JP3924720B2 - 誘導加熱調理器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、電磁誘導を利用して加熱調理を行う誘導加熱調理器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図31は、例えば特開平7−254484号公報に開示された従来の誘導加熱調理器を示す側面断面図である。図31において、1は本体、2は本体1の上に配置されるプレート、3はプレート2上に載置する被調理物4を収納する容器、5はプレート2の下部に配置された通電コイル6に高周波の交番電流を通電制御する制御回路部、7は通電コイル6から発生する誘起電圧を検出する検出コイル、8は本体1の一側に上方へ突出するように配設された容器3の温度を検出する温度検出部であって、容器3から放射される赤外線を検出する赤外線センサ9と、この赤外線センサ9の近傍に配置される導管10とから構成する。
【0003】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の動作を、図31を併用して説明する。本体1の電源スイッチ(図示なし)をONすると、制御回路部5により通電コイル6へ高周波の交番電流が通電される。これにより、プレート2上に載置される容器3に渦電流が流れ、この渦電流の作用によって容器3が自己加熱される。そして、容器3表面からの放射赤外線を赤外線センサ9が受光することにより容器3の加熱温度を検出し、その検出温度が所定値に至った場合に通電コイル6への高周波の交番電流が断電される。こうした、通電コイル6への高周波の交番電流の通電/断電動作によって被調理物が加熱調理される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の誘導加熱調理器は、前述のように赤外線センサで被調理物が収納される容器の表面から放射される赤外線を検出する。そして、赤外線センサの検出量に基づいて通電コイルに対する通電を制御し、容器内の被調理物を加熱調理している。しかし、容器の材質が例えばステンレスの場合に黒体の赤外線放射率1.0を基準としたとき、その赤外線放射率が0.2と小さいため、容器から放射される赤外線量が少なくなる。したがって、温度検出部は容器自体の温度を正確に検出することができず、被調理物の加熱動作が不安定になるという問題点があった。
【0005】
また、容器の材質がステンレスの場合に黒体の赤外線反射率0を基準としたとき、その赤外線反射率が0.8と高いので周囲温度に伴う赤外線の殆どを容器の表面で反射することになる。つまり、容器表面が反射した赤外線を含めて赤外線センサで検出するため、温度検出部が容器自体の温度を正確に検出することができず、同様に被調理物の加熱動作が不安定となっていた。
【0006】
また、誘導加熱調理器の加熱動作が終了した直後はプレート自体が高温状態になるため、容器をプレート上から撤去した後に使用者が誤ってプレートに触れてしまう恐れがあり、かつ加熱動作時に容器をプレートから撤去した状態でプレート上へ小物のスプーンなどを落とした場合に、スプーンが発熱するなど、安全上好ましくない事態を招くという問題点があった。
【0007】
さらに、本体の一側に上方へ突出するように容器の温度を検出する温度検出部が設けられ、それを構成する赤外線センサの受光面が常に外部へ露出しているため、その受光面に室内空気のホコリが付着するなどして容器の温度検出精度が低下するという問題点があった。
【0008】
この発明は、前述のような問題点を解決するためになされたもので、容器自体の赤外線放射率や赤外線反射率に影響されることがなく、容器の温度を正確に検出して適切な加熱動作を実行することのできる誘導加熱調理器を得ることを目的とする。また、機器の加熱動作時や加熱終了直後における各種の安全上好ましくない事態の発生を未然に防止することのできる誘導加熱調理器を得ることを目的とする。さらに、容器の温度を検出する赤外線センサの受光面に室内のホコリが付着しないように工夫し、容器の温度検出精度の低下を防ぐことを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる誘導加熱調理器は、プレートで上面が覆われた本体に誘導加熱手段を配置し、プレート上に載置された調理容器を電磁誘導により加熱するようにした誘導加熱調理器において、調理容器毎にプレートと調理容器との接触面を含む調理容器の側面下部の温度を非接触で検知する温度検知手段を設け、温度検知手段の出力に基づいて誘導加熱手段の出力を制御する出力制御手段を設け、温度検知手段は、調理容器及びプレートから放射される赤外線を受光する単眼型赤外線センサと、赤外線センサの受光エリアを上下に移動させる移動手段を含み、赤外線センサの受光エリアを移動したときに各受光エリアで受光した赤外線量が最も多く検知した位置で赤外線センサを固定するようにしたものである。
【0011】
また、プレートで上面が覆われた本体に誘導加熱手段を配置し、プレート上に載置された調理容器を電磁誘導により加熱するようにした誘導加熱調理器において、調理容器毎にプレートと調理容器との接触面を含む調理容器の側面下部の温度を非接触で検知する温度検知手段を設け、温度検知手段は調理容器及びプレートから放射される赤外線を受光する複数の受光素子を縦方向であってアレイ状に配列した赤外線センサを含み、各受光素子が受光する赤外線量の内で最も多い赤外線量に基づいて誘導加熱手段の出力を制御するようにしたものである。
【0012】
また、アレイ状赤外線センサの各受光素子の内、複数個の受光素子の赤外線受光量が同時に減少したとき、警報を発する警告手段を設けるようにしたものである。
【0013】
また、アレイ状赤外線センサの各受光素子の内、少なくとも一つの受光素子の受光する赤外線量が所定値を超えたときに、プレート上に金属性の小物が置かれたと判断する判断手段を設け、判断手段の結果に基づいて警告を発する警告手段を設けるようにしたものである。
【0014】
また、アレイ状赤外線センサの各受光素子の検知する赤外線量が、所定時間内で所定数だけ変動するのを検知して調理容器内の被調理物が容器外に吹き出したことを判断する判断手段を設けるようにしたものである。
【0015】
また、単眼型赤外線センサ或いはアレイ状赤外線センサの受光エリアの角度を5度以内に設定するようにしたものである。
【0016】
また、単眼型赤外線センサ或いはアレイ状赤外線センサを誘導加熱調理器の運転停止時に本体内へ収納させ、誘導加熱調理器の運転開始時にプレートの面よりも上方であって、かつ調理容器の側面下部の近傍を臨む位置に移動して配置させる移動手段を設けるようにしたものである。
【0018】
また、本体の上部に形成された突出部と、この突出部に設けられ本体内の空気を排出する排気口とを備え、突出部内に温度検知手段を設けるようにしたものである。
【0019】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアとこれに隣接するエリア間の出力差が基準値以下の場合は、前記隣接するエリア間に最大出力値があるとし、出力値を補正する出力値補正手段を有するようにしたものである。
【0020】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアに応じてプレート上に置かれた調理容器の大きさを推論する容器寸法推論手段を有するようにしたものである。
【0021】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアの温度変化から調理容器内の加熱物を推論する加熱物推論手段を有するようにしたものである。
【0022】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアの温度変化から調理容器内の加熱物温度を推論する加熱物温度推論手段を有するようにしたものである。
【0023】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアに応じて前記プレート上に置かれた調理容器の大きさを推論する容器寸法推論手段と、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアの温度変化から調理容器内の加熱物を推論する加熱物推論手段と、プレート面上に載置した物の重量を検出する重量検出手段とを備え、容器寸法推論手段の推論結果と加熱物推論手段の推論結果と重量検出手段の検出結果とを用いて調理容器内の加熱物温度を求めるようにしたものである。
【0024】
また、温度検知手段により求められた調理容器の温度に対応した温度表示手段を有するようにしたものである。
【0025】
また、加熱物温度に対応した温度表示手段を有するようにしたものである。
【0026】
また、重量を表示する表示手段を有するようにしたものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の誘導加熱調理器に係る実施の形態1を示す側面断面図である。図1において、11は加熱調理器の本体、12は本体11の上面に配置される例えばセラミクスなどの耐熱性材料から成るプレート、13は本体11の上面の一側に配置されて機器のオン/オフやプレート12上に載置される容器14の加熱温度を設定する各操作スイッチ(図示なし)が設けられた操作パネル、15は操作パネル13の近傍に配置されて機器のオン/オフや設定温度を表示する表示部、16は通電コイル17に通電する高周波の交番電流の大きさを制御し、容器14に流れる渦電流の大きさを制御する制御手段である。18は本体11にプレート12の上面を臨むよう配置された単眼型赤外線センサ、19は赤外線センサ18の受光面の前方に設けられる汚れ防止フィルターである。
【0028】
