JP3925786B2 - 電子投票システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、選挙を行うための電子投票端末装置に関し、特に、電子投票結果を記録する電磁的記録媒体の脆弱性を補完する手段を有する電子投票装置及び選挙投票確定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、国会議員、都道府県知事、同議員、市町村長、及び同議員等の選挙では、公職選挙法に基づき、選挙人が投票用紙に立候補者の氏名を記入して、投票箱に投函して投票が行なわれる。その後、投票箱を体育館等の施設に集め、開票は人手により目視で行われ、投票結果を集計するという経緯をとっていた。
【0003】
従って従来技術によれば、選挙人である投票者及び投票や開票を管理する投票管理者にかかる操作負担や作業負担が大きくなり、多くの時間と労力を必要としてしまっていた。かかる問題を解決する方法として本出願人が特開2000−40111公報に、また種々の電子投票端末装置(以下、投票端末ともいう)がすでに特許第2747171号、特許第2885657号などに開示されている。
【0004】
電子投票では投票を記録する電磁的記録媒体の信頼性の確保ならびに投票に不正や改ざんがあったか否かを投票後に調べるという、投票結果の監査の必要性が指摘されていた。
【0005】
これまでに投票を記録する電磁的記録媒体の信頼性を向上する技術として、電磁的記録媒体の二重化(ミラーリング)やRAIDの採用、または全ての投票の終了後にバックアップをとることなどが提案されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、2つの電磁的記録媒体を等価に扱う二重化では、原本の物理的な特定が困難であるという問題があった。また、RAIDは装置が大規模になり運用、保管、費用の面で負担が大きくなってしまうという問題があった。更に、全ての投票の終了後にバックアップをとる方法では投票中の障害に対応できないという問題があった。
【0007】
これらの問題を解決するために、本出願人等によって出願された、特願2001−344485及び特願2002−68159に記載の技術により、投票の原本性を確保し電磁的記録媒体の脆弱性を補完する技術を提案した。しかし、これらの技術では障害発生時の的確な対応を可能にするためには不十分な点があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、投票結果を電磁的記録媒体に記録する電子投票システムにおいて、原本性の確保、投票中の障害発生に対する速やかな対処、投票終了後の開票所までの搬送過程および保管期間における電磁的記録媒体の障害に対する保障を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、 電子的に選挙人の投票を受け付ける電子投票システムにおいて、
前記選挙人により前記投票に係る候補者の選択処理、前記候補者の選択確定処理、及び、前記候補者の選択取消処理の少なくとも一つの処理が行われる入力モードと、
前記入力モードにより入力された前記候補者の選択、前記候補者の選択確定、及び、前記候補者の選択取消を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された前記候補者の選択に基づいて、その結果を投票結果として記憶する一時記憶手段と、
前記認識手段により認識された前記候補者の選択取消に基づいて、前記一時記憶手段に記憶されている投票結果を消去する第1の消去手段と、
前記認識手段により認識された前記選択の確定に基づいて、前記一時記憶手段に記憶されている投票結果を第1の記録媒体に記録する記録手段と、
前記第1の記録媒体への記録が成功したか失敗したかを検査する第1の検査手段と、
前記第1の検査手段による検査結果が成功であった場合に、その結果が得られる毎に前記一時記憶手段に記憶されている投票結果を消去する第2の消去手段と、
前記第1の記録媒体に記録された投票結果を、第2の記録媒体に記録する手段と、
前記第2の記録媒体への記録が成功したか失敗したかを検査する第2の検査手段と、
を有することを特徴とする電子投票システムを提供する。
【0010】
また、請求項1に記載の電子投票システムにおいて、前記第1の検査手段による検査結果が成功であった場合に、前記選挙人に対して前記投票の完了を通知する通知手段を有することを特徴とする電子投票システムを提供する。
