JP4989680B2 - 加熱調理器 - Google Patents
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Description
図1は本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の斜視図である。
図1の誘導加熱調理器100は、上部が開口した調理器本体11、調理器本体11の上部に設けられた天板枠12、天板枠12に取り付けられた天板13、調理器本体11の正面側に設けられたグリル部14を備えている。天板枠12の内、奥側には吸・排気部15が設けられており、手前側には操作部16が設けられている。操作部16は、ユーザーに操作され、誘導加熱調理器100の火力や温度等を設定する。吸・排気部15の両側には赤外線センサ17がそれぞれ取り付けられている。この赤外線センサ17は、鍋の側面を検知するべく視野が鍋設置位置の略中央に向けられている。また、天板13の手前側には表示部18が設けられている。表示部18は、操作部16による入力情報や被加熱物の加熱状態等の運転状況を表示する。
図1の天板13の下方には、加熱コイル21が配置されており、この加熱コイル21にはインバータ22から高周波電流が供給される。天板13の下面にはサーミスタ23が取り付けられており、この出力は、上記の赤外線センサ17の出力とともに制御手段24に供給される。制御手段24は、例えばマイコンから構成されており、後述の沸騰判定を行う沸騰判定手段24aを内蔵している。この制御手段24には、記憶装置25、計時手段26、操作部16及び表示部18が接続されている。記憶装置25には、例えば、後述の放射率を関数に含む温度換算式等が格納されている。なお、加熱コイル21は、天板13の下方に配置されているが、その鉛直上に例えば鍋(加熱容器)31が載置されるように構成されており、鍋31には液体を含む被加熱物(被調理物)32が収容される。なお、上記の加熱コイル21及びインバータ22は、本発明の加熱装置を構成している。
赤外線センサ17は、物体の赤外線量を検知するものであり、縦方向に隣接した複数箇所を検知できる複数素子からなる非接触赤外線温度検出手段(1×8方式:サーモパイル式赤外線センサ)から構成されている。この赤外線センサ17の素子1〜素子8は、図3及び図4に示されるように、天板13上において鍋載置枠33の周辺を視野に持つように配置されている。したがって、鍋31が多少位置ずれて置かれた状態においても、いずれかの素子は必ず鍋底や鍋肌を検知できるような位置関係になっている。
図5は、非鏡面鍋で、水量が小の場合の温度推移を示したタイミングチャートある。
図6は、非鏡面鍋で、水量が大の場合の温度推移を示したタイミングチャートである。
図7は、鏡面鍋で、水量が小の場合の温度推移を示したタイミングチャートである。
図5〜図7は、それぞれ異なった条件で加熱されて沸騰しているが、温度の絶対値が正確かどうかにかかわらず、また水量や鍋種にかかわらず、鍋内容物が沸騰に達した時点から、赤外線センサの検知温度はそれまでの温度上昇から温度勾配が下がる傾向を示している。これは鍋内容物が沸騰により蒸発潜熱として消費しているため、入力を続けても温度が上がらない状態を示している。すなわちセンサ検知温度から沸騰状態を推定するには、「入力に比して上昇温度カーブが寝てきたこと」を検知することが必要である。本発明はこのような知見に基づいて沸騰検知を行うものであり、その詳細を図8に基づいて説明する。
(S1)
制御手段24は、操作部16からの操作入力に応じてインバータ22を駆動して加熱コイルに高周波電流を供給し、鍋31の加熱を開始する。それとともに、沸騰判定手段24aは、赤外線センサ17による温度検知を開始する(S1)。
沸騰判定手段24aは、赤外線センサ17の8素子の出力の内、例えばその最大値を読み取る(S2)。なお、この処理は以後継続してなされるものとする。
上記のように、赤外線センサ17は、通常は素子5(鍋底と天板の接触部)が最大温度を示すが、鍋の設置位置により、最高温度を示す素子がずれる可能性がある。その際には最大温度を常に採用する、としておくことで、鍋31がいずれにおかれても、鍋底と天板13の接触部を検知することが可能となり、ひいては検知温度が大きいデータを参照することが可能となるため、精度のよい沸騰判定が可能となる。なお、上記の説明は赤外線センサ17が複眼の場合であるが、仮に赤外線センサ17が単眼の場合にはその出力を読み込む。
