JP3924779B2 - 液晶配向剤および液晶配向膜の形成法 - Google Patents
液晶配向剤および液晶配向膜の形成法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶配向剤および液晶配向膜の形成法に関する。さらに詳しくは、液晶配向性が良好であり、かつ光照射や高温度下といった苛酷な環境下または長時間の駆動後も電圧保持率などの電気特性を損なうことなく、液晶配向状態が良好に保持され、残像現象も生じにくい液晶配向層を形成可能な液晶配向剤およびそれを用いる液晶配向膜の形成法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板表面にポリアミック酸、ポリイミドなどからなる液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙内に正の誘電異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向かって連続的に90度捻れるようにした、いわゆるTN型(Twisted Nematic)液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。また、TN型液晶表示素子に比して高いコントラスト比を実現できるSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や視角依存性の少ないIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、VA(Vertical Allignment)型液晶表示素子が開発されている。
こうした各種液晶表示素子の動作原理は、透過型と反射型に大別される。
透過型液晶表示素子は、素子駆動時における、素子背面からのバックライト用光源の透過光強度変化を用いて表示を行うものである。反射型液晶表示素子は、バックライト用光源は使用せず、素子駆動時における太陽光など外部からの光の反射光強度変化を用いて表示を行うものであり、透過型に比べ消費電力が少ないため、屋外での使用には特に有利とみられている。
【0003】
透過型液晶表示素子では、液晶配向膜はバックライト光源からの光に常にさらされている。特にビジネス用途に加えて近年ホームシアターとしての需要が高まっている液晶プロジェクター用途ではメタルハライドランプなど非常に照射強度の高い光源を用いている。反射型液晶表示素子では、屋外で使用される可能性が大きく、この場合には強い紫外光を含む太陽光が光源となる。また、反射型ではその原理上、素子内を光が通過する距離が透過型に比べ、長くなる。
液晶表示素子の製造工程において、プロセス短縮および歩留まり向上の観点から用いられ始めているのが液晶滴下方式すなわちODF(One Drop Fill)方式である。ODF方式は、あらかじめ熱硬化性のシール剤を用いて組み立てられた空の液晶セルに液晶を注入していく従来法と異なり、液晶配向膜を塗布した片側基板の必要箇所に紫外光硬化性のシール剤を塗布した後、液晶を必要箇所に滴下し、他方の基板を貼り合わせた後に、全面に紫外光を照射してシール剤を硬化させ液晶セルを作製する。この際照射される紫外光は通常1平方センチメートルあたり数ジュール以上と強いものである。すなわち液晶表示素子製造工程において、液晶配向膜は液晶とともにこの強い紫外光にさらされることになる。
【0004】
透過型液晶表示素子では、強度の強い光照射に伴い、駆動時には液晶表示素子の系自体の温度が上昇することが考えられる。また、液晶表示素子の多用途化に伴い、透過型に加えて反射型においても、屋外等での使用や駐車中の自家用自動車内への設置など通常の室温に比べ、高い温度下での使用および設置環境が考えられる。
このように液晶表示素子においては、その高機能化、多用途化などにともなって、光や熱といった苛酷な環境下にさらされた後または長時間駆動された後の液晶配向性や、電圧保持率などの電気特性あるいは残像特性がいっそう優れたものが求められるようになっている。
【0005】
液晶表示素子を構成する液晶配向膜の材料としては、従来、ポリイミド、ポリアミドおよびポリエステルなどの樹脂が知られている。特にポリイミドは、有機の樹脂の中では耐熱性、液晶との親和性、機械的強度などに優れた物性を示すため、多くの液晶表示素子に使用されてきた。
しかしながら、近年の液晶表示素子は、高機能化や多用途化がすすみ、先に述べたように高温環境や光照射といった苛酷な環境に設置されて使用される機会が増えており、また、製造工程でのプロセス短縮や歩留まり向上がより一層求められている一方で、液晶表示素子にさらなる長寿命化が求められてきているのに伴い、従来は許容範囲内であった、高温環境や光照射に対する耐性が不足であることが原因で生じた表示欠陥や残像が許容されなくなってきた。
従って、従来液晶配向膜として広く用いられてきたポリアミック酸やポリイミドといった有機樹脂では光や熱に対する耐性がまだ不十分である。このため、液晶表示素子の面内で均一に液晶を配向させる能力を落とすことなく、加えて光や熱に対する耐性が良好である、新しい材料が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものである。
【0007】
それ故、本発明の目的は、液晶を配向させる能力を落とすことなく、光および熱に対する電圧保持率の低下が少なく、長時間駆動後も残像特性の良好な液晶配向層を形成することができる液晶配向剤を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、本発明の上記液晶配向剤を用いて上記の如き優れた諸性質を備えた液晶配向膜を形成する方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、
下記式(7)
SiHxR8 y ・・・(7)