【0011】
更に、請求項1に記載する電子投票システムにおいて、前記第1の検査手段による検査結果が成功であった場合に、少なくとも前記第2の検査手段による検査が終了するまで、前記選挙人の次の選挙人による投票を受け付けない手段を有することを特徴とする電子投票システムを提供する。
【0012】
また更に、請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、前記第1の検査手段又は第2の検査手段の検査の結果が失敗であった場合に前記投票を管理する投票管理者に通知する手段を有し、前記選挙人以後の投票の受付を停止することを特徴とする電子投票システムを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の電子投票システムに使用される電子投票端末装置(投票端末ともいう)の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る電子投票システムに適用される電子投票端末装置の外観を示す斜視図である。この投票端末は、投票所に配置されており、選挙人に対して選挙に立候補した候補者の名前等の情報を表示し、選挙人が投票しようとする候補者を選択して投票を電子的に受け付けるものである。なお、投票端末の基本的構造としては、本出願人の先願である特開2000−40111号公報に示されているものを用いることができる。
【0014】
図1において、投票端末には投票カード挿入部12が設けられ、投票所内の投票カード発券機で発行された投票カードを選挙人が投票カード挿入部12に挿入する。投票カードは磁気記録カードやICカードなどを用いることができる。投票端末の内部にはカードリーダ(図2の7)が配置されており、投票カードの記録内容を読み取り、正規な投票カードか否かを判断し、正規であると判断されたときのみ、1回の投票操作が可能となる。投票端末にはタッチパネルLCD13(図2のLCD1及びタッチパネル2によって構成される)が設けられ、投票操作が可能になると、タッチパネルLCD13には選挙名や複数の候補者氏名が表示される。選挙人は、投票しようとする候補者の表示部分を指やスタイラスペンで押圧して選択する(以降、選択するという)ことができる。すなわち、タッチパネルLCD13は投票受付手段として機能する。状態表示灯8は投票端末の各種状態、例えば投票受付け待ち、投票中、障害発生等を投票管理者に報知する手段として機能する。
【0015】
図2は投票端末の内部構成を示すブロック図である。投票端末は、投票結果を電子的に記録する記憶媒体としてメモリカード9,10、選挙データ(候補者データ)や投票プログラムが記録されている記憶媒体としてハードディスク5を備える。
【0016】
メモリカード9,10は可搬型であるので、取り出し、交換が容易であり、取り出したメモリカード9,10を開票所に集めて投票結果を集計することができる。また、投票結果のバックアップ用として、メモリカード9,10を複数個備える。これは、磁気的に記録するフレキシブルディスクなどの記録媒体を用いてもよい。あるいは複数種の記録媒体との併用も可能である。
【0017】
図2に示している投票端末は、上記構成の他、RAM3、ROM4を有している。RAM3には投票結果が一時的に記録される。RAM3に一時記録された投票結果は、メモリカード9,10に記録される。これらの各ブロックで示される回路や素子はCPU(中央演算処理装置)11に接続されている。ROM4は、読み取り専用メモリであり、電子投票端末装置の電源投入後の診断プログラム、システムを立ち上げるブートプログラム等が格納される。CPU11はデータの入出力を制御するI/Oとしての機能部分を内部または外部に有している。
【0018】
図9はメモリカード9,10に記憶される投票結果のデータ構造を示している。投票結果は投票ID、選挙種別、候補者番号、投票総数によって記録される。投票IDは、その投票IDから選挙人が推定できないようにランダムに発行することが望ましい。また、選挙種別は、衆議院議員選挙、市長選挙等の選挙の種類を識別する番号が記録される。更に、候補者番号は候補者名に対応した番号であり、投票総数は選挙種別にそれまでに記憶されている投票数を1カウントアップして記録される。
【0019】
