第2タングは中間タングまたは可動タングで構成してもよい。
上記構成によれば、タングホルダの上部に第1保持部を形成し、この第1保持部の下部に第2保持部を形成したので、シートベルト非使用時に際して第1タングと第2タングとをタングホルダに収納固定する場合には、第1タングおよび第2タングをワン操作で上記タングホルダの各保持部に収納でき、着脱も容易かつ両タングの接触による異音の発生も防止することができる。
【0010】
また、上記第1保持部と第2保持部との構成により、これらの各保持部にて保持される第1タング、第2タングは、縦壁の前記開口部側の面から、その反対側の面に向かう方向に挿通することができ、しかも、タングホルダの縦壁上下に形成した第1保持部と第2保持部とを互に区画したので、両タングの接触による異音発生を確実に防止することができる。
【0011】
なお、シートベルトの使用時に、第1タングをアンカ部に係合させ、第2タングをバックル部と係合させると、シートベルトはショルダベルト部とラップベルト部とに区分されて、乗員を3点式シートベルト構造にて拘束することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記縦壁は、シートベルトが通る開口部の後方に形成され、上記第1保持部は縦壁上方から上記開口部と反対側に突出し第1タングを収容するタング収容部にて構成され、上記第2保持部は縦壁下方に第2タングを挿通保持するタング保持部にて構成されたものである。
【0013】
上記構成によれば、縦壁上方の第1タング収容用のタング収容部と、縦壁下方の第2タング挿通保持用のタング保持部とを上下に区画することができるので、両タングの接触をより一層確実に防止して、異音発生を阻止することができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記タング収容部の下面には第2タングの金具を保持するタング係止部が形成されたものである。
上記構成によれば、タング収容部の下面にタング係止部を形成したので、第1タングの収容部を利用しつつ、簡単な構成にて第2タングの保持性能向上を図ることができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記タング保持部はタング挿通孔に設定され、該タング挿通孔の孔縁後部には第2タングの挿入ガイド部が形成されたものである。
上記構成によれば、挿入ガイド部が第2タング挿入時の案内部となるので、タング挿入操作性が向上する。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記第2タングは第1タングとの間のベルト部を折返してタング保持部に係止され、タング収容部とタング保持部との間隔はベルト折返しの反力により第2タングを保持できる間隔に設定されたものである。
上記構成によれば、シートベルトのベルト折返し部の反力を利用して、第1タングと第2タングとの保持の安定性を向上させることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記リトラクタ装置はブラケットを介してルーフ部に取付けられ、タングホルダはブラケットに取付けられるものであって、上記ルーフ部にシートベルト装置が取付けられた後に、シートベルトを挿通させるベゼルが設けられたものである。
【0018】
上記構成によれば、トップシーリングおよびベゼルの組付け時に、タングはタングホルダの所定位置に保持されており、トップシーリング、ベゼルの組付け時においてタングを一旦トップシーリングの開口部に挿通させるような作業が不要となって、組付け性が向上する。
【0019】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両用シートベルト装置を示し、図1はシートベルト使用時の概略図、図2は図1の拡大断面図、図3はシートベルト非使用時の断面図である。
【0020】
この実施例のシートベルト装置は後席中央(リヤ中央席)に着座した乗員Aを拘束するものである。リヤ中央席1は図1の示すように、シートクッション2とシートバック3とを備える一方、車体側のルーフ部を構成するルーフパネル4の後端部下面には図2に示すように車幅方向に延びるレインフォースメント5を介してリヤヘッダ6を接合し、同方向に延びる閉断面7,8を形成している。
【0021】
また上述のルーフパネル4の車幅方向側部には図4に示す如く車両の前後方向に延びるルーフレールアウタ9およびルーフレールインナ10を接合し、このルーフレールアウタ9とルーフレールインナ10との間には車両の前後方向に延びる閉断面11が形成されている。