次に、本体11への単眼型赤外線センサ18の具体的な配置構造について、以下に述べる。プレート12上の定位置に容器14を載置した状態で、図1に示すようにプレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部(図1中のa部)から放射される赤外線を受光するような方向に向けて配置される。また、単眼型赤外線センサ18の受光エリアの角度を5度以内に設定し、その受光エリアにプレート12と鍋14との接触面を含む側面下部が十分に収まるような位置に配置する。ここで、単眼型赤外線センサ18を前述の箇所から放射される赤外線を受光するように配置する理由について、図2に示す加熱時の鍋14の温度特性図および図3に示す赤外線の放射モデル図とを併用して説明する。なお、図2の温度特性図は本体11のプレート12上に無負荷状態の容器14を載置し、操作パネル13に設けられた温度設定スイッチ(図示なし)で加熱温度を設定して、通常の加熱動作を実行した場合における容器14の温度特性図を示している。
【0029】
図2の(a)は、容器14の材質が黒艶消しの鉄製の場合における、標準温度測定法即ち熱電対の接触温度測定法による温度データ(図中のa部)と単眼型赤外線センサ18の非接触温度測定法による温度データ(図中のb部)とを比較した図である。なお、熱電対による温度測定法の場合はそれを容器14の側壁面に取り付けて温度を測定し、単眼型赤外線センサ18による温度測定法の場合は容器14の側壁表面から放射される赤外線を受光して温度を測定するものである。この温度特性図より、双方の温度データに殆ど差異が見られず単眼型赤外線センサ18の測定データは真値に近いと判断される。これは、容器14の材質が放射率1.0の黒色艶消しの鉄製のために黒体の材質の放射率と同程度であり、容器14の加熱温度に対応して放射される赤外線の殆どが赤外線センサ18に受光されるためである。
【0030】
図2の(b)は、容器14の材質がステンレス製の場合における熱電対の接触温度測定法による温度データ(図中のa部)と単眼型赤外線センサ18の非接触温度測定法による温度データ(図中のb部)とを比較した図である。なお、熱電対と単眼型赤外線センサ18による温度測定の個所は、前述と同様である。この温度特性図より、加熱時の高温領域(図中のc部)では単眼型赤外線センサ18の温度データが熱電対の温度測定データと比べて120deg程度低い値を示し、一方加熱停止時の低温領域(図中のd部)では20deg程度低い値を示しており、双方の温度データに大きな差異が見られる。これは、容器14の材質が放射率0.4のステンレス製のために、加熱温度に対応する量の赤外線が放射されないためである。
【0031】
図2の(c)は、ステンレス製の容器14における熱電対の温度測定データ(図中のa部)と単眼型赤外線センサ18の温度測定データ(図中のb部)とを比較した図である。なお、熱電対の測定法の場合は容器14の側壁面に熱電対を取り付けて温度を測定し、単眼型赤外線センサ18の測定法の場合はプレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部から放射される赤外線を受光して温度を測定するものである。この温度特性の図より、双方の温度データに殆ど差が見られず、単眼型赤外線センサ18の温度データは真値に近いと判断される。このように、プレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部から放射される赤外線に対応する温度が、容器14の温度の真値に近い理由について考察した結果を以下に述べる。
【0032】
容器14がステンレス製の場合は、前述のように赤外線反射率は0.8と比較的高く、赤外線放射率は0.2と低い。しかし、容器14の側面下部は一般的に曲面である関係上、周囲温度に対応する赤外線がその側面下部へ入射した場合に、赤外線の殆どがプレート12に向かって反射する。そして、プレート12は赤外線放射率が1.0と高いので赤外線の殆どを吸収する。このために、容器14の側面下部を単眼型赤外線センサ18の受光エリアに収めた場合に、ノイズ要因である周囲温度に対応する赤外線が赤外線センサ18に直接受光されないことになる。
【0033】
一方、加熱状態の容器14の底部との接触によりプレート12へ伝わった熱に対応する赤外線は、容器14の側面下部へ放射される。そして、その赤外線は反射率の高い容器14の表面により反射され、単眼型赤外線センサ18にて受光される。なお、プレート12から放射される赤外線量はプレート12と容器14との接触面が非常に多く、その接触面から遠ざかるに応じて徐々に減衰する状態となる。これは、プレート12自体の熱勾配に起因するものである。こうしたメカニズムにより、プレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部から放射される赤外線を単眼型赤外線センサ18にて受光することで、容器14の温度を正確に測定することができる。
【0034】
さらに、容器14の側面下部から放射される赤外線に対応した温度が容器14の温度真値に近い理由について考察した結果を、図3に示す赤外線の放射モデル図を併用して説明する。図3の(a)に示すように、赤外線センサ20は例えば被測定物体である容器21とプレート22との間に介在し、加熱状態の容器21の一部の面積Smから放射される赤外線をレンズ(図示なし)を介して受光している。ここで、赤外線センサ20は容器21からの放射熱のみを捉え、周囲物体からの放射熱を捉えないことを前提とする。そして、容器21の一部の面積Smから周囲に放射される全放射熱量Qmはステファン・ボルツマン定数σを乗じて、下記の(1)の式となる。
Qm=Sm・σ・εm・Tm4‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(1)
εm:容器の放射率 Tm:容器の温度
【0035】
前記(1)式の全放射熱量Qmの中で、赤外線センサ20へ到達する熱量Q1は形態係数をFmとすると下記の(2)の式となる。なお、ここで形態係数Fmとは容器21から放射される赤外線の全エネルギーの中で、赤外線センサ20へ到達するそのエネルギーの割合を示す。
Q1=Fm・Qm=Fm・Sm・σ・εm・Tm4‥‥‥‥‥‥‥(2)
また、赤外線センサ20や容器21を取り囲む物体即ちプレート22の一部の面積Sgから容器21の一部の面積Smへ到達する全放射熱量Qgは形態係数をFgとすると、下記の(3)式となる。なお、ここで形態係数Fgとはプレート22からの全放射熱量に対し、容器21へ到達する放射熱量の割合を示す。
Qg=Fg・Sg・σ・εg・Tg4‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(3)
εg:プレートの放射率 Tg:プレートの温度
【0036】
前述の全放射熱量Qgの中で(1−εm)の比率だけ反射されて、赤外線センサ20へ到達する熱量Q2は下記の(4)式となる。
つまり、赤外線センサ20へ到達する全放射熱量Qは上記の(2)式と(4)式とが合体して、下記の(5)式となる。
ここで、通常はTm>Tgであって熱量がその温度の4乗式となる関係上、εmは大きい方が赤外線センサ20へ到達する放射熱量Qは大きい値となる。
【0037】
次に、赤外線センサ20や容器21を取り囲む物体即ちプレート22の一部の面積Sgから容器21の一部の面積Smへ熱放射する形態係数Fgについて考える。 ここで、物体SmとSgがあってその距離λが限りなく零へ近づいた状態の物体Sgから放射される熱量に対し、物体Smへ到達する熱量の割合は下記の(6)式となる。
lim Fg=Sm/Sg‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(6)
そして、(6)式を前述の(5)式に代入すると下記の(7)式となる。
Q=Fm・σ(Sm・εm・Tm4+(Sm/Sg)・Sg・εg・Tg4−εm・(Sm/Sg)・Sg・εg・Tg4)=Fm・σ・Sm(εm・Tm4+εg・Tg4−εm・εg・Tg4)‥‥‥‥‥‥‥‥‥(7)
また、εg≒1、Tm4=Tg4のときは前記の(7)式は下記の(8)式となる。
Q=Fm・Sm・σ・εg・Tg4‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥(8)
【0038】
前記(8)式より、容器21の放射率εmの項が消えてプレート22の一部の面積Sgからの放射熱量が赤外線センサ20へ到達することが立証される。これにより、図3の(b)のモデル構成図に示すように容器21の底部はプレート22に接触していることで、その距離λ≒0であってかつ放射率εg≒1のセラミクスから成るプレート22であるために、その底部から放射される熱量を算出する上では前記の(8)式が適用できる。
【0039】
なお、単眼型赤外線センサ18は受光エリアの角度を5度以内に設定し、容器14の側面下部から放射される赤外線を非接触で受光する他に、受光エリアの角度を0度に設定してスポットエリアの赤外線を非接触で受光する構成にしても良い。これにより、プレート12と容器14との接触面のみの赤外線を受光することが可能となり、容器14の温度を正確に検出して被調理物の加熱調理を実行することができる。
【0040】
以上、図1に示すように誘導加熱調理器の動作を操作パネル13の操作スイッチをONして開始した場合に、単眼型赤外線センサ18によりプレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部から放射される赤外線を受光し、制御部16はその受光量に基づいて通電コイル17への高周波の交番電流の大きさを制御する。したがって、容器14が鉄製又はステンレス製であってもそれらの放射率の大きさ、その表面状態に影響されることがなく、正確に容器14の温度を検出して被調理物の加熱調理を実行することができる。
【0041】
実施の形態2.
