JP3925037B2 - 記録装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は記録装置及び方法に係り、特に、記録ヘッドと記録シートとを相対的に往復移動させ、往復移動の往路及び復路で記録を行う記録方法、及び該記録方法を適用可能な記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、記録シートを一定速度で搬送すると共に、記録シートの搬送方向と直交する方向(記録シートの幅方向)に沿ってインクジェットヘッド等の記録ヘッドを往復移動させ、記録ヘッドが記録シートに対応している期間に記録ヘッドによって記録シートに画像(例えば文字画像や写真画像)を記録する、所謂キャリッジ型の記録装置が知られている。
【0003】
この種の記録装置において、記録速度の向上は常に要求される課題であり、例えば特許第2933970号公報には、記録ヘッドの移動パターンとして、移動速度及び移動距離の異なる複数種の移動パターンを予め用意しておき、記録を行うべき行毎に記録幅を認識し、認識した記録幅に基づいて、記録ヘッドの移動パターンを行毎に選択することで記録速度の向上を実現する技術が開示されている。
【0004】
また、上記に関連して特開平9−20030号公報には、記録ヘッドを移動させるキャリアモータの消費電力量の低減を目的として、1ライン分のデータ長に基づき1ラインを印字するのに必要なキャリアモータの加減速制御時間及び一定速度制御時間の組み合わせを求め(1ラインの印字時間Tは一定)、消費電力量が低い組み合わせを選択することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許第2933970号公報に記載の技術では、記録を行うべき行毎に記録幅を認識して移動パターンを選択するので、制御が複雑であるという欠点がある。また、1枚の記録シートに記録すべき複数の行の中に記録幅の異なる行が混在していた場合には、1枚の記録シートへの記録を行っている途中で移動パターンの切り替えが発生するが、上記技術における記録ヘッドの移動距離は記録ヘッドの各移動パターン毎に相違しているので、記録ヘッドの移動開始位置を一定にしたとすると記録ヘッドの移動終了位置は各移動パターン毎に相違することになる。
【0006】
従って、記録ヘッドを往復移動させると共に、往復移動の往路及び復路で各々記録を行う態様に上記技術を適用したとすると、少なくとも移動パターンの切り替え時に、或る行の記録が終了して記録ヘッドの移動を一旦停止させた後に、次の行の記録を行うための移動開始位置へ記録ヘッドを移動させる必要がある、という問題がある。これにより、例えば記録幅が小さい行と記録幅が長い行が交互に現れる複数の行を1枚の記録シートに記録する等の場合に、上記技術を適用することで記録に要する時間が逆に長くなる可能性がある。
【0007】
また、特開平9−20030号公報に記載の技術についても、1ライン分のデータ長に基づいて加減速制御時間及び一定速度制御時間の組み合わせを求めるので、特許第2933970号公報に記載の技術と同様に、制御が複雑であると共に、記録ヘッドを往復移動させ往路及び復路で各々記録を行う態様に適用した場合に、記録に要する時間が長くなる可能性がある。
【0008】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、種々のサイズの記録シートに対し、簡易な制御により短時間で往復記録を行うことができる記録装置及び記録方法を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
記録ヘッドと記録シートとを所定方向に沿って相対的に往復移動させ、往復移動の往路及び復路で記録シートへの記録を行う場合に、無駄な相対移動を省き、記録に要する時間を短縮すると共に相対移動させるための制御が複雑となることを回避するためには、往路における相対移動停止時の記録ヘッドと記録シートの位置関係が、復路における相対移動開始時の記録ヘッドと記録シートの位置関係に一致し、かつ復路における相対移動停止時の記録ヘッドと記録シートの位置関係が、往路における相対移動開始時の記録ヘッドと記録シートの位置関係に一致していることが望ましい。
【0010】
上記に基づき請求項1記載の発明に係る記録装置は、記録ヘッドと記録シートとを所定方向に沿って相対的に往復移動させ、予め定められた記録シート上の記録範囲内に、前記往復移動の往路及び復路で記録を行う記録装置であって、前記記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の前記所定方向に沿った一方の端部と所定距離隔たっている状態より記録ヘッドと記録シートの相対移動を開始させ、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った他方の端部と所定距離隔たっている状態で前記相対移動を停止させたときに、前記相対移動に要する時間が最短となるように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に基づいて、前記記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での前記相対移動の移動速度を決定し、かつ、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例するように前記所定距離を決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された移動速度及び記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例して定められた所定距離に基づいて、前記記録ヘッドと記録シート上の記録範囲の端部とが前記所定距離を隔てた静止状態から相対移動を開始するように、前記記録ヘッドと前記記録シートの相対移動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
なお、前記予め定められた記録シート上の記録範囲は、前記記録シートのサイズに応じて固定的に定められたことを特徴とする。
【0011】
請求項1記載の発明では、記録シート上の記録範囲が記録シートのサイズに応じて予め定められ、例えば固定的に定められており(記録シート上の記録範囲は、例えば記録シートの全面であってもよいし、記録シートの端部から一定距離以内の領域(例えば記録装置の構造上の理由で記録できない数mm程度の幅の領域)を除いた範囲であってもよい)、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向(記録ヘッドと記録シートの相対移動の方向)に沿った一方の端部と所定距離隔たっている状態より記録ヘッドと記録シートの相対移動を開始させ、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った他方の端部と所定距離隔たっている状態で相対移動を停止させたときに、相対移動に要する時間が最短となるように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に基づいて、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での相対移動の移動速度を決定し、かつ、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例するように所定距離(記録ヘッドと記録シートの相対移動開始時の、記録ヘッドと記録シート上の記録範囲(の所定方向に沿った一方の端部)との距離)を決定する。
【0012】