【0022】
一方、上述の乗員Aを拘束するシートベルト12は、アンカ部(図示せず)と係合する第1タングとしての先端タング13(図3参照)と、図1に示すバックル部14と係合する第2タングとしての中間タング15とを備えると共に、リトラクタ装置16により繰出し可能に巻取られるように構成している。なお、各タング13,15は把持部と係止金具とで構成されている。
【0023】
このリトラクタ装置16はブラケット17に固定され、該ブラケット17の複数箇所がボルト18,19によりルーフ部としてのルーフレールインナ10およびリヤヘッダ6に取付けられている。
【0024】
上述のブラケット17は図4〜図7に示すように、リトラクタ装置16を取付けるための主面17Aと、この主面17Aから車両前後方向の前方に向けて略L字状に延設されて、ボルト18用の挿通孔20を有する取付け片17Bと、上述の主面17Aから後方に向けて延設されて、ボルト19用の挿通孔21,22を有する取付け片17C,17Dとが一体形成されたものである。
【0025】
ここで、取付け片17Bは図4に示すようにボルト18を用いてルーフレールインナ10に固定され、取付け片17C,17Dはボルト19,19を用いてリヤヘッダ6に固定される。なお、23はルーフレールインナ10の閉断面11側に予め溶接固定されたナットである。
上述のブラケット17の下面には図2、図3に示すように、取付け部材24,25を用いて例えば合成樹脂製のタングホルダ26を固定している。
【0026】
このタングホルダ26はシートベルト12が通る開口部26aを形成したトップデッキ部26bと、上述の開口部26aの後方に形成された縦壁26cと、この縦壁26cの車幅方向両端部からホルダ空間部27を囲繞するようにトップデッキ部26bの外端部に沿って吊設されたスカート部26dと、ブラケット17に対する取付け部26e,26fとが一体形成されたもので、前側の取付け部26eが取付け部材24を用いてブラケット17の下面に取付けられると共に、後側の取付け部26fが取付け部材25を用いてブラケット17の下面に取付けられている。
【0027】
しかも、図2、図3に示すように上述のタングホルダ26の縦壁26c上方には開口部26aと反対側のリヤ側に突出して、先端タング13を収容する凹状のタング収容部28(第1保持部)が一体形成され、このタング収容部28下方の縦壁26c下部には中間タング15を挿通保持するタング保持部としてのタング挿通孔29(第2保持部)が形成されている。上述のタング収容部28およびタング挿通孔29はホルダ空間部27と連通するものである。
【0028】
また上述のタング収容部28の下面には中間タング15の金具15aを保持するタング係止部としてのタング係止爪30,31が一体形成され、一方のタング係止爪30で中間タング15の金具15aにおける開口部の口縁を係止し、他方のタング係止爪31で中間タング15の金具15a先端を係止すべく構成している。
さらに上述のタング挿通孔29の下部孔縁の後部(リヤ側)には中間タング15の挿入ガイド部32を一体形成している。
【0029】
ところで、図2に示すようにタングホルダ26の開口部26aと対応してブラケット17側に設けられた開口部33にはシートベルト挿通用の開口を有するガイド部材34が取付けられており、リトラクタ装置16からのシートベルト12はガイド部材34のシートベルト挿通用の開口、タングホルダ26の開口部26aを介して下方側つまり車室側へ導出されるものである。
【0030】
さらに詳しくは、上述のタングホルダ26の下方には、複数のピン35およびナット部材36を用いてトップシーリング37に取付けられたベゼル38を配設し、リトラクタ装置16からのシートベルト12はガイド部材34のシートベルト挿通用の開口、タングホルダ26の開口部26a、ホルダ空間部27およびベゼル38の空間部39を介して車室40(図1参照)側へ導出されるものである。
【0031】
上述のベゼル38の空間部39はタングホルダ26のホルダ空間部27と対向すると共に、先端タング13および中間タング15を把持した乗員Aの手が入る程度の大きさに設定されている。
【0032】
シートベルト12の非使用時には図3に示すように、先端タング13はタングホルダ26のタング収容部28に収容され、中間タング15はタングホルダ26のタング挿通孔29に挿入保持されるが、図3に示すように中間タング15は先端タング13との間のベルト部を折返してタング挿通孔29に係止され、タング収容部28とタング挿通孔29との間の上下間隔はベルト折返し部12Aの反力によって中間タング15を保持できる間隔に設定されている。