図4は、この発明の誘導加熱調理器に係る実施の形態2を示す側面断面図である。ここでは、容器14の大きさ、容器14の側面下部の形状、プレート12への容器14の載置位置などの変化が有った場合でも、プレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部から放射される赤外線を非接触で適確に検知して加熱調理器の動作を制御するものである。なお、実施の形態1と同一の符号は同一または相当部分を示す。図4において、23は受光エリアの角度が5度以内に設定される単眼型赤外線センサ18をプレート12上に容器14を載置した状態で、該受光エリアを容器14の側面からプレート12の上面の領域に跨って上下方向に往復移動させるセンサ移動手段である。
【0042】
24はセンサ移動手段23により赤外線センサ18を上下方向に移動した際に、受光エリアを4分割して形成される第1のエリア(図4中のa部)〜第4のエリア(図4中のd部)に対応した容器表面から放射される赤外線を受光して温度を検出し、それらのエリアの温度の中で最も高い温度の値を容器14の温度の真値として決定する容器温度決定手段であり、その出力は通電コイル17へ通電される高周波の交番電流の大きさを制御する制御手段16に送られる。25は容器温度決定手段24の出力に基づいて、単眼型赤外線センサ18の上下方向の移動を停止させて、その位置を決定するようにセンサ移動手段23へ停止信号を出力する位置決定手段である。
【0043】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の動作について図4を併用して説明する。操作スイッチ(図示なし)をONして加熱調理器の動作を開始することで、通電コイル17に高周波の交番電流が通電される。これにより、容器14に渦電流が流れてそれが誘導加熱される。これと同時に、単眼型赤外線センサ18はセンサ移動手段23によりその受光エリアが、容器14の側面から底部に沿ってステップ状に上下に移動する。また、単眼型赤外線センサ18は上下の移動時において、初期時は例えば容器14の側面の第1の受光エリア(図4中のa部)における赤外線だけ所定時間受光する。そして、所定時間が経過した後で移動手段23は単眼型赤外線センサ18を容器14の側面から底部に沿って、第2の受光エリア(図4中のb部)〜第4の受光エリア(図4中のd部)に対応した赤外線をそれぞれ所定時間だけ受光するように、順次ステップ状に下方向へ移動するような動作を実行させる。
【0044】
また、容器温度決定手段24は単眼型赤外線センサ18が下方向へ移動した際に得られる第1の受光エリア〜第4の受光エリアの赤外線に基づき、各受光エリア毎に対応した温度1〜t4を求めて記憶設定する。この後に、単眼型赤外線センサ18が上方向へ移動した際に得られる各受光エリア毎に対応した温度t5〜t8を求めて記憶設定する。これ以降は、単眼型赤外線センサ18が上下方向の移動動作を数回だけ繰り返し、その際に前述のように各受光エリア毎に対応した温度を求めて記憶設定する。そして、第1の受光エリアに対応する複数の温度データTn1から平均温度T1を算出する。同じく、第2の受光エリアに対応する複数の温度データTn2から平均温度T2を算出する。以下同様に、第3の受光エリアに対応した平均温度T3、第4の受光エリアに対応した平均温度T4を算出する。
【0045】
次に、容器温度決定手段24は第1の受光エリア〜第4の受光エリアに対応した各々の平均温度の中から、最も高い平均温度を抽出して容器14の温度として決定する。そして、位置決定手段25は容器温度決定手段25で決定した温度に対応する受光エリアの位置に単眼型赤外線センサ18を保持させ、その移動動作を停止させる。こうした一連の動作により、最も高い平均温度を示すエリアがプレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部に相当し、単眼型赤外線センサ18はその個所から放射される赤外線量を連続的に受光することができる。次に、容器温度決定手段24は単眼型赤外線センサ18で受光した赤外線量が、容器14の加熱設定温度に相当する赤外線量に至った場合に制御手段16へ信号を送り出す。これにより、制御手段16は容器14の加熱温度を設定温度となるように通電コイル17に通電する高周波の交番電流の大きさを低減或いは断電することで、容器14の中に収容される被調理物の加熱調理を適切に行うことができる。
【0046】
なお、単眼型赤外線センサ18の受光エリアは4パターン以上に分割しても良い。
【0047】
以上、こうした構成を有する誘導加熱調理器の動作を操作パネル13上の操作スイッチをONして実行させた場合に、容器14の大きさ、容器14の側面下部の形状、プレート12への容器14の載置位置などの変化が有った状態でも、プレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部を正確に捉え、その個所から放射される赤外線を単眼型赤外線センサ18で正確に受光することができる。これにより、制御手段16は容器14の放射率の大きさなどに影響されることがなく、容器14の温度を正確に設定温度に維持するように通電コイル17への通電量を適切に制御して被調理物の加熱調理を実行することができる。
【0048】
実施の形態3.
図5は、この発明の誘導加熱調理器に係る実施の形態3を示す側面断面図である。ここでは、実施の形態2と同様な理由によりプレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部を正確に決定し、その個所から放射される赤外線を非接触で検知して加熱調理器の動作を制御するものである。なお、実施の形態1と同一の符号は同一または相当部分を示す。図5において、26は受光エリアの角度が5度以内に設定される受光素子が例えば縦方向に8個配列して構成されたアレイ状の赤外線センサであり、プレート12上に容器14が載置された状態で容器14の側面からプレート12の表面に跨って、例えば赤外線の受光エリアを8パターンに形成するものである。27はアレイ状の赤外線センサ26を構成する8個の受光素子から出力される赤外線をサンプリングし、その赤外線の大きさに基づいて容器14の側面からプレート12の表面に跨った各受光エリア毎の温度を計測する温度計測手段である。温度計測手段27から出力される温度データは、通電コイル17に通電される高周波の交番電流の大きさを制御する制御手段16へ送り出される。
【0049】
図6は、アレイ状の赤外線センサ26を応用した温度測定装置を実装する誘導加熱調理器のブロック図を示す。図6において、28は容器14の側面からプレート12の表面に跨う位置の受光エリア即ち被測定領域29から放射される赤外線を計測する赤外線センサユニットであり、赤外線を集光する集光レンズ30、アレイ状の赤外線センサ26、スキャン部31、スキャン部31で選択された出力信号を所定レベルまで増幅する第1の増幅部32、サーミスタから成る基準温度素子33、基準温度素子33の出力信号を所定レベルまで増幅する第2の増幅部34、第1の増幅部34の増幅信号と第2の増幅部34の増幅信号との差分を増幅する差動増幅部35から構成する。
【0050】
36はマイコンから成る温度計測手段であり、所定のタイミングによって各受光素子に対応したスキャン部31にアドレス信号を出力する信号出力部37、赤外線センサユニット28の差動増幅部35からの出力信号を入力し、各受光素子の選択/切替を行なうマルチプレクサ38から構成する。さらに、マルチプレクサ38からの出力電圧をデジタル信号に変換するA/D変換部39、A/D変換部39からのデジタル信号を温度データに変換する温度変換部40、温度変換部40から出力される温度データを記憶する記憶部41から構成する。
【0051】
また、温度計測手段36には信号出力部37および記憶部41の出力信号を入力し、演算処理を実行する代表素子決定部42が格納される。この代表素子決定部42は例えば8個の受光素子の温度データを認識し、この温度データより8個の受光素子の中で最高温度を検出した受光素子を代表素子として決定する機能をもつ。さらに、温度計測手段36には代表素子決定部42からの出力信号を入力し、制御手段16への制御量を決定する制御決定部43が格納される。そして、制御決定部43の出力結果と操作パネル13から入力設定された運転条件により、制御手段16を介して通電コイル17に通電される高周波の交番電流の大きさを制御する。また、代表素子決定部42で決定する代表素子の温度データは常に表示パネル15へ送り出され、現在の加熱温度として表示する。
【0052】
ここで、アレイ状の赤外線センサ26の斜視図を図7に示す。図7において、アレイ状の赤外線センサ26は受光素子が例えば縦方向に対して8個即ち1×8(図7中の26a〜26h部)のライン状に配列されたものである。また、受光素子として量子型赤外線素子或いは熱型のサーモパイル素子の何れかを採用する。
【0053】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の動作を図5〜図7を併用して説明する。操作パネル13の電源スイッチ(図示なし)をONすると、アレイ状の赤外線センサ26は容器14の側面からプレート12の表面に跨った位置を範囲とする8パターンの受光エリア(図5中のa〜h部)から放射された赤外線を集光レンズ30によって集光する。これにより、アレイ状の赤外線センサ26を構成する複数の受光素子から電圧が出力される。そして、信号出力部37より出力されるアドレス信号がスキャン部31へ送り出され、複数の受光素子の中から例えば一つの受光素子を選択し、この受光素子の出力電圧が第1の増幅部32へ入力される。一方、基準温度素子33は周囲温度を検出して、その温度素子33の出力電圧が第2の増幅部34へ入力される。
【0054】
次に、第1の増幅部32及び第2の増幅部34で増幅されたそれぞれの出力電圧は差動増幅部35で比較増幅されるために、周囲温度が変化しても各受光エリアの温度を正確に検出することができる。そして、差動増幅部35により比較増幅された出力電圧は、温度計測手段36のマルチプレクサ38を介してA/D変換部39に入力されてデジタル信号となる。この後で、そのデジタル信号が温度変換部40によって温度データに変換され、一つの受光素子の温度データとして記憶部41に記憶される。こうした一連の動作を各受光素子毎に実行することにより、全受光素子の温度データを記憶部41に記憶することができる。
【0055】
次に、温度計測手段36の代表素子決定部42は記憶部41に記憶された温度データと信号出力部37からのアドス信号を入力し、各受光素子の中で最も検知温度の高い受光素子を選択する。そして、選択された受光素子の検知温度が制御決定部43に入力される。この後で、制御決定部43の出力結果と操作パネル13から入力設定される運転条件により、制御手段16は通電コイル17に通電される高周波の交番電流の大きさを制御する。
【0056】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の容器14の温度測定データを図8に示す。なお、実験条件として容器14の加熱設定温度は約200℃であり、その材質はステンレスである。図8の(a)は、赤外線センサユニット28から出力される各受光素子に対応した温度データ(図中のa〜h部)および基準温度素子であるサーミスタ33から出力される温度データ(図中のx部)を示す図である。また、図8の(b)は誘導加熱調理器の運転時間100秒経過後の各受光素子に対応した温度データ(図中のa〜h部)を示す図である。図8の(a)と(b)において、結局は容器14の側面からプレート12の表面に跨った位置の各受光エリアの中で、プレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部に対応するエリアから放射される赤外線に対応した温度(図中のf部)が最も高くなり、容器14の温度の真値であると判断される。こうした図8の(a)と(b)の温度データを温度計測手段36により測定し、最高温度を出力する受光素子を選択してその出力に基づき通電コイル17への通電量を決定する。
【0057】
なお、容器14の側面からプレート12の表面に跨った位置に対し、1×8の配列で構成されたアレイ状の赤外線センサ26によって赤外線を受光する他に、例えば4×4或いは8×8の配列で構成されたアレイ状の赤外線センサ26を用い、その位置から放射される赤外線を受光しても良い。これについては、後述の実施の形態4以降についても同様である。
【0058】
以上、こうした構成を有する誘導加熱調理器の動作を操作パネル13上の操作スイッチをONして実行させ、容器14の大きさ、容器14の側面下部の形状、プレート12への容器14の載置位置などの変化が有った状態でも、プレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部を正確に捉えることが可能である。これにより、制御手段16は容器14の放射率の大きさなどに影響されることがなく、通電コイル17への通電量を適切に制御して被調理物の加熱調理を実行することができる。
【0059】
実施の形態4.
