JP3930220B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高圧放電灯を点灯する点灯装置に関するものである。特に、高圧放電灯を点灯する場合に、高圧パルスを短時間印加することにより高圧放電灯を迅速に点灯することができる装置を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
図6は、特開平4−298997号公報に記載された従来の放電ランプ点灯回路を示す図である。
以下、特開平4−298997号公報に記載された文章を引用して図6を説明する。
【0003】
商用交流電源Eには、整流回路1が接続され、この整流回路1の出力側には、平滑用のコンデンサC1、チョッパ用の電界効果トランジスタFET、平滑用のインダクタL1を介して、フルブリッジ型のインバータ回路3が接続されている。
【0004】
このフルブリッジ型のインバータ回路3は、4つのトランジスタQ1,Q2,Q3,Q4がブリッジ状に構成され、トランジスタQ1及びトランジスタQ2の接続点と、トランジスタQ3及びトランジスタQ4の接続点の間には、パルストランスPTの出力巻線PT2及び放電ランプHIDの直列回路が接続されている。また、インダクタL1を介したインバータ回路3には還流用のダイオードD1が接続されており、整流回路1の出力側には駆動回路4が接続され、この駆動回路4にて各トランジスタQ1,Q2,Q3,Q4を制御している。
【0005】
更に、整流回路1には、パルス制御回路6が接続されている。このパルス制御回路6は、電界効果トランジスタFET及びインダクタL1を介して整流回路1の出力端間に抵抗R2及びサイリスタThの直列回路が接続されている。このサイリスタThのゲート、カソード間に抵抗R3が接続され、アノード、カソード間にはコンデンサC6及びパルストランスPTの入力巻線PT1の直列回路が接続されている。そして、トランジスタQ3及びトランジスタQ4の接続点とサイリスタThのゲートとの間には、抵抗R4,R5、コンデンサC7及びダイアックDaが接続されている。そして、この制御回路6は、低電位側のトランジスタQ4の両端電位に応動するようになっている。
【0006】
次に、上記実施例の動作について説明する。
まず、商用交流電源Eの電力は整流回路1で整流され、コンデンサC1及びインダクタL1で平滑されてインバータ回路3に電力が供給される。
なお、チョッパ制御回路2で電界効果トランジスタFETをチョッパ制御して、インバータ回路3への電力を可変制御する。
【0007】
この状態で、トランジスタQ1及びトランジスタQ4のベースにベース電流を供給し、トランジスタQ1及びトランジスタQ4をオンさせて、トランジスタQ1、パルストランスPT、放電ランプHID及びトランジスタQ4の経路で電流を供給し、次に、トランジスタQ1及びトランジスタQ4をオフさせて、トランジスタQ3及びトランジスタQ2のベースにベース電流を供給し、トランジスタQ3及びトランジスタQ2をオンさせて、トランジスタQ3、放電ランプHID、パルストランスPT及びトランジスタQ2の経路で電流を供給し、この動作を約400Hzで行う。
【0008】
そして、図7に示すように、トランジスタQ4がオフの状態では、抵抗R4を介してコンデンサC7を充電し、コンデンサC7の電圧が所定電圧以上になると、ダイアックDaがオンし、サイリスタThをオンしてコンデンサC6の充電電荷をパルストランスPTの入力巻線PT1を介して急速に放電させる。これにより、パルス電圧を発生し、更に、出力巻線PT2にて昇圧して放電ランプHIDにパルスを印加する。これにより、放電ランプHIDにグロー放電を行わせ、効率よくグロー放電からアーク放電に移行させる。
一方、トランジスタQ4がオンの状態では抵抗R4側に電流が流れず、コンデンサC7を充電せず、ダイアックDaがオフ状態で、サイリスタThもオフ状態を保持し、パルストランスPTにパルスを発生させない。
【0009】
放電ランプHIDの点灯後は、ランプ電圧の低下に伴ってトランジスタQ4の両端電圧も低下するからダイアックDaがオンせず、従って、パルスの発生を確実に停止する。この場合、パルス制御回路6を低電位側のトランジスタQ4の両端に接続して、トランジスタQ4の両端電圧は応動するようにしているので、格別な絶縁手段を用いる必要がなく、構成を簡単にできる。
【0010】
