JP3924225B2 - ガス検出装置、車両用オートベンチレーションシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスセンサ素子を用いて環境中の特定ガスの濃度変化を検出するガス検出装置および車両用オートベンチレーションシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、WO3やSnO2などの金属酸化物半導体を用いたガスセンサ素子などが知られている。これらは、環境中のNOxなどの酸化性ガスやCO、HC(ハイドロカーボン)などの還元性ガスの濃度変化によってそのセンサ抵抗値が変化するために、このセンサ抵抗値の変化によって特定のガス濃度の変化を検出可能である。また、電子回路を用いてこのようなガスセンサ素子のセンサ抵抗値に対応するセンサ出力値を得て、このセンサ出力値の変化から特定ガスの濃度変化を検知するガス検出装置も知られている。さらには、このガス検出装置を用いた各種の制御システム、例えば、車室外空気の汚染状況に応じて、車室内への外気導入・内気導入を切り替えるためのフラップ開閉制御を行う車両用オートベンチレーションシステムなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−42925号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、一般に、このようなガスセンサ素子のセンサ抵抗値の応答は、必ずしも特定ガスの濃度変化に一致しない。具体的には、特定ガスの濃度変化に遅れて変化する。なかでも、ガスセンサ素子が、高い濃度の特定ガスに曝されてそのセンサ抵抗値が濃度が高い状態に対応した抵抗値になると、その後に特定ガスの濃度が低下しても、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値が徐々にしか濃度が低い状態に対応した抵抗値に戻らない。つまり、このようなガスセンサ素子のセンサ抵抗値は、各時点での特定ガスの濃度のみならず、それ以前に曝された特定ガスの濃度など過去の履歴に依存するヒステリシス現象が生ずる。
なお、このような現象は、特定ガスの濃度が高くなった時点で特定ガスの分子がガスセンサ素子に吸着されてしまい、その後に特定ガス濃度が下がっても、吸着された特定ガス分子は徐々にしか離脱しないために起こると考えられる。
【0005】
しかも、このようにセンサ抵抗値が、ガス濃度が低い状態に対応した抵抗値に徐々に戻っている間に、再び特定ガスの濃度が上昇すると、センサ抵抗値はすぐには変化せず、特定ガスの濃度がある程度上昇してから、抵抗値の変化が生じ始める。従って、センサ抵抗値に対応するセンサ出力値を用いて特定ガス濃度変化を検知するガス検出装置の場合、上述のようなヒステリシス現象が生じている期間には、実質的に特定ガス濃度の上昇に対する検出感度が低下し、特定ガスの濃度上昇を検知できなかったり、特定ガスの濃度上昇を検知するまでに時間が掛かることがある。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、上述のようなヒステリシス現象が生じている場合でも、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できるガス検出装置、及びこれを用いた車両用オートベンチレーションシステムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
しかして、請求項1に記載の解決手段は、特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低いときに濃度低信号を発生し、上記特定ガスの濃度が高いときに濃度高信号を発生する濃度検知手段と、を備え、上記濃度検知手段は、上記濃度低信号の発生期間において、上記センサ出力値が基準値よりも濃度高しきい値分以上に濃度高方向側の値であるときに、上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生する濃度上昇検知手段と、上記濃度高信号の発生期間において、上記センサ出力値が上記基準値よりも濃度低しきい値分以上に濃度低方向側の値であるときに、上記濃度高信号に代えて上記濃度低信号を発生する濃度低下検知手段と、を含み、上記濃度上昇検知手段では、上記濃度低信号の発生期間のうち、上記濃度高信号から上記濃度低信号への切換に続く敏感化期間には、上記濃度高しきい値として第1濃度高しきい値を用い、上記濃度低信号の発生期間のうち、上記敏感化期間以外の期間には、上記濃度高しきい値として第2濃度高しきい値を用い、上記第1濃度高しきい値は上記第2濃度高しきい値に比して敏感方向の値であるガス検出装置である。
【0008】
本発明のガス検出装置では、濃度低信号の発生期間のうち、敏感化期間とそれ以外の期間とで、第1,第2濃度高しきい値の2つを使い分ける。しかも、第1濃度高しきい値は第2濃度高しきい値よりも敏感方向の値としている。このため、第1濃度高しきい値を用いる敏感化期間には、濃度高方向への小さなセンサ出力値の変化で濃度高信号を発生できるから、ヒステリシス現象による特定ガス濃度上昇の検出感度低下を補うことができる。
なお、基準値としては、時間の経過に拘わらない固定値としても良い。また、所定サイクル毎に算出しても良い。具体的には、1サイクル時間毎、あるいは、2サイクル時間毎などサイクル時間の適数倍毎に算出することができる。
【0009】
本明細書において、ヒステリシス現象とは、ガスセンサ素子が高い濃度の特定ガスに曝されて、一旦そのセンサ抵抗値がガス濃度が高い状態に対応した値になると、その後に特定ガスの濃度が低下しても、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値の変化がガス濃度の変化よりも遅れ、徐々にしかガス濃度が低い状態に対応したセンサ抵抗値に戻らない現象を指す。さらに、ガス検出装置では、センサ抵抗値に対応したセンサ出力値を取得しこれを用いる。そこで、このセンサ出力値について、ガスセンサ素子が高い濃度の特定ガスに曝されて、一旦そのセンサ出力値が特定ガス濃度が高い状態に対応した値になると、その後に特定ガス濃度が低下しても、このガス濃度変化よりも遅れ、徐々にしか特定ガス濃度が低い状態に対応したセンサ出力値に戻らない現象をも指す。
また、ヒステリシス期間とは、特定ガスの濃度が低下して、ガス検出装置において、濃度高信号から濃度低信号へ切換た時点から、上述のヒステリシス現象がほぼ収まり、ほぼ特定ガス濃度が低い状態に対応したセンサ抵抗値およびセンサ出力値となるまでの期間を指す。
【0010】
ガスセンサ素子には、特定ガス(例えばNOxなどの酸化性ガス)の濃度が高くなるとセンサ抵抗値が高くなる方向に変化する特性を持つ素子と、特定ガス(例えば、CO,HCなどの還元性ガス)の濃度が高くなるとセンサ抵抗値が低くなる方向に変化する特性を持つ素子とがある。
また、ガス検出装置には、電子回路を用いてセンサ抵抗値から対応するセンサ出力値を得るに当たり、センサ抵抗値が高くなると、得られるセンサ出力値が大きくなるように構成したガス検出装置と、これとは逆に、得られるセンサ出力値が小さくなるように構成したガス検出装置とがある。
そこで、本明細書では、便宜上、特定ガスの濃度が高くなった場合にセンサ出力値が変化する方向を濃度高方向ということとする。
従って、特定ガス濃度が高くなったとき、センサ出力値が大きくなるようにガスセンサ素子の特性や電子回路が構成されているガス検出装置では、センサ出力値について濃度高方向とは、センサ出力値が大きくなる方向をいう。これとは逆に、特定ガス濃度が高くなったとき、センサ出力値が小さくなるガス検出装置では、センサ出力値について濃度高方向とは、センサ出力値が小さくなる方向をいう。
さらにこれを敷衍して、センサ出力値の変化によって得られる値が変化する基準値や差分値、最大差などの値についても、センサ出力値と同様に扱うこととする。即ち、基準値などの値について濃度高方向とは、特定ガス濃度が高くなったときに、算出される基準値などの値が変化する方向をいう。
一方、濃度低方向とは、この濃度高方向とは逆方向をいうこととする。
【0011】
さらに、濃度高しきい値について敏感方向への変化とは、特定ガス濃度が高くなったときに生じるセンサ出力値の変化により、濃度高信号が発生しやすくなる方向への変化をいう。例えば、濃度高しきい値を小さくすることにより、同じセンサ出力値の変化でも濃度高信号が発生しやすくなる場合には、濃度高しきい値を小さくすることが敏感方向へ変化させることに相当する。従って、濃度高しきい値を敏感方向の値に変更することにより、変更前の濃度高しきい値を用いた場合よりも、僅かなセンサ出力値の変化で、濃度高信号が発生することができるようになる。
また、濃度高しきい値は、用いる基準値や基準値の算出式などに応じて適宜設定すれば良く、場合により、正の値のほか、0や負の値をも採用できる。同様に、濃度低しきい値も、用いる基準値や基準値の算出式などに応じて適宜設定すれば良く、場合により、正の値のほか、0や負の値をも採用できる。
【0012】
また、請求項1に記載のガス検出装置であって、前記敏感化期間において、前記第1濃度高しきい値を時間とともに徐々に第2濃度高しきい値に近づける第1濃度しきい値変更手段を備えるガス検出装置とすると良い。
【0013】
一般にヒステリシス現象によって生じる、実際の特定ガス濃度に対応して本来得られるべきセンサ抵抗値やセンサ出力値と、実測の(つまりヒステリシス現象が加味された)センサ抵抗値やセンサ出力値との差異は、特定ガスの濃度が低くなった後、時間の経過時間とともに徐々に小さくなる。
本発明では、第1濃度しきい値変更手段により、第1濃度高しきい値を徐々に第2濃度高しきい値に近づけるので、上述の現象を反映して、敏感化期間の各時点で適切な大きさの第1濃度高しきい値を用いてガス検知をすることができる。なお、第1濃度高しきい値の変化のさせ方は、適宜決定すれば良く、直線的に変化させるなど適宜の変化が挙げられる。
【0014】
さらに、請求項1または請求項2のいずれかに記載のガス検出装置であって、ガス検出装置であって、ヒステリシス強度情報に基づいて、前記第1濃度高しきい値を決定する第1濃度高しきい値決定手段を備えるガス検出装置とすると良い。
