JP3931450B2 - ハイブリッド車両およびその制御方法 - Google Patents

ハイブリッド車両およびその制御方法 Download PDF

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    • Y02T10/60Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
    • Y02T10/62Hybrid vehicles

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンと電動機とを有し、少なくともエンジンから出力された動力を動力源として走行可能なハイブリッド車両およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、エンジンと電動機とを備えるハイブリッド車両が提案されている。かかるハイブリッド車両としては種々の構成が提案されており、その一つにパラレル・ハイブリッド車両がある。パラレル・ハイブリッド車両では、エンジンの動力および電動機の動力の双方を車軸に伝達可能である。パラレル・ハイブリッド車両の構成例を図1に示す。
【0003】
図1のハイブリッド車両では、エンジン150と、電動機MG1,MG2とが備えられている。三者は、プラネタリギヤ120を介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ120は、遊星歯車とも呼ばれ以下に示すそれぞれのギヤに結合された3つの回転軸を有している。プラネタリギヤ120を構成するギヤは、中心で回転するサンギヤ121、サンギヤの周辺を自転しながら公転するプラネタリピニオンギヤ123、さらにその外周で回転するリングギヤ122である。プラネタリピニオンギヤ123はプラネタリキャリア124に軸支されている。図1のハイブリッド車両では、エンジン150はプラネタリキャリア124に結合されている。電動機MG1はサンギヤ121に結合されている。電動機MG2はリングギヤ122に結合されている。リングギヤ122はチェーンベルト129により車軸112に結合されている。
【0004】
かかる構成を有するハイブリッド車両では、エンジンから出力された動力がプラネタリギヤ120で2つに分配される。その一部は機械的な動力として車軸112に伝達される。残余の部分は電動機MG1で電力として回生される。動力の分配比率はプラネタリギヤ120のギヤ比に基づいて定まっており、車速に応じた一定の動力が電動機MG1で電力として回生される。車軸112に伝達されたトルクが要求値に満たない場合には、電動機MG2から不足分のトルクを出力する。電動機MG2の駆動には、電動機MG1で回生された電力が用いられる。かかる作用により、ハイブリッド車両はエンジンから出力された動力を、車軸112に要求されたトルクおよび回転数からなる動力に変換して走行することができる。また、ハイブリッド車両では、電動機MG2の動力を利用してエンジンを停止したまま走行することもできる。
【0005】
さらに、車両が停止中および走行中のいずれの状態であっても、電動機MG1を駆動してエンジンをモータリングし、始動することもできる。上述の構成を有するハイブリッド車両では、電動機MG1からエンジンをモータリングするためのトルクを出力すると、その一部がプラネタリギヤを通じて車軸112に伝達される。電動機MG2は電動機MG1から車軸112に伝達されるトルクを補償して、要求トルクを出力するように制御される。
【0006】
かかる制御における電動機MG2の目標トルクは、車軸112から出力すべき要求トルクと電動機MG1から車軸112に伝達される反力トルクとの差分に基づいて設定される。ここで、エンジンを始動する際には、エンジンおよび電動機MG1の回転数が大きく変化する。一般に回転数が変化する際には、その変化率と慣性能率の積に相当するトルクが必要であることが知られている。従って、エンジンを始動する際には、電動機MG1から出力されるトルクの一部は、エンジンおよび電動機MG1からなる系の回転数を変化させるのに費やされ、一種のトルク損失を生じる。電動機MG2の目標トルクを設定するために電動機MG1から車軸112に伝達されるトルクを算出する際には、プラネタリギヤを介した静的なトルクの釣り合いのみならず、上述の反力トルクをも考慮する必要がある。
【0007】
本出願人は、先に特開平10−98805において、上記トルク損失をも考慮して電動機MG2の目標トルクを設定する技術を開示した。かかる技術は、電動機MG1の回転数の変化と電動機MG1の慣性能率との積によって上記トルク損失を算出した上で、電動機MG2の目標トルクを設定するものである。また、電動機MG1とエンジンの回転数は、プラネタリギヤのギヤ比に応じた一定の関係があることに基づき、エンジンの回転数の変化とエンジンの慣性能率との積によって上記トルクを損失算出する技術も開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の技術は、電動機MG1およびエンジンの回転数の検出精度が低く、十分な精度でトルク損失および反力トルクを求めることができなかった。このため、電動機MG2の目標トルクを精度良く設定することができず、エンジンの始動時および停止時に車軸に出力されるトルクの急変動、いわゆるトルクショックが生じていた。
【0009】
電動機MG1の回転数の変化に基づいてトルク損失を算出する場合を考える。電動機MG1の回転数はエンジンに比較して幅広い範囲で変化する。電動機MG1の回転数の検出には、幅広い範囲で回転数を検出可能なセンサが必要となる。このように検出範囲が広いセンサは、回転数を検出可能な分解能が一般的に低い。従って、エンジン始動時のように比較的低回転時における電動機MG1の回転数を精度良く検出することができなかった。
【0010】
また、電動機MG1は正負双方向に回転し得る。従って、回転数の検出時には正負いずれの方向に回転しているかを判定する必要がある。かかる判定処理を要する分、電動機MG1の回転数検出には長時間を要し、電動機MG2の目標トルクを設定する制御処理に十分追随できない場合もあった。さらに、電動機MG1の回転数と回転数検出用のセンサのサンプリング間隔との関係で、回転数の正負が非常に判定しにくくなり、正負が誤って判定される場合もあった。
【0011】
一方、エンジンの回転数は、変化の幅が比較的狭く、正方向にしか回転しないため、上述の問題点は少ない。ところが、エンジンは低回転数では回転が安定しない。従って、エンジン始動の初期段階では、精度良くトルク損失を求めることができなかった。
【0012】
以上の説明は、電動機MG1によりエンジンを始動する場合を例示した。ハイブリッド車両では、エンジンの運転が不要と判断された場合には、車両の走行中であってもエンジンを停止する場合がある。エンジンの運転を伴う走行状態から、エンジンを用いない電動機のみによる走行状態に切り替える場合などである。もちろん、車両の停車中にエンジンの運転を停止する場合もある。これらの場合には、電動機MG1からエンジンを停止するための制動トルクを出力する。かかる場合にも電動機MG2の目標トルクを設定するためには、電動機MG1から車軸に出力される反力トルクを算出する必要があり、エンジンを始動する場合と同様の問題が生じていた。
【0013】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、いわゆるパラレルハイブリッド車両において、エンジンの始動および停止時に、車軸に出力されるトルクを精度良く制御する技術を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では以下の構成を採った。
本発明のハイブリッド車両は、
3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両であって、
該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する入力手段と、
前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する第1の目標トルク設定手段と、