上記のように記録ヘッドと記録シートを相対移動させることは、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った一方の端部と所定距離隔たっている状態から、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った一方の端部に対応する状態となる迄の間に、相対移動の移動速度を、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での移動速度に達する迄増速し、次いで記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間を経て、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った他方の端部に対応する状態になった後は、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った他方の端部と所定距離隔たっている状態になったときに、記録ヘッドと記録シートの相対移動が停止するように、相対移動の移動速度を減速することによって成される。
【0013】
なお、請求項1記載の発明において、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での記録ヘッドと記録シートの相対移動の移動速度は一定であることが望ましいが、略一定(例えば移動速度が一定となるように制御しているものの若干の変動が生じている等)としてもよいし、前記相対移動の移動速度が前記区間内で変化するように制御することも権利範囲に含まれる。
【0014】
前記区間での前記相対移動の移動速度を略一定とする場合、決定手段は、前記移動速度として、例えば前記区間での前記相対移動の平均移動速度を決定し、制御手段は、前記区間での前記相対移動の移動速度が略一定となり、かつその平均値が前記決定された平均移動速度に一致するように制御することができる。また、前記相対移動の移動速度が前記区間内で変化するように制御する場合、決定手段は、前記移動速度として、上記のように平均移動速度を決定するか、又は前記区間内の各部分における移動速度を決定し、制御手段は、前記区間での前記相対移動の移動速度の平均値が前記決定された平均移動速度に一致するように制御するか、又は前記区間内の各部分における移動速度が、決定された移動速度に各々一致するように制御することができる。
【0015】
記録ヘッドと記録シートを上記のように相対移動させることにより、往路における相対移動を停止させたときの記録ヘッドと記録シートの位置関係が、復路における相対移動を開始するときの記録ヘッドと記録シートの位置関係に常に一致し、かつ復路における相対移動を停止させたときの記録ヘッドと記録シートの位置関係が、往路における相対移動を開始するときの記録ヘッドと記録シートの位置関係に常に一致することになる。
【0016】
請求項1記載の発明では、記録ヘッドと記録シートを上記のように相対移動させたときに相対移動に要する時間が最短となるように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に基づいて、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での移動速度を決定し、かつ、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例するように所定距離を決定し、決定された移動速度及び所定距離に基づいて、記録ヘッドと記録シートの相対移動を制御するので、往復移動の往路及び復路で記録シートへの記録を行う場合にも、記録シートのサイズに拘わらず記録ヘッドと記録シートの無駄な相対移動を省くことができ、記録ヘッドと記録シートの相対移動に要する時間(記録シートへの往復記録に要する時間)を短縮することができる。
【0017】
また、記録シート上の記録範囲が記録シートのサイズに応じて固定的に定められることで、移動速度及び所定距離は記録シートのサイズに応じて一意に定まることになり、行毎に移動速度や所定距離を決定する等の煩雑な処理を行って記録ヘッドと記録シートとの相対移動を制御する必要もない。従って、請求項1記載の発明によれば、種々のサイズの記録シートに対し、簡易な制御により短時間で往復記録を行うことができる。
【0018】
また、記録ヘッドと記録シートとを相対的に移動させ、記録ヘッドによって記録シートへの記録を行う際に、記録ヘッドによる記録に対する制御が複雑となることを回避すると共に、一定水準以上の記録品質を確保するためには、先にも述べたように、少なくとも記録ヘッドによって記録シートへの記録が行われている間は、記録ヘッドと記録シートの相対移動の移動速度は一定であることが望ましい。
【0019】
上記に基づき、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、決定手段は、前記移動速度として、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での記録ヘッドと記録シートの相対移動の平均移動速度を決定し、制御手段は、前記区間での前記相対移動の移動速度が略一定となり、かつ前記移動速度の平均が前記平均移動速度に一致するように制御することを特徴としている。これにより、記録ヘッドによる記録に対する制御が複雑となることを回避できると共に、一定水準以上の記録品質を確保することができる。
【0020】
ところで、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での相対移動の移動速度を高くすると、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での記録ヘッドと記録シートの相対移動に要する時間は短縮されるものの、相対移動速度の増速及び減速に要する時間は逆に増大する。本願発明者等は、記録ヘッドと記録シートを相対的に1往復移動させたときに移動に要する時間(記録シートへの往復記録に要する時間)が最短となる移動速度を、種々のサイズの記録シートについて各々調べる実験を行った結果、記録シートへの記録に要する時間が最短となる移動速度(詳しくは平均移動速度)Vcと記録シートのサイズ(記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅Lp)の間にはVc∝Lp0.5なる関係が存在するとの知見を得た。
【0021】
上記に基づき、本発明に係る決定手段は、請求項3に記載したように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅Lpに基づいて、前記記録ヘッドが前記記録シート上の記録範囲に対応している区間での平均移動速度VcをVc∝Lp0.5 の関係式により決定することが好ましい。これにより、記録シートへの記録に要する時間が最短となる移動速度を簡易な処理によって求めることができる。
【0022】
また、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での移動速度を、上記のように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に応じて変更した場合、記録ヘッドと記録シートの相対移動開始時の記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った端部と記録ヘッドの距離の最適値(記録ヘッドと記録シートの無駄な相対移動を省くことで、相対移動速度の増速(及び減速)に要する時間が最短となる値)についても、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に応じて変化する。これに対して本願発明者等は、記録シートへの記録に要する時間が最短となる所定距離ΔLと記録シートのサイズ(記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅Lp)の関係を求めた結果、所定距離ΔLと記録範囲の幅Lpの間にはΔL=0.5Lpなる関係が存在するとの知見を得た。
【0023】
上記に基づき、本発明に係る決定手段は、請求項4に記載したように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅Lpに基づいて、所定距離ΔLをΔL=0.5Lp の関係式により決定することが好ましい。これにより、記録シートへの記録に要する時間が最短となる所定距離を簡易な処理によって求めることができる。
【0024】