このように、特開平4−298997に示す構成のものは、商用電源を全波整流し、後段に供給する高圧放電灯電力を制限する限流回路を配し、更に、高圧放電灯に低周波の矩形波電力を供給するフルブリッジインバータ、高圧放電灯を始動するための高圧パルス発生回路を配置するものである。そして、高圧パルスの発生タイミングは、インバータの低周波信号に同期させている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
高圧放電灯では、外形、封入物質の組成、高圧放電灯の点灯時間等ににより放電を開始させるための始動パルスの印加数が異なる。そのため、従来は、ランプによってパルスのエネルギーが足りずに始動時間が遅くなるものがあった。しかし、高圧であるパルスを長い時間印加することはランプの電極の劣化、パルス発生装置の劣化等を引き起こす恐れがある。
【0012】
本発明の点灯装置の目的は、個々のランプによって始動可能なパルス数が異なっていても、迅速に、かつ、ランプの電極や点灯回路にダメージを与えずに高圧放電灯を始動させようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る放電灯点灯装置は、放電灯を点灯させる点灯パルスを発生させ点灯パルスを放電灯に印加するパルス発生回路と、
パルス発生回路が放電灯に印加する点灯パルスのパルス発生頻度を制御する制御回路と
を備え、
上記制御回路は、過去において、放電灯が点灯した場合のパルス発生頻度を記憶し、記憶したパルス発生頻度を用いてパルス発生回路の点灯パルスの発生を制御することを特徴とする。
【0014】
上記放電灯点灯装置は、更に、所定の周期で放電灯を駆動するインバータ回路を備え、
上記制御回路は、上記インバータ回路の用いている所定の周期の半周期内で点灯パルスの発生間隔が均等になるようにパルス発生回路の点灯パルスの発生を制御することを特徴とする。
【0015】
上記放電灯点灯装置は、更に、放電灯が点灯したことを検出する点灯検出回路を備え、
上記制御回路は、
パルス発生頻度を記憶する点灯時パルス発生頻度メモリと、
パルス発生頻度を入力し、入力したパルス発生頻度から徐々にそれ以上のパルス発生頻度となるようにパルス発生数を増加させるパルス発生回路駆動信号を発生させ、パルス発生回路駆動信号をパルス発生回路へ供給するパルス発生数制御部と、
放電灯の点灯を開始する場合に、上記点灯時パルス発生頻度メモリに記憶されたパルス発生頻度を入力し、パルス発生数制御部に出力するとともに、点灯検出回路が放電灯の点灯を検出した場合に、放電灯の点灯時にパルス発生数制御部が用いていたパルス発生頻度を点灯時パルス発生頻度メモリに記憶させる頻度設定部と
を備えたことを特徴とする。
【0016】
上記制御回路は、更に、点灯時パルス発生頻度メモリに記憶されたパルス発生頻度をリセットするリセットスイッチを備えたことを特徴とする。
【0017】
上記頻度設定部は、放電灯が所定の期間内に点灯した場合に、点灯時パルス発生頻度メモリに記憶させる上記パルス発生頻度の値を小さくすることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、この実施の形態に係る高圧放電灯点灯装置100を示す図である。
点灯装置100は、商用電源51に接続されて動作する。点灯装置100は、アクティブフィルタ53、限流回路54、インバータ回路55、コンデンサ56、点灯検出回路59、制御回路61、パルス発生回路91を備えている。アクティブフィルタ53は、整流機能を有している。アクティブフィルタ53は、商用電源51から供給される交流を直流に変換する。限流回路54は、インバータ回路55に供給する電力を制限する。インバータ回路55は、放電灯57に矩形波電力を供給する。インバータ回路55は、一定の周波数で動作し、放電灯57をその周波数に基づいて駆動するものである。放電灯57は、例えば、高輝度放電ランプ等の高圧放電灯である。点灯検出回路59は、限流回路54とインバータ回路55の間に設けられている。点灯検出回路59は、放電灯57が点灯したことを検出し、点灯検出信号77を用いて制御回路61に点灯を知らせる回路である。制御回路61は、点灯装置100全体を制御する回路である。制御回路61は、アクティブフィルタ駆動信号73を用いてアクティブフィルタ53を制御する。また、制御回路61は、限流回路駆動信号74を用いて限流回路54を制御する。また、制御回路61は、インバータ駆動信号75を用いてインバータ回路55を制御する。更に、制御回路61は、パルス発生回路駆動信号76を用いてパルス発生回路91を制御する。
