JP2016029465A - 液晶配向剤、液晶配向膜、液晶表示素子、位相差フィルム及び位相差フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】重合体成分として1種又は2種以上の重合体を含む液晶配向剤において、該重合体成分中に、下記式(1)で表される部分構造(c−1)と、シロキサン構造及び重合性炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーに由来する構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の部分構造(c−2)と、を含有させる。
(式中、R1及びR2は炭素数1〜12のアルキル基等であり、R3及びR4は水素原子又は置換若しくは無置換の炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基である。X1は4価の有機基であり、Y1は2価の有機基である。)
【選択図】なし
Description
また、特許文献2には、ポリアミック酸エステルと可溶性ポリイミドとを含有する液晶配向剤が提案されている。特許文献2には、こうした液晶配向剤によれば、イミド化率が高くても塗膜形成時において白化現象を起こさず、印刷性及び塗膜の耐ラビング性が良好であり、液晶表示素子における液晶配向性及び電気的特性を改善できる旨が記載されている。
特許文献3には、光配向処理用の液晶配向剤として、主鎖にシクロブタン環を有するポリアミック酸エステル及びそのイミド化重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の重合体と、ポリアミック酸とを含有する液晶配向剤が開示されている。
<重合体成分>
本発明の液晶配向剤は、重合体成分として1種又は2種以上の重合体を含み、該重合体成分中に、上記式(1)で表される部分構造(c−1)と、シロキサン構造及び重合性炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーに由来する構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の部分構造(c−2)と、を含有する。
部分構造(c−1)について、上記式(1)のR1及びR2は、炭素数1〜12のアルキル基、−Si(R5)3(ただし、R5はアルキル基又はアルコキシ基であり、複数のR5は同じでも異なってもよい。)、フッ素原子を有する1価の基、(メタ)アクリロイル基を有する1価の基、又は桂皮酸構造を有する1価の基である。
ここで、炭素数1〜12のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられ、これらは直鎖状でも分岐状でもよい。膜形成時のポストベークによって生じる化合物を気化させる観点から、R1及びR2におけるアルキル基は、好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3、更に好ましくはメチル基又はエチル基である。
上記フッ素原子を有する1価の基としては、例えばフッ化アルキル基、フッ化アルコキシ基、フッ化アルキルエステル基等が挙げられ、好ましくはフッ化アルキル基である。フッ化アルキル基は、炭素数1〜5が好ましく、炭素数1〜3がより好ましい。
上記(メタ)アクリロイル基を有する1価の基としては、例えば「−R6−A3」(ただし、R6は2価の有機基であり、A3は(メタ)アクリロイル基である。)で表される基などが挙げられる。R6の2価の有機基としては、例えば−CH2−CH2−O−*、−CH2−CH2−NH−*、−CH(CH3)−CH2−O−*、及び−CH(CH3)−CH2−NH−*(ただし、「*」を付した結合手がA3と結合する。)を好ましい具体例として挙げることができる。なお、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルを含む意味である。
R3及びR4は、これらのうち、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、メチル基又はエチル基がより好ましい。
Y1としては、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン又はジアミノオルガノシロキサンに由来する2価の基などが挙げられる。液晶配向性及び電気特性の観点から、中でも、芳香族ジアミンに由来する部分構造であることが好ましい。なお、Y1を構成するジアミンの具体例については、下記に例示したジアミンの説明を適用できる。
部分構造(c−2)におけるシロキサン構造は、シロキサン結合(Si−O)を骨格に有する。例えば、下記式(c−2−1)で表される。
本発明の液晶配向剤は、中でも、部分構造(c−1)と部分構造(c−2)とが異なる分子に存在する態様、つまり部分構造(c−1)を有する重合体(A)と、部分構造(c−2)を有する重合体(B)とを含有するものであることが好ましい。
重合体(A)は有機化学の定法に従って得ることができる。具体的には、例えば[1]テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させてポリアミック酸を合成し、次いで、得られたポリアミック酸とエステル化剤とを反応させる方法、[2]テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを反応させる方法、[3]テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとを反応させる方法、[4]テトラカルボン酸二無水物とジアミンとエステル化剤とを有機溶媒中で反応させる方法、等が挙げられる。
(テトラカルボン酸二無水物)
ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族テトラカルボン酸二無水物として、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物などを;
脂環式テトラカルボン酸二無水物として、例えば1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などを;
芳香族テトラカルボン酸二無水物として、例えばピロメリット酸二無水物などを;それぞれ挙げることができるほか、特開2010−97188号公報に記載のテトラカルボン酸二無水物を用いることができる。なお、ポリアミック酸の合成に使用するテトラカルボン酸二無水物としては、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸の合成に使用するジアミンとしては、例えば脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。これらの具体例としては、脂肪族ジアミンとして、例えばメタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;脂環式ジアミンとして、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)などを;
で表される化合物などのほか、
2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、下記式(d−1)〜(d−3)
上記式(D−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(D−1−1)〜式(D−1−4)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。ジアミンは、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。