図9は、この発明の誘導加熱部即ち通電コイルがプレートの内側に2箇所設けられる二口タイプの誘導加熱調理器に係る実施の形態4を示す上面図である。なお、実施の形態1と同一の符号は同一または相当部分を示す。図9において、本体11の上面に設けられる2個のプレート12a,12bの下部に通電コイル44a,44bが左右対称に配置されると共に、本体11の両端部に二つの通電コイル44a,44bの中心部を通る線上に位置して一対のアレイ状の赤外線センサ45a,45bが対向して配置する。そして、これらの赤外線センサ45a,45bは二つのプレート12a,12bに跨った受光エリアを有する。
【0060】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の加熱動作について、図9を併用して説明する。2個のプレート12a,12b上に容器(図示なし)をそれぞれ載置して加熱動作を実行した場合に、一方のアレイ状の赤外線センサ45aは一方のプレート12a上に載置される容器の底部を含む側面の受光エリアa〜hの赤外線を受光する。これと同時に、他方のアレイ状の赤外線センサ45bは他方のプレート12b上に載置される容器の底部を含む側面の受光エリアi〜pの赤外線を受光する。そして、一対のアレイ状の赤外線センサ45a,45bの出力に基づいて、実施の形態1〜実施の形態3で述べた温度測定方法により2個の容器の温度を正確に検知することができる。
【0061】
また、図10に示すように例えば一方のプレート12bのみに容器14を載置して加熱動作を実行した場合に、遠い側のアレイ状の赤外線センサ45aにより容器14の一側の側面から一方のプレート12bの表面に跨った位置の受光エリアa〜hの赤外線を受光すると共に、近い側のアレイ状の赤外線センサ45bにより容器14の他側の側面から他方のプレート12bの表面に跨った位置の受光エリアi〜pの赤外線を受光する。そして、温度計測手段(図示なし)は一対のアレイ状の赤外線センサ45a,45bの出力に基づいて、容器14の両側面における複数箇所の温度データの中から最大温度を抽出し、その最大温度を容器14の温度の真値として判断し、その真値が所定レベルに至ったときに加熱動作を停止させる。ここで、赤外線の集光エリアa〜p即ち集光エリア数を出来る限り増やして16パターンの赤外線量の中から最高値を抽出することにより、容器14の温度の検出精度を向上することができる。
【0062】
また、図11は一対のアレイ状の赤外線センサ45a,45bを例えば8×8の配列で構成し、通電コイル44a,44bの中心部を通る線上に対して垂直方向に受光エリアa〜hを形成させると共に、通電コイル44a,44bの中心部を通る線上に対して水平方向に受光エリアi〜pを形成させるように本体11の両側に配置した場合の上面図を示す。こうした構成により、2個のプレート12a,12b上に容器(図示なし)をそれぞれ載置して加熱調理の動作を実行した場合に、一対のアレイ状の赤外線センサ45a,45bは容器の側面の垂直方向の受光エリアa〜hから放射される赤外線を受光すると共に、容器の下方であって水平方向の受光エリアi〜pから放射される赤外線を受光する。
【0063】
そして、温度計測手段(図示なし)は一対のアレイ状の赤外線センサ45a,45bの出力に基づき、容器の温度測定範囲を増やした状態で加熱動作を制御する。したがって、加熱調理する度に容器14の大きさ、容器14の側面下部の形状、プレート12への容器14の載置位置などの変化が有った場合でも、容器14とプレート12との接触面を含む容器14の側面下部を正確に捉え、その個所から放射される赤外線を受光する構成により、容器の温度の検知精度がより一層向上して被調理物の加熱調理を適切に行うことができる。
【0064】
以上、こうした構成を有する二口タイプの誘導加熱調理器の運転動作を行う際に、容器14の大きさ、容器14の側面下部の形状、プレート12への容器14の載置位置などの変化が有った場合でも、一対のアレイ状の赤外線センサ45a,45bの受光出力に基づいて容器14の温度を正確に検知して加熱調理器の加熱動作を実行することができる。
【0065】
実施の形態5.
図12は、この発明の誘導加熱調理器に係る実施の形態5を示す側面断面図である。なお、実施の形態1〜実施の形態4と同一の符号は同一または相当部分を示す。図12において、46は赤外線センサユニット28の出力に基いて加熱調理器の加熱動作の終了後に容器14を撤去したことを検知し、その後でプレート12の温度を監視したり、加熱動作時にプレート12へ金属製の小物を誤って置いて、それが高温状態に至るなどの安全上に関する事態を監視したり、或いは容器14内の被調理物の汁がプレート12上へ噴きこぼれる状態を監視するなどの各種監視手段であって、マイコンから成る温度計測手段36の中に格納される。47は各種監視手段46の出力に基づいて、使用者にそれらの監視状態を報知する電子ブザーなどから成る監視状態報知手段である。これと同時に、各種監視手段46の出力は表示パネル15や制御手段16にも入力される。また、図13は温度計測手段36を搭載する誘導加熱調理器のブロック図を示す。本ブロック図は、実施の形態3で開示した誘導加熱調理器のブロック図と殆ど同一であり、相違する点はマイコンから成る温度計測手段36の中に各種監視手段46が格納したり、本体11内に監視状態報知手段47が格納されたことである。
【0066】
次に、こうした構成を有する誘導加熱調理器の容器14の撤去後におけるプレート12の温度監視について図13と図14を併用して説明する。なお、容器14の通常の加熱動作に関す具体的な説明については実施の形態3と殆ど同一であるので、ここでは説る明を省略する。図13において、加熱調理器の加熱動作終了後に容器14(図中の点線部a)を撤去した場合において、赤外線センサユニット28によりプレート12及びその他の領域から放射される受光エリアa〜hに対応した赤外線を受光する。なお、プレート12上に容器14を載置したときは、その側面部に対応する受光エリアの赤外線を赤外線センサユニット28で受光することになる。
【0067】
ここで、プレート12上から容器14を撤去する直前の温度計測手段36より出力される受光エリアa〜hに対応した温度測定データを図14の(a)に示す。また、プレート12上から容器14を撤去した直後の温度計測手段36より出力される受光エリアa〜hに対応した温度測定データを図14の(b)に示す。図14の(a)において、受光エリアa〜hの中でg即ち容器14とプレート12との接触面を含む容器14の側面の受光エリアの温度が最も高く、その受光エリアから遠ざかった他の受光エリアの温度は低くなっていることが分かる。次に、図14の(b)において受光エリアa,bの温度の値が、図14の(a)の受光エリアa,bの温度の値と比較して低くなっている理由は、容器14を撤去したことによって周囲温度に相当する赤外線量を赤外線センサユニット28が受光するためである。
【0068】
また、図14の(b)において受光エリアc〜hの温度は容器14を撤去した場合でもその値が殆ど変化していない理由は、容器14の熱がプレート12へ伝わって保持され、プレート12から放射されるその熱相当の赤外線量を赤外線センサユニット28によって受光するためである。
したがって、使用者がこのときに高温状態のプレート12へ直に触れるのを未然に防ぐ必要がある。この対策手段として、図14の(a)と(b)の温度データより例えば受光エリアa〜hに対応する赤外線パターン即ち受光エリアa〜hの温度パターンに基づき、容器14の撤去を検知してその状態を使用者に報知することが提案される。
【0069】
具体的な対策手段は、図13において各種監視手段46が受光エリアa〜hに対応する赤外線パターン即ち受光エリアa〜hの温度パターンを常に監視する。このとき、下位の受光エリアからの赤外線量が多く、上位の受光エリアからの赤外線量が少ないとき、即ち上位の受光エリアの温度が周囲温度にほぼ等しい温度パターンを検出すると、容器14が撤去されたと判断する。しかしながら、下位の赤外線量が多く、温度が高温状態にあるため、表示パネル15にその状況を表示させると同時に異常報知手段47へ信号を送って、例えば電子ブザーを駆動させたり或いは”手を触れないで下さい”などの警告を表示パネル15に表示させる。この後で、プレート12の温度が自然冷却により例えば50℃以下まで下降した場合に、対応する下位の受光エリアの赤外線量も少なくなり、前述の異常報知の動作を解除させる。
なお、容器14の撤去検知方法として温度計測手段36から出力される温度の変化を監視する他に、通電コイル17の誘起電圧の変化を検出しても良い。
【0070】
また、図15は誘導加熱調理器の運転時に容器14を載置しない状態で、誤ってプレート12上に小型サイズの金属物である例えばスプーン48を落とした場合の側面断面図を示す。プレート12上にスプーン48が載置された場合には、それに渦電流が流れて加熱する。図16は、プレート12上にスプーン48を載置した場合における温度計測手段36から出力される受光エリアa〜hの温度データを示す図である。図16において、スプーン48の置き場所である例えば受光エリアc,dの温度が他の集光エリアa,b,e〜hの温度に比べて高くなっていることが分かる。
【0071】
こうした状態で加熱されるスプーン48に使用者の手が触れることを未然に防ぐために、各種監視手段46により図16に示す受光エリアa〜hの温度データを常に監視する。そして、各種監視手段46は例えば一つの受光エリアd或いは二つの受光エリアc,dの温度が他の受光エリアa,b,e〜hの温度に比べて所定値以上に高ければ、スプーン48がプレート12上に誤って置かれていると判断し、同じようにその警告を表示パネル15に表示させる。これと同時に、制御手段16を介して通電コイル17への高周波の交番電流を断電する。
【0072】
また、図17は誘導加熱調理器の運転時に容器14から被調理物の汁(図中のa部)が噴きこぼれた場合の側面断面図を示す。容器14から被調理物の汁が噴きたこぼれた場合に、その汁がプレート12上に流れることでプレート12面を汚して加熱により強固に付着する。これにより、プレート12面の清掃作業が難しくなると共に、容器14の側面近傍に配置する赤外線センサユニット28のフィルター19に汁が付着して赤外線の検出を妨げたりするなどの不具合を生じる。図18は、容器14から被調理物の汁が噴きこぼれたときの温度計測手段36から出力される受光エリアa〜hに対応した温度データを示す図である。図18において、容器14内の被調理物の汁が噴きこぼたときにプレート12と容器14との接触面を含む容器14の側面下部からそれよりも少し上方に位置する個所に跨った受光エリアa〜hに対応する温度データに小刻みな変動即ち脈動が見られる。なお、この温度の脈動現象は噴きこぼれた高温状態の汁が外気と接触して自然冷却される過程で発生する特有のものと推定する。
【0073】
こうした容器14内の被調理物の汁が噴きこぼれたときに、誘導加熱調理器の加熱動作を停止させる一手段として、各種監視手段46により受光エリアa〜hの温度データを常に監視して、何れかの受光エリアから所定時間内に所定レベルの脈動が発生した場合に汁の噴きこぼれが起きたと判断し、表示パネル15に警告を表示させる。これと同時に、制御手段16を介して通電コイル17への高周波の交番電流の通電量を低減させたり、或いは断電させる。
【0074】
以上、誘導加熱調理器の運転停止直後における容器14の撤去直後のプレート12の温度監視、運転時における小物である例えばスプーン48の載置検知、容器14内の被調理物の汁の噴きこぼれ検知を各種監視手段46により実行することで、使用者に対して安全性に係わる事態を警告報知すると共に、清掃性の向上を図る加熱調理器を提供できる。
【0075】
実施の形態6.
