JP3926018B2 - 半凝固金属の製造方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融金属から所定のスラリーを得るための半凝固金属の製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、アルミニウムやマグネシウム、またはそれぞれの合金等の溶融金属を使用し、成形用に1ショット分の半凝固金属、すなわち、スラリーを製造する作業が行われている。スラリーを使用した成形作業では、特に成形品の表面精度に優れる等の利点があることが知られている。この種のスラリーを製造するために、例えば、チクソキャスト法およびレオキャスト法が広く採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のチクソキャスト法では、専用のビレットおよび再加熱装置が必要となっている。このため、材料コストおよび設備コストが相当に高騰するとともに、製造作業全体が煩雑であるという問題が指摘されている。
【0004】
一方、上記のレオキャスト法は、連続バッチ方式により大量製造を行うものであり、その冷却は、水冷された冷却部に溶湯を接触させながら排出することにより行われている。このため、スラリーの温度が冷却の始めと終わりとでは異なってしまい、前記スラリーの温度管理が精密に遂行されないという問題がある。
【0005】
また、成形機内で冷却、加熱および撹拌によりスラリーを製造する方法も知られているが、サイクルタイムが長くなるとともに、特にショット重量が増大するという不具合が生じている。
【0006】
本発明は、この種の問題を解決するものであり、所望のスラリーを効率的かつ経済的に製造することが可能な半凝固金属の製造方法および装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、本発明に係る半凝固金属の製造方法は、溶融金属を貯留する有底の断熱性るつぼに、成形用に1ショット分の溶融金属を1ショット毎に供給する工程と、前記断熱性るつぼ内に貯留された前記溶融金属を、該溶融金属の温度以下の所定温度に冷却された冷却部材を介して冷却するとともに、前記冷却部材を回転させながら該冷却部材を前記断熱性るつぼの形状に沿うように水平方向および/または上下方向に移動させて前記1ショット分の溶融金属を撹拌する工程と、前記溶融金属が所定のスラリー状態に撹拌された後、前記撹拌工程を終了しかつ前記冷却部材を前記断熱性るつぼ内から1ショット毎に離脱させ、スラリー状態の1ショット分の溶融金属を、前記断熱性るつぼから1ショット毎に成形機の投入口に落下排出する工程と、前記冷却部材を前記断熱性るつぼ内から1ショット毎に離脱させた後、該冷却部材の表面に付着した凝固物を除去する工程とを有することを特徴とする。また、本発明に係る半凝固金属の製造装置は、1ショット分の溶融金属が供給されて該溶融金属を保持する有底の断熱性るつぼと、前記溶融金属の温度以下の所定温度に冷却されており、前記断熱性るつぼ内に供給され保持された1ショット分の溶融金属を1ショット毎に冷却する冷却部材と、前記冷却部材を回転させながら前記断熱性るつぼの形状に沿うように該冷却部材を水平方向および/または上下方向に移動させて1ショット分の溶融金属を撹拌する移動機構と、前記溶融金属が所定のスラリー状態に攪拌された後、前記攪拌を終了しかつ前記冷却部材を前記断熱性るつぼ内から1ショット毎に離脱させる手段と、前記冷却部材を断熱性るつぼ内から離脱させた後、該冷却部材を1ショット毎に前記溶融金属の温度以下の所定温度に冷却し、該冷却部材の表面に付着した凝固物を1ショット毎に除去する手段と、前記断熱性るつぼから前記溶湯金属を1ショット毎に成形機の投入口に落下排出する機構とを備えることを特徴とする。
【0008】
このため、特に種々の形状の異なる断熱性るつぼが使用される際にも、この断熱性るつぼの形状に沿って冷却部材を移動させることにより、冷却の指向性を可及的に阻止して溶融金属を有効に撹拌することができる。これにより、溶融金属が全体的に均一かつ確実にスラリー化し、所望の半凝固金属を効率的かつ高品質に得ることが可能になる。
【0009】
また、本発明では、冷却部材の外形が、角が4以上の多角形状、角が4以上の面取り多角形状、楕円形状又は複合楕円形状からなり、かつ、下方に向かって抜き勾配を有している。従って、溶融金属の撹拌が円滑に遂行されるとともに、冷却部材を半凝固金属から確実に抜き取ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る半凝固金属の製造方法を実施するための製造装置10の概略斜視説明図である。