前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗とに基づいて推定する推定手段と、
該要求トルクと前記反力トルクとに基づいて、前記第2の電動機の目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する制御手段とを備えることを要旨とする。
【0015】
かかるハイブリッド車両では、第1の電動機からエンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを出力する際に、該モータリングトルクとエンジンの回転抵抗とに基づいて反力トルクを推定する。エンジンの始動または停止をする際には、エンジンはいわゆる自立運転をしておらず、第1の電動機からのトルク等によってモータリングされている状態である。回転抵抗とは、エンジンを外力によって回転させるために必要となるトルクをいう。エンジンから出力される負のトルクと言い換えることもできる。かかる状態でのエンジンの回転抵抗は主として摩擦によって決まり、エンジンの回転状態に応じた既知の値となる。従って、上記ハイブリッド車両によれば、モータリングで損失するトルクを考慮した上で、反力トルクを精度良く求めることができ、第2の電動機の目標トルクを精度良く設定することができる。この結果、上記ハイブリッド車両では、エンジンの始動および停止時にトルクショックを生じることなく、滑らかな運転を実現することができる。
【0016】
ここで、エンジンの回転抵抗に基づいてトルクの損失を考慮した上で、反力トルクを算出することができる理由を説明する。先に説明した通り、トルクの損失とは、第1の電動機およびエンジンの回転数の変化に費やされるトルクをいう。動力分配装置は、3つの回転軸の回転状態に一義的な関係があるから、第1の電動機の回転数の変化に費やされるトルクまたはエンジンの回転数の変化に費やされるトルクのいずれか一方が求まればトルクの損失を求めることができる。ここで、エンジンの回転数の変化に費やされるトルクに着目する。ここで費やされるトルクは、エンジンの回転数の変化率とエンジンの慣性能率との積により求められる。エンジンが自立運転をしていない状態では、このトルクは外部からエンジンに加えられるトルクと、エンジンの摩擦などに起因する回転抵抗との差分に等しい。外部からエンジンに加えられるトルクは第1の電動機から出力されるトルクに基づいて算出することができる。また、エンジンの回転抵抗は既知の値である。従って、エンジンが自立運転をしていない状態では、これらの値に基づいてエンジンの回転数の変化に費やされるトルクを求めることができるのである。
【0017】
ここで、前記推定手段は、前記エンジンの回転状態が所定の範囲にある場合には、前記回転抵抗を一定値として前記推定を行う手段であるものとすることができる。
エンジンの回転抵抗は、主としてエンジン内部の潤滑油の粘性抵抗およびその他の機械的な摩擦抵抗である。これらは、エンジンの回転状態が所定の範囲にある場合にはほぼ一定の値となることが知られている。なお、所定の範囲は、エンジンの特性に応じて異なった範囲となる。
【0018】
また、
前記エンジンの潤滑油の温度を検出する温度検出手段と、
該温度と前記回転抵抗との関係を記憶する記憶手段とを有し、
前記推定手段は前記記憶手段を参照することにより前記温度に応じて求められた回転抵抗を用いて前記推定を行う手段であるものとしてもよい。
【0019】
回転抵抗の主要因である潤滑油の粘性抵抗はその温度に応じて変化する。上記構成のハイブリッド車両によれば、回転抵抗として、潤滑油の温度に応じた値を用いることができるため、トルクの損失をさらに精度良く求めることができる。
【0020】
なお、潤滑油の温度は種々の方法で検出することができる。エンジンの潤滑油が蓄えられるタンク内部などに温度センサを設けて直接潤滑油の温度を検出するものとしてもよいし、エンジンの冷却水温を検出することによって間接的に潤滑油の温度を検出するものとしてもよい。もちろん、後者の場合には、上記記憶手段に冷却水温と回転抵抗の関係を記憶するものとしてもよい。エンジンが運転を開始してからの経過時間や運転を停止してからの経過時間などに応じて潤滑油の温度を推定するものとしてもよい。この意味で上記ハイブリッド車両には、潤滑油の温度に限らずエンジンの回転抵抗に関与する種々のパラメータを用いることができる。例えば、本発明の制御を実行するまでのエンジンの運転経緯から、回転抵抗を求めるものとしてもよい。
【0021】
本発明のハイブリッド車両において、
さらに、前記エンジンの回転数を検出する検出手段を備え、
前記推定手段は、該回転数が所定値以下である場合にのみ、前記モータリングトルクと回転抵抗とに基づく推定を行う手段であるものとすることもできる。
【0022】
エンジンの回転抵抗は、回転数が低い領域では、ほぼ一定の値となる。上記ハイブリッド車両によれば、エンジンの回転数が所定値以下である場合に、前記モータリングトルクと回転抵抗とに基づく推定を実行することにより、トルクの損失および反力トルクを精度良く検出することができる。
【0023】
エンジンの回転数が所定の値よりも大きい領域では、種々の方法によりトルクの損失および反力トルクを算出することができる。エンジンがほぼ定常的に回転するような領域では、トルクの損失は少ないため無視するものとしてもよい。トルクの損失を考慮して反力トルクを算出する方法としては、例えば、従来技術として説明した通り、第1の電動機の回転数の変化率を用いる手段を適用することができる。
また、前記モータリングトルクとエンジンの回転数の変化率とに基づいて前記反力トルクを推定する手段であるものとすることもできる。
この場合には、トルクの損失はエンジンの回転数の変化とエンジンの慣性能率との積に比例した値となる。
【0024】
いずれの手段も比較的回転数が高い領域では精度良くトルクの損失を求めることが可能である。後者の手段では、エンジンの回転数の検出精度が高く、また回転数の正負を判定する必要がないため、トルクの損失および反力トルクをより適切に求めることが可能であるという利点がある。
【0025】
本発明のハイブリッド車両において、
該車両が停車中であるか否かを判定する判定手段を備え、
前記推定手段は、該車両が停車中である場合にのみ、前記モータリングトルクと回転抵抗とに基づく推定を行う手段であるものとすることもできる。
【0026】
停車中は車軸に出力されるトルクを一定に維持する必要がある。平坦な場所で停車中であればトルクは値0で一定に維持されるし、上り坂などでは勾配に応じた正の値で一定に維持される。いずれの場合であっても車軸に出力されるトルクが変動すれば車両は振動する。一般に、停車中、乗員は車両の振動に対して非常に敏感である。本発明のハイブリッド車両はエンジンの始動および停止時に車両に生じるトルクショックを抑制することができるため、特に停車中に有効性が高い。
【0027】
なお、停車中であるか否かの判断は、例えばシフトポジションが停車中にのみ使われるパーキングレンジなどの位置にあるか否かで判断することも可能である。
また、前記判定手段は、車速に基づいて車両が停止しているか否かを特定するものとすることもできる。
【0028】
シフトポジションが走行中に使用される位置にある場合でも、例えばブレーキを踏んでいる場合など、ハイブリッド車両が停車中である可能性はある。上記特定手段によれば、かかる場合でも車両が停止していることを特定することができるため、より確実に停車中の乗り心地を向上することができる。また、上述の特定手段によれば、車両が完全に停止しておらず、非常に微速で走行している場合も含めて停車中として扱うことができる。非常に微速で走行している場合は、乗員が車両の振動に敏感である。上記判定手段によれば、かかる場合も含めて停車中として扱うことにより、非常に微速で走行している場合の振動をも抑制することができる。
【0029】
通常、ハイブリッド車両は、複数の車軸を有している。本発明のハイブリッド車両は、動力分配装置および電動機が同じ側の車軸に結合された構成を採用することが可能である。