また、本発明のように、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間における記録ヘッドと記録シートの相対移動の移動速度、相対移動開始時の記録ヘッドと所定方向に沿った記録シート上の記録範囲の端部との距離を、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に基づいて決定する場合、記録ヘッドによって記録シート上の記録範囲内への記録を開始するタイミングについても、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に応じて変化する。
【0025】
これを考慮すると、本発明に係る制御手段は、請求項5に記載したように、記録ヘッドによって記録シート上の記録範囲内への記録を開始するタイミングを、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に応じて変更することが好ましい。これにより、記録シートのサイズに拘わらず、適正なタイミングで記録シートへの記録を開始することができる。
【0026】
また、本願発明者等は、記録ヘッドと記録シートの移動を開始してから、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った端部に対応する状態となる迄の時間tと、記録シートのサイズ(記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅Lp)、及び記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での記録ヘッドと記録シートの相対移動の平均移動速度Vc との関係を求めた結果、時間tと記録範囲の幅Lp及び平均移動速度Vcの間にはt=Lp/Vc なる関係が存在するとの知見を得た。
【0027】
上記に基づき、請求項5記載の発明に係る制御手段は、詳しくは請求項6に記載したように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅Lp及び記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での平均移動速度Vcに基づいて、相対移動を開始してから記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った端部に対応する状態となる迄の時間tをt=Lp/Vc の関係式により求め、求めた時間tに基づいて記録ヘッドによって記録シート上の記録範囲内への記録を開始するタイミングを決定することが好ましい。これにより、記録シートのサイズに拘わらず適正なタイミングで記録シートへの記録を開始することを、簡易な処理によって実現できる。
【0028】
また、本発明に係る移動速度及び所定距離の決定は、例えば請求項7に記載したように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅が各値のときの移動速度及び所定距離を記憶手段に予め記憶しておき、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に対応する移動速度及び所定距離を記憶手段から読み出すことで行うようにしてもよい。これにより、例えば記録を行う記録シートのサイズが変更される毎に、移動速度及び所定距離を演算等によって求める必要がなくなり、移動速度及び所定距離の決定を簡易な処理によって実現できる。
【0029】
請求項8記載の発明に係る記録方法は、記録ヘッドと記録シートとを所定方向に沿って相対的に往復移動させ、予め定められた記録シート上の記録範囲内に、前記往復移動の往路及び復路で記録を行うにあたり、前記記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の前記所定方向に沿った一方の端部と所定距離隔たっている状態より記録ヘッドと記録シートの相対移動を開始させ、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った他方の端部と所定距離隔たっている状態で前記相対移動を停止させたときに、前記相対移動に要する時間が最短となるように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に基づいて、前記記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での移動速度を決定し、かつ、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例するように前記所定距離を決定し、前記決定した移動速度及び記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例して定められた所定距離に基づいて、前記記録ヘッドと記録シート上の記録範囲の端部とが前記所定距離を隔てた静止状態から相対移動を開始するように、前記記録ヘッドと前記記録シートの相対移動を制御することを特徴としているので、請求項1記載の発明と同様に、種々のサイズの記録シートに対し、簡易な制御により短時間で往復記録を行うことができる。
なお、前記予め定められた記録シート上の記録範囲は、前記記録シートのサイズに応じて固定的に定められたことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には、本発明に係る記録方法を適用可能なインクジェットプリンタ10が示されている。なお、このインクジェットプリンタ10は本発明に係る記録装置に対応している。
【0031】
インクジェットプリンタ10は、図1における左方側に、各種サイズの記録シートをセット可能とされた用紙トレイ14が設けられている。用紙トレイ14には記録シートの幅方向に沿ってスライド移動可能な用紙ガイド(図示省略)が設けられている。この用紙ガイドは、ユーザによって用紙トレイ14に記録シートがセットされた際に、セットされた記録シートの幅に応じた位置(この位置には記録シートのサイズを表記したマークが付されている)へユーザによってスライド移動される。これにより、用紙トレイ14にセットされた記録シートが用紙トレイ14から引き出される際には、引出搬送方向と直交する幅方向に沿った記録シートの両端部が用紙ガイドによって案内される。
【0032】
一方、インクジェットプリンタ10の図1における右方側には、画像(例えば文字画像や写真画像)が記録された記録シートを載置するための排出トレイ16が設けられており、用紙トレイ14と排出トレイ16との間には記録シートの搬送路が形成されている。記録シートの搬送路上には、図示しない引出し搬送ローラ回転駆動手段の駆動力が伝達されて回転される搬送ローラ対22,24,26が配設されている。搬送ローラ対22は用紙トレイ14から記録シートを引き出す機能も有しており、搬送ローラ対22によって用紙トレイ14から引き出された記録シートは、搬送ローラ対22,24,26によって排出トレイ16へ搬送され、排出トレイ16上に載置される。
【0033】
なお、本実施形態では、例として図6に示すように、記録シートのサイズに拘わらず、記録シートの幅方向(主走査方向)に沿った一方の端部(便宜的に左端と称する)が、用紙トレイ14上の一定位置に位置するように用紙トレイ14にセットされ、記録シートの左端が主走査方向に沿って一定の位置に位置している状態を維持したまま搬送される。
【0034】
また、搬送ローラ対24,26の間にはインクジェットヘッド20(本発明に係る記録ヘッドに相当)が配置されている。図2に示すように、インクジェットプリンタ10は、プリンタ10の幅方向両端部に一対のシャーシ44が設けられており、一対のシャーシ44の間にはプリンタ10の幅方向に沿ってキャリッジシャフト46が掛け渡されている。
【0035】
キャリッジシャフト46の近傍には、一対のプーリ48に巻き掛けられた無端のキャリッジ送りベルト50がキャリッジシャフト46に対して平行に配置されている。一対のプーリ48の一方は、図示しない駆動力伝達機構を介してステッピングモータから成るキャリッジモータ66(図4参照)の回転軸と連結されており、キャリッジモータ66の駆動力が伝達されて前記プーリ48が回転されると、これに伴ってキャリッジ送りベルト50も移動する。