図3は投票管理者が選挙開始、中断、再開、選挙終了を行う状態を示すフローチャートである。また、図4は図3のステップに対応した投票端末のタッチパネルLCD13の画面表示状態を示す図である。投票端末の電源を入れ、初期状態として、ステップS1で図4(a)に示すように投票開始待ち画面を表示する。ステップS2でCPUはメモリカード9,10の投票件数をチェックし、ステップS3で本投票の投票件数が0件であるかどうかの判断をし、0件以外の場合あるいはメモリカードが読めない場合は(ステップS3にてN)、ステップS23に移行してエラー表示を行いシステムを終了する。そして、システム終了後にメモリカード9,10を交換してステップS1から処理を再度行う。なお、本投票とは選挙人が正規に行った投票を意味し、それに対して動作確認のためのテスト投票がある。ハードディスク5及びメモリカード9,10の記憶媒体にはテスト投票による候補者データは本投票とは区別して記憶され、投票端末は本投票による候補者データとテスト投票による候補者データを明確に識別できる。
【0020】
ステップS3にて投票件数が0件である場合は(ステップS3にてY)、投票数0票を表示してステップS4へ移行する。そして、ステップS4で投票管理者は投票管理者保管の所定のキーで管理者モード(第2入力モード)へ切り替える。なお、投票端末にはキーの差込口(図示せず)があり、前述したキーによって管理者モードと投票モード(第1入力モード)の切り替えを行うことができる。そして、管理者モードに切り替わると、図4(a)の投票開始待ち画面の表示が有効となり、‘開始’を選択することが可能となる。ステップS5で‘開始’が選択されると(ステップS5にてY)、図4(b)に示すインタラクティブデータ(パスワード)を入力することのできる管理者パスワード入力画面を表示する(ステップS6)。一方、ステップS5にて‘開始’が入力されないと(ステップS5にてN)、ステップS5を繰り返すことになる。
【0021】
ステップS6にて管理者パスワード入力画面が表示されると、ステップS7に移行し、パスワードの認証が行われる。また、図4(b)の‘戻る’を選択すると(ステップS7にてN)前画面(ステップS6)に戻る。パスワードの認証は、数字表示部を押圧することでパスワードを入力し、‘認証’を選択することにより行われる(ステップS7にてY)。そして、ステップS8でパスワードの正当性が判断される。パスワードが正当である場合(ステップS8にてY)、ステップS11へ移行し、投票管理者が所定のキーで投票モードへ切り替え、投票操作が可能な状態となる。なお、パスワードは投票プログラムとともに投票端末内部に保管されている。また、パスワードが正当でない場合(ステップS8にてN)、ステップS7のパスワードの認証を再び行う。
【0022】
ステップS11にて投票モードへと切り替わった場合、ステップS12で選挙人による投票操作が繰り返され、電磁的記録媒体に順次投票結果が記録される。なお、選挙人の投票操作及び投票結果の電磁的記録媒体への記録方法は後述する。
【0023】
そして、選挙終了時刻になり、選挙人による投票操作が終了すると、ステップS13にて投票管理者は所定のキーにより投票モードから管理者モードに切り替える。するとステップS14にてCPU11の制御により図4(c)に示す投票中断画面が表示される。投票中断画面における操作は投票中にトラブルが起こった場合などにも可能である。そして、ステップS15で図4(c)に示す投票中断画面の‘選挙終了’を選択すると(ステップS15にてY)、ステップS16に移行して図4(d)の選挙終了画面が表示される。ここで、‘終了’を選択すると(ステップS16にてY)、ステップS17に移行して図4(b)に示す管理者パスワード入力画面が表示される。ここで、管理者が数字表示部を押圧してパスワードを入力し、ステップS18で‘認証’を選択すると(ステップS18にてY)、ステップS19に移行してパスワードの正当性を判断する。このとき投票管理者は、投票立会人とともに確認を行ってもよい。ステップS19にてパスワードが正当である場合(ステップS19にてY)、ステップS22でシステムを終了させる処理を行いシステムを終了する。
【0024】
なお、上述したステップS15にて‘選挙終了’を選択しなかった場合は(ステップS15にてN)ステップS12に戻り、ステップS16にて‘終了’を選択しなかった場合は(ステップS16にてN)ステップS15に戻る。また、ステップS18にて‘戻る’が選択された場合は(ステップS18にてN)ステップS17に戻り、ステップS19にてパスワードが正当ではないと判断された場合は(ステップS19にてN)ステップS18に戻る。
【0025】
