JP3926125B2 - ガスバリアフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に食品や医薬品等の包装材料や電子デバイス等のパッケージ材料として用いられるガスバリアフィルムに関する。更に詳しくは、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂からなる耐熱層が積層体中に設けられているガスバリアフィルム、または、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂からなる基材が用いられているガスバリアフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスバリアフィルムは、主に、(イ)内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気等の影響を防ぐために、食品や医薬品等の包装材料として用いられたり、(ロ)液晶表示パネルやEL表示パネル等に形成されている素子が、水蒸気に触れて性能劣化するの避けるために、電子デバイス等のパッケージ材料として用いられている。ガスバリアフィルムには、ガスバリア性を有するフィルムを貼り合わせるものや、ガスバリア性を有する層を含む積層体を湿式成層または乾式成層するものが従来より知られている。
【0003】
中でも、真空蒸着法は、乾式成層の一種であるため、湿式成層のように溶剤(主にトルエンなど)を用いる必要がなく環境適性があるという利点を有し、さらに、乾式成層の中でも特に成層速度が他の方法に比べて速く、安価で大量生産することができるという利点も有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、真空蒸着法によってガスバリアフィルムの積層体中のガスバリア層を形成した場合においては、当該ガスバリア層を蒸着させる部分、つまり真空蒸着法により形成されたガスバリア層の直下の層は高温に曝されるため、当該直下の層が熱により変形したり、層の成分が変化して劣化する場合があり、その結果、ガスバリア性に問題が生じたり、層同士の密着性に問題が生じることがあった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、真空蒸着法により積層体中のガスバリア層を形成した場合であっても、当該ガスバリア層の直下の層が蒸着時の熱により変形したり、劣化することがなく、その結果優れたガスバリア性を有するガスバリアフィルムを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に記載するように、基材フィルムと、当該基材フィルム上に位置しており、真空蒸着法によって形成されたガスバリア層を少なくとも一層有する積層体と、からなるガスバリアフィルムであって、前記積層体中のガスバリア層の直下には、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成されている耐熱層が位置していることを特徴とするガスバリアフィルムことを特徴とするガスバリアフィルムを提供する。
【0007】
この発明によれば、基材フィルムと、当該基材フィルム上に位置しており、真空蒸着法によって形成されたガスバリア層を少なくとも一層有する積層体と、からなるガスバリアフィルムであって、前記積層体中のガスバリア層の直下の層は、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成されているので、ガスバリア層の直下の層は耐熱性に優れており、その結果、真空蒸着法によってガスバリア層を形成した場合、つまり当該直下の層が高温に曝された場合であっても、当該直下の層が変形したり、劣化することがない。したがって、成層速度が速く比較的安価な真空蒸着法を用いて形成したガスバリア層を有していても、積層体を構成する層同士の密着性が低下することはなく、ガスバリア性に優れたガスバリアフィルムとすることができる。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決するために、請求項2に記載するように、請求項1に記載のガスバリアフィルムであって、前記高分子樹脂が、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドのいずれかであることを特徴とするガスバリアフィルムを提供する。
【0009】
この発明によれば、前記高分子樹脂が、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドのいずれかであるので、これらの高分子樹脂は、いずれもガラス転移温度が90℃以上であり、その結果、上記請求項1と同様の効果を奏するガスバリアフィルムとすることができる。
【0010】
さらに、本発明は、上記課題を解決するために、請求項3に記載するように、請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィルムであって、基材フィルムが、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成されており、耐熱層としても機能することを特徴とするガスバリアフィルムを提供する。