【0015】
本発明のガス検出装置では、ヒステリシス強度情報に基づいて第1濃度高しきい値を決定するので、第1濃度高しきい値として適切な大きさの値に決定しこれを用いることができる。
ヒステリシス強度情報とは、敏感化期間に生じると予想されるヒステリシス現象の大きさに関連する情報をいう。具体的には、例えば、濃度高信号から濃度低信号への切換時点あるいはその前後におけるセンサ出力値の変化の大きさ(傾き)や、切換前に濃度高信号が継続していた期間の長さ、切換前の濃度高信号継続期間におけるセンサ出力値のピーク値の大きさ、切換前の濃度高信号発生期間におけるセンサ出力値と基準値との差分値のピーク値の大きさ、などが挙げられる。また、濃度高信号発生期間における濃度高信号切換時のセンサ出力値と各時点でのセンサ出力値との差の和(積分)、あるいは、濃度高信号発生期間におけるセンサ出力値と基準値との差分値の和(積分)なども挙げられる。また、これらの和を濃度高信号切換時から濃度低信号切換時までの期間で割った平均値を用いることもできる。
【0016】
さらに、請求項3に記載のガス検出装置であって、現在の前記センサ出力値と所定サイクル数m回(mは1以上の整数)だけ過去に取得された前記センサ出力値であるm回過去センサ出力値とから第1濃度高しきい値決定用の移動差分値を算出するしきい値用移動差分値算出手段を備え、前記ヒステリシス強度情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点に、上記切換時点より所定時間前に、または、上記切換時点から所定時間経過後に得られた上記第1濃度高しきい値決定用の移動差分値を含み、前記第1濃度高しきい値決定手段は、上記ヒステリシス強度情報として用いる上記第1濃度高しきい値決定用の移動差分値が、0から離れた値であるほど、前記第1濃度高しきい値を敏感方向の値とするガス検出装置とすると良い。
【0017】
発明者らは、一般に、ヒステリシス現象が生じた場合、特定ガス濃度が低下した直後のセンサ出力値の濃度低方向への変化が大きいと、その後のセンサ出力値の濃度低方向への変化も大きいことを見いだした。また、このような場合には、ヒステリシス現象によって、実際の特定ガス濃度に対応して本来得られるべきセンサ抵抗値やセンサ出力値と実際のセンサ抵抗値やセンサ出力値との差異が大きくなり、特定ガスの検出感度が大きく低下した状態になっていることをも見いだした。
これに対し、本発明のガス検出装置では、切換時点、あるいはその前後に得られた第1濃度高しきい値決定用の移動差分値をヒステリシス強度情報に含めている。移動差分値は、その性質上、所定サイクルm回分の時間が経過した2つのセンサ出力値の変化量、つまり傾きを表している。従って、移動差分値が0から離れた値であるほど、つまり移動差分値の絶対値が大きいほど、その後のセンサ出力値の濃度低方向への変化が大きく、ヒステリシス現象の大きさが大きいために、特定ガスの検出感度が低下していると推測される。そこで、第1濃度高しきい値をより敏感方向の値とすることで、適切な第1濃度高しきい値を決定して、適切に検出感度の低下を防止できる。
なお、第1濃度高しきい値決定用の移動差分値についての所定サイクル数m回は、サンプリング間隔や応答性等を考慮して適宜決定すればよいが、m=2以上とするのが好ましい。m=1とするとノイズによる影響を大きく受けるからである。一方、mを極端に大きくすると、特定ガス濃度が低下した後におけるセンサ出力値の濃度低方向への変化を、移動差分値に適切に反映させることができなくなるので、好ましくない。
【0018】
本明細書において、移動差分値とは、一連の数値の時系列に属する数値データについて、所定間隔を空けて対応する2つの数値データ間の差分値を順次時間をずらして得たときの各差分値をいう。例えば、時系列の数値データを、S(1),S(2),…S(n-m),S(n-m+1),…S(n),S(n+1)…としたとき、数値データS(n)とこれよりm回過去数値データS(n-m)との差分値DD(n)など、DD(n)=S(n)−S(n-m),DD(n+1)=S(n+1)−S(n-m+1),…で与えられる値をいう。なお、ガスセンサ素子の特性やセンサ出力値を得る電子回路の構成などにより、移動差分値として、DD(n)=S(n-m)−S(n),DD(n+1)=S(n-m+1)−S(n+1)…を用いることもできる。
【0019】
あるいは、請求項3または請求項4に記載のガス検出装置であって、前記ヒステリシス強度情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点直前の濃度高信号発生期間中に得られた前記センサ出力値のうち最も濃度高方向の値であるピークセンサ出力値と上記直前の濃度高信号発生期間の開始時に得られた前記センサ出力値である開始時センサ出力値との差である最大差を含み、前記第1濃度高しきい値決定手段は、上記最大差が0から離れた値であるほど、前記第1濃度高しきい値を敏感方向の値とするガス検出装置とすると良い。
【0020】
本発明のガス検出装置では、最大差を含むヒステリシス強度情報に基づいて第1濃度高しきい値を決定する。特定ガス濃度が低い状態に関係する開始時センサ出力値と、特定ガス濃度の最大値に関係するピークセンサ出力値との差である最大差は、濃度高信号から濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間において曝された特定ガスの最大濃度に応じた大きさになると考えられる。しかも、最大差が0から離れた値であるほど、切換後に生じるヒステリシス現象の大きさは大きくなると推測されるから、第1濃度高しきい値をより敏感方向の値とすることで、適切な第1濃度高しきい値を決定して、適切に検出感度の低下を防止できる。
なお、最大差としては、ガスセンサ素子の特性やセンサ出力値を得る電子回路の構成などに応じて、ピークセンサ出力値から開始時センサ出力値を差し引いて最大差としても良いし、開始時センサ出力値からピークセンサ出力値を差し引いて最大差としても良い。
【0021】
あるいは、請求項3または請求項4に記載のガス検出装置であって、前記ヒステリシス強度情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間における各々の前記センサ出力値と前記基準値との差分値のうち最も0より離れた値である最大差分値を含み、前記第1濃度高しきい値決定手段は、上記最大差分値が0から離れた値であるほど、前記第1濃度高しきい値を敏感方向の値とするガス検出装置とすると良い。
【0022】
本発明のガス検出装置では、センサ出力値と基準値との差分値のうち最も0より離れた値である最大差分値を含むヒステリシス強度情報に基づいて第1濃度高しきい値を決定する。センサ出力値と基準値との差分値は、各時点でのガス濃度の大きさをある程度反映していると考えられる。このため、最大差分値は、濃度高信号から濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間において曝された特定ガスの最大濃度(濃度の最大値)に応じた大きさになると考えられる。しかも、最大差分値が0から離れた値であるほど、切換後に生じるヒステリシス現象の大きさは大きくなると推測されるから、第1濃度高しきい値をより敏感方向の値とすることで、適切な第1濃度高しきい値を決定して、適切に検出感度の低下を防止できる。
なお、センサ出力値と基準値の差分値としては、ガスセンサ素子の特性やセンサ出力値を得る電子回路の構成などに応じて、センサ出力値から基準値を差し引いて差分値としても良いし、基準値からセンサ出力値を差し引いて差分値としても良い。
【0023】
さらに、請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記ヒステリシス強度情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換の直前の濃度高信号発生期間の継続時間を含み、前記第1濃度高しきい値決定手段は、上記継続時間が長いほど、前記第1濃度高しきい値を敏感方向の値とするガス検出装置とすると良い。
【0024】
ヒステリシス現象の大きさ、つまり検出感度の低下の大きさは、ガスセンサ素子が、高濃度の特定ガスに曝された継続時間にも依存すると考えられる。特定ガス濃度が一定でも、長い期間曝されていれば、多くのガス分子が吸着され、相対的にヒステリシスの大きさが大きくなり、検出感度の低下が大きくなると考えられるからである。
これに対し、本発明のガス検出装置では、濃度高信号から濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間の継続時間を含むヒステリシス強度情報に基づいて第1濃度高しきい値を決定する。しかも、継続時間が長いほど、ヒステリシス現象の大きさは大きくなると推測されるから、第1濃度高しきい値をより敏感方向の値とすることで、適切な第1濃度高しきい値を決定して、適切に検出感度の低下を防止できる。
【0025】
さらに、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点から第1所定期間経過時に前記敏感化期間を終了させる終了手段を備える
ガス検出装置前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点から第1所定期間経過時に前記敏感化期間を終了させる終了手段を備えるガス検出装置とすると良い。
【0026】
一旦濃度高信号発生期間となった、つまり一旦はガスセンサ素子が高濃度の特定ガスに曝されたということは、ガスセンサ素子が曝された特定ガスの濃度や期間に違いはあっても、濃度低信号への切換後、少なくともある程度の期間にわたってヒステリシス現象が生じることは避けられない。
これに対し、本発明のガス検出装置では、第1濃度高しきい値を用いる敏感化期間を、切換時点から第1所定期間経過時に終了させる。つまり、切換時点から第1所定期間が敏感化期間とされる。これにより、敏感化期間が最低限確保され、少なくともこの期間における検出感度の低下を防止することができる。また通常、ヒステリシス現象による検出感度の低下は、切換の直後が最も大きいので、最低限、切換直後を含むように敏感化期間を設定できれば十分な場合も多いと考えられる。しかも、このようにすると容易に処理ができ、制御が簡単になる。