(ここで、R8は1価の有機基であり、xは0.01〜3の数でありそしてyは0.01〜3の数である、但しx+y≦4である)
で表され且つポリスチレン換算重量平均分子量が少なくとも2,000であるケイ素ポリマーを含有する液晶配向剤、
によって達成される。
【0010】
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第2に、
本発明の上記液晶配向剤を基板上に塗布して製膜しそして得られた膜の表面を衝撃することを特徴とする液晶配向膜の形成方法によって達成される。
【0011】
上記ケイ素ポリマーは、従来液晶配向剤として用いられてきたポリアミック酸やポリイミドなどの有機材料に比べて透明性が高いので、光を吸収して起きる化学反応を起こしにくいため、光に対する耐性が高いと考えられる。また、当該材料の骨格は、有機材料の骨格の炭素−炭素結合に比べ、結合エネルギーが高い結合からなるため、有機材料に比べて熱に対する耐性が高いと考えられる。これらの材料は、有機溶剤に溶解または分散した形状で提供され、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの手法により、塗膜の形成が可能である。
また、液晶を液晶表示素子の面内で均一に配向させる能力を落とさないよう、上記ケイ素ポリマーよりなる液晶配向膜に対して液晶配向能を付与させる手法として、塗膜に、例えばイオンビームを照射するような、塗膜に衝撃を与える上記本発明方法が適していることが判明した。
【0012】
【発明の実施の形態】
[液晶配向剤]
本発明に用いられる液晶配向剤における固形分濃度は、粘性、揮発性などを考慮して選択される。好ましくは0.01〜70重量%であり、より好ましくは0.05〜60重量%、さらに好ましくは1〜30重量%である。本発明の液晶配向剤は、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法などにより基板表面に塗布することができ、次いでこれを加熱乾燥することにより、液晶配向膜となる塗膜を形成する。固形分濃度が0.01重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができない場合があり、固形分濃度が70重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得難く、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる場合がある。
【0013】
本発明の液晶配向剤は上記ケイ素ポリマーを有機溶剤に溶解または分散してなる。本発明で使用される有機溶剤は、用いる材料を溶解または分散できるものであれば特に制限されるものではない。これらの溶剤は単独または2種類以上を混合して使用される。また、用いる材料を溶解しがたい貧溶剤についても、固形分が析出しない範囲で加えることが可能である。
かかる有機溶剤の具体例としては、例えばn−ペンタン、i−ペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、i−ヘプタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−オクタン、i−オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカン、ジシクロペンタジエン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワラン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メチルエチルベンゼン、n−プロピルベンセン、i−プロピルベンゼン、ジエチルベンゼン、i−ブチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジ−i−プロピルベンセン、n−アミルナフタレン、トリメチルベンゼンの如き炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェニルメチルカルビノール、ジアセトンアルコール、クレゾールの如きモノアルコール溶媒;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンの如き多価アルコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジプロピルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョンの如きケトン溶媒;ジエチルエーテル、ジ−i−プロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、ジオキソラン、4−メチルジオキソラン、ジオキサン、ジメチルジオキサン、フェネトール、ジフェニルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールフェニルメチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エトキシトリグリコール、テトラエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランの如きエーテル溶媒;ジエチルカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸nーヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸オクチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、フェニル酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸nープロピル