JP4087178B2 - アクリル系ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は加工安全性と引っ張り強度とのバランスに優れたカルボキシル基含有アクリル系ゴム組成物とその加硫物およびそれを用いたゴムホース、シール部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭50−45031号公報には、アクリル酸エステル−ブテンジオン酸モノエステル2元共重合体またはエチレン−アクリル酸エステル−ブテンジオン酸モノエステル3元共重合体にヘキサメチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンカーバメート、4,4’−メチレンジアミン等を加硫剤および加硫促進剤として配合したエラストマー組成物が記載されている。また特開平11−140264公報には、ジアミン化合物加硫促進剤とクアニジン化合物加硫促進剤とベンゾリルスルフェンアミド系化合物加硫促進剤を配合したアクリル系エラストマー組成物が記載されており、スコーチ安定性と圧縮永久歪み特性が優れていることが記載されている。また特開平11−269336には、メルカプトベンヅイミダゾール類とグアニジン類とジアミン化合物を配合したアクリル系エラストマー組成物が記載されており、圧縮永久ひずみが優れていることが記載されている。
【0003】
しかしヘキサメチレンジアミンやヘキサメチレンジアミンカーバメート等のジアミン化合物を加硫剤として配合したエラストマー組成物は、良好な圧縮永久歪みを有するが、スコーチタイムが短く加工安全性が劣り充分なホース、パッキン、ガスケット等の成形材料としては実用的ではなかった。また、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルとジ−o−トリルグアニジンを加硫剤として用いた場合にはスコーチタイムは長いが、ロール加工時の粘着性が酷く、ロール作業が出来ないという問題があった。
【0004】
アクリル系ゴム組成物の加硫方法は、加硫ゴム製品の用途により異なるが、一次加硫はおよそ130℃〜200℃の温度でスチーム加硫、プレス加硫、インジェクション加硫等を数分〜数十分行った後、オーブン等を使用し、およそ140℃〜200℃の温度の熱空気中で、数時間の二次加硫を行っている。
ゴムホースの多くは50℃〜130℃の温度で押し出し成形後、一次加硫としてスチーム加硫が行われる。また、エアダクトホース等ホースの種類によってはインジェクション加硫あるいはプレス加硫した後、二次加硫により成形されている。また、ガスケット等のシール部品は、一般に一次加硫としてインジェクション加硫あるいはプレス加硫した後、二次加硫により成形されている。
アクリル系ゴム組成物は、一次加硫のみでは加硫不足により十分な機械特性とゴム弾性が発現できないため、熱空気加硫での二次加硫が必須であるが、加硫時間短縮による生産性向上の観点から、一次加硫で変形しない程度の十分な機械特性を発現しうるアクリルゴム組成物が求められている。
アクリル系ゴム組成物に架橋剤を添加する場合、オープンロールの他、ニーダーやバンバリーなどの密閉混合機を使用する場合も多く、混練時にスコーチしない加工安全性が求められている。また、押し出し成形、インジェクション成形時には、加工の途中で加温される状態が発生するので、この際も加工安全性は重要な特性となる。
【0005】
白色系補強剤としてシリカが使用されることも多い。シリカは、引っ張り強度が高く、電気絶縁性にも優れるなどの特徴を有するが、そのまま使用した場合、押し出し性などの加工性が悪い場合が発生したり、機械特性も充分ではない。シリカ配合組成物を、ゴムホース、エアダクトホース、ガスケット等のシール部品などに使用する場合、同様な課題があり、加工安全性が良く、一次加硫(スチーム加硫、プレス加硫、インジェクション加硫等)後に十分な機械特性を発現するアクリル系ゴム組成物が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決し、加工安全性が良く、一次加硫(スチーム加硫、プレス加硫、インジェクション加硫等)後に十分な機械特性が発現するアクリル系ゴム組成物およびその加硫物に関するものであり、更にそれを用いたゴムホース、シール部品を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、(A)カルボキシル基含有アクリル系ゴム、(B)シリカ、(C)脂肪族多価アルコール、(D)グアニジン化合物及び(E)下記の構造式(1)で示される芳香族ジアミン化合物とを組み合わせることによって、加工安全性が良く、一次加硫(スチーム加硫、プレス加硫、インジェクション加硫等)後に十分な機械特性を発現するアクリル系ゴム組成物およびその加硫物と、更にそれを用いたゴムホース、シール部品を提供できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
構造式(1):H2N−Ph−M−Ph−NH2
但し、MはO、S、SO2、CONHまたはO−R−Oのうちの1種。
但しO−R−OのRは、Ph、Ph−Ph、
Ph−SO2−Ph、(CH2)m……但しm=3〜5、
(CH2)C(CH3)2(CH2)、または