【0027】
あるいは、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、ヒステリシス期間情報に基づいて、前記敏感化期間の終期を予め決定する終期先決め手段を備えるガス検出装置とすると良い。
【0028】
本発明のガス検出装置では、ヒステリシス期間情報に基づいて、終期先決め手段で、敏感化期間の終期を予め決定する。このため、敏感化期間の終期を予めかつ適切に決定することが出来る。
ヒステリシス期間情報とは、ヒステリシス期間の長短に関連する情報、具体的には、濃度高信号から濃度低信号への切換以降に生じると予想されるヒステリシス現象を生じる期間の長さに関連する情報をいう。さらに具体的には、例えば、濃度高信号から濃度低信号への切換時点あるいはその前後におけるセンサ出力値の変化の大きさ(傾き)や、切換前に濃度高信号が継続していた期間の長さ、切換前の濃度高信号継続期間におけるセンサ出力値のピーク値の大きさ、切換前の濃度高信号継続期間におけるセンサ出力値と基準値との差分値のピーク値の大きさ、などが挙げられる。また、濃度高信号発生期間における濃度高信号切換時のセンサ出力値と各時点でのセンサ出力値との差の和(積分)、あるいは、濃度高信号発生期間におけるセンサ出力値と基準値との差分値の和(積分)なども挙げられる。また、これらの和を濃度高信号切換時から濃度低信号切換時までの期間で割った平均値を用いることもできる。
なお、敏感化期間の終期決定の前までに得られた情報をこのヒステリシス期間情報として用いることができるから、濃度高信号から濃度低信号への切換時点に得られる情報のほか、切換時点より以前に得られた情報、及び切換以降、終期決定時点までに得られた情報、の三者のうち少なくともいずれかを用いることができる。
【0029】
さらに、請求項9に記載のガス検出装置であって、現在の前記センサ出力値と所定サイクル数j回(jは1以上の整数)だけ過去に取得された前記センサ出力値であるj回過去センサ出力値とから終期決定用の移動差分値を算出する終期決定用移動差分値算出手段を備え、前記ヒステリシス期間情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点に、上記切換時点よりの所定時間前、または上記切換時点から所定時間経過後に得られた上記終期決定用の移動差分値を含み、前記終期先決め手段は、上記ヒステリシス期間情報として用いる上記終期決定用の移動差分値が0から離れた値であるほど、前記敏感化期間の終期を遅らせた時点にするガス検出装置とすると良い。
【0030】
発明者らは、一般に、特定ガス濃度が低下した直後のセンサ抵抗値やセンサ出力値の濃度低方向への変化が大きいと、その後の長時間にわたってセンサ抵抗値やセンサ出力値が濃度低方向へ変化し続けることを見いだした。また、このような場合には、ヒステリシス現象によって生じるセンサ抵抗値やセンサ出力値の変化が長く続いてヒステリシス期間が長くなることをも見いだした。
これに対し、本発明のガス検出装置では、濃度高信号から濃度低信号への切換時点に、あるいは切換時点の前後に得られたに、終期決定用の移動差分値を含むヒステリシス期間情報に基づいて、敏感化期間の終期を予め決定する。移動差分値は、その性質上、所定サイクルj回分の時間が経過した2つのセンサ出力値の変化量、つまり傾きを表している。従って、切換時点などにおける終期決定用の移動差分値が0から離れた値であるほど、つまり移動差分値の絶対値が大きいほど、その後のセンサ出力値の濃度低方向への変化が大きくなるとともに、ヒステリシス現象が長く継続し、長期間にわたって特定ガスの検出感度が低下すると推測される。そこで、移動差分値の絶対値が大きいほど、敏感化期間の終期をより遅くするようにすることで、適切な長さの敏感化期間を設定し、適切に検出感度の低下を防止できる。
【0031】
あるいは、請求項9または請求項10に記載のガス検出装置であって、前記ヒステリシス期間情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点直前の濃度高信号発生期間中に得られた前記センサ出力値のうち最も濃度高方向の値であるピークセンサ出力値と上記直前の濃度高信号発生期間の開始時に得られた前記センサ出力値である開始時センサ出力値との差である最大差を含み、前記終期先決め手段は、上記最大差が0から離れた値であるほど、前記敏感化期間の終期を遅らせた時点にするガス検出装置とすると良い。
【0032】
ヒステリシス現象の継続時間、つまり検出感度の低下の継続時間は、濃度高信号から濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間において曝された特定ガスの最大濃度(濃度の最大値)に依存すると考えられ、最大濃度が高いと多くの特定ガスが吸着されるため、ヒステリシス期間も長くなると考えられる。
これに対し、本発明のガス検出装置では、特定ガス濃度が低い状態に関係する開始時センサ出力値と、特定ガス濃度の最大値に関係するピークセンサ出力値とから得た最大差を含むヒステリシス期間情報に基づいて、敏感化期間の終期を予め決定する。しかも、最大差が0から離れた値であるほど、ヒステリシス期間の長さは長いと予測されるから、敏感化期間の終期をより遅らせることで、適切な期間にわたって検出感度の低下を防止できる。
なお、最大差としては、ガスセンサ素子の特性やセンサ出力値を得る電子回路の構成などに応じて、ピークセンサ出力値から開始時センサ出力値を差し引いて最大差としても良いし、開始時センサ出力値からピークセンサ出力値を差し引いて最大差としても良い。
【0033】
あるいは、請求項9に記載のガス検出装置であって、前記ヒステリシス期間情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点直前の濃度高信号発生期間における各々の前記センサ出力値と前記基準値との差分値のうち最も0より離れた値である最大差分値を含み、前記終期先決め手段は、上記最大差分値が0から離れた値であるほど、前記敏感化期間の終期を遅らせた時点にするガス検出装置とすると良い。
【0034】
本発明のガス検出装置では、従って、センサ出力値と基準値との差分値のうち最も0より離れた値である最大差分値を含むヒステリシス期間情報に基づいて、敏感化期間の終期を予め決定する。しかも、最大差分値が0から離れた値であるほど、ヒステリシス期間の長さは長いと予測されるから、敏感化期間の終期をより遅らせることで、適切な期間にわたって検出感度の低下を防止できる。
なお、センサ出力値と基準値の差分値としては、ガスセンサ素子の特性やセンサ出力値を得る電子回路の構成などに応じて、センサ出力値から基準値を差し引いて差分値としても良いし、基準値からセンサ出力値を差し引いて差分値としても良い。
【0035】
また、請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記ヒステリシス期間情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点直前の濃度高信号発生期間の継続時間を含み、前記終期先決め手段は、上記継続時間が長いほど、前記敏感化期間の終期を遅らせた時点にするガス検出装置とすると良い。
【0036】
ヒステリシス現象の継続時間は、曝された特定ガスの継続時間にも依存すると考えられる。つまり、特定ガス濃度が一定でも、長い間曝されていれば、その分ヒステリシス期間が長くなると考えられる。
これに対し、本発明のガス検出装置では、濃度高信号から濃度低信号への切換時点直前の濃度高信号発生期間の継続時間を含むヒステリシス継続情報に基づいて敏感化期間の終期を予め決定する。しかも、継続時間が長いほど、ヒステリシス期間の長さは長いと予測されるから、敏感化期間の終期をより遅らせることで、適切な期間にわたって検出感度の低下を防止できる。
【0037】
あるいは、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、現在の前記センサ出力値と所定サイクル数i回(iは1以上の整数)だけ過去に取得された前記センサ出力値であるi回過去センサ出力値とから交代決定用の移動差分値を算出する交代決定用移動差分値算出手段と、所定値を基準にして上記交代決定用の移動差分値が0と同じ側にあるか否かを判断する移動差分値判断手段と、を含み、前記濃度上昇検知手段では、上記交代決定用の移動差分値が0と同じ側となったとき以降、前記濃度高しきい値として前記第1濃度高しきい値に代えて前記第2濃度高しきい値を用いるガス検出装置とすると良い。
【0038】
濃度高信号から濃度低信号への切換の後、特定ガスの濃度が再び上昇しない場合には、時間の経過とともにヒステリシス現象は収まり、センサ出力値の濃度低方向への変化が少なくなって、ほぼ特定ガス濃度が低い状態に対応したセンサ出力値が取得されるようになると考えられる。
これに対し、本発明のガス検出装置では、交代決定用の移動差分値(例えば、S(n)-S(n-i))が所定値を基準として0と同じ側の値となった否かを判断し、交代決定用の移動差分値が0と同じ側となったときに、第1濃度高しきい値に代えて第2濃度高しきい値を用いる。つまり、敏感化期間を終了させる。交代決定用の移動差分値が所定値を基準として0と同じ側の値となったということは、センサ出力値の濃度低方向への変化が少なくなって、移動差分値が0に近づいてきたことを示しているからである。かくして、用いる濃度高しきい値を適切な時に第1濃度高しきい値から通常の第2濃度高しきい値に代えることが出来るから、適切な期間にわたって検出感度の低下を防止できる。
【0039】
