JP3925076B2 - 棚装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、棚装置に係り、更に詳しくは、左右のブラケット間の距離を調整可能としてブラケットの位置を安定して保つことができる棚装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、商品陳列に適した棚装置は、左右一対の支柱と、これら支柱の前面側に形成されたスリットに引っ掛け可能なフックを備えた左右一対の片状ブラケットと、これらブラケットの上縁側に掛け渡すように載せられた棚板とを備えて構成されている。このような棚装置の中には、商品の出し入れを容易に行えるようにするため、棚板を前後方向に移動可能としたタイプのものが存在する。棚装置の組み立ては、前記スリットにブラケットの後端に設けられたフックを差し込んで所定高さ位置にセットし、この後、ブラケットに棚板を載せることによって行われる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、公知の棚装置に用いられるブラケットは、後端のフックがスリットに差し込まれてこれに引っ掛けられた状態でも、スリット幅がフック厚みよりも大きいため、ブラケットの前端側が左右方向にぶらつくこととなる。そのため、左右一対のブラケット位置が略平行な位置関係に保たれず、これにより、外観上の体裁を損なうばかりでなく、棚板を安定的に支持することが困難になるという不都合を生じる。また、棚板を前後方向に移動可能とした場合には、当該棚板とブラケットとの相対位置が最適化できないときに、棚板のスムースな移動を阻害し、場合によっては、ブラケットや棚板の相対移動部分を変形させてしまうという不都合も招来する。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、支持体に取り付けられた左右のブラケット間距離を調整可能として、棚板を安定的に支持することができ、且つ、棚板の前後方向の移動もスムースに行うことができる棚装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、上下方向に位置するとともに左右の各前面側に複数のスリットが形成された支持体と、前記スリットに引っ掛け可能なフックを後部に有するとともに、前記支持体に対してそれぞれ前後方向に延びるブラケットと、これらブラケット間に支持された棚部材とを備えた棚装置において、
前記ブラケット間に横行部材が掛け渡されるとともに、当該横行部材は、前記左右のブラケット間距離に応じて長さを調整可能に設けられる、という構成を採っている。このような構成によれば、横行部材により左右のブラケットが相互に連結されるとともに、横行部材の長さを変化させてブラケット間距離を最適に調整できるので、スリットとフックとの間にいわゆる「遊び」があっても、各ブラケットを平行姿勢とすることができ、棚部材を安定した状態で支持することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における前記棚板は前後方向移動可能に支持される、という構成を採ることができる。このような構成とすれば、ブラケット間距離が最適化されるので、棚板の前後移動をスムースに行うことができる。また、前記横行部材は、ブラケット間距離に応じて長さが決定された状態で、当該長さを維持する固定部材を含んで構成される、という構成を採用することが好ましい。このような構成により、各ブラケットを平行姿勢とした後、固定部材により横行部材の長さを維持することで、ブラケット間の距離を常に一定に保つことができ、左右のブラケットの平行度を安定して維持することが可能となる。
【0007】
また、前記横行部材は、相互に重なり合う領域を備えた第1及び第2の横行部材からなり、前記重ね合わせ領域に前記固定部材が設けられる、という構成も採用することができる。このような構成を採れば、重ね合わせ領域における第1及び第2の横行部材の相対移動により、横行部材全体の長さを変化することができるので、横行部材の構成を簡易なものとすることができる。
【0008】
更に、棚板を前後方向に移動可能とした棚装置において、前記各ブラケットの面内に棚部材を前後方向に移動可能とする案内用スリットがそれぞれ設けられ、これら案内用スリットに前記横行部材の端部を引っ掛けて当該横行部材がブラケット間に掛け渡される、という構成を採ることができる。このような構成とすれば、ブラケットに横行部材を掛け渡すための穴等が形成されず、また、ねじ等の固定手段を用いないため、部品点数の削減を図って製造工程の簡略化や製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0009】
また、本発明は、上下方向に位置するとともに左右の各前面側に複数のスリットが形成された支持体と、前記スリットに引っ掛け可能なフックを後部に有するとともに、前記支持体に対してそれぞれ前後方向に延びるブラケットと、これらブラケット間に支持された棚部材とを備えた棚装置において、