【0036】
キャリッジ送りベルト50には、キャリッジシャフト46に沿って摺動移動可能にキャリッジシャフト46に支持されたインクジェットヘッド20(キャリッジ32)が取付けられている。キャリッジ32にはインク収容部52が取付けられており、インク収容部52には記録シートSに画像を記録するためのインクが貯溜されている。更に、キャリッジ32の下面には記録ヘッド34が設けられている(図1も参照)。
【0037】
インクジェットヘッド20はキャリッジ32や記録ヘッド34等によって構成されており、キャリッジ送りベルト50が移動されると、インクジェットヘッド20はキャリッジシャフト46に沿って移動する。なお、本実施形態において、インクジェットヘッド20の移動可能範囲の長さは、インクジェットプリンタ10によって記録可能な各種サイズの記録シートのうち、幅(インクジェットヘッド20の移動方向(主走査方向)に沿った寸法)が最大の記録シートにおける幅LpMAXの2倍以上(移動可能範囲の長さ≧2LpMAX)とされている。
【0038】
図3に示すように、記録ヘッド34には、円孔(ノズル)36が図2矢印B方向(レールと直交する方向)に沿って一定のピッチで複数個形成されており、記録ヘッド34のヘッド面34A(搬送ローラ対24,26の間に搬送された記録シートの上面と対向する面)36には、各ノズル36のインク吐出口38が各々形成されている。インク吐出口38からインクを吐出させるための吐出方式としては、加圧方式、連続流方式、静電吸引方式、音響波や圧力波等を集中させる方式等の公知の吐出方式を利用することができる。例えば加圧方式としては、例えばサーマルインクジェット方式や圧電方式を利用できる。
【0039】
次に図4を参照し、インクジェットプリンタ10の電気系の構成について説明する。用紙サイズ検知センサ60は、インクジェットプリンタ10によって記録が行われる記録シートのサイズ(詳しくは主走査方向(インクジェットヘッド20の移動方向)に沿った記録シートの幅Lp)を検知し、検知結果を用紙サイズ検知信号として記録制御部62へ出力する。
【0040】
なお、本実施形態のように、記録シートのサイズに応じて用紙ガイドがスライド移動される態様において、用紙サイズ検知センサ60としては、例えばスライド移動後の用紙ガイドの位置を検出するセンサを用いることができる。
【0041】
また、用紙サイズ検知センサ60として、記録シートのサイズをユーザが指定するためのキーを設け、ユーザによって前記キーが操作されて記録シートのサイズが指定されることで、記録シートのサイズを検知するようにしてもよい。この場合、記録シートのサイズに拘わらず記録シートの左端が一定の位置に位置するように、指定されたサイズに応じて、用紙トレイ14上での記録シートの設置位置をLED等の表示手段によって自動的に表示するようにしてもよい。
【0042】
インクジェットプリンタ10の本体に対して着脱自在でかつ記録シートを多数枚収納可能な用紙トレイが、記録シートの各種サイズに対応して複数種用意され、記録シートとして用いるシート材のサイズに対応する用紙トレイが選択的にインクジェットプリンタ10本体にセットされる態様においては、例えば個々の用紙トレイを識別するためのマーク又は突起等を用紙トレイに各々設けておき、用紙サイズ検知センサ60として前記マーク又は突起を検出するセンサを用い、マーク又は突起の検出結果に基づいて、インクジェットプリンタ10に現在セットされている用紙トレイの種類(すなわち記録シートのサイズ)を検知する構成を採用することができる。
【0043】
記録制御部62はCPU,ROM,RAM,I/Oポートを含んで構成されており、用紙サイズ検知センサ60から入力された用紙サイズ検知信号に基づき、インクジェットヘッド20が記録シートに対応している期間のインクジェットヘッド20の移動速度(最適移動速度)、インクジェットヘッド20が移動を開始する際のインクジェットヘッド20の位置(移動開始位置)、及びインクジェットヘッド20によるドットの記録周期を決定する。
【0044】
また記録制御部62は、インクジェットヘッド20の往復移動を開始するタイミングを検知すると共に、インクジェットヘッド20の往復移動の往路及び復路におけるインクジェットヘッド20による記録開始タイミングを各々検知する(詳細は後述)。記録制御部62は本発明に係る決定手段に対応している。
【0045】
記録制御部62にはモータ駆動回路64を介してキャリッジモータ66が接続されており、記録制御部62は、決定した移動速度及び移動開始位置をモータ駆動回路64に通知すると共に、検知した移動開始タイミングをモータ駆動回路64に通知する。
【0046】
モータ駆動回路64は、インクジェットヘッド20が通知された移動開始位置へ移動した後に、通知された移動開始タイミングよりインクジェットヘッド20の往復移動が開始され、通知された移動速度及び移動開始位置に応じた移動パターン(例として図6(B)に示すように、インクジェットヘッド20が記録シートに対応している期間は移動速度が一定で、インクジェットヘッド20が記録シートに対応していない期間に移動速度を増速及び減速させる移動パターン)でインクジェットヘッド20が往復移動するように、キャリッジモータ66に供給する駆動パルス信号の周波数を適宜変化させてキャリッジモータ66を駆動する。なお、モータ駆動回路64は記録制御部62と共に本発明に係る制御手段に対応している。
【0047】
なお、本実施形態では、キャリッジモータ66として、駆動パルス信号の1パルス当りの回転軸の回転角度が一定(すなわち駆動パルス信号の1パルス当りのインクジェットヘッド20の移動距離が一定)のステッピングモータを用いているので、キャリッジモータ66に供給した駆動信号のパルス数がインクジェットヘッド20の移動距離に対応している。
【0048】
このため、例えばインクジェットヘッド20を通知された移動開始位置へ移動させることは、例えばインクジェットヘッド20の移動範囲内の一定の位置に、インクジェットヘッド20が前記一定の位置に位置していることを検出するセンサを設けておき、移動開始位置が通知されると、通知された移動開始位置と前記一定の位置との距離を駆動パルス信号のパルス数に換算し、インクジェットヘッド20が前記一定の位置に位置していることが前記センサによって検出された後に、前記換算によって得られたパルス数に一致するパルス数の駆動パルス信号をキャリッジモータ66に供給することによって実現できる。また、インクジェットヘッド20の移動速度の増速及び減速は駆動パルス信号の周波数(駆動パルス信号の個々のパルスの時間間隔)を変更することで実現できる。
【0049】
また、記録制御部62には吐出基準信号発生回路68及び画像信号発生回路70が各々接続されており、記録制御部62は、決定したドット記録周期を吐出基準信号発生回路68へ通知し、検知した記録開始タイミングを画像信号発生回路70へ通知する。吐出基準信号発生回路68はインクジェットヘッド20からのインク滴の吐出タイミングを規定する吐出基準信号を出力するが、吐出基準信号発生回路68は、記録制御部62から通知されたドット記録周期に応じて吐出基準信号の周期を変更する。吐出基準信号発生回路68は画像信号発生回路70に接続されており、吐出基準信号は画像信号発生回路70に入力される。
【0050】
画像信号発生回路70には画像情報発生回路72が接続されており、画像情報発生回路72からは、記録シートに記録すべき画像を表す画像情報が入力される。画像信号発生回路70は、入力された画像情報が表す画像がドット単位で記録シート上に記録されるように、インクジェットヘッド20の往復移動の往路及び復路において、入力された吐出基準信号に同期したタイミングで、インクジェットヘッド20の各ノズル36から、画像情報に応じて選択的にインク滴を吐出させることを、記録制御部62から通知された記録開始タイミングより開始させる画像信号を生成する。
【0051】
