JP3925759B2 - 粘着剤付紙シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は粘着剤付紙シートに関し、その目的は、湿度の影響によるしわ、浮き、たるみ、剥がれなどを完全に防ぐことができ、また貼り付けや貼り直し作業を容易に行うことができ、しかも紙シート表面に粘着剤がしみ出たり、紙シートの端から粘着剤が流出することがなく、更に、表面の汚れを防止することができるとともに、縁部が反って全体がカールするのを防ぐことができ、且つ製造が容易で破れにくい粘着剤付紙シートを提供することにある。
【0002】
【従来の技術】
襖紙や壁紙等の紙シートの貼り付けは、昔は技能を有する職人が行うのが一般的であった。しかし最近では、素人でも簡便に且つ美しく貼り付けることができるように、紙の裏面に予め接着剤層が設けられた種々の紙シートが存在している。即ち、簡便に貼り付けを行えることが、優れた紙シートに求められる第一の条件となっている。その他、湿度の影響によるしわ、浮き、たるみ、剥がれなどを防ぐことができる、貼り直し作業を容易に行うことができる、紙シート表面に粘着剤がしみ出たり、紙シートの端から粘着剤が流出したりすることがない等が、優れた紙シートの条件となっている。
【0003】
上記したような条件を満たす紙シートとして、本発明者らは、既に、特願平9−367352号において、図6に示すような粘着剤付紙シートを提案している。この粘着剤付紙シート(A)は、図示の如く、凹凸が形成されて波状とされてなる紙層(B)、フィルム層(C)、粘着剤層(D)が順次積層されてなるものである。この紙シート(A)においては、紙層(B)が波状とされており、且つ紙層(B)と粘着剤層(D)の間にフィルム層(C)が設けられているので、湿度の影響によるしわ、浮き、たるみ、剥がれなどを防ぐことができるとともに、紙シート(A)の表面に粘着剤がしみ出たり、紙シート(A)の端から粘着剤が流出するのを防ぐことができ、また、粘着剤に合成樹脂エマルションを用いた場合には、貼り付けや貼り直し作業をより容易に行うことができるなど、非常に優れたものである。
【0004】
また、図6に示す粘着剤付紙シート(A)は破れ易く、しかも表面が紙層(B)からなるため表面が汚れやすいという欠点を有しているので、表面に塩化ビニル樹脂を塗布するなど、汚れ防止処理や破れ防止処理を施す試案例が本発明者らにより創出されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、表現性を重視するあまり、ボリューム感を出すために表面に塩化ビニル樹脂などの合成樹脂層を設けると、フィルム層(C)に用いる合成樹脂と塩化ビニル樹脂の吸水や吸熱による伸長率が大きく異なるために、湿度などの影響により紙シート(A)の縁部が反って全体がカールしてしまうことがあるという問題があった。
また、特開昭53−119313号において、凹凸模様を有し、且つ汚れ防止効果を有する化粧紙の製造方法が開示されているが、この方法は表面にフィルム層を積層した後にエンボス加工を施す方法であるため、エンボスロールの押圧により表面のフィルム層にピンホールが生じ、十分な防汚効果を得ることができないという欠点を有していた。
【0006】
そこで、表面の汚れを十分に防止することができるとともに、縁部が反って全体がカールしてしまうのを防ぐことができ、しかも製造が容易で破れにくい粘着剤付紙シートの創出が望まれていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、請求項1に係る発明は、表面フィルム層、紙層、内部フィルム層及び粘着剤層が順次積層されてなる粘着剤付紙シートであって、該紙層は表裏両面に凹凸が形成されて波状とされてなることを特徴とする粘着剤付紙シートに関し、請求項2に係る発明は、前記内部フィルム層の引っ張り強度を1とし、厚みを1とした時に、表面フィルム層の内部フィルム層に対する引っ張り強度の比率と厚みの比率の積が0.5〜2.0となることを特徴とする請求項1記載の粘着剤付紙シートに関し、請求項3に係る発明は、前記表面フィルム層と内部フィルム層が同じ材質、同じ厚みのフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の粘着剤付紙シートに関する。また、請求項4に係る発明は、前記表面フィルム層がポリオレフィン系樹脂のフィルムからなることを特徴とする請求項1乃至3記載の粘着剤付紙シートに関し、請求項5に係る発明は、前記表面フィルム層の表面に更に異種材が貼り付けられて、装飾加工が施されてなることを特徴とする請求項1乃至4記載の粘着剤付紙シートに関する。