【0019】
パルス発生回路91は、電源がオンされた場合に、放電灯57を始動させるための高圧パルスを発生する回路である。パルス発生回路91は、トランス92とダイオード95と抵抗96とコンデンサ97と電界効果トランジスタ(FET)98から構成されている。トランス92には、一次巻線93と二次巻線94がある。アクティブフィルタ53で生成された直流は、ダイオード95と抵抗96を介してコンデンサ97に流れ込み、コンデンサ97の容量が満たされるまで、コンデンサ97に電力が蓄えられる。制御回路61から出力されたパルス発生回路駆動信号76は、電界効果トランジスタ98のゲートGに印加される。電界効果トランジスタ98のゲートGにパルス発生回路駆動信号76が印加されると電界効果トランジスタ98がオンし、ソースSとドレインDの間に電流が流れる。即ち、電界効果トランジスタ98がオンすることにより、コンデンサ97と電界効果トランジスタ98と一次巻線93により閉ループが構成され、コンデンサ97に溜められた電力が一次巻線93に流れることになる。一次巻線93に流れた電流により、トランス92の二次巻線94に昇圧された電流が流れる。これにより、パルス電圧が発生し、コンデンサ56と放電灯57と二次巻線94の閉ループにより放電灯57に高圧のパルスが印加される。こうして、放電灯57にグロー放電を行わせる。以上の動作を繰り返し行うことにより、パルス発生回路91により高圧パルスを連続的に発生させ、放電灯57をグロー放電からアーク放電に移行させる。こうして、放電灯57が点灯する。パルス発生回路91のパルス発生頻度は、パルス発生回路駆動信号76の発生頻度による。即ち、制御回路61は、パルス発生回路91のパルス発生頻度を制御している。
【0020】
次に、図2を用いて制御回路61について説明する。
制御回路61は、頻度設定部63とパルス発生数制御部64と点灯時パルス発生頻度メモリ65とリセットスイッチ66を有している。制御回路61は、その他にも点灯装置100の他の回路を制御する回路を有しているが、ここでは特に図示していない。
頻度設定部63は、2つの役割を持っている。第1の役割は、放電灯57が点灯した場合に、点灯検出回路59から点灯検出信号77を入力し、放電灯57が点灯した場合に、パルス発生数制御部64が用いていたパルス発生頻度を取得し、点灯時パルス発生頻度メモリ65に記憶させることである。第2の役割は、電源がオンになったとき、点灯時パルス発生頻度メモリ65に記憶してあるパルス発生頻度をパルス発生数制御部64に出力することである。
パルス発生数制御部64は、電源がオンされた場合に、頻度設定部63を介して点灯時パルス発生頻度メモリ65に記憶してあるパルス発生頻度を頻度設定部63を介して入力し、そのパルス発生頻度を初期値としてパルス発生回路駆動信号76を発生させる。その後、徐々にパルス発生頻度を上昇させていく。また、パルス発生数制御部64は、点灯検出信号77を入力することにより、パルス発生回路駆動信号76の出力を止める。パルス発生数制御部64の中には、パルス数カウンタ67が設けられている。パルス数カウンタ67は、電源オンされてから、パルス発生数制御部64がパルス発生回路駆動信号76を何回発生したかをカウントするカウンタである。パルス数カウンタ67は、レジスタやランダムアクセスメモリ等の揮発性メモリで構成されている。
点灯時パルス発生頻度メモリ65は、頻度設定部63により放電灯57が点灯したときのパルス発生頻度を記憶しておくメモリである。電源がオフされた場合でも、記憶した値を消失させない不揮発性メモリでなければならない。
リセットスイッチ66は、点灯時パルス発生頻度メモリ65に設定された値をクリアしたり、或いは、所定の値にリセットするスイッチである。リセットスイッチ66は、例えば、ディップスイッチやオン、オフボタン等により実現することができる。
【0021】
図3は、パルス発生回路91が放電灯57に印加するパルスの時間的変化を示す図である。