前記ブラケットの面内に棚部材を前後方向に移動可能とする案内用スリットがそれぞれ設けられるとともに、前記ブラケット間に当該ブラケット間を所定距離に維持する横行部材が掛け渡される、という構成を採ることもできる。このような構成によって、前記案内用スリットの平行度が保たれて棚板のスムースなる移動を確保することが可能となる。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1には、本実施例に係る棚装置の要部概略斜視図が示され、図2には、図1の要部分解斜視図が示されている。これらの図において、棚装置10は、上下方向に位置する支持体としての左右一対の支柱11,11と、これら支柱11,11にそれぞれ支持された左右一対のブラケット12,12と、当該ブラケット12,12を跨ぐように載せられた棚部材としての棚板13と、支柱11,11の下部領域に設けられた図示しないベースとを備えて構成されている。
【0012】
前記支柱11,11には、その前面側に、上下方向に向けられた複数のスリット15が左右二列に亘ってそれぞれ設けられ、これらのスリット15を利用してブラケット12,12を所定の高さ位置に引っ掛けることで、当該ブラケット12,12が支柱に支持可能とされている。
【0013】
前記ブラケット12は、図3ないし図6に示されるように、面の向きが鉛直面内に位置して前後方向に延びるとともに、上下幅が後方に向かうに従って大きく設けられた板状の本体17と、この本体17の後端から後方に突出して前記スリット15に引っ掛け可能な四つのフック18と、本体17の上端から内向きに設けられた平面視略方形をなして棚板13の両端部下面側に位置する支持面19と、本体17の面内に形成されて前後方向に延びる案内用スリット21とを備えて構成されている。ブラケット12,12間には、図7及び図8にも示されるように、両端側が案内用スリット21に引っ掛けられる横行部材22が掛け渡されており、これにより、ブラケット12,12が相互に連結された状態となっている。また、案内用スリット21は、前部側と後部側とで異なった上下幅を備えており、横行部材22の後述するフック部を挿入して引っ掛け可能な開口上下幅を備えた後部スリット24(図2参照)と、この後部スリット24の前方に連なって当該後部スリット24より狭い上下幅となる前部スリット25とにより形成されている。
【0014】
前記横行部材22は、図7に示されるように、主として、左右長さの異なる二部材により構成されるとともに、これら二部材の図7中左右方向に沿う相対移動により長さ調整可能に設けられている。横行部材22は、図7中左側のブラケット12の前記後部スリット24に引っ掛け保持されるとともに、各ブラケット12,12の離間幅より多少短い左右長さに設けられた第1の横行部材26と、この第1の横行部材26に連結されるとともに、右側のブラケット12の後部スリット24に引っ掛け保持される第2の横行部材27とを備えて構成されている。第1及び第2の横行部材26,27は、第1の横行部材26の下面と第2の横行部材27の上面とが一定領域で面接触する長さに設けられ、すなわち、棚板13の下方位置で相互に重なり合う領域を備えており、当該重ね合わせ領域に横行部材22の長さを維持する固定部材29が設けられている。
【0015】
前記第1の横行部材26は、図2,図7及び図8に示されるように、平面視左右方向に横長の略長方形状となる平面部30と、この平面部30の前後両端から下方に向けられた一対の垂下面部31,31と、平面部30の図7中左端中央から後端側(同図中下端側)に連なって下向きに設けられるとともに、前記後部スリット24に引っ掛け可能に設けられたフック部32と、平面部30の第2の横行部材29との重ね合わせ領域、すなわち、同図中右側領域にバーリング加工により形成されたねじ穴33(図9参照)とを備えて構成されている。フック部32は、図7に示されるように、各垂下面部31,31及び平面部30の同図中左端部より若干外側(左側)に位置するように設けられており、これにより、フック部32を後部スリット24に引っ掛けた状態で、前記左端部とフック部32とによりブラケット12を挟み込んで横行部材22及びブラケット12の左右方向のがたつきが生じないようになっている。
【0016】
前記第2の横行部材27は、向き及び長さを除き第1の横行部材26と略同様な構成となっている。すなわち、第2の横行部材27は、第1の横行部材26の平面部30より若干短い前後幅を備えた平面部35と、この平面部35の前後両側にそれぞれ連なる一対の垂下面部36,36と、平面部35の図7中右端側に連なるフック部37と、第1の横行部材26のねじ穴33に対応する位置に設けられた左右方向に横長となるスロット穴38とを備えて構成されている。前記各垂下面部36,36の各外面は、第1の横行部材26の垂下面部31,31の内面に略面接触する位置に設けられており、これにより、横行部材22の長さ調整時において、当該横行部材22の前後方向のぶれを抑制することができる。
【0017】