分子量調節剤としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などの酸一無水物、アニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミンなどのモノアミン化合物、フェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどのモノイソシアネート化合物等を挙げることができる。分子量調節剤の使用割合は、使用するテトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計100重量部に対して、20重量部以下とすることが好ましく、10重量部以下とすることがより好ましい。
特に好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド、m−クレゾール、キシレノール及びハロゲン化フェノールよりなる群から選択される1種以上を溶媒として使用するか、あるいはこれらの1種以上と他の有機溶媒との混合物を、上記割合の範囲で使用することが好ましい。
有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物及びジアミンの合計量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して、0.1〜50重量%になる量とすることが好ましい。
ポリアミック酸と反応させるエステル化剤としては、例えばアルコール類、ハロゲン化物、アセタール系化合物、エポキシ化合物等を挙げることができる。これらの具体例としては、アルコール類として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアルコール、1−(メタ)アクリロイルオキシ−2−プロピルアルコール、2−(メタ)アクリルアミドエチルアルコール、1−(メタ)アクリルアミド−2−プロピルアルコール等を;ハロゲン化物として、例えば臭化メチル、臭化エチル、塩化メチル、塩化エチル等を;アセタール系化合物として、例えばN,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジエチルホルムアミドジエチルアセタール等を;エポキシ化合物として、例えば上記式(x−1)で表される基を有するエポキシ基含有化合物、上記式(x−2)で表される基を有するエポキシ基含有化合物等を、それぞれ挙げることができる。エステル化剤としては、中でもアルコール類を好ましく用いることができる。
反応に使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に使用することができる有機溶媒の説明を適用することができ、具体的には、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどを好ましく使用することができる。有機溶媒の使用量は、ポリアミック酸が、反応溶液の全量に対して0.1〜50重量%になる量とすることが好ましい。エステル化剤の使用量は、ポリアミック酸が有するアミック酸構造単位1モルに対して、0.002〜10モルとすることが好ましく、0.02〜6モルとすることがより好ましい。
方法[2]で使用するテトラカルボン酸ジエステルは、例えば上記で例示したテトラカルボン酸二無水物を、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類を用いて開環することによって得ることができる。テトラカルボン酸ジエステルと反応させるジアミンとしては、上記ポリアミック酸の合成で例示したジアミン等が挙げられる。ポリアミック酸エステルの合成反応に供されるテトラカルボン酸ジエステルとジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸ジエステルのカルボキシル基が、0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。
反応に使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に使用することができる有機溶媒の説明を適用することができ、中でもN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどを好ましく使用することができる。有機溶媒の使用割合は、テトラカルボン酸ジエステル及びジアミンの合計量が、反応溶液の全量に対して0.1〜50重量%になる量とすることが好ましい。
塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンを好ましく使用することができる。塩基の使用割合は、ジアミン1モルに対して、2〜4モルとすることが好ましく、2〜3モルとすることがより好ましい。なお、上記反応は、反応の進行を促進させる目的でルイス酸の存在下で行ってもよい。ルイス酸としては、例えば塩化リチウム等のハロゲン化リチウムなどが挙げられる。
方法[3]で使用するテトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物は、上記の如くして得たテトラカルボン酸ジエステルを、適当な塩素化剤と反応させることにより得ることができる。反応に使用する塩素化剤としては、例えば塩化チオニル、ホスゲン、塩化オキサソル等が挙げられる。
テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物と反応させるジアミンとしては、上記ポリアミック酸の合成で例示したジアミン等が挙げられる。テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸ジエステルジハロゲン化物が有するハロゲン原子が、0.2〜2当量となる割合が好ましく、0.3〜1.2当量となる割合がより好ましい。
方法[4]は、シリル系ポリアミック酸エステルを得る場合に好ましい。シリル系ポリアミック酸エステルの合成に際して使用するエステル化剤としては、例えばビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド、ビス(トリメチルシリル)尿素などのシリルアミド系シリル化剤が挙げられる。
上記反応に使用する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に使用することができる有機溶媒の説明を適用することができる。反応温度は、−20℃〜250℃が好ましく、−10〜200℃がより好ましい。また、反応時間は、1〜20時間が好ましく、2〜15時間がより好ましい。シリル化剤の使用量は、ジアミンの使用量に対して、0.1〜3モルとすることが好ましく、0.5〜2モルとすることがより好ましい。
ポリアミック酸エステルと末端修飾剤との反応は、好ましくは塩基の存在下、有機溶媒中で行うことができる。このときの末端変性剤の使用割合は、反応に使用するジアミン1モルに対して、0.005〜0.6モルとすることが好ましく、0.01〜0.2モルとすることがより好ましい。塩基としては、例えばピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンを好ましく使用することができる。有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に使用することができる有機溶媒の説明を適用することができ、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンなどを好ましく使用することができる。