あるいは、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、現在の前記センサ出力値と所定サイクル数i回(iは1以上の整数)だけ過去に取得された前記センサ出力値であるi回過去センサ出力値とから交代決定用の移動差分値を算出する交代決定用移動差分値算出手段と、所定値を基準として上記交代決定用の移動差分値が0と同じ側にあるか否かを判断する移動差分値判断手段と、を含み、前記濃度上昇検知手段では、上記交代決定用の移動差分値が0と同じ側となってから所定期間の経過以降、前記濃度高しきい値として前記第1濃度高しきい値に代えて前記第2濃度高しきい値を用いるガス検出装置である。
【0040】
上記したように、濃度高信号から濃度低信号への切換以降、特定ガスの濃度が再び上昇しない場合には、時間の経過とともにセンサ出力値の濃度低方向への変化が少なくなる。
これに対し、本発明のガス検出装置では、交代決定用の移動差分値(例えば、S(n)-S(n-i))が所定値を基準として0と同じ側の値となった否かを判断し、交代決定用の移動差分値が0と同じ側となった後、所定期間の経過を待ってから第1濃度高しきい値に代えて第2濃度高しきい値を用いる。つまり、敏感化期間を終了させる。
交代決定用の移動差分値(例えば、S(n)-S(n-i))が所定値を基準として0と同じ側となったということは、センサ出力値の濃度低方向への変化が少なくなって、移動差分値が0に近づいてきたことを示しているからである。
ところで、もし特定ガスの濃度が上昇し、センサ出力値が濃度高方向に変化したために、移動差分値が所定値を基準として0と同じ側となった場合、その時点で濃度高しきい値を第1濃度高しきい値よりも濃度高方向の値である第2濃度高しきい値に代える(敏感期間を終了させて、濃度高しきい値を敏感方向でない値に代える)と、センサ出力値が基準値よりも濃度高しきい値分以上に濃度高方向側の値となるのが難しくなるから、特定ガス濃度上昇が検知し難くなったり検知が遅れたりする場合があり得る。
これに対し、このガス検出装置では、所定期間の経過を待ってから第1濃度高しきい値に代えて第2濃度高しきい値を用いる。つまり、敏感期間をこの所定期間だけ延長するので、特定ガスの濃度が上昇してセンサ出力値が濃度高方向に変化した場合でも、この所定期間内であれば、第1濃度高しきい値を用いて特定ガスの濃度上昇を検知できるから、確実に早く特定ガスの濃度上昇を検知することができる。
【0041】
さらに、請求項14または請求項15に記載のガス検出装置であって、前記交代決定用移動差分値算出手段は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点から、前記交代決定用の移動差分値の算出を開始し、または、上記切換時点以前に得られた前記センサ出力値を用いずに、前記交代決定用の移動差分値の算出を再開し、上記切換時点から前記所定サイクル数i回分の前記センサ出力値を取得するまでの期間には、上記切替え時点に得られた上記センサ出力値とその後の各サイクルで得られた上記センサ出力値との差分値を、各サイクルにおける上記交代決定用の移動差分値とするガス検出装置とすると良い。
【0042】
交代決定用の移動差分値を用いる前記2項において、濃度高信号から濃度低信号への切換時点より以前から、交代決定用の移動差分値を順次算出し続けると、センサ出力値の変化の様子や所定サイクル数i回の値によっては、実際にはヒステリシス現象を生じているのに、切換時点で算出した移動差分値がヒステリシス現象の発生を示す値にならないことがある。これは、例えば、特定ガスの濃度の上昇と下降が短い時間に生じた場合など、特定ガスの濃度の上昇と下降によって生じるセンサ出力値の山状の変化(あるいは谷状の変化)の幅に対し、所定サイクル数i回の経過に要する期間が同程度以上となっている場合に生じると考えられる。かかる場合には、ヒステリシス現象による検出感度の低下が生じているにも拘わらず、適切に敏感化期間を設定できないので、検出感度が低下したままとなる。
【0043】
これに対し、本発明のガス検出装置では、濃度高信号から濃度低信号への切換時点で、交代決定用の移動差分値の算出を開始し、または、再開する。ところで、開始または再開してから所定サイクル数i回分のセンサ出力値が得られるまでの期間には、本来、移動差分値を得ることはできない。しかし、このガス検出装置では、この期間には、切替え時点に得られたセンサ出力値(S(n))とその後の各サイクルで得られたセンサ出力値(S(n+b)、b=1,2,…,i)との差分値(DI(n)=S(n)−S(n+b))を、各サイクルでの交代決定用の移動差分値とすることで、濃度高信号から濃度低信号への切換時点より1サイクル後から、交代決定用の移動差分値を得ている。そして移動差分値判断手段で、この交代決定用の移動差分値が所定値を基準にして0と同じ側にあるか否かを判断し、この移動差分値が0と同じ側となったときに、第1濃度高しきい値に代えて第2濃度高しきい値を用いるように切り換える。
このようにすると、濃度高信号から濃度低信号への切換時点以降に得られたセンサ出力値を用いて、交代用の移動差分値を算出することができるから、上記した不具合を生じることが無く、確実にヒステリシス現象による検出感度の低下を防止することができる。
【0044】
さらに、請求項14または請求項15に記載のガス検出装置であって、前記交代決定用移動差分値算出手段は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点から、前記交代決定用の移動差分値の算出を開始し、または、上記切換時点以前に得られた前記センサ出力値を用いずに、前記交代決定用の移動差分値の算出を再開し、上記切換時点から前記所定サイクル数i回分の前記センサ出力値を取得するまでの期間は、上記切替え時点に得られた上記センサ出力値と上記切換時点からbサイクル(bは1〜iまでの整数)後に得られた上記センサ出力値との差分値にi/bを掛けた値を、各サイクルにおける上記交代決定用の移動差分値とするガス検出装置とすると良い。
【0045】
既に説明したように、交代用の移動差分値を用いる前記2項において、濃度高信号から濃度低信号への切換時点より以前から、交代用の移動差分値を順次算出し続けると、センサ出力値の変化の様子や所定サイクル数i回の値の選択によっては、実際にはヒステリシス現象を生じているのに、切換時点で算出した移動差分値がヒステリシス現象の発生を示す値にならないことがある。
【0046】
これに対し、本発明のガス検出装置では、濃度高信号から濃度低信号への切換時点で、交代決定用の移動差分値の算出を開始し、または、再開する。また、開始または再開してから所定サイクル数i回分のセンサ出力値が得られるまでの期間は、本来、移動差分値を得ることはできない。そこで、この期間には、切替え時点に得られたセンサ出力値(S(n))とその後の各サイクルで得られたセンサ出力値(S(n+b)、b=1,2,…,i)との差分値にi/bを掛けた値(DI(n)=(S(n)−S(n+b))・i/b)を、各サイクルでの交代決定用の移動差分値とすることで、濃度高信号から濃度低信号への切換時点より1サイクル後から、交代決定用の移動差分値を得ている。そして移動差分値判断手段で、この交代決定用の移動差分値が所定値を基準にして0と同じ側にあるか否かを判断し、この移動差分値が0と同じ側となったときに、第1濃度高しきい値に代えて第2濃度高しきい値を用いるように切り換える。
このようにすると、濃度高信号から濃度低信号への切換時点以降に得られたセンサ出力値を用いて、交代用の移動差分値を算出することができるから、上記した不具合を生じることが無く、確実にヒステリシス現象による検出感度の低下を防止することができる。
また、差分値(S(n)−S(n-b))をi/bを掛けないで移動差分値として用いる場合には、切換の直後(bが小さい場合)ほど、移動差分値が小さくなるため、移動差分値と比較する所定値の選択に制限がある。これに対し、本発明のように、差分値にi/bを掛けた値を移動差分値とすることで、各サイクルにおいて、bサイクル分の期間に生じた変化がiサイクル続いたとした場合の移動差分値に相当する値が得られるので、移動差分値と比較する基準値の選択をより適切に選択することができる。
【0047】
また、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間の開始時に得られた前記センサ出力値である開始時センサ出力値と、この濃度高信号発生期間中に得られた前記センサ出力値のうち最も濃度高方向の値であるピークセンサ出力値との間の値である解除しきい値よりも、現在の前記センサ出力値が濃度低方向側の値となったか否かを判断する判断手段、を含み、
前記濃度上昇検知手段は、上記現在のセンサ出力値が上記解除しきい値よりも濃度低方向側の値となったとき以降、前記濃度高しきい値として前記第1濃度高しきい値に代えて前記第2濃度高しきい値を用いる
ガス検出装置
としても良い。
【0048】
前述したように、濃度高信号から濃度低信号への切換以降、特定ガスの濃度が再び上昇しない場合には、時間の経過とともにヒステリシス現象は収まり、センサ出力値の濃度低方向への変化が少なくなって、ほぼ特定ガス濃度が低い状態に対応したセンサ出力値が取得されるようになる。
もしこの間に、ガス濃度が変化とは関係なく、湿度や温度変化によってセンサ抵抗値及びセンサ出力値が変化するドリフト現象が無かったとすれば、得られるセンサ出力値は、濃度高信号から濃度低信号への切換の直前の濃度高信号発生期間の開始時に得られた開始時センサ出力値とほぼ同じ値となると考えられる。従って、濃度高信号から濃度低信号への切換以降に得られた現在のセンサ出力値が、開始時センサ出力値よりも濃度低方向の値となったら、ヒステリシス現象が収束したと考えて、第1濃度高しきい値に代えて第2濃度高しきい値を用いるようにする手法が考えられる。
しかるに、このようにすると、ドリフト現象があった場合には、ドリフトによる変化の方向によっては、センサ出力値が濃度高信号を発生した時点のセンサ出力値とほぼ同じ値まで戻らない場合もあり得る。特に、濃度高信号発生期間中に得られたピークセンサ出力値が大きいとヒステリシス期間が長くなるから、ドリフトの影響を受けやすくなり、センサ出力値が濃度高信号を発生した時点のセンサ出力値とほぼ同じ値まで戻らない可能性が高くなる。すると、現在のセンサ出力値が開始時センサ出力値よりも濃度低方向の値とならない場合が生じうる。つまり、ヒステリシス現象は既に終了しているのに、第1濃度高しきい値を使い続ける場合が生じうる。