【0033】
すなわち、シートベルト12は中間タング15の把持部開口を通った後に、先端タング13の把持部開口を通り、かつシートベルト12を構成するウエビングは先端タング13の把持部開口の前後において縫合されて2重構造になっており、タング収納時にはこのウエビングの2重構造部が図3に示すように折返されて上述のベルト折返し部12Aが形成され、タング挿通孔29に挿入保持させた中間タング15には、ベルト折返し部12Aの反力が付勢されて、該中間タング15を保持するものである。
【0034】
一方、上述のリトラクタ装置16はブラケット17を介してルーフ部としてのルーフレールインナ10およびリヤヘッダ6に取付けられ、タングホルダ26はブラケット17に取付けられるものであって、トップシーリング37およびベゼル38の車体に対する組付け以前に、図3に示すように各タング13,15がタング収容部28とタング挿通孔29とにそれぞれ保持された状態のシートベルト装置が上述のルーフ部に組付けられた後に、トップシーリング37およびベゼル38が車体に対して組付けられ、シートベルト12の使用に際しては乗員Aがベゼル38の空間部39からタングホルダ26のホルダ空間部27に手を差し入れて2つのタング13,15を車室40側へ取出すものである。
【0035】
このように構成した車両用シートベルト装置において、シートベルト12にて乗員Aを拘束するには、タングホルダ26から取出した2つのタング13,15のうち、先端タング13をアンカ部と係合させると共に、中間タング15をバックル部14に係合させると、図1に示すようにシートベルト12はショルダベルト部12Sとラップベルト部12Lとに区分されて、乗員Aを3点式シートベルト構造にて拘束することができる。
【0036】
一方、シートベルト12の非使用時には、各タング13,15をアンカ部、バックル部14から取外した後に、先端タング13と中間タング15との間にベルト折返し部12Aが形成されるように両タング13,15を上下に重ね合わせ、これら両タング13,15をベゼル38の空間部39からホルダ空間部27を介して、先端タング13の金具13aをタング収容部28に挿入すると共に、中間タング15の金具15aをタング挿通孔29に挿入すると、図3に示すように2つのタング13,15を同時に格納保持させることができる。
なお、図中矢印Fは車両前方を示し、Rは車両後方を示し、INは車両内方を示し、OUTは車両外方を示すものである。
【0037】
このように上記実施例の車両用シートベルト装置は、シートベルト12のリトラクタ装置16がルーフ部に配設されると共に、シートベルト12の非使用時にタング13,15を固定するタングホルダ26が設けられた車両用シートベルト装置であって、上記シートベルト12は先端にアンカ部と係合する第1タング(先端タング13参照)と、中間部にバックル部14と係合する第2タング(中間タング15参照)とを備え、上記タングホルダ26は上部に第1タング(先端タング13参照)を保持する第1保持部(タング収容部28参照)と、該第1保持部の下部に第2タング(中間タング15参照)を保持する第2保持部(タング挿通孔29参照)とが形成されたものである。
【0038】
この構成によれば、タングホルダ26の上部に第1保持部(タング収容部28参照)を形成し、この第1保持部の下部に第2保持部(タング挿通孔29参照)を形成したので、シートベルト12の非使用時に際して第1タング(先端タング13参照)と第2タング(中間タング15参照)とをタングホルダ26に収納固定する場合には、第1タング(先端タング13参照)および第2タング(中間タング15参照)をワン操作で上記タングホルダ26の各保持部(タング収容部28、タング挿通孔29参照)に収納でき、使い勝手がよく着脱も容易かつ両タング13,15の接触による異音の発生も防止することができる。
【0039】
なお、シートベルト12の使用時に第1タング(先端タング13参照)をアンカ部に係合させ、第2タング(中間タング15参照)をバックル部14と係合させると、シートベルト12はショルダベルト部12Sとラップベルト部12Lとに区分されて、乗員Aを3点式シートベルト構造にて拘束することができる。
【0040】
また、上記タングホルダ26は、シートベルト12が通る開口部26aの後方に縦壁26cが形成され、上記第1保持部は縦壁26c上方から上記開口部26aと反対側に突出し第1タング(先端タング13参照)を収容するタング収容部28にて構成され、上記第2保持部は縦壁26c下方に第2タング(中間タング15参照)を挿通保持するタング保持部(タング挿通孔29参照)にて構成されたものである。
