JP3931609B2 - 復号装置及び復号方法、並びに情報再生装置及び情報再生方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、復号装置及び復号方法、並びに情報再生装置及び情報再生方法に関し、特に、時間的に短い記録信号をも正確に再生して効率的なPRML(Partial Response Maximum Likelihood)方法を実行する復号装置及び復号方法、並びにPRML方法を実行して信号情報を再生する情報再生装置及び情報再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルビデオテープレコーダ、ハードディスク、光学式ディスク等の、いわゆるディジタルマスストレージ分野では、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方法と呼ばれる再生等化・検出方法が用いられている。
【0003】
このPRML方法は、多値であるが狭い帯域での記録再生が可能になるパーシャルレスポンス等化と、状態遷移の尤度を再帰的に計算することによってビット毎の識別に比べて良好なエラーレートが得られる最尤復号化とを組み合わせたものである。最尤復号化の代表的なアルゴリズムがビタビ復号であり、これを実現した復号化装置をビタビ復号化装置と呼ぶ。
【0004】
ビタビ復号装置及びビタビ復号方法は、光磁気ディスク装置等に代表される情報記録装置において記録媒体から再生される再生信号を復号する際などに多用されている。
【0005】
ビタビ復号方法は、ホワイトノイズを含む再生信号を復号する場合にビットエラーレートを小さくすることができる復号方法である。ビタビ復号方法では、記録媒体に対する記録方法に応じて複数個の状態を予め特定し、記録媒体から再生される再生信号に基づいて、リードクロックにしたがうタイミングで行われる計算処理によって、リードクロックにしたがう各時点において、最尤な状態遷移を選択する。そして、このような選択の結果に対応して‘1’又は‘0’の復号データ値の系列としての復号データを生成する。
【0006】
再生信号に基づく計算処理は、ビタビ復号方法の種類によって決まる振幅基準値を参照して行われる。振幅基準値は、再生信号が振幅変動等の影響を受けていない理想的な場合には、ビタビ復号方法の種類から理論的に決まるものを用いればよい。しかし、再生信号が理想的なものではない一般的な場合には、ビタビ復号の精度を向上させるために、再生信号の振幅変動等に応じて振幅基準値を更新することにより、振幅基準値を再生信号に対して適応化することが必要となる。
【0007】
このような方法として、一般には、例えば、エンベロープ検出器等の手段によって再生信号の振幅を検出し、検出値に基づいて振幅基準値を所定の期間毎に更新するようになっている。
【0008】
例えば、光磁気ディスク装置のように、着脱可能な記録媒体を使用する情報再生装置では、記録又は再生動作において、例えば製造元が異なるなどの要因により、記録媒体毎の特性のばらつきが大きい。そこで例えば記録媒体装着時などにキャリブレーション動作を行う必要がある。キャリブレーション動作とは、記録系内又は再生系内の構成要素の動作条件を記録媒体の特性に対して最適になるように制御する操作である。
【0009】
第3世代の5.25インチの光ディスク装置では、記録時のレーザパワー(以下、記録レーザパワーと記す。)についてのキャリブレーションが以下のように行われる。
【0010】
まず、記録レーザパワーを初期設定し、この初期設定のもとで所定のパターンを記録する。そして、記録された所定のパターンを再生し、再生信号のエンベロープ信号のピークトゥピーク電圧及び中心電圧をA/D変換して取り込む。取り込まれた電圧値に基づいて、アシンメトリのずれ、すなわち再生信号波形の非対称歪みを測定する。アシンメトリと記録レーザパワーには、密接な関係があるため、上述したようにして測定されたアシンメトリから記録レーザパワーの記録媒体としての光磁気ディスクに対する適合性を知ることができる。
【0011】
記録レーザパワーが最適でないと判断される場合には、アシンメトリの値に基づいて、最適な記録レーザパワーを推定して、記録レーザパワーを再度初期設定する。以上のような手順を記録レーザパワーが最適とされるまで繰り返し行う。
【0012】
記録レーザパワーに対するキャリブレーションにおいて用いられるピークトゥピーク電圧及び中心電圧は、再生信号から一旦サンプルホールドされ、その後、A/D変換され取り込まれている。
【0013】
例えば、第3世代の5.25インチ光ディスクなどでは、再生信号に加わるDC成分の変動が大きい。このため、サンプルホールドがなされるタイミングによってサンプルホールド値が変動する。このようなサンプルホールド値に基づいて計算しても、アシンメトリを精度よく算出することが困難である。アシンメトリの計算精度を向上させるために、各電圧値に関するサンプルホールドを複数回行うことによって得られる複数のサンプルホールド値を平均し、この平均値を用いてアシンメトリを計算することも可能である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
また、光磁気ディスク等の記録媒体のプリピットであるID信号の品質は、ディスク製造メーカによって管理されているが、上述した振幅基準値から大きくずれたものがあるのが実情である。光磁気ディスク等の中には、例えば、ディスクの半径位置によって再生信号のアシンメトリが上下に大きく変化していたり、振幅変動が著しいものもある。このような光磁気ディスクは、製造工程によるカッティングマシーンの設定不適切が原因であることが多いため、著しくずれたアシンメトリや振幅は、そのまま連続してずれていく。
【0015】
そこで、このような劣悪なID品質のディスクにも対応するため、振幅基準値自体を更新することにより、より最適な復号を可能としたビタビ復号器も考えられている。従来の振幅基準値適応型のビタビ復号器における振幅基準値の更新方法としては、リードゲート信号毎に振幅基準値の初期値をリセットしてから更新する方法、また常に振幅基準値の初期値を更新する方法などがある。
【0016】
しかし、例えば、光磁気ディスクのディスク表面において、データ領域は、少なくとも512バイトの領域を有しているのに対して、ID信号領域は、5,6バイトと非常に短い領域であるため、このような狭域に記述されるID信号の読み取りにかかる期間は、非常に短期間であって、従来のようにリードゲート信号毎に振幅基準値の初期値をリセットする場合、振幅基準値の更新が進まない。そのため、アシンメトリが著しくずれたID信号があると、このID信号を正確に読み取ることができないという欠点があった。
【0017】
また、常に振幅基準値初期値の更新が進むような後者の方法では、アシンメトリが著しくずれたID信号も読み取ることができるが、RF信号の欠落等によって一旦不適切な振幅基準値に更新されると、適切な振幅基準値まで復帰するのにある程度の時間を要する。そのため、この間は振幅基準値の更新が進まず、読取性能を低下させるという欠点があった。
【0018】
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ID信号のように時間的に短い再生信号のアシンメトリが著しく変動しても、これを正しく読み取る復号装置及び復号方法、並びに情報再生装置及び情報再生方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明に係る復号装置は、再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号装置において、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段と、振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶手段と、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段と、振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算手段と、振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれかを選択して更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値記憶手段に記憶されている更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換手段と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数手段と、振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択手段と、切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は選択手段における振幅基準値の選択を計数手段からの計数結果に基づいて制御する制御手段とを備える。
【0020】
これにより本発明に係る復号装置は、制御手段によって、振幅基準値初期値の設定と振幅基準値の更新とがリードゲート信号に基づいて実行される。
【0021】
ここで、制御手段は、所定のリードゲート信号毎に、実際の振幅基準値を振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直してもよい。また、制御手段は、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用するようにしてもよい。
【0022】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係る復号方法は、再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号方法において、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算工程と、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算工程において更新された振幅基準値のいずれかを選択して、選択された振幅基準値を更新初期値として記憶する更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換工程と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数工程と、振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択工程と、切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は選択工程における振幅基準値の選択を計数工程からの計数結果に基づいて制御する制御工程とを備える。
【0023】
これにより本発明に係る復号方法によれば、制御工程において、振幅基準値初期値の設定と振幅基準値の更新とがリードゲート信号に基づいて実行される。
【0024】
ここで、制御工程では、所定のリードゲート信号毎に、実際の振幅基準値を振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直してもよい。また、制御工程では、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用するようにしてもよい。
【0025】
また、本発明に係る復号装置を情報再生装置の振幅基準値適応化部に適用し、この振幅基準値適応化部によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理部と、計算処理部からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御部とを備える情報再生装置とする。
【0026】
このような情報再生装置は、動作制御部における構成要素の動作制御に応じて、切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は選択手段における振幅基準値の選択を制御する。
【0027】
また、本発明に係る復号方法を情報再生方法の振幅基準値適応化工程に適用し、振幅基準値適応化工程によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理工程と、計算処理工程からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御工程とを備える情報再生方法とする。
【0028】
このような情報再生方法によれば、切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は選択工程における振幅基準値の選択が動作制御工程における構成要素の動作制御に応じて制御される。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の具体例として示す復号器は、記録媒体の記録信号を再生した再生信号の組み合わせから得られる符号間干渉を波形に与えることで効果的な伝送を行うPR(Partial Response)等化と、予め相関させたデータ系列から最も確からしい系列を選んで再生するビタビ復号とを組み合わせた信号処理を行うビタビ復号器であって、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶部と、振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶部と、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶部と、振幅基準値記憶部に記憶された振幅基準値を更新する更新演算部と、振幅基準値初期値記憶部に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算部により更新された振幅基準値のいずれかを選択して更新初期値記憶部に供給し、更新初期値記憶部に記憶されている更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換部と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数部と、振幅基準値記憶部における振幅基準値として、更新初期値記憶部の更新初期値及び更新演算部により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択部と、切換部における更新初期値の切り換え及び/又は選択部における振幅基準値の選択を計数部からの計数結果に基づいて制御する制御部とを備えることにより、振幅基準値の更新手法を改善し、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)を安定化し、時間的に短い再生信号も正確に読み取ることを可能とした適応型振幅基準値ビタビ復号器である。
【0030】
また、本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器では、光磁気ディスクを対象とし、PRがPR(1,2,1)である信号に対して最尤復号する場合について説明するが、記録媒体は、フロッピーディスク(登録商標)等の磁気記録媒体、DVD(Digital Versatile Disc)等の光記録媒体等であっても構わない。また、(1,2,1)以外の他のPRの場合であっても適用できる。
【0031】
また、ここで用いる光磁気記録におけるPR(1,2,1)は、PWM記録に対するパーシャルレスポンス応答であって、本発明の具体例では、1−7RLL(Run Length Limited)+NRZI(Non Return to Zero Inverted)のようなRLmin(最小反転幅)=2となる変調に対して、6値4状態のビタビ復号を行っている。
【0032】
光磁気ディスクには、セクタを記録/再生の単位としたユーザデータが記録される。図11を参照して、光磁気ディスクにおいて用いられるセクタフォーマットの一例について説明する。
【0033】
1セクタは、図11Aに示すように、記録/再生の順にしたがって、ヘッダ、ALPC,ギャップ、VFO3、シンク、データフィールド、バッファの各エリアに区分されている。図11中に付した数字は、バイト数を表している。光磁気ディスク上には、ブロック符号化等の符号化が施されたデータが記録される。例えば、8ビットが12チャンネルビットに変換されて記録される。