【0011】
製造装置10は、アルミニウム、その合金、マグネシウム、またはその合金等の溶融金属からなる溶湯12を保持する溶湯保持炉14と、この溶湯保持炉14内から所定量(1ショット分)の溶湯12を汲み出す溶湯汲み出しロボット16と、前記溶湯汲み出しロボット16により汲み出された該溶湯12が給湯される分割型の断熱性るつぼ18a、18bと、前記るつぼ18a、18bを配置して該るつぼ18a、18b内の溶湯12を冷却および撹拌する撹拌機20と、前記るつぼ18a、18b内で所望のスラリー状態になった半凝固金属22を成形機24の図示しないキャビテイに連通するスラリー投入口26に供給する供給ロボット28とを備える。
【0012】
溶湯汲み出しロボット16は、支柱30上に旋回自在に設けられたアーム32を備え、このアーム32の先端にラドル34が傾動可能に装着される。
【0013】
図1および図2に示すように、るつぼ18a、18bは、有底円筒体を直径方向に2分割して構成されており、それぞれの外周部には、対をなす鈎状突起部36a、36bと対をなす溝部38a、38bとが軸方向に直線状に配設されている。るつぼ18a、18bの合わせ面には、液密性を維持するために耐熱パッキン40が介装されている。
【0014】
撹拌機20は、るつぼ18a、18bが収容される分割型のるつぼ受台42a、42bを備え、このるつぼ受台42a、42bは、有底円筒体を直径方向に2分割して構成されており、それぞれの下端側角部が支点44a、44bを介して設置面46に対し揺動自在に支持される。るつぼ受台42a、42bの側部には、シリンダ48a、48bから延在するロッド50a、50bが連結される一方、前記シリンダ48a、48bが設置面46に対して傾動自在である。るつぼ受台42a、42bが閉動された際にこれらの中に凹部52が一体的に構成されるとともに、前記凹部52を周回してヒータ54a、54bが埋設されている。
【0015】
るつぼ受台42a、42bの上方には、撹拌機能を兼ねた冷し金(冷却部材)56が回転部58に対してセラミック製カプラ59を介し取り外し可能に配置される。冷し金56は、溶湯12として使用される、例えば、アルミニウム溶湯の溶湯温度で溶けない材質、例えば、銅やステンレス等により構成されている。この冷し金56の外形は、四角柱形状に設定されるとともに、下方に向かって抜き勾配を有している。
【0016】
回転部58が冷し金56を回転駆動する一方、この回転部58は、移動機構60を介して冷し金56と一体的に昇降自在に構成されるとともに、水平方向に渦巻き状に移動する(図3参照)。すなわち、移動機構60は、昇降手段と渦巻き状移動手段の2つの機能を有している。
【0017】
冷し金56は、溶湯12の撹拌および冷却を行う毎(1ショット毎)に、前記回転部58から取り外されて冷し金処理装置に送られる。図4に示すように、冷し金処理装置は、回転部58から離脱された冷し金56を冷却油等の冷却媒体により冷却するための冷却槽62と、冷却処理後の前記冷し金56にエアブローを行ってその表面からアルミニウム凝固物を除去するためのエアブロー手段64と、エアブロー処理後の前記冷し金56をセラミック材のコーティング液内に浸漬させるコーティング槽66と、コーティング処理後の該冷し金56をヒータ68により乾燥させる乾燥手段70とを備える。
【0018】
図1に示すように、供給ロボット28は、手首部74を備え、この手首部74には、シリンダ76a、76bが装着されている。シリンダ76a、76bから互いに逆方向に延在するロッド78a、78bに、鉛直下方向に向かってアーム部材80a、80bの端部が固着される。このアーム部材80a、80bには、るつぼ18a、18bのそれぞれの突起部36a、36bに挿入して係合される一対の外側突起82a、82bと、前記るつぼ18a、18bの溝部38a、38bに嵌合する一対の内側突起84a、84bとが設けられる。
【0019】
このように構成される第1の実施形態に係る製造装置10の動作について、以下に説明する。
【0020】
先ず、溶湯保持炉14内でアルミニウム溶湯である溶湯12が650℃〜700℃程度に加熱保持された状態で、溶湯汲み出しロボット16が駆動される。溶湯汲み出しロボット16は、アーム32の作用下にラドル34が溶湯保持炉14内に挿入され、このラドル34が傾動することにより1ショット分の溶湯12が該ラドル34により汲み出される。