重合体(B)は部分構造(c−2)を有する重合体であり、具体的には、ポリオルガノシロキサン、及び重合性炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーの重合体が挙げられる。
重合体(B)としてのポリオルガノシロキサンは、例えば、加水分解性のシラン化合物の加水分解・縮合反応により得ることができる。
3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルジメチルエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シラン化合物;
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(3−シクロヘキシルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の窒素・硫黄含有アルコキシシラン化合物;
3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメトキシシラン、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン等の不飽和結合含有アルコキシシラン化合物;
などを挙げることができる。シラン化合物は、これらのうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。なお、「(メタ)アクリロイルオキシ」は、「アクリロイルオキシ」及び「メタクリロイルオキシ」を含む意味である。
有機塩基の使用量は、有機塩基の種類、温度などの反応条件などにより異なり、適宜に設定されるべきであるが、例えばシラン化合物の合計量に対して、好ましくは0.01〜3倍モルであり、より好ましくは0.05〜1倍モルである。
なお、プレチルト角発現性基を有するカルボン酸は、これらのうちから選択される1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記触媒は、反応に使用するエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは0.01〜80重量部、更に好ましくは0.1〜20重量部の割合で使用することができる。
上記ポリオルガノシロキサンについて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、形成される液晶配向膜の液晶配向性を良好にするとともに、その液晶配向性の経時的安定性を確保する観点から、500〜50,000であることが好ましく、1,000〜30,000であることがより好ましい。
重合性炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーの重合体は、(メタ)アクリル系化合物、芳香族ビニル化合物及びマレイミド化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種のモノマー(以下、「特定モノマー」とも称する。)に由来する構造単位を有する重合体を好ましく使用することができる。
これらの具体例としては、不飽和カルボン酸として、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ω−カルボキシポリカプロラクトン、クロトン酸、α−エチルアクリル酸、α−n−プロピルアクリル酸、α−n−ブチルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、ビニル安息香酸等を;
不飽和多価カルボン酸無水物として、例えば無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、シス−1,2,3,4−テトラヒドロフタル酸無水物等を;それぞれ挙げることができる。
マレイミド化合物としては、例えばN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(4−アセチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−ジメチルアミノ−3,5−ジニトロフェニル)マレイミド、N−[4−(2−ベンズオキサゾリル)フェニル]マレイミド等を、それぞれ挙げることができる。特定モノマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(メタ)アクリル系化合物の使用割合は、(メタ)アクリル系重合体の合成に使用するモノマーの合計量に対して、50モル%以上とすることが好ましく、55モル%以上とすることがより好ましく、60モル%以上とすることが更に好ましい。
水酸基を有する重合性不飽和化合物の使用割合は、重合に使用するモノマーの合計量に対して、1モル%以上とすることが好ましく、1〜50モル%とすることがより好ましく、5〜40モル%とすることがさらに好ましい。
重合開始剤の使用割合は、重合に使用する全モノマー100重量部に対して、0.01〜50重量部とすることが好ましく、0.1〜40重量部とすることがより好ましい。
上記有機塩基としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジンの如き1〜2級有機アミン;トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジンの如き3級有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級有機アミン;などを挙げることができる。有機塩基としては、これらのうち3級有機アミン又は4級有機アミンが好ましい。
上記硬化促進剤としては、例えば3級アミン、イミダゾール化合物、有機リン化合物、4級フォスフォニウム塩、ジアザビシクロアルケン、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫などの有機金属化合物、4級アンモニウム塩、ホウ素化合物、塩化亜鉛、塩化第二錫などの金属ハロゲン化合物などを挙げることができるほか、潜在性硬化促進剤として公知のものを使用することができる。これらのうち、好ましくは、テトラエチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの4級アンモニウム塩である。
触媒の使用量は、カルボン酸と反応させるエポキシ基含有重合体100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは0.01〜100重量部以下、更に好ましくは0.1〜20重量部である。
エポキシ基含有重合体とカルボン酸との反応に際し、反応温度は、0〜200℃とすることが好ましく、50〜150℃とすることがより好ましい。反応時間は、0.1〜50時間とすることが好ましく、0.5〜20時間とすることがより好ましい。
重合体(B)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、形成される液晶配向膜の液晶配向性を良好にするとともに、その液晶配向性の経時的安定性を確保するといった観点から、250〜500,000であることが好ましく、500〜300,000であることがより好ましく、1,000〜200,000であることが更に好ましい。なお、重合体(B)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
