JP3929390B2 - アクリル系ゴム組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系ゴム組成物に関するものであり、更に詳しくは、常態物性、圧縮永久歪み特性に優れ、且つ熱老化時の引張強さの変化率と伸びの変化率のバランスに優れるアクリル系ゴム組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アクリル系ゴムは、耐熱性・耐油性材料として自動車のエンジンルーム内のホース部品やシール部品に用いられているが、近年の排ガス対策、エンジンの高出力化等により、熱的条件が更に厳しさを増してきたため、これまで以上の耐熱性が望まれている。
【0003】
また、ホース部品やシール部品等にはその特性として、常態物性や圧縮永久歪み特性等の物性が要求され、更に近年、生産性向上を目的として加硫速度の向上、加工性向上を目的としてスコーチ性の改善が求められている。
【0004】
このように、加工性、加硫速度、常態物性、圧縮永久歪み特性、耐熱性などのバランスを兼ね備えた材料として、カルボキシル基を架橋サイトとしたアクリル系ゴムが使用されるようになってきた。
【0005】
従来のカルボキシル基を架橋サイトとしたアクリル系ゴム組成物は、加工性、加硫速度、常態物性、圧縮永久歪み特性、耐熱性などのバランスを兼ね備えた材料であることも認められるが、上記のような使用条件の苛酷化から、更なる耐熱性の改良が求められており、中でも熱老化時の引張強さの変化率と伸びの変化率の厳縮化が要望されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−100478号公報(第4−5頁、表)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決し、常態物性、圧縮永久歪み特性に優れ、且つ熱老化時の引張強さの変化率と伸びの変化率のバランスに優れるアクリル系ゴム組成物とその加硫物およびそれを用いたホース部品、シール部品、防振ゴム部品を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、カルボキシル基含有アクリル系ゴムに、グアニジン化合物、ジアミン化合物、ヒドロキノン系老化防止剤を組み合わせることによって、常態物性、圧縮永久歪み特性に優れ、且つ熱老化時の引張強さの変化率と伸びの変化率のバランスに優れるアクリル系ゴム組成物とその加硫物およびそれを用いたホース部品、シール部品、防振ゴム部品を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のカルボキシル基含有アクリル系ゴムは、カルボキシル基含有不飽和脂肪酸として、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸またはモノメチルマレート、モノエチルマレート、モノ−n−プロピルマレート、モノイソプロピルマレート、モノ−n−ブチルマレート、モノイソブチルマレート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノ−n−プロピルフマレート、モノイソプロピルフマレート、モノ−n−ブチルフマレート、モノイソブチルフマレート、モノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート、モノ−n−プロピルイタコネート、モノ−n−プロピルシトラコネート、モノ−n−ブチルシトラコネート、モノイソブチルシトラコネート等の脂肪族ジカルボン酸モノエステルの群より選ばれた1種または、2種以上のモノマーを、ポリマー中約0.1〜30質量%の割合で共重合させることを特徴とするアクリル系ゴムである。
【0010】
本発明のカルボキシル基含有アクリル系ゴムは、上記のカルボキシル基含有不飽和脂肪酸とアクリル酸アルキルエステル等の不飽和モノマーを共重合させたものである。
アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0011】
更に共重合可能な他のアクリル酸アルキルエステルとして、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、シアノメチルアクリレート、1−シアノエチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、1−シアノプロピルアクリレート、2−シアノプロピルアクリレート、3−シアノプロピルアクリレート、4−シアノブチルアクリレート、6−シアノヘキシルアクリレート、2−エチル−6−シアノヘキシルアクリレート、8−シアノオクチルアクリレートなどが挙げられる。
【0012】
また、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−(n−プロポキシ)プロピルアクリレート、2−(n−ブトキシ)プロピルアクリレートなどのアクリル酸アルコキシアルキルエステルが挙げられる。
【0013】
更に、1,1−ジヒドロペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,5−トリヒドロペルフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,7−トリヒドロペルフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロデシル(メタ)アクリレートなどの含フッ素(メタ)アクリル酸エステル、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの第3級アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル、メチルアクリレート、オクチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステルが挙げられる。