生成された画像信号は、画像信号発生回路70に接続されたインクジェットヘッド駆動回路74に入力される。インクジェットヘッド駆動回路74には、インクジェットヘッド20を駆動するための電力がインクジェットヘッド駆動電源76から供給される。インクジェットヘッド駆動回路74は入力された画像信号に基づいてインクジェットヘッド20を駆動し、インクジェットヘッド20の各ノズル36から選択的にインク滴を吐出させる。
【0052】
これにより、インクジェットヘッド20の移動によって主走査が、搬送ローラ対22,24,26による記録シートの搬送によって副走査が成され、記録シート上に画像が記録されることになる。
【0053】
次に本実施形態の作用として、記録シートへの画像の記録が指示されると記録制御部62で実行される記録制御処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。ステップ100では用紙サイズ検知センサ60から入力される用紙サイズ検知信号を取り込み、画像の記録を行う記録シートの幅Lp(以下、単に用紙幅Lpという)を認識する。
【0054】
ステップ102では、ステップ100で認識された用紙幅Lpに基づき、インクジェットヘッド20がインク滴の吐出を行う期間のインクジェットヘッド20の最適移動速度Vc(主走査周期Tが最短となるときの、インクジェットヘッド20がインク滴の吐出を行う期間におけるインクジェットヘッド20の平均移動速度)を次の(1)式に従って演算する。
Vc=C・Lp0.5 …(1)
なお(1)式においてCは比例定数であり、この比例定数Cの値はキャリッジモータ66による加速特性値(インクジェットヘッド20の移動速度を増速するときの加速度)に応じて変化するので、予め実験を行って設定することができる。
【0055】
(1)式より明らかなように、最適移動速度Vcは用紙幅Lpの0.5乗に比例しているので、図6(B)にも示すように、用紙幅Lpが大きくなるに従って最適移動速度Vcの値は大きくなる。上述したステップ102は、詳しくは請求項3に記載の決定手段に対応している。
【0056】
なお、記録シートの用紙幅Lpが各値のときの最適移動速度Vcを予め演算し、最適移動速度Vcの演算結果を用紙幅Lpと対応させて記録制御部62のROM等に予め記憶しておき、ステップ100で認識した用紙幅Lpに対応して記憶されている最適移動速度VcをROM等から読み出すことで、最適移動速度Vcを決定するようにしてもよい。
【0057】
また、記録シートの用紙幅Lpと最適移動速度Vcとの間には次の(2)式及び(3)式に示す関係が存在しているので、用紙幅Lpに基づき、(2)式及び(3)式に従って最適移動速度Vcを求めるようにしてもよい。
Vc∝Lp0.5 …(2)
VcB=(LpB/LpA0.5・VcA …(3)
(3)式において、LpAはサイズAの記録シートの用紙幅、LpBはサイズBの記録シートの用紙幅、VcAはサイズAの記録シートに対する最適移動速度、VcBはサイズBの記録シートに対する最適移動速度である。
【0058】
なお、特定のサイズ(最適移動速度が既知のサイズ:例えば上記のサイズA)の記録シートに対する最適移動速度に基づいて、他のサイズ(最適移動速度が未知のサイズ:例えば上記のサイズB)の記録シートに対する最適移動速度を演算する場合、(3)式を用いることに限定されるものではなく、例えば(3)式によって求まる値に近似した値を最適移動速度として用いてもよいし、類似の他の演算式に従って最適移動速度を演算するようにしてもよい。
【0059】
次のステップ104では、ステップ102で求めた最適移動速度Vc及び予め定められた主走査方向のドット記録密度に基づいて、前記主走査方向のドット記録密度に一致する間隔で主走査方向にドットを記録するためのインクジェットヘッド20によるドットの記録周期を演算し、ドットの記録周期の演算結果を吐出基準信号発生回路68に通知する。これにより、吐出基準信号発生回路68から出力される吐出基準信号の周期がドット記録周期に応じて変更され、インクジェットヘッド20からのインク滴の吐出は、ドット記録周期に一致する周期で行われることになる。
【0060】
ステップ106では、ステップ100で認識された用紙幅Lpに基づき、インクジェットヘッド20の移動開始位置として、インクジェットヘッド20の往復移動における往路及び復路において、インクジェットヘッド20が移動を開始する際のインクジェットヘッド20と記録シートの端部(本実施形態では記録シートの全面を本発明に係る記録範囲とみなしており、この端部は本発明における「記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った端部」に対応している)との距離ΔL(インクジェットヘッド20がインク滴の吐出を行う期間にインクジェットヘッド20を一定速度で移動させることを前提としたときに、主走査周期Tが最短となる距離ΔL)を次の(4)式に従って演算する。
ΔL=0.5Lp …(4)
(4)式より明らかなように、距離ΔLは用紙幅Lpに比例しているので、図6(B)にも示すように、用紙幅Lpが大きくなるに従って距離ΔLの値は大きくなる。なお、ステップ106は、詳しくは請求項4に記載の決定手段に対応している。
【0061】
なお、距離ΔLについても最適移動速度Vcと同様に、記録シートの用紙幅Lpが各値のときの距離ΔLを用紙幅Lpと対応させて記録制御部62のROM等に予め記憶しておき、ステップ100で認識した用紙幅Lpに対応して記憶されている距離ΔLをROM等から読み出すことで、距離ΔLを決定するようにしてもよい。
【0062】
そしてステップ108では、ステップ102で演算した最適移動速度Vc及びステップ106で演算した距離ΔLをモータ駆動回路64に通知する。これにより、モータ駆動回路64は、通知された最適移動速度Vc及び距離ΔLに基づき、例として図6(A)に示すように、インクジェットヘッド20の往復移動の往路及び復路にいて、インクジェットヘッド20の移動時間(主走査周期T)が最短となるように、すなわち、インクジェットヘッド20が記録シートの一方の端部と距離ΔL隔たっている状態からインクジェットヘッド20の移動が開始され、インクジェットヘッド20が記録シートの一方の端部に対応する状態となる迄の間は一定の加速度でインクジェットヘッド20の移動速度が増速され、次いでインクジェットヘッド20が記録シートに対応している区間ではインクジェットヘッド20が最適移動速度Vcで移動され、インクジェットヘッド20が記録シートの他方の端部に対応する状態になった後は、一定の減速度でインクジェットヘッド20の移動速度が減速され、インクジェットヘッド20が記録シートの他方の端部と距離ΔL隔たった状態になったときにインクジェットヘッド20の移動速度が0になるように、キャリッジモータ66を駆動してインクジェットヘッド20を往復移動させることになる。
【0063】
次のステップ110では、最適移動速度Vc及び距離ΔLに基づいて、インクジェットヘッド20が上記のように移動されたときのインクジェットヘッド20の移動時間(主走査周期T)を演算する。またステップ116では、インクジェットヘッド20による記録開始タイミングとして、インクジェットヘッド20の往復移動の往路及び復路において、インクジェットヘッド20の移動を開始してから、インクジェットヘッド20が記録を開始すべきタイミング(インクジェットヘッド20が記録シートの一方の端部に対応する状態となるタイミング)が到来する迄の時間tを、用紙幅Lp及び最適移動速度Vcに基づき次の(5)式に従って演算する。
t=Lp/Vc …(5)
なお、ステップ116は、詳しくは後述するステップ124,126と共に、請求項5及び請求項6に記載の制御手段に対応している。
【0064】
なお、時間tについても最適移動速度Vcや距離ΔLと同様に、記録シートの用紙幅Lpが各値のときの時間tを用紙幅Lpと対応させて記録制御部62のROM等に予め記憶しておき、ステップ100で認識した用紙幅Lpに対応して記憶されている時間tをROM等から読み出すことで、時間tを決定するようにしてもよい。
【0065】