[1]重合体(A)としてポリアミック酸エステルを含み、重合体(B)としてポリオルガノシロキサンを含む態様。
[2]重合体(A)としてポリアミック酸エステルを含み、重合体(B)として(メタ)アクリル系重合体を含む態様。
液晶配向剤中における重合体(A)と重合体(B)との配合割合は、基板の反り低減、ベゼルムラ耐性、液晶配向性及び電圧保持率の改善効果をバランス良く得る観点から、重合体(A)/重合体(B)の重量比で20/80〜98/2とすることが好ましい。より好ましくは25/75〜97/3であり、更に好ましくは30/70〜95/5であり、特に好ましくは40/60〜93/7である。重合体(A)と重合体(B)とを含有する液晶配向剤を用いて得られる液晶配向膜は、膜の透過性についても良好であり、表示装置の表示品位を良好にできる点で好適である。
本発明の液晶配向剤は、さらに必要に応じて、重合体(A)及び重合体(B)以外のその他の成分を含有していてもよい。当該その他の成分としては、例えば重合体(A)及び重合体(B)以外のその他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ基含有化合物」という。)、官能性シラン化合物等を挙げることができる。
上記その他の重合体は、溶液特性や電気特性の改善のために使用することができる。かかるその他の重合体としては、例えばポリアミック酸、ポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール等が挙げられる。
上記その他の重合体を液晶配向剤に配合する場合、その配合比率は、該組成物中の全重合体100重量部に対して、30重量部以下とすることが好ましく、0.1〜20重量部とすることがより好ましく、0.1〜10重量部とすることが更に好ましい。
エポキシ基含有化合物は、液晶配向膜における基板表面との接着性を向上させるために使用することができる。ここで、エポキシ基含有化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン、国際公開第2009/096598号記載のエポキシ基含有ポリオルガノシロキサン等を好ましいものとして挙げることができる。
これらエポキシ基含有化合物を液晶配向剤に配合する場合、その配合比率は、液晶配向剤中に含まれる重合体の合計100重量部に対して、40重量部以下が好ましく、0.1〜30重量部がより好ましい。
上記官能性シラン化合物は、液晶配向剤の印刷性を向上させるために使用することができる。このような官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
官能性シラン化合物を液晶配向剤に配合する場合、その配合比率は、重合体の合計100重量部に対して、2重量部以下が好ましく、0.02〜0.2重量部がより好ましい。
本発明の液晶配向剤は、上記の重合体及び必要に応じて使用されるその他の成分が、好ましくは適当な溶剤中に分散又は溶解してなる液状の組成物として調製される。
上記に説明した本発明の液晶配向剤を用いることにより液晶配向膜を製造することができる。また、本発明の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜は、液晶表示素子用(液晶セル用)の液晶配向膜及び位相差フィルム用の液晶配向膜に好ましく適用することができる。以下に、本発明の液晶表示素子及び位相差フィルムについて説明する。
本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜を具備する。本発明の液晶表示素子の動作モードは特に限定せず、例えばTN型、STN型、VA型(VA−MVA型、VA−PVA型などを含む。)、IPS型、FFS型、OCB型など種々の動作モードに適用することができる。本発明の液晶表示素子は、例えば以下の(1−1)〜(1−3)を含む工程により製造することができる。工程(1−1)は、所望の動作モードによって使用基板が異なる。工程(1−2)及び工程(1−3)は各動作モード共通である。
先ず、基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。
(1−1A)例えばTN型、STN型又はVA型の液晶表示素子を製造する場合、まず、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法又はインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布する。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後、フォト・エッチングによりパターンを形成する方法;透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法;などによることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面及び透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
TN型、STN型、IPS型又はFFS型の液晶表示素子を製造する場合、上記工程(1)で形成した塗膜に液晶配向能を付与する処理(配向処理)を実施する。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。配向処理としては、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで塗膜を一定方向に擦るラビング処理;塗膜に対して光を照射する光配向処理、などが挙げられる。一方、垂直配向型の液晶表示素子を製造する場合には、上記工程(1−1)で形成した塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、該塗膜に対し配向処理を施してもよい。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール材を用いて貼り合わせ、基板表面及びシール材により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより液晶セルを製造する。また、第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に、例えば紫外光硬化性のシール剤を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数箇所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板の全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール材を硬化することにより、液晶セルを製造する。いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
液晶としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、添加して使用してもよい。
次に、本発明の液晶配向剤を用いて位相差フィルムを製造する方法について説明する。本発明の位相差フィルムの製造に際しては、工程中にほこりや静電気が発生するのを抑えつつ均一な液晶配向膜を形成することが可能である点、光の照射時に適当なフォトマスクを使用することによって基板上に液晶配向方向が異なる複数の領域を任意に形成できる点で、光配向法を利用することが好ましい。具体的には、以下の工程(2−1)〜工程(2−3)を経ることによって製造することができる。