前記固定部材29は、図9に示されるように、第1の横行部材26のねじ穴33に取り付けられてスロット穴38を貫通するねじ40と、このねじ40に装着されるとともに、平面部35の下面側に位置する蝶ナット41とにより構成されている。固定部材29は、蝶ナット41を締めることにより、各平面部30,35を上下方向から締め付けて横行部材22の長さを維持する一方、蝶ナット41を緩めて前記締め付けを解除することにより、第1及び第2の横行部材26,27の左右相対移動を許容し、スロット穴38の長さ内で調整可能となっている。
【0018】
前記棚板13は、図2及び図6に示されるように、商品等を陳列するための載置面を形成するとともに、左右後端部に支柱11との干渉を回避するための切欠部43Aが形成された水平面部43と、この水平面部43の後端縁に沿って設けられた後部下向き屈曲部44と、水平面部43の前端に沿って設けられた前部下向き屈曲部45と、水平面部43の下面側前後二箇所位置で左右方向に向けられた二つの補強桟46とを備えて構成されている。水平面部43の左右両端側下面には、前後方向に延びる側板形成体48が設けられ、当該側板形成体48は、棚板13の側板を形成する側板形成面49と、この側板形成面49の上端に連なって水平面部43の下面に接合される接合面50と、側板形成面49の下端後部側に連なって内方に向けられるとともに、前記案内用スリット21に受容される内向き屈曲面51とを備えて構成されている。内向き屈曲面51は、図3及び図4に示されるように、棚板13をブラケット12,12上に配置した状態で、案内用スリット21内に位置することとなり、これにより、棚板13の前後方向の移動を許容し、棚板13の浮き上がりも規制することとなる。
【0019】
図2に示されるように、ブラケット12における支持面19の上面側には、滑り促進用のシート状の樹脂薄板片53が接着等の手段で固定され、この薄板樹脂片53によって前記棚板13を前後方向に移動させる際の摩擦抵抗が軽減できるようになっている。
【0020】
次に、本実施例に係る棚装置10の組み立て方法について説明する。
【0021】
本実施例に係る棚装置10の組み立ては、前述した構成部品を組み立てて複数のユニットを設けておき、これらユニットを組み合わせることによって行われる。すなわち、第1のユニットは、図示しないベースに対して支柱11,11を組み合わせて自立姿勢とする。そして、各支柱11,11の所定高さ位置におけるスリット15に対してブラケット12,12のフック18を差し込んで当該ブラケット12,12をスリット15に引っ掛けることによって構成される。なお、ブラケット12の支持面19には樹脂薄板片53が予め接着等により固定される。
【0022】
第2のユニットは、棚板13により構成されている。この棚板13は、側板形成体48の接合面50を溶接等の手段で水平面部43の左右両端側下面に固定した後、水平面部43の下面側に各補強桟46,46をそれぞれ溶接等により固定することによって構成される。
【0023】
第3のユニットは、横行部材22により構成され、この横行部材22の組み立ては、まず、第1の横行部材のねじ穴33にねじ40を取り付けた後、当該ねじ40の先端側に第2の横行部材27のスロット穴38を挿入して各平面部30,35を重ね合わせる。この状態で、ねじ40に蝶ナット41を装着し、各平面部30,35を挟み込んで一体化することによって第3のユニットが構成される。
【0024】
第1のユニットに対して第2のユニットを組み立てる場合には、棚板13をブラケット12,12上に載せればよい。この際、内向き屈曲面51が支持面19に干渉しないようにブラケット12,12の前端側を相互に接近させておき、支持面19上に棚板13を載せてからブラケット12,12の前端側を相互に離間させて略平行姿勢とすることで、内向き屈曲面51が案内用スリット21に挿入されることとなる。
【0025】
次いで、第3のユニットを構成する横行部材22を持ち、棚板13の下方位置で各フック部32,37を後部スリット24にそれぞれ引っ掛けて横行部材22をブラケット12,12間に掛け渡す。この掛け渡しにより、左右のブラケット12,12は相互に連結され、この状態で、蝶ナット41を緩めてブラケット12,12間距離に応じて横行部材22の長さを変化させ、ブラケット12,12を略平行とした後、すなわち、棚板13の前後移動が最もスムースに行われる状態で、蝶ナット41を再度締めることにより横行部材22の長さが維持されるとともに、ブラケット12,12の平行姿勢を安定的に保つことができる。
【0026】
このようにして組み立てられた棚装置10は、棚板13を前後方向に力を付与することによってブラケット12の前後方向に沿う移動が可能となる(図3及び図4参照)。この際、支持面19の上面には、樹脂薄板片53が設けられているため、棚板13は、少ない摩擦抵抗によってスムースに移動することができる。なお、棚板13は、内向き屈曲面51が前部スリット25の前側内周縁に突き当たった位置を引き出し限とするものであり、従って、棚板13がブラケット12の前方から脱落してしまうことはない。