ところで、投票中断によって、選挙人が投票カードを挿入したまま退出した場合、これまでの投票は有効化して投票カードを抜き取ること、記憶媒体の交換、接続機器との機器診断等を行うことができる。また、投票中断の内容、中断時刻を記憶媒体に記録し、これら媒体を監査ログとしてもよい。
【0026】
以上説明したように、投票管理者が保管するキーを使用する場合のみパスワード画面に切り替えることができ、更に、投票管理者のみが知っているパスワードを入力することで選挙開始、選挙終了ができるという二重のセキュリティを有するので、投票中に投票端末が選挙人等によって不正に操作される恐れがない。
【0027】
また、投票中に停電があったり、通信不可能になったり、記憶媒体へのアクセスが不可能になったり等の障害があった場合、即座に投票を終了しなければならないと同時に、その時点までに行われた投票結果は確定しなければならない。そのため投票端末は停電時でも投票端末のシステムを終了するに足りうる予備のバッテリを備えている。
【0028】
図5は、障害が発生した場合の選挙終了情報を記録する動作を示すフローチャートである。ステップS51で選挙人による投票操作が行われており、その最中にCPU11が障害発生を検知すると(ステップS52にてY)、CPU11の制御により、障害内容を画面に表示し(ステップS53)、障害内容、障害発生時刻、投票所番号、選挙終了情報などをハードディスク5やメモリカード9,10に記録し(ステップS54)、投票端末のシステムの終了処理を行い(ステップS55)処理を終了する。なお、上述した選挙人による投票操作の最中には投票開始待機中も含まれる。また、障害発生を検知した後は、タッチパネルLCD13の入力を無効化してもよい。更に障害内容によってCPU11の制御により即座にステップS53以降の処理を行うか、あるいは障害が発生したときに投票中の選挙人の投票終了を待ってからステップS53以降の処理を行うかを選択的に決定しても良い。例えば、障害内容が停電である場合、投票端末のシステムは予備バッテリを備えているので、停電時に投票中の選挙人が投票を終了した後、ステップS53以降の処理を行うことが可能である。
【0029】
図6は選挙人が投票を行い、投票結果が電磁的記録媒体に記録され、投票が終了するまでの動作を示すフローチャートである。選挙人が投票端末の前に立つと、人体センサなどでその存在を検知して、選挙開始画面を表示する(ステップS61)。そして、選挙人に投票カードを挿入するように音声、画面表示、ランプ表示等により促す。次に投票カードの挿入が判別され(ステップS62)、投票カードが挿入され、その投票カードの投票IDを読み取って投票カードが正当であると判断されると(ステップS62にてY)、選挙の候補者一覧を表示する(ステップS63)。次に、選挙人が候補者を選択すると(ステップS64にてY)、ステップS65で選択候補者の‘確定’及び‘取消’の確認表示をし、RAM3に選択候補者情報を保持する。なお、ステップS64にて候補者が選択されなかった場合、及びステップS66にて候補者が確定されなかった場合にはステップS63に戻り候補者一覧が再び表示される。
【0030】
ステップS66で選挙人が‘確定’を選択すると(ステップS66にてY)、RAM3に保持されている選択候補者情報すなわち投票結果をメモリカード9,10に書き込む(ステップS67)。このとき、RAM3に記憶された選択候補者情報は消去する。そして、未投票選挙があるかを判断し(ステップS69)、未投票選挙がある場合は(ステップS69にてY)、ステップS63へ戻って次の選挙を行う。未投票選挙がない場合は(ステップS69にてN)、ステップS71で選挙終了を表示して投票カードを排出する。そして、投票処理を終了する。
【0031】
図7は、投票結果を記録する前記ステップ67の処理の詳細を示すフローチャートである。すなわち、前記ステップS66において確定された投票結果を、まずステップS101で一時記憶から原本用記録媒体に書き込む。
【0032】
次にステップS102で書き込みに対する監査を行う(ステップS102)。これはデータが正しく書き込まれたかどうかを検査するためのものであり、書き込み時のエラーがなくデータベリファイ(照合)の結果が一致した場合は監査の結果は「成功」でありステップS103に進む。一方、書き込み時にエラーがあった場合やデータベリファイの結果が一致しない場合は所定の回数の再試行を繰り返し、書き込み不能と判断した場合は監査の結果を「失敗」とし、B1を経由してステップS111に進む。