先ず、本発明の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する。ここで使用される基板としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどの合成樹脂からなる透明基板を好適に例示することができる。これらのうち、TACは、液晶表示素子における偏光フィルムの保護層として一般的に使用されている。また、ポリメチルメタクリレートは、溶媒の吸湿性が低い点、光学特性が良好である点及び低コストである点において、位相差フィルム用の基板として好ましく使用することができる。なお、液晶配向剤の塗布に使用する基板に対しては、基板表面と塗膜との密着性を更に良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成する面に従来公知の前処理が実施されていてもよい。
塗布後、塗布面を加熱(ベーク)して塗膜を形成する。この時の加熱温度は、40〜150℃とすることが好ましく、80〜140℃とすることがより好ましい。加熱時間は、0.1〜15分とすることが好ましく、1〜10分とすることがより好ましい。基板上に形成される塗膜の膜厚は、好ましくは1〜1,000nmであり、より好ましくは5nm〜500nmである。
次いで、上記のようにして基板上に形成された塗膜に対し光を照射することにより、塗膜に液晶配向能を付与して液晶配向膜とする。ここで、照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを挙げることができる。これらのうち、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光は偏光であっても非偏光であってもよい。偏光としては、直線偏光を含む光を使用することが好ましい。
光の照射は、用いる光が偏光である場合には、基板面に垂直の方向から行っても斜め方向から行ってもよく、あるいはこれらを組み合わせて行ってもよい。非偏光を照射する場合には、基板面に対して斜めの方向から行う必要がある。使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、水銀−キセノンランプ(Hg−Xeランプ)などを挙げることができる。偏光は、これらの光源を例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。光の照射量は、0.1〜1,000mJ/cm2とすることが好ましく、1〜500mJ/cm2とすることがより好ましく、2〜200mJ/cm2とすることがさらに好ましい。
次いで、上記のようにして光照射した後の塗膜上に、重合性液晶を塗布して硬化させる。これにより、重合性液晶を含む塗膜(液晶層)を形成する。ここで使用される重合性液晶は、加熱及び光照射のうちの少なくとも1種の処理によって重合する液晶化合物又は液晶組成物である。このような重合性液晶としては、従来公知のものを使用することができ、具体的には、例えば非特許文献1(「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999年)、pp34〜42)に記載されているネマチック液晶を挙げることができる。また、コレステリック液晶;ディスコティック液晶;カイラル剤を添加されたツイストネマティック配向型液晶などであってもよい。重合性液晶は、複数の液晶化合物の混合物であってもよい。重合性液晶は、さらに、公知の重合開始剤、適当な溶媒などを含有する組成物であってもよい。
形成された液晶配向膜上に上記のような重合性液晶を塗布するには、例えばバーコーター法、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法を採用することができる。
塗膜の加熱温度は、使用する重合性液晶の種類によって適宜に選択される。例えばメルク社製のRMS03−013Cを使用する場合、40〜80℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。加熱時間は、好ましくは0.5〜5分である。
照射光としては、200〜500nmの範囲の波長を有する非偏光の紫外線を好ましく使用することができる。光の照射量としては、50〜10,000mJ/cm2とすることが好ましく、100〜5,000mJ/cm2とすることがより好ましい。
形成される液晶層の厚さは、所望の光学特性によって適宜に設定される。例えば波長540nmの可視光における1/2波長板を製造する場合は、形成した位相差フィルムの位相差が240〜300nmとなるような厚さが選択され、1/4波長板であれば、位相差が120〜150nmとなるような厚さが選択される。目的の位相差が得られる液晶層の厚さは、使用する重合性液晶の光学特性によって異なる。例えばメルク製のRMS03−013Cを使用する場合、1/4波長板を製造するための厚さは、0.6〜1.5μmの範囲である。
[重合体の重量平均分子量]
重合体の重量平均分子量Mwは、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。
カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン、又は、リチウムブロミド及びリン酸含有のN,N−ジメチルホルムアミド溶液
温度:40℃
圧力:68kgf/cm2
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドを含有する溶液を純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で1H−NMRを測定した。得られた1H−NMRスペクトルから、下記数式(1)を用いてイミド化率[%]を求めた。
イミド化率[%]=(1−A1/A2×α)×100 …(1)
(数式(1)中、A1は化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、A2はその他のプロトン由来のピーク面積であり、αは重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度[mPa・s]は、所定の溶媒を用い、重合体濃度15重量%に調製した溶液についてE型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[エポキシ当量]
エポキシ当量は、JIS C2105の「塩酸−メチルエチルケトン法」に準じて測定した。
[合成例1−1;重合体(A−1)の合成]
ジアミンとしてパラフェニレンジアミンを6.92g(合成に使用したジアミンの合計量100モル部に対して80モル部)及び4,4’−ジアミノジフェニルメタン3.17g(同20モル部)、塩基としてピリジン15ml、並びに溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)505mlを加え溶解させた。この溶液を水冷撹拌しながら、ジメチル−1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−カルボキシレート23.05g(同97モル部)を添加し、さらに固形分濃度が5重量%となるようにNMPを加え、水冷しながら4時間撹拌した。この溶液を250gの水に注いで重合体を析出させ、吸引濾過により重合体をろ取し、再度水250gで洗浄したのちメタノール63gにて3回洗浄し、40℃で減圧乾燥することで、重合体(A−1)のポリアミック酸エステル粉末22gを得た。この重合体(A−1)の重量平均分子量はMw=27,000であった。得られた重合体(A−1)をNMPにて15重量%となるように調製した。
ジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルメタン2.00g(0.01モル)、N−メチル−2−ピロリドン40.94g、塩基としてピリジン1.925g(0.024モル)加え、撹拌して溶解させた。次に、このジアミン溶液を撹拌しながらジメチル−1,3−ビス(クロロカルボニル)シクロブタン−2,4−カルボキシレートを2.82g(0.0095モル)添加し、水冷下4時間反応させた。その後、イソオキサゾール−5−カルボン酸クロリドを0.1725g(0.0013モル)加えて、水冷下で30分反応させた。その後、反応溶液にN−メチル−2−ピロリドンを45.06g加え、室温(20℃)で15分撹拌した。得られたポリアミック酸エステル溶液を495gのエタノールに撹拌しながら投入し、析出した白色沈殿をろ取した。続いて、226gのエタノールで1回、451gの水で2回、451gのエタノールで1回、113gのエタノールで3回洗浄し、乾燥することで重合体(A−2)のポリアミック酸エステル粉末3.5gを得た。また、この重合体(A−2)の重量平均分子量は、Mw=18,000であった。得られた重合体(A−2)をNMPにて15重量%となるように調製した。
[合成例2−1;重合体(BSi−1)の合成]
撹拌機、温度計、滴下漏斗及び還流冷却管を備えた反応容器に、加水分解性シラン化合物として2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECETS)100.0g、溶媒としてメチルイソブチルケトン500g、及び触媒としてトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。ここに脱イオン水100gを滴下漏斗から30分かけて滴下した後、還流下で混合しつつ、80℃において6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、これを0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液により洗浄後の水が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒及び水を留去することにより、エポキシ基を有するポリオルガノシロキサンを粘調な透明液体として得た。このエポキシ基を有するポリオルガノシロキサンについて、1H−NMR分析を行ったところ、化学シフト(δ)=3.2ppm付近にエポキシ基に基づくピークが理論強度どおりに得られ、反応中にエポキシ基の副反応が起こっていないことが確認された。このエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのエポキシ当量を測定したところ、186g/当量であった。
次いで、200mLの三口フラスコに、上記で得たエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを10.0g、溶媒としてメチルイソブチルケトン30.28g、カルボン酸として4−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸3.87g(エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンのエポキシ基に対して25モル%に相当する。)、及び触媒としてUCAT18X(商品名、サンアプロ(株)製)0.10gを仕込み、100℃で48時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た溶液を3回水洗し、溶剤を留去することにより、プレチルト角発現性基を有するポリオルガノシロキサン(BSi−1)を9.5g得た。得られた重合体の重量平均分子量Mwは5,500であった。
加水分解性シラン化合物及びカルボン酸の種類及び量を下記表1に記載した通りとしたほかは、合成例2−1と同様にしてエポキシ基含有ポリオルガノシロキサンを合成するとともに、エポキシ基含有ポリオルガノシロキサンとカルボン酸との反応を行うことにより、ポリオルガノシロキサン(BSi−2)〜(BSi−4)をそれぞれ得た。これらポリオルガノシロキサンのMwを表1に合わせて示した。
(加水分解性シラン化合物)
ECETS:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
(カルボン酸)
PCHBA:4−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸
OCTBA:4−オクチロキシ安息香酸
SACY:コハク酸=5ξ−コレスタン−3−イル
PCA:4−フェノキシ桂皮酸
[合成例3−1;重合体(BAc−1)の合成]
撹拌機、温度計及び還流冷却管を備えた反応容器に、重合性不飽和化合物として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート(ECMMA、重合に使用したモノマーの合計量100モル部に対して60モル部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA、同15モル部)、N−シクロヘキシルマレイミド(CMI、同10モル部)、及びスチレン(ST、同15モル部)を仕込み、重合性不飽和化合物の合計が50重量%になるようにジエチレングリコールエチルメチルエーテルを加えて溶解した。ここに、重合開始剤として2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を重合性不飽和化合物の合計モル数に対して3モル%、及び連鎖移動剤としてα−メチルスチレンダイマーを重合開始剤の重量の0.5倍重量だけ加えた。次いで、窒素気流で10分間バブリングして系内の窒素置換を行った後、窒素雰囲気下、70℃で5時間重合反応を行った。反応終了後、反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下、40℃において15時間乾燥することにより、エポキシ基を有するメタクリル酸エステル共重合体を得た。
次いで、200mLの三口フラスコに、上記で得たエポキシ基含有メタクリル酸エステル共重合体を10.0g、溶媒としてメチルイソブチルケトン30.28g、カルボン酸として4−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸4.01g(重合に使用したエポキシ基含有メタクリル酸エステル共重合体に対して25モル%に相当する。)、及び触媒としてUCAT 18X(商品名、サンアプロ(株)製)0.10gを仕込み、90℃で12時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて得た溶液を3回水洗した。水洗後の有機層を大過剰のメタノール中に投入して重合体を沈殿させ、回収した沈殿物を40℃において12時間乾燥することにより、プレチルト角発現性基を有するメタクリル酸エステル共重合体(BAc−1)を10.5g得た。得られた重合体の重量平均分子量Mwは16,800であった。
重合性不飽和化合物及びカルボン酸の種類及び量を下記表2に記載の通りとした以外は合成例3−1と同様の操作を行うことにより重合体(BAc−2)〜(BAc−4)をそれぞれ得た。各重合体のMwを下記表2に合わせて示した。
(重合性不飽和化合物)
ECMMA:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
CMI:N−シクロヘキシルマレイミド
ST:スチレン