また、前記動力分配装置が結合された車軸と、前記電動機が結合された車軸とは異なる車軸であり、それぞれの車軸に結合された車輪から動力を出力することにより4輪駆動可能な構成を採ることも可能である。
【0030】
当然、動力分配装置および電動機を一方の車軸に結合された構成とした上で、更に他の車軸に電動機を結合して4輪駆動可能な構成を採るものとしても構わない。また、クラッチおよびスプラインなどの機構を用いて第2の電動機の結合先を種々切り替え可能なハイブリッド車両に適用するものとしてもよい。第2の電動機の結合先の切り替えは、例えば、動力分配装置が結合された車軸と、エンジンの回転軸との間で行うものが挙げられる。
【0031】
本発明は、以下に示すハイブリッド車両の制御方法としても構成することができる。
即ち、3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両の制御方法であって、
(a) 該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する工程と、
(b) 該第1の電動機から前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する工程と、
(c) 前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗に基づいて推定する工程と、
(d) 該要求トルク、前記反力トルクを考慮して、前記第2の電動機の目標トルクを設定する工程と、
(e) 前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する工程とを備えるハイブリッド車両の制御方法である。
【0032】
かかる制御方法によって、ハイブリッド車両の運転を制御すれば、先にハイブリッド車両の発明として説明した作用と同様の作用によって、車両の操作性および乗り心地に優れた制御を実現することができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
(1)実施例の構成:
はじめに、本発明の実施例としてのハイブリッド車両の構成を説明する。図1はこのハイブリッド車両の動力を出力する動力系統の構成を示す説明図である。動力系統に備えられたエンジン150は通常のガソリンエンジンであり、クランクシャフト156を回転させる。エンジン150の運転はEFIECU170により制御されている。EFIECU170は内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従い、エンジン150の燃料噴射量その他の制御を実行する。
【0034】
動力系統には、他にモータMG1,MG2が備えられている。モータMG1,MG2は同期電動機であり、外周面に複数個の永久磁石を有するロータ132,142と、回転磁界を形成する三相コイルが巻回されたステータ133,143とを備える。ステータ133,143はケース119に固定されている。モータMG1,MG2のステータ133,143に巻回された三相コイルは、それぞれ駆動回路191,192を介してバッテリ194に接続されている。駆動回路191,192は、各相ごとにスイッチング素子としてのトランジスタを2つ1組で備えたトランジスタインバータである。駆動回路191,192は制御ユニット190に接続されている。制御ユニット190からの制御信号によって駆動回路191,192のトランジスタがスイッチングされるとバッテリ194とモータMG1,MG2との間に電流が流れる。モータMG1,MG2はバッテリ194からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この走行状態を力行と呼ぶ)、ロータ132,142が外力により回転している場合には三相コイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ194を充電することもできる(以下、この走行状態を回生と呼ぶ)。
【0035】
エンジン150とモータMG1,MG2はそれぞれプラネタリギヤ120を介して機械的に結合されている。プラネタリギヤ120は、サンギヤ121,リングギヤ122,プラネタリピニオンギヤ123を有するプラネタリキャリア124から構成されている。本実施例のハイブリッド車両では、エンジン150のクランクシャフト156はダンパ130を介してプラネタリキャリア軸127に結合されている。ダンパ130はクランクシャフト156に生じる捻り振動を吸収するために設けられている。モータMG1のロータ132は、サンギヤ軸125に結合されている。モータMG2のロータ142は、リングギヤ軸126に結合されている。リングギヤ122の回転は、チェーンベルト129を介して車軸112および車輪116R,116Lに伝達される。
【0036】
実施例のハイブリッド車両の運転全体は制御ユニット190により制御されている。制御ユニット190は、EFIECU170と同様、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップ・マイクロコンピュータである。制御ユニット190はEFIECU170と接続されており、両者は種々の情報を伝達し合うことが可能である。制御ユニット190は、エンジン150の制御に必要となるトルク指令値や回転数の指令値などの情報をEFIECU170に送信することにより、エンジン150の運転を間接的に制御することができる。また、駆動回路191,192のスイッチングを制御することにより、モータMG1,MG2の運転を直接制御することができる。制御ユニット190はこうして、ハイブリッド車両全体の運転を制御している。かかる制御を実現するために制御ユニット190には、種々のセンサ、例えば、運転者によるアクセルの踏み込み量を検出するためのアクセルペダルポジションセンサ165、シフトレバーの位置を検出するシフトポジションセンサ167、エンジン150の冷却水の温度を検出するエンジン水温センサ158および車軸112の回転数を知るためのセンサ144などが設けられている。リングギヤ軸126と車軸112は機械的に結合されているため、本実施例では、車軸112の回転数を知るためのセンサ144をリングギヤ軸126に設け、モータMG2の回転を制御するためのセンサと共通にしている。
【0037】
(2)基本的動作:
かかるハイブリッド車両の基本的な動作を説明するために、まずプラネタリギヤ120の動作について説明する。図2(a)はプラネタリギヤ120を模式的に示した図である。既に説明した通り、プラネタリギヤ120は、中心で回転するサンギヤ121、その周囲を公転しながら自転する3つのプラネタリピニオンギヤ123,さらにその外周で回転するリングギヤ122から構成されている。プラネタリピニオンギヤ123は、プラネタリキャリア124に軸支されている。プラネタリギヤ120は、上述した3つの回転軸のうち、2つの回転軸の回転数およびトルク(以下、両者をまとめて回転状態とよぶ)が決定されると残余の回転軸の回転状態が決まるという性質を有している。各回転軸の回転数については次式(1)が成立することが知られている。
【0038】
Nr=(1+ρ)Nc−ρNs;
Nc=(Nr+ρNs)/(1+ρ);
Ns=(Nc−Nr)/ρ+Nc; …(1)
ここで、Nsはサンギヤ軸125の回転数、Nrはリングギヤ軸126の回転数、Ncはプラネタリキャリア軸127の回転数である。また、ρは次式で表される通り、サンギヤ121とリングギヤ122のギヤ比である。
ρ=サンギヤ121の歯数/リングギヤ122の歯数
【0039】
一方、トルクの関係は、次の運動方程式から導かれる。まず、変数を図2(b)に示す通り定義する。つまり、慣性能率をI、角加速度をβ、トルクをT、半径をRで表すものとし、それぞれサンギヤ121については「s」、プラネタリキャリア124については「c」、リングギヤ122については「r」を付すものとする。さらに、リングギヤ122とプラネタリピニオンギヤ123との間に働く反力をFrとし、プラネタリピニオンギヤ123とサンギヤ121との間に働く反力をFsとする。なお、それぞれの慣性能率は、ギヤの慣性能率のみならず、そこに結合されたモータMG1,MG2およびエンジン150の慣性能率をも含めた値を意味する。