Ph−C(CX3) 2 −Ph……X=HまたはF。
Phはベンゼン環を表す。
【0008】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の(A))カルボキシル基含有アクリル系ゴムは、カルボキシル基含有不飽和脂肪酸として、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸またはモノメチルマレート、モノエチルマレート、モノ−n−プロピルマレート、モノイソプロピルマレート、モノ−n−ブチルマレート、モノイソブチルマレート、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノ−n−プロピルフマレート、モノイソプロピルマレート、モノ−n−ブチルフマレート、モノメチルイタコネート、モノエチルイタコネート、モノ−n−プロピルイタコネート、モノ−n−プロピルシトラコネート、モノ−n−ブチルシトラコネート、モノイソブチルシトラコネート等の脂肪族不飽和ジカルボン酸モノエステルの群より選ばれた1種または、2種以上のモノマーを、ポリマー中約0.1〜30質量%の割合で共重合させることを特徴とするアクリル系ゴムである。
【0009】
本発明のカルボキシル基含有アクリル系ゴムは、上記のカルボキシル基含有不飽和脂肪酸とアクリル酸アルキルエステル等の不飽和モノマーを共重合させたものである。
アクリル酸アルキルエステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0010】
更に共重合可能な他のアクリル酸アルキルエステルとして、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−オクタデシルアクリレート、シアノメチルアクリレート、1−シアノエチルアクリレート、2−シアノエチルアクリレート、1−シアノプロピルアクリレート、2−シアノプロピルアクリレート、3−シアノプロピルアクリレート、4−シアノブチルアクリレート、6−シアノヘキシルアクリレート、2−エチル−6−シアノヘキシルアクリレート、8−シアノオクチルアクリレートなどが挙げられる。
【0011】
また、2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−(n−プロポキシ)エチルアクリレート、2−(n−ブトキシ)エチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート、2−(n−プロポキシ)プロピルアクリレート、2−(n−ブトキシ)プロピルアクリレートなどのアクリル酸アルコキシアルキルエステルが挙げられる
。
【0012】
更に、1,1−ジヒドロペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,5−トリヒドロペルフルオロヘキシル(メタ)アクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロペルフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,7−トリヒドロペルフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロオクチル(メタ)アクリレート、1,1−ジヒドロペルフルオロデシル(メタ)アクリレートなどの含フッ素アクリル酸エステル、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有アクリル酸エステル、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの第3級アミノ基含有アクリル酸エステル、メチルメタクリレート、オクチルメタクリレートなどのメタクリレートが挙げられる。
【0013】
また共重合可能なモノマーとして、メチルビニルケトンのようなアルキルビニルケトン、ビニルエチルエーテル、アリルメチルエーテルなどのビニル及びアリルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレンなどのビニル芳香族化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルニトリル、アクリルアミド、酢酸ビニル、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、プロピオン酸ビニル、アルキルフマレートなどのエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
【0014】
また、架橋席を有するモノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、2−ペンテン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのカルボン酸基含有化合物、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有化合物、2−クロロエチルビニルエーテル、2−クロロエチルアクリレート、ビニルベンジルクロライド、ビニルクロロアセテート、アリルクロロアセテートなどの活性塩素含有化合物が挙げられる。
【0015】
