JP3927898B2 - 非接触式眼圧計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、眼科医院等で使用する非接触式眼圧計に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の非接触式眼圧計においては、ロータリソレノイドの回転によりピストンをシリンダ内で移動させてシリンダ内の空気を圧縮し、被検眼の角膜に圧縮空気を吹き付けると共に、光源から角膜に測定光を投影し、角膜からの反射光をフォトセンサ等で受光し、フォトセンサのからの出力信号のピークを検出することにより、角膜の所定変形を検出し、そのときのシリンダ内等の内圧を測定し眼圧値に換算する。
【0003】
測定時に被検眼の固視が悪く、アライメントがずれてしまった場合や、まつ毛がかかってしまった場合などは、フォトセンサが光束を正常に受光することができず、フォトセンサの出力が低下してしまい、変形信号のピークが検出できたとしても、その測定の信頼性が低くなる。
【0004】
そのため所定の基準値を設定し、フォトセンサの出力のピーク信号が所定の基準値よりの小さい場合は、そのときの測定をエラーとして不採用とするか、低信頼度マークを付するなどの処理を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら被検眼角膜の反射率は個人差があり、測定の信頼性の判定する基準値は、角膜の反射率を考慮しておらず、或る一定の値を採用している。そのため、角膜の反射率の高い被検眼の場合は、測定時にアライメントずれ等が起きて、フォトセンサからの出力が低下しても基準値を下回らず、本来は信頼度が低いにも拘らず正常な測定と判定される虞れがある。
【0006】
また、角膜の反射率が低い場合は、フォトセンサからの出力は低くなるため、正常な測定にも拘らず基準値を上回らず、測定エラーや低信頼度マークが付いてしまう虞れもある。
【0007】
本発明の目的は、上述の問題点を解消し、被検眼角膜の反射率の差によらず、安定して高い信頼度の判定を行うことができる非接触式眼圧計を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る非接触式眼圧計は、被検眼角膜にアライメント用光束を投影するためのアライメント用光源と、前記アライメント用光束の被検眼からの反射光を受光し、被検眼のアライメント状態を検出するためのアライメント検出手段と、流体を被検眼角膜に吹き付けて角膜を変形させるための加圧手段と、被検眼角膜に測定用光束を投影するための眼圧測定用光源と、被検眼角膜からの前記測定用光束の反射光量を検出するための眼圧測定用受光手段と、前記測定用受光手段からの所定の出力値を検出することにより角膜の所定変形の検出を行うための変形検出手段と、前記アライメント検出手段の検出結果に応じて変更する基準値と前記測定用受光手段の出力とを比較し、信頼度を判定するための信頼度判定手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は非接触式眼圧計の外観図である。基台1上に測定部2が移動自在に載置され、基台1の検者が操作する面には、測定値や被検眼像などの表示を行うモニタ3、測定部2をおおまかに被検眼に位置合わせするためのトラックボール4とローラ5、プリンタ印字スイッチや測定開始スイッチや選択設定スイッチなどが配置されたスイッチパネル6、プリンタ7が配置されている。
【0011】
被検者は検者が操作する面と反対側にある図示しない顔受け部に顔をのせ、測定部2の対物部の前に被検眼が位置することで測定が可能となる。被検眼に対して測定部2は、左右、上下、前後の3軸のモータの駆動により三次元方向に移動でき、測定部2を電動駆動で被検眼に対して位置合わせできるようになっている。
【0012】
図2は測定部2の内部構成を示し、被検眼Eに対向して軸L上に被検眼観察光学系が配置されている。軸L上には被検眼E側から、孔あき窓10、ノズル11、レンズ12、ダイクロイックミラー13、図3に示すような開口部14a〜14cを有するアライメントプリズム絞り14。レンズ15、CCDカメラ16が配列されている。なお、アライメントプリズム絞り14の開口部14a、14bには、プリズム14d、14eが付設されている。