【0011】
この発明によれば、請求項1又は請求項2に記載のガスバリアフィルム、つまり積層体中のガスバリア層の直下の層が、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂であるガスバリアフィルムにおいて、当該直下の層だけでなく、基材フィルムもガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成されているので、基材フィルム上に直にガスバリア層を形成する場合であっても、基材フィルムが耐熱層としても機能するので、熱により変形したり、劣化しないガスバリアフィルムとすることができる。
【0012】
また、本発明は、上記課題を解決するために、請求項4に記載するように、請求項3に記載のガスバリアフィルムであって、前記高分子樹脂が、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドのいずれかであることを特徴とするガスバリアフィルムを提供する。
【0013】
この発明によれば、基材フィルムとして用いられる前記高分子樹脂が、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィドのいずれかであるので、これらの高分子樹脂は、いずれもガラス転移温度が90℃以上であり、その結果、上記請求項3と同様の効果を奏するガスバリアフィルムとすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のガスバリアフィルムの一例を示す概略断面図である。
【0015】
図1に示す本発明のガスバリアフィルム1は、基材フィルム2と、当該基材フィルム2上に位置しており、真空蒸着法によって形成されたガスバリア層3を少なくとも一層有する積層体5とからなり、前記積層体5中のガスバリア層3の直下には、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成されている耐熱層4が位置していることに特徴を有している。
【0016】
以下、本発明のガスバリアフィルム1を構成する基材フィルム2、ガスバリア層3、耐熱層4およびガスバリア層3と耐熱層4とからなる積層体3についてそれぞれ説明する。
【0017】
[1]基材フィルム
本発明のガスバリアフィルム1における基材フィルム2は、ガスバリア層3、耐熱層4、その他の薄層からなる積層体3を保持することができるフィルムであれば特に限定されるものではなく、いかなるフィルムをも用いることができる。
【0018】
具体的には、エチレン、ポリプロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂や、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)や、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂や、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂や、リビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂や、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂や、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂や、ポリビニルブチラート(PVB)樹脂や、ポリアリレート(PAR)樹脂や、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂、などを用いることができる。
【0019】
前記に挙げた樹脂等を用いた本発明の基材フィルム2は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
【0020】
本発明の基材フィルム2は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材フィルムを製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材フィルムの流れ(縦軸)方向、または基材フィルムの流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材フィルムを製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材フィルムの原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
【0021】
[2]ガスバリア層
次に、ガスバリア層3について説明する。
【0022】