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸i−アミル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸エトキシエチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸nープロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸nープロピル、ギ酸イソプロピル、ギ酸nーブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸nーアミル、ギ酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸nープロピル、酪酸イソプロピル、酪酸nーブチル、酪酸イソブチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、ピルビン酸エチルの如きエステル溶媒;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドンの如きアミド溶媒;硫化ジメチル、硫化ジエチル、チオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−プロパンスルトンの如き含硫黄溶媒等を挙げることができる。
【0014】
本発明の液晶配向剤には、基板表面に対する接着性を向上させる観点から、官能性シリコン含有化合物またはエポキシ含有化合物が含有されていてもよい。かかる官能性シリコン含有化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。また、エポキシ含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどを好ましいものとして挙げることができる。これら官能性シリコン含有化合物やエポキシ含有化合物の配合割合は、用いるケイ素ポリマー100重量部に対して、好ましくは、40重量部以下、より好ましくは0.01〜30重量部である。
【0015】
本発明の液晶配向剤はケイ素原子が部分的に1価の有機基Rと結合し、部分的に水素原子Hと結合し且つ部分的にケイ素原子と結合したケイ素ポリマーを含有する。当該ケイ素ポリマーは、実質的に下記式(7)
SiHxR8 y ・・・(7)
(ここで、R8は1価の有機基であり、xは0.01〜3の数でありそしてyは0.01〜3の数である、但しx+y≦4である)
で表され且つポリスチレン換算重量平均分子量が少なくとも2,000である。液晶配向 剤は、上記式(7)で表される限りにおいて、xおよびyの組み合わせが異なる2種以上のポリマーを含有してもよい。
【0016】
xはケイ素原子に結合した水素原子の数であり、ケイ素の1原子あたりのxの範囲としては0.01〜3であり、好ましくは0.05〜2であり、さらに好ましくは0.07〜1.5である。xが0.01より小さい場合には、得られたケイ素ポリマーの有機溶媒に対する溶解性が劣り、xが3を超える場合には安定性が悪くなる傾向がある。yはケイ素原子に結合した1価の有機基の数であり、ケイ素の1原子あたりのyの範囲としては0.01〜3であり、好ましくは0.05〜2であり、さらに好ましくは0.1〜1.5である。yが0.01より小さい場合には、得られたケイ素ポリマーの有機溶剤に対する溶解性が劣り、yが3を超える場合には塗布性が悪くなる。但しx+y≦4である。
【0017】
本発明で用いられるケイ素ポリマーは、詳しくは特開2001−11184号公報および特開2001−89572号公報に述べられているように、下記式(8)
R8SiX3 ・・・・(8)
(ここで、R8は1価の有機基であり式(7)におけるR8と同一でありそしてXはハロゲン原子である)
で表されるハロゲン化ケイ素を金属リチウムおよび/または金属マグネシウムと反応させて得られた反応生成物をLiAlH4で還元する工程によって製造できる。
【0018】
組成物3を用いて得られる塗膜は、上記公報に記述されているように熱処理および/または光照射によってシリコン膜に変換することができる。本発明においても、これらの過程を適宜利用して液晶配向膜として用いることができる。
上記式(7)および(8)において、R8は1価の有機基であり、具体例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基などの炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状脂肪族基;シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ビシクロアルキル基などの炭素数が3〜20の脂環式基;炭素数が6〜20のアリール基;および炭素数が6〜20のアラルキル基を挙げることができる。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、テキシル基などが挙げられる。アルケニル基としては、例えばプロペニル基、3−ブテニル基、3−ペンテニル基、3−ヘキセニル基を挙げることができる。アルキニル基としては、例えばプロパギル基、3−メチルプロパギル基、3−エチルプロパギル基などを挙げることができる。シクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基などを挙げることができる。アリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、α−チオフェン基、β−チオフェン基などを挙げることができる。アラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基などを挙げることができる。これらの置換基としては、生成するケイ素ポリマーの安定性などの点で、t−ブチル基、ヘキシル基、フェネチル基、ノルボルニル基が好ましい。