【0034】
このセクタフォーマットの一例では、ユーザデータ量が1024バイトのフォーマットとユーザデータ量が512バイトのフォーマットとが用意されている。ユーザデータ量が1024バイトのフォーマットでは、データフィールドのバイト数が670バイトとされ、ユーザデータ量が512バイトのフォーマットでは、データフィールドのバイト数が1278バイトとされている。これら2つのセクタフォーマットにおいて、63バイトのプリフォーマットされたヘッダと、ALPC及びギャップエリアの18バイトは、同一である。
【0035】
図11Bに63バイトのヘッダを拡大して示す。ヘッダは、セクタマークSM(8バイト)、VFOフィールドのVFO1(26バイト)、アドレスマークAM(1バイト)、IDフィールドのID1(5バイト)、VFOフィールドのVFO2(16バイト)、アドレスマークAM(1バイト)、IDフィールドのID2(5バイト)、及びポストアンブルPA(1バイト)が順に配列された構成とされている。
【0036】
図11Cに18バイトのALPC,ギャップエリアを拡大して示す。このエリアは、ギャップフィールド(5バイト)、フラグフィールド(5バイト)、ギャップフィールド(2バイト)、ALPC(6バイト)からなる。
【0037】
次に、セクタにおけるフィールドについて説明する。セクタマークSMは、セクタの開始を識別するためのマークであり、RLL(1,7)符号では生じないエンボス加工によって形成されたパターンを有する。
【0038】
VFOフィールドは、PLL部中のVFO(Variable Frequency Oscillator)を同期させるためのもので、VFO1、VFO2及びVFO3からなる。VFO1及びVFO2は、エンボス加工によって形成されている。また、VFO3は、そのセクタに対して記録動作が行われる際に光磁気的に書かれる。VFO1、VFO2及びVFO3は、それぞれチャンネルビットの‘0’と‘1’とが交互に現れるパターン(2Tパターン)を有する。したがって、1チャンネルビットの時間長に対応する時間をTとすると、VFOフィールドを再生したときに、2T毎にレベルが反転する再生信号が得られることになる。
【0039】
アドレスマークAMは、後続のIDフィールドのためのバイト同期を装置に対して与えるために使用され、RLL(1,7)符号において生じないエンボスされたパターンを有する。IDフィールドは、セクタのアドレス、すなわち、トラック番号及びセクタ番号情報と、これらの情報に対するエラー検出用のCRCバイトを有する。IDフィールドは、5バイトからなり、ID1及びID2によって、同一のアドレス情報が2重に記録される。ポストアンブルPAは、チャンネルビットの‘0’と‘1’とが交互に現れるパターン(2Tパターン)を有する。ID1、ID2及びポストアンブルPAも、エンボス加工によって形成されている。このように、ヘッダの領域は、エンボス加工によりピットが形成されたプリフォーマットされた領域である。
【0040】
上述した光磁気ディスクを対象とし、PRがPR(1,2,1)である信号に対して最尤復号する復号器の具体例について、以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、特に、振幅基準値を更新する振幅基準値適応化(RAA;Reference Amplitude Adaptive)部に特徴を有しており、さらに具体的には、このRAA部は、図1に示すように、光磁気ディスク等の記憶媒体毎に固有の理想的振幅基準値が予め記憶された振幅基準値初期値記憶部10と、振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶部11と、使用する振幅基準値を一時的に記憶する振幅基準値記憶部12と、振幅基準値記憶部12に記憶された振幅基準値を更新する更新演算部13と、振幅基準値記憶部12に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算部13により更新された振幅基準値のいずれかを選択的に更新初期値記憶部11に供給し、更新初期値記憶部11に記憶されている更新初期値を理想的振幅基準値記憶部10又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換部14と、読み取られた一連の再生信号に基づくリードゲート信号数を計数するゲートカウンタ15と、振幅基準値記憶部12における振幅基準値として、更新初期値記憶部11の更新初期値及び更新演算部13により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択部16と、切換部14における更新初期値の切換及び/又は選択部16における振幅基準値の選択を制御する制御部とを備えることにより、より細分化した手法で振幅基準値の更新が実行できるようになっている。
【0042】
振幅基準値初期値記憶部10は、振幅基準値の初期値を格納するレジスタであって、記録媒体に固有で理想的なPR(1,2,1)の場合の出力値、すなわち1−7RLL(Run Length Limited)+NRZI(Non Return to Zero Inverted)の変調に対する6値4状態ビタビ復号では、理想的な振幅基準値は、4値4状態となり、0,1,3,4である。ただし、これらの値は、外部より設定可能とされていてもよい。
【0043】
振幅基準値記憶部12は、実際にビタビ演算に使用される振幅基準値を格納するレジスタであって、更新演算部13における更新演算を経て振幅基準値が上書きされる。また、切換部14は、更新初期値記憶部11の初期値をセレクトする。ゲートカウンタ15は、再生信号に基づいて生成されるリードゲート信号を計測するカウンタであって、所定のゲートカウント毎に選択部16に信号を供給している。
【0044】
適応型振幅基準ビタビ復号器1では、上述した各構成が、図示しないCPU(Central Processing Unit)に制御されており、後述する各動作モードに基づいて振幅基準値を更新し最尤復号を実行している。
【0045】
また、本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、上述したRAA部を含め、図2に示すような基本構成を備えている。すなわち、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、再生信号と振幅基準値とのユークリッド距離の相対値(ブランチメトリック)を計算するブランチメトリック計算回路(以下、BMC;Branch Metric Calculatorと記す。)20と、ブランチメトリックと過去のブランチメトリックとの総和であるパスメトリックから最尤パスを選択し、新たなパスメトリックを計算する加算・比較・選択回路(以下、ACS;Add Compare & Selectと記す。)21と、パスメトリックの状態遷移を記憶するステータスメモリユニット(以下、SMU;Status Memory Unit)22とを備えている。また、振幅基準値は、上述したRAA部23によって更新され、復号処理は、Merge回路24にて行われる。
【0046】
なお、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、RAA部23からの信号に基づいてチャンネルクオリティを評価するチャンネルクオリティ信号を生成するチャンネルクオリティ信号生成回路を備えていてもよい。
【0047】
適応型基準値ビタビ復号器1における一般的な振幅基準値の更新方法について説明する。本具体例のようなPR(1,2,1)は、記録波形の非対称性などから、一般的にPR(a,b,c)と表せる。復号するもとの記録データ(再生信号)をak={0,1}、PWMは、マークエッジで記録するため、その記録データをbk={0,1}とすると、bkは、以下の式(1)によって表され、このときのリードデータykは、式(2)によって表すことができ、このときのビタビ復号は、6値4状態となる。
【0048】
【数1】
【0049】
このときの状態遷移の様子を図3に示す。本具体例では、1−7RLL+NRZI変調を用いているため、c101、c010の状態遷移は排除され、4値4状態になる。図3では、cijkは、ykのとり得る値、すなわち振幅基準値を示しており、各々の状態から次の状態に遷移するときの出力振幅を示している。なお、i,j,kは、それぞれbk−2,bk−1,bkを示している。
【0050】
BMC20は、再生信号のAD変換値z[k]と振幅基準値とのユークリッド距離の相対値(ブランチメトリック)を計算する。4値4状態のビタビ復号の場合、ブランチメトリックは、以下の式(3)に示すようになる。
【0051】
【数2】
【0052】
ただし、ここでは、c001とc100、c110とc011は区別するため、6値分の計算が実行される。
【0053】
ACS21は、ブランチメトリックと過去のブランチメトリックとの総和であるパスメトリックから最尤パスを選択し、以下の式(4)に示す演算によって新たなパスメトリックを算出する。
【0054】
【数3】
【0055】
上式において、mjk[k]は、時刻t=kにおける状態sijのパスメトリックを表している。選択されたパスメトリックmjk[k]は、どの状態からどの状態へ遷移したかを示している。その遷移状態の様子は、SMU22にて記憶される。ここでは、ACSにおけるメトリックの選択結果に対応したセレクト信号により、SMU22内の状態遷移が行われる。
【0056】
ここで、図4にSMU22の構成を示す。SMU22内部は、状態数と同数のサブブロックが存在している。ここでは、4状態であるため4つのサブブロックが存在する。これらサブブロックのパスの動きは、図3に示す状態遷移図に対応している。
【0057】
サブブロックの内部は、図5(a)及び図5(b)に示すように、n段のレジスタ構造になっている。各レジスタは、状態数に対応するビット幅があり、この場合は、2ビットである。k段目のレジスタは、k時間前の入力に対する最尤の状態を示しており、SMU22の段数nが十分に大きい場合は、4つのサブブロックのn段目のレジスタ値は、一致する。なお、この段数の長さをビタビレングスという。
【0058】
k段目のレジスタは、k−1段目のレジスタからのシフトにより入力されるようになっている。例えば、サブブロックSM01,SM10のk段目の入力は、それぞれk−1段目のSM00,SM11からシフト入力される。また、SM11,SM00への入力は、ACS21からのセレクト信号により決定される。パス長(パスメモリ段数n)が十分に大きい場合には、n段目における4つのサブブロックのレジスタ値が全て一致するため、どの最終段のデータであっても復号できることになる。ここでは、SM10からの出力値sm[k+n]とsm[k+(n+1)]とを用いて復号している。この復号処理は、Merge回路24において行われている。ここでは、sm[k+n]からsm[k+(n+1)]への状態遷移に対応して決定されている。
【0059】
振幅基準値cijkは、状態遷移の状況を予想する重要なパラメータであるが、実際は、記録状況、デフォーカス(信号欠落)等により変動する。つまり、PR(1,2,1)がPR(0.8,2.0,0.9)のように変動する。そのため、一般的なビタビ復号器では、現実の再生信号に対して信号品質を判断するステップ等が設けられている。そこで、適応型振幅基準値ビタビ復号器1では、この振幅基準値に適応化制御を施すことによってこれらの変動を吸収し、より正確な再生信号の特性値を算出している。具体的には、入力振幅とビタビ復号器の復号結果に応じて振幅基準値を逐次適応化し更新している。
【0060】
例えば、入力した再生信号のAD変換値z[k]に対して、ビタビ復号処理を行った結果、最尤パス遷移がsm[k+n]=01,sm[k+(n+1)]=11になったとすると、このときの振幅基準値は、c011である。そこで、以下に示す式(5)において、もとの再生信号に応じて振幅基準値を更新する。
【0061】
【数4】
【0062】
ここで、aは、修正ゲインを表している。この修正ゲインは、大きく設定すると更新が早まることになるが、再生信号の欠落等にも過敏に反応することになり、更新が追いつかなくなる場合もある。そのため、この修正ゲインは、外部レジスタから自由に設定できるようになっている。
【0063】
以上説明した振幅基準値の更新処理が上述したRAA部23において実行されている。振幅基準値の更新は、ビタビ復号処理によりタイミングが決定された後、実行されるため、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、入力再生信号z[k]をストアするビタビレングス分のシフトレジスタ25を備えている。
【0064】
続いて、本発明の具体例として示す適応型振幅基準ビタビ復号器1の振幅基準値の更新動作モードについて図6及び表1を用いて説明する。
【0065】
図6は、ゲートカウンタ15にてカウントされるリードゲート信号のアクティブ、ローに対して、各動作モードにおける振幅基準値の更新の仕方を示している。図6において、A0は、振幅基準値初期値記憶部10に記憶された理想的振幅基準値を示し、このとき理想的振幅基準値が読み込まれる。As1,As2,As3,・・・,As7は、更新演算部13において更新された振幅基準値を示し、この期間は、更新される振幅基準値を使用してビタビ復号処理を行っていることを表している。
【0066】
【表1】
【0067】
また、表1は、各動作モードにおける振幅基準値の更新の仕方を説明するものである。表1における「number」は、リードゲート信号の順序を示し、fは、リードゲート信号の立ち下がりを示し、rは、リードゲート信号の立ち上がりを示す。また、Aは、振幅基準値の初期値を表し、B,C,D,Eは、更新された振幅基準値を表している。表1には、振幅基準値初期値に対して更新された振幅基準値が9つのリードゲート信号にわたって変化する様子が表されている。立ち下がりに記述される後述するアルファベットは、更新の初期値を示し、立ち上がりに記述されるアルファベットは、更新の結果を示している。
【0068】
動作モードmode1は、リードゲート信号毎に振幅基準値初期値記憶部10に記憶された振幅基準値初期値を使用して振幅基準値を更新するモードである。図1に示すRAA部23は、振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている6個の振幅基準値初期値を、切換部14を介して、更新初期値記憶部11に記憶するとともに振幅基準値記憶部12に記憶する。
【0069】
ゲートカウンタ15は、リードゲート信号をゲートの立ち上がりrから所定の比較数になるまでカウントする。動作モードmode1において比較数は、1である。ゲートカウンタ15は、所定比較数に達しリードゲート信号の立ち下がりfを検出すると、選択部16に対して信号を供給し、選択部16は、ゲートカウンタ15からの信号を受けて、振幅基準値記憶部12に対して、更新初期値記憶部11から振幅基準値初期値を読み込む制御信号を供給する。
【0070】
動作モードmode1では、比較数を1に設定しているため、1つのリードゲート信号毎に振幅基準値記憶部12が振幅基準値初期値記憶部10の値に初期化される。リードゲート信号がアクティブになっている間は、振幅基準値記憶部12は、更新計算部13から演算結果を受け取り振幅初期値の更新を続ける。したがって、動作モードmode1では、1リードゲート信号間は、振幅基準値の更新を継続して更新結果として振幅基準値Bとし、次のリードゲート信号の再生信号を読み込む際には、振幅基準値初期値は、常に振幅基準値初期値記憶部10に記憶された振幅基準値初期値Aにリセットされる。切換部14は、常に振幅基準値初期値記憶部10からの振幅初期値初期値を選択する。ただし、表1では、振幅基準値Bは、更新後の値を示すものであって、必ずしも等しい値を示すとは限らない。
【0071】
したがって、動作モードmode1では、リードゲート信号毎に理想的な振幅基準値初期値に基づいて振幅基準値を更新するため、アシンメトリが大きくずれていない再生信号では、適切な更新が行われるが、大きくずれた再生信号の場合は、リードゲート信号の間隔内では、更新が不十分となり、ビタビ復号の性能を十分発揮できない場合がある。
【0072】