これに対し、本発明のガス検出装置では、判断手段で開始時センサ出力値とピークセンサ出力値との間の値である解除しきい値よりも、現在のセンサ出力値が濃度低方向側の値となったか否かを判断し、現在のセンサ出力値が濃度低方向側の値となったときに、第1濃度高しきい値に代えて第2濃度高しきい値を用いる。このように、解除しきい値を開始時センサ出力値とピークセンサ出力値との間の値としたので、第1濃度高しきい値を用いる敏感化期間を有限の期間とすることができる。
【0049】
さらに、請求項18に記載のガス検出装置であって、前記解除しきい値は、前記ピークセンサ出力値と前記開始時センサ出力値との差の1/a(但しa>1)だけ、上記開始時センサ出力値よりも上記ピークセンサ出力値側の値であるガス検出装置とすると良い。
【0050】
本発明のガス検出装置では、解除しきい値は、開始時センサ出力値とピークセンサ出力値に応じた値となる。開始時センサ出力値とピークセンサ出力値は、その都度異なる値となるが、このようにすることで、いつも適切な解除しきい値を得ることができる。
なお、数値aの大きさは、ガス検出装置に用いるガスセンサ素子やサイクル時間、ドリフトの影響などを考慮して適宜選択することができる。
【0051】
さらに、請求項20に記載の他の解決手段は、特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低いときに濃度低信号を発生し、上記特定ガスの濃度が高いときに濃度高信号を発生する濃度検知手段と、を備え、上記濃度検知手段は、敏感化期間の終期を決定する終期決定手段を含み、上記濃度低信号の発生期間のうち上記濃度高信号から上記濃度低信号への切換以降、上記敏感化期間の終期までの期間には、上記濃度低信号の発生期間のうちの他の期間において上記センサ出力値の濃度高方向への変化によって上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生させる場合に比して、上記センサ出力値の濃度高方向への小さな変化によっても上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生させ得るようにしてなるガス検出装置である。
【0052】
本発明のガス検出装置では、敏感化期間には、他の期間に比して濃度高方向への小さなセンサ出力値の変化で濃度高信号を発生できる。従って、この敏感化期間には、ヒステリシス現象による検出感度低下をカバーして、ガス濃度上昇を確実に検知することができる。
【0053】
さらに、請求項21に記載の他の解決手段は、特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低いときに濃度低信号を発生し、上記特定ガスの濃度が高いときに濃度高信号を発生する濃度検知手段と、を備え、上記濃度検知手段は、上記濃度低信号の発生期間において、上記センサ出力値が上記基準値よりも濃度高しきい値分以上に濃度高方向側の値であるときに、上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生する濃度上昇検知手段と、上記濃度高信号の発生期間において、上記センサ出力値が上記基準値よりも濃度低しきい値分以上に濃度低方向側の値であるときに、上記濃度高信号に代えて上記濃度低信号を発生する濃度低下検知手段と、敏感化期間の終期を決定する終期決定手段と、を含み、上記濃度上昇検知手段では、上記濃度低信号の発生期間のうち上記濃度高信号から上記濃度低信号への切換以降、上記敏感化期間の終期までの期間には、上記濃度低信号の発生期間のうちの他の期間において上記センサ出力値の濃度高方向への変化によって上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生させる場合に比して、上記センサ出力値の濃度高方向への小さな変化によっても上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生させ得るようにしてなるガス検出装置である。
【0054】
本発明のガス検出装置では、敏感化期間には、他の期間に比して濃度高方向への小さなセンサ出力値の変化で濃度高信号を発生できる。従って、この敏感化期間には、ヒステリシス現象による検出感度低下をカバーして、ガス濃度上昇を確実に検知することができる。
【0055】
さらに、請求項1〜請求項21のいずれか1項に記載のガス検出装置を含む車両用オートベンチレーションシステムとすると良い。
【0056】
この車両用オートベンチレーションシステムでは、ヒステリシス現象による特定ガス濃度上昇の検出感度低下を補うことのできるガス検出装置を用いているから、たとえヒステリシス現象が起きている場合でも、適切なフラップの開閉を行うことができる。
【0057】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態について、図1〜図8を参照して説明する。図1に本実施形態1のガス検出装置10の回路図及びブロック図と、これを含む車両用オートベンチレーションシステム100の概略構成を示す。このシステム100は、特定ガスの濃度変化に応じて濃度信号LVを出力するガス検出装置10と、フラップ34を回動させて、内気取り入れ用ダクト32及び外気取り入れ用ダクト33のいずれかをダクト31に接続させる換気系30と、濃度信号LVに従って換気系30のフラップ34を制御する電子制御アセンブリ20とを備える。
【0058】
まずガス検出装置10について説明する。このガス検出装置10は、被測定ガス(本実施形態では大気)中にNOxなど酸化性ガス成分がある場合に、これに反応し、酸化性ガス成分の濃度上昇と共にセンサ抵抗値Rsが上昇するタイプの酸化物半導体のガスセンサ素子11を用いるものである。このガスセンサ素子11は自動車の車室外に配置される。
【0059】
このガスセンサ素子11を用い、センサ抵抗値変換回路14、バッファ13、A/D変換回路15からなるセンサ出力値取得回路19で、センサ出力値S(n)を取得する。センサ抵抗値変換回路14は、このガスセンサ素子11のセンサ抵抗値Rsに応じたセンサ出力電位Vsを出力する。具体的には、電源電圧Vccをガスセンサ素子11と検出抵抗値Rdを有する検出抵抗12とで分圧した動作点Pdのセンサ出力電位Vsを、バッファ13を介して出力するようになっている。このため、このセンサ抵抗値変換回路14では、NOxなどの酸化性ガスの濃度が上昇すると、センサ抵抗値Rsが上昇し、センサ出力電位Vsが上昇するように構成されている。
バッファ13の出力(センサ出力電位Vs)は、A/D変換回路15に入力されて、所定のサイクル時間毎にデジタル化された現在のセンサ出力値S(n)として出力され、マイクロコンピュータ16の入力端子17に入力される。nは順序を表す一連の整数である。
従って、本実施形態1では、センサ抵抗値Rsについて濃度高方向とは、センサ抵抗値Rsが高くなる方向をいう。また、酸化性ガスの濃度が高くなるとセンサ出力値S(n)が大きな値になるから、センサ出力値S(n)について濃度高方向とは、センサ出力値S(n)が大きくなる方向をいう。また、酸化性ガスの濃度が高くなると、センサ出力値S(n)が大きな値となることにより、後述するベース値B(n)や差分値D(n)も大きな値になる。従って、ベース値B(n)や差分値D(n)についても濃度高方向とは、ベース値B(n)や差分値D(n)が大きくなる方向をいう。一方、濃度低方向がこれらの逆になることは、いうまでもない。なお、後述する実施形態2〜8、及び変形形態1〜9についても同様である。
【0060】
さらにこのマイクロコンピュータ16の出力端子18からは、電子制御アセンブリ20を制御するための濃度高信号と濃度低信号のいずれかの濃度信号LVが出力される。この電子制御アセンブリ20は、自動車の内気循環及び外気取り入れを制御する換気系30のフラップ34を制御するものである。この換気系30は、本実施形態では具体的には、自動車室内につながるダクト31に、二股状に接続された、内気を取り入れ循環させる内気取り入れ用ダクト32と外気を取り入れる外気取り入れ用ダクト33とを切り替えるフラップ34を制御するものである。
電子制御アセンブリ20のうち、フラップ駆動回路21は、マイクロコンピュータ16の出力端子18からの濃度信号LV、本実施形態1に即して言えば、NOxなどの酸化性ガス成分の濃度が上昇したか下降したかを示す濃度信号LVに従って、アクチュエータ22を動作させフラップ34を回動させて、内気取り入れ用ダクト32及び外気取り入れ用ダクト33のいずれかをダクト31に接続させる。
【0061】
例えば、図2のフローチャートに示すように、ステップS1で初期設定を行った後、ステップS2で濃度レベル信号LVを取得し、ステップS3で濃度信号LVがハイレベルであるか否か、つまり濃度高信号発生中であるか否かを判断する。ここで、Noつまり濃度低信号発生中の場合には、特定ガスの濃度が低いのであるから、ステップS4において、フラップ34の全開を指示する。これにより、フラップ34が回動して、外気取り入れ用ダクト33がダクト31に接続され、外気が車室内に取り入れられる。一方、ステップS3においてYesつまり濃度高信号発生中の場合には、車室外の特定ガスの濃度が高いのであるから、ステップS5において、フラップ34の全閉を指示する。これにより、フラップ34が回動して、内気取り入れ用ダクト32がダクト31に接続され、外気導入が遮断されると共に、内気循環となる。
【0062】
ダクト31内には、空気を圧送するファン35が設置されている。なお、フラップ駆動回路21は、濃度信号LVだけに応じてフラップ34を開閉するようにしても良いが、例えば、マイクロコンピュータなどを用い、ガス検出装置10による濃度信号LVの他、図中破線で示すように、例えば室温センサや湿度センサ、外気温センサなどからの情報をも加味して、フラップ34を開閉するようにしても良い。
【0063】