【0040】
このとき、それぞれのギヤの運動方程式は次式(2)で表される。
Is・βs=Ts−3Rs・Fs;
Ic・βc=Tc+3Rs・Fs−3Rr・Fr;
Ir・βr=Tr+3Rr・Fr; …(2)
【0041】
ここで、プラネタリピニオンギヤ123は慣性能率が略0であると考えられる。このとき、プラネタリピニオンギヤ123に働くモーメントは値0になるはずであるから、Fs=−Frである。また、先に用いたギヤ比ρと半径との関係は、ρ=Rs/Rrである。さらに、Ta=3(Rs・Fs−Rr・Fr)とする。これは、それぞれのギヤ間に働く反力Fs,Frによってプラネタリキャリア124からサンギヤ121およびリングギヤ122に作用するトルクを意味する。これらの諸量を上式(2)に代入すると、次式(3)〜(5)を得ることができる。
【0042】
Is・βs=Ts−ρ・Ta/(1+ρ) …(3)
Ic・βc=Tc−Ta …(4)
Ir・βr=Tr+Ta/(1+ρ) …(5)
さらに、先に示した式(1)から角速度βs、βc、βrの間には次式(6)の関係が成立する。
βc=(βr+ρβs)/(1+ρ) …(6)
【0043】
式(3)〜(6)がプラネタリギヤ120の回転状態を与える方程式である。式(6)に代えて式(1)を用いても良い。これらの4つの方程式において、変数はβs、βc、βr、Ts、Tc、TrおよびTaの7つである。従って、これら7つの変数のうち、独立な3つの変数が特定されれば、プラネタリギヤ120の回転状態が一義的に定義される。これらの変数の値に応じて、プラネタリギヤ120はいずれか一つのギヤを停止したまま他のギヤを回転させるなど、種々の状態で回転可能である。本実施例のハイブリッド車両では、上式を用いてモータMG1,MG2およびエンジン150の回転数およびトルクの目標値を設定し、それぞれの運転を制御している。その制御方法については後で詳述する。
【0044】
本実施例のハイブリッド車両は、上式で示されるプラネタリギヤ120の作用に基づいて、種々の状態で走行することができる。例えば、ハイブリッド車両が走行を始めた比較的低速な状態では、エンジン150を停止したまま、モータMG2を力行することにより車軸112に動力を伝達して走行する。同様にエンジン150をアイドル運転したまま走行することもある。
【0045】
ハイブリッド車両が所定の速度に達すると、制御ユニット190はモータMG1を力行して出力されるトルクによってエンジン150をモータリングして始動する。このとき、モータMG1の反力トルクがプラネタリギヤ120を介してリングギヤ122にも出力される。制御ユニット190はこの反力トルクを相殺しつつ要求動力を車軸112から出力するようにモータMG2の運転を制御する。
【0046】
エンジン150が運転している状態では、その動力を種々の回転数およびトルクの回転状態に変換して車軸112から出力し、走行する。エンジン150を運転してプラネタリキャリア軸127を回転させると、上式(3)〜(6)を満足する条件下で、サンギヤ軸125およびリングギヤ軸126が回転する。リングギヤ軸126の回転による動力はそのまま車輪116R,116Lに伝達される。サンギヤ軸125の回転による動力はモータMG1で電力として回生することができる。一方、モータMG2を力行すれば、リングギヤ軸126を介して車輪116R,116Lに動力を出力することができる。エンジン150からリングギヤ軸126に伝達されるトルクが不足する場合にはモータMG2を力行することによりトルクをアシストする。モータMG2を力行するための電力にはモータMG1で回生した電力およびバッテリ149に蓄えられた電力を用いる。制御ユニット190は車軸112から出力すべき要求動力に応じてモータMG1,MG2の運転を制御する。
【0047】
プラネタリギヤ120は、リングギヤ122が停止した状態で、プラネタリキャリア124およびサンギヤ121を回転させることが可能である。従って、車両が停止した状態でもエンジン150は運転可能である。例えば、バッテリ194の残容量が少なくなれば、エンジン150を運転し、モータMG1を回生運転することにより、バッテリ194を充電することができる。車両が停止しているときにモータMG1を力行すれば、そのトルクによってエンジン150をモータリングし、始動することができる。このとき、制御ユニット190はモータMG2を制御して、モータMG1の反力トルクを相殺する。
【0048】
(3)トルク制御処理:
次に、本実施例におけるトルク制御処理について説明する。トルク制御処理とは、エンジン150およびモータMG1、MG2を制御して、要求されたトルクおよび回転数からなる動力を車軸112から出力する処理をいう。本実施例におけるトルク制御処理のフローチャートを図3に示す。このルーチンは制御ユニット190内のCPU(以下、単にCPUという)によって、タイマ割り込みにより所定時間毎に繰り返し実行される。
【0049】
トルク制御ルーチンが開始されると、CPUは最初に走行状態判定処理を実行する(ステップS10)。先に説明した通り、本実施例のハイブリッド車両は、エンジン、モータMG1,MG2を種々の状態で運転して、走行することができる。三者の運転状態は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて使い分けられる。かかる使い分けをするために、CPUはトルク制御ルーチンが開始されると、車両の走行状態を判定するのである。
【0050】
図4に走行状態判定処理ルーチンのフローチャートを示す。この処理では、CPUは、まずシフトポジションを入力する(ステップS20)。シフトポジションは図1に示したシフトポジションセンサ167で検出することができる。本実施例では、シフトポジションとして、駐車時に使用するPレンジ、前進走行時に使用するDレンジ、Bレンジ、後進時に使用するRレンジ、およびニュートラルが用意されている。同時にCPUは車速およびアクセルペダルポジションやバッテリ残容量Schを入力する(ステップS20)。
【0051】
次に、CPUは以下の手順で車両の走行状態を判断する。まず、シフトポジションがPレンジであるか否かを判定する(ステップS30)。また、アクセルが全閉状態であり、かつ車速が所定の速度V1よりも小さいか否かを判定する(ステップS35)。これらの条件のうち一方を満たしていれば、停車中であると判定する(ステップS40)。判定結果は走行状態を示す所定のフラグに停車中を意味するコードを入力することにより記憶される。
【0052】
所定の速度V1は車両が停車していると見て差し支えない程度の微速に予め設定されている。シフトポジションのみならず、車速をも用いて停車中であるか否かを判定することにより、Dレンジ、Bレンジなどのシフトポジションでブレーキを踏んで停車している場合も停車であると判定される。
【0053】
ステップS30およびS35の双方の条件を満たさない場合には、次に、バッテリ194の残容量Schが所定の値CH1よりも小さいか否かを判定する(ステップS45)。残容量Schが所定の値CH1よりも小さい場合には、エンジン150が運転中であるか否かを判定し(ステップS50)、エンジンが運転していない場合には、バッテリ194を充電するためにエンジン150の始動をすべき走行状態であると判断する(ステップS55)。所定の値CH1は、バッテリ194の充電を開始するか否かの判断基準となる残容量の下限値である。
【0054】
ステップS45において、バッテリ194の残容量Schが所定の値Ch1以上である場合には、次に残容量Schが所定の値CH2よりも大きいか否かを判定する(ステップS60)。所定の値CH2よりも大きい場合には、次にエンジン150が停止しているか否かを判定し(ステップS65)、エンジンが停止していない場合には、エンジン150の停止をすべき走行状態であると判断する(ステップS70)。走行状態についての判定結果は、所定のフラグに記憶される。CPUは以上の処理を実行すると、走行状態判定処理ルーチンを終了し、トルク制御ルーチンに戻る。
【0055】