動作モードmode2は、リードゲート信号に関係なく振幅基準値初期値として、常に前回の更新された振幅基準値を使用する動作モードである。動作モードmode2では、RAA部23は、まず始めに、振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている6個の振幅基準値初期値Aを、切換部14を介して更新初期値記憶部11に記憶するとともに、振幅基準値記憶部12に記憶する。ここでは、ゲートカウンタ15においてカウントされるゲート数に関係なく更新が進むため、切換部14からは、更新計算部13において更新された振幅初期値が振幅基準値記憶部12に供給され、振幅初期値がB,C,D,E・・・というように、常に更新され続けることになる。
【0073】
したがって、動作モードmode2を実行することによって、リードゲート信号に関係なく、次々に振幅初期値が更新されるために、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、連続したセクタを読み取っていくことで振幅基準値が光磁気ディスクのアシンメトリに適合されるため、ビタビ復号の性能が向上する。
【0074】
ただし、動作モードmode2では、例えば再生信号に欠落箇所があった場合などに振幅基準値が不適切な値に設定されてしまうと、最適値に戻るまでに時間を要するという不都合がある。
【0075】
上述した動作モードmode1及びmode2は、従来の適応型振幅基準値ビタビ復号器においても採用されている手法であり、以下に示す動作モードmode3及びmode4が本発明の特徴とする点である。すなわち、本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器1では、リードゲート信号に応じて振幅基準値初期値が更新された後、再び理想的な振幅基準値初期値Aにリセットする場合と、最終的に更新された振幅基準値を次回からの振幅基準値初期値とする場合とを有し、これらの動作モードを従来の動作モードに加え、或いは従来の動作モードと併用して実行するものである。
【0076】
動作モードmode3は、動作モードmode1において、振幅基準値初期値のリセットを所定のゲートカウント数に行う動作モードである。動作モードmode3では、RAA部23は、まず始めに、振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている6個の振幅基準値初期値Aを、切換部14を介して更新初期値記憶部11に記憶するとともに、振幅基準値記憶部12に記憶する。例えば、ゲートカウンタ15における比較数が3の場合、RAA部23は、ゲートカウンタ15が3ゲート分をカウントするまで、切換部14からは、更新計算部13において更新された振幅初期値が振幅基準値記憶部12に供給され、振幅初期値がB,C,D,というように、更新される。カウント数が3に達したとき、切換部14が振幅基準値初期値記憶部10に記憶された振幅基準値初期値Aの読込を選択し、更新初期値記憶部11における振幅基準値初期値が振幅基準値初期値Aにリセットされる。
【0077】
したがって、動作モードmode3を実行することによって、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、所定リードゲート信号数をカウントし終わった後は、リードゲート信号毎に振幅基準値初期値を振幅基準値初期値記憶部10に記憶された理想的な振幅基準値初期値に戻すために、振幅基準値の更新を続けるうちに、例えば、再生信号に欠落箇所があった場合などに、振幅基準値が不適切な振幅基準値に設定されるおそれもなく、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、より正確に読み取ることが可能となる。すなわち動作モードmode3は、mode2の欠点を改良したものである。
【0078】
動作モードmode4は、振幅基準値初期値のリセットをリードゲート信号毎に実行する場合と、所定のゲートカウント数毎に実行する場合とを有する動作モードである。動作モードmode4では、RAA部23は、始めに、振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている6個の振幅基準値初期値Aを切換部14を経て更新初期値記憶部11に記憶するとともに、振幅基準値記憶部12に記憶する。例えば、ゲートカウンタ15における比較数が3の場合、RAA部23は、ゲートカウンタ15が3ゲート分をカウントするまで、切換部14からは、更新計算部13において更新された振幅初期値が振幅基準値記憶部12に供給され、振幅初期値がB,C,D,と更新される。カウント数が3に達したとき、切換部14が振幅基準値初期値記憶部10に記憶された振幅基準値初期値Aの読込を選択し、更新初期値記憶部11における振幅基準値初期値が振幅基準値初期値Aにリセットされる。続く更新は、1ゲート毎に実行され、RAA部23は、更新結果として3ゲート目に更新された最後の振幅基準値を続くリードゲート信号の振幅基準値初期値Dとし、リードゲート信号がアクティブの間更新を継続して振幅基準値Eを得る。この後は、リードゲート信号毎に、振幅基準値初期値を振幅基準値初期値Dとして振幅基準値の更新を実行する。ただし、表1では、振幅基準値Eは、更新後の値を示すものであって、必ずしも等しい値を示すとは限らない。
【0079】
したがって、動作モードmode4を実行することによって、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、所定ゲート数をカウントし終わった後はリードゲート毎に振幅基準値初期値を振幅基準値初期値記憶部10に記憶された最後の振幅基準値に戻すことにより、振幅基準値の更新を続けるうちに、例えば、再生信号に欠落箇所があった場合などに、振幅基準値が不適切な振幅基準値に設定されるおそれもなく、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、より正確に読み取りビタビ復号の性能を発揮できる。
【0080】
すなわち、動作モードmode4は、mode3において、所定リードゲート数をカウントし終わった後に理想的な振幅基準値ではなく、光磁気ディスクのアシンメトリに適合した最後の振幅基準値に戻されるようにしたものであって、動作モードmode3より、さらにビタビ復号の性能を向上した動作モードである。
【0081】
次に、上述の適応型振幅基準値ビタビ復号器1を適用した光磁気ディスク装置を、図7を用いて説明する。図7には、適応型振幅基準値ビタビ復号を行う再生系を有する光磁気ディスク装置30の全体構成が示されている。
【0082】
光磁気ディスク装置30は、ホストコンピュータ31と、コントローラ32と、レーザパワーコントロール部(以下、LPCと記す。)33とを有し、記録時には、コントローラ32がホストコンピュータ31からの指示にしたがって記録すべきデータを受け取り、これをエンコードしてRLL(1,7)符号の符号化データを生成する。この符号化データが記録データとしてレーザパワーコントロール部(以下、LPCと表記する)33に供給される。コントローラ32は、このような処理のほか、復号化処理、記録、再生、消去等の各モードの制御、並びにホストコンピュータ31との交信等の動作を行う。
【0083】
また、光磁気ディスク装置30は、記録再生系として、光ピックアップ34と磁気ヘッド35とを有し、光磁気ディスク36に対して記録/再生を行う。LPC33は、供給された記録データに応じて光ピックアップ34のレーザパワーを制御し、光磁気ディスク36上に磁気極性を有するピット列を形成することにより記録データを記録する。この記録の際に、磁気ヘッド35が光磁気ディスク36にバイアス磁界を付与する。実際には、記録データに基づいて生成されるプリコード出力に基づいた、後述するようなマークエッジ記録が行われる。
【0084】
記録位置、すなわちピットの形成位置の制御は、図示しないが、磁気ヘッド35及び光ピックアップ34等の位置決めを行う手段によって実行されている。このため、記録動作時に光ピックアップ34がアドレス部等を通過する際には、後述するような再生時の動作と同様な動作が行われる。
【0085】
上述したように形成される各ピットを記録データに基づいて、後述するようにして生成されるプリコード出力中の各ビットに対応させる方法について、図8を参照して説明する。
【0086】
プリコード出力中の、例えば‘1’に対してピットを形成し、‘0’に対してピットを形成しない記録方法をマーク位置記録方法と称する。一方、各ピットのエッジによって表現される、プリコード出力中の各ビットの境界における極性の反転を、例えば、‘1’に対応させる記録方法をマークエッジ記録方法と称する。再生時には、再生信号中の各ビットの境界は、後述するようにして生成されるリードクロックDCKにしたがって認識される。
【0087】
次に、光磁気ディスク装置30における再生系の構成及び動作について説明する。光ピックアップ34は、光磁気ディスク36にレーザ光を照射し、それによって生じる反射光を受光して再生信号を生成する。再生信号は、和信号R+、差信号R−、図示しないがフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号の4種類の信号からなる。和信号R+は、アンプ37によってゲイン調整等をされた後に切換スイッチ39に供給される。また、差信号R−は、アンプ38によってゲイン調整等をされた後に切換スイッチ39に供給される。さらに、フォーカスエラー信号は、フォーカスエラーを解消する手段(図示せず)に供給される。一方、トラッキングエラー信号は、図示しないサーボ系等に供給され、それらの動作において用いられる。
【0088】
切換スイッチ39には、後述するような切換信号Sが供給される。切換スイッチ39は、この切換信号Sにしたがって、以下のように、和信号R+又は差信号R−をフィルタ部40に供給する。すなわち、後述するような光磁気ディスク36のセクタフォーマットにおいて、エンボス加工によって形成される部分から再生される再生信号が切換スイッチ39に供給される期間には、和信号R+をフィルタ部40に供給する。また、光磁気的に記録される部分から再生される再生信号が切換スイッチ39に供給される期間には、差信号R−をフィルタ部40に供給する。
【0089】
切換信号Sは、例えば次のようにして生成される。すなわち、まず再生信号からセクタフォーマットに規定される所定のパターンから再生される信号を検出する。このような所定のパターンとしては、例えば後述するセクタマークSM等が用いられる。そして、かかる検出がなされた時点を基準として、後述するリードクロックを数える等の方法によって認識される所定時点において、切換信号Sが生成される。
【0090】
フィルタ部40は、ノイズカットを行うローパスフィルタ及び波形等化を行う波形等化器から構成される。後述するように、この際の波形等化処理において用いられる波形等化特性は、ビタビ復号器42が行うビタビ復号方法に適合される。フィルタ部40の出力を供給されるA/D変換器12は、後述するようにして供給されるリードクロックDCKにしたがって再生信号値z[k]をサンプリングする。
【0091】
ビタビ復号器42は、再生信号値z〔k〕に基づいてビタビ復号方法によって復号データを生成する。ここでの復号データは、上述したように記録される記録データに対する最尤復号系列である。したがって、復号エラーがない場合には、復号データは、記録データと一致する。
【0092】
また、フィルタ部40の出力は、PLL部43にも供給される。PLL部43は、供給された信号に基づいてリードクロックDCKを生成する。リードクロックDCKは、コントローラ32、A/D変換器12、ビタビ復号器42等に供給される。コントローラ32、A/D変換器12、ビタビ復号器42の動作は、リードクロックDCKにしたがうタイミングでなされる。さらに、リードクロックDCKは、図示しないタイミングジェネレータに供給される。タイミングジェネレータは、例えば、記録/再生動作の切換等の動作タイミングを制御する信号を生成する。
【0093】
本発明の具体例として示す適応型振幅基準ビタビ復号器1を適用した光ディスク装置30は、粗悪なID信号から得られる低振幅や大きく中心位置からずれたアシンメトリを有する再生信号にも対応できる。
【0094】
振幅基準値適応型でないビタビ復号器を用いて、例えば中心位置が検出されていて振幅が10%程度小さいアシンメトリを復号する場合と、振幅が正常値であって中心位置が10%程度ずれているアシンメトリを復号する場合とを考える。通常、ビタビ復号は、ランダムノイズに対して効果を発揮するものであるが、中心位置が正常値として検出されているアシンメトリの方は、正確な再生信号として検出することができるが、中心位置がずれたアシンメトリを有する系の場合、非ランダムノイズが検出されることと等価になるため、振幅基準値適応型でないビタビ復号器では、ビタビ復号の効果が十分に発揮されないことになる。すなわち、再生信号を正確に検出する上では、アシンメトリを少なくとも±2%程度の誤差範囲に収めることが好ましい。
【0095】
適応型振幅基準ビタビ復号器1を用いると、このような系に対して振幅基準値の適応化を施して、PR(1,2,1)の系を、例えばPR(1.2,2,1.2)のように更新できるため、大きくずれたアシンメトリを排除することができる。
【0096】
光磁気ディスクの中には、15%程度のアシンメトリのずれを有するID信号もあるため、振幅基準値を適応化して、ずれたアシンメトリを除去する必要がある。
【0097】
ここで一例として、15%程度のアシンメトリのずれを有するID信号を復号する場合について考える。再生信号が振幅40,2Tの振幅20であって、理想値よりも15%程度ずれているとすると、この場合のアシンメトリは、以下の式(6)によって表される。
【0098】
【数5】
【0099】
また、このアシンメトリによるオフセットは、40×0.165=6.6であるため、c111と、c110,c011と、c001,c100と、c000の振幅は、図9に示すようになる。すなわち、ここで10として検出される振幅は、3.4まで、また−10として検出される振幅は、−16.6まで更新されなければならない。
【0100】
更新ゲインa=0.015625として更新回数を求めると約460回になる。実際の更新には、6通りの基準値がほぼ順に更新されると仮定すると、460×6=2760回の更新が必要になる。これは、345バイトに相当する。1つのID信号において更新するバイト数は、47バイトであるため、345/7=7.340となり、振幅基準値の更新には少なくとも8個のID信号が必要であることがわかる。
【0101】
このように、光磁気ディスク装置30では、上述のアシンメトリ条件下では、シークのヘッドランディング目標セクタを読取セクタの8セクタ程度手前に設定すれば、ヘッドが読取開始セクタに到達する前に振幅基準値の更新が終了していることになって理想的なビタビ復号が実行される。しかし、ここでは、特異的な条件を例示しているため、実際は必ずしも読取セクタの8セクタ程度手前に設定する必要はない。ランディングする目標セクタを手前に設定しすぎるとシーク到達が遅れるため、シーク動作に支障を来さない範囲でランディングの目標セクタの設定が可能である。
【0102】
続いて、本発明の適応型振幅基準値ビタビ復号器1を適用した光磁気ディスク装置30における振幅基準値の更新動作モードの切換動作の一例を、図10を用いて説明する。
【0103】
光磁気ディスク装置30は、読取動作にないとき、すなわち待機状態では、動作モードmode1が選択されているものとする。光磁気ディスク装置30が光磁気ディスク36の読取動作を開始すると、まず、ステップS1において、光ピックアップ34によって現在検出されているアドレスを確認する。このとき、動作モードが動作モードmode1から動作モードmode4へ移行される。
【0104】
続いて、ステップS2において、光磁気ディスク装置30は、現在のアドレスから目標アドレスまでの検索情報(シークプロファイル)を算出し、ステップ3において、動作モードを動作モードmode1に切り換え、シーク動作を開始する。ステップS4におけるシーク動作中は、動作モードmode1が選択されている。
【0105】
光磁気ディスク装置30は、ステップS5において、目標アドレスの若干手前、例えば上述したように8セクタ手前に光ピックアップ34をランディングするとともに、振幅基準値の更新動作モードを動作モードmode1からmode4へと切り換える。
【0106】
ステップS6において、光磁気ディスク装置30は、目標アドレスの記録データを再生する。目標アドレスを含めた読取目標セクタが過ぎると、ステップS7において、動作モードを動作モードmode4からmode1へと切り換え、待機状態に移行する。