図19は、この発明の誘導加熱調理器に係る実施の形態6を示す側面断面図である。なお、実施の形態1〜実施の形態5と同一の符号は同一または相当部分を示す。図19において、49は上板付き赤外線センサユニット50の下部に設けられ、誘導加熱調理器の運転停止時或いは不使用時にその赤外線センサユニット50を本体11内に位置するようにして収納させ、かつ誘導加熱調理器の運転動作時にその赤外線センサユニット50をプレート12の面よりも上方であって、容器14の側面下部の近傍を臨む位置に上昇移動させる移動機構装置である。
こうした構成により、上板付き赤外線センサユニット50の受光面(図中のa部)に付着する室内空気中のホコリの量が少なくなる。したがって、容器14の温度検出精度の低下を未然に防ぐことができる。
【0076】
実施の形態7.
図20は、この発明の誘導加熱調理器に係る実施の形態7を示す全体図である。図中11は本体、12はプレート、13は操作パネル、51は本体11の内部の空気を排出する排気口であり、例えば本体11内に設けられた制御基板を冷却するための空気や後述するグリラー部55からの空気を排出する。52は切り欠き部、53は赤外線センサ覗き穴、54は加熱部、55はグリラー部である。
【0077】
排気口51は、本体11の上部後方に形成された突出部に設けられており、プレート12の面よりも高い位置に設置されている。そのため、万一の鍋のふきこぼれ等による水分の流入を抑止することができるようになっている。また、切り欠き部52を設けることで、鍋がプレート12からはみ出る場合でもおくことができるようになり、プレート12の面積を小さくすることができ、機器のコンパクト化を実現している。
【0078】
さらに、排気口51を高くする構造とすることで、その構造内にアレイ赤外線センサ26(図示しない)を挿入ことができる。そして赤外線センサ覗き穴53から鍋の底面接触部温度を測定する。赤外線センサ26を排気口51を高くする突出部の内部に挿入することによって、センサを設置するための突出部を別に設ける必要が無くなり、清掃性にも優れ、使いやすくなる。
【0079】
また、赤外線センサ覗き穴53に使用時に開き、通常は閉じる動作を行うシャッター(図示しない)を設ければ、赤外線センサ26の汚れを防止でき、製品寿命も向上する。なお、赤外線センサ覗き穴53の位置は、プレート12の面よりも上に設け、ふきこぼれが入り込まないように設置することが望ましい。
【0080】
なお、排気口51及び赤外線センサ覗き穴53を有する突出部は本体11の側方に設けてもよい。このように構成すれば、例えば図11に示すように赤外線センサを本体11の両側に配置するような場合にも対応できる。
【0081】
実施の形態8.
図21、図22は、この発明の誘導加熱調理器に係る実施の形態8を示す図である。図21の図中11は本体、12はプレート、14は鍋、14x、14y、14zは大きさが多少違う鍋で、うち14xは3つの鍋の中で小さい鍋、14yは中位の鍋、14zは大きい鍋、16は制御手段、17は通電コイルである。28は赤外線センサユニットであり、縦方向に8個に分割されたエリア毎に赤外線を検知し温度を求める。51は排気口、53は赤外線センサ覗き穴である。
【0082】
また、図21のグラフは、赤外線センサユニット28からの各素子の測定温度、即ち集光エリアa〜hのそれぞれの測定温度を示したもので、図中d、e、f、gはそれぞれ4番素子、5番素子、6番素子、7番素子の測定温度を示している。図22はフローの説明のための図である。
【0083】
図21では3つの鍋14x、14y、14zを加熱して測定している様子を示している。少しだけ大きさの異なる鍋14x、14y、14zをそれぞれ本体11で加熱する場合を説明する。14xは3つの中で小さい鍋、14yは中位の鍋、14zは大きい鍋である。
【0084】
まず、鍋14xを加熱した場合の様子を(a1)で示す。赤外線センサユニット28の素子のうち、鍋14xとプレート12の境界部分をちょうど5番目の素子(図ではe)が捕らえている様子を示している。各素子の温度は(a2)のグラフで示されている。グラフから、5番素子eが最も高く210℃であることがわかる。また、その隣接する素子dとfが共に150℃となっている。
【0085】
図21中(c1)は、鍋14zを加熱している様子を示している。赤外線センサユニット28の素子のうち、鍋14zとプレート12の境界部分をちょうど6番目の素子(図ではf)が捕らえている様子を示している。各素子の温度は(c2)のグラフで示されている。グラフからも、6番素子fが最も高く210℃であることがわかる。また、その隣接する素子eとgが共に150℃となっている。
【0086】
図21中(b1)は、鍋14yを加熱している様子を示している。赤外線センサユニット28の素子のうち、鍋14yとプレート12の境界部分は、5番目の素子(図ではe)と6番目の素子(図ではf)が捕らえている様子を示している。各素子の温度は(b2)のグラフで示されている。グラフから、5番素子eが最も高く180℃強、6番素子fもほぼ同じで180℃弱であることがわかる。また、その隣接する素子dとgが共に150℃となっている。
【0087】
以上の結果から次の2つのことがわかる。一つ目は、何番目の素子が最大値を示すかを調べることにより、鍋の大きさがわかること。二つ目は、鍋の大きさが対応する素子の中間にある場合は、隣接する2素子がほぼ近い値で同じ温度を示し、それは、1素子のみが高い温度を示す場合に比べて低温であることである。
【0088】
一つ目については、鍋の大きさを変えて測定を行った結果から明らかである。鍋14とプレート12の境界部分に対応する集光エリアを捕らえている素子が最も高い温度を示しいる。このことから、何番目の素子が最大値になれば何cmの鍋である、といったように、何番目の素子が最大値を示すかを調べることにより、つまり、最も温度の高い集光エリアに応じて鍋の大きさがわかる。このように鍋の大きさを推論する容器寸法推論手段を設けることにより、後述するように鍋の大きさを鍋の中身の温度を推論することに用いることができる。また、通電コイルを内側用と外側用に分割した場合には、鍋の大きさに応じて通電するコイルを内側のみに切り替えたりすることにより、省エネを図ることができる。なお、上記の実施の形態2のように単眼型赤外線センサを用いても、最も温度の高いエリアを特定することによって、同様に鍋の大きさを推論することができる。
【0089】
二つ目についても、図21(b)の今回の測定例から明らかである。鍋の大きさによっては、鍋14とプレート12の境界面がちょうど素子に重ならないで、2つの素子の中間付近になる場合がある。その場合は、(b2)のグラフに一例が示されているが、2つの隣接素子がほぼ同温度で高い値を示し、しかもその大きさは、ちょうど素子に対応した大きさの鍋の測定結果よりも小さい。この原因は以下のように説明できる。
【0090】
まず、素子の温度は、素子の検知エリア内の平均温度を示すということが基本である。その際、ある素子がちょうど鍋14とプレート12の境界を捕らえていれば、検知エリアは全てその部分の温度を捕らえているので、その温度を示す。これは、素子の画角がそのように設計されているからである。ところが、2つの素子がほぼ同じ温度を示す状態というのは、境界に素子の検知エリアがぴたりと一致していない場合で、その場合は、境界部温度とそのまわりの温度の平均を示すことになる。鍋の温度自体は境界部もその周辺部も変わりはないが、境界部以外の温度は、鍋の反射率が高い影響から正しく測定できず、ほとんど周りの環境温度やプレート面の反射となるので、実際よりも低い温度となっている。当然素子の捕らえる温度も、平均なので下がることになる。これは2つ共に言える。ここで、平均の温度というのは、(b2)の例で説明すると、eの示す温度の場合は、eとfの間にある境界部の温度と、そのまわりの温度の平均と考えることができる。
【0091】
実際の鍋yの温度は、鍋yと若干大きさが違う鍋xや鍋zが同時間の加熱で共に210℃である結果から、鍋yも210℃であると考えられる。まわりの温度については、隣接する画素、この場合はdの温度と考え、150℃である。(b2)での測定値最大値はeで180℃である。これらの関係を考えると、「鍋yの温度」と「まわりの温度」の平均 = 「eの温度」、即ち、210℃と150℃の平均 → 180℃ となる。この関係から、この測定系の場合は、
(210+150)/2 = 180
が成り立つ。
【0092】
今回の例では、鍋温度210℃に対し、2素子がほぼ同じ温度を示す場合の温度は180℃であった。その差は30℃であるので、その半分を基準値として、15℃差以内の場合はほぼ同温度と見ることにする。この数字は、鍋温度によって変わってくるので割合で示すことにする。180℃に対する15℃は8%であるので、2つの素子の温度差が8%以内の場合は、鍋とプレートの境界が2つの素子にまたがっていることにする。なお、この割合は本実施例における場合であり、他の装置系ではそれぞれ独自に基準値を求める必要があるが、考え方は同一である。
【0093】
以上を、図22を使って説明する。図22は、鍋温度Xを求めるフローチャートである。