【0008】
請求項6に係る発明は、粘着剤層が合成樹脂エマルションからなることを特徴とする請求項1乃至5記載の粘着剤付紙シートに関し、請求項7に係る発明は、粘着剤層が合成樹脂エマルションからなり、粘着剤が水分を含有したままの半乾きの状態で、粘着剤付紙シート全体が密閉包装されてなることを特徴とする請求項6記載の粘着剤付紙シートに関する。また、請求項8に係る発明は、粘着剤層表面の全面又は一部に凹凸が形成されてなることを特徴とする請求項1乃至7記載の粘着剤付紙シートに関し、請求項9に係る発明は、粘着剤層に対して剥離可能な剥離シートが粘着剤層の表面に貼着されてなることを特徴とする請求項1乃至8記載の粘着剤付紙シートに関する。
【0009】
更に、請求項10に係る発明は、紙層の凹凸がエンボス加工又はクレープ加工により形成されてなることを特徴とする請求項1乃至9記載の粘着剤付紙シートに関し、請求項11に係る発明は、紙層の原料に再生パルプが用いられてなることを特徴とする請求項1乃至10記載の粘着剤付紙シートに関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明に係る粘着剤付紙シート(1)は、図1に示すように、表面フィルム層(2)、紙層(3)、内部フィルム層(4)及び粘着剤層(5)が順次積層されてなる。
【0011】
紙層(3)は表裏両面に凹凸を形成することにより波状とされている。これは、湿度による紙層(3)の横方向への伸縮を抑えるためである。即ち、波状としておくと、湿度による紙層(3)の伸縮を厚さ方向に逃がして横方向への伸縮を抑えることができるので、結果として、伸縮による粘着剤付紙シート(1)の面積変化を抑えることができるのである。
また、伸縮力が大きく、紙層(3)の伸縮を厚さ方向に完全に逃がすことができない場合にも、紙層(3)は後述する内部フィルム層(4)により固定されているので、紙層(3)が横方向に伸縮することはなく、紙層(3)の伸縮により、紙シート(1)の表面にシワや浮き、たるみが発生したり、紙層(3)が内部フィルム層(4)から剥がれてしまうのを完全に防ぐことができる。
【0012】
紙層(3)の凹凸の形成方法としては、エンボス加工法やクレープ加工法を例示することができるが、特に限定はされない。
エンボス加工により凹凸を形成する場合、版の深さ、即ち型の凹部の深さは特に限定されないが、紙層(3)の厚さの1/2〜10倍とするのが好ましい。
また、クレープ加工により凹凸を形成する場合、クレープ率は5〜100%、より好ましくは5〜50%とされる。尚、クレープ率は次式により算出することができる。(但し、式中、Lはクレープ加工後の紙層の長さ、△Lはクレープ加工前とクレープ加工後の紙層の長さの差である。)
クレープ率(%)=△L/L×100
【0013】
上記した方法により形成される紙層(3)の凹凸の大きさは特に限定されないが、凹部(31)の最深部から凸部(32)の最高部までの高さが100〜2000μmであるのが好ましい。100μm未満では表面フィルム層(2)及び内部フィルム層(4)を紙層(3)に積層した際に、紙層(3)の全面に接着してしまうので、湿度による紙層(3)の厚さ方向の伸縮が表面フィルム層(2)及び内部フィルム層(4)にも影響して、粘着剤付紙シート(1)が膨れたり、剥がれてしまったりする恐れがあり、一方、2000μmを超えると外観上好ましくないからである。
【0014】
また、凹部(31)と凹部(31)の間隔或いは凸部(32)と凸部(32)の間隔も特に限定されないが、50〜2000μmとするのが好ましい。50μm未満では紙層(3)と表面フィルム層(2)及び内部フィルム層(4)の接着頻度が多くなり、外観上好ましくなく、逆に2000μmより大きいと、紙層(3)の内部フィルム層(4)への固定が不十分となり好ましくないからである。
【0015】
紙層(3)の原料は特に限定されず、楮、三つ又、がん皮などの天然じん皮繊維や木材パルプ、麻、わら、バガス、ケナフなどの非木材繊維、レーヨンなどの親水性繊維など、一般に紙の原料として用いられているものであれば、化学繊維、天然繊維に関わらず全て好適に用いることができ、2種以上の繊維を混抄して用いることも勿論可能である。
また、再生パルプを使用することも可能である。再生パルプは未使用のパルプに比べて湿度による繊維の伸縮が小さいので、紙層(3)の伸縮をより抑えることができる。本発明において、紙層(3)の原料として再生パルプを用いる場合、その配合率は全く限定されず、再生パルプのみからなる、再生パルプ100%の紙層(3)を使用することも可能である。