【0107】
したがって、本発明の具体例として示す光磁気ディスク装置30は、以上の一連の工程、すなわちシーク動作であるか読取動作であるかに応じて振幅基準値の更新方法を選択することができる。シーク動作では、常に振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値を使用し、読取動作にある場合は、一連の読取エリア内で、振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値から更新して得られた振幅基準値を振幅基準値初期値として随時更新していくことにより、極端なアシンメトリのずれを有した再生信号に対してもより正確なビタビ復号処理を実行できる。
【0108】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0109】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る復号装置は、再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号装置において、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段と、振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶手段と、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段と、振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算手段と、振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれかを選択して更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値記憶手段に記憶されている更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換手段と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数手段と、振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択手段と、切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は選択手段における振幅基準値の選択を計数手段からの計数結果に基づいて制御する制御手段とを備えることにより、振幅基準値初期値の設定と振幅基準値の更新とがリードゲート信号に基づいて実行されるため、ID信号のように時間的に短い再生信号のアシンメトリが著しく変動しても、これを正しく読み取ることができる。
【0110】
また、制御手段において、所定のリードゲート信号毎に、実際の振幅基準値を振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直ことによって、振幅基準値の更新を続けるうちに、例えば、再生信号に欠落箇所があった場合などに、振幅基準値が不適切な振幅基準値に設定されるおそれもなく、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、より正確に読み取ることが可能となる。
【0111】
また、制御手段では、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用することによって、所定のリードゲート数をカウントした後に、記録媒体のアシンメトリに適合するように更新された最後の振幅基準値に戻されるため、本発明に係る復号装置によれば、時間的に短い再生信号を復号する性能がさらに向上される。
【0112】
また、本発明に係る復号方法は、再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号方法において、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算工程と、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算工程において更新された振幅基準値のいずれかを選択して、選択された振幅基準値を更新初期値として記憶する更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換工程と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数工程と、振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択工程と、切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は選択工程における振幅基準値の選択を計数工程からの計数結果に基づいて制御する制御工程とを備えることにより、制御工程において、振幅基準値初期値の設定と振幅基準値の更新とがリードゲート信号に基づいて実行されるため、ID信号のように時間的に短い再生信号のアシンメトリが著しく変動しても、これを正しく読み取ることができる。
【0113】
ここで制御工程において、所定のリードゲート信号毎に、実際の振幅基準値を振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直すことによって、振幅基準値の更新を続けるうちに、例えば、再生信号に欠落箇所があった場合などに、振幅基準値が不適切な振幅基準値に設定されるおそれもなく、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、より正確に読み取ることが可能となる。
【0114】
また、本発明に係る復号方法における制御工程では、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用することによって、所定リードゲート数をカウントした後に理想的な振幅基準値ではなく、光磁気ディスク等の記録媒体のアシンメトリに適合した最後の振幅基準値に戻されるため、本発明に係る復号方法によれば、時間的に短い再生信号を復号する性能がさらに向上される。
【0115】
また、本発明に係る復号装置を情報再生装置の振幅基準値適応化部に適用し、この振幅基準値適応化部によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理部と、計算処理部からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御部とを備える情報再生装置とすれば、この情報再生装置は、動作制御部における構成要素の動作制御に応じて、切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は選択手段における振幅基準値の選択が制御できる。
【0116】
また、このような情報再生装置は、シーク動作であるか読取動作であるかに応じて振幅基準値の更新方法を選択することができるため、シーク動作では、常に振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値を使用し、読取動作では、一連の読取エリア内で、振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値から更新して得られた振幅基準値を振幅基準値初期値として随時更新していくことにより、極端なアシンメトリのずれを有した再生信号に対してもより正確な復号処理を効率的に実行できる。
【0117】
また、本発明に係る復号方法を情報再生方法の振幅基準値適応化工程に適用し、振幅基準値適応化工程によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理工程と、計算処理工程からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御工程とを備える情報再生方法とすれば、この情報再生方法によれば、切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は選択工程における振幅基準値の選択を動作制御工程における構成要素の動作制御に応じて制御できる。
【0118】
また、このような情報再生方法は、シーク動作であるか読取動作であるかに応じて振幅基準値の更新方法を選択することができるため、シーク動作では、常に振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値を使用し、読取動作では、一連の読取エリア内で、振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値から更新して得られた振幅基準値を振幅基準値初期値として随時更新していくことにより、極端なアシンメトリのずれを有した再生信号に対してもより正確な復号処理を効率的に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるRAA部を説明する構成図である。
【図2】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器を説明する構成図である。
【図3】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるリードデータの状態遷移を説明する模式図である。
【図4】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるSMU内部の内部を説明する構成図である。
【図5】(a)は、本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるSMU内部のサブブロックSM00を説明する構成図であり、(b)は、サブブロックSM10を説明する構成図である。
【図6】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるRAA部のゲートカウンタにてカウントされるリードゲート信号のアクティブ、ローに対して、各動作モードにおける振幅基準値の更新の仕方を説明する図である。
【図7】本発明に係る適応型振幅基準値ビタビ復号器を適用した光磁気ディスク装置を説明する構成図である。
【図8】本発明に係る適応型振幅基準値ビタビ復号器を適用した光磁気ディスク装置において、記録データに基づいて生成するプリコード出力中の各ビットに各ピットを対応させる方法を説明する図である。
【図9】本発明に係る適応型振幅基準値ビタビ復号器を適用した光磁気ディスク装置において、振幅40,2Tの振幅20であって、理想値よりも15%程度ずれたアシンメトリを有するID信号を復号する場合について説明する図である。
【図10】本発明の具体例として示す光磁気ディスク装置において、適応型振幅基準値ビタビ復号器による振幅基準値の更新を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の具体例として示す光磁気ディスク装置に適用される光磁気ディスクのセクタフォーマットを説明する図である。
【符号の説明】
1 適応型振幅基準値ビタビ復号器、10 振幅基準値初期値記憶部、11 更新初期値記憶部、12 振幅基準値記憶部、13 更新演算部、14 切換部、15 ゲートカウンタ、16 選択部、20 BMS、21 ACS、22 SMU、23 RAA部、24 Merge回路、25 シフトレジスタ、30光磁気ディスク装置、31 ホストコンピュータ、32 コントローラ、33レーザパワーコンロトール部、34 光ピックアップ、35 磁気ヘッド、36 光磁気ディスク、37 アンプ、38 アンプ、39 切換スイッチ、40フィルタ部、41 A/D変換部、42 ビタビ復号器
【発明の属する技術分野】
本発明は、復号装置及び復号方法、並びに情報再生装置及び情報再生方法に関し、特に、時間的に短い記録信号をも正確に再生して効率的なPRML(Partial Response Maximum Likelihood)方法を実行する復号装置及び復号方法、並びにPRML方法を実行して信号情報を再生する情報再生装置及び情報再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディジタルビデオテープレコーダ、ハードディスク、光学式ディスク等の、いわゆるディジタルマスストレージ分野では、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方法と呼ばれる再生等化・検出方法が用いられている。
【0003】
このPRML方法は、多値であるが狭い帯域での記録再生が可能になるパーシャルレスポンス等化と、状態遷移の尤度を再帰的に計算することによってビット毎の識別に比べて良好なエラーレートが得られる最尤復号化とを組み合わせたものである。最尤復号化の代表的なアルゴリズムがビタビ復号であり、これを実現した復号化装置をビタビ復号化装置と呼ぶ。
【0004】
ビタビ復号装置及びビタビ復号方法は、光磁気ディスク装置等に代表される情報記録装置において記録媒体から再生される再生信号を復号する際などに多用されている。
【0005】
ビタビ復号方法は、ホワイトノイズを含む再生信号を復号する場合にビットエラーレートを小さくすることができる復号方法である。ビタビ復号方法では、記録媒体に対する記録方法に応じて複数個の状態を予め特定し、記録媒体から再生される再生信号に基づいて、リードクロックにしたがうタイミングで行われる計算処理によって、リードクロックにしたがう各時点において、最尤な状態遷移を選択する。そして、このような選択の結果に対応して‘1’又は‘0’の復号データ値の系列としての復号データを生成する。
【0006】
再生信号に基づく計算処理は、ビタビ復号方法の種類によって決まる振幅基準値を参照して行われる。振幅基準値は、再生信号が振幅変動等の影響を受けていない理想的な場合には、ビタビ復号方法の種類から理論的に決まるものを用いればよい。しかし、再生信号が理想的なものではない一般的な場合には、ビタビ復号の精度を向上させるために、再生信号の振幅変動等に応じて振幅基準値を更新することにより、振幅基準値を再生信号に対して適応化することが必要となる。
【0007】
このような方法として、一般には、例えば、エンベロープ検出器等の手段によって再生信号の振幅を検出し、検出値に基づいて振幅基準値を所定の期間毎に更新するようになっている。
【0008】
例えば、光磁気ディスク装置のように、着脱可能な記録媒体を使用する情報再生装置では、記録又は再生動作において、例えば製造元が異なるなどの要因により、記録媒体毎の特性のばらつきが大きい。そこで例えば記録媒体装着時などにキャリブレーション動作を行う必要がある。キャリブレーション動作とは、記録系内又は再生系内の構成要素の動作条件を記録媒体の特性に対して最適になるように制御する操作である。
【0009】
第3世代の5.25インチの光ディスク装置では、記録時のレーザパワー(以下、記録レーザパワーと記す。)についてのキャリブレーションが以下のように行われる。
【0010】
まず、記録レーザパワーを初期設定し、この初期設定のもとで所定のパターンを記録する。そして、記録された所定のパターンを再生し、再生信号のエンベロープ信号のピークトゥピーク電圧及び中心電圧をA/D変換して取り込む。取り込まれた電圧値に基づいて、アシンメトリのずれ、すなわち再生信号波形の非対称歪みを測定する。アシンメトリと記録レーザパワーには、密接な関係があるため、上述したようにして測定されたアシンメトリから記録レーザパワーの記録媒体としての光磁気ディスクに対する適合性を知ることができる。
【0011】
記録レーザパワーが最適でないと判断される場合には、アシンメトリの値に基づいて、最適な記録レーザパワーを推定して、記録レーザパワーを再度初期設定する。以上のような手順を記録レーザパワーが最適とされるまで繰り返し行う。
【0012】
記録レーザパワーに対するキャリブレーションにおいて用いられるピークトゥピーク電圧及び中心電圧は、再生信号から一旦サンプルホールドされ、その後、A/D変換され取り込まれている。
【0013】