S101で、素子中最大値を求め、それをt1とする。次いで、t1に隣接する素子で温度が高い方をt2(S102)、t1に隣接する素子で温度が低い方をまわりの温度に相当するものとしてt3(S103)とする。
【0094】
S104では、最も温度が高い素子t1と隣接素子で温度が高い方t2の差を計算し、その差がt1の8%以内であるかどうかを比較する。これは、隣接する2素子の値が、離れているか近いかを調べるもので、離れている場合即ち基準値である8%を超える場合ははno経路でS105に、近い場合即ち8%以内の場合はyes経路でS106に進む。離れている場合は、鍋底面とプレートの境界を1素子がしっかりと捕らえていることを表している。t1の8%以内で近い場合は、鍋底面とプレートの境界が2つのセンサの素子間にあることを表している。
【0095】
S105の場合は、t1の温度をそのまま鍋温度Xとする。S106の場合は、素子の示す温度t1は、実際の鍋の温度Xとまわりの温度t3の平均であるので、鍋温度Xは、(X+t3)/2=t1 から、X=2×t1−t3 より求める。このように、隣接するエリアの温度差が基準値以下の場合は鍋温度として出力される値を補正する手段を設けることにより、鍋の大きさに依らず鍋温度を正しく検知できることがわかる。
【0096】
なお、一番端の集光エリアaまたはhが最も高い温度を示し、それに隣接する集光エリアとの温度差、例えばaとb、またはgとhの温度差が基準値以下の場合には、まわりの温度として、最も高い温度を示す集光エリアから2つ離れた集光エリア、例えばcまたはfの温度を用いて出力の補正を行う。
【0097】
また、図22より、鍋の大きさにより、最大値を示す素子番号が異なることから逆に、最大値を示す素子番号から鍋の大きさを知ることができることもわかる。なお、この場合は鍋が中心に置かれているという前提で成り立つが、これはプレートに同心円等の目安を印刷しておき、これにあわせて置いてもらうように取扱説明書や機器に記述しておくことで対応してもらえる。また、図示しないが、少なくとも2つ以上の複数のセンサを多方向から鍋の設置位置中心に向かって配置し、それぞれのセンサが得た鍋の大きさの平均値を鍋の大きさとする方法としても良い。
なお、これらのフローに沿った計算や判断などは全てマイコンで実行可能である。
【0098】
実施の形態9.
図23、図24は、この発明の誘導加熱調理器に係る実施の形態9を示す図である。
図23の図番は実施の形態8などと同一のため説明は省く。図23(a)は小鍋を測定している様子を示す図、(b)は大鍋を測定している様子を示す図である。
図24は図23の小鍋と大鍋に、水入れて加熱した場合のセンサ素子からの最大温度を示す素子の温度変化と、鍋内の水温度の変化を表すグラフと、油を入れて加熱した場合のセンサ素子からの最大温度を示す素子の温度変化と鍋内の油温度の変化を表すグラフである。図24で(a)は小鍋・油の場合、(b)は大鍋・油の場合、(c)は小鍋・水の場合、(d)は大鍋・水の場合を示している。グラフ中実線は、素子中最大温度を示した素子の示した温度を、点線は鍋内の水または油の温度を示す。小鍋の場合は素子cが、大鍋の場合は素子gがそれぞれ最高温度を示した。これは図23から、小鍋の場合は鍋底面とプレートの境界部を素子cが、大鍋の場合は素子gがそれぞれ捕らえていることと一致する。
【0099】
図24の(a)と(c)を比べて、小鍋の場合では、水の場合は鍋温度と鍋中身の水温度がほぼ一致しているが、油温度は鍋温度と鍋中身である油温度との差が30℃近くあることがわかる。これは、(b)と(d)の大鍋の場合も同様に、水の場合は鍋温度と鍋中身の水温度がほぼ一致しているが、油温度は鍋温度と鍋中身である油温度との差が25℃近くあることがわかる。
【0100】
これらを含めて、4つのグラフから特徴をまとめると、▲1▼水の場合は鍋温度と中身温度はほぼ等しい。▲2▼油の場合は、鍋温度と中身温度では鍋温度の方が25〜30℃高い。▲3▼水の場合は加熱開始直後から、鍋温度は時間と比例関係で上昇する。▲4▼油の場合は加熱開始から50秒ほどの間は、鍋温度が急上昇し、その後は上昇率が低下し一定になる。▲5▼水の場合は、鍋温度も鍋中身の水温度も、100℃弱で飽和し、一定温度となる。▲6▼油温度は100℃を超えても、一定の上昇率で温度上昇する。
【0101】
上記▲3▼▲4▼及び▲5▼▲6▼から、鍋内の加熱物が水か油かを推論できることがわかる。加熱開始時からほぼ一定の割合で温度上昇するものは鍋中身は水、加熱開始時の温度上昇が大きくかつ途中から温度上昇率が下がって一定となるものは油であることがわかる。また、鍋温度が100℃近辺で一定になるものは水、100℃を超えても上昇を続けるものは油であることがわかる。
【0102】
このように鍋中身の物質、即ち加熱物を推論する加熱物推論手段を設けることで、例えば水であることがわかれば、97℃まで到達したら火力を弱めて、水の蒸発を抑え、レンジまわりへの凝縮による水分付着を抑えるなどの効果を期待できる。
【0103】
さらに、鍋中身の物質が水であれば、上記▲1▼より、センサ温度とほぼ同等であるので鍋内の水温度も求めることができる。また、鍋中身の物質が油であれば、上記▲2▼により、センサ温度に対し25〜30℃の値を引くことにより、油の温度を推論することができる。ここでは、中間の値27℃を引くことにすると、±2.5℃の誤差範囲で推論できることになる。このように加熱物の温度を推論する加熱物推論手段を設けることにより、加熱出力の制御をより正確に行えるようになる。
【0104】
実施の形態10.
図25はこの発明の誘導加熱調理器に係る実施の形態10を示す図である。図中56は重量検出手段である。他の番号は既出であるので省略する。
図25の重量検出手段は例えば金属ロードセルを鍋接地面の周囲に3〜4ヶ所設置し、鍋重量によるプレートの沈み込み量を検出し、それを重量に置き換えることで実現できる。ロードセルの信号は制御手段であるマイコン16に送られ、各ロードセルそれぞれの歪み量から重量に変換し、合計することで、プレート上の鍋の重さを計ることができる。
【0105】
また、予めよく使用する鍋の重さを登録しておけば、マイコン内で引き算処理することにより、鍋内の内容物の重さを測定することもできる。さらに、水であることがわかれば鍋内に入った水量を、油であることがわかれば油量を求めることもできる。他の物質も単位重量あたりの体積がわかっていれば、重さから逆算して入れた体積がわかる。
【0106】
また、ある時間での鍋の重さをマイコン内のメモリーに記憶させ、その後再び鍋の重さを測定し、その差を取れば、その間に鍋に入れられた内容物のみの重さを知ることもでき、調理を便利に進めることができる。この場合も入れた物質の単位重量あたりの体積がわかっていれば、重さから逆算して入れた体積がわかる。水を何cc足したか等がわかるので便利である。
【0107】
また、単純に、食品の重量計として使用することもでき、調理を便利に進行できる。この場合は、重量計を他に準備する必要もないので、場所もとらずに非常に使い勝手がよい。また、重量の測定結果はプレート上や操作パネル部に表示すると、使い勝手がよく、便利である。
【0108】
図26(a)のグラフは大鍋に少量の油を入れて計測したグラフで、素子gが鍋底面とプレートとの境界を捕らえて最大値となっている。(b)は同じ大鍋に油を足し入れてしばらくした後に計測したグラフで、鍋の大きさは不変であるので、同じく素子gが最大値となっている。図26(a)は(b)に比べ油の量が少ないため、早い時間で温まる。その時、油の温度と鍋の温度の温度差は、油温50℃以上で見ると20℃鍋の方が高い。一方、(b)では(a)より量が多いため上昇も遅く、油温50℃以上で見ると、25℃鍋の方が高い。
【0109】
以上より、同じ鍋でも油量によって油温と鍋温度の差が異なることがわかる。これは、油は粘性が高いため対流が少なく、油量が増えると全体が温まる速度が遅くなるためである。より精度良く鍋の中身温度を推論するためには油量がわかることが必要となる。油量については上述の重量検出手段により鍋に入れる前後の重さの変化から求めることができる。例えば、最初に鍋の重さのみを記憶しておき、次いで油を入れた時の重さを計り、差を取ることで鍋に入れた油の重さがわかる。もちろん手動で何ccと入力しても良い。
【0110】
また、鍋に入れたものが油かどうかは加熱時の温度上昇の仕方から判断しても良いし、揚げ物ボタンが押されたかどうかから判断しても良い。そして油の単位重さあたりの容積からマイコンで簡単に計算で求めることができる。
【0111】
図26(c)のグラフは小鍋に少量の油を入れて計測したグラフで、素子cが鍋底面とプレートとの境界を捕らえて最大値となっている。(d)は同じ小鍋に油を足し入れてしばらくした後に計測したグラフで、鍋の大きさは不変であるので、同じく素子cが最大値となっている。
【0112】
同じ油量でも鍋の大きさで油の温度と鍋の温度の差が異なることがわかる。より精度を上げるためには、鍋の大きさの推論結果も加え、鍋の大きさ、鍋の中身、中身の量の3つから鍋中身の温度を推論する。鍋の大きさは、センサの最大温度を示す素子からわかる。鍋の中身と中身の量は上述の方法でよい。
【0113】
実施の形態11.