本発明のガスバリアフィルム1におけるガスバリア層3とは、前記基材フィルム2上に位置する積層体5中に少なくとも一層設けられる薄層であり、ガスバリア性を付与するために真空蒸着法によって形成される薄層である。このガスバリア層3は、真空蒸着法により形成され、ガスバリア性を有していれば特に限定されるものはなく、透明なものであっても不透明なものであってもよい。
【0023】
真空蒸着法によりガスバリア層3を形成する場合においては、酸化アルミニウム層、アルミニウム層、酸化チタン層、ニッケル層、などをガスバリア層4とすることが好ましい。これらの層は、真空蒸着法により比較的容易に形成でき、かつ優れたバスバリア性を有しているからである。なお、真空蒸着法については、従来公知の方法すべてを用いることができ、本発明は特に限定しない。
【0024】
ガスバリア層3の層厚については、以下で説明する積層体5の構造や、ガスバリアフィルムの用途により任意に設定することができ、本発明において特に限定されることはないが、ガスバリアフィルムのフレキシブル性などを考慮すると、5〜500μmが好ましく、5〜50μmが特に好ましい。また、本発明のガスバリアフィルムは、優れたガスバリア性を有していることから、有機ELディスプレイ用のガスバリアフィルム、または太陽電池用ガスバリアフィルムとして用いることが可能であるが、これらの用途で用いる場合には、当該ガスバリア層3の層厚は15〜200nmとすることが生産性等も考慮した場合にはより好ましい。
【0025】
[3]耐熱層
次に耐熱層4について説明する。
【0026】
本発明のガスバリアフィルム1における耐熱層4とは、前記積層体中に少なくとも一層設けられるガスバリア層の直下に設けられる層であり、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成される層である。ここで、ガスバリア層3の直下とは、図1に示すようにガスバリア層4の基材フィルム2側の表面に接する位置を意味する。つまり、本発明のガスバリアフィルム1において、ガスバリア層3の基材側に接している薄層が耐熱層4である。ガスバリアフィルム1は、基材フィルム2上に薄層を順次積層することにより製造されるので、本発明のように、ガスバリア層3の直下に耐熱層4を設けることにより、真空蒸着法によってガスバリア層3を積層する際における被積層部分(つまり、ガスバリア層が形成される部分)は必ず耐熱層が位置していることになる。その結果、真空蒸着法によりガスバリア層3を積層した場合に最も熱の影響を受ける部分が耐熱層なので、当該部分が変形したり、劣化することはない。
【0027】
本発明における耐熱層4は、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成される薄層であればよく、従来公知の高分子樹脂を用いることができる。ガラス転移温度は、従来公知の示差走査型熱量計(DSC)で測定したものである。
【0028】
本発明における耐熱層4を形成する高分子樹脂としては、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、のいずれかであることが好ましい。これらの高分子樹脂は、いずれもガラス転移温度が90℃以上であるから、耐熱性に優れており、ガスバリア層を真空蒸着法によって形成する際の熱の影響を受けることがないからである。
【0029】
この耐熱層4の層厚については、耐熱層としての効果を奏することができる程度の厚さであれば特に限定されず、任意に決定することができる。しかしながら、上述したように、ガスバリアフィルムのフレキシブル性を考慮すると、4.5〜500μmが好ましく、12〜400μmが特に好ましい。
【0030】
[3]積層体
次に積層体5について説明する。
【0031】
本発明のガスバリアフィルム1における積層体5とは、基材フィルム1上に位置し、真空蒸着法によって形成されたガスバリア層3を少なくとも有し、さらに前記ガスバリア層3の直下に位置する耐熱層4を有するものである。したがってガスバリア層3と耐熱層4とを有していればよく、その他の薄層については特に限定されることはなく、様々な特性を有する薄層を任意に積層することができる。
【0032】
図1に示すガスバリアフィルム1における積層体5は、ガスバリア層3とその直下に位置する耐熱層4と、ガスバリア層の上に積層された撥水層6とから構成されている。このように撥水層6を設けることにより、表面に吸着する水や酸素の量を低下させることができ、その結果、ガスバリア性を向上させることができる。
【0033】
本発明に用いられる撥水層6は、その表面の撥水性が、撥水層6表面における水との接触角が測定温度23℃において、60°以上、特に80°以上となるような撥水性であることが好ましい。水との接触角がこの程度以上あれば、表面に水等が吸着することによるガスバリア性の低下を防止することができるからである。ここで、この水との接触角の測定方法は、協和界面化学社の接触角測定装置(型番CA−Z)を用いて求めた値である。すなわち、被測定対象物の表面上に、純水を一滴(一定量)滴下させ、一定時間経過後、顕微鏡やCCDカメラを用い水滴形状を観察し、物理的に接触角を求める方法を用い、この方法により測定された水との接触角を本発明における水との接触角とすることとする。