例えば、第3世代の5.25インチ光ディスクなどでは、再生信号に加わるDC成分の変動が大きい。このため、サンプルホールドがなされるタイミングによってサンプルホールド値が変動する。このようなサンプルホールド値に基づいて計算しても、アシンメトリを精度よく算出することが困難である。アシンメトリの計算精度を向上させるために、各電圧値に関するサンプルホールドを複数回行うことによって得られる複数のサンプルホールド値を平均し、この平均値を用いてアシンメトリを計算することも可能である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
また、光磁気ディスク等の記録媒体のプリピットであるID信号の品質は、ディスク製造メーカによって管理されているが、上述した振幅基準値から大きくずれたものがあるのが実情である。光磁気ディスク等の中には、例えば、ディスクの半径位置によって再生信号のアシンメトリが上下に大きく変化していたり、振幅変動が著しいものもある。このような光磁気ディスクは、製造工程によるカッティングマシーンの設定不適切が原因であることが多いため、著しくずれたアシンメトリや振幅は、そのまま連続してずれていく。
【0015】
そこで、このような劣悪なID品質のディスクにも対応するため、振幅基準値自体を更新することにより、より最適な復号を可能としたビタビ復号器も考えられている。従来の振幅基準値適応型のビタビ復号器における振幅基準値の更新方法としては、リードゲート信号毎に振幅基準値の初期値をリセットしてから更新する方法、また常に振幅基準値の初期値を更新する方法などがある。
【0016】
しかし、例えば、光磁気ディスクのディスク表面において、データ領域は、少なくとも512バイトの領域を有しているのに対して、ID信号領域は、5,6バイトと非常に短い領域であるため、このような狭域に記述されるID信号の読み取りにかかる期間は、非常に短期間であって、従来のようにリードゲート信号毎に振幅基準値の初期値をリセットする場合、振幅基準値の更新が進まない。そのため、アシンメトリが著しくずれたID信号があると、このID信号を正確に読み取ることができないという欠点があった。
【0017】
また、常に振幅基準値初期値の更新が進むような後者の方法では、アシンメトリが著しくずれたID信号も読み取ることができるが、RF信号の欠落等によって一旦不適切な振幅基準値に更新されると、適切な振幅基準値まで復帰するのにある程度の時間を要する。そのため、この間は振幅基準値の更新が進まず、読取性能を低下させるという欠点があった。
【0018】
そこで本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、ID信号のように時間的に短い再生信号のアシンメトリが著しく変動しても、これを正しく読み取る復号装置及び復号方法、並びに情報再生装置及び情報再生方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明に係る復号装置は、再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号装置において、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段と、振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶手段と、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段と、振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算手段と、振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれかを選択して更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値記憶手段に記憶されている更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換手段と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数手段と、振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択手段と、切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は選択手段における振幅基準値の選択を計数手段からの計数結果に基づいて制御する制御手段とを備える。
【0020】
これにより本発明に係る復号装置は、制御手段によって、振幅基準値初期値の設定と振幅基準値の更新とがリードゲート信号に基づいて実行される。
【0021】
ここで、制御手段は、所定のリードゲート信号毎に、実際の振幅基準値を振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直してもよい。また、制御手段は、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用するようにしてもよい。
【0022】
また、上述した目的を達成するために、本発明に係る復号方法は、再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号方法において、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算工程と、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算工程において更新された振幅基準値のいずれかを選択して、選択された振幅基準値を更新初期値として記憶する更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換工程と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数工程と、振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択工程と、切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は選択工程における振幅基準値の選択を計数工程からの計数結果に基づいて制御する制御工程とを備える。
【0023】
これにより本発明に係る復号方法によれば、制御工程において、振幅基準値初期値の設定と振幅基準値の更新とがリードゲート信号に基づいて実行される。
【0024】
ここで、制御工程では、所定のリードゲート信号毎に、実際の振幅基準値を振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直してもよい。また、制御工程では、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用するようにしてもよい。
【0025】
また、本発明に係る復号装置を情報再生装置の振幅基準値適応化部に適用し、この振幅基準値適応化部によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理部と、計算処理部からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御部とを備える情報再生装置とする。
【0026】
このような情報再生装置は、動作制御部における構成要素の動作制御に応じて、切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は選択手段における振幅基準値の選択を制御する。
【0027】
また、本発明に係る復号方法を情報再生方法の振幅基準値適応化工程に適用し、振幅基準値適応化工程によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理工程と、計算処理工程からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御工程とを備える情報再生方法とする。
【0028】
このような情報再生方法によれば、切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は選択工程における振幅基準値の選択が動作制御工程における構成要素の動作制御に応じて制御される。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の具体例として示す復号器は、記録媒体の記録信号を再生した再生信号の組み合わせから得られる符号間干渉を波形に与えることで効果的な伝送を行うPR(Partial Response)等化と、予め相関させたデータ系列から最も確からしい系列を選んで再生するビタビ復号とを組み合わせた信号処理を行うビタビ復号器であって、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶部と、振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶部と、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶部と、振幅基準値記憶部に記憶された振幅基準値を更新する更新演算部と、振幅基準値初期値記憶部に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算部により更新された振幅基準値のいずれかを選択して更新初期値記憶部に供給し、更新初期値記憶部に記憶されている更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換部と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数部と、振幅基準値記憶部における振幅基準値として、更新初期値記憶部の更新初期値及び更新演算部により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択部と、切換部における更新初期値の切り換え及び/又は選択部における振幅基準値の選択を計数部からの計数結果に基づいて制御する制御部とを備えることにより、振幅基準値の更新手法を改善し、PRML(Partial Response Maximum Likelihood)を安定化し、時間的に短い再生信号も正確に読み取ることを可能とした適応型振幅基準値ビタビ復号器である。
【0030】
また、本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器では、光磁気ディスクを対象とし、PRがPR(1,2,1)である信号に対して最尤復号する場合について説明するが、記録媒体は、フロッピーディスク(登録商標)等の磁気記録媒体、DVD(Digital Versatile Disc)等の光記録媒体等であっても構わない。また、(1,2,1)以外の他のPRの場合であっても適用できる。
【0031】
また、ここで用いる光磁気記録におけるPR(1,2,1)は、PWM記録に対するパーシャルレスポンス応答であって、本発明の具体例では、1−7RLL(Run Length Limited)+NRZI(Non Return to Zero Inverted)のようなRLmin(最小反転幅)=2となる変調に対して、6値4状態のビタビ復号を行っている。
【0032】
光磁気ディスクには、セクタを記録/再生の単位としたユーザデータが記録される。図11を参照して、光磁気ディスクにおいて用いられるセクタフォーマットの一例について説明する。
【0033】
1セクタは、図11Aに示すように、記録/再生の順にしたがって、ヘッダ、ALPC,ギャップ、VFO3、シンク、データフィールド、バッファの各エリアに区分されている。図11中に付した数字は、バイト数を表している。光磁気ディスク上には、ブロック符号化等の符号化が施されたデータが記録される。例えば、8ビットが12チャンネルビットに変換されて記録される。
【0034】
このセクタフォーマットの一例では、ユーザデータ量が1024バイトのフォーマットとユーザデータ量が512バイトのフォーマットとが用意されている。ユーザデータ量が1024バイトのフォーマットでは、データフィールドのバイト数が670バイトとされ、ユーザデータ量が512バイトのフォーマットでは、データフィールドのバイト数が1278バイトとされている。これら2つのセクタフォーマットにおいて、63バイトのプリフォーマットされたヘッダと、ALPC及びギャップエリアの18バイトは、同一である。
【0035】
図11Bに63バイトのヘッダを拡大して示す。ヘッダは、セクタマークSM(8バイト)、VFOフィールドのVFO1(26バイト)、アドレスマークAM(1バイト)、IDフィールドのID1(5バイト)、VFOフィールドのVFO2(16バイト)、アドレスマークAM(1バイト)、IDフィールドのID2(5バイト)、及びポストアンブルPA(1バイト)が順に配列された構成とされている。
【0036】
図11Cに18バイトのALPC,ギャップエリアを拡大して示す。このエリアは、ギャップフィールド(5バイト)、フラグフィールド(5バイト)、ギャップフィールド(2バイト)、ALPC(6バイト)からなる。
【0037】
次に、セクタにおけるフィールドについて説明する。セクタマークSMは、セクタの開始を識別するためのマークであり、RLL(1,7)符号では生じないエンボス加工によって形成されたパターンを有する。
【0038】
VFOフィールドは、PLL部中のVFO(Variable Frequency Oscillator)を同期させるためのもので、VFO1、VFO2及びVFO3からなる。VFO1及びVFO2は、エンボス加工によって形成されている。また、VFO3は、そのセクタに対して記録動作が行われる際に光磁気的に書かれる。VFO1、VFO2及びVFO3は、それぞれチャンネルビットの‘0’と‘1’とが交互に現れるパターン(2Tパターン)を有する。したがって、1チャンネルビットの時間長に対応する時間をTとすると、VFOフィールドを再生したときに、2T毎にレベルが反転する再生信号が得られることになる。
【0039】
アドレスマークAMは、後続のIDフィールドのためのバイト同期を装置に対して与えるために使用され、RLL(1,7)符号において生じないエンボスされたパターンを有する。IDフィールドは、セクタのアドレス、すなわち、トラック番号及びセクタ番号情報と、これらの情報に対するエラー検出用のCRCバイトを有する。IDフィールドは、5バイトからなり、ID1及びID2によって、同一のアドレス情報が2重に記録される。ポストアンブルPAは、チャンネルビットの‘0’と‘1’とが交互に現れるパターン(2Tパターン)を有する。ID1、ID2及びポストアンブルPAも、エンボス加工によって形成されている。このように、ヘッダの領域は、エンボス加工によりピットが形成されたプリフォーマットされた領域である。
【0040】
上述した光磁気ディスクを対象とし、PRがPR(1,2,1)である信号に対して最尤復号する復号器の具体例について、以下、図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、特に、振幅基準値を更新する振幅基準値適応化(RAA;Reference Amplitude Adaptive)部に特徴を有しており、さらに具体的には、このRAA部は、図1に示すように、光磁気ディスク等の記憶媒体毎に固有の理想的振幅基準値が予め記憶された振幅基準値初期値記憶部10と、振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶部11と、使用する振幅基準値を一時的に記憶する振幅基準値記憶部12と、振幅基準値記憶部12に記憶された振幅基準値を更新する更新演算部13と、振幅基準値記憶部12に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算部13により更新された振幅基準値のいずれかを選択的に更新初期値記憶部11に供給し、更新初期値記憶部11に記憶されている更新初期値を理想的振幅基準値記憶部10又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換部14と、読み取られた一連の再生信号に基づくリードゲート信号数を計数するゲートカウンタ15と、振幅基準値記憶部12における振幅基準値として、更新初期値記憶部11の更新初期値及び更新演算部13により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択部16と、切換部14における更新初期値の切換及び/又は選択部16における振幅基準値の選択を制御する制御部とを備えることにより、より細分化した手法で振幅基準値の更新が実行できるようになっている。