【0041】
この構成によれば、縦壁26c上方の第1タング(先端タング13参照)収容用のタング収容部28と、縦壁26c下方の第2タング(中間タング15参照)挿通保持用のタング保持部(タング挿通孔29参照)とを上下に区画することができるので、両タング13,15の接触をより一層確実に防止して、異音発生を阻止することができる。
【0042】
さらに、上記タング収容部28の下面には第2タング(中間タング15参照)の金具15aを保持するタング係止部(タング係止爪30,31参照)が形成されたものである。
【0043】
この構成によれば、タング収容部28の下面にタング係止部(タング係止爪30,31参照)を形成したので、第1タング(先端タング13参照)の収容部28を利用しつつ、簡単な構成にて第2タング(中間タング15参照)の保持性能向上を図ることができる。
【0044】
加えて、上記第2保持部としてのタング保持部はタング挿通孔29に設定され、該タング挿通孔29の孔縁後部には第2タング(中間タング15参照)の挿入ガイド部32が形成されたものである。
この構成によれば、挿入ガイド部32が第2タング(中間タング15参照)挿入時の案内部となるので、タング挿入操作性が向上する。
【0045】
しかも、上記第2タング(中間タング15参照)は第1タング(先端タング13参照)との間のベルト部を折返してタング保持部(タング挿通孔29参照)に係止され、タング収容部28とタング保持部(タング挿通孔29参照)との間隔はベルト折返し部12Aの反力により第2タング(中間タング15参照)を保持できる間隔に設定されたものである。
この構成によれば、シートベルト12のベルト折返し部12Aの反力を利用して、第1タング(先端タング13参照)と第2タング(中間タング15参照)との保持の安定性を向上させることができ、特に中間タング15の収納姿勢が安定する。
【0046】
さらには、上記リトラクタ装置16はブラケット17を介してルーフ部(ルーフレールインナ10、リヤヘッダ6参照)に取付けられ、タングホルダ26はブラケット17に取付けられるものであって、上記ルーフ部にリトラクタ装置16が取付けられた後に、シートベルト12を挿通させるベゼル38が設けられたものである。
【0047】
この構成によれば、トップシーリング37およびベゼル38の組付け時に、タング13,15はタングホルダ26の所定位置(図3参照)に保持されており、トップシーリング37、ベゼル38の組付け時においてタング13,15を一旦トップシーリング37の開口部(ベゼル38の空間部39参照)に挿通させるような作業が不要となって、組付け性が向上する。
【0048】
図8は車両用シートベルト装置の他の実施例を示し、この実施例ではブラケット17の開口部33(図3参照)の部分にその主面17Aから下方にガイド片17E,17Fを一体に折り返し形成して、シートベルト12を挿通案内させるように構成したものである。
このように構成すると、図3で示したガイド部材34を省略して、部品点数の低減を図ることができる。
【0049】
図8に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図8において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0050】
図9は車両用シートベルト装置のさらに他の実施例を示し、タングホルダ26におけるタング挿通孔29の手前側にフロント側が広く、リヤ側が狭くなるテーパ部41を一体形成すると共に、縦壁26c背面と挿入ガイド部32下面との間に補強部としてのリブ42を一体形成したものである。
【0051】
このように構成すると、中間タング15の金具15aがテーパ部41で案内されながらタング挿通孔29に至るので、この中間タング15の収納操作をさらに円滑に行なうことができると共に、リブ42によりタングホルダ26の剛性向上を図ることができる。
【0052】
図9に示すこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図9において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0053】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の第1タングは、実施例の先端タング13に対応し、
以下同様に、
第2タングは、中間タング15に対応し、