【0013】
また、ダイクロイックミラー13の入射方向側には、レンズ17、ハーフミラー18、ダイクロイックミラー19、投影レンズ20、光源21が配列されている。更に、ハーフミラー18の入射側にはアパーチャ22、フォトセンサ23が配置され、ダイクロイックミラー19の入射側には固視LED24が配置されている。
【0014】
更に、レンズ12、ダイクロイックミラー13、レンズ17により囲まれた圧縮室25にはシリンダ26がチューブ27を介して連通され、シリンダ26のピストン28をソレノイド29により駆動するようにされている。そして、圧縮室25には圧力センサ30が設けられている。
【0015】
被検眼Eの観察像は孔あき窓10、ノズル11の外側、レンズ12を通って、ダイクロイックミラー13を透過し、アライメントプリズム絞り14の開口部14c、レンズ15を経てCCDカメラ16に導かれる。アライメント光学系は、アライメント受光系が観察光学系と一部共用されている。
【0016】
アライメント投影系においては、光源21から光束が発生され、投影レンズ20、ダイクロイックミラー19、ハーフミラー18、レンズ17を透過し、ダイクロイックミラー13で反射され、ノズル11内を経て被検眼Eに向かう。被検眼Eの角膜Ecで反射された光束は、アライメント受光系の孔あき窓10、レンズ12を通って、ダイクロイックミラー13を一部透過してアライメントプリズム絞り14のプリズム14d、14eで2光束に分離され、CCDカメラ16に導かれる。
【0017】
観察光学系では、光束は中央の開口部14cを通り、アライメント受光系では光源18の波長のみ透過するプリズム14d、14eに入射され、左側のプリズム14dで光束が下方に、右側のプリズム14bで光束が上方に屈折され、適正作動距離では、光源のスポット像はCCDカメラ16上の中心付近に垂直線上に並ぶ2輝点として結像される。そのときの前眼部像は、図4(a)に示すようになる。
【0018】
作動距離が前後にずれると、2輝点の各輝点は適正作動距離での輝点位置を基準に、それぞれ別の左右方向に相対移動し、それぞれ図4(b)、(c)に示すようになる。被検眼Eに対して測定部2が上下左右方向に移動すると、2輝点共そのずれ量に応じて上下左右方向に2輝点の相対位置を変えずに移動する。
【0019】
角膜変形検出系の投影光学系はアライメント投影光学系と共用され、光源21から照射された光束は、投影レンズ20、ダイクロイックミラー19、ハーフミラー18、レンズ17を透過し、ダイクロイックミラー13により反射され、レンズ12に照射され被検眼Eに向かう。
【0020】
変形された角膜Ecの角膜反射光束が、孔あき窓10、レンズ12を通って、ダイクロイックミラー13で一部反射され、レンズ17を透過し、ハーフミラー18で一部反射され、アパーチャ22を通ってフォトセンサ23に導かれる。受光光学系は被検眼Eの角膜が圧平されたときに、フォトセンサ23の受光量が最大になるように調整されている。
【0021】
固視標投影光学系においては、固視LED24から照射された光束がダイクロイックミラー19で反射され、ハーフミラー18、レンズ17を透過しダイクロイックミラー13で反射されノズル11内を通り、被検眼Eに導かれる。
【0022】
図5はこの非接触式眼圧計の電気系のブロック回路構成図である。測定スイッチ、スイッチパネル6、トラックボール4、ローラ5に内蔵のロータリエンコーダ、及び測定結果を印字するためのプリンタ7がCPU31のポートに接続されている。
【0023】
CCDカメラ16により撮影された前眼部像の映像信号は、A/Dコンバータ32によりデジタルデータに変換され、画像メモリ33に格納される。CPU31は画像メモリ33に格納された画像データを基に、アライメント輝点の抽出の画像処理を行いアライメントの検出をする。CCDカメラ16で撮影された前眼部像の映像信号は、キャラクタ発生装置34からの信号と合成され、モニタ3上に前眼部像や測定値などが表示される。左右モータ35、上下モータ36、前後モータ37はモータドライバ38に接続され、トラックボール4やローラ5のロータリエンコーダの入力、オートアライメント動作時はアライメントのずれに応じて、CPU31からの指令により駆動される。