BA:n−ブチルアクリレート
(カルボン酸)
PCHBA:4−(4−ペンチルシクロヘキシル)安息香酸
OCTBA:4−オクチロキシ安息香酸
SACY:コハク酸=5ξ−コレスタン−3−イル
PCA:4−フェノキシ桂皮酸
[合成例4−1;重合体(PAm−1)の合成]
ジアミンとして3−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン52g(0.10モル)、p−フェニレンジアミン11g(0.10モル)及び2,5−ジアミノ安息香酸45g(0.30モル)、並びに、テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)を、NMP870gに溶解し、60℃で6時間反応させた。NMPを加えて希釈し、ポリアミック酸濃度10重量%となるように調製することによりポリアミック酸(PAm−1)を含有する溶液を得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は120mPa・sであった。
[合成例5−1;重合体(PIm−1)の合成]
ジアミンとしてp−フェニレンジアミン49g(0.45モル)及び3−(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン26g(0.05モル)、並びに、テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物 110g(0.50モル)を、NMP750gに溶解し、60℃で6時間反応させた。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えて固形分濃度10重量%の溶液で粘度を測定したところ、58mPa・sであった。次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP1800gを追加し、ピリジン40g及び無水酢酸51gを添加し、110℃で4時間脱水閉環させた。イミド化反応後、系内の溶剤を新たなNMPで溶剤置換し、イミド化率約50%のポリイミド(PIm−1)を約15重量%含有する溶液を得た。得られたポリイミド溶液を少量分取し、NMPを加えてポリイミド濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は69mPa・sであった。
(1)液晶配向剤の調製
重合体として、合成例1−1で得た重合体(A−1)80重量部及び合成例2−1で得た重合体(BSi−1)20重量部にNMP及びBCを加えて、固形分濃度6.5重量%、溶媒の混合比がNMP:BC=50:50(重量比)の溶液とした。この溶液を十分に撹拌した後、孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
上記(1)で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚0.06μmの塗膜を形成した。この塗膜を倍率20倍の顕微鏡で観察して印刷ムラ及びピンホールの有無を調べた。評価は、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されなかった場合を印刷性「良好」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが僅かに観察された場合を印刷性「可」、印刷ムラ及びピンホールの少なくともいずれかが多く見られた場合を印刷性「不良」として行った。本実施例では、印刷ムラ及びピンホールの双方とも観察されず、印刷性は「良好」であった。
上記で調製した液晶配向剤を、スピンコーターを用いて石英基板上に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、230℃のクリーンオーブン内で窒素下にて15分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚0.01μmの塗膜を形成した。この塗膜を形成した石英基板につき、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光(株)製、品名「V−670」)を用いて、塗膜を有さない同種の石英基板をリファレンスとして紫外・可視光領域の吸収スペクトルを測定した。波長400nmにおける透過率が95%以上のものを膜透過性「良好」、90%以上95%未満のものを「可」、90%未満を「不良」とした。この配向剤を用いて形成した膜の透過率は96.2%であり、「良好」であった。
薄膜ストレス測定装置KLA−Tencor FLX−2300によって予め曲率半径を計測済みの厚さ310μmの4インチシリコンウェハを用いた。このシリコンウェハに上記で調製した液晶配向剤を、スピンコーターを用いてそれぞれ塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚0.08μmの塗膜を形成した。ポストベーク後の基板の曲率半径を測定し、塗膜の形成前後での曲率半径から反り応力を求めた。反り応力が25MPa以下であった場合を「良好」、25MPaよりも大きく40MPa未満であった場合を「可」、40MPa以上であった場合を「不良」とした。その結果、この液晶配向剤では「良好」の結果であった。
上記で調製した液晶配向剤を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板(厚さ1mm)の透明電極面上に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)し、さらに200℃のホットプレート上で60分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚0.08μmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、透明導電膜上に液晶配向膜を有するガラス基板を一対(2枚)得た。次に、上記一対の基板のうちの一方の基板につき、液晶配向膜を有する面の外縁に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液晶注入口より一対の基板間にネマチック液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することによりVA型液晶セルを製造した。
上記(5)で製造した液晶セルにつき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を顕微鏡によって倍率50倍で観察した。評価は、異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」とし、異常ドメインがわずかに観察された場合を液晶配向性「可」とし、異常ドメインが多く観察された場合を液晶配向性「不良」とした。この液晶表示素子では液晶配向性「良好」であった。
上記(5)で製造した液晶セルにつき、23℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率(VHR)を測定した。VHRが95%以上のものを「良好」、90%以上95%未満を「可」90%未満を「不良」として評価を行った。この液晶表示素子では電圧保持率が98.9%であり、「良好」の評価であった。なお、測定装置としては、(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。