【0021】
溶湯12を汲み出したラドル34は、図5Aに示すように、るつぼ受台42a、42bに収容されて互いに密着しているるつぼ18a、18b上で傾動し、前記るつぼ18a、18b内に1ショット分の溶湯12が注湯される。その際、るつぼ受台42a、42bは、ヒータ54a、54bが駆動されて予め所定の温度(例えば、580℃)に維持されている。
【0022】
次いで、冷し金56が、水分除去および冷却条件の安定化のために予め100℃程度に加熱保持されており、前記冷し金56が回転部58を介して比較的低速で所定方向に回転しながら、るつぼ18a、18b内の溶湯12中に浸漬される(図5B参照)。その後、回転部58の作用下に冷し金56が溶湯12中で回転速度を上げるとともに、図3に示すように、前記冷し金56が移動機構60を介して前記溶湯12中で渦巻き状に移動する。これにより、冷し金56は、溶湯12を冷却しながらこの溶湯12を迅速に撹拌する。
【0023】
冷し金56が、予め設定された時間だけ、あるいはスラリー供給信号が入力されるまで溶湯12の撹拌を行った後、この冷し金56が回転しながらるつぼ18a、18bから引き上げられる。このため、るつぼ18a、18b内には、全体的に一定温度に保持された半凝固金属22が得られる。
【0024】
そこで、図5Cに示すように、供給ロボット28が撹拌機20を構成するるつぼ18a、18b上に対応して移動される。撹拌機20では、回転部58が上方に待機するとともに、冷し金56が取り外されており、供給ロボット28では、手首部74を介してアーム部材80a、80bが下方向に移動する。そして、アーム部材80a、80bのそれぞれの外側突起82a、82bがるつぼ18a、18bの突起部36a、36bに嵌合するとともに、それぞれの内側突起84a、84bが前記るつぼ18a、18bの溝部38a、38bに嵌合する。
【0025】
次に、図5Dに示すように、シリンダ48a、48bの作用下にるつぼ受台42a、42bが互いに離間する方向に揺動し、凹部52に収容保持されているるつぼ18a、18bは、アーム部材80a、80bに保持された状態で取り出される。手首部74は、成形機24のスラリー投入口26の上方に配置された後、シリンダ76a、76bが駆動されて、ロッド78a、78bが互いに離間する方向に変位する。
【0026】
従って、ロッド78a、78bに固着されているアーム部材80a、80bが互いに離間する方向に変位し、前記アーム部材80a、80bに保持されているるつぼ18a、18bが互いに開放される。るつぼ18a、18b内には、半凝固金属22が製造されており、この半凝固金属22は、前記るつぼ18a、18bが開放されることにより落下してスラリー投入口26に供給される(図5E参照)。成形機24では、半凝固金属22を用いた成形処理が行われ、所定の成形品が得られることになる。
【0027】
供給ロボット28は、空になったるつぼ18a、18bをエアブロー位置に移動してエアブロー処理を施すことにより、このるつぼ18a、18b内に残存するアルミニウム凝固物が除去される。次いで、るつぼ18a、18bの内部にセラミック材等によりコーティング処理が施された後、このるつぼ18a、18bがるつぼ受台42a、42b内に配置される。
【0028】
撹拌機20では、溶湯12の冷却および撹拌を行って上方に取り出された冷し金56が、回転部58から離脱されてロボット等により冷し金処理装置に移送される。この冷し金処理装置では、図4に示すように、冷し金56が、先ず、冷却槽62内に浸漬されて冷却処理が行われた後、エアブロー手段64を介してこの冷し金56の表面に付着しているアルミニウム凝固物の除去が行われる。さらに、冷し金56は、コーティング槽66内のコーティング液に浸漬されてその表面にセラミック材がコーティングされる。冷し金56の表面が溶湯12と反応することを防止するとともに、前記冷し金56の表面に付着したアルミニウム凝固物の除去が容易に遂行されるからである。
【0029】
コーティング処理後の冷し金56には、乾燥手段70を構成するヒータ68の作用下に乾燥処理が施されるとともに、この冷し金56が所定の温度に加温される。乾燥処理後の冷し金56は、回転部58に装着されて新たな溶湯12の冷却および撹拌作業に再使用される。
【0030】