【0027】
従って、このような実施例によれば、棚板13をブラケット12,12に装着した後、左右のブラケット12,12間距離の調整を行うことができるので、仮に、棚板13上に商品等が陳列されている場合であっても、ブラケット12,12の平行度を調整してブラケット12,12間距離を一定に維持することが可能となる。
【0028】
なお、本発明における支持体は支柱11に限定されるものでなく、スリット15が形成されたものであれば、パネル状のもの等を採用することもできる。また、棚部材は、水平面部43を備えたものに限らず、メッシュ状或いはフレーム状のものに代替することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ブラケット間に掛け渡された横行部材が左右のブラケット間距離に応じて長さ変化可能に設けられているから、棚板をブラケット上に載せた後、横行部材を長さ変化させることでブラケット間距離を調整することができるので、左右のブラケットを平行姿勢として棚板を安定的に支持することが可能となる。
【0030】
また、棚板が前後方向に移動可能に設けられているから、ブラケット間距離が最適化されるので、棚板の前後移動をスムースに行うことができる。
【0031】
また、横行部材は、当該横行部材の長さを維持する固定部材を含んで構成されているから、左右のブラケットを平行姿勢としてから、固定部材を用いて横行部材の長さを決定することにより、ブラケット間距離を一定に保つことができ、ブラケットの平行度を確実に維持することが可能となる。
【0032】
更に、横行部材を相互に重なり合う領域を備えた第1及び第2の横行部材により構成し、重なり合い領域に固定部材を設けた場合には、横行部材の構成の簡略化を図ることができる。
【0033】
また、ブラケットの面内に設けられた案内用スリットに横行部材の端部を引っ掛けて当該横行部材をブラケット間に掛け渡し可能としたから、ブラケットに横行部材を連結するための穴等を形成しなくてよくなり、従って、ブラケットを特別な形状とする必要がなくなるので、経済的にも有利な条件で棚装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係る棚装置の要部概略斜視図。
【図2】図1の要部分解斜視図。
【図3】図1の右側面図。
【図4】棚板が引き出された位置にある状態を示す右側面図。
【図5】(A)はブラケットの平面図、(B)はブラケットの右側面図。
【図6】図1の縦断面図。
【図7】横行部材の底面図。
【図8】支柱を省略した図1の背面図。
【図9】図8の要部拡大図。
【符号の説明】
10 棚装置
11 支柱(支持体)
12 ブラケット
13 棚板(棚装置)
15 スリット
18 フック
21 案内用スリット
22 横行部材
26 第1の横行部材
27 第2の横行部材
29 固定部材

Claims (6)

  1. 上下方向に位置するとともに左右の各前面側に複数のスリットが形成された支持体と、前記スリットに引っ掛け可能なフックを後部に有するとともに、前記支持体に対してそれぞれ前後方向に延びるブラケットと、これらブラケット間に支持された棚部材とを備えた棚装置において、
    前記ブラケット間に横行部材が掛け渡されるとともに、当該横行部材は、前記左右のブラケット間距離に応じて長さを調整可能に設けられていることを特徴とする棚装置。
  2. 前記棚板は、前後方向移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1記載の棚装置。
  3. 前記横行部材は、ブラケット間距離に応じて長さが決定された状態で、当該長さを維持する固定部材を含んで構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の棚装置。
  4. 前記横行部材は、相互に重なり合う領域を備えた第1及び第2の横行部材からなり、前記重ね合わせ領域に前記固定部材が設けられていることを特徴とする請求項1,2又は3記載の棚装置。
  5. 前記各ブラケットの面内に棚部材を前後方向に移動可能とする案内用スリットがそれぞれ設けられ、これら案内用スリットに前記横行部材の端部を引っ掛けて当該横行部材がブラケット間に掛け渡されていることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の棚装置。
  6. 上下方向に位置するとともに左右の各前面側に複数のスリットが形成された支持体と、前記スリットに引っ掛け可能なフックを後部に有するとともに、前記支持体に対してそれぞれ前後方向に延びるブラケットと、これらブラケット間に支持された棚部材とを備えた棚装置において、
    前記ブラケットの面内に棚部材を前後方向に移動可能とする案内用スリットがそれぞれ設けられるとともに、前記ブラケット間に当該ブラケット間を所定距離に維持する横行部材が掛け渡されていることを特徴とする棚装置。
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