上記ケイ素ポリマーを有機溶剤に溶解または分散させて得られる液晶配向剤には、本発明の目的や機能を損なわない範囲で必要に応じてフッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節材を少量添加することができる。
【0019】
本発明の液晶配向剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法で製造できる。
【0020】
(1)パターニングされた透明導電膜が設けられている基板の一面に、本発明の液晶配向剤を例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの方法によって塗布し、次いで、塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。塗布および加熱工程の雰囲気は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス中であることができ、さらに必要に応じて水素などの還元性ガスを混入した雰囲気であることができる。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、例えば酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や予めマスクを用いる方法が用いられる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の該表面に、官能性シラン含有化合物、官能性チタン含有化合物等を予め塗布することができる。液晶配向剤塗布後の加熱温度は基板材料の変形を発生させない温度であり、好ましくは20〜300℃であり、より好ましくは120〜300℃である。加熱処理のための熱源としては、例えば熱風乾燥炉、赤外線加熱炉、ホットプレートなどを挙げることができる。形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0021】
(2)形成された塗膜表面に対し、表面を衝撃する工程により、液晶配向能を付与する。ここで用いられる具体的な衝撃方法としては、イオンビーム、分子ビーム、原子ビーム、電子ビーム、グロー放電、偏光紫外線等の放射線の照射や、ラビング処理などを挙げることができる。これらのうち、放射線の照射が好ましく、中でもイオンビーム照射が特に好ましい。イオンビームの加速電圧は、好ましくは50〜500V、照射角度は0〜90°、照射時間は好ましくは約1秒から2分である。液晶配向膜種や付与したいプレチルト角の値により適当なものに調節することが可能である。イオン種としては、例えば窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどの不活性ガスのイオンビームを用いることが好ましい。また、イオンビーム照射時あるいは照射後に、イオン中和のための電子を供給することが好ましい。
【0022】
イオンビームを用い、照射された面に液晶配向能を付与する手法は特開平11−271773号公報などに開示されている。しかし、同公報においては、液晶配向層を形成する物質としてポリマーを採用しておらず、水素化ダイヤモンド状炭素(DLC)などの共有結合性材料を用い、化学的気相付着などの非水性気体環境付着法により液晶配向層を形成しており、従来液晶配向層形成の方法として広く用いられているロールコーター法、スピンナー法、印刷法などの塗布工程は対象としていない。本発明では液晶配向剤を溶液の形状で提供するため、スピンナー法、印刷法など従来から液晶配向膜塗布に用いている装置をそのまま利用できる利点がある。
イオンビーム法に有効な液晶配向剤の具体例は、液晶配向剤にポリアミック酸または可溶性ポリイミドが用いられる特開平8−313912号公報、同8−313913号公報、同8−313916号公報および同11−237638号公報に開示されている。先に述べたように光や熱といった苛酷な環境下にさらされた後または長時間駆動された後の液晶配向性や残像特性に関し、本発明では有機・無機複合材料を用いることで、従来のポリアミック酸または可溶性ポリイミドにない良好な特性を実現することに成功した。
また、本発明の液晶配向剤により形成された液晶配向膜に、例えば特開平6−222366号公報や特開平6−281937号公報に示されているような、紫外線を部分的に照射する方法、あるいは特開平10−96928号公報に示されているように液晶配向膜表面に、複数のステップにわたり位置選択的にイオンビームを照射する方法により、液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
【0023】
(3)上記のようにして液晶配向能を付与された液晶配向膜が形成された基板を2枚作製し、片方の基板の周辺部に適当なパターンに熱硬化性のシール剤を塗布する。それぞれの液晶配向膜における液晶配向の方向が直交または逆平行となるように、2枚の基板を、間隙(セルギャップ)を介して対向配置し、2枚の基板を貼り合わせた後、加熱してシール剤を硬化させる。基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填し、注入孔を封止して液晶セルを構成する。
この2枚の基板の貼り合わせから液晶注入の工程については液晶滴下方式、すなわちODF(One Drop Fill)方式を利用することもできる。液晶配向膜を塗布され、上記のように液晶配向能を付与された片側の基板に適当なパターンで紫外線硬化性のシール剤を塗布し、必要箇所に液晶を滴下した後に他方の基板と貼り合わせ、紫外光照射によりシール剤を硬化させる。紫外光照射は全面露光に限らず、マスク露光、スキャン露光など適当な方式を用いることができる。
【0024】