この場合、第1の実施形態では、るつぼ18a、18b内の溶湯12をこの溶湯12の温度よりも低い温度に保持された冷し金56により冷却するとともに、この冷し金56を回転させながら前記るつぼ18a、18bの形状に沿って水平方向に渦巻き状に移動させて撹拌している。このため、るつぼ18a、18b内で溶湯12の冷却に指向性が発生することがなく、全体的に均一かつ確実にスラリー化した所望の半凝固金属22を迅速に得ることができる。従って、半凝固金属22を再加熱する必要がなく、この半凝固金属22を成形機24のスラリー投入口26に直接供給することが可能になる。
【0031】
これにより、常に安定した半凝固金属22を1ショット毎に得ることができ、しかも再加熱装置等の設備が不要になって経済的かつ効率的に前記半凝固金属22を製造することが可能になるという効果が得られる。さらに、冷し金56の外形が四角柱形状に設定されており、溶湯12を確実に撹拌することができる。また、冷し金56が下方に向かって抜き勾配を有しており、この冷し金56を半凝固金属22から円滑に抜き取ることが可能になる。
【0032】
なお、第1の実施形態では、冷し金56の表面に付着しているアルミニウム凝固物を除去するために、エアブロー手段64を使用しているが、これに代替して振動発生手段やサンドブラスト等を用いることができる。また、分割型のるつぼ18a、18bを使用しているが、有底円筒形状を有する一体型のるつぼを用いることも可能である。
【0033】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る半凝固金属の製造方法を実施するための製造装置を構成する撹拌機90の概略斜視説明図である。
【0034】
この撹拌機90は、分割型のるつぼ92a、92b内の溶湯94を冷却および撹拌する一対の冷し金(冷却部材)96a、96bを備える。冷し金96a、96bは、回転部98a、98bに対してセラミック製カプラ100a、100bを介し取り外し可能に配置される。冷し金96a、96bは、冷し金56と同様に、例えば、銅やステンレス等により構成されており、四角柱形状の外形に設定されるとともに、下方に向かって抜き勾配を有している。
【0035】
回転部98a、98bが冷し金96a、96bを回転駆動する一方、この回転部98a、98bは、移動機構102を介して前記冷し金96a、96bと一体的に昇降自在に構成されるとともに、るつぼ92a、92bの長手方向(矢印A方向)に沿って水平方向に往復移動する。すなわち、移動機構102は、昇降手段と水平移動手段の2つの機能を有している。
【0036】
るつぼ92a、92bは、互いに密着した状態で矩形状に設定されており、その合わせ面には、耐熱パッキン104が介装されている。このるつぼ92a、92bが、図示しない分割型のるつぼ受台に配置される。なお、分割型のるつぼ92a、92bに代替して一体型のるつぼを採用してもよい。
【0037】
このように構成される第2の実施形態では、先ず、互いに密着されているるつぼ92a、92b内に1ショット分の溶湯94が給湯された後、移動機構102を介して冷し金96a、96bが前記るつぼ92a、92bの上方に配置される。次いで、回転部98a、98bの作用下に冷し金96a、96bが回転しながら下降する。
【0038】
そして、冷し金96a、96bがるつぼ92a、92b内の溶湯94中に浸漬された後、または回転駆動と同時に、移動機構102の作用下に水平方向に往復移動される。このため、冷し金96a、96bは、るつぼ92a、92b内の溶湯94を冷却するとともに、前記溶湯94を前記るつぼ92a、92bの形状に沿って撹拌する。
【0039】
このように、第2の実施形態では、冷し金96a、96bが回転しながらるつぼ92a、92bの長手方向(矢印A方向)に沿って往復移動するため、このるつぼ92a、92b内全体にわたって溶湯94を確実かつ有効に撹拌することができる。従って、るつぼ92a、92b内では、冷却に指向性を有しない、全体的に均一かつ良好なスラリー状態の所望の半凝固金属22を得ることが可能になる等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0040】
図7は、本発明の第3の実施形態に係る半凝固金属の製造方法を実施するための製造装置を構成する撹拌機120の概略斜視説明図である。
【0041】
この撹拌機120は、分割型のるつぼ122a、122b内の溶湯124を冷却しながら撹拌する冷し金(冷却部材)126を備える。冷し金126は、回転部128に対してセラミック製カプラ130を介し取り外し可能に配置される。冷し金126は、前記冷し金56と同様に、例えば、銅やステンレス等により構成されており、四角柱形状の外形に設定されるとともに、下方に向かって抜き勾配を有している。