【0016】
また、湿度に対する寸法安定性を向上させるために、無機質繊維や疎水性の合成繊維を配合するのが好ましい。配合量としては、前記した紙層(3)の原料の5〜100%配合するのが好ましい。
無機質繊維としては、ガラス繊維、マイクロガラス、ロックウール、鉱滓綿、アルミナ繊維、アルミナシリカ繊維、ムライト繊維、ホウ酸繊維、石英繊維、珪酸ガラス繊維、溶融シリカ繊維、チタン酸カリウム繊維、ジルコニア繊維、硫酸カルシウム繊維、フォスフェイトファイバー繊維、ポロシリケート繊維、炭素繊維、活性炭素繊維等を例示することができ、2種以上を配合することも可能である。
疎水性合成繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、アクリル、酢酸ビニル、ビニロン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリウレタン、ベンゾエート及びこれらの誘導体を例示することができ、2種以上を混合して用いることも可能である。
無機質繊維及び疎水性合成繊維の配合率が高いほど、紙層(3)の伸縮変動が小さくなるので、紙層(3)の凹凸の大きさや凹部(31)と凹部(31)の間隔、凸部(32)と凸部(32)の間隔の選択範囲を広くすることができ、また、後述する内部フィルム層(4)の厚さの選択範囲も広くすることができる。
【0017】
更に、必要に応じて、ろう石、カオリン、タルク、ゼオライト等の珪酸塩や炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、アルミナ、マグネシア等の充填剤や、水溶性尿素樹脂、メラミン樹脂、カチオン化澱粉、CMC、エポキシ樹脂、ポリイミン樹脂、水溶性アクリル樹脂、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等、紙間増強剤となる有機結合材、マレイン酸中性サイズ剤、ロジン系サイズ剤、高分子樹脂エマルション、ゴムラテックス等のサイズ剤を添加することも可能である。
【0018】
上記したような紙層(3)の裏面には、内部フィルム層(4)が積層される。この内部フィルム層(4)は、紙層(3)を固定して、紙層(3)の横方向への伸縮を防ぐとともに、後述する粘着剤が紙層(3)の表面にしみ出てくるのを防ぐために設けられる。
内部フィルム層(4)には、アルミニウム箔や、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系、ビニロン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系の合成樹脂からなるフィルムを好適に使用することができるが、特に限定はされない。
内部フィルム層(4)の厚さも特に限定されないが、10〜100μmが好ましい。10μm未満では紙層(3)の伸縮力が粘着剤層(5)へ伝達されてしまい、逆に100μmを超えると紙シートのコシが強くなるため貼り付けにくくなり、いずれの場合も好ましくないからである。
内部フィルム層(4)は、例えば合成樹脂を押し出して紙層(3)の裏面にラミネートすることにより形成すればよく、この方法によれば一工程で容易に内部フィルム層(4)を形成することができる。また塩化ビニル樹脂などポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂を用いる場合には、押し出しによるラミネートが困難であるので、合成樹脂の薄膜を紙層に貼り合わせるドライラミネート法により内部フィルム層(4)を形成すればよい。
【0019】
内部フィルム層(4)の裏面には、粘着剤層が設けられる。この粘着剤層(5)は前記内部フィルム層(3)の裏面に粘着剤を塗布し、乾燥させることにより容易に形成される。
粘着剤としては、合成樹脂や天然樹脂などを溶剤に溶解させたものや乳化状にしたものを用いることができ、特に限定されないが、合成樹脂エマルションが好適に用いられる。
【0020】
粘着剤として、合成樹脂エマルションを、特に水分を含有したままの半乾きの状態で用いると、粘着剤の初期接着力が弱いので、貼り付けや貼り直し作業を容易に行うことができる。尚、貼り付け後には水分が蒸発して乾燥し、接着強度が強くなるので、粘着剤付紙シート(1)が剥がれてしまう恐れはない。