【0042】
振幅基準値初期値記憶部10は、振幅基準値の初期値を格納するレジスタであって、記録媒体に固有で理想的なPR(1,2,1)の場合の出力値、すなわち1−7RLL(Run Length Limited)+NRZI(Non Return to Zero Inverted)の変調に対する6値4状態ビタビ復号では、理想的な振幅基準値は、4値4状態となり、0,1,3,4である。ただし、これらの値は、外部より設定可能とされていてもよい。
【0043】
振幅基準値記憶部12は、実際にビタビ演算に使用される振幅基準値を格納するレジスタであって、更新演算部13における更新演算を経て振幅基準値が上書きされる。また、切換部14は、更新初期値記憶部11の初期値をセレクトする。ゲートカウンタ15は、再生信号に基づいて生成されるリードゲート信号を計測するカウンタであって、所定のゲートカウント毎に選択部16に信号を供給している。
【0044】
適応型振幅基準ビタビ復号器1では、上述した各構成が、図示しないCPU(Central Processing Unit)に制御されており、後述する各動作モードに基づいて振幅基準値を更新し最尤復号を実行している。
【0045】
また、本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、上述したRAA部を含め、図2に示すような基本構成を備えている。すなわち、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、再生信号と振幅基準値とのユークリッド距離の相対値(ブランチメトリック)を計算するブランチメトリック計算回路(以下、BMC;Branch Metric Calculatorと記す。)20と、ブランチメトリックと過去のブランチメトリックとの総和であるパスメトリックから最尤パスを選択し、新たなパスメトリックを計算する加算・比較・選択回路(以下、ACS;Add Compare & Selectと記す。)21と、パスメトリックの状態遷移を記憶するステータスメモリユニット(以下、SMU;Status Memory Unit)22とを備えている。また、振幅基準値は、上述したRAA部23によって更新され、復号処理は、Merge回路24にて行われる。
【0046】
なお、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、RAA部23からの信号に基づいてチャンネルクオリティを評価するチャンネルクオリティ信号を生成するチャンネルクオリティ信号生成回路を備えていてもよい。
【0047】
適応型基準値ビタビ復号器1における一般的な振幅基準値の更新方法について説明する。本具体例のようなPR(1,2,1)は、記録波形の非対称性などから、一般的にPR(a,b,c)と表せる。復号するもとの記録データ(再生信号)をak={0,1}、PWMは、マークエッジで記録するため、その記録データをbk={0,1}とすると、bkは、以下の式(1)によって表され、このときのリードデータykは、式(2)によって表すことができ、このときのビタビ復号は、6値4状態となる。
【0048】
【数1】
【0049】
このときの状態遷移の様子を図3に示す。本具体例では、1−7RLL+NRZI変調を用いているため、c101、c010の状態遷移は排除され、4値4状態になる。図3では、cijkは、ykのとり得る値、すなわち振幅基準値を示しており、各々の状態から次の状態に遷移するときの出力振幅を示している。なお、i,j,kは、それぞれbk−2,bk−1,bkを示している。
【0050】
BMC20は、再生信号のAD変換値z[k]と振幅基準値とのユークリッド距離の相対値(ブランチメトリック)を計算する。4値4状態のビタビ復号の場合、ブランチメトリックは、以下の式(3)に示すようになる。
【0051】
【数2】
【0052】
ただし、ここでは、c001とc100、c110とc011は区別するため、6値分の計算が実行される。
【0053】
ACS21は、ブランチメトリックと過去のブランチメトリックとの総和であるパスメトリックから最尤パスを選択し、以下の式(4)に示す演算によって新たなパスメトリックを算出する。
【0054】
【数3】
【0055】
上式において、mjk[k]は、時刻t=kにおける状態sijのパスメトリックを表している。選択されたパスメトリックmjk[k]は、どの状態からどの状態へ遷移したかを示している。その遷移状態の様子は、SMU22にて記憶される。ここでは、ACSにおけるメトリックの選択結果に対応したセレクト信号により、SMU22内の状態遷移が行われる。
【0056】
ここで、図4にSMU22の構成を示す。SMU22内部は、状態数と同数のサブブロックが存在している。ここでは、4状態であるため4つのサブブロックが存在する。これらサブブロックのパスの動きは、図3に示す状態遷移図に対応している。
【0057】
サブブロックの内部は、図5(a)及び図5(b)に示すように、n段のレジスタ構造になっている。各レジスタは、状態数に対応するビット幅があり、この場合は、2ビットである。k段目のレジスタは、k時間前の入力に対する最尤の状態を示しており、SMU22の段数nが十分に大きい場合は、4つのサブブロックのn段目のレジスタ値は、一致する。なお、この段数の長さをビタビレングスという。
【0058】
k段目のレジスタは、k−1段目のレジスタからのシフトにより入力されるようになっている。例えば、サブブロックSM01,SM10のk段目の入力は、それぞれk−1段目のSM00,SM11からシフト入力される。また、SM11,SM00への入力は、ACS21からのセレクト信号により決定される。パス長(パスメモリ段数n)が十分に大きい場合には、n段目における4つのサブブロックのレジスタ値が全て一致するため、どの最終段のデータであっても復号できることになる。ここでは、SM10からの出力値sm[k+n]とsm[k+(n+1)]とを用いて復号している。この復号処理は、Merge回路24において行われている。ここでは、sm[k+n]からsm[k+(n+1)]への状態遷移に対応して決定されている。
【0059】
振幅基準値cijkは、状態遷移の状況を予想する重要なパラメータであるが、実際は、記録状況、デフォーカス(信号欠落)等により変動する。つまり、PR(1,2,1)がPR(0.8,2.0,0.9)のように変動する。そのため、一般的なビタビ復号器では、現実の再生信号に対して信号品質を判断するステップ等が設けられている。そこで、適応型振幅基準値ビタビ復号器1では、この振幅基準値に適応化制御を施すことによってこれらの変動を吸収し、より正確な再生信号の特性値を算出している。具体的には、入力振幅とビタビ復号器の復号結果に応じて振幅基準値を逐次適応化し更新している。
【0060】
例えば、入力した再生信号のAD変換値z[k]に対して、ビタビ復号処理を行った結果、最尤パス遷移がsm[k+n]=01,sm[k+(n+1)]=11になったとすると、このときの振幅基準値は、c011である。そこで、以下に示す式(5)において、もとの再生信号に応じて振幅基準値を更新する。
【0061】
【数4】
【0062】
ここで、aは、修正ゲインを表している。この修正ゲインは、大きく設定すると更新が早まることになるが、再生信号の欠落等にも過敏に反応することになり、更新が追いつかなくなる場合もある。そのため、この修正ゲインは、外部レジスタから自由に設定できるようになっている。
【0063】
以上説明した振幅基準値の更新処理が上述したRAA部23において実行されている。振幅基準値の更新は、ビタビ復号処理によりタイミングが決定された後、実行されるため、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、入力再生信号z[k]をストアするビタビレングス分のシフトレジスタ25を備えている。
【0064】
続いて、本発明の具体例として示す適応型振幅基準ビタビ復号器1の振幅基準値の更新動作モードについて図6及び表1を用いて説明する。
【0065】
図6は、ゲートカウンタ15にてカウントされるリードゲート信号のアクティブ、ローに対して、各動作モードにおける振幅基準値の更新の仕方を示している。図6において、A0は、振幅基準値初期値記憶部10に記憶された理想的振幅基準値を示し、このとき理想的振幅基準値が読み込まれる。As1,As2,As3,・・・,As7は、更新演算部13において更新された振幅基準値を示し、この期間は、更新される振幅基準値を使用してビタビ復号処理を行っていることを表している。
【0066】
【表1】
【0067】
また、表1は、各動作モードにおける振幅基準値の更新の仕方を説明するものである。表1における「number」は、リードゲート信号の順序を示し、fは、リードゲート信号の立ち下がりを示し、rは、リードゲート信号の立ち上がりを示す。また、Aは、振幅基準値の初期値を表し、B,C,D,Eは、更新された振幅基準値を表している。表1には、振幅基準値初期値に対して更新された振幅基準値が9つのリードゲート信号にわたって変化する様子が表されている。立ち下がりに記述される後述するアルファベットは、更新の初期値を示し、立ち上がりに記述されるアルファベットは、更新の結果を示している。
【0068】
動作モードmode1は、リードゲート信号毎に振幅基準値初期値記憶部10に記憶された振幅基準値初期値を使用して振幅基準値を更新するモードである。図1に示すRAA部23は、振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている6個の振幅基準値初期値を、切換部14を介して、更新初期値記憶部11に記憶するとともに振幅基準値記憶部12に記憶する。
【0069】
ゲートカウンタ15は、リードゲート信号をゲートの立ち上がりrから所定の比較数になるまでカウントする。動作モードmode1において比較数は、1である。ゲートカウンタ15は、所定比較数に達しリードゲート信号の立ち下がりfを検出すると、選択部16に対して信号を供給し、選択部16は、ゲートカウンタ15からの信号を受けて、振幅基準値記憶部12に対して、更新初期値記憶部11から振幅基準値初期値を読み込む制御信号を供給する。
【0070】
動作モードmode1では、比較数を1に設定しているため、1つのリードゲート信号毎に振幅基準値記憶部12が振幅基準値初期値記憶部10の値に初期化される。リードゲート信号がアクティブになっている間は、振幅基準値記憶部12は、更新計算部13から演算結果を受け取り振幅初期値の更新を続ける。したがって、動作モードmode1では、1リードゲート信号間は、振幅基準値の更新を継続して更新結果として振幅基準値Bとし、次のリードゲート信号の再生信号を読み込む際には、振幅基準値初期値は、常に振幅基準値初期値記憶部10に記憶された振幅基準値初期値Aにリセットされる。切換部14は、常に振幅基準値初期値記憶部10からの振幅初期値初期値を選択する。ただし、表1では、振幅基準値Bは、更新後の値を示すものであって、必ずしも等しい値を示すとは限らない。
【0071】
したがって、動作モードmode1では、リードゲート信号毎に理想的な振幅基準値初期値に基づいて振幅基準値を更新するため、アシンメトリが大きくずれていない再生信号では、適切な更新が行われるが、大きくずれた再生信号の場合は、リードゲート信号の間隔内では、更新が不十分となり、ビタビ復号の性能を十分発揮できない場合がある。
【0072】
動作モードmode2は、リードゲート信号に関係なく振幅基準値初期値として、常に前回の更新された振幅基準値を使用する動作モードである。動作モードmode2では、RAA部23は、まず始めに、振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている6個の振幅基準値初期値Aを、切換部14を介して更新初期値記憶部11に記憶するとともに、振幅基準値記憶部12に記憶する。ここでは、ゲートカウンタ15においてカウントされるゲート数に関係なく更新が進むため、切換部14からは、更新計算部13において更新された振幅初期値が振幅基準値記憶部12に供給され、振幅初期値がB,C,D,E・・・というように、常に更新され続けることになる。
【0073】
したがって、動作モードmode2を実行することによって、リードゲート信号に関係なく、次々に振幅初期値が更新されるために、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、連続したセクタを読み取っていくことで振幅基準値が光磁気ディスクのアシンメトリに適合されるため、ビタビ復号の性能が向上する。
【0074】
ただし、動作モードmode2では、例えば再生信号に欠落箇所があった場合などに振幅基準値が不適切な値に設定されてしまうと、最適値に戻るまでに時間を要するという不都合がある。
【0075】
上述した動作モードmode1及びmode2は、従来の適応型振幅基準値ビタビ復号器においても採用されている手法であり、以下に示す動作モードmode3及びmode4が本発明の特徴とする点である。すなわち、本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器1では、リードゲート信号に応じて振幅基準値初期値が更新された後、再び理想的な振幅基準値初期値Aにリセットする場合と、最終的に更新された振幅基準値を次回からの振幅基準値初期値とする場合とを有し、これらの動作モードを従来の動作モードに加え、或いは従来の動作モードと併用して実行するものである。
【0076】
動作モードmode3は、動作モードmode1において、振幅基準値初期値のリセットを所定のゲートカウント数に行う動作モードである。動作モードmode3では、RAA部23は、まず始めに、振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている6個の振幅基準値初期値Aを、切換部14を介して更新初期値記憶部11に記憶するとともに、振幅基準値記憶部12に記憶する。例えば、ゲートカウンタ15における比較数が3の場合、RAA部23は、ゲートカウンタ15が3ゲート分をカウントするまで、切換部14からは、更新計算部13において更新された振幅初期値が振幅基準値記憶部12に供給され、振幅初期値がB,C,D,というように、更新される。カウント数が3に達したとき、切換部14が振幅基準値初期値記憶部10に記憶された振幅基準値初期値Aの読込を選択し、更新初期値記憶部11における振幅基準値初期値が振幅基準値初期値Aにリセットされる。
【0077】
したがって、動作モードmode3を実行することによって、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、所定リードゲート信号数をカウントし終わった後は、リードゲート信号毎に振幅基準値初期値を振幅基準値初期値記憶部10に記憶された理想的な振幅基準値初期値に戻すために、振幅基準値の更新を続けるうちに、例えば、再生信号に欠落箇所があった場合などに、振幅基準値が不適切な振幅基準値に設定されるおそれもなく、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、より正確に読み取ることが可能となる。すなわち動作モードmode3は、mode2の欠点を改良したものである。
【0078】
動作モードmode4は、振幅基準値初期値のリセットをリードゲート信号毎に実行する場合と、所定のゲートカウント数毎に実行する場合とを有する動作モードである。動作モードmode4では、RAA部23は、始めに、振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている6個の振幅基準値初期値Aを切換部14を経て更新初期値記憶部11に記憶するとともに、振幅基準値記憶部12に記憶する。例えば、ゲートカウンタ15における比較数が3の場合、RAA部23は、ゲートカウンタ15が3ゲート分をカウントするまで、切換部14からは、更新計算部13において更新された振幅初期値が振幅基準値記憶部12に供給され、振幅初期値がB,C,D,と更新される。カウント数が3に達したとき、切換部14が振幅基準値初期値記憶部10に記憶された振幅基準値初期値Aの読込を選択し、更新初期値記憶部11における振幅基準値初期値が振幅基準値初期値Aにリセットされる。続く更新は、1ゲート毎に実行され、RAA部23は、更新結果として3ゲート目に更新された最後の振幅基準値を続くリードゲート信号の振幅基準値初期値Dとし、リードゲート信号がアクティブの間更新を継続して振幅基準値Eを得る。この後は、リードゲート信号毎に、振幅基準値初期値を振幅基準値初期値Dとして振幅基準値の更新を実行する。ただし、表1では、振幅基準値Eは、更新後の値を示すものであって、必ずしも等しい値を示すとは限らない。