【0014】
また、本発明のカルボキシル基含有アクリル系ゴムには、本発明の目的を損なわない範囲で上記の単量体と共重合可能な他の単量体を共重合させたものでもよい。
共重合可能な他の単量体としては、メチルビニルケトンのようなアルキルビニルケトン、ビニルエチルエーテル、アリルメチルエーテルなどのビニル及びアリルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンなどのビニル芳香族化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、プロピオン酸ビニル、アルキルフマレートなどのエチレン性不飽和化合物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有化合物、2−クロロエチルビニルエーテル、2−クロロエチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロロアセテート、アリルクロロアセテートなどの活性塩素含有化合物が挙げられる。
【0015】
本発明のカルボキシル基含有アクリル系ゴムは、上記の単量体を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などの公知の方法を用いて共重合することにより得られる。
【0016】
本発明のアクリル系ゴム組成物は、カルボキシル基含有アクリル系ゴムとグアニジン化合物、ジアミン化合物、ヒドロキノン系老化防止剤を組み合わせることにより、良好なホース部品、シール部品、防振ゴム部品等の加硫製品を得ることができる。
【0017】
グアニジン化合物としては、グアニジン、テトラメチルグアニジン、ジブチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジンなどが挙げられ、ジ−o−トリルグアニジンが好適に用いられる。
【0018】
グアニジン化合物の添加量は、アクリル系ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部が更に好ましい。0.1質量部未満では加硫反応が十分に行われず、10質量部を越えると過加硫となり、この場合高温での圧縮永久歪みが悪くなる。
【0019】
ジアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどの脂環族ジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジドなどのジヒドラジド、4,4’−メチレンジアニリン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、o−トルイレンジアミン、m−トルイレンジアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、下記の構造式(1)で示される芳香族ジアミンなどが挙げられ、加工安定性の面から下記の構造式(1)で示される芳香族ジアミンが好適に用いられる。
構造式(1):H N−ph−M−ph−NH
但し、MはO、S、SO 、CONHまたはO−R−Oのうちの1種。
但し、O−R−OのRは、ph、ph−ph、ph−SO −ph、(CH ・・・但しm=3〜5、ph−C(CX −ph・・・X=HまたはF、または(CH )C(CH (CH )のうち1種。
phはベンゼン環を表す。
【0020】
構造式(1)の化合物としては、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、ビス(4−3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンなどを挙げることができる。
【0021】
ジアミン化合物の添加量は、アクリル系ゴム100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部が更に好ましい。
0.01質量部以下では加硫反応が十分に行われず、10質量部を越えると加工安定性が悪くなり好ましくない。
【0022】
ヒドロキノン系老化防止剤としては、ヒドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−第三ブチルヒドロキノン、2,3,5−トリメチルヒドロキノン、2,5−ジメチルヒドロキノン、2,5−ジ−第三アミルヒドロキノン、2,5−ジ−第三ブチルヒドロキノンなどが挙げられるが、2,5−ジ−第三アミルヒドロキノン、2,5−ジ−第三ブチルヒドロキノンが好適に用いられる。
【0023】
ヒドロキノン系老化防止剤の添加量は、アクリル系ゴム100質量部に対して、0.3〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部が更に好ましい。
0.3質量部未満では熱劣化の防止効果が不十分であり、10質量部を越えると常態物性が悪くなり好ましくない。
【0024】
キノリン系老化防止剤としては、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが挙げられる。
【0025】
キノリン系老化防止剤の添加量は、アクリル系ゴム100質量部に対して、0.05〜3質量部が好ましく、0.1〜1質量部が更に好ましい。
0.05質量部未満では熱劣化の防止効果が不十分であり、3質量部を越えると常態物性が悪くなり好ましくない。
【0026】
モノアミン化合物としては、1級アミン、2級アミン、3級アミンのうち少なくとも1種以上のモノアミン化合物が用いられる。
【0027】