図27〜図30は、この発明の誘導加熱調理器の表示の一例を表す図である。図27(a)は、表示の一例で、鍋の温度に応じて例えば炎の内炎が発光し、さらにお鍋の温度が高くなると外炎も発光する様子を示す。一例として、50℃で内炎発光、100℃で外炎発光とする。また、さらに150℃で輝度を上げるなどしても良い。(b)は鍋の温度が上昇するにつれ、炎の大きさを大きくする例である。図28は図27(a)をさらに細かくした例で、炎3本に内炎、外炎で合わせて6段階で表示する例である。
【0114】
図29は単純にLED表示する例で、(a)では、鍋温度に応じてLED点灯を一つずつ増やしていく例、(b)はLEDの段階で色を変える例、(c)はLEDの段階で、全LEDの色を変える例を示す。
【0115】
図30は鍋温度とLEDの点灯温度の関係を示す例で、(a)は40℃から等間隔で+30℃ずつ配置した例、(b)は代表的な温度に割り振った例である。(a)の場合は、温度表示が等間隔であり、感覚がつかみやすい。(b)の場合は水の沸騰温度100℃、油でよく使用される温度140℃、160℃、180℃での表示であり、使用しやすいメリットがある。
【0116】
なお、これらの表示は、プレート上に行っても良いし、操作パネルに行っても良い。また、鍋の温度表示を行うと説明してきたが、鍋中身温度の推論値を表示してももちろん良い。その場合は、油温そのものを知ることが出きるので、より調理への使い勝手が向上する。
【0117】
【発明の効果】
この発明は、以上のように構成されているので以下に記載されるような効果を奏する。
【0118】
この発明に係わる誘導加熱調理器は、プレートで上面が覆われた本体に誘導加熱手段を配置し、プレート上に載置された調理容器を電磁誘導により加熱するようにした誘導加熱調理器において、調理容器毎にプレートと調理容器との接触面を含む調理容器の側面下部の温度を非接触で検知する温度検知手段を設け、温度検知手段の出力に基づいて誘導加熱手段の出力を制御する出力制御手段を設け、温度検知手段は、調理容器及びプレートから放射される赤外線を受光する単眼型赤外線センサと、赤外線センサの受光エリアを上下に移動させる移動手段を含み、赤外線センサの受光エリアを移動したときに各受光エリアで受光した赤外線量が最も多く検知した位置で赤外線センサを固定するようにしたので、誘導加熱調理器の動作を操作パネルの操作スイッチをONして開始した場合に、例えば温度計測手段である赤外線センサによりプレートと容器との接触面を含む容器の側面下部から放射される赤外線を受光し、制御部は容器の材質に影響されることがなく容器の温度を正確に検知して被調理物の加熱調理を実行することができる。また、容器の大きさ、容器の側面下部の形状、プレートへの容器の載置位置などの変化が有った場合でも、単眼型赤外線センサはプレートと容器との接触面を含む容器の側面下部から放射される赤外線を正確に受光することができる。これにより、制御手段は容器の放射率の大きさなどに影響されることがなく、正確に容器の温度を設定温度に維持するように通電コイルへの通電量を制御し、被調理物の加熱調理を実行することができる。
【0120】
また、プレートで上面が覆われた本体に誘導加熱手段を配置し、プレート上に載置された調理容器を電磁誘導により加熱するようにした誘導加熱調理器において、調理容器毎にプレートと調理容器との接触面を含む調理容器の側面下部の温度を非接触で検知する温度検知手段を設け、温度検知手段の出力に基づいて誘導加熱手段の出力を制御する出力制御手段を設け、温度検知手段は調理容器及びプレートから放射される赤外線を受光する複数の受光素子を縦方向であってアレイ状に配列した赤外線センサを含み、各受光素子が受光する赤外線量の内で最も多い赤外線量に基づいて誘導加熱手段の出力を制御するようにしたので、容器の大きさ、容器の側面下部の形状、プレートへの容器の載置位置などの変化が有った場合でも、アレイ状の赤外線センサは、プレートと容器との接触面を含む容器の側面下部から放射される赤外線を捉えて容器の温度を正確に検知することができる。これにより、制御手段は容器の材質に影響されることがなく誘導加熱調理器の加熱動作を制御することができる。
【0121】
また、アレイ状赤外線センサの各受光素子の内、複数個の受光素子の赤外線受光量が同時に減少したとき、警報を発する警告手段を設けるようにしたので、誘導加熱調理器の使用に際しての安全性を確保することができる。
【0122】
また、アレイ状赤外線センサの各受光素子の内、少なくとも一つの受光素子の受光する赤外線量が所定値を超えたときに、プレート上に金属性の小物が置かれたと判断する判断手段を設け、判断手段の結果に基づいて警告を発する警告手段を設けるようにしたので、加熱動作時にプレート上へ金属製の小物を誤って置いて、それが高温状態に至るなどの安全性に欠ける事態を未然に防止することができる。
【0123】
また、アレイ状赤外線センサの各受光素子の検知する赤外線量が、所定時間内で所定数だけ変動するのを検知して調理容器内の被調理物が容器外に吹き出したことを判断する判断手段を設けるようにしたので、加熱動作時に容器内の被調理物の汁がプレート上に噴きこぼれたときにその状態を逸早く使用者に警告報知し、プレートに噴きこぼれる汁の量を少なくしてプレートに対しての清掃性の向上を図ることができる。
【0124】
また、単眼型赤外線センサ或いはアレイ状赤外線センサの受光エリアの角度を5度以内に設定するようにしたので、プレートと調理容器との接触面を含む容器の側面下部より放射される赤外線を、受光エリアを狭くした状態で適切に受光することが可能となり、容器の温度を正確に検出して被調理物の加熱調理を実行することができる。
【0125】
また、単眼型赤外線センサ或いはアレイ状赤外線センサを誘導加熱調理器の運転停止時に本体内へ収納させ、誘導加熱調理器の運転開始時にプレートの面よりも上方であって、かつ調理容器の側面下部の近傍を臨む位置に移動して配置させる移動手段を設けるようにしたので、赤外線センサの受光面に付着する室内空気中のホコリの量が少なくなって、容器の温度検出精度の低下を未然に防ぐことができる。
【0127】
また、本体の上部に形成された突出部と、この突出部に設けられ本体内の空気を排出する排気口とを備え、突出部内に温度検知手段を設けるようにしたので、温度検知手段を設置するための出っ張り部を新たに別に設ける必要が無くなり、清掃性にも優れ、使いやすくなる。
【0128】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアとこれに隣接するエリア間の出力差が基準値以下の場合は、隣接するエリア間に最大出力値があるとし、出力値を補正する出力値補正手段を有するようにしたので、鍋底面とプレートの境界が素子の検知範囲にぴたりと一致していなくとも、鍋の温度を求めることができる。
【0129】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアに応じてプレート上に置かれた調理容器の大きさを推論する容器寸法推論手段を有するようにしたので、温度検知手段によって鍋の大きさを求めることができる。
【0130】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアの温度変化から調理容器内の加熱物を推論する加熱物推論手段を有するようにしたので、温度検知手段によって鍋内の加熱物を知ることができる。
【0131】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアの温度変化から調理容器内の加熱物温度を推論する加熱物温度推論手段を有するようにしたので、温度検知手段によって鍋内の加熱物温度を知ることができる。
【0132】
また、温度検知手段を縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものとし、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアに応じて前記プレート上に置かれた調理容器の大きさを推論する容器寸法推論手段と、複数のエリアのうち最も温度の高いエリアの温度変化から調理容器内の加熱物を推論する加熱物推論手段と、プレート面上に載置した物の重量を検出する重量検出手段とを備え、容器寸法推論手段の推論結果と加熱物推論手段の推論結果と重量検出手段の検出結果とを用いて調理容器内の加熱物温度を求めるようにしたので、より正確に調理容器内の加熱物の温度を知ることができる。
【0133】
また、温度検知手段により求められた調理容器の温度に対応した温度表示手段を有するようにしたので、調理容器の温度を視覚的に確認でき、調理に便利である。
【0134】
また、加熱物温度に対応した温度表示手段を有するようにしたので、調理容器内の加熱物温度を視覚的に確認でき、調理に便利である。
【0135】
また、重量を表示する表示手段を有するようにしたので、調理容器の重さや調理容器内の加熱物の量を視覚的に確認することができ、調理に便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の誘導加熱調理器に係わる実施の形態1の側面断面図を示す。
【図2】 赤外線センサの容器の温度計測データを示すグラフ図である。
【図3】 実施の形態1の赤外線センサに係わる放射温度計測を説明する図である。
【図4】 実施の形態2の誘導加熱調理器に係わる側面断面図を示す。
【図5】 実施の形態3の誘導加熱調理器に係わる側面断面図を示す。
【図6】 実施の形態3の誘導加熱調理器に係わる制御ブロック図である。
【図7】 実施の形態3に係わるアレイ状の赤外線センサの斜視図を示す。
【図8】 実施の形態3の赤外線センサユニットの温度計測データを示すグラフ図である。