沸騰判定手段24aは、放射率ε=0.1、Ta=20℃で、標準温度のセンサ検知温度Tsを算出し、蓄積する(S3)。赤外線センサ17の生の素子温度では値が小さく、差が見えにくいため、以後の処理において温度換算をしたものを利用する。
沸騰判定手段24aは、出力が2.5kW以上に設定されているか否かを判定する(S4)。沸騰判定手段24aは、出力が2.5kW以上に設定されている場合には、サンプリング時間N=10(秒)に設定する(S5)。沸騰判定手段24aは、出力が2.5kW未満に設定されている場合には、サンプリング時間N=30(秒)に設定する(S6)。このように入力(又は出力)の大きさに対応してサンプリング時間Nを設定している。
沸騰判定手段24aは、オフセット計算を開始する(S7)。
Toffset=Ts(現在)−Ts(30秒前)
上記のToffsetは30秒間の温度の傾斜(傾き)を示している。なお、この沸騰検知の処理が開始されてから30秒後に開始されるものとする。
沸騰判定手段24aは、Toffsetの初期値が
Toffsetの初期値>50、又はToffsetの初期値<0
であるか否かを判定し(S8)、その条件を満たしている場合には、0<Toffse<50になるまでToffse=0とする(S9)。しかし、0<Toffse<50になったら、それ以後はその条件から外れても0にはしない。
沸騰判定手段24aは、ΣToffset(N秒分)を蓄積する(S10)。
30秒間の傾きのみでは変動が大きいため、更に傾きを積分して差を出しやすくした沸騰判別値を作成する。上記のように、出力が2.5kW以上の場合には、N=10秒とし、2.5kW未満の場合にはN=30秒として、それぞれのサンプリング時間Nの間のオフセット値を積分して沸騰判定値を求める。なお、この処理(S10)についても、以後例えば1秒後毎に継続して行われるものとする。
沸騰判定手段24aは、赤外線センサ17の出力の最大値IRmaxが、IRmax>24、であるか否かを判定し、その条件が成立するまで待機する(S11)。このように、データから沸騰し得ない限界素子温度を設定し、低温域の温度変動による誤検知を防止している。
沸騰判定手段24aは、次式の条件を判定する(S12)。
ΣToffset*(−0.115*ΣToffset(30秒前)+2.5)<ΣToffset(60秒前)
なお、ΣToffset(60秒前)のデータが無い場合にはΣToffset(60秒前)=0とする。
このように現在の沸騰判別値と60秒前の沸騰判別値と比較して一定値以上の割合で減少していなければ、沸騰フラグFをリセットする(S13)。なお、上記の「一定値以上の割合」は、この例では30秒前の傾き(ΣToffset(30秒前))により補正をしている。具体的には、ΣToffset(30秒前)に重み係数(上記の例では−0.115)を掛けて補正している。なお、ΣToffsは本発明の第一の一定時間の積分値による沸騰判定値に相当し、ΣToffset(60秒前)は本発明の第二の一定時間の積分値による沸騰判定値に相当し、ΣToffset(30秒前)は本発明の第三の一定時間の積分値による沸騰判定値に相当する。
沸騰判定手段24aは、上記の条件が成立している場合には、沸騰の可能性があるものと判定し、沸騰フラグFを、F=F+1とし、インクリメントする(S14)。そして、沸騰フラグFが、F=10、であるか否かを判定する(S15)。そして、沸騰判定手段24aは、その条件が満たされていない場合には、上記の(S12)〜(S14)の処理を繰り返し、F=10になった場合には、沸騰しているものとして、沸騰検知を判定する(S16)。このように、例えば1秒ごとに沸騰判定値により逐次判定している「沸騰判定フラグ」Fが連続して立たない限り、外乱の可能性があると考え、複数回(例えばフラグが10回連続して立つ=10秒間にわたり沸騰判定値が判定値以下となる)沸騰判定が続かない限りは、「沸騰」と判断しないこととし、沸騰判定の正確化を図っている。
また、大入力時には積分値のサンプリング時間Nを小さく設定しており、このため、実沸騰から沸騰判定までのタイムラグを小さくできる。小入力時には緩やかな温度勾配に含まれる外乱要因による温度勾配の低下が、「ノイズ」か「沸騰」かを誤検知する可能性を抑制することができる。
また、沸騰フラグFが連続複数回立つまで沸騰を検知しないため、ノイズ耐性を上げることができる(早切れ防止)。