1級アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサドデシルアミン、ステアリルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、メタノールアミン、エタノールアミン、アニリン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2−アミノトルエン、3−アミノトルエン、4−アミノトルエン、2,4−ジメチルアニリン、2,3−ジメチルアニリン、2,5−ジメチルアニリン、2,6−ジメチルアニリン、3,4−ジメチルアニリン、3,5−ジメチルアニリン、2,4,5−トリメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリン、3,4,5,6−テトラメチルアニリン、2,4,5,6−テトラメチルアニリン、2,3,5,6−テトラメチルアニリン、2−エチル−3−ヘキシルアニリン、2−エチル−4−ヘキシルアニリン、2−エチル−5−ヘキシルアニリン、2−エチル−6−ヘキシルアニリン、3−エチル−4−ヘキシルアニリン、3−エチル−5−ヘキシルアニリン、3−エチル−2−ヘキシルアニリン、4−エチル−2−ヘキシルアニリン、5−エチル−2−ヘキシルアニリン、4−エチル−3−ヘキシルアニリン、6−エチル−2−ヘキシルアニリン、5−エチル−3−ヘキシルアニリン、3,4,6−トリエチルアニリン、2−メトキシアニリン、3−メトキシアニリン、4−メトキシアニリン、2−メトキシ−3−メチルアニリン、2−メトキシ−4−メチルアニリン、2−メトキシ−5−メチルアニリン、2−メトキシ−6−メチルアニリン、3−メトキシ−2−メチルアニリン、3−メトキシ−4−メチルアニリン、3−メトキシ−5−メチルアニリン、3−メトキシ−6−メチルアニリン、4−メトキシ−2−メチルアニリン、4−メトキシ−3−メチルアニリン、2−エトキシアニリン、3−エトキシアニリン、4−エトキシアニリン、4−メトキシ−5−メチルアニリン、4−メトキシ−6−メチルアニリン、2−メトキシ−3−エチルアニリン、2−メトキシ−4−エチルアニリン、2−メトキシ−5−エチルアニリン、2−メトキシ−6−エチルアニリン、3−メトキシ−2−エチルアニリン、3−メトキシ−4−エチルアニリン、3−メトキシ−5−エチルアニリン、3−メトキシ−6−エチルアニリン、4−メトキシ−2−エチルアニリン、4−メトキシ−3−エチルアニリン、2−メトキシ−2,3,4−トリメチルアニリン、3−メトキシ−2,4,5−トリメチルアニリン、4−メトキシ−2,3,5−トリメチルアニリン、ビス(2−シアノエチル)アミンなどが挙げられる。
【0028】
2級アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジウンデシルアミン、ジドデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジフェニルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ニトロソジメチルアミン、ニトロソジフェニルアミンなどが挙げられる。
【0029】
3級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリウンデシルアミン、トリドデシルアミン、トリテトラデシルアミン、トリヘキサドデシルアミン、トリステアリルアミン、トリオクタデシルアミン、トリエイコシルアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリフェニルアミン、トロシクロヘキシルアミンなどが挙げられる。
【0030】
上記モノアミン化合物の添加量はアクリル系ゴム100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜2質量部が更に好ましい。0.01質量部未満ではロール加工性が著しく悪くなり、一方10質量部を越えると加硫が遅くなり十分な加硫物特性が発現しなくなる。
【0031】
本発明のアクリル系ゴム組成物は、実用に供するに際してその目的に応じ、充填剤、補強剤、可塑剤、滑剤、老化防止剤、安定剤、シランカップリング剤等を添加して成形、加硫を行うことができる。
【0032】
アミン系老化防止剤、ベンズイミダゾール系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤、カルバミン酸塩系老化防止剤、亜リン酸系老化防止剤など請求項記載以外の老化防止剤は、要求されるゴム物性から、2種以上を混合して使用することが可能である。
これらの添加量は合計で、アクリル系ゴム100質量部に対して0.5〜10質量部程度添加することができる。
【0033】
また、カーボンブラック、無水ケイ酸、表面処理炭酸カルシウムなどの充填剤、補強剤も、要求されるゴム物性から、2種以上を混合して使用することが可能である。
これらの添加量は合計で、アクリル系ゴム100質量部に対して30〜100質量部が好ましい。
【0034】
可塑剤としては、通常ゴム用として使用されている可塑剤を添加することができる。例えばエステル系可塑剤、ポリオキシエチレンエーテル系可塑剤、トリメリテート系可塑剤などが挙げられるが、上記に限定されるものではなく、各種の可塑剤が使用できる。
可塑剤の添加量としては、アクリル系ゴム100質量部に対して、50質量部程度まで添加できる。
【0035】
本発明で用いられるアクリル系ゴム組成物におけるゴム成分は、アクリル系ゴムを主成分とするものであるが、アクリル系ゴムの他に、必要に応じて天然ゴム、合成ゴム、例えばIIR、BR、NBR、HNBR、CR、EPDM、FKM、Q、CSM、CO、ECO、CM等を含有することができる。
【0036】
また、本発明のアクリル系ゴム組成物及びその加硫物を混練、成型、加硫する機械としては、通常ゴム工業で用いるものを使用することができる。
【0037】