図3の(a)は、放電灯点灯回路100が設置されてから最初の、又は、リセットスイッチ66によりリセットされてから最初の、第1回目の電源オンの場合を示している。図3の(b)は、第2回目の電源オンの場合を示している。図の左から右にかけて時間が過ぎていくものとする。また、Tは、インバータ回路55が動作する所定の周期の1/2周期(半周期)を示している。ここでは、リセットスイッチ66により、点灯時パルス発生頻度メモリ65には、予め半周期に3パルスを発生させることが設定されているものとする。電源オンのとき、頻度設定部63は、点灯時パルス発生頻度メモリ65からパルス発生頻度=3を入力し、パルス発生数制御部64に出力する。頻度設定部63は、このパルス発生頻度=3を入力し、半周期に3パルスのパルスを発生させる。制御回路61のパルス発生数制御部64は、放電灯57が始動点灯するまで、半周期に発生するパルスの数を3パルス、4パルス、5パルスと徐々に増加させていく。図3の(a)の場合は、半周期に5パルスの高圧パルスを発生した場合に、放電灯57が始動点灯した場合を示している。点灯検出回路59は、この時点で点灯検出信号77を発生させる。そして、頻度設定部63は、この点灯検出信号77を入力することにより、半周期に5パルスの頻度で高圧パルスを発生していたことを点灯時パルス発生頻度メモリ65に記憶する。
頻度設定部63が点灯時パルス発生頻度メモリ65にパルス発生頻度=5を記憶させるとともに、パルス発生数制御部64は、点灯検出信号77を入力することにより、パルス発生回路駆動信号76の出力を止める。その後は、放電灯57は、インバータ回路55により駆動され、連続点灯される。
一旦、点灯装置100が消灯されて、第2回目の点灯が行われる場合は、点灯時パルス発生頻度メモリ65に記憶されたパルス発生頻度数=5が頻度設定部63により入力され、パルス発生数制御部64に出力される。こうして、図3の(b)に示すように、初期の段階から半周期に5パルスの高圧パルスが放電灯57に供給される。第1回目が時刻T1において放電灯57が始動したのに対し、第2回目は時刻T2(T1>T2)において放電灯57が始動する。従って、放電灯57は、第2回目以降は迅速に点灯することになる。図3の(a)に示すように、半周期Tに3パルス、4パルスを印加していたときは、パルスのエネルギーが足りず、放電灯57が点灯しない状態が続いている。この高圧パルスを長い時間印加すると、放電灯57の電極の劣化やパルス発生回路91の各部品の故障屋劣化の原因となる可能性がある。しかし、この実施の形態によれば、第2回目以降からは放電灯57が迅速、かつ、短時間で点灯するため、放電灯57の電極やパルス発生回路91にダメージを与えることがない。
また、図3の(a)に示した時刻T1は、放電灯57の外形や封入物質の組成や点灯時間等のバラツキにより各高圧放電灯によりまちまちである。また、高圧放電灯の型・種類・タイプによりまちまちである。例えば、ある放電灯は、4パルスで点灯するかもしれないし、ある別な放電灯は6パルスで点灯するかもしれない。このように、放電灯の特性がまちまちであっても、第2回目からは、その放電灯が点灯したパルス頻度を用いて始動を開始させるため、各放電灯のバラツキがあるにもかかわらず、その放電灯に適合した迅速な点灯が行える。
また、放電灯57が寿命になり交換されたり、故障して交換されたりした場合は、リセットスイッチ66を用いて点灯時パルス発生頻度メモリ65に新たな値を設定すればよい。リセットスイッチ66は、単に点灯時パルス発生頻度メモリ65の値を0にするものであっても構わないし、ある特定の値を設定できるものであっても構わない。
【0022】
図4は、制御回路61の電源オンから始動完了までの動作を示すフローチャートである。
図4は、大きく分けて点灯前の動作(S80〜S85)と、点灯直後の動作(S86〜S88)に分けられる。点灯装置100に電源が投入されると、頻度設定部63は、点灯時パルス発生頻度メモリ65から前回点灯したときのパルス数を取り出し、パルス発生数制御部64に出力する。パルス発生数制御部64は、S80において、設定されたパルス発生頻度に等しいパルス数を発生させるために、パルス発生回路駆動信号76をパルス発生回路91に出力する。このようにして、放電灯57に高圧パルスが印加される。
次に、S82において、パルス数カウンタ67がパルス発生回路駆動信号76が出力されたことをカウントする。パルス発生回路駆動信号76が一度出力される度、即ち、高圧パルスが一度発生される度に、パルス数カウンタ67が1ずつ増加される。