次のステップ118以降では記録シートへの記録を行う。すなわち、ステップ118では、搬送ローラ対22,24,26を回転駆動し、用紙トレイ14から記録シートを引き出して搬送する。なお、記録シートがインクジェットヘッド20による記録位置に到達し、インクジェットヘッド20によって記録シートへの画像の記録が行われている間は、インクジェットヘッド20が記録シートに対応していない期間にのみ記録シートが搬送される(インクジェットヘッド20が記録シートに対応している期間(インクジェットヘッド20からインク滴が吐出され、記録シートへ実際に画像が記録されている期間)には記録シートの搬送が一時的に停止され、記録シートが間欠搬送される)ように、搬送ローラ対22,24,26が回転駆動される。
【0066】
次のステップ120では、記録シートがインクジェットヘッド20による記録位置に到達したか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。ステップ120の判定が肯定されるとステップ122へ移行し、モータ駆動回路64に対して移動開始タイミングが到来したことを通知してインクジェットヘッド20の移動を開始させる。これにより、モータ駆動回路64は、図6(B)に示すような移動パターン(すなわち主走査周期Tが用紙幅Lpに応じた最短時間となる移動パターン)でインクジェットヘッド20が移動するようにキャリッジモータ66を駆動する。
【0067】
次のステップ124では、インクジェットヘッド20の移動が開始されてから時間tが経過したか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。時間tが経過するとステップ126へ移行し、画像信号発生回路70に対して記録開始タイミングが到来したことを通知し、記録シートへの画像の記録を開始させる。これにより、画像信号発生回路70は、吐出基準信号発生回路68から入力された吐出基準信号及び画像情報発生回路46から入力された画像情報に基づいて画像信号を生成し、インクジェットヘッド駆動回路74は、生成された画像信号に基づいて、インクジェットヘッド20の各ノズル36から、ドット記録周期に同期したタイミングで選択的にインク滴を吐出させる。これにより、記録シート上に画像が記録されることになる。
【0068】
次のステップ128では、インクジェットヘッド20の移動(往路又は復路の移動)が停止されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。インクジェットヘッド20の移動が停止されるとステップ130へ移行し、記録シートへの記録が完了したか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ122に戻り、モータ駆動回路64に対し、前回の移動方向とは逆の方向へインクジェットヘッド20を移動させる。上述したステップ122〜ステップ130が繰り返されることで、画像情報発生回路72から出力された画像情報が表す画像が記録シートに記録される。そして、ステップ130の判定が肯定されると、記録制御処理を終了する。
【0069】
上述したように、本実施形態に係る記録制御処理では、最適移動速度Vc、移動開始位置を規定する距離ΔL、記録開始タイミングを規定する時間tを記録シートの用紙幅Lpに応じて最適化しているので、インクジェットヘッド20を往復移動させると共に記録シートへ記録を往路及び復路で各々行うにあたり、記録シートのサイズ(用紙幅Lp)に拘わらず主走査周期Tを短縮することができ、記録シートへの画像の記録を簡易な制御により高速で行うことができる。
【0070】
インクジェットヘッド20の移動開始位置(距離ΔL)を記録シートのサイズに応じて変更することによる記録速度の向上(主走査周期Tの短縮)について更に説明する。図6に示すように、記録シートのサイズが、大サイズのサイズAから小サイズのサイズBに切り替わった場合、最適移動速度Vcの値が小さくなる(VcB<VcA)ことに伴い、静止状態にあるインクジェットヘッド20を移動(増速)させたときに、インクジェットヘッド20の移動速度が最適移動速度Vcに達する迄の間にインクジェットヘッド20が移動する距離もΔLAからΔLBへ減少する。
【0071】
ここで、インクジェットヘッド20の移動開始位置を、用紙サイズに拘わらず図6に示す位置a(記録シートの左端から距離ΔLA隔てた位置)に固定的に設定した場合、サイズBの記録シートに対して記録を行う場合にもインクジェットヘッド20は位置aから移動を開始することになるので、インクジェットヘッド20の移動速度は、移動距離がΔLBになった時点で(すなわちインクジェットヘッド20が位置cに達する前に)最適移動速度VcBに達する。しかしながら、記録ヘッドが位置cへ移動する迄の間は記録シートへの記録を行うことができないので、不要な待ち時間が発生する。
【0072】
これに対し、本実施形態では、インクジェットヘッド20の移動開始位置(移動開始位置を規定する距離ΔL)を、最適移動速度Vcと同様に用紙幅Lpに応じて変更する(すなわち、記録シートがサイズBである場合には、インクジェットヘッド20の移動開始位置を位置bへ変更する)ことにより、インクジェットヘッド20の移動速度が最適移動速度に達したときにインクジェットヘッド20が位置cに到達することになるので、インクジェットヘッド20が記録を開始するまでに不要な待ち時間が発生せず、主走査周期T(すなわち記録時間)が短縮されることになる。
【0073】
なお、上記では記録ヘッドの移動速度を増速する際の加速度と減速する際の減速度が等しい場合を説明したが、これに限定されるものではなく、加速度と減速度は異なっていてもよい。例えば減速度の方が高い場合には、例として図7に示すように、最適移動速度Vcで移動している記録ヘッドを停止させるのに要する距離をLsとすると、記録ヘッドの往復移動の往路及び復路において、記録ヘッドが記録シートに対応している区間では最適移動速度Vcで記録ヘッドを移動させると共に、記録ヘッドが記録シートと対応しなくなった後も、記録ヘッドと記録シートの端部との距離がΔL−Lsに達する迄の間は記録ヘッドの移動速度をVcのまま維持し、記録ヘッドと記録シートの端部との距離がΔL−Lsに達したタイミングで記録ヘッドの移動速度の減速を開始するようにすれば、主走査周期Tをより短縮することができる。
【0074】
また、上記では記録シートの左端が記録シートのサイズに拘わらず一定の位置に位置している状態で記録が行われる場合を説明したが、これに限定されるものでなく、記録シートの反対側の端部(右端)又は記録シートの幅方向中央の位置が記録シートのサイズに拘わらず一定の位置に位置している状態で記録が行われるようにしてもよい。また、上記では搬送ローラ対22,24,26によって記録シートを搬送する構成を説明したが、これに代えて、記録シートをドラムやベルト等の担持体に担持させると共に、この担持体を回転駆動することで記録シートを搬送する構成を用いてもよい。
【0075】
また、上記では記録シートの全面を記録範囲としていたが、本発明はこれに限定されるものでなく、記録シートの両端部から一定距離以内の領域(例えばインクジェットプリンタ10の構造上の理由で記録を行うことができない数mm程度の幅の領域)を除いた範囲を記録範囲としてもよい。
【0076】
更に、上記では本発明に係る記録ヘッドとして、インク滴を吐出することで記録を行うインクジェットヘッドを適用した例を説明したが、これに限定されるものではなく、公知の他の方式で記録を行う記録ヘッドを適用してもよい。
【0077】
また、上記では記録ヘッドを移動させることで記録ヘッドと記録シートの相対移動を実現する構成を例に説明したが、これに限定されるものではなく、記録シートのみを移動させるか、記録シート及び記録ヘッドを各々移動させることで、記録ヘッドと記録シートの相対移動を実現する構成を採用してもよい。
【0078】
【実施例】
次に本発明の実施例として、本願発明者等が実施した実験について説明する。本願発明者等は、上記の実施形態で説明したインクジェットプリンタ10と同様に、記録シートの左端が記録シートのサイズに拘わらず一定の位置に位置するように配置される記録シートに対し、記録ヘッドが主走査方向に沿って往復移動することで記録シートへの記録を行う構成の記録装置を用い、A3(用紙幅Lp=297mm、用紙長さ420mm)、A4(用紙幅Lp=210mm、用紙長さ297mm)、A5(用紙幅Lp=148.5mm、用紙長さ210mm)の各種サイズの記録シートに対し、記録ヘッドの移動速度を種々の値に変化させ、記録ヘッドが主走査方向に1往復移動するのに要する時間(往復移動時間)を求める実験を行った。