本発明のアクリル系ゴムは、上記の単量体を乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合などの公知の方法を用いて、共重合することにより得られる。
【0016】
本発明のカルボキシル基含有アクリル系ゴムは、シリカと脂肪族多価アルコールとグアニジン化合物と芳香族ジアミン化合物を組み合わせることにより、良好なゴムホース、シール部品、防振ゴム等の加硫製品を得ることができる。
【0017】
(B)シリカはpHが7.0〜9.0の範囲のものが好ましく、日本シリカ製のニップシールERなどが例として挙げられる。
pHが7より小さいシリカではスコーチタイムが短くなり加工安全性が悪く、また、pHが9を越えるシリカでは加硫速度が遅くなり、引っ張り強度が不十分となるため好ましくない。
【0018】
シリカの添加量は、アクリル系ゴム100質量部に対して50質量部を越え100質量部以下の量、更に好ましくは55〜90質量部が好ましい。
50質量部以下では、硬度、引っ張り強度を補うためのカーボンの使用により、シリカの好ましい特徴である電気絶縁性が、体積固有抵抗として107ohm・cm以下と不十分となる。また100質量部以上では粘度が著しく上昇し加工性が損なわれるため、好ましくない。
【0019】
(C)脂肪族多価アルコールとして、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1.4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
脂肪族多価アルコールの添加により引っ張り強度の向上が見られる。
【0020】
脂肪族多価アルコールの添加量は、アクリル系ゴム100質量部に対して1.0〜5質量部が好ましい。
0.1質量部以下では引っ張り強度が低くなり、5質量部以上では粘度が低下して加工性が損なわれるため、好ましくない。
【0021】
(D)グアニジン系化合物としては、グアニジン、テトラメチルグアニジン、ジブチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、ジ−o−トリルグアニジンなどが挙げられ、ジ−o−トリルグアニジンが好適に用いられる。
【0022】
グアニジン系化合物の添加量は、アクリル系ゴム100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部が更に好ましい。0.1質量部未満では加硫反応が十分に行われず、10質量部を越えると過加硫となり、高温での圧縮永久歪が悪くなる。
【0023】
(E)芳香族ジアミン化合物としては、下記の構造式(1)で示される化合物のうち、少なくとも1種以上からなるものである。
構造式(1):H2N−Ph−M−Ph−NH2
但し、MはO、S、SO2、CONHまたはO−R−Oのうちの1種。
但しO−R−OのRは、Ph、Ph−Ph、
Ph−SO2−Ph、(CH2)m……但しm=3〜5、
(CH2)C(CH3)2(CH2)、または
Ph−C(CX3) 2 −Ph……X=HまたはF。
Phはベンゼン環を表す。
【0024】
構造式(1)の化合物としては、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフォン、ビス(4−3−アミノフェノキシ)フェニルスルフォン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフォンなどをあげることができる。
【0025】
(E)芳香族ジアミン化合物の添加量は、アクリル系ゴム100質量部に対して、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部が更に好ましい。0.01質量部以下では加硫性が不十分であり、10質量部を越えると加工安定性が悪くなり好ましくない。
【0026】
本発明のアクリル系ゴム組成物は、実用に供するに際してその目的に応じ、充填剤、可塑剤、老化防止剤、安定剤、滑剤、補強剤等を添加して成形、加硫を行うことができる。更に、加硫を調整する目的で本発明の(D)グアニジン化合物と(E)芳香族ジアミン化合物の組合せから成る加硫剤以外に他の加硫剤を添加することも可能である。
【0027】
カーボンブラック、表面処理炭酸カルシウムなど請求項記載以外の充填剤、補強剤は、要求されるゴム物性から、2種類以上を混合して使用することも可能である。これらの添加量は合計で、アクリル系ゴム100質量部に対して30〜200質量部が好ましい。
【0028】
可塑剤としては、通常ゴム用として使用されている可塑剤を添加する事ができる。例えばエステル系可塑剤、ポリオキシエチレンエーテル等のエーテル系可塑剤、他にエーテル・エステル系可塑剤等が挙げられるが、上記に限定されるものではなく、各種の可塑剤が使用できる。可塑剤の添加量としては、アクリル系ゴム100質量部に対して50質量部程度まで添加できる。
【0029】
老化防止剤としては、アミン系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩、フェノール系、ワックス等が挙げられるが、アミン系老化防止剤が好ましい。老化防止剤の添加量はアクリル系ゴム100質量部に対して、0.5〜10質量部程度添加することができる。
【0030】