また、上記のような効果が得られることから、鍋内容物が大量な場合や、加熱の入力が小さい場合、すなわち温度勾配が非常にゆるやかな場合にも精度よく沸騰を検知することが可能である。
ところで、上記の実施の形態1においては、現在、30秒前、60秒前の沸騰判定値を用いて判定しているが、本発明は上記の例に限定されるものではない。その設定時間は適宜設定されるものである。
また、サンプリング時間NについてもN=10,30の例を示したが、本発明は上記の例に限定されるものではない。その設定値(時間)は適宜設定されるものである。火力についても同様であり、2.5kWを基準として2つに分けたが、その基準値は適宜設定されるものであり、3つ以上に分けてサンプリング時間Nを設定するようにしても良い。
また、上記の実施の形態1においては加熱調理器の一例として誘導加熱調理器の例について説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、ラジエントヒーターを使用した加熱調理器等においても適用される。
Claims (9)
- 加熱容器及び前記加熱容器に収納された液体を含む被加熱物を加熱する加熱装置と、
前記加熱容器の赤外線放射量を検知する赤外線センサと、
前記赤外線検知量を温度に換算する温度換算式が格納された記憶装置と、
時間経過を計測する計時装置と、
前記赤外線センサの検知出力を前記温度換算式に適用して検知温度を求めるとともに、
前記検知温度に基づき加熱装置への入力電力を制御する制御装置と、
加熱時の単位時間当たりの温度勾配を一定時間積分して得られる積分値を沸騰判定値とし、第一の一定時間積分して得られた沸騰判定値が、第一の一定時間より以前の第二の一定時間積分して得られた沸騰判定値に重み係数をかけたものより小さいかどうかに基づいて沸騰判定する沸騰判定装置と
を備え、
前記一定時間は、入力電力に応じて変えることを特徴とする加熱調理器。 - 加熱初期の沸騰判定値が一定値以上の場合には、前記積分値が任意の閾値を超えて減少するまで沸騰判定を開始させないことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
- 加熱初期の沸騰判定値が一定値以下の場合には、前記積分値が任意の閾値を超えて上昇するまで沸騰判定を開始させないことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
- 加熱初期の検知温度が任意の閾値を超えるまで沸騰判定を開始させないことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の加熱調理器。
- 加熱時の単位時間当たり温度勾配を前記第一の一定時間積分することにより得られる沸騰判定値が、前記第一の一定時間より以前の第二の一定時間積分して得られた沸騰判定値に重み係数をかけたものより小さい場合には、沸騰フラグを立てるとともに、該沸騰フラグを連続して任意の複数回立てた時点で沸騰したと判定することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の加熱調理器。
- 前記重み係数は、前記第一の一定時間と前記第二の一定時間との間で第三の一定時間積分して得られる沸騰判定値に応じて変更されることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の加熱調理器。
- 前記赤外線センサは、複数の素子から成るサーモパイル方式とし、
前記沸騰判定装置は、加熱容器の載置部と側面部の境界と推定される部分を視野内に持つ素子の温度検知結果に基づいて沸騰判定することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の加熱調理器。 - 前記赤外線センサは、複数の素子から成るサーモパイル方式とし、
前記沸騰判定装置は、加熱容器の側面部を視野内に持つ素子の温度検知結果に基づいて沸騰判定することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の加熱調理器。 - 前記赤外線センサは、複数の素子から成るサーモパイル方式として、
前記沸騰判定装置は、複数素子のうち最も高温を示す素子の温度検知結果に基づいて沸騰判定することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の加熱調理器。
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