【0079】
なお、この実験に用いた記録装置におけるキャリッジモータの加速特性値(記録ヘッドの移動速度を増速するときの加速度)は1.5G(mm/秒2)であり、記録ヘッドの移動速度を減速するときにも、加速特性値と同一の減速度で減速を行った。
【0080】
上記の実験を行った結果、記録ヘッドの移動速度の変化に対し、往復移動時間は各種サイズ毎に図8のような変化を示すことが判明し、往復移動時間が最短となる速度(最適移動速度Vc)は各種サイズ毎に以下のような値になった。
A3:1477(mm/秒)、A4:1242.4(mm/秒)、A5:1044(mm/秒)
これは(1)式において比例定数C=85.73の場合に相当する。
【0081】
また、例えばA4サイズの記録シートに対し、記録開始位置を規定する距離ΔLを(4)式に従って求めると、
ΔL=0.5Lp=0.5×210=105mm
となる。従って、静止状態にある記録ヘッドを加速特性値=1.5G(mm/秒2)で移動(増速)させると、記録ヘッドが105mm移動する間に記録ヘッドの移動速度は最適移動速度Vc(=1242.4(mm/秒))に達する。
【0082】
また、例えばA4サイズの記録シートに対し、記録開始タイミングを規定する時間tを(5)式に従って求めると、
t=Lp/Vc=210/1242.4=0.169秒
となる。従って、記録シートの端部から105mm隔てた位置に静止している記録ヘッドを加速特性値=1.5G(mm/秒2)で移動(増速)させると、移動を開始してから0.169秒後には、記録ヘッドが記録シートの端部に対応する位置に位置していると共に移動速度が最適移動速度Vc(=1242.4(mm/秒))に達する。
【0083】
次に、記録開始位置を規定する距離ΔLを用紙幅Lpに応じて変更して記録ヘッドを移動させることによる記録時間の短縮について、実例を挙げて説明する。記録シートのサイズが葉書サイズ(A6サイズ:用紙幅Lp=105mm、用紙長さ=148.5mm)である場合の最適移動速度Vc(A6)を(3)式に従って求めると、
Figure 0003925037
となる。
【0084】
また、記録シートが葉書サイズである場合、記録開始位置を規定する距離ΔL及び記録開始タイミングを規定する時間tは、各々(4)(5)式より、
ΔL=0.5Lp=0.5×105=52.5mm
t=Lp/Vc=105/878=0.12秒
となる。
【0085】
従って、本発明を適用したとすると、記録シートのサイズがA4サイズから葉書サイズに切り替わった場合に、距離ΔLが105mmから52.5mmへ変更され、記録開始位置が図9に示す位置aから位置bへ移動される。
【0086】
ここで、記録シートのサイズがA4サイズから葉書サイズに切り替わったにも拘わらず、記録開始位置を位置aのまま変更しなかった場合、位置aより記録ヘッドの移動を開始すると、記録ヘッドの移動速度は、記録ヘッドが位置bに到達する前に葉書サイズにおける最適移動速度Vc(A6)に達するが、記録ヘッドが記録シートの端部に対応している状態(位置c)になる迄は記録を行うことができないので、不要な待ち時間が発生する。
【0087】
この不要な待ち時間は、上記の例では往復移動の往路及び復路で各々60m秒発生するので、記録ヘッドを1回往復移動させたときの不要な待ち時間は120m秒になる。葉書サイズの記録シートの全面に記録を行うために記録ヘッドを26回往復移動させる必要があるとすると、葉書サイズの記録シート1枚当り3.12秒もの不要な待ち時間が発生する。これに対し、記録シートのサイズがA4サイズから葉書サイズに切り替わった場合に、距離ΔLを105mmから52.5mmへ変更し、記録開始位置を位置bへ移動すれば、不要は待ち時間は発生しないので、記録時間を約18%短縮できる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1及び請求項8記載の発明は、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の一方の端部と所定距離隔たっている状態より記録ヘッドと記録シートの相対移動を開始させ、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った他方の端部と所定距離隔たっている状態で前記相対移動を停止させたときに、相対移動に要する時間が最短となるように、記録シート上の記録範囲の幅に基づいて、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での移動速度及び所定距離を決定し、決定した移動速度及び所定距離に基づいて記録ヘッドと記録シートの相対移動を制御するので、種々のサイズの記録シートに対し、簡易な制御により短時間で往復記録を行うことができる、という優れた効果を有する。
【0089】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、移動速度として、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での記録ヘッドと記録シートの相対移動の平均移動速度を決定し、前記区間での前記相対移動の移動速度が略一定となり、かつ前記移動速度の平均が前記平均移動速度に一致するように記録ヘッドと記録シートの相対移動を制御するので、上記効果に加え、記録ヘッドによる記録に対する制御が簡単になり、一定水準以上の記録品質を確保することができる、という効果を有する。
【0090】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、記録シート上の記録範囲の幅Lpに基づいて、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での平均移動速度VcをVc∝Lp0.5 の関係式により決定するので、上記効果に加え、記録シートへの記録に要する時間が最短となる移動速度を簡易な処理によって求めることができる、という効果を有する。
【0091】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、記録シート上の記録範囲の幅Lpに基づいて、所定距離ΔLをΔL=0.5Lp の関係式により決定するので、上記効果に加え、記録シートへの記録に要する時間が最短となる所定距離を簡易な処理によって求めることができる、という効果を有する。
【0092】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、記録ヘッドによって記録シート上の記録範囲内への記録を開始するタイミングを、記録シート上の記録範囲の幅に応じて変更するので、上記効果に加え、記録シートのサイズに拘わらず、適正なタイミングで記録シートへの記録を開始することができる、という効果を有する。
【0093】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、記録シート上の記録範囲の幅Lp及び記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での平均移動速度Vcに基づいて、相対移動を開始してから記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った端部に対応する状態となる迄の時間tをt=Lp/Vc の関係式により求め、求めた時間tに基づいて記録を開始するタイミングを決定するので、上記効果に加え、記録シートのサイズに拘わらず適正なタイミングで記録シートへの記録を開始することを、簡易な処理によって実現できる、という効果を有する。