なお、実際には、走行状態判定処理ルーチンでは、他にも種々の走行状態を判定している。例えば、エンジンを運転せずに走行するEV走行、エンジンを始動するモードでの走行などの判定も行っている。これらの判定は、車速やバッテリ194の充電状態など種々の条件に基づいて判定される。かかる判定処理についての詳細な説明は省略する。
【0056】
走行状態が判定されると、CPUは車軸112の目標回転数Nd*、目標トルクTd*を設定する(ステップS100)。目標回転数Nd*およびトルクTd*は、現在の車速やアクセルの踏み込み量などに応じて設定される。こうして設定された目標回転数Nd*およびトルクTd*に基づいて、CPUはエンジン150の要求動力Pe*を設定する(ステップS110)。エンジン150の要求動力Pe*は、車両の走行状態に応じて異なる。走行状態は、走行状態判定処理で設定されたフラグに記憶されたコードによって検出することができる。車両が停車中やEV走行中の場合は、車軸112の目標回転数Nd*およびトルクTd*に関わらずエンジン150の要求動力Pe*は基本的には値0となる。但し、かかる場合であってもバッテリ194を充電する必要が生じた場合には、エンジン150の要求動力Pe*として充電に要する動力が設定される。
【0057】
ハイブリッド車両が通常走行している場合には、エンジン150の要求動力Pe*は、車軸112の目標回転数Nd*、トルクTd*の積で求められる走行動力と、バッテリ194から充放電される電力と、補機の駆動に要する電力との総和により求められる。例えば、バッテリ194から余剰の電力を放電する必要がある場合には、エンジン150への要求動力Pe*をその分減少させることができる。また、エアコンなどの補機を動作させる場合には、走行動力の他に補機用の電力に相当する動力をエンジン150から余分に出力する必要がある。
【0058】
こうしてエンジン150への要求動力Pe*が設定されるとCPUはエンジン150の運転ポイント、即ち目標回転数Ne*、目標トルクTe*を設定する(ステップS120)。エンジン150の運転ポイントは、基本的には運転効率が最もよくなる運転ポイントをマップから選択することにより設定される。
【0059】
図5にエンジン150の運転ポイントと運転効率の関係を示す。図中の曲線Bは、エンジン150が運転可能な回転数およびトルクの限界値を示している。図5においてα1%、α2%等で示される曲線は、それぞれエンジン150の効率が一定となる等効率線であり、α1%、α2%の順に効率が低くなっていくことを示している。図5に示す通り、エンジン150は比較的限定された運転ポイントで効率が高く、その周囲の運転ポイントでは徐々に効率が低下していく。
【0060】
図5中、C1−C1、C2−C2、およびC3−C3で示されている曲線は、エンジン150から出力される動力が一定の曲線であり、エンジン150の運転ポイントは要求動力に応じてこれらの曲線上で選択することになる。C1−C1、C2−C2、C3−C3の順に要求動力が低い状態を示している。例えば、エンジン150への要求動力Pe*が曲線C1−C1で表される動力に相当する場合、エンジン150の運転ポイントは、曲線C1−C1上で運転効率が最も高くなるA1点に設定される。同様にC2−C2曲線上ではA2点に、C3−C3曲線上ではA3点で運転ポイントを選択する。曲線C1−C1,C2−C2,C3−C3上における、エンジン150の回転数と運転効率の関係を図6に示す。なお、図6中の曲線は、説明の便宜上、図5中の3本を例示しているが、要求出力に応じて無数に引くことができる曲線であり、エンジン150の運転ポイントA1点等も無数に選択することができるものである。このようにエンジン150の運転効率の高い点をつなぐことにより描いた曲線が図5中の曲線Aであり、これを動作曲線と呼ぶ。
【0061】
エンジン150の要求動力Pe*が値0である場合、エンジン150は停止またはアイドル走行状態となる。例えばハイブリッド車両がモータMG2からの動力のみで走行する場合や、降坂時などがかかる走行状態に該当する。エンジン150が停止するかアイドル運転となるかについては、種々の条件に基づいて設定される。先に図2で説明した制限に基づき、比較的高い車速では、エンジン150をアイドル運転する。また、エンジン150の暖機が必要と判断された場合などもアイドル運転をする。
【0062】
以上の処理により設定されたエンジン150の運転ポイントに基づいて、CPUはモータMG1の目標回転数N1*,トルクT1*を設定する(ステップS130)。エンジン150、即ちプラネタリキャリア軸127の目標回転数N1*と、車軸112つまりリングギヤ軸126の目標回転数Nd*が設定されているため、上式(1)によって、サンギヤ軸125つまりモータMG1の目標回転数N1*を設定することができる。
【0063】
モータMG1の目標トルクT1*の設定は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて異なる。ハイブリッド車両が停車中である場合やEV走行している場合には、モータMG1の目標トルクT1*は値0となる。エンジン始動時、つまりモータMG1でエンジン150をモータリングするとき、エンジン150の回転数が自立運転に適した所定の回転数に達するまでは、モータMG1の目標トルクT1*は開ループ制御によって予め定められた値に設定される。この値をモータリングトルクと呼ぶものとする。
【0064】
エンジン150が自立運転している状態では、モータMG1の目標トルクT1*は基本的にはいわゆる比例積分制御によって設定される。モータMG1の現在の回転数と、上述の目標回転数N1*との偏差に基づいて目標トルクT1*を設定するのである。現在の回転数が目標回転数N1*よりも低い場合には目標トルクT1*は正のトルクとなるし、逆の場合には負のトルクとなる。トルクT1*を設定する際に用いられるゲインは、実験などにより設定可能である。
【0065】
CPUは以上の処理で設定されたエンジン150の運転ポイントおよびモータMG1の運転ポイントに基づいてモータMG2の運転ポイント、つまり目標回転数N2*、目標トルクT2*を設定する(ステップS200)。モータMG2の目標回転数N2*はリングギヤ軸126の目標回転数Nd*と等しい。
【0066】
目標トルクT2*は車軸112への目標トルクTd*およびモータMG1からの反力トルクなどに基づいて、MG2目標トルク設定処理ルーチンにより設定される。この設定処理ルーチンのフローチャートを図7に示した。この処理では、CPUは車軸の目標トルクTd*を入力する(ステップS202)。また、エンジンの回転数Neおよび水温も入力する(ステップS204)。
【0067】
MG2の目標トルクは、MG1の反力トルクとしてリングギヤ軸126に出力される反力トルクstepを補償して目標トルクTd*を車軸から出力できるように設定される。反力トルクstepは、プラネタリギヤ120のそれぞれのギヤ間の静的なトルクの釣り合いのみならず、先に示した式(3)〜(6)に基づいてプラネタリギヤ120のそれぞれのギヤ間に作用する反力に起因するトルクを求めることにより算出する。こうすることにより、モータMG1から出力されるトルクのうち、エンジン150をモータリングして回転数を変化させることに費やされるトルクの損失をも考慮して反力トルクstepを求めることができる。ここで、本実施例では、車両の走行状態に応じて異なる方法で反力トルクを算出している。
【0068】
CPUは車両が停車状態であるか否か(ステップS206)、エンジン150の始動または停止が指示されているか否か(ステップS208)、およびエンジンの回転数Neが所定の回転数Nlim以下であるか否か(ステップS210)を順次判定する。これらの条件の一つでも満たさない場合には、エンジンの回転数変化率に基づき反力トルクstepを算出する(ステップS212)。上述の条件を全て満たす場合には、エンジントルクに基づき反力トルクstepを算出する(ステップS214)。
【0069】
それぞれの反力トルクstepの算出方法は次の通りである。ここで、反力トルクstepとは、プラネタリギヤ120のそれぞれのギヤ間に作用するトルクがリングギヤ122に影響する値をいう。先に示した式(3)〜(6)において、リングギヤ122の回転状態を与える式(5)中の、右辺第2項「Ta/(1+ρ)」が反力トルクstepに相当する。ギヤ比ρは既知であるから、トルクTaが求まれば、反力トルクstepが算出される。