そして、液晶セルの外表面、すなわち、液晶セルを構成するそれぞれの基板の他面側に偏光板を、その偏光方向が当該基板の一面に形成された液晶配向膜の液晶配向方向と一致または直交するように貼り合わせることにより、液晶表示素子が得られる。
液晶としては、ネマティック型液晶およびスメクティック型液晶を挙げることができ、その中でもネマティック型液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック型液晶や商品名「C−15」「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤などを添加して使用することもできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶も使用することができる。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させたH膜と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0025】
【実施例】
以下本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に何ら制限されるものではない。なお、下記の例中、部は全て重量部である。
【0026】
合成例1
温度計、冷却コンデンサー、滴下ロートおよび攪拌装置を取り付けた内容量が3Lの4つ口フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、乾燥したテトラヒドロフラン1Lとマグネシウム金属60gを仕込み、アルゴンガスでバブリングした。これに第3ブチルマグネシウムクロリドのテトラヒドロフラン溶液1,000mL(1.0モル)を加え、20℃で攪拌しながらテトラクロルシラン170gを滴下ロートよりゆっくり添加した。はじめの20gの添加で反応系は還流が始まり、系は褐色に着色した。さらに外部からの加熱をすることなく還流が持続するように残りのテトラクロルシラン混合物をゆっくり滴下した。滴下終了後、室温下でさらに3時間攪拌を続けた。この工程(1)で得られた黒褐色の反応混合物を、LiAlH410gを乾燥したテトラヒドロフラン300mLに懸濁させた溶液中に加え、室温下で5時間反応させた。次に、この工程(2)での反応混合物を15Lの氷水に注ぎ、生成ポリマーを沈殿させた。生成ポリマーを水で良く洗浄し真空乾燥することにより褐色の固体のポリマー70gを得た。このポリマーのGPCによるポリスチレン換算重量平均分子量は23,000であり、分子量分布を示す分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は3.5であった。このポリマーをトルエンに溶解し、孔径0.2μmのメンブランフィルタ―でろ過して、6重量%濃度の液晶配向剤(A)を得た。
【0027】
比較合成例1
ピロメリット酸二無水物218.1g(1.0モル)および4,4’−ジアミノジフェニルメタン198.27g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,600gに溶解させ、この溶液を20℃で6時間反応させた。次いで得られた反応溶液を大過剰のアセトンに注いで反応生成物を沈殿させたのち、反応生成物の分離・洗浄・乾燥を行うことにより、ポリアミック酸重合体400.3gを得た。この重合体をγ−ブチロラクトンに溶解させて、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、固形分濃度4%の液晶配向剤(H)を得た。
【0028】
比較合成例2
1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン314.30g(1.0モル)、p−フェニレンジアミン91.88g(0.85モル)、1−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)−4−(4−トリフルオロメチルベンゾイルオキシ)−シクロヘキサン63.36g(0.15モル)をN−メチル−2−ピロリドン1,900gに溶解させ、この溶液を20℃で26時間反応させた.次いで得られた反応溶液を大過剰のアセトンに注いで反応生成物を沈殿させた。得られた重合体30.0gをγ−ブチロラクトン270gに溶解させ、ピリジン20gおよび無水酢酸45gを添加して80℃で4時間脱水閉環させた。次いで反応生成物の沈殿・分離・洗浄・乾燥を行うことにより、可溶性ポリイミド重合体28.3gを得た。この重合体をγ−ブチロラクトンに溶解させて、孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過して、固形分濃度4%の液晶配向剤(I)を得た。
【0029】
[液晶の配向性]
液晶表示素子に電圧をON・OFFさせた時の液晶セル中の異常ドメインの有無を顕微鏡で観察し、異常ドメインのない場合を「良好」と判断。液晶表示素子作製直後と、後述する光照射後、熱処理後にそれぞれ調べた。
【0030】
[液晶表示素子の残像消去時間]
液晶表示素子に直流3.0V、交流6.0V(ピーク−ピーク)を重畳した30Hz、3.0Vの矩形波を70℃の環境温度で20時間印加して液晶表示素子を駆動後、電圧をOFFとし、目視により、残像が消去するまでの時間を測定した。
【0031】
[液晶表示素子の電圧保持率]
液晶表示素子に5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用し、60℃で行った。液晶表示素子作製直後と、後述する光照射後、熱処理後にそれぞれ測定した。
【0032】
[光照射]
液晶表示素子を作製後、メタルハライドランプを光源として、素子全面に光照射をおこなった。フィルターを使用することで照射波長は300−450nmの波長域とし、照射エネルギーは2J/cm2でおこなった。
【0033】
[熱処理]