上記(5)で製造した液晶セルにつき、25℃、50%RHの条件下に100日保管し、その後、交流電圧5Vで駆動して点灯状態を観察した。評価は、シール材周辺にて輝度差(モアブラック又はモアホワイト)が視認されなければ「良好」、視認されるが、1分以上10分未満に輝度差が消失すれば「可」、10分経過しても輝度差が視認される場合を「不良」とした。その結果、この液晶表示素子ではシール材周辺にて輝度差が視認されず、ベゼルムラ耐性「良好」と判断された。
使用する重合体の種類及び量を下記表3の通りに変更した点以外は、上記実施例1と同様にして液晶配向剤を調製するとともに、それぞれの液晶配向剤を用いて実施例1の(2)〜(4)の評価を行った。また、実施例1の(5)と同様にしてVA型液晶セルを製造し、実施例1の(6)〜(8)の評価を行った。それらの結果を下記表3に示した。
(1)液晶配向剤の調製
重合体として、合成例1−1で得た重合体(A−1)100重量部、及び合成例2−4で得た重合体(BSi−4)10重量部を、NMP及びBCからなる混合溶媒(NMP:BC=50:50(重量比))に溶解し、固形分濃度が3.5重量%の溶液とした。この溶液を孔径0.2μmのフィルターで濾過することにより液晶配向剤を調製した。
基板としてのTACフィルムの一面に、上記で調製した液晶配向剤を、バーコーターを用いて塗布し、オーブン内にて120℃で2分間ベークして膜厚100nmの塗膜を形成した。次いで、この塗膜表面にHg−Xeランプ及びグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線10mJ/cm2を基板法線から垂直に照射した。次いで、重合性液晶(RMS03−013C、メルク社製)を孔径0.2μmのフィルターでろ過した後、この重合性液晶を、光照射後の塗膜上にバーコーターにより塗布して重合性液晶の塗膜を形成した。温度50℃に調整したオーブン内で1分間ベークした後、Hg−Xeランプを用いて365nmの輝線を含む非偏光の紫外線1,000mJ/cm2を塗膜面に対して垂直の方向から照射し、重合性液晶を硬化して液晶層を形成することにより、位相差フィルムを製造した。
上記(2)で製造した位相差フィルムにつき、クロスニコル下での目視及び偏光顕微鏡(倍率2.5倍)によって異常ドメインの有無を観察することにより液晶配向性(光配向性)を評価した。評価は、目視にて配向性が良好と観察され、かつ偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」、目視では異常ドメインが観察されなかったが偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「可」、目視及び偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは液晶配向性「良好」と評価された。
上記(2)で製造した位相差フィルムを用いて、液晶配向剤により形成した塗膜の基板との密着性について評価した。先ず、ガイドの付いた等間隔スペーサーを用い、カッターナイフにより位相差フィルムの液晶層側の面から切り込みを入れ、1cm×1cmの範囲に10個×10個の格子パターンを形成した。各切込みの深さは、液晶層表面から基板厚さの中ほどまで達するようにした。次いで、上記格子パターンの全面を覆うようにセロハンテープを密着させた後、該セロハンテープを引き剥がした。引き剥がし後の格子パターンの切込み部をクロスニコル下における目視によって観察して密着性を評価した。評価は、切込み線に沿った部分及び格子パターンの交差部分に剥離が確認されなかった場合を密着性「良好」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%未満の場合を密着性「可」、上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%以上であった場合を密着性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは密着性「良好」であった。
Claims (12)
- 重合体成分として1種又は2種以上の重合体を含有し、前記重合体成分中に、下記式(1)で表される部分構造(c−1)と、シロキサン構造及び重合性炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーに由来する構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の部分構造(c−2)と、を含有する液晶配向剤。
- 前記部分構造(c−1)を有する重合体(A)と、前記部分構造(c−2)を有する重合体(B)と、を含有する、請求項1に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(B)はエポキシ基を有する重合体である、請求項2に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(B)は水酸基を有する重合体である、請求項2又は3に記載の液晶配向剤。
- 前記重合体(A)と前記重合体(B)との配合割合が、重合体(A)/重合体(B)の重量比で20/80〜98/2である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記重合性炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーは、(メタ)アクリル系化合物、芳香族ビニル化合物及びマレイミド化合物よりなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 前記X1は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸2:3,5:6−二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−8−メチル−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3a,4,5,9b−テトラヒドロナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸2:4,6:8−二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、及びピロメリット酸二無水物よりなる群から選ばれる一種の化合物が有する2個の酸無水物基を取り除いてなる部分構造を有する4価の基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
- 下記式(1)で表される部分構造(c−1)を有する重合体(A)と、シロキサン構造及び重合性炭素−炭素不飽和結合を有するモノマーに由来する構造よりなる群から選ばれる少なくとも一種の部分構造(c−2)を有する重合体(B)と、を配合して調製した液晶配向剤。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜。
- 請求項9に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
- 請求項9に記載の液晶配向膜を具備する位相差フィルム。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶配向剤を基板上に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜に光照射する工程と、前記光照射した後の塗膜上に重合性液晶を塗布して硬化させる工程と、を含む位相差フィルムの製造方法。
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