【0070】
最初にエンジンの回転数変化に基づきトルクを算出する方法について説明する。一般に車軸の角加速度、つまり回転数の変化率は、モータMG1,エンジンの角加速度に比較して無視できる程小さいため、先に説明した式(6)においてβr=0とすることができ、次式(7)を得ることができる。
βc=ρβs/(1+ρ) …(7)
【0071】
先に示した式(3)(4)および(7)をTc,Ta,βsを未知数とする連立方程式として解くと、トルクTaを求めることができ、反力トルクstep、即ち「Ta/(1+ρ)」を次式(8)の通り得ることができる。
step={−Ts+(1+ρ)Is・βc}/ρ …(8)
【0072】
式(8)の右辺において、Tsはサンギヤ121のトルクであるから、モータMG1のトルク指令値T1*と等しい。Isはサンギヤ121およびモータMG1の慣性能率であり既知である。βcはプラネタリキャリア124の角加速度であり、ステップS204で入力したエンジン150の回転数の変化率と等しい。従って、これらの諸量を式(8)に代入すれば、反力トルクstepを求めることができる。
【0073】
次にエンジン150のトルクに基づいて反力トルクstepを算出する場合には、先に示した式(3)(4)および(7)をβc,Ta,βsを未知数とする連立方程式として解くと、トルクTaを求めることができ、反力トルクstepを次式(9)の通り得ることができる。
step={−ρ・Ic・Ts+(1+ρ)Is・Tc}/K …(9)
ここで、
K=ρ^2・Ic+(1+ρ)^2・Is
である。なお、「^」はべき乗の演算子を意味する。
【0074】
式(9)の右辺において、Tsはサンギヤ121のトルクであるから、モータMG1のトルク指令値T1*と等しい。Isはサンギヤ121およびモータMG1の慣性能率であり既知である。Icはプラネタリキャリア124およびエンジン150の慣性能率であり既知である。Tcはプラネタリキャリア124のトルクである。本実施例では、エンジン150の始動または停止を行う際、即ちエンジン150が自立運転をしていない場合に、ステップS214のエンジントルクに基づく反力トルクstepの算出を実行する。従って、Tcはエンジン150を外力によりモータリングする際に必要となる回転抵抗に等しくなる。この回転抵抗は主としてエンジン150の摩擦力によるものであり、エンジン150の回転数が比較的低い領域ではエンジン150の水温に応じてほぼ一定の値を取る。エンジン150の摩擦には、ピストンとシリンダー間で作用する潤滑油の粘性に起因する部分が少なからずあるから、回転抵抗はエンジン150の水温に応じて変化する。
【0075】
本実施例では、エンジン150の水温に応じて回転抵抗をテーブルとして制御ユニット190内のROMに記憶している。このテーブルを参照することにより、エンジン150の水温に応じた回転抵抗を得ることができる。これらの諸量を上式(9)に代入すれば、反力トルクstepを算出することができる。もちろん、エンジン150の水温に依らず一定値を取るものとしても構わない。なお、ステップS210における所定の回転数Nlimは、エンジン150の回転抵抗がほぼ一定とみなすことができる上限値、かつエンジン150の回転数を十分精度良く検出できる下限値の範囲で設定される。本実施例では所定の回転数Nlimを150rpmに設定している。
【0076】
次に、CPUは車軸の目標トルクTd*、および反力トルクstepの差分、つまり「Td*−step」によってモータMG2の目標トルクT2*を設定する(ステップS216)。CPUはこうして設定された目標トルクT2*の絶対値がモータMG2の定格トルクTlimよりも大きいか否かを判定し(ステップS218)、これを超える場合には、目標トルクT2*の絶対値を定格トルクTlimに補正する(ステップS220)。以上でモータMG2の目標トルク設定処理を終了し、CPUはトルク制御ルーチンに戻る。
【0077】
こうして設定された運転ポイントに従って、CPUはモータMG1,MG2およびエンジン150の運転を制御する(図3のステップS210)。モータMG1,MG2の制御は設定された目標回転数と目標トルクとに応じて各モータの三相コイルに印加する電圧が設定され、現時点での印加電圧との偏差に応じて、駆動回路191,192のトランジスタのスイッチングを行うのである。同期モータを制御する方法については、周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0078】
エンジン150についても、設定された運転ポイントで運転するための制御処理は周知であるため、ここでは説明を省略する。但し、実際にエンジン150の制御を行うのはEFIECU170である。従って、トルク制御ルーチンでのステップS700における処理では、制御ユニット190からEFIECU170にエンジン150の運転ポイント等の必要な情報を送信する処理が行われる。かかる情報を送信することにより制御ユニット190のCPUは間接的にエンジン150の運転を制御する。以上の処理によって本実施例のハイブリッド車両は、走行状態に応じて適切な動力を車軸112から出力して走行することができる。
【0079】
以上で説明した本実施例のハイブリッド車両によれば、停車中にエンジン150を始動または停止する時のトルク変動を適切に抑制することができる。本実施例のハイブリッド車両について、エンジン150の回転数および車軸への出力トルクの変動の様子を図8に示す。図8は停車中にエンジン150を始動し、停止するまでの間の様子を示している。図8の上段に示す通り、時刻T1においてエンジン150の始動が開始されると、エンジンの回転数はモータMG1からのモータリングによって急速に上昇し、自立運転を開始すべき回転数Nsで安定する。時刻T2でエンジン150の停止が指示されると、エンジン150は燃料の噴射および点火を中止するとともにモータMG1から出力される負のトルクによって回転数が急速に値0に低減する。
【0080】
図8の下段には、かかる過程で車軸に出力されるトルクの様子を示している。図8中の領域AsおよびAstに示す通り、エンジン150が始動および停止がされる区間でも車軸に出力されるトルクの変動が十分抑制されていることが分かる。比較例として従来技術による変化の様子を図9に示す。図8と同様、時刻T1においてエンジン150の始動が開始され、時刻T2において停止が開始される。従来技術による制御では、領域As1およびAst1に示す通り、エンジン150の始動および停止がなされる際に車軸に出力されるトルクが非常に大きく変動することがわかる。
【0081】
一般に回転数が低い領域では、エンジン150の回転は安定しない。従って、かかる領域でも図7中のステップS212で示したエンジンの回転数変化に基づいて反力トルクstepを算出すれば、反力トルクstepの算出精度が低下する。本実施例では、図7のステップS214に示した通り、エンジン150の回転数が低い領域では、回転抵抗を用いることにより、反力トルクstepを精度良く算出することができる。この結果、図8に示した通り、車軸に出力されるトルクの変動を適切に抑制することができ、エンジンの始動および停止時における車両の振動を抑制することができる。本実施例では、乗員が車両の振動を敏感に感知しやすい停車中にその振動を抑制することができるため、ハイブリッド車両の乗り心地を大きく向上することができる。もちろん、停車中に限らずハイブリッド車両がEV走行中にエンジンの回転抵抗に基づく制御を実行するものとしても構わない。
【0082】
本実施例では、エンジン150の回転数に応じて、反力トルクstepの算出方法を切り替えて用いている。図7のステップS210に示した通り、エンジン150の回転数が低い領域ではエンジントルクに基づき反力トルクstepを算出し、回転数が高い領域ではエンジンの回転数の変化率、即ち角加速度に基づいて反力トルクstepを算出する。エンジンの回転数を十分精度良く検出できる程度の領域では、エンジンの回転数の変化率を利用した方が反力トルクstepを精度良く算出することができる。本実施例では、エンジン150の回転数に応じて、反力トルクstepの算出方法を切り替えて使用することにより、それぞれの回転数領域において反力トルクstepを精度良く算出することができ、車軸に出力されるトルクの変動を適切に抑制することができる。