マイクロコンピュータ16では、入力端子17から入力されたセンサ出力値S(n)を後述するフローに従った処理を行うことにより、ガスセンサ素子11のセンサ抵抗値Rsやその変化などから酸化性ガス成分の濃度変化を検出する。マイクロコンピュータ16は、詳細は図示しないが、公知の構成を有し、演算を行うマイクロプロセッサ、プログラムやデータを一時記憶しておくRAM、プログラムやデータを保持するROMなどを含む。また、バッファ13やA/D変換回路15をも含むものを用いることもできる。
【0064】
次いで、マイクロコンピュータ16における制御を、図3のフローチャートに従って説明する。自動車のエンジンが駆動されると、本制御システムが立ち上がる。ガスセンサ素子11が活性状態となるのを待って、まずステップS10で初期設定を行う。初期設定として、ベース値B(0)として、ガスセンサ素子11が活性状態となった当初のセンサ出力値S(0)を記憶しておく(B(0)=S(0))。また、濃度信号LVとして濃度低信号を発生させておく、具体的には濃度信号LVをローレベルとしておく。
【0065】
次いで、ステップS20において、濃度高しきい値Tuの設定を行う。次いで、ステップS30では、ガス濃度変化の検知を行う。後述するように、このステップS30のサブルーチンにおいて、酸化性ガス成分の濃度の上昇及び低下を検知し、それに応じて、濃度高信号及び濃度低信号を発生する。その後、ステップS40において、ヒステリシス処理用のデータを取得する。さらに、ステップS50では、濃度高信号の発生中であるか否か、具体的には、濃度高フラグがセットされているか否かを判断し、Yesつまり、濃度高信号の発生期間中である場合には、ステップS20に戻る。一方、Noつまり、濃度低信号の発生期間中である場合には、ステップS60に進み、敏感化期間の処理を行う。濃度低信号の発生期間、具体的には濃度高信号から濃度低信号への切換後しばらくの間は、ヒステリシス現象が生じている可能性が高い。そこで、このステリシス現象が生じている間には、センサ出力値S(n)の濃度高方向への僅かな変化でも濃度高信号を発生できるように、通常よりも濃度上昇の検出感度を敏感にするのである。後述するように、このステップS60のサブルーチンでは、ヒステリシス現象が生じているか否かを、ヒステリシス処理用のデータを用いて所定の手法で判断し、敏感化フラグをセット、またはリセットする。その後、ステップS20に戻る。
【0066】
ステップS20において、敏感化フラグがセットされているときには、濃度上昇の検出感度を上げるべく、濃度高しきい値Tuを相対的に敏感方向の値に変更する。後述するように、酸化性ガスの濃度が高くなると、差分値D(n)が大きくなる。また、濃度高しきい値Tuとこの差分値D(n)とを比較して濃度高フラグのセット可否を判断する。このことから、本実施形態1においては、濃度高しきい値Tuを小さな値とすることが、濃度高しきい値Tuを敏感方向に変化させることに相当する。
かくして、敏感化期間には、濃度高しきい値Tuが、それ以外の期間に比して敏感方向の値、具体的には、濃度高しきい値Tuが小さな値に変更され、濃度上昇の検出感度が高くされる。
なお、後述する各実施形態2〜8及び変形形態1〜9においても同様である。
【0067】
次いで、図4に示すステップS20の濃度高しきい値Tuの設定サブルーチンについて説明する。ここではまず、ステップS21で敏感化フラグがセットされているか否かを判断する。ここで、Noつまり敏感化フラグがセットされていない場合には、ステップS23に進み、濃度高しきい値Tuとして、通常時のための第2濃度高しきい値Tu2を代入して、メインルーチンに戻る。一方、Yesつまり、敏感化フラグがセットされている場合には、ステップS22に進み、濃度高しきい値Tuとして、敏感化期間のための第1濃度高しきい値Tu1を代入して、メインルーチンに戻る。第1濃度高しきい値Tu1は、第2濃度高しきい値Tu2よりも敏感方向の値、即ち、第2濃度高しきい値Tu2よりも低い値である。
【0068】
次いで、図5に示すステップS30のガス濃度変化検知サブルーチンについて説明する。まず、ステップS31でセンサ出力値S(n)を取得する。具体的には、センサ出力電位Vsを所定のサイクル時間ごとにA/D変換したセンサ出力値S(n)を順次読み込む。次いで、ステップS32において、現時点で濃度信号LVがハイレベルであるかどうか、つまり濃度高信号を発生しているかどうかを判断する。具体的には、後述するステップS3B及びS3Cで、濃度信号LVの切り換えと同時にセットあるいはリセットされる濃度高フラグが、セットされているか否かを判断する。ここで、Noつまり濃度信号LVがローレベルであり濃度低信号を発生し、濃度高フラグがリセットされていれば、ステップS33に進む。一方、Yes、つまり濃度信号LVがハイレベルであり濃度高信号を発生し、濃度高フラグがセットされていれば、ステップS36に進む。
【0069】
ステップS33では、センサ出力値S(n)が前回算出したベース値B(n−1)以上であるか否かを判断する。ここで、S(n)≧B(n−1)の場合(Yes)には、ステップS34に進み、S(n)<B(n−1)の場合(No)には、ステップS35に進む。
【0070】
ステップS34では、前回ベース値B(n−1)と現在のセンサ出力値S(n)とを利用して、以下の式(1)によって現在ベース値B(n)を算出し、ステップS37に進む。式(1):B(n)=B(n−1)+k1{S(n)−B(n−1)}、ここで、第1係数k1は、0<k1<1である。
上記式(1)で算出した現在ベース値B(n)は、使用する係数k1が0<k1<1の範囲内では、現在センサ出力値S(n)に追従し、しかもセンサ出力値S(n)よりも緩慢に変化する。
【0071】
すると、S(n)とB(n)との間に差が生じる。この性質を利用して、後述するステップS37において算出する差分値D(n)を用いれば、特定ガスの濃度上昇を検知することができる。つまり、差分値D(n)が正の濃度高しきい値Tuよりも大きいときに、濃度高信号を発生するようにしておけば、特定ガスの濃度上昇を検知することができる。
【0072】
一方、ステップS35では、ベース値B(n)に現在のセンサ出力値S(n)を代入(B(n)=S(n))し、ステップS37に進む。即ち、現在のセンサ出力値S(n)が前回ベース値B(n−1)より小さい場合には、ベース値B(n)を現在のセンサ出力値S(n)に一致させ、センサ出力値に対して遅れなく追従させる。
【0073】
他方、ステップS36では、ステップS34と同様な式(2)を用いて前回のベース値B(n−1)とセンサ出力値S(n)とからベース値B(n)を算出してステップS38に進む。式(2):B(n)=B(n−1)+k2{S(n)−B(n−1)}、ここで、第2係数k2は、0<k2<k1<1である。
ベース値B(n)は、使用する係数k1,k2の大きさによってセンサ出力値S(n)に対する追従の程度が異なり、比較的大きな第1係数k1(k1>k2)を用いた場合(ステップS34)には、ベース値B(n)はセンサ出力値S(n)に若干遅れながらも比較的迅速に追従する。一方、比較的小さな第2係数k2(k2<k1)を用いて算出した場合(ステップS36)には、ベース値B(n)の変化が緩慢になり、ゆっくり追従する。
【0074】
ステップS34,S35に引き続いて、ステップS37では、差分値D(n)を式(3):D(n)=S(n)−B(n)に従って算出し、ステップS39で濃度高しきい値Tuと比較する。
ここで、D(n)>Tuとなった場合(Yes)はステップS3Bに進む。ステップS37でYesとなるのは、それまでは濃度低信号を発生している状態(ステップS32でNo)で、D(n)>Tuとなった場合であるから、センサ出力値S(n)と、これよりも遅れて追従するベース値B(n)との差が大きくなったことを示している。つまり、特定ガス(酸化性ガス)の濃度が上昇したためにベース値B(n)が追従するより早くセンサ出力値S(n)が上昇したと考えられる。
そこで、ステップS3Bで濃度低信号に代えて濃度高信号を発生する。具体的には、濃度信号LVをハイレベルにする。さらに、濃度高フラグをセットする。
【0075】
一方、D(n)≦Tuとなった場合(No)はステップS3Dに進む。ステップS37でNoとなるのは、それまでは濃度低信号を発生している状態(ステップS32でNo)で、D(n)≦Tuとなった場合である。これは、現在のセンサ出力値S(n)と、これよりも遅れて追従するベース値B(n)との差が余り大きくなっていないことを示している。つまり、特定ガス(酸化性ガス)の濃度は低いままであると考えられる。あるいは、ガス濃度が低下し続けているので、ステップS35でベース値B(n)を現在のセンサ出力値S(n)に一致させた状態となっていると考えられるからである。
そこで、濃度低信号をそのまま維持して、ステップS3Dに進むようにしている。
【0076】
また、ステップS36に引き続いて、ステップS38でも、差分値D(n)を式(3):D(n)=S(n)−B(n)に従って算出し、ステップS3Aで濃度低しきい値Tdと比較する。なおこの濃度低しきい値はTdは、ステップS39における濃度高しきい値Tuよりも小さな値である(Tu>Td)。
ここで、D(n)≦Tdとなった場合(Yes)はステップS3Cに進む。このように、濃度高しきい値Tuと濃度低しきい値Tdの2つのしきい値を用いたのは、濃度低信号と濃度高信号との間での信号切替の際にチャタリングが生じないようにするためである。 ステップS38でYesとなるのは、それまでは濃度高信号を発生している状態(ステップS32でYes)で、D(n)≦Tdとなった場合である。これは、センサ出力値S(n)と、ステップS36で算出し、過去の状態、即ち酸化性ガスの濃度が上昇する前の状態をある程度反映しているベース値B(n)との差が小さくなったこと、つまり、酸化性ガスの濃度が十分低下したことを示している。
そこで、ステップS3Cで濃度高信号に代えて濃度低信号を発生する。具体的には、濃度信号LVをローレベルにする。さらに、濃度高フラグをリセットする。
【0077】
逆に、ステップS3AでNoとなるのは、それまでは濃度高信号を発生している状態(ステップS32でYes)で、D(n)>Tdとなった場合であるから、現在のセンサ出力値S(n)とベース値B(n)との差が未だ大きく、酸化性ガスの濃度が上昇して高いままであると考えられる。そこで、濃度高信号を維持して、ステップS3Dに進むようにしている。