【図9】 実施の形態4に係わる二口タイプの誘導加熱調理器の側面断面図を示す。
【図10】 実施の形態4に係わる二口タイプの誘導加熱調理器の片側プレートに容器を載置した場合の側面断面図を示す。
【図11】 実施の形態4に係わる二口タイプの誘導加熱調理器に実装するアレイ状の赤外線センサの集光エリアを示す上面図である。
【図12】 実施の形態5の誘導加熱調理器に係わる側面断面図を示す。
【図13】 実施の形態5の誘導加熱調理器に係わる制御ブロック図である。
【図14】 実施の形態5の赤外線センサユニットの温度計測データを示すグラフ図である。
【図15】 実施の形態5の誘導加熱調理器に係わるプレートへの小物載置の状態を示す側面断面図である。
【図16】 実施の形態5の赤外線センサユニットの温度計測データを示すグラフ図である。
【図17】 実施の形態5の誘導加熱調理器に係わるプレートへの被調理物の汁の噴きこぼれ状態を示す側面面図である。
【図18】 実施の形態5の赤外線センサユニットの温度計測データを示すグラフ図である。
【図19】 実施の形態6の誘導加熱調理器に係わる側面断面図を示す。
【図20】 実施の形態7の誘導加熱調理器の全体図である。
【図21】 実施の形態8の誘導加熱調理器に係わる側断面図と赤外線センサの測定温度のグラフである。
【図22】 実施の形態8の誘導加熱調理器に係わるフローチャート図である。
【図23】 実施の形態9の誘導加熱調理器に係わる側断面図である。
【図24】 実施の形態9の誘導加熱調理器に係わる温度測定のグラフである。
【図25】 実施の形態10の誘導加熱調理器に係わる側断面図である。
【図26】 実施の形態10の誘導加熱調理器に係わる温度測定のグラフである。
【図27】 実施の形態11の誘導加熱調理器に係わる表示の例を示す図である。
【図28】 実施の形態11の誘導加熱調理器に係わる表示の例を示す図である。
【図29】 実施の形態11の誘導加熱調理器に係わる表示の例を示す図である。
【図30】 実施の形態11の誘導加熱調理器に係わる表示の例を示す図である。
【図31】 従来における誘導加熱調理器の側面断面図である。
【符号の説明】
1 本体、2 プレート、3 容器、4 被調理物、5 制御回路部、6 通電コイル、7 検出コイル、8 温度検出部、9 赤外線センサ、10 導管、11 本体、12 プレート、13 操作パネル、14 容器、15 表示パネル、16 制御手段、17 通電コイル、18 単眼型赤外線センサ、19 汚れ防止フィルター、20 赤外線センサ、21 容器、22 プレート、23 上下首振り手段、24 容器温度決定手段、25 位置決定手段、26 アレイ状の赤外線センサ、27 温度決定手段、28 赤外線センサユニット、29 被測定領域、30 集光レンズ、31 スキャン部、32 第1の増幅部、33基準温度素子、34 第2の増幅部、35 差動増幅部、36 温度計測手段、37 信号出力部、38 マルチプレクサ、39 A/D変換部、40 温度変換部、41 記憶部、42 代表素子決定部、43 制御決定部、44 一対のプレート、45 一対のアレイ状の赤外線センサ、46 各種監視手段、47異常報知手段、48 スプーン、49 移動機構装置、50 上板付き赤線センサユニット。51 排気口、52 切り欠き部、53 赤外線センサ覗き穴、54 加熱部、55 グリラー部、56 重量検出手段。
Claims (16)
- プレートで上面が覆われた本体に誘導加熱手段を配置し、前記プレート上に載置された調理容器を電磁誘導により加熱するようにした誘導加熱調理器において、前記調理容器毎に前記プレートと前記調理容器との接触面を含む調理容器の側面下部の温度を非接触で検知する温度検知手段と、この温度検知手段の出力に基づいて前記誘導加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを具備し、
前記温度検知手段は、前記調理容器及び前記プレートから放射される赤外線を受光する単眼型赤外線センサと、この赤外線センサの受光エリアを上下に移動させる移動手段を含み、前記赤外線センサの受光エリアを移動したときに各受光エリアで受光した赤外線量が最も多く検知した位置で赤外線センサを固定するようにしたことを特徴とする誘導加熱調理器。 - プレートで上面が覆われた本体に誘導加熱手段を配置し、前記プレート上に載置された調理容器を電磁誘導により加熱するようにした誘導加熱調理器において、前記調理容器毎に前記プレートと前記調理容器との接触面を含む調理容器の側面下部の温度を非接触で検知する温度検知手段と、この温度検知手段の出力に基づいて前記誘導加熱手段の出力を制御する出力制御手段とを具備し、前記温度検知手段は、前記調理容器及び前記プレートから放射される赤外線を受光する複数の受光素子を、縦方向であってアレイ状に配列した赤外線センサを含み、各受光素子が受光する赤外線量の内で最も多い赤外線量に基づいて前記誘導加熱手段の出力を制御するようにしたことを特徴とする誘導加熱調理器。
- 前記アレイ状赤外線センサの各受光素子の内、複数個の受光素子の赤外線受光量が同時に減少したとき、警報を発する警告手段を具備したことを特徴とする請求項2記載の誘導加熱調理器。
- 前記アレイ状赤外線センサの各受光素子の内、少なくとも一つの受光素子の受光する赤外線量が所定値を超えたときに、前記プレート上に金属性の小物が置かれたと判断する判断手段と、この判断手段の結果に基づいて警告を発する警告手段とを具備したことを特徴とする請求項2記載の誘導加熱調理器。
- 前記アレイ状赤外線センサの各受光素子の検知する赤外線量が、所定時間内で所定数だけ変動するのを検知して前記調理容器内の被調理物が該容器外に吹き出したことを判断する判断手段を具備したことを特徴とする請求項2記載の誘導加熱調理器。
- 前記単眼型赤外線センサ或いはアレイ状赤外線センサの受光エリアの角度を5度以内に設定したことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記単眼型赤外線センサ或いはアレイ状赤外線センサを誘導加熱調理器の運転停止時に本体内へ収納させ、前記誘導加熱調理器の運転開始時にプレートの面よりも上方であって、かつ前記調理容器の側面下部の近傍を臨む位置に移動して配置させる移動手段を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6の何れかに記載の誘導加熱調理器。
- 前記本体の上部に形成された突出部と、この突出部に設けられ前記本体内の空気を排出する排気口とを備え、前記突出部内に前記温度検知手段を設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱調理器。
- 前記温度検知手段は縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものであり、前記複数のエリアのうち最も温度の高いエリアとこれに隣接するエリア間の出力差が基準値以下の場合は、前記隣接するエリア間に最大出力値があるとし、出力値を補正する出力値補正手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱調理器。
- 前記温度検知手段は縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものであり、前記複数のエリアのうち最も温度の高いエリアに応じて前記プレート上に置かれた調理容器の大きさを推論する容器寸法推論手段を有することを特徴とする請求項1又は 請求項2に記載の誘導加熱調理器。
- 前記温度検知手段は縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものであり、前記複数のエリアのうち最も温度の高いエリアの温度変化から調理容器内の加熱物を推論する加熱物推論手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱調理器。
- 前記温度検知手段は縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものであり、前記複数のエリアのうち最も温度の高いエリアの温度変化から調理容器内の加熱物温度を推論する加熱物温度推論手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱調理器。
- 前記温度検知手段は縦方向の複数のエリア毎に温度を検知するものであり、前記複数のエリアのうち最も温度の高いエリアに応じて前記プレート上に置かれた調理容器の大きさを推論する容器寸法推論手段と、前記複数のエリアのうち最も温度の高いエリアの温度変化から調理容器内の加熱物を推論する加熱物推論手段と、前記プレート面上に載置した物の重量を検出する重量検出手段とを備え、前記容器寸法推論手段の推論結果と前記加熱物推論手段の推論結果と前記重量検出手段の検出結果とを用いて調理容器内の加熱物温度を求めることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の誘導加熱調理器。
- 前記温度検知手段により求められた調理容器の温度に対応した温度表示手段を有することを特徴とする請求項1ないし請求項13の何れかに記載の誘導加熱調理器。
- 加熱物温度に対応した温度表示手段を有することを特徴とする請求項12または請求項13の何れかに記載の誘導加熱調理器。
- 重量を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項13記載の誘導加熱調理器。
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