【0034】
このような撥水層6は、上述したような撥水性を有する層であればどのような方法により形成されたものであってもよい。具体的には、ガスバリア層3と同様に真空蒸着法により形成されたものであってもよいし、撥水層形成材料を溶媒に溶解もしくは懸濁させた撥水層形成用塗工液を塗布することにより形成したものであってもよい。また熱可塑性樹脂を用い、この樹脂を溶融させて塗布することにより形成したものや、ドライフィルムを貼り合せる方法等により形成されたものであってもよい。
【0035】
撥水層6としては、オレフィン系樹脂、ハロゲン系樹脂、又はシリコーン系樹脂などを好適に用いることができ、その層厚は0.5nm〜100μmが好ましく、1nm〜100nmが特に好ましい。
【0036】
図2は、本発明のガスバリアフィルムの別の実施の形態を示す概略断面図である。
【0037】
図2に示す本発明のガスバリアフィルム11は、上記で説明した図1に示す本発明のガスバリアフィルム1と同様に、基材フィルム12と、当該基材フィルム12上に位置しており、真空蒸着法によって形成されたガスバリア層13を少なくとも一層有する積層体15とからなり、前記積層体15中のガスバリア層13の直下には、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成されている耐熱層14が位置していることに特徴を有している。
【0038】
したがって、基材フィルム12、ガスバリア層13、及び耐熱層14それぞれについては、上記図1に示すガスバリアフィルム1のそれと同様であり、ここでの説明は省略する。
【0039】
しかしながら、図2に示すガスバリアフィルム11は、その積層体の構成が図1に示すガスバリアフィルムと異なっている。本発明のガスバリアフィルム11においては、図2に示すような積層体15を形成することも可能である。
【0040】
図2に示す積層体15は、ガスバリア層13とその直下に位置する耐熱層14の組み合わせが4回繰り返して形成した構成となっている。このように、ガスバリア層13とその直下に位置する耐熱層14とを複数回繰り返して形成することにより、ガスバリア性を向上することができ、さらに、本発明のガスバリアフィルム11においては、ガスバリア層13は真空蒸着法により形成されるが、当該ガスバリア層13は必ず耐熱層上に形成されるので、熱により変形したり、劣化することもない。
【0041】
図3は、本発明のガスバリアフィルムのさらに別の実施の形態を示す概略断面図である。
【0042】
図3に示す本発明のガスバリアフィルム21においても、その基本的構成については、図1、2に示すガスバリアフィルム(1、11)と同様であるが、基材フィルム22が、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成されており、耐熱層としても機能することに特徴を有する。このように、基材フィルム22自体をガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成することにより、図3に示すように、当該基材フィルム22に直にガスバリア層23を積層することが可能となる。この結果、ガスバリアフィルム全体の厚さを薄くすることができる。
【0043】
この場合であっても、ガスバリア層23を複数積層することは可能であり(図3に示すガスバリアフィルム21においては二層)、また、その最外層には撥水層26を設けてもよい。
【0044】
基材フィルム22に用いられ、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂としては、上述した耐熱層として用いられる高分子樹脂と同様に、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、アモルファスポリオレフィン、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリノルボルネン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、のいずれかであることが好ましい。
【0045】
次に、本発明のガスバリアフィルムの製造方法について、図1に示すガスバリアフィルム1を例として説明する。
【0046】
図1に示す本発明のガスバリアフィルム1は、基材フィルム2上に、当該基材フィルム2側から耐熱層4、ガスバリア層3、撥水層6が順次積層された構造を有している。
【0047】
したがって、このような本発明のガスバリアフィルム1は、まず上記で説明したような基材フィルム2上に耐熱層4を積層し、次に前記積層された耐熱層4上に真空蒸着法によりガスバリア層3を積層し、最後にガスバリア層3上に撥水層6を積層することにより製造される。以下にそれぞれについて説明する。
【0048】