【0024】
ロータリソレノイド29はドライバ39に接続され、CPU31の指令により駆動される。圧力センサ30からの出力、フォトセンサ23からの出力はアナログスイッチ40に入力され、アナログスイッチ40はCPU31により2つの入力の中から選択された1つの信号をA/Dコンバータ41に出力する。アナログスイッチ40、A/Dコンバータ41の出力はCPU31に接続されている。また、CPU31にはメモリ42も接続されている。
【0025】
図6はこのように構成された非接触式眼圧計における測定動作のフローチャート図である。先ず、検者はモニタ3上でアライメント輝点が2つ確認できるまでトラックボール4、ローラ5を操作し、左右、上下、前後の各モータ35、36、37を駆動し、被検眼Eと装置の測定部2のおおまかなアライメント調整を行う。その後にスイッチパネル6のスタートスイッチを押し、オートアライメント動作を開始する。
【0026】
オートアライメント動作は、ステップS1ではCCDカメラ16で撮影された被検眼Eの前眼部像の映像信号を、A/Dコンバータ32でデジタルデータに変換し、画像メモリ33に取り込む。次に、ステップS2ではステップS1で取り込んだ画像メモリ33内の画像データからCPU31で画像処理を行い、アライメント用の2つの輝点の位置を検出する。
【0027】
ステップS3では、検出した輝点の位置から左右、上下、前後の各方向のアライメントずれの量を計算する。ステップS4では、アライメントずれが所定範囲内かどうかを判断し、範囲外であればステップS5に移行し、左右、上下、前後の各モータ35、36、37をアライメントずれ量に応じて駆動し測定部2を移動する。そして、これらのステップS1からステップS5までのオートアライメント動作を、ステップS4でアライメントずれが測定可能な所定範囲内であると判断されるまで繰り返す。
【0028】
オートアライメントが完了するとステップS6に移行し、CPU31からの指令によりドライバ39を介してロータリソレノイド29の駆動を開始する。駆動開始と共にピストン28がシリンダ26内を移動し、チューブ27を介して接続された圧縮室25に空気を送り込む、送り込まれた空気が圧縮されノズル11内を通過し、被検眼Eに吹き付けられ角膜Ecの変形が開始される。
【0029】
次のステップS7、S8では、圧縮室25内の内圧信号と角膜変形信号のサンプリングを行う。内圧信号及び変形信号は所定のサンプリング周期で設定された回数のサンプリングを行い、時系列順にメモリ42に格納する。ステップS7では内圧信号のサンプリングを行う。CPU31はアナログスイッチ40の入力を切換え、A/Dコンバータ41に圧力センサ30の信号を入力してA/D変換を行い、デジタルデータをメモリ42に格納する。ステップS8では、角膜変形信号のサンプリングを行う。CPU31はアナログスイッチ40の入力を切換え、A/Dコンバータ41にフォトセンサ23の信号を入力してA/D変換を行い、デジタルデータをメモリ42に格納する。
【0030】
ステップS9で所定回数のサンプリングの終了が判定されると、ステップS10に移行し、サンプリング回数を判定する。ステップS10では、ステップS1で取り込まれた画像メモリ33内のアライメント完了時の前眼部の画像データからアライメント検出用の輝点の輝度を求め、予め用意されている換算式によりエラーレベル及びワーニングレベルを求める。
【0031】
ステップS11ではメモリ42に格納された変形信号のデータから変形信号のピークを検出する。ステップS12ではステップS11で算出したエラーレベルとピーク時のフォトセンサ23のデータとを比較し、ピーク時の大きさがエラーレベル以下であれば、ステップS13に移行しエラー処理を行う。エラー処理では、モニタ3上にエラー表示等を行い、一連の測定動作を終了する。
【0032】