【0042】
回転部128が冷し金126を回転駆動する一方、この回転部128は、移動機構132を介して前記冷し金126と一体的に昇降自在に構成される。すなわち、移動機構132は、冷し金126をるつぼ122a、122bの長手方向(矢印B方向)に沿って往復移動させる上下移動手段としての機能を有している。
【0043】
るつぼ122a、122bは、互いに密着した状態で円筒形状に設定されており、その合わせ面には、耐熱パッキン134が介装されている。このるつぼ122a、122bが、図示しない分割型のるつぼ受台に配置される。なお、分割型のるつぼ122a、122bに代替して一体型のるつぼを採用してもよい。
【0044】
このように構成される第3の実施形態では、先ず、互いに密着されているるつぼ122a、122b内に1ショット分の溶湯124が給湯された後、移動機構132を介して冷し金126が前記るつぼ122a、122bの上方に配置される。
【0045】
次いで、冷し金126は、回転部128の作用下に回転しながら、移動機構132を介して下降する。この冷し金126は、るつぼ122a、122b内の溶湯124中に浸漬された後に、移動機構132の作用下に上下方向に往復移動を行う。このため、冷し金126は、るつぼ122a、122b内の溶湯124を冷却するとともに、前記溶湯124を前記るつぼ122a、122bの形状に沿って撹拌する。
【0046】
このように、第3の実施形態では、冷し金126が回転しながらるつぼ122a、122bの長手方向(矢印B方向)に沿って往復移動するため、このるつぼ122a、122b内全体にわたって溶湯124を確実かつ有効に撹拌することができる。従って、冷却に指向性を有しない、全体的に均一かつ良好なスラリー状態を有する所望の半凝固金属22を得ることが可能になる等、第1および第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
なお、第1〜第3の実施形態では、冷し金56、96a、96bおよび126が四角形状に設定されているが、これに限定されるものではない。例えば、外形が楕円状に設定された冷し金140(図8)、外形が複合楕円状に設定された冷し金142(図9)、外形が面取り四角形状に設定された冷し金144(図10)、外形が六角形状に設定された冷し金146(図11)、または、外形が面取り六角形状に設定された冷し金148(図12)等を使用してもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る半凝固金属の製造方法および装置では、るつぼ内の溶融金属が冷却部材を介して冷却されるとともに、この冷却部材が前記るつぼの形状に沿って移動することにより、前記溶融金属が撹拌される。このため、断熱性るつぼ内では、溶融金属が全体的に均一かつ確実にスラリー化し、冷却に指向性を有しない所望の半凝固金属を容易かつ効率的に得ることができる。しかも、半凝固金属を再加熱する必要がなく、設備費の高騰を確実に阻止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半凝固金属の製造方法を実施するための製造装置の概略斜視説明図である。
【図2】前記製造装置を構成する撹拌機の説明図である。
【図3】前記撹拌機の概略斜視説明図である。
【図4】前記撹拌機を構成する冷し金を処理するための冷し金処理装置の説明図である。
【図5】図5A〜図5Eは、前記製造装置の動作を示す工程図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る半凝固金属の製造方法を実施するための製造装置を構成する撹拌機の概略斜視説明図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る半凝固金属の製造方法を実施するための製造装置を構成する撹拌機の概略斜視説明図である。
【図8】外形が楕円状に設定された冷し金の説明図である。
【図9】外形が複合楕円状に設定された冷し金の説明図である。
【図10】外形が面取り四角形状に設定された冷し金の説明図である。
【図11】外形が六角形状に設定された冷し金の説明図である。
【図12】外形が面取り六角形状に設定された冷し金の説明図である。
【符号の説明】
10…製造装置 12、94、124…溶湯
14…溶湯保持炉 16…溶湯汲み出しロボット
18a、18b、92a、92b、122a、122b…るつぼ
20、90、120…撹拌機 22…半凝固金属
24…成形機 28…供給ロボット