本発明のアクリル系ゴム組成物及びその加硫物は特にゴムホースやガスケット、パッキング等のシール部品及び防振部材として好適に用いられる。また、ゴムホースとしては、具体的には自動車、建設機械、油圧機器等のトランスミッションオイルクーラーホース、エンジンオイルクーラーホース、エアダクトホース、ターボインタークーラーホース、ホットエアーホース、ラジエターホース、パワーステアリングホース、燃料系ホース、ドレイン系ホース等に使用されるホースに用いられる。
また、シール部品としては、具体的には、エンジンヘッドカバーガスケット、オイルパンガスケット、オイルシール、リップシールパッキン、O−リング、トランスミッションシールガスケット、クランクシャフト、カムシャフトシールガスケット、バルブステム、パワーステアリングシールベルトカバーシール、CVJ及びR&Pブーツ材等が挙げられる。
また、防振ゴム部品としては、ダンパープーリー、センターサポートクッション、サスペンションブッシュ等が挙げられる。
【0038】
ゴムホースの構成としては、本発明のアクリル系ゴム組成物から得た単一ホース、あるいは、ゴムホースの用途によっては、本発明のアクリル系ゴムからなる層に本発明のアクリル系ゴム以外の合成ゴム、例えば、フッ素系ゴム、フッ素変性アクリルゴム、ヒドリンゴム、CSM、CR、NBR、HNBR、エチレン・プロピレンゴム等を内層、中間層、あるいは外層として組み合わせた複合ホースへの適用も可能である。
また、ゴムホースに要求される特性によっては、一般的に行われているように補強糸あるいはワイヤーをホースの中間あるいは、ゴムホースの最外層に設けることも可能である。
【0039】
「実施例」
以下に実施例をもって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
「実験例1」
ポリマーAの作製
内容積40リットルの耐圧反応容器に、アクリル酸エチル7.8Kg、アクリル酸n−ブチル3.4Kg、マレイン酸モノブチル0.5Kg、部分ケン化ポリビニルアルコール4質量%の水溶液17Kg、酢酸ナトリウム22gを投入し、攪拌機であらかじめよく混合し、均一懸濁液を作製した。槽内上部の空気を窒素で置換後、エチレンを槽上部に圧入し、圧力を20Kg/cm2に調整した。攪拌を続行し、槽内を55℃に保持した後、別途注入口よりt−ブチルヒドロペルオキシド水溶液を圧入して重合を開始させた。反応中槽内温度は55℃に保ち、6時間で反応が終了した。生成した重合液に硼酸ナトリウム水溶液を添加して重合体を固化し、脱水及び乾燥を行って生ゴムとした
【0040】
「実験例2」
ポリマーBの作製
エチレンを導入しない以外は実験例1と同様な方法で生ゴムを得た。
【0041】
「実施例及び比較例」
表1に示した配合処方により、8インチロールを用いて配合して得たアクリル系ゴム組成物について評価した。
加硫物の物性試験は、配合物をスチーム加熱式の熱プレスにて170℃×20分間加硫して、試験片(一次加硫物)を作製した。更に熱空気(ギヤーオーブン)にて170℃×4時間加硫した後、この試験片(二次加硫物)を用いて、引張強さ、切断時伸び等の力学的特性を、JIS K6251に準拠して測定した。
硬さはJIS K6253に準拠してデュロメータ硬さ計を用いて、測定を行った。
圧縮永久歪み試験は、JIS K6262に準拠して行った(試験条件は150℃×70時間)。
耐熱性は、JIS K6257に準拠し、175℃×70時間曝露後の引張試験の引張強さの変化率を求めた。変化率は、その絶対値が小さいほど耐熱性が良いことを示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003929390
【0043】
【表2】
Figure 0003929390
【0044】
表1及び表2で用いたMAFは、東海カーボン株式会社製シースト116である。
【0045】
【発明の効果】
実施例と比較例の対比で示すように、本発明のアクリル系ゴム組成物からなる加硫物は、常態物性、圧縮永久歪み特性に優れ、且つ熱老化時の引張強さの変化率と伸びの変化率のバランスに優れている。

Claims (10)

  1. カルボキシル基含有アクリル系ゴムに、グアニジン化合物、ジアミン化合物、ヒドロキノン系老化防止剤を配合してなるアクリル系ゴム組成物。
  2. ヒドロキノン系老化防止剤が、2,5−ジ−第三アミルヒドロキノン及び/または2,5−ジ−第三ブチルヒドロキノンである請求項1記載のアクリル系ゴム組成物。
  3. キノリン系老化防止剤併用することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項記載のアクリル系ゴム組成物。
  4. ジアミン化合物が芳香族ジアミン化合物である請求項1〜3のいずれか1項記載のアクリル系ゴム組成物。
  5. 芳香族ジアミン化合物が、下記の構造式(1)で表される芳香族ジアミン化合物のうち、少なくとも1種以上からなる請求項4記載のアクリル系ゴム組成物。
    構造式(1):H N−ph−M−ph−NH
    但し、MはO、S、SO 、CONHまたはO−R−Oのうちの1種。
    但し、O−R−OのRは、ph、ph−ph、ph−SO −ph、(CH ・・・但しm=3〜5、ph−C(CX −ph・・・X=HまたはF、または(CH )C(CH (CH )のうち1種。
    phはベンゼン環を表す。
  6. 1級アミン、2級アミン、3級アミンのうち少なくとも1種以上のモノアミン化合物を配合してなる請求項1〜5のいずれか1項記載のアクリル系ゴム組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載のアクリル系ゴム組成物を加硫してなる加硫物。
  8. 請求項7記載の加硫物からなるホース部品。
  9. 請求項7記載の加硫物からなるシール部品。
  10. 請求項7記載の加硫物からなる防振ゴム部品。
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