ピーク時の大きさがエラーレベルよりも大きければ、ステップS14に移行する。ステップS14では、ステップS11で算出したワーニングレベルと、ピーク時のフォトセンサのデータとを比較し、ピーク時の大きさがワーニングレベル以下であれば、ステップS15に移行しワーニング処理を行う。ワーニング処理では、ワーニングデータフラグを立てる。
【0033】
その後に、ステップS16に移行し、変形信号がピークとなったときの内圧信号のデータから予め用意された換算式により被検眼の眼圧値を求め、モニタ3上に測定値の表示を行う。更に、ワーニングフラグが立っている場合は測定値に低信頼度マークを付加し、一連の測定動作を終了する。
【0034】
図7はフォトセンサ23の出力とワーニングレベル、エラーレベルの関係を表したグラフ図であり、横軸は経過時間t、縦軸はフォトセンサ23の出力量である。実線で描かれた曲線は通常眼の正常測定時の出力を表し、点線で描かれた曲線は通常眼の1/2の反射率の角膜の正常測定時の出力を表している。
【0035】
仮に、通常眼のピークの1/4のレベルErrをエラーレベル、1/2のレベルWarningをワーニングレベルとすると、反射率が通常眼の1/2の角膜を測定した場合に正常に測定が行われても、ワーニングレベルまでしか出力が上がらず、常に低信頼度の測定と判断されてしまう。アライメントずれなどの要因により、出力が1/2に低下すると、本来はワーニングレベルであるにも拘らず、エラーとなってしまう。
【0036】
そのため、アライメント検出手段の受光光量により、その被検眼Eに対するピーク時の出力の大きさを予測し、図8に示すように反射率の低い角膜に対してはエラーレベルをErr'、ワーニングレベルをWarning'と相対的に変更することにより、角膜Ecの反射率の違いによる信頼度判定のばらつきを低減することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る非接触式眼圧計は、信頼度の判定を行う基準値をアライメント用光束の反射光の光量に応じて変更することにより、被検眼角膜の反射率の差によらず、安定して信頼度の判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態の外観図である。
【図2】 測定部の光学系、機械系の構成図である
【図3】 アライメントプリズム絞りの斜視図である。
【図4】 アライメント光によるアライメント時の前眼部像の説明図である。
【図5】 非接触式眼圧計の電気系のブロック回路構成図である。
【図6】 眼圧測定動作のフローチャート図である。
【図7】 フォトセンサの出力と信頼度レベルのグラフ図である。
【図8】 フォトセンサの出力と信頼度レベルのグラフ図である。
【符号の説明】
11 ノズル
16 CCDカメラ
21 光源
23 フォトセンサ
29 ロータリソレノイド
30 圧力センサ
31 CPU
40 アナログスイッチ

Claims (3)

  1. 被検眼角膜にアライメント用光束を投影するためのアライメント用光源と、前記アライメント用光束の被検眼からの反射光を受光し、被検眼のアライメント状態を検出するためのアライメント検出手段と、流体を被検眼角膜に吹き付けて角膜を変形させるための加圧手段と、被検眼角膜に測定用光束を投影するための眼圧測定用光源と、被検眼角膜からの前記測定用光束の反射光量を検出するための眼圧測定用受光手段と、前記測定用受光手段からの所定の出力値を検出することにより角膜の所定変形の検出を行うための変形検出手段と、前記アライメント検出手段の検出結果に応じて変更する基準値と前記測定用受光手段の出力とを比較し、信頼度を判定するための信頼度判定手段とを備えることを特徴とする非接触式眼圧計。
  2. 前記アライメント検出手段による被検眼で反射されたアライメント光束の受光量に応じて、前記基準値を変更することを特徴とする請求項1に記載の非接触式眼圧計。
  3. 更に前記信頼度判定手段の出力が信頼度なしと判定された場合には、眼圧測定によって得られた測定値に低信頼度マークを付加することを特徴とする請求項1に記載の非接触式眼圧計。
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