次に、S83において、パルス発生数制御部64は、点灯検出回路59から点灯検出信号77が出力されたかどうかをチェックする。まだ、放電灯57が点灯していない場合は、S84において、印加したパルス数が250回を越えたかどうかを比較する。パルスの印加数が250回未満の場合には、S82とS83の処理を繰り返す。250回以上の印加が行われても、まだ放電灯57が点灯しない場合は、S85において、パルス数を1増加させる。即ち、パルス発生頻度を増す。そして、再びS81〜S84の動作を繰り返す。S83において、放電灯57が点灯したことが検出された場合は、頻度設定部63がパルス数カウンタ67から電源オンになってから放電灯57が点灯するまでに印加したパルス数が所定の回数、例えば、20パルス以下であるかどうかを比較する。もし、電源オンになってから20パルス以内で放電灯57が点灯した場合には、瞬時点灯がなされたものと見なす。瞬時点灯がなされた場合には、S87において、始動パルス数から1を引いて点灯時パルス発生頻度として点灯時パルス発生頻度メモリ65に記憶する。瞬時点灯の場合には、放電灯57に与えるエネルギーが多すぎることが考えられるため、S87において、始動パルス数を減少させ、次回の点灯時に放電灯57に与えるパルスのエネルギーを減少させ、放電灯57の電極の劣化やパルス発生回路91の部品の劣化を防止する。
一方、S86において、瞬時点灯でないと判断された場合は、S88において、そのときの半周期当たりの始動時パルス数を点灯時パルス発生頻度メモリ65に記憶する。
このようにして、放電灯57の始動が完了する。
【0023】
次に、図5を用いてパルス発生数制御部64のパルス発生回路駆動信号76の発生タイミングについて説明する。
図5は、コンデンサ97に電力が溜まる信号波形とパルス発生回路駆動信号76の発生タイミングを示している。また、放電灯57へ印加される高圧パルスのタイミングを示している。
パルス発生回路駆動信号76は、半周期内でのパルス発生間隔が均等になるように、パルス発生数制御部64から出力される。即ち、半周期に3パルス発生される場合には、図5に示すように、パルス間の間隔はW1であり、等しい。また、ここでは、両側の間隔S1は、W1/2とする。こうすることにより、パルス発生数制御部64がパルスを発生させるタイミングは、計算して求めることができる。以下、半周期に3パルス発生させる場合と、半周期に4パルス発生させる場合と、半周期に5パルス発生させる場合の計算式を示す。
Figure 0003930220
【0024】
以上の計算式を一般化すると、半周期TにPパルス発生させたい場合、パルス間隔W=両端間隔S×2とすると、パルス間隔Wと両端間隔Sは、以下のようになる。
半周期TにPパルスのとき、
パルス間隔W=T/P
両端間隔S=T/(P*2)
【0025】
このように、パルスを均等に発生させるのは、パルスのエネルギーを放電灯57に対して均等に与えることによりグロー放電を速やかにアーク放電に移行させるためである。また、高圧パルスのエネルギーが短時間に偏って放電灯57の電極やパルス発生回路91の部品に印加されてしまい、ダメージを与えないようにするためである。
なお、パルス間隔W=両端間隔S×2としたが、両端間隔Sはパルス間隔Wの一定割合でもよいし、パルス間隔Wに依存しない一定値でもよい。
【0026】
図2に示した制御回路61の構成は一例であり、その他にも同様の機能を持った構成が考えられる。例えば、制御回路61の機能をハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
また、マイクロプロセッサやセントラルプロセッシングユニットとマイクロプログラムやファームウェアとを用いて制御回路61の機能を実現するようにしても構わない。
また、点灯時パルス発生頻度メモリ65に記憶するパルス発生頻度として半周期に発生させるパルス数を用いる場合を説明したが、パルス数ではなく、パルス間隔やパルス率等のその他のパルス発生頻度を記憶させるようにしても構わない。
【0027】
以上のように、この実施の形態においては、アクティブフィルタ53、限流回路54等の直流変換回路で発生した直流電圧をインバータ回路55を介して負荷の放電灯57に供給する高圧放電灯点灯装置において、この放電灯57に始動パルスを印加するパルス発生回路91とこのパルス発生回路91の発生するパルスを制御する制御回路61とを備え、前記制御回路61は、インバータ回路55の一定周期に発生するパルスの発生個数を頻度設定部63からの信号で制御できるパルス発生数制御部64を備え、頻度設定部63は、放電灯57の点灯を検知する点灯検出回路59からの信号を受けてランプ点灯を検知する検知機能を備え、次回点灯時からは前回放電灯57が点灯したと検知した時点での印加パルス数から印加を始めることを特徴とする。