【0078】
ステップS39,3A,3B,3Cのいずれからも、ステップS3Dに進み、ステップS34,S35,S36で算出した現在のベース値B(n)を記憶し、メインルーチンに戻る。
【0079】
次いで、図6に示すステップS40のヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンについて説明する。まず、ステップS41では、上述のステップS31で取得した現在のセンサ出力値S(n)を記憶する。なお、本実施形態1では、マイクロコンピュータ16に記憶領域として、i+1ヶ分の記憶領域を用意しておき、S(n−i)〜S(n)の合計i+1ヶ分のセンサ出力値を記憶する。新たに取得した現在のセンサ出力値S(n)を記憶するには、(i+1)回分過去のセンサ出力値S(n−(i+1))が記憶されている記憶領域に、現在のセンサ出力値S(n)を上書き記憶すると良い。
続いて、ステップS42では、交代決定用の移動差分値DI(n)を、以下の式(4)に従って算出する。式(4):DI(n)=S(n−i)−S(n)。この移動差分値DI(n)は、現在のセンサ出力値S(n)とi回分過去のセンサ出力値S(n−i)との差、従って、この間のセンサ出力値の変化を示している。本実施形態1では、この移動差分値DI(n)を用いて、以下に詳述するステップS60の敏感化期間処理において、敏感化フラグのリセットのタイミングを決める。
【0080】
ステップS42で移動差分値DI(n)を算出した後、メインルーチンに戻ると、前述したように、ステップS50で濃度高信号の発生中であるかどうかをチェックし、Yes即ち濃度高信号を発生している場合には、ステップS20に戻る。一方、Noつまり濃度低信号発生中である場合には、図7に示すステップS60のサブルーチンに進む。ヒステリシス期間中である可能性があるからである。
【0081】
図7に示すステップS60の敏感化期間処理サブルーチンについて説明する。なお、破線で示すステップS65,S67,S68は、後述する変形形態1で用いる。まず、ステップS61では、前述したステップS3Cで濃度高信号に代えて濃度低信号を変更発生した直後であるか否か、具体的には、濃度高フラグをリセットした直後であるか否かを判断する。
ここで、Yes、即ち濃度高フラグをステップS3Cでリセットした直後の場合には、ステップS62に進み、敏感化フラグをセットする。つまり、本実施形態1では、ステップS30で濃度高信号から濃度低信号に変更した直後には、無条件で敏感化フラグをセットする。濃度高信号から濃度低信号に変更した直後には、多かれ少なかれヒステリシス現象が発生していると考えられるからである。
【0082】
その後、ステップS63で、上述したステップS41によって記憶してあったi+1ヶのセンサ出力値のうち、過去iヶのセンサ出力値S(n−i)〜S(n−1)をすべて現在のセンサ出力値S(n)に入れ替え、メインルーチンに戻る。ステップS63を設けるのは以下の理由があるからである。例えば、所定サイクル数i回の経過に要する期間と同程度の期間に特定ガスの濃度の上昇と下降が生じた場合、実際にはセンサ出力値も山状の変化が生じているにも拘わらず、現在のセンサ出力値S(n)とi回過去のセンサ出力値S(n−i)との移動差分値DI(n)の値が、十分大きな値(Rより大きな値)にならないことがある。かかる場合には、ヒステリシス現象による検出感度の低下が生じているにも拘わらず、次述するステップS66でYesと判断されて敏感化フラグがすぐにリセットされてしまい、適切な期間にわたって敏感化期間を設定できないので、検出感度が低下してしまう虞がある。
【0083】
これに対し、本実施形態1では、上述のように、過去iヶのセンサ出力値S(n−i)〜S(n−1)をすべて現在のセンサ出力値S(n)に入れ替えたので、濃度高信号から濃度低信号への切換時点以降に得られたセンサ出力値を用いて、移動差分値DI(n)を算出することができるから、上記した不具合を生じることが無く、確実にヒステリシス現象による検出感度の低下を防止することができる。
かくして、敏感化フラグがセットされていれば、前述したステップS21でYesと判断され、ステップS22で、濃度高しきい値Tuとして、敏感化期間に用いる第1濃度高しきい値Tu1が代入され、ステップS30のガス濃度変化検知サブルーチンにおける濃度上昇の検出感度が高くされる。
【0084】
一方、ステップS61で、No即ち濃度高フラグをリセットした直後ではない場合には、ステップS64に進み、敏感化フラグがセットされているか否かを判断する。ここで敏感化フラグがセットされている場合(Yes)、つまり敏感化期間内である場合には、ステップS66に進む。ステップS66では、ステップS42で算出した移動差分値DI(n)が所定の値(定数R)よりも小さくなったか否かを判断する。前述したように、移動差分値DI(n)は、i回過去から現在までのセンサ出力値の変化を示すものである。
【0085】
ところで、特定ガス(酸化性ガス)の濃度が低下した際にヒステリシス現象が生じると、一般に、実際の特定ガス濃度に対応して本来得られるべきセンサ出力値と、ヒステリシス現象があるために実際に得られたセンサ出力値との差異は、時間の経過時間とともに徐々に小さくなり、ついには、両者が一致する。ガスセンサ素子に吸着されている特定ガスの分子は、時間とともに素子から脱離して、その数が少なくなるからと考えられる。従って、センサ出力値の変化を示す移動差分値DI(n)が未だに大きいと言うことは、ヒステリシス現象が収束したとは未だ言えない状態にあると言うことである。そこで、移動差分値DI(n)が定数Rよりも大きい場合(No)には、メインルーチンに戻る。一方、移動差分値DI(n)が定数R以下の場合(Yes)には、ステップS69に進み、敏感化フラグをリセットする。センサ出力値の変化が少なくなり、ヒステリシス現象が収束したと考えられるから、ステップS23により濃度高しきい値Tuに通常時に用いる第2濃度高しきい値Tu2を代入し、濃度上昇の検出感度を引き下げて通常に戻すためである。
また、ステップS64において、Noつまり敏感化フラグがリセットされている場合には、ヒステリシス現象は既に終了していると考えられるのであるから、メインルーチンに戻る。
かくして、本実施形態1のガス検出装置10では、ヒステリシス現象が生じても、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0086】
次いで、図8(1)において実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。酸化性ガスの濃度変化、具体的には、濃度の上昇、低下、再上昇という変化に伴って、図8(1)に示すように、センサ出力値S(n)が上昇した後、下降し、再び上昇するという変化を示した場合について説明する。センサ出力値S(n)がこのように変化すると、それに伴って、ベース値B(n)が破線のように、また、両者の差分値D(n)(=S(n)−B(n))は、図8(2)に示すように変化する。なお、当初は濃度低信号発生期間であった、つまり、濃度信号LVはLOレベルとされていたとする。
【0087】
ここで、センサ出力値S(n)が上昇すると、時刻t1以前は、ステップS34(図5参照)に従ってベース値B(n)が算出され、センサ出力値S(n)の上昇に遅れて追従するように上昇する。すると、ステップS37で算出された差分値D(n)の値が大きくなり、ついには、時刻t1に差分値D(n)が濃度高しきい値Tu(図8(2)参照)を超えることとなる。すると、ステップS39でYesと判断され、ステップS3Bにおいて、図8(3)に示すように濃度高信号が発生される。具体的には、濃度高フラグがセットされ、ガス検出装置10から出力される濃度信号LVの信号レベルがHIレベルとされる。この時刻t1以降は、ステップS36(図5参照)に従ってベース値B(n)が算出され、センサ出力値S(n)の上昇に遅れて緩慢に追従するように上昇する。
【0088】
しかし、センサ出力値S(n)が最大値を経て低下し始めると、緩慢に上昇し続けるベース値B(n)との差(差分値D(n))が減少し、ついには時刻t0で、D(n)≦Tdの関係となる。なお、本実施形態1では、濃度低しきい値Td=0としている。このため、ステップS3AでYesと判断され、図8(2)に示すように、時刻t0以降、濃度低信号が発生される。具体的には、濃度高フラグがリセットされ、ガス検出装置10から出力される濃度信号LVの信号レベルがLOレベルとされる。次回以降のサイクルでは、ステップS33でNoと判断されるため、ステップS35(図5参照)に従って、ベース値B(n)は強制的にセンサ出力値S(n)に一致させられる(B(n)=S(n))。このため、この時刻t0以降、センサ出力値S(n)が再び上昇し始める時刻t2まで、ベース値B(n)はセンサ出力値S(n)に一致させられる。
【0089】
時刻t2以降になると、センサ出力値S(n)が上昇するため、ステップS33でYesと判断され、ステップS34でベース値B(n)が算出される。この場合、センサ出力値S(n)が上昇しているため、ベース値B(n)が遅れて上昇するので、両者の差(差分値D(n))が徐々に大きくなる。そして、差分値D(n)が濃度高しきい値Tuを超える時刻t3以降、再びステップS39でYesと判断され、ステップS3Bにおいて、濃度高信号が発生される(図8(2)(3)参照)。
【0090】
ところで、酸化性ガスの濃度が一旦上昇した後に低下したため、ガスセンサ素子11の表面には濃度低下後も酸化性ガスが吸着されており、前述したようなヒステリシス現象が生じている場合がある。ヒステリシス現象が生じていると、時刻t0以降ヒステリシス期間内に、酸化性ガスの濃度が上昇しても、センサ出力値S(n)の変化が少なく、ヒステリシス期間ではない通常の期間と同様の処理をすると、濃度上昇を適切に捕捉できないため、濃度高信号への切換(濃度高フラグのセットや濃度信号LVのHIレベルへの切換)のタイミングが遅れる可能性がある。
【0091】
そこで、本実施形態1では、濃度低信号に切り換えた時刻t0以降、僅かなセンサ出力値S(n)の上昇によっても、濃度高信号への切換ができるように、切換を敏感にする敏感化期間処理(ステップS60,図7参照)を行う。