【0079】
したがって、動作モードmode4を実行することによって、適応型振幅基準値ビタビ復号器1は、所定ゲート数をカウントし終わった後はリードゲート毎に振幅基準値初期値を振幅基準値初期値記憶部10に記憶された最後の振幅基準値に戻すことにより、振幅基準値の更新を続けるうちに、例えば、再生信号に欠落箇所があった場合などに、振幅基準値が不適切な振幅基準値に設定されるおそれもなく、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部10に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、より正確に読み取りビタビ復号の性能を発揮できる。
【0080】
すなわち、動作モードmode4は、mode3において、所定リードゲート数をカウントし終わった後に理想的な振幅基準値ではなく、光磁気ディスクのアシンメトリに適合した最後の振幅基準値に戻されるようにしたものであって、動作モードmode3より、さらにビタビ復号の性能を向上した動作モードである。
【0081】
次に、上述の適応型振幅基準値ビタビ復号器1を適用した光磁気ディスク装置を、図7を用いて説明する。図7には、適応型振幅基準値ビタビ復号を行う再生系を有する光磁気ディスク装置30の全体構成が示されている。
【0082】
光磁気ディスク装置30は、ホストコンピュータ31と、コントローラ32と、レーザパワーコントロール部(以下、LPCと記す。)33とを有し、記録時には、コントローラ32がホストコンピュータ31からの指示にしたがって記録すべきデータを受け取り、これをエンコードしてRLL(1,7)符号の符号化データを生成する。この符号化データが記録データとしてレーザパワーコントロール部(以下、LPCと表記する)33に供給される。コントローラ32は、このような処理のほか、復号化処理、記録、再生、消去等の各モードの制御、並びにホストコンピュータ31との交信等の動作を行う。
【0083】
また、光磁気ディスク装置30は、記録再生系として、光ピックアップ34と磁気ヘッド35とを有し、光磁気ディスク36に対して記録/再生を行う。LPC33は、供給された記録データに応じて光ピックアップ34のレーザパワーを制御し、光磁気ディスク36上に磁気極性を有するピット列を形成することにより記録データを記録する。この記録の際に、磁気ヘッド35が光磁気ディスク36にバイアス磁界を付与する。実際には、記録データに基づいて生成されるプリコード出力に基づいた、後述するようなマークエッジ記録が行われる。
【0084】
記録位置、すなわちピットの形成位置の制御は、図示しないが、磁気ヘッド35及び光ピックアップ34等の位置決めを行う手段によって実行されている。このため、記録動作時に光ピックアップ34がアドレス部等を通過する際には、後述するような再生時の動作と同様な動作が行われる。
【0085】
上述したように形成される各ピットを記録データに基づいて、後述するようにして生成されるプリコード出力中の各ビットに対応させる方法について、図8を参照して説明する。
【0086】
プリコード出力中の、例えば‘1’に対してピットを形成し、‘0’に対してピットを形成しない記録方法をマーク位置記録方法と称する。一方、各ピットのエッジによって表現される、プリコード出力中の各ビットの境界における極性の反転を、例えば、‘1’に対応させる記録方法をマークエッジ記録方法と称する。再生時には、再生信号中の各ビットの境界は、後述するようにして生成されるリードクロックDCKにしたがって認識される。
【0087】
次に、光磁気ディスク装置30における再生系の構成及び動作について説明する。光ピックアップ34は、光磁気ディスク36にレーザ光を照射し、それによって生じる反射光を受光して再生信号を生成する。再生信号は、和信号R+、差信号R−、図示しないがフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号の4種類の信号からなる。和信号R+は、アンプ37によってゲイン調整等をされた後に切換スイッチ39に供給される。また、差信号R−は、アンプ38によってゲイン調整等をされた後に切換スイッチ39に供給される。さらに、フォーカスエラー信号は、フォーカスエラーを解消する手段(図示せず)に供給される。一方、トラッキングエラー信号は、図示しないサーボ系等に供給され、それらの動作において用いられる。
【0088】
切換スイッチ39には、後述するような切換信号Sが供給される。切換スイッチ39は、この切換信号Sにしたがって、以下のように、和信号R+又は差信号R−をフィルタ部40に供給する。すなわち、後述するような光磁気ディスク36のセクタフォーマットにおいて、エンボス加工によって形成される部分から再生される再生信号が切換スイッチ39に供給される期間には、和信号R+をフィルタ部40に供給する。また、光磁気的に記録される部分から再生される再生信号が切換スイッチ39に供給される期間には、差信号R−をフィルタ部40に供給する。
【0089】
切換信号Sは、例えば次のようにして生成される。すなわち、まず再生信号からセクタフォーマットに規定される所定のパターンから再生される信号を検出する。このような所定のパターンとしては、例えば後述するセクタマークSM等が用いられる。そして、かかる検出がなされた時点を基準として、後述するリードクロックを数える等の方法によって認識される所定時点において、切換信号Sが生成される。
【0090】
フィルタ部40は、ノイズカットを行うローパスフィルタ及び波形等化を行う波形等化器から構成される。後述するように、この際の波形等化処理において用いられる波形等化特性は、ビタビ復号器42が行うビタビ復号方法に適合される。フィルタ部40の出力を供給されるA/D変換器12は、後述するようにして供給されるリードクロックDCKにしたがって再生信号値z[k]をサンプリングする。
【0091】
ビタビ復号器42は、再生信号値z〔k〕に基づいてビタビ復号方法によって復号データを生成する。ここでの復号データは、上述したように記録される記録データに対する最尤復号系列である。したがって、復号エラーがない場合には、復号データは、記録データと一致する。
【0092】
また、フィルタ部40の出力は、PLL部43にも供給される。PLL部43は、供給された信号に基づいてリードクロックDCKを生成する。リードクロックDCKは、コントローラ32、A/D変換器12、ビタビ復号器42等に供給される。コントローラ32、A/D変換器12、ビタビ復号器42の動作は、リードクロックDCKにしたがうタイミングでなされる。さらに、リードクロックDCKは、図示しないタイミングジェネレータに供給される。タイミングジェネレータは、例えば、記録/再生動作の切換等の動作タイミングを制御する信号を生成する。
【0093】
本発明の具体例として示す適応型振幅基準ビタビ復号器1を適用した光ディスク装置30は、粗悪なID信号から得られる低振幅や大きく中心位置からずれたアシンメトリを有する再生信号にも対応できる。
【0094】
振幅基準値適応型でないビタビ復号器を用いて、例えば中心位置が検出されていて振幅が10%程度小さいアシンメトリを復号する場合と、振幅が正常値であって中心位置が10%程度ずれているアシンメトリを復号する場合とを考える。通常、ビタビ復号は、ランダムノイズに対して効果を発揮するものであるが、中心位置が正常値として検出されているアシンメトリの方は、正確な再生信号として検出することができるが、中心位置がずれたアシンメトリを有する系の場合、非ランダムノイズが検出されることと等価になるため、振幅基準値適応型でないビタビ復号器では、ビタビ復号の効果が十分に発揮されないことになる。すなわち、再生信号を正確に検出する上では、アシンメトリを少なくとも±2%程度の誤差範囲に収めることが好ましい。
【0095】
適応型振幅基準ビタビ復号器1を用いると、このような系に対して振幅基準値の適応化を施して、PR(1,2,1)の系を、例えばPR(1.2,2,1.2)のように更新できるため、大きくずれたアシンメトリを排除することができる。
【0096】
光磁気ディスクの中には、15%程度のアシンメトリのずれを有するID信号もあるため、振幅基準値を適応化して、ずれたアシンメトリを除去する必要がある。
【0097】
ここで一例として、15%程度のアシンメトリのずれを有するID信号を復号する場合について考える。再生信号が振幅40,2Tの振幅20であって、理想値よりも15%程度ずれているとすると、この場合のアシンメトリは、以下の式(6)によって表される。
【0098】
【数5】
【0099】
また、このアシンメトリによるオフセットは、40×0.165=6.6であるため、c111と、c110,c011と、c001,c100と、c000の振幅は、図9に示すようになる。すなわち、ここで10として検出される振幅は、3.4まで、また−10として検出される振幅は、−16.6まで更新されなければならない。
【0100】
更新ゲインa=0.015625として更新回数を求めると約460回になる。実際の更新には、6通りの基準値がほぼ順に更新されると仮定すると、460×6=2760回の更新が必要になる。これは、345バイトに相当する。1つのID信号において更新するバイト数は、47バイトであるため、345/7=7.340となり、振幅基準値の更新には少なくとも8個のID信号が必要であることがわかる。
【0101】
このように、光磁気ディスク装置30では、上述のアシンメトリ条件下では、シークのヘッドランディング目標セクタを読取セクタの8セクタ程度手前に設定すれば、ヘッドが読取開始セクタに到達する前に振幅基準値の更新が終了していることになって理想的なビタビ復号が実行される。しかし、ここでは、特異的な条件を例示しているため、実際は必ずしも読取セクタの8セクタ程度手前に設定する必要はない。ランディングする目標セクタを手前に設定しすぎるとシーク到達が遅れるため、シーク動作に支障を来さない範囲でランディングの目標セクタの設定が可能である。
【0102】
続いて、本発明の適応型振幅基準値ビタビ復号器1を適用した光磁気ディスク装置30における振幅基準値の更新動作モードの切換動作の一例を、図10を用いて説明する。
【0103】
光磁気ディスク装置30は、読取動作にないとき、すなわち待機状態では、動作モードmode1が選択されているものとする。光磁気ディスク装置30が光磁気ディスク36の読取動作を開始すると、まず、ステップS1において、光ピックアップ34によって現在検出されているアドレスを確認する。このとき、動作モードが動作モードmode1から動作モードmode4へ移行される。
【0104】
続いて、ステップS2において、光磁気ディスク装置30は、現在のアドレスから目標アドレスまでの検索情報(シークプロファイル)を算出し、ステップ3において、動作モードを動作モードmode1に切り換え、シーク動作を開始する。ステップS4におけるシーク動作中は、動作モードmode1が選択されている。
【0105】
光磁気ディスク装置30は、ステップS5において、目標アドレスの若干手前、例えば上述したように8セクタ手前に光ピックアップ34をランディングするとともに、振幅基準値の更新動作モードを動作モードmode1からmode4へと切り換える。
【0106】
ステップS6において、光磁気ディスク装置30は、目標アドレスの記録データを再生する。目標アドレスを含めた読取目標セクタが過ぎると、ステップS7において、動作モードを動作モードmode4からmode1へと切り換え、待機状態に移行する。
【0107】
したがって、本発明の具体例として示す光磁気ディスク装置30は、以上の一連の工程、すなわちシーク動作であるか読取動作であるかに応じて振幅基準値の更新方法を選択することができる。シーク動作では、常に振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値を使用し、読取動作にある場合は、一連の読取エリア内で、振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値から更新して得られた振幅基準値を振幅基準値初期値として随時更新していくことにより、極端なアシンメトリのずれを有した再生信号に対してもより正確なビタビ復号処理を実行できる。
【0108】
なお、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
【0109】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る復号装置は、再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号装置において、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段と、振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶手段と、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段と、振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算手段と、振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれかを選択して更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値記憶手段に記憶されている更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換手段と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数手段と、振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択手段と、切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は選択手段における振幅基準値の選択を計数手段からの計数結果に基づいて制御する制御手段とを備えることにより、振幅基準値初期値の設定と振幅基準値の更新とがリードゲート信号に基づいて実行されるため、ID信号のように時間的に短い再生信号のアシンメトリが著しく変動しても、これを正しく読み取ることができる。
【0110】
また、制御手段において、所定のリードゲート信号毎に、実際の振幅基準値を振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直ことによって、振幅基準値の更新を続けるうちに、例えば、再生信号に欠落箇所があった場合などに、振幅基準値が不適切な振幅基準値に設定されるおそれもなく、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、より正確に読み取ることが可能となる。
【0111】
また、制御手段では、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用することによって、所定のリードゲート数をカウントした後に、記録媒体のアシンメトリに適合するように更新された最後の振幅基準値に戻されるため、本発明に係る復号装置によれば、時間的に短い再生信号を復号する性能がさらに向上される。
【0112】
また、本発明に係る復号方法は、再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号方法において、実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算工程と、系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算工程において更新された振幅基準値のいずれかを選択して、選択された振幅基準値を更新初期値として記憶する更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換工程と、読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数工程と、振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択工程と、切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は選択工程における振幅基準値の選択を計数工程からの計数結果に基づいて制御する制御工程とを備えることにより、制御工程において、振幅基準値初期値の設定と振幅基準値の更新とがリードゲート信号に基づいて実行されるため、ID信号のように時間的に短い再生信号のアシンメトリが著しく変動しても、これを正しく読み取ることができる。