まず、本発明のガスバリアフィルム1を製造するためには、基材フィルム2上に耐熱層4を積層することが必要であるが、本発明においてはこの方法について特に限定することはない。しかしながら、耐熱層4は、ポリエチレンナフタレート樹脂等の高分子樹脂で形成されるので、ウェットコーティング法により基材樹脂2上に形成したり、または、基材フィルム2と耐熱層4としての高分子樹脂を貼り合わせることにより、結果的に基材フィルム2上に耐熱層4を積層してもよい。あるいは、真空中で、耐熱性樹脂の構成成分であるモノマーを蒸着しながら重合化する方法により、耐熱層を積層してもよい。
【0049】
次に、耐熱層4上に真空蒸着法によりガスバリア層3を積層する方法について説明する。本発明において、ガスバリア層3を積層する方法については、真空蒸着法であれば特に限定されず、従来公知の様々な真空蒸着法(真空蒸着装置)を用いることができる。
【0050】
図4は、真空蒸着法によりガスバリア層3を積層するための巻き取り式真空蒸着装置40を示す概略図である。
【0051】
図4に示すように、巻き取り式真空蒸着装置40は、真空チャンバー41内に巻き出しロール42、ガイドロール43,44、冷却されたコーティングドラム45、ガイドロール46,47、巻き取りロール48を備えており、コーティングドラム45の下方には、マスク49,49を介して、金属あるいは金属酸化物であるガスバリア層の原料Mを保持し加熱するためのるつぼ50、および、酸素ガス吹出口51が配設されている。
【0052】
上記の巻き取り式真空蒸着装置40において、巻き出しロール42から繰り出された被蒸着物F(基材フィルム2上に耐熱層4を積層したもの)は、ガイドロール43,44に案内されてコーティングドラム45に送られる。一方、るつぼ50を加熱することにより原料M、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、必要ならば、酸素ガス吹出口51から酸素ガスを噴出し、マスク49,49を介して、コーティングドラム45上を搬送される被蒸着物Fに衝突させて成層を行い、バリア層3を形成する。
【0053】
次いで、被蒸着物Fは、コーティングドラム45の下流側に搬送され、ガイドロール46,47により巻き取りロール48に巻き取られる。
【0054】
このような巻き取り式真空蒸着装置40を用いることにより、長尺のガスバリアフィルムを容易に製造することができるとともに、被蒸着物Fの送り速度を調節することでガスバリア層3の層厚を自由に変化させることができる。
【0055】
図1に示す本発明のガスバリアフィルム1を製造する場合には、上記巻き取り式真空蒸着装置40によって形成したガスバリア層3上に撥水層6を積層する。
【0056】
本発明においては、撥水層6の積層方法については特に限定することはなく、従来公知の方法により形成することができる。
【0057】
また、ガスバリア層3を積層するための装置(巻き取り式真空蒸着装置40)により撥水層6を積層することも可能である。図4に示すように、積層されたバリア層3がガイドロール27に接触する前に、蒸着重合装置52を設けることにより、撥水層6として、オレフィン系、若しくはフッ素系樹脂、具体的には例えば低分子量ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を当該装置40を用いて積層することができる。
【0058】
具体的には、蒸着重合装置52は、内部に蒸発装置53(図4においては2個)と、この近傍にハロゲンランプやニクロム線等の加熱装置54を備え、蒸発装置53内の蒸発源mを蒸発させて、開閉可能はシャッター装置55を開くことにより、搬送される被蒸着物Fのバリア層3上に撥水層6を積層することができる。
【0059】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0060】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。
【0061】
(実施例1)
基材フィルムとして、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その上に耐熱層としてポリエチレンナフタレート樹脂を厚さ25μmに形成した。そして、さらに前記耐熱層の上にガスバリア層として酸化アルミニウムを厚さ25nmとなるように真空蒸着法によって形成し、その上に撥水層としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を厚さ5nmとなるように形成し、実施例1のガスバリアフィルムを形成した。
【0062】
なお、耐熱層は従来公知のドライラミネート法により形成し、ガスバリア層、及び撥水層は、前記で説明した巻き取り式真空蒸着装置40を用いて形成した。
【0063】
(実施例2)
基材フィルムとして、耐熱層としても機能する、厚さ50μmのポリエチレンナフタレート樹脂フィルムを用い、その上にガスバリア層として酸化アルミニウムを厚さ25nmとなるように真空蒸着法によって形成し、さらにその上に撥水層としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を厚さ5nmとなるように形成して、実施例2のガスバリアフィルムを形成した。