合成樹脂エマルションを半乾きの状態で用いる場合、粘着剤の水分含有率は特に限定されないが粘着剤中5〜10%含まれた状態で用いるのが望ましい。
また、半乾きの状態で用いる場合には、水分が蒸発して粘着剤層(5)が乾燥するのを防ぐために、粘着剤付紙シート(1)全体が密閉包装される。密閉包装の手段は特に限定されず、減圧状態にして包装するなど、公知の密閉方法により密閉包装される。
合成樹脂エマルションとしては、酢酸ビニルエマルション、エチレン酢酸ビニルエマルション、アクリルエマルション等が好適に用いられるが特に限定はされない。
【0021】
粘着剤層(5)は、図1に示す第1実施例の如く平面状でもよいが、図2に示す第2実施例のように表面に凹凸を形成すると、初期接着力が更に弱まるので貼り付けや貼り直し作業をより容易に行うことができ、また凹部から、壁等の下地と紙シートの間の空気が抜けるので、貼り付け時にしわが発生するのを防いで美しく貼ることができ好ましい。尚、凹凸は図2示例の如く全面に形成しても、或いは一部に形成してもよい。
【0022】
尚、内部フィルム層(4)及び粘着剤層(5)の紙層(3)の裏面への積層は、紙層(3)に凹凸を形成した後に行われる。従って、紙層(3)への凹凸形成時に粘着剤が押圧されて、紙シート(1)の端から流出することはない。
【0023】
一方、紙層(3)の表面には表面フィルム層(2)が積層される。この表面フィルム層(2)は紙シート(1)の表面の汚れを防ぐとともに、紙シート(1)を破れ難くするために紙層(3)の表面に積層される。
表面フィルム層(2)には、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリロニトリル系、ビニロン系、ポリ塩化ビニリデン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系の合成樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。特にポリエチレン樹脂等のポリオレフィン系の樹脂は、押し出しによるラミネートを容易に行うことができるため、好ましく用いられる。
【0024】
本発明においては、内部フィルム層の引っ張り強度を1とし、厚みを1とした時に、表面フィルム層の内部フィルム層に対する引っ張り強度の比率と厚みの比率の積が0.5〜2.0、より望ましくは1となるようにするのが好ましく、表面フィルム層と内部フィルム層に、同じ材質、同じ厚みのフィルムを用いるのが最も好ましい。
例えば、表面フィルム層(2)の引っ張り強度が内部フィルム層(4)の引っ張り強度の1/2の場合には、表面フィルム層(2)の厚みを内部フィルム層(4)の厚みの1〜4倍、より好ましくは2倍とすればよい。これにより、内部フィルム層(4)と表面フィルム層(2)の、吸水や吸熱による伸長率が略等しくなるので、湿度などの影響により紙シート(1)の縁部が反って全体がカールしてしまうのを防ぐことができる。
【0025】
表面フィルム層(2)は、例えば合成樹脂を押し出して紙層(3)の表面にラミネートすることにより形成すればよく、この方法によれば一工程で容易に表面フィルム層(2)を形成することができる。
【0026】
表面フィルム層(2)の表面には、図3に示す第3実施例の如く、織物などの異種材(6)を貼り付けたり、印刷をするなどの装飾加工を施してもよい。また、表面に難燃・不燃加工、発泡エンボス加工を施すことも可能である。
【0027】
また、本発明においては、前記した粘着剤層(5)に対して剥離可能な剥離シート(7)を裏面に貼着することも可能である(図4参照)。剥離シート(7)を貼着することにより、粘着剤付紙シート(1)を壁等に貼り付ける際には、剥離シート(7)を剥がしながら粘着剤で貼り付けることができる。
剥離シート(7)を貼着する場合、図4に示す第4実施例の如く、平滑な粘着剤層(5)の表面に剥離シート(7)を貼着しても、或いは、図5に示す第5実施例の如く、凹凸が形成された粘着剤層(5)の表面に剥離シート(7)を貼着してもよい。
【0028】
本発明に係る粘着剤付紙シート(1)は、例えば、壁紙や襖紙、書画などの裏打紙、ポスターなどに使用することができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示すように、内部フィルム層及び表面フィルム層にポリエチレン樹脂(PE)又はポリプロピレン樹脂(PP)を用いて、表面フィルム層、表裏両面に凹凸が形成されて波状とされてなる紙層、内部フィルム層及び粘着剤層が順次積層されてなる実施例1〜4及び比較例1〜2の粘着剤付紙シート(90cm×180cm)を製造した。また、表面フィルム層を有さない粘着剤付紙シートとして比較例3の紙シートを製造した。尚、使用したポリエチレン樹脂の引っ張り強度は150kg/cm2 、ポリプロピレン樹脂の引っ張り強度は300kg/cm2 であった。