本発明で用いられるアクリル系ゴム組成物におけるゴム成分は、アクリル系ゴムを主成分とするものであるが、アクリル系ゴムの他に、必要に応じて天然ゴムや合成ゴムとしてIIR、BR、NBR、HNBR、CR、EPDM、FKM、Q、CSM、CO、ECO、CM等を含有することができる。
【0031】
また、本発明のアクリル系ゴム、アクリル系ゴム組成物及びその加硫物を混練、成型、加硫する機械としては、通常ゴム工業で用いるものを使用することができる。
【0032】
本発明のアクリル系ゴム、アクリル系ゴム組成物及びその加硫物は特にゴムホースやガスケット、パッキング等のシール部品及び防振部材として用いられる。
また、ゴムホースとして具体的には、高耐久性への要求の高い自動車用を中心に、トランスミッションオイルクーラーホース、エンジンオイルクーラーホース、ターボインタークーラーホース、ターボエアーダクトホース、パワーステアリングホース、ホットエアホース、ラジエターホース、その他産業機械、建設機械の高圧系を含むオイル系、燃料系ホース及びドレーン系ホース等に使用されるホースに用いられる。
また、シール部品としては、具体的には、自動車用に代表されるエンジンヘッドカバーガスケット、オイルパンガスケット、オイルシール、リップシールパッキン、O−リング、トランスミッションシールガスケット、クランクシャフトおよびカムシャフトシールガスケット、パワステアリングシールベルトカバーシール、CVJ及びR&Pブーツ材等が挙げられる。
また、防振ゴム部品としては、ダンパープーリー、センターサポートクッション、サスペンションブッシュ等が挙げられる。
特に、本発明のアクリル系ゴム、アクリル系ゴム組成物及びその加硫物は、機械的性質が優れていることに加えて、耐寒性、耐油性及び耐熱性に優れているため、最近使用環境が苛酷になっている自動車用ゴムホース及びガスケット等のシール部品として極めて好適に用いられる。
【0033】
ゴムホースの構成としては、本発明のアクリル系ゴム組成物から得た単一ホース、あるいは、ゴムホースの用途によっては、本発明のアクリル系ゴムからなる層に本発明のアクリル系ゴム以外の合成ゴム例えば、フッ素系ゴム、フッ素変性アクリルゴム、ヒドリンゴム、CSM、CR、NBR、HNBR、エチレン・プロピレンゴム等を内層、中間層、あるいは外層として組み合わせた複合ホースへの適用も可能である。
また、ゴムホースに要求される特性によっては、一般的によく行われているように補強糸あるいはワイヤーをホースの中間あるいは、ゴムホースの最外層に設けることも可能である。
【0034】
以下に実施例をもって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により特に限定されるものではない。
「実施例及び比較例」
表1に示した配合処方により、8インチロールを用いて配合して得たアクリル系ゴム組成物について評価した。
加硫物の物性試験は、配合物をスチーム加熱式の熱プレスにて170℃×20分間加硫して、試験片(一次加硫物)を作製し、熱空気(ギヤオーブン)にて170℃×4時間二次加硫した(二次加硫物)後、この試験片を用いて、引張強度、伸び等の力学的特性を、JIS K6251に準拠して測定した。
硬度はJIS K6253に準拠してデュロメータ硬さ計を用いて、測定を行った。
圧縮永久歪み試験は、JIS K6262に準拠して行った(試験条件は150℃×70時間)。
【0035】
ムーニースコーチ試験は、JIS K6300に準拠して、L形ローターを使用して、試験温度125℃におけるスコーチタイム(t5)を測定した。
【0036】
【表1】
【0037】
表1で用いたポリマーは、電気化学工業株式会社製カルボキシル基含有アクリル系ゴムであるデンカER−A403。
表1で用いたHAFは、東海カーボン株式会社製シースト3、可塑剤は旭電化工業株式会社製アデカサイザーRS−735。
表1で用いたシリカA(ニップシールER)のpHは7.8、シリカB(ニップシールVN−3)のpHは6.0、シリカC(カープレックス#1120)のpHは10.7。
【0038】
【発明の効果】
実施例と比較例の対比で示すように、本発明のアクリル系ゴム組成物からなる加硫物は、加工安全性と引っ張り強度のバランスに優れている。
Claims (4)
- (A)カルボキシル基含有アクリル系ゴム100質量部に対して、(B)pHが7.0〜9.0であるシリカ20〜100質量部と、(C)ジエチレングリコールおよびグリセリンから選ばれた少なくとも1種以上の脂肪族多価アルコール0.1〜5質量部と、(D)グアニジン化合物0.1〜10質量部と、(E)2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパンおよび1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼンから選ばれた少なくとも1種以上の芳香族ジアミン化合物0.01〜10質量部を含むアクリル系ゴム組成物。
- 請求項1記載のアクリル系ゴム組成物を加硫してなる加硫物。
- 請求項1記載のアクリル系ゴム組成物を加硫してなるホース部品。
- 請求項1記載のアクリル系ゴム組成物を加硫してなるシール部品。
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