【0064】
なお、本実施例におけるガスバリア層、撥水層についても、前記実施例1の場合と同様に巻き取り式真空蒸着装置40を用いて形成した。
【0065】
(比較例1)
基材フィルムとして、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用い、その上にガスバリア層として酸化アルミニウムを厚さ25nmとなるように真空蒸着法によって形成し、さらにその上に撥水層としてポリテトラフルオロエチレン樹脂を厚さ5nmとなるように形成して、比較例1のガスバリアフィルムを形成した。
【0066】
なお、この比較例1におけるガスバリア層、撥水層についても、前記実施例1の場合と同様に巻き取り式真空蒸着装置40を用いて形成した。
【0067】
(ガスバリアフィルムの評価)
上記の方法で形成した実施例1、2、及び比較例1のガスバリアフィルムにすいて、それぞれ酸素透過率試験と水蒸気透過率試験を調べた。結果を以下の表1に示す。
【0068】
なお、酸素透過率は、酸素ガス透過率測定装置(MOCON社製:OX−TRAN 2/20)を用いて、23.0℃、90%Rhの条件で測定した値であり、水蒸気透過率は水蒸気透過率測定装置(MOCON社製:PERMATRAN−W 3/31)を用い、37.8℃、100%Rhの条件で測定した値である。
【0069】
【表1】
Figure 0003926125
【0070】
通常、ガスバリアフィルムの性能の良否を判断する場合には、酸素透過率が0.5cc/m2/day、水蒸気透過率が0.5g/m2/dayを基準とし、これらの基準以下の場合には、ガスバリア性が優れていると判断される。そうすると、上記表1からも明らかなように、実施例1、2のガスバリアフィルムは共に酸素透過率が0.5cc/m2/day以下であり、水蒸気透過率が0.5g/m2/day以下であるのでいずれも優れたガスバリア性を有していることが分かった。
【0071】
一方、比較例1のガスバリアフィルムは、酸素透過率が0.5cc/m2/dayより大きく、水蒸気透過率も0.5g/m2/dayより大きく、本発明の実施例に比べガスバリア性が劣っていることが分かった。
【0072】
【発明の効果】
この発明によれば、基材フィルムと、当該基材フィルム上に位置しており、真空蒸着法によって形成されたガスバリア層を少なくとも一層有する積層体と、からなるガスバリアフィルムであって、前記積層体中のガスバリア層の直下の層は、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂によって形成されているので、ガスバリア層の直下の層は耐熱性に優れており、その結果、真空蒸着法によってガスバリア層を形成した場合、つまり当該直下の層が高温に曝された場合であっても、当該直下の層が変形したり、劣化することがない。したがって、成層速度が速く比較的安価な真空蒸着法を用いて形成したガスバリア層を有していても、積層体を構成する層同士の密着性が低下することはなく、ガスバリア性に優れたガスバリアフィルムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスバリアフィルムの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明のガスバリアフィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明のガスバリアフィルムの他の一例を示す概略断面図である。
【図4】巻き取り式真空蒸着装置の概略断面図である。
【符号の説明】
1,11,21 ガスバリアフィルム
2,12,22 基材フィルム
3,13,23 ガスバリア層
4,14,24 耐熱層
5,15,25 積層体
6,26 撥水層
40 イオンビームスパッタリング装置

Claims (2)

  1. 基材フィルムと、
    当該基材フィルム上に位置しており、真空蒸着法によって形成された少なくとも一層のガスバリア層と、当該ガスバリア層の上に形成された撥水層と、を有する積層体と、からなるガスバリアフィルムであって、
    前記撥水層は、オレフィン系樹脂、ハロゲン系樹脂、又はシリコーン系樹脂からなり、その表面における水との接触角が23℃において60°以上であり、
    前記積層体中のガスバリア層の直下には、ガラス転移温度が90℃以上の高分子樹脂からなる耐熱層が位置していることを特徴とするガスバリアフィルム。
  2. 前記基材フィルムが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリビニルブチラート(PVB)、ポリアリレート(PAR)、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル共重合体(EPA)から選択された何れかの樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のガスバリアフィルム。
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