42a、42b…るつぼ受台 54a、54b、68…ヒータ
56、96a、96b、126、140、142、144、146、148…冷し金
58、98a、98b、128…回転部
60、102、132…移動機構
Claims (10)
- 溶融金属を貯留する有底の断熱性るつぼに、成形用に1ショット分の溶融金属を1ショット毎に供給する工程と、
前記断熱性るつぼ内に貯留された前記溶融金属を、該溶融金属の温度以下の所定温度に冷却された冷却部材を介して冷却するとともに、前記冷却部材を回転させながら該冷却部材を前記断熱性るつぼの形状に沿うように水平方向および/または上下方向に移動させて前記1ショット分の溶融金属を撹拌する工程と、
前記溶融金属が所定のスラリー状態に撹拌された後、前記撹拌工程を終了しかつ前記冷却部材を前記断熱性るつぼ内から1ショット毎に離脱させ、スラリー状態の1ショット分の溶融金属を、前記断熱性るつぼから1ショット毎に成形機の投入口に落下排出する工程と、
前記冷却部材を前記断熱性るつぼ内から1ショット毎に離脱させた後、該冷却部材の表面に付着した凝固物を除去する工程と、
を有することを特徴とする半凝固金属の製造方法。 - 請求項1記載の半凝固金属の製造方法において、
前記凝固物除去後の前記冷却部材に1ショット毎にセラミック材をコーティングする工程と、
前記セラミック材がコーティングされた冷却部材に1ショット毎に乾燥処理を施す工程と、
を有することを特徴とする半凝固金属の製造方法。 - 請求項2記載の半凝固金属の製造方法において、
前記冷却部材を前記断熱性るつぼ内から1ショット毎に離脱させた後、該冷却部材を前記溶融金属の温度以下の所定温度に冷却する工程を有することを特徴とする半凝固金属の製造方法。 - 請求項1記載の半凝固金属の製造方法において、
前記冷却部材の外形は、角が4以上の多角形状、角が4以上の面取り多角形状、楕円形状又は複合楕円形状からなり、かつ、下方に向かって抜き勾配を有することを特徴とする半凝固金属の製造方法。 - 請求項1又は4記載の半凝固金属の製造方法において、
前記溶融金属を攪拌する工程では、前記冷却部材を水平方向に渦巻き状に移動させることを特徴とする半凝固金属の製造方法。 - 1ショット分の溶融金属が供給されて該溶融金属を保持する有底の断熱性るつぼと、
前記溶融金属の温度以下の所定温度に冷却されており、前記断熱性るつぼ内に供給され保持された1ショット分の溶融金属を1ショット毎に冷却する冷却部材と、
前記冷却部材を回転させながら前記断熱性るつぼの形状に沿うように該冷却部材を水平方向および/または上下方向に移動させて1ショット分の溶融金属を撹拌する移動機構と、
前記溶融金属が所定のスラリー状態に攪拌された後、前記攪拌を終了しかつ前記冷却部材を前記断熱性るつぼ内から1ショット毎に離脱させる手段と、
前記冷却部材を断熱性るつぼ内から離脱させた後、該冷却部材を1ショット毎に前記溶融金属の温度以下の所定温度に冷却し、該冷却部材の表面に付着した凝固物を1ショット毎に除去する手段と、
前記断熱性るつぼから前記溶湯金属を1ショット毎に成形機の投入口に落下排出する機構と、
を備えることを特徴とする半凝固金属の製造装置。 - 請求項6記載の半凝固金属の製造装置において、
前記冷却部材の外形は、角が4以上の多角形状、角が4以上の面取り多角形状、楕円形状又は複合楕円形状であり、かつ、下方に向かって抜き勾配を有することを特徴とする半凝固金属の製造装置。 - 請求項6記載の半凝固金属の製造装置において、
前記断熱性るつぼは分割型であり、
さらに、前記断熱性るつぼ内で前記溶融金属が冷却および攪拌されて所定の半凝固金属が得られた後、該断熱性るつぼを分割するように開閉駆動して1ショット分の半凝固金属を、前記成形機の投入口に落下排出する開閉機構を備えることを特徴とする半凝固金属の製造装置。 - 請求項8記載の半凝固金属の製造装置において、
前記開閉機構は、前記断熱性るつぼの各分割部位の側面に設けられた係合部に着脱自在に係合する複数のアーム部材と、
前記複数のアーム部材を互いに近接および離間する方向に進退させる進退手段と、
を備えることを特徴とする半凝固金属の製造装置。 - 請求項8記載の半凝固金属の製造装置において、
さらに、前記分割型の断熱性るつぼの各分割部位を互いに密着した状態で収容するとともに、該断熱性るつぼ内を保温するヒータが設けられた分割型のるつぼ受台を備えることを特徴とする半凝固金属の製造装置。
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