【0113】
ここで制御工程において、所定のリードゲート信号毎に、実際の振幅基準値を振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直すことによって、振幅基準値の更新を続けるうちに、例えば、再生信号に欠落箇所があった場合などに、振幅基準値が不適切な振幅基準値に設定されるおそれもなく、アシンメトリが振幅基準値初期値記憶部に記憶されている理想的振幅基準値よりも大きくずれた再生信号であっても、より正確に読み取ることが可能となる。
【0114】
また、本発明に係る復号方法における制御工程では、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を実際の振幅基準値として使用することによって、所定リードゲート数をカウントした後に理想的な振幅基準値ではなく、光磁気ディスク等の記録媒体のアシンメトリに適合した最後の振幅基準値に戻されるため、本発明に係る復号方法によれば、時間的に短い再生信号を復号する性能がさらに向上される。
【0115】
また、本発明に係る復号装置を情報再生装置の振幅基準値適応化部に適用し、この振幅基準値適応化部によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理部と、計算処理部からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御部とを備える情報再生装置とすれば、この情報再生装置は、動作制御部における構成要素の動作制御に応じて、切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は選択手段における振幅基準値の選択が制御できる。
【0116】
また、このような情報再生装置は、シーク動作であるか読取動作であるかに応じて振幅基準値の更新方法を選択することができるため、シーク動作では、常に振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値を使用し、読取動作では、一連の読取エリア内で、振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値から更新して得られた振幅基準値を振幅基準値初期値として随時更新していくことにより、極端なアシンメトリのずれを有した再生信号に対してもより正確な復号処理を効率的に実行できる。
【0117】
また、本発明に係る復号方法を情報再生方法の振幅基準値適応化工程に適用し、振幅基準値適応化工程によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理工程と、計算処理工程からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御工程とを備える情報再生方法とすれば、この情報再生方法によれば、切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は選択工程における振幅基準値の選択を動作制御工程における構成要素の動作制御に応じて制御できる。
【0118】
また、このような情報再生方法は、シーク動作であるか読取動作であるかに応じて振幅基準値の更新方法を選択することができるため、シーク動作では、常に振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値を使用し、読取動作では、一連の読取エリア内で、振幅基準値初期値として予め記憶した理想的な振幅基準値から更新して得られた振幅基準値を振幅基準値初期値として随時更新していくことにより、極端なアシンメトリのずれを有した再生信号に対してもより正確な復号処理を効率的に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるRAA部を説明する構成図である。
【図2】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器を説明する構成図である。
【図3】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるリードデータの状態遷移を説明する模式図である。
【図4】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるSMU内部の内部を説明する構成図である。
【図5】(a)は、本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるSMU内部のサブブロックSM00を説明する構成図であり、(b)は、サブブロックSM10を説明する構成図である。
【図6】本発明の具体例として示す適応型振幅基準値ビタビ復号器におけるRAA部のゲートカウンタにてカウントされるリードゲート信号のアクティブ、ローに対して、各動作モードにおける振幅基準値の更新の仕方を説明する図である。
【図7】本発明に係る適応型振幅基準値ビタビ復号器を適用した光磁気ディスク装置を説明する構成図である。
【図8】本発明に係る適応型振幅基準値ビタビ復号器を適用した光磁気ディスク装置において、記録データに基づいて生成するプリコード出力中の各ビットに各ピットを対応させる方法を説明する図である。
【図9】本発明に係る適応型振幅基準値ビタビ復号器を適用した光磁気ディスク装置において、振幅40,2Tの振幅20であって、理想値よりも15%程度ずれたアシンメトリを有するID信号を復号する場合について説明する図である。
【図10】本発明の具体例として示す光磁気ディスク装置において、適応型振幅基準値ビタビ復号器による振幅基準値の更新を説明するフローチャートである。
【図11】本発明の具体例として示す光磁気ディスク装置に適用される光磁気ディスクのセクタフォーマットを説明する図である。
【符号の説明】
1 適応型振幅基準値ビタビ復号器、10 振幅基準値初期値記憶部、11 更新初期値記憶部、12 振幅基準値記憶部、13 更新演算部、14 切換部、15 ゲートカウンタ、16 選択部、20 BMS、21 ACS、22 SMU、23 RAA部、24 Merge回路、25 シフトレジスタ、30光磁気ディスク装置、31 ホストコンピュータ、32 コントローラ、33レーザパワーコンロトール部、34 光ピックアップ、35 磁気ヘッド、36 光磁気ディスク、37 アンプ、38 アンプ、39 切換スイッチ、40フィルタ部、41 A/D変換部、42 ビタビ復号器
Claims (14)
- 再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号装置において、
系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段と、
振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶手段と、
実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段と、
振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算手段と、
振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれかを選択して更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値記憶手段に記憶されている更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換手段と、
読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数手段と、
振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択手段と、
上記切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は上記選択手段における振幅基準値の選択を上記計数手段からの計数結果に基づいて制御する制御手段と
を備えることを特徴とする復号装置。 - 上記制御手段は、所定のリードゲート信号毎に、上記実際の振幅基準値を上記振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直すことを特徴とする請求項1記載の復号装置。
- 上記制御手段は、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を上記実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を上記実際の振幅基準値として使用することを特徴とする請求項1記載の復号装置。
- 再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する復号方法において、
実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算工程と、
系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び上記更新演算工程において更新された振幅基準値のいずれかを選択して、選択された振幅基準値を更新初期値として記憶する更新初期値記憶手段に供給し、上記更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換工程と、
読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数工程と、
振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、上記更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択工程と、
上記切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は上記選択工程における振幅基準値の選択を上記計数工程からの計数結果に基づいて制御する制御工程と
を備えることを特徴とする復号方法。 - 上記制御工程では、所定のリードゲート信号毎に、上記実際の振幅基準値を上記振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直すことを特徴とする請求項4記載の復号方法。
- 上記制御工程では、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を上記実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を上記実際の振幅基準値として使用することを特徴とする請求項4記載の復号方法。
- 記録媒体からの再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する情報再生装置において、
系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段と、
振幅基準値を初期化する更新初期値を記憶する更新初期値記憶手段と、
実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段と、
振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算手段と、
振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれかを選択して更新初期値記憶手段に供給し、更新初期値記憶手段に記憶されている更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換手段と、
読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数手段と、
振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択手段と、
上記切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は上記選択手段における振幅基準値の選択を上記計数手段からの計数結果に基づいて制御する制御手段と
を有する振幅基準値適応化部と、
上記振幅基準値適応化部によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理部と、
上記計算処理部からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御部とを備えることを特徴とする情報再生装置。 - 上記振幅基準値適応化部における制御手段は、所定のリードゲート信号毎に、上記実際の振幅基準値を上記振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直すことを特徴とする請求項7記載の情報再生装置。
- 上記振幅基準値適応化部における制御手段は、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を上記実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を上記実際の振幅基準値として使用することを特徴とする請求項7記載の情報再生装置。
- 上記振幅基準値適応化部における制御手段は、上記動作制御部における構成要素の動作制御に応じて、上記切換手段における更新初期値の切り換え及び/又は上記選択手段における振幅基準値の選択を制御することを特徴とする請求項7記載の情報再生装置。
- 記録媒体からの再生信号によって生じる符号間干渉によって決定される振幅基準値を更新して最尤復号を実行する情報再生方法において、
実際の振幅基準値を記憶する振幅基準値記憶手段に記憶された振幅基準値を更新する更新演算工程と、
系固有の理想的振幅基準値を記憶する振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値及び上記更新演算工程において更新された振幅基準値のいずれかを選択して、選択された振幅基準値を更新初期値として記憶する更新初期値記憶手段に供給し、上記更新初期値を振幅基準値初期値又は更新された振幅基準値のいずれかに設定する切換工程と、
読み取られた一連の再生信号に基づいて生成されたリードゲート信号を計数する計数工程と、
振幅基準値記憶手段における振幅基準値として、上記更新初期値記憶手段の更新初期値及び更新演算手段により更新された振幅基準値のいずれを採用するかを選択する選択工程と、
上記切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は上記選択工程における振幅基準値の選択を上記計数工程からの計数結果に基づいて制御する制御工程と
を有する振幅基準値適応化工程と、
上記振幅基準値適応化工程によって得られる振幅基準値に基づいて所定の計算処理を行う計算処理工程と、
上記計算処理工程からの出力を参照して装置内の構成要素の動作制御を行う動作制御工程とを備えることを特徴とする情報再生方法。 - 上記振幅基準値適応化工程における制御工程では、所定のリードゲート信号毎に、上記実際の振幅基準値を上記振幅基準値初期値記憶手段に記憶された理想的振幅基準値に設定し直すことを特徴とする請求項11記載の情報再生方法。
- 上記振幅基準値適応化工程における制御工程では、所定のリードゲート信号期間は前回に更新された更新初期値を上記実際の振幅基準値として使用し、所定のリードゲート信号期間が過ぎると、所定のリードゲート信号期間において最終的に更新された更新初期値を上記実際の振幅基準値として使用することを特徴とする請求項11記載の情報再生方法。
- 上記振幅基準値適応化工程における制御工程は、上記動作制御工程における構成要素の動作制御に応じて、上記切換工程における更新初期値の切り換え及び/又は上記選択工程における振幅基準値の選択を制御することを特徴とする請求項11記載の情報再生方法。
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