作製した液晶表示素子を100℃のオーブン中に3週間放置した後、取り出して室温まで徐冷した。
【0034】
実施例1
液晶配向剤(A)を、スピンナーを用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、300℃のホットプレートで30分間加熱乾燥し、乾燥平均膜厚700オングストロームの塗膜を形成した。
この塗膜に基板からの角度が40°となる方向からアルゴンイオンビームを200Vの加速電圧で10秒間照射した。
次に一対のイオンビーム処理された液晶挟持基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、一対の液晶挟持基板を液晶配向膜面が相対し、しかもイオンビーム照射方向が直交するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。
次いで液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤を用いて液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を、偏光板の偏光方向がそれぞれの基板の液晶配向膜のイオンビーム照射方向と一致するように貼り合わせ、液晶表示素子を作製した。
このようにして得られた作製直後の液晶表示素子について、液晶配向性の観察と、電圧保持率測定を行った。また、液晶配向剤(A)を用いて上記のように作製した液晶表示素子を3点用意し、1点を光照射したのち液晶配向性の観察と電圧保持率測定をおこない、別の1点は熱処理したのち液晶配向性の観察と電圧保持率測定をおこない、残りの1点は既述の方法で残像消去時間を測定した。結果を表1に示す。
【0035】
比較実施例1
比較合成例1で得られた液晶配向剤(H)を、スピンナーを用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、200℃のホットプレート上で20分間乾燥し、乾燥平均膜厚600オングストロームの塗膜を形成した。
この塗膜にレーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロールの回転数500rpm、ステージの移動速度1cm/秒、毛足押し込み長さ0.4mmでラビング処理を行った。
次に、一対のラビング処理された液晶挟持基板の液晶配向膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷塗布した後、一対の液晶挟持基板を液晶配向膜面が相対するように、しかもラビング方向が直交逆するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。
次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を、偏光板の偏光方向がそれぞれの基板の液晶配向膜のラビング方向と一致するように張り合わせ、本発明の液晶表示素子を作製した。得られた液晶表示素子について、実施例1に示したように液晶の配向性と電圧保持率、残像消去時間を評価した。結果は表1の通りである。
【0036】
比較実施例2
比較合成例2で得られた液晶配向剤(I)を、スピンナーを用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、180℃のホットプレート上で20分間乾燥し、乾燥平均膜厚700オングストロームの塗膜を形成した。次いで比較実施例1と同様に配向処理をおこない、液晶表示素子を作製した。得られた液晶表示素子について、実施例1に示したように液晶の配向性と電圧保持率、残像消去時間を評価した。結果は表1の通りである。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、ケイ素ポリマーを用いた液晶配向剤を使用しかつイオンビーム照射法の如き衝撃法を液晶配向層の形成に用いることにより、光照射や熱処理と行った苛酷な環境下にさらされた後または長時間駆動された後の液晶配向性、電圧保持率、残像特性が、従来の材料に比べ、大きく向上した液晶表示素子の作製が可能となる。
本発明方法により提示された液晶配向剤を用いて作製された液晶表示素子は、TN型およびSTN型液晶表示素子に好適に使用できる以外に、使用する液晶を選択することにより、SH(Super Homeotropic)型、IPS(In−Plane Switching)型、VA(Vertical Allignment)型、強誘電性および反強誘電性の液晶表示素子などにも好適に使用することができる。
さらに、本発明の液晶配向剤を用いて形成した配向膜を有する液晶表示素子は、液晶の配向性および信頼性に優れ、種々の装置に有効に使用でき、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、係数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューター、液晶データプロジェクタ、液晶テレビ、電子ペーパーなどの表示装置に用いられる。
Claims (3)
- 下記式(7)
SiHxR8 y ・・・(7)
(ここで、R8は1価の有機基であり、xは0.01〜3の数でありそしてyは0.01〜3の数である、但しx+y≦4である)
で表され且つポリスチレン換算重量平均分子量が少なくとも2,000であるケイ素ポリマーを含有することを特徴とする液晶配向剤。 - 請求項1に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して製膜しそして得られた膜の表面を衝撃することを特徴とする液晶配向膜の形成方法。
- 膜の表面の衝撃を膜にイオンビームを照射して行う、請求項2に記載の方法。
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