第1保持部は、タング収容部28に対応し、
第2保持部およびタング保持部は、タング挿通孔29に対応し、
タング係止部は、タング係止爪30,31の少なくとも何れか一方に対応し、
ルーフ部は、リヤヘッダ6、ルーフレールインナ10に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0054】
【発明の効果】
この発明によれば、シートベルト非使用時にタングを固定するタングホルダを設け、このタングホルダの上部に第1タングを保持する第1保持部を設け、この第1保持部の下部に第2タングを保持する第2保持部を設け、しかも、上記第1および第2の各保持部は、シートベルトが通るタングホルダの開口部を形成した部分を囲む縦壁に形成され、上記第1保持部と第2保持部とは、上記タングホルダの縦壁の上下において、第1、第2タングをそれぞれ、縦壁の前記開口部側の面から、その反対側の面に向かう方向に挿通するように形成されると共に、上記第1保持部と第2保持部とを互に区画したので、第1タングおよび第2タングをワン操作でタングホルダの各保持部に収納でき、着脱も容易かつ両タングの接触による異音の発生を確実に防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の車両用シートベルト装置を示す概略側面図。
【図2】 図1の要部拡大断面図。
【図3】 両タング収納時の説明図。
【図4】 図1のB−B線に沿う要部拡大断面図。
【図5】 図1の要部拡大側面図。
【図6】 リトラクタ装置およびブラケットの平面図。
【図7】 ブラケットおよびタングホルダを斜め下方から見た状態で示す斜視図。
【図8】 車両用シートベルト装置の他の実施例を示す断面図。
【図9】 車両用シートベルト装置のさらに他の実施例を示す断面図。
【符号の説明】
6…リヤヘッダ(ルーフ部)
10…ルーフレールインナ(ルーフ部)
12…シートベルト
12A…ベルト折返し部
13…先端タング(第1タング)
14…バックル部
15…中間タング(第2タング)
15a…金具
16…リトラクタ装置
17…ブラケット
26…タングホルダ
26a…開口部
26c…縦壁
28…タング収容部(第1保持部)
29…タング挿通孔(第2保持部)
30,31…タング係止爪(タング係止部)
32…挿入ガイド部
38…ベゼル
Claims (6)
- シートベルトのリトラクタ装置がルーフ部に配設されると共に、シートベルト非使用時にタングを固定するタングホルダが設けられた車両用シートベルト装置であって、
上記シートベルトは先端にアンカ部と係合する第1タングと、中間部にバックル部と係合する第2タングとを備え、
上記タングホルダは上部に第1タングを保持する第1保持部と、該第1保持部の下部に第2タングを保持する第2保持部とが形成されると共に、シートベルトが通る開口部が形成され、
上記第1および第2の各保持部は、上記タングホルダの開口部を形成した部分を囲む縦壁に形成され、
上記第1保持部と第2保持部とは、上記タングホルダの縦壁の上下において、第1、第2タングをそれぞれ、縦壁の前記開口部側の面から、その反対側の面に向かう方向に挿通するように形成されると共に、
上記第1保持部と第2保持部とが互に区画された
車両用シートベルト装置。 - 上記縦壁は、シートベルトが通る開口部の後方に形成され、
上記第1保持部は縦壁上方から上記開口部と反対側に突出し第1タングを収容するタング収容部にて構成され、
上記第2保持部は縦壁下方に第2タングを挿通保持するタング保持部にて構成された
請求項1記載の車両用シートベルト装置。 - 上記タング収容部の下面には第2タングの金具を保持するタング係止部が形成された
請求項2記載の車両用シートベルト装置。 - 上記タング保持部はタング挿通孔に設定され、該タング挿通孔の孔縁後部には第2タングの挿入ガイド部が形成された
請求項2記載の車両用シートベルト装置。 - 上記第2タングは第1タングとの間のベルト部を折返してタング保持部に係止され、
タング収容部とタング保持部との間隔はベルト折返しの反力により第2タングを保持できる間隔に設定された
請求項3記載の車両用シートベルト装置。 - 上記リトラクタ装置はブラケットを介してルーフ部に取付けられ、タングホルダはブラケットに取付けられるものであって、上記ルーフ部にシートベルト装置が取付けられた後に、シートベルトを挿通させるベゼルが設けられた
請求項1〜5の何れか1に記載の車両用シートベルト装置。
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