【0083】
本発明を適用するハイブリッド車両の構成としては、図1に示した構成の他、種々の構成が可能である。例えば、クラッチおよびスプラインなどの機構を用いてモータMG2の結合先をリングギヤ軸126とクランクシャフト156との間で切り替え可能なハイブリッド車両に適用するものとしてもよい。もちろん、結合さきをその他の軸に切り替え可能なハイブリッド車両に適用するものとしてもよい。
【0084】
本実施例のハイブリッド車両ではエンジン150,モータMG1,MG2から構成される動力系統が前車軸112に備えられている構成とした。これに対し、図10に示すようにモータMG2を後車軸に結合した構成を採用するものとしてもよい。図示する通り、モータMG2が前車軸112ではなく、後車軸112Rに結合される。かかる構成のハイブリッド車両では、前車軸112から出力される動力に対して、前車軸112および後車軸112Rの両者から出力される動力が要求動力に一致するようにモータMG2で補償することができる。従って、本発明の制御方法をハイブリッド車両の制御に適用することができる。上記実施例ではプラネタリギヤを用いたハイブリッド車両を例として示したが、同様の作用を奏する他の機構を適用するものとしても構わない。
【0085】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。例えば、上記実施例では、ソフトウェアにより種々の制御を実行しているが、これらをハードウェアによって実現するものとしても構わない。また、停車状態でない場合には、トルクの損失を考慮することなく、プラネタリギヤにおける静的なトルクの釣り合いから反力トルクを算出するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例としてのハイブリッド車両の概略構成を示す構成図である。
【図2】プラネタリギヤの模式図である。
【図3】トルク制御ルーチンのフローチャートである。
【図4】走行状態判定処理ルーチンのフローチャートである。
【図5】エンジンの運転ポイントと運転効率との関係を示すグラフである。
【図6】要求動力一定の場合の、エンジン回転数と運転効率との関係を示すグラフである。
【図7】MG2目標トルク設定処理ルーチンのフローチャートである。
【図8】エンジン始動時の回転数およびトルクの変動を示す説明図である。
【図9】従来技術におけるエンジン始動時の回転数およびトルクの変動を示す説明図である。
【図10】本実施例のハイブリッド車両の変形構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
112、112R…車軸
116R,116L…車輪
119…ケース
120…プラネタリギヤ
121…サンギヤ
122…リングギヤ
123…プラネタリピニオンギヤ
124…プラネタリキャリア
125…サンギヤ軸
126…リングギヤ軸
127…プラネタリキャリア軸
129…チェーンベルト
130…ダンパ
132…ロータ
133…ステータ
142…ロータ
143…ステータ
144…センサ
149…バッテリ
150…エンジン
156…クランクシャフト
158…エンジン水温センサ
165…アクセルペダルポジションセンサ
167…シフトポジションセンサ
190…制御ユニット
191,192…駆動回路
194…バッテリ
MG1,MG2…モータ

Claims (11)

  1. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両であって、
    該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する入力手段と、
    前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する第1の目標トルク設定手段と、
    前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗とに基づいて推定する推定手段と、
    該要求トルクと前記反力トルクとに基づいて、前記第2の電動機の目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
    前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する制御手段とを備え、
    前記推定手段は、前記エンジンの回転状態が所定の範囲にある場合には、前記回転抵抗を一定値として前記推定を行う手段である、ハイブリッド車両。
  2. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両であって、
    該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する入力手段と、
    前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する第1の目標トルク設定手段と、
    前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗とに基づいて推定する推定手段と、
    該要求トルクと前記反力トルクとに基づいて、前記第2の電動機の目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
    前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する制御手段と、
    前記エンジンの潤滑油の温度を検出する温度検出手段と、
    該温度と前記回転抵抗との関係を記憶する記憶手段とを有し、
    前記推定手段は前記記憶手段を参照することにより前記温度に応じて求められた回転抵抗を用いて前記推定を行う手段であるハイブリッド車両。
  3. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両であって、
    該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する入力手段と、
    前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する第1の目標トルク設定手段と、
    前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗とに基づいて推定する推定手段と、
    該要求トルクと前記反力トルクとに基づいて、前記第2の電動機の目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
    前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する制御手段と、
    前記エンジンの回転数を検出する検出手段と、を備え、
    前記推定手段は、該回転数が所定値以下である場合にのみ、前記モータリングトルクと回転抵抗とに基づく推定を行う手段であるハイブリッド車両。
  4. 請求項記載のハイブリッド車両であって、
    前記推定手段は、前記エンジンの回転数が所定値よりも大きい場合には、前記モータリングトルクと該回転数の変化率とに基づいて前記反力トルクを推定する手段であるハイブリッド車両。
  5. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両であって、
    該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する入力手段と、
    前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する第1の目標トルク設定手段と、