【0030】
【表1】
但し、表1における比率の積は、内部フィルム層の引っ張り強度の係数をa、厚みの係数をbとし、表面フィルム層の引っ張り強度の係数をc、厚みの係数をdとした時にc×d/a×bの式により算出される数値である。
【0031】
上記実施例1〜4及び比較例1〜3の粘着剤付紙シートを板材に貼り付け、平均湿度65%、平均温度20℃の室内に放置した。1日後に、紙シートの状態を観察し、寸法安定性及び防汚性について、以下の基準に基づいて判定した。結果をまとめて上記表1に示す。
寸法安定性
紙シートの状態が貼り付け当初と変わらない…○
紙シートの縁部がやや反っている…△
紙シートの縁部が大きく反り、全体がカールしている…×
防汚性
紙シートの表面が殆ど汚れていない…○
紙シートの表面がやや汚れている…△
紙シートの表面がかなり汚れている…×
【0032】
表1の結果からも明らかなように、内部フィルム層の引っ張り強度を1とし、厚みを1とした時に、表面フィルム層の内部フィルム層に対する引っ張り強度の比率と厚みの比率の積が0.5〜2.0となるようにすると、表面の汚れを防ぐことができるだけでなく、紙シートの寸法が安定するので、縁部が反って全体がカールするのを防ぐことができる。
【0033】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、請求項1に係る発明は、表面フィルム層、紙層、内部フィルム層及び粘着剤層が順次積層されてなる粘着剤付紙シートであって、該紙層は表裏両面に凹凸が形成されて波状とされてなることを特徴とする粘着剤付紙シートに関するものであるから、以下のような効果を奏する。
【0034】
即ち、紙層の表面に表面フィルム層が積層されていることにより、表面の汚れを防止することができるとともに、紙シートが破れ難くなるという効果を奏する。また、紙層が波状とされていることにより、湿度による紙層の伸縮を厚さ方向に逃がすことができるので、伸縮による粘着剤付紙シートの面積変化を抑えることができ、しかも紙層の裏面に内部フィルム層が積層されて紙層が内部フィルム層により固定されているので、湿度による紙層の伸縮力が大きく、紙層の伸縮を厚さ方向に完全に逃がすことができない場合にも、紙層が横方向に伸縮するのを防ぐことができる。従って、湿度の影響により、粘着剤付紙シートの表面にシワや浮き、たるみ、剥がれが発生するのを完全に防ぐことができる。更に、内部フィルム層が積層されていることにより、使用中に紙層の表面に粘着剤がしみ出すのを防ぐこともできる。
【0035】
請求項2に係る発明は、前記内部フィルム層の引っ張り強度を1とし、厚みを1とした時に、表面フィルム層の内部フィルム層に対する引っ張り強度の比率と厚みの比率の積が0.5〜2.0となることを特徴とする請求項1記載の粘着剤付紙シートに関し、請求項3に係る発明は、前記表面フィルム層と内部フィルム層が同じ材質、同じ厚みのフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の粘着剤付紙シートに関するものであるから、紙シートの縁部が反って全体がカールするのを防ぐことができるという効果を奏する。
【0036】
請求項4に係る発明は、前記表面フィルム層がポリオレフィン系樹脂のフィルムからなることを特徴とする請求項1乃至3記載の粘着剤付紙シートに関するものであるから、製造が容易であるという効果を奏する。
【0037】
請求項5に係る発明は、前記表面フィルム層の表面に更に異種材が貼り付けられて、装飾加工が施されてなることを特徴とする請求項1乃至4記載の粘着剤付紙シートに関するものであるから、装飾性に優れた紙シートとすることができる。
【0038】
請求項6に係る発明は、粘着剤層が合成樹脂エマルションからなることを特徴とする請求項1乃至5記載の粘着剤付紙シートに関し、請求項7に係る発明は、粘着剤層が合成樹脂エマルションからなり、粘着剤が水分を含有したままの半乾きの状態で、粘着剤付紙シート全体が密閉包装されてなることを特徴とする請求項6記載の粘着剤付紙シートに関するものであるから、粘着剤層の初期接着力が弱いので、貼り付けや貼り直し作業を容易に行うことができ、しかも、貼り付け後には水分が蒸発して乾燥し、接着強度が強くなるという効果を奏する。