【0094】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅が各値のときの移動速度及び所定距離を予め記憶しておき、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に対応する移動速度及び所定距離を読み出すことで移動速度及び前記距離を決定するので、上記効果に加え、移動速度及び所定距離の決定を簡易な処理によって実現できる、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係るインクジェットプリンタの概略構成図である。
【図2】 インクジェットヘッドを移動させる機構を示す平面図である。
【図3】 インクジェットヘッドの吐出部付近を示す斜視図である。
【図4】 インクジェットプリンタの電気信号系の概略ブロック図である。
【図5】 記録制御処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】 (A)は記録シートのサイズ毎のヘッドの移動開始位置の相違を示すイメージ図、(B)は記録シートのサイズ毎のヘッドの移動パターンの一例を示す線図である。
【図7】 記録ヘッドの移動における加速度と減速度が相違している場合の記録ヘッドの移動パターンの一例を示す線図である。
【図8】 本願発明者等が実施した実験によって判明した、記録シートのサイズ毎の記録ヘッドの移動速度と記録ヘッドの往復移動時間との関係を示す線図である。
【図9】 記録シートのサイズがA4サイズから葉書サイズに切り替わる際の記録ヘッドの移動開始位置の変更を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 インクジェットプリンタ
20 インクジェットヘッド
50 キャリッジ送りベルト
60 用紙サイズ検知センサ
62 記録制御部
64 モータ駆動回路
66 キャリッジモータ
70 画像信号発生回路
74 インクジェットヘッド駆動回路

Claims (10)

  1. 記録ヘッドと記録シートとを所定方向に沿って相対的に往復移動させ、予め定められた記録シート上の記録範囲内に、前記往復移動の往路及び復路で記録を行う記録装置であって、
    前記記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の前記所定方向に沿った一方の端部と所定距離隔たっている状態より記録ヘッドと記録シートの相対移動を開始させ、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った他方の端部と所定距離隔たっている状態で前記相対移動を停止させたときに、前記相対移動に要する時間が最短となるように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に基づいて、前記記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での前記相対移動の移動速度を決定し、かつ、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例するように前記所定距離を決定する決定手段と、
    前記決定手段によって決定された移動速度及び記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例して定められた所定距離に基づいて、前記記録ヘッドと記録シート上の記録範囲の端部とが前記所定距離を隔てた静止状態から相対移動を開始するように、前記記録ヘッドと前記記録シートの相対移動を制御する制御手段と、
    を備えたことを特徴とする記録装置。
  2. 前記決定手段は、前記移動速度として、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での記録ヘッドと記録シートの相対移動の平均移動速度を決定し、
    前記制御手段は、前記区間での前記相対移動の移動速度が略一定となり、かつ前記移動速度の平均が前記平均移動速度に一致するように制御する
    ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  3. 前記決定手段は、前記記録シート上の記録範囲の前記所定方向に沿った幅Lpに基づいて、前記記録ヘッドが前記記録シート上の記録範囲に対応している区間での平均移動速度VcをVc∝Lp0.5 の関係式により決定することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  4. 前記決定手段は、前記記録シート上の記録範囲の前記所定方向に沿った幅Lpに基づいて、前記所定距離ΔLをΔL=0.5Lp の関係式により決定することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  5. 前記制御手段は、前記記録ヘッドによって前記記録シート上の記録範囲内への記録を開始するタイミングを、前記記録シート上の記録範囲の前記所定方向に沿った幅に応じて変更することを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  6. 前記制御手段は、前記記録シート上の記録範囲の前記所定方向に沿った幅Lp及び前記記録ヘッドが前記記録シート上の記録範囲に対応している区間での平均移動速度Vcに基づいて、前記相対移動を開始してから前記記録ヘッドが前記記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った端部に対応する状態となる迄の時間tをt=Lp/Vc の関係式により求め、求めた時間tに基づいて前記記録を開始するタイミングを決定することを特徴とする請求項5記載の記録装置
  7. 前記記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅が各値のときの前記移動速度及び前記所定距離を予め記憶した記憶手段を更に備え、
    前記決定手段は、前記記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に対応する前記移動速度及び前記所定距離を前記記憶手段から読み出すことにより、前記移動速度及び前記所定距離を決定する
    ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  8. 記録ヘッドと記録シートとを所定方向に沿って相対的に往復移動させ、予め定められた記録シート上の記録範囲内に、前記往復移動の往路及び復路で記録を行うにあたり、
    前記記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の前記所定方向に沿った一方の端部と所定距離隔たっている状態より記録ヘッドと記録シートの相対移動を開始させ、記録ヘッドが記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った他方の端部と所定距離隔たっている状態で前記相対移動を停止させたときに、前記相対移動に要する時間が最短となるように、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に基づいて、前記記録ヘッドが記録シート上の記録範囲に対応している区間での移動速度を決定し、かつ、記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例するように前記所定距離を決定し、
    前記決定した移動速度及び記録シート上の記録範囲の所定方向に沿った幅に比例して定められた所定距離に基づいて、前記記録ヘッドと記録シート上の記録範囲の端部とが前記所定距離を隔てた静止状態から相対移動を開始するように、前記記録ヘッドと前記記録シートの相対移動を制御する
    ことを特徴とする記録方法。
  9. 前記予め定められた記録シート上の記録範囲は、前記記録シートのサイズに応じて固定的に定められたことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  10. 前記予め定められた記録シート上の記録範囲は、前記記録シートのサイズに応じて固定的に定められたことを特徴とする請求項8記載の記録方法。
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