    前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗とに基づいて推定する推定手段と、
    該要求トルクと前記反力トルクとに基づいて、前記第2の電動機の目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
    前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する制御手段と、
    該車両が停車中であるか否かを判定する判定手段と、を備え、
    前記推定手段は、該車両が停車中である場合にのみ、前記モータリングトルクと回転抵抗とに基づく推定を行う手段であるハイブリッド車両。
  6. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両であって、
    該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する入力手段と、
    前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する第1の目標トルク設定手段と、
    前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗とに基づいて推定する第1の推定手段と、
    前記反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転数の変化率に基づいて推定する第2の推定手段と、
    前記車両の状態に応じて前記第1の推定手段と前記第2の推定手段を切り換える切換手段と、
    該要求トルクと前記反力トルクとに基づいて、前記第2の電動機の目標トルクを設定する目標トルク設定手段と、
    前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する制御手段とを備えるハイブリッド車両。
  7. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両の制御方法であって、
    (a)該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する工程と、
    (b)該第1の電動機から前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する工程と、
    (c)前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗に基づいて推定する工程と、
    (d)該要求トルク、前記反力トルクを考慮して、前記第2の電動機の目標トルクを設定する工程と、
    (e)前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する工程とを備え、
    前記推定工程では、前記エンジンの回転状態が所定の範囲にある場合には、前記回転抵抗を一定値として前記推定が行われる、ハイブリッド車両の制御方法。
  8. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両の制御方法であって、
    (a)該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する工程と、
    (b)該第1の電動機から前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する工程と、
    (c)前記エンジンの潤滑油の温度を検出する温度検出工程と、
    )前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗に基づいて推定する工程と、
    )該要求トルク、前記反力トルクを考慮して、前記第2の電動機の目標トルクを設定する工程と、
    )前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する工程と、
    を備え、
    前記ハイブリッド車両は、該温度と前記回転抵抗との関係を記憶する記憶手段を有し、
    前記推定工程では、前記記憶手段を参照することにより前記温度に応じて求められた回転抵抗を用いて前記推定が行われる、ハイブリッド車両の制御方法。
  9. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両の制御方法であって、
    (a)該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する工程と、
    (b)該第1の電動機から前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する工程と、
    (c)前記エンジンの回転数を検出する検出工程と、
    )前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗に基づいて推定する工程と、
    )該要求トルク、前記反力トルクを考慮して、前記第2の電動機の目標トルクを設定する工程と、
    )前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する工程と、
    を備え、
    前記推定工程では、該回転数が所定値以下である場合にのみ、前記モータリングトルクと回転抵抗とに基づく推定が行われる、ハイブリッド車両の制御方法。
  10. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両の制御方法であって、
    (a)該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する工程と、
    (b)該第1の電動機から前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する工程と、
    (c)該車両が停車中であるか否かを判定する判定工程と、
    )前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗に基づいて推定する工程と、
    )該要求トルク、前記反力トルクを考慮して、前記第2の電動機の目標トルクを設定する工程と、
    )前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する工程と、
    を備え、
    前記推定工程では、該車両が停車中である場合にのみ、前記モータリングトルクと回転抵抗とに基づく推定が行われる、ハイブリッド車両の制御方法。
  11. 3つの回転軸のうち2つの回転軸の回転状態に応じて残余の回転軸の回転状態が一義的に定まる動力分配装置のそれぞれの回転軸に、エンジンと、第1の電動機と、車軸とを結合し、さらに第2の電動機を車軸に結合したハイブリッド車両の制御方法であって、
    (a)該駆動軸から出力すべき要求トルクを入力する工程と、
    (b)該第1の電動機から前記エンジンを始動または停止するためのモータリングトルクを前記第1の電動機の目標トルクとして設定する工程と、
    (c)前記モータリングトルクを付加する際に前記第1の電動機により前記車軸に出力される反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転抵抗に基づいて推定する第1推定方法と、前記反力トルクを、該モータリングトルクと前記エンジンの回転数の変化率に基づいて推定する第2推定方法とを、前記車両の状態に応じて切り換えて使用することによって、前記反力トルクを推定する工程と、
    (d)該要求トルク、前記反力トルクを考慮して、前記第2の電動機の目標トルクを設定する工程と、
    (e)前記第1の電動機および第2の電動機を制御してそれぞれ目標トルクを出力する工程と、を備えるハイブリッド車両の制御方法。
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