【0033】
なお、ステップS102による監査が「成功」であった時点で、選挙人による投票は有効となる。以後、投票端末では、二重投票を防止するため、投票カードを「使用済み」として排出すること、ならびに信頼性向上のため副本を作成する動作を行う。これらの2つの動作は独立しており並行して進めることができる。しかしながら投票カードの排出が先行した場合でも、副本の作成が完了するまでは、次の選挙人による投票の受付けを制限することが、障害発生時の対応上望ましい。
【0034】
ステップS103において、一時記憶を消去し、ステップS104において、次の投票の受付けを抑止する。そして、A1を経由してステップS105に移行し、このステップS105おいてステップS101で書き込んだ原本記録用媒体のデータを読み出し、ステップS106で副本記録用媒体に書き込む。ここで、ステップS103とステップS104の順序は逆であっても構わない。また、ステップS105において読み出す投票結果のデータは、一時記憶の内容と等価であるため、ステップS103およびステップS105を省略し、ステップS108の前に一時記憶の消去を行ってもよい。
【0035】
そして、ステップS107では副本記録用媒体に対して、ステップS102と同様の監査を行う。監査の結果が「失敗」であった場合は、B2を経由してステップS114に進む。監査の結果が「成功」であった場合は、ステップS108に移行してステップS104で行った次の投票の受付け抑止を解除し終了待ち状態に移行する。
【0036】
ステップS109及びステップS110は、ステップS105〜108と並行して進めることができる。まず、ステップS109において、選挙人に対して投票の完了を通知する。本実施例ではLCD1の画面による表示を想定しているが、専用のランプやLED等を用いてもよい。そして、ステップS110において投票カードを「使用済み」として排出する。
【0037】
上述した投票結果の有効性は原本用記録媒体への書き込みが完了した時点、すなわちステップS102における監査の「成功」をもって確立しているが、運用上の選挙人の投票行為はステップS110の完了によって終了することになる。従って、次の選挙人による投票の受付けは、ステップS108およびステップS110が、共に完了するまで保留される。
【0038】
なお、ステップS102での監査が「失敗」であった場合、選挙人が選択・確定した投票結果の有効性は確立できない。すなわち選挙人は一票の権利を保持した状態である。投票端末は障害発生の状態であるため、これを選挙人及び選挙管理者に通知する必要がある。そのため、ステップS111において以後の投票の受付けを停止する。そして、ステップS112において投票結果の書込み障害が発生したことを示すエラー画面をLCD1に表示するとともに、状態表示灯8を点滅する等の方法によって選挙人ならびに選挙管理者に障害状況を通知する。選挙人は一票の権利を保持した状態であるため、ステップS113において、投票カードを「未使用」として排出する。
【0039】
一方、ステップS107での監査が「失敗」であった場合であるが、原本用記録媒体への書き込みは正常に完了しているため、投票結果の有効性は確立している。したがって、ステップS109及びステップS110の動作に対する変更は不要である。しかしながら投票端末は障害発生の状態であるため、これを選挙管理者に通知する必要がある。すなわちステップS114において、以後の投票の受付けを停止する。ステップS115において投票結果の書込み障害が発生したことを示すエラー画面をLCD1に表示するとともに、状態表示灯8を点滅する等の方法によって管理者に障害状況を通知する。このとき原本記録用媒体の障害と副本記録用媒体の障害の区別がつく通知を行うことが望ましい。
【0040】
さて、ここまで電磁的記録媒体の障害発生を想定し、これを保障する技術について述べたが、電子投票端末においては、LCD1や投票カードリーダーライターなど、電磁的記録媒体以外の障害についても考慮する必要がある。図8は、図7に示すフローチャートの動作の結果、選挙人や選挙管理者に通知される状態を示している。状態3の正常な状態では、S109において投票の完了が通知され、S110において投票カードが「使用済み」として排出され、次の選挙人による投票が受け付けられるという動作を繰り返す。また、状態1および5は、図7の動作が想定する障害の結果を示す。一方、状態2、4、6、7、8、9、10、11は、LCDや投票カードリーダーライターなどの障害によって、通知ができない場合や投票カードが排出されない場合を示している。これらの場合についても本技術を用いることによって、無応答である状態11を除いて、投票の有効性を判断することができる。