【0028】
以上のように、この実施の形態によれば、高圧放電灯の始動において、高圧放電灯の種類毎に、或いは、個々の高圧放電灯毎に始動パルス数が異なっていても、1回目の始動パルス数を記憶し、2回目からそのパルス数で始動させるので、個々のランプの始動可能パルスを2回目点灯の最初から印加でき、電極ダメージを軽減できる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、個々の放電灯によって違う始動可能なパルス頻度を用いて、次回点灯の最初からパルスを印加することによって、迅速、かつ、放電灯の電極や点灯回路にダメージを与えずに、放電灯を始動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 点灯装置100を示す図である。
【図2】 制御回路61を示す図である。
【図3】 第1回目と第2回目の印加されるパルスを示す図である。
【図4】 制御回路61の電源投入から始動完了までの動作である。
【図5】 制御回路61のパルス発生数制御部64のパルス発生回路駆動信号76の発生タイミングを示す図である。
【図6】 従来の放電灯点灯装置を示す図である。
【図7】 従来のパルスの発生状態を示す波形図である。
【符号の説明】
51 商用電源、53 アクティブフィルタ、54 限流回路、55 インバータ回路、56 コンデンサ、57 放電灯、59 点灯検出回路、61 制御回路、63 頻度設定部、64 パルス発生数制御部、65 点灯時パルス発生頻度メモリ、66 リセットスイッチ、67 パルス数カウンタ、73 アクティブフィルタ駆動信号、74 限流回路駆動信号、75 インバータ駆動信号、76 パルス発生回路駆動信号、77 点灯検出信号、78 全印加回数、91パルス発生回路、92 トランス、93 一次巻線、94 二次巻線、95 ダイオード、96 抵抗、97 コンデンサ、98 電界効果トランジスタ、100 点灯装置。

Claims (4)

  1. 放電灯を点灯させる始動パルスを発生させ始動パルスを放電灯に印加するパルス発生回路と、
    パルス発生回路が放電灯に印加する始動パルスのパルス発生頻度を制御する制御回路と、
    上記放電灯が点灯したことを検出する点灯検出回路とを備え、
    上記制御回路は、
    以下の要素を具備し、過去において、放電灯が点灯した場合のパルス発生頻度を記憶し、記憶したパルス発生頻度を用いてパルス発生回路の始動パルスの発生を制御することを特徴とする放電灯点灯装置。
    (a)パルス発生頻度を記憶する点灯時パルス発生頻度メモリ;
    (b)パルス発生頻度を入力し、入力したパルス発生頻度から徐々にそれ以上のパルス発生頻度となるようにパルス発生数を増加させるパルス発生回路駆動信号を発生させ、パルス発生回路駆動信号をパルス発生回路へ供給するパルス発生数制御部;
    (c)放電灯の点灯を開始する場合に、上記点灯時パルス発生頻度メモリに記憶されたパルス発生頻度を入力し、パルス発生数制御部に出力するとともに、上記点灯検出回路が放電灯の点灯を検出した場合に、放電灯の点灯時にパルス発生数制御部が用いていたパルス発生頻度を点灯時パルス発生頻度メモリに記憶させる頻度設定部。
  2. 上記放電灯点灯装置は、更に、所定の周期で放電灯を駆動するインバータ回路を備え、
    上記制御回路は、上記インバータ回路の用いている所定の周期の半周期内で始動パルスの発生間隔が均等になるようにパルス発生回路の始動パルスの発生を制御することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  3. 上記制御回路は、更に、点灯時パルス発生頻度メモリに記憶されたパルス発生頻度をリセットするリセットスイッチを備えたことを特徴とする請求項記載の放電灯点灯装置。
  4. 上記頻度設定部は、放電灯が所定の期間内に点灯した場合に、点灯時パルス発生頻度メモリに記憶させる上記パルス発生頻度の値を小さくすることを特徴とする請求項記載の放電灯点灯装置。
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