【0039】
請求項8に係る発明は、粘着剤層表面の全面又は一部に凹凸が形成されてなることを特徴とする請求項1乃至7記載の粘着剤付紙シートに関するものであるから、粘着剤層の初期接着力が更に弱まるので貼り付けや貼り直し作業をより容易に行うことができ、また凹部から、壁等の下地と紙シートの間の空気が抜けるので、貼り付け時にしわが発生するのを防いで美しく貼ることができる。
【0040】
請求項9に係る発明は、粘着剤層に対して剥離可能な剥離シートが粘着剤層の表面に貼着されてなることを特徴とする請求項1乃至8記載の粘着剤付紙シートに関するものであるから、粘着剤付紙シートを壁等に貼り付ける際には、剥離シートを剥がしながら粘着剤で容易に貼り付けることができるという効果を奏する。
【0041】
請求項10に係る発明は、紙層の凹凸がエンボス加工又はクレープ加工により形成されてなることを特徴とする請求項1乃至9記載の粘着剤付紙シートに関し、請求項11に係る発明は、紙層の原料に再生パルプが用いられてなることを特徴とする請求項1乃至10記載の粘着剤付紙シートに関するものであるから、紙層の伸縮をより小さくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る粘着剤付紙シートの部分拡大断面図である。
【図2】本発明の第2実施例に係る粘着剤付紙シートの部分拡大断面図である。
【図3】本発明の第3実施例に係る粘着剤付紙シートの部分拡大断面図である。
【図4】本発明の第4実施例に係る粘着剤付紙シートの部分拡大断面図である。
【図5】本発明の第5実施例に係る粘着剤付紙シートの部分拡大断面図である。
【図6】従来の粘着剤付紙シートの部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1 粘着剤付紙シート
2 表面フィルム層
3 紙層
4 内部フィルム層
5 粘着剤層
6 異種材
7 剥離シート
Claims (11)
- 表面フィルム層、紙層、内部フィルム層及び粘着剤層が順次積層されてなる粘着剤付紙シートであって、該紙層は表裏両面に凹凸が形成されて波状とされてなることを特徴とする粘着剤付紙シート。
- 前記内部フィルム層の引っ張り強度を1とし、厚みを1とした時に、表面フィルム層の内部フィルム層に対する引っ張り強度の比率と厚みの比率の積が0.5〜2.0となることを特徴とする請求項1記載の粘着剤付紙シート。
- 前記表面フィルム層と内部フィルム層が同じ材質、同じ厚みのフィルムからなることを特徴とする請求項1記載の粘着剤付紙シート。
- 前記表面フィルム層がポリオレフィン系樹脂のフィルムからなることを特徴とする請求項1乃至3記載の粘着剤付紙シート。
- 前記表面フィルム層の表面に更に異種材が貼り付けられて、装飾加工が施されてなることを特徴とする請求項1乃至4記載の粘着剤付紙シート。
- 粘着剤層が合成樹脂エマルションからなることを特徴とする請求項1乃至5記載の粘着剤付紙シート。
- 粘着剤層が合成樹脂エマルションからなり、粘着剤が水分を含有したままの半乾きの状態で、粘着剤付紙シート全体が密閉包装されてなることを特徴とする請求項6記載の粘着剤付紙シート。
- 粘着剤層表面の全面又は一部に凹凸が形成されてなることを特徴とする請求項1乃至7記載の粘着剤付紙シート。
- 粘着剤層に対して剥離可能な剥離シートが粘着剤層の表面に貼着されてなることを特徴とする請求項1乃至8記載の粘着剤付紙シート。
- 紙層の凹凸がエンボス加工又はクレープ加工により形成されてなることを特徴とする請求項1乃至9記載の粘着剤付紙シート。
- 紙層の原料に再生パルプが用いられてなることを特徴とする請求項1乃至10記載の粘着剤付紙シート。
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JPWO2008075767A1 (ja) * | 2006-12-21 | 2010-04-15 | リンテック株式会社 | 粘着シート及びその製造方法 |
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1998
- 1998-04-24 JP JP13125098A patent/JP3925759B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH11302999A (ja) | 1999-11-02 |
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