【0041】
原本記録用媒体の障害と認められる、状態5、6、10、ならびに無応答である状態11では投票結果の精査が必須である。またそれ以外の場合も運用によって精査を行うことが望ましい。なお、図8に示すもの以外の組み合わせは、図7の動作からは発生し得ないものであり、それが発生した場合は重度の障害とみなし、状態11と同様の取り扱いを行う。
【0042】
精査には本出願人等が、特願2001−344485および特願2002−68159等で提示した、投票ログを用いることができる。精査そのものは開票所で行うが、本技術によれば投票所において、投票の有効性および精査の要否が判断できるため、障害発生時の的確な対応が可能である。
【0043】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、電子投票システムにおいて、投票の原本性を確保し、かつ電磁的記録媒体の脆弱性を補完するとともに、障害発生時の的確な対応を可能にする電子投票端末ならびに投票データの記録方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる電子投票端末装置の外観図の斜視図である。
【図2】図1の電子投票端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】図1の電子投票端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】図3のフローチャートにおける画面遷移図である。
【図5】図1の電子投票端末装置の障害発生時の選挙情報を記録する動作を示すフローチャートである。
【図6】図1の電子投票端末装置の投票結果を記録する動作を示すフローチャートである。
【図7】図1の電子投票端末装置内部の電磁的記録媒体の記録動作を示すフローチャートである。
【図8】図7のフローチャートにおける状態と障害検出の対応表である。
【図9】図1の電子投票端末装置で記録されるデータ構造を示している。
Claims (4)
- 電子的に選挙人の投票を受け付ける電子投票システムにおいて、
前記選挙人により前記投票に係る候補者の選択処理、前記候補者の選択確定処理、及び、前記候補者の選択取消処理の少なくとも一つの処理が行われる入力モードと、
前記入力モードにより入力された前記候補者の選択、前記候補者の選択確定、及び、前記候補者の選択取消を認識する認識手段と、
前記認識手段により認識された前記候補者の選択に基づいて、その結果を投票結果として記憶する一時記憶手段と、
前記認識手段により認識された前記候補者の選択取消に基づいて、前記一時記憶手段に記憶されている投票結果を消去する第1の消去手段と、
前記認識手段により認識された前記選択の確定に基づいて、前記一時記憶手段に記憶されている投票結果を第1の記録媒体に記録する記録手段と、
前記第1の記録媒体への記録が成功したか失敗したかを検査する第1の検査手段と、
前記第1の検査手段による検査結果が成功であった場合に、その結果が得られる毎に前記一時記憶手段に記憶されている投票結果を消去する第2の消去手段と、
前記第1の記録媒体に記録された投票結果を、第2の記録媒体に記録する手段と、
前記第2の記録媒体への記録が成功したか失敗したかを検査する第2の検査手段と、
を有することを特徴とする電子投票システム。 - 請求項1に記載の電子投票システムにおいて、
前記第1の検査手段による検査結果が成功であった場合に、前記選挙人に対して前記投票の完了を通知する通知手段を有することを特徴とする電子投票システム。 - 請求項1に記載する電子投票システムにおいて、
前記第1の検査手段による検査結果が成功であった場合に、少なくとも前記第2の検査手段による検査が終了するまで、前記選挙人の次の選挙人による投票を受け付けない手段を有することを特徴とする電子投票システム。 - 請求項1乃至請求項3いずれか一項に記載の電子投票システムにおいて、
前記第1の検査手段又は第2の検査手段の検査の結果が失敗であった場合に前記投票を管理する投票管理者に通知する手段を有し、前記選挙人以後の投票の受付を停止することを特徴とする電子投票システム。
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