このため、まず、本実施形態1のガス検出装置10では、ヒステリシス現象が生じているヒステリシス期間であるか否かを判断するため、常に移動差分値DI(n)を算出するようにしている(ステップS42,図6,図8(4)参照)。移動差分値DI(n)は、iサイクル(=16サイクル)分離れた2つのセンサ出力値S(n−16)とS(n)との差である。従って、16Tだけ離れた時刻間におけるセンサ出力値の変化を示している(Tは1サイクル分の時間)。ところで、現在がヒステリシス期間内である場合、酸化性ガスの濃度が低下したままであるならば、センサ出力値S(n)は徐々に減少するから、濃度低信号に切り換えた時刻t0以降、移動差分値DI(n)が所定の値R以下(DI(n)≦R、ステップS66参照))となるまでは、ヒステリシス期間が継続していると判断することができる。
【0092】
そこで、濃度低信号への変更直後(時刻t0,ステップS61参照)から敏感化フラグのセットを開始し(ステップS62参照)、移動差分値DI(n)が所定の値R以下となりステップS69でリセットされるまで、敏感化フラグをセットする。敏感化フラグがセットされている期間には、第1濃度高しきい値Tu1が濃度高しきい値Tuに設定される(ステップS22参照)。かくして、図8(5)に示すように、時刻t0以降、移動差分値DI(n)が所定値R以下となる時刻t4(図8(4)参照)までの敏感化期間は、濃度高しきい値Tuの値として、Tu2に代えてこれより低い値のTu1(Tu1<Tu2)が用いられる。
【0093】
既に図8(2)を参照して説明したように、差分値D(n)がこの濃度高しきい値Tuよりも大きな値となった場合には、ステップS39においてYesと判断されて、濃度高信号が発生される。従って、時刻t0〜t4の敏感化期間だけ、濃度高しきい値Tuを小さな値とすることにより、この期間には、センサ出力値S(n)の値が僅かに上昇しただけで差分値D(n)が濃度高しきい値Tu(=Tu1)よりも大きな値となり易く、ステップS39においてYesと判断され、濃度高信号が発生され易いこととなる。かくして、本実施形態1のガス検出装置によれば、ヒステリシス現象が生じていても、僅かなセンサ出力値S(n)の上昇を捉えて、濃度高信号を発生、即ち、濃度高フラグをセットし、濃度信号LVをHIレベルとすることができるから、ヒステリシス現象による、酸化性ガスの濃度上昇感度の低下を補うことができる。
【0094】
なお、図8(5)に示す例では、敏感化期間(時刻t0〜t4)内では、センサ出力値S(n)の上昇が生じなかったため、DI(n)≦Rとなる時刻t4で敏感化フラグがリセットされた(ステップS69)。このため、ステップS23により、濃度高しきい値Tuとして第2濃度高しきい値Tu2を用いた通常期間内の時刻t3に、差分値D(n)が濃度高しきい値Tu(=Tu2)を超え、この時刻t3以降、濃度高フラグがセットされ、濃度信号LVがHIレベルとされている。
【0095】
また、本実施形態1では、前述したように、濃度高信号から濃度低信号に変更した直後(時刻t0)に、ステップS63で、ステップS41によって記憶してあった17(=16+1)ヶのセンサ出力値のうち、過去iヶ(=16ヶ)のセンサ出力値S(n−16)〜S(n−1)をすべて現在のセンサ出力値S(n)に入れ替えた。なぜならば、センサ出力値S(n)の変化の様子によっては、実際には、センサ出力値S(n)が一旦大きな値になってから低下したにも拘わらず、時刻t0付近における移動差分値DI(n)を算出すると、現在のセンサ出力値S(n)と16サイクル前のセンサ出力値S(n−16)とがほぼ同じ値となったために、移動差分値DI(n)がごく小さな値となって、ステップS66でDI(n)≦Rと判断され、ヒステリシス期間が終了したと誤判断される虞がある。
【0096】
そこで、上述のステップS41により、時刻t0以降における移動差分値DI(n)の算出に当たって、時刻t0以前のセンサ出力値S(n)の影響を排除する。時刻t0に得られたセンサ出力値をS(0)として各時刻のセンサ出力値S(n)及び移動差分値DI(n)を表現すると、センサ出力値S(n)は図9(1)に示すようになる。但し、図9においては、簡単のため、2サイクル毎の値のみを示している。
ここで、時刻t0以前は、S(0)とS(−16)、S(−2)とS(−18)というように、16サイクルだけ離れた2つのセンサ出力値同士の間で移動差分値を得る(図9(2)参照)。
一方、時刻t0〜t0+16Tの期間には、ステップS41によって、センサ出力値S(−16)〜S(−1)がすべてセンサ出力値S(0)に入れ替えられているため、DI(2)=S(0)−S(2)、DI(4)=S(0)−S(4)というように、S(0)から各時刻でのセンサ出力値S(2),S(4),S(6),…を差し引くこととなる。このため、時刻t0を境として、移動差分値DI(n)の大きさが急変する。なお、時刻t0+16Tよりも後の期間には、例えば、DI(18)=S(2)−S(18)など、通常通りの方法で移動差分値を算出する。
ここで、所定値Rとして適切な値を選択すれば、時刻t0以降、DI(n)>Rとなって、ステップS66でNoと判断され、敏感化期間を継続することができる。
【0097】
なお、本実施形態1において、センサ出力値取得回路19は取得手段に相当する。また、マイクロコンピュータ16は濃度検知手段、濃度上昇検知手段、濃度低下検知手段等の各機能実現手段に相当する。さらに、マイクロコンピュータ16で実現する機能のうち、ステップS3B及びS3Cは濃度検知手段に、このうち、ステップS3Bは濃度上昇検知手段に相当し、ステップS3Cは濃度低下検知手段に相当する。また、ステップS42は交代決定用移動差分値算出手段に相当する。また、ステップS66は移動差分値判断手段あるいは終期決定手段に相当する。また、ステップS34,S35,S36は基準値算出手段に相当する。これらは各々の手段の一例である。
【0098】
(変形形態1)
次いで、変形形態1にかかるガス検出装置について説明する。上記実施形態1では、敏感化期間処理のサブルーチン(図7参照)のステップS66において、YesつまりDI(n)≦Rと判断されると、直ちに、ステップS69で敏感化フラグをリセットして、濃度高しきい値Tuに第2濃度高しきい値Tu2を設定し、敏感化期間を終了させていた。図8で説明すると、DI(n)≦Rとなった時刻t4で、直ちに敏感化期間を終了させていた。
これに対し、本変形形態1にかかるガス検出装置では、DI(n)≦Rと判断されても、若干期間、敏感化期間を延長する点で異なり、他の部分は同様である。従って、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0099】
本変形形態1では、図7において破線で示すように、敏感化期間処理サブルーチンにおいて、ステップS65,S67,S68をさらに有する。即ち、敏感化フラグがセットされており、ステップS64でYesと判断されると、ステップS65に進み、延長タイマの計時中であるか否かを判断する。延長タイマをスタートさせていない場合には、Noと判断され、ステップS66に進む。一方、Yesと判断された場合には、後述するステップS68に進む。ステップS66では、移動差分値DI(n)が所定の値(定数R)よりも小さくなったか否かを判断する。ここで、Noの場合には、メインルーチンに戻る。一方、移動差分値DI(n)が定数R以下の場合(Yes)には、実施形態1のようにステップS69に進むのではなく、ステップS67に進み、延長タイマをスタートさせ、ステップS68に進む。
【0100】
ステップS68では、延長タイマのスタートから時間Jiが経過したか否かを判断する。ここで、時間Ji経過前(No)の場合には、メインルーチンに戻る。一方、時間Ji経過後(Yes)には、ステップS69に進み、敏感化フラグをリセットする。これにより、ステップS21でNoと判断され、濃度高しきい値Tuとして、第2濃度高しきい値Tu2が設定される。
【0101】
本変形形態1について、図8(1)において具体的に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図8(1)(4)は実施形態1の場合と同じであり、時刻t4で移動差分値DI(n)が所定値以下となる。しかし、濃度高しきい値Tuとして、図8(6)に示すように、時刻t0以降、時刻t4を超え、時刻t4から時間Jiの延長期間が経過する時刻t5まで、濃度高しきい値Tuとして、Tu1が設定される。図8(5)と比較すれば容易に判るように、本変形形態1では、敏感化期間(敏感化フラグのセット期間)が時間Jiだけ延長される。
なお、このため、時刻t4以降のセンサ出力値S(n)の上昇により、図8(2)(3)に破線で示すように、本変形形態1では、実施形態1において濃度高フラグがセットされた時刻t3よりも早い時刻t6において、濃度高フラグがセットし、濃度信号LVをHIレベルにすることができた。
【0102】
(変形形態2)
次いで、変形形態2にかかるガス検出装置について説明する。前記した実施形態1では、ヒステリシス処理用データ取得のサブルーチン(図6参照)のステップS42において、移動差分値DI(n)を算出するにあたり、濃度高信号から濃度低信号に変更した直後に、ステップS63で、記憶してあったi+1ヶのセンサ出力値のうち、過去iヶのセンサ出力値S(n−i)〜S(n−1)をすべて現在のセンサ出力値S(n)に入れ替えた。このため、例えば図8(3)及び図9(2)に示すように、濃度高信号から濃度低信号に変更してからi−1サイクル経過するまで(図8等において、時刻t0からt0+15T)、算出される移動差分値DI(n)が相対的に小さな値となりがちである。移動差分値DI(n)の算出に用いる2つのセンサ出力値を取得した時間差が、iサイクル(16サイクル)よりも短いからである。特に、濃度高信号から濃度低信号への変更直後の移動差分値D(1),DI(2)等(図9(2)参照)が小さな値となる。このため、移動差分値DI(n)と比較して、敏感化期間の終期を決定するための所定値Rの選択に制限があった。
【0103】
これに対し、本変形形態2にかかるガス検出装置では、濃度高信号から濃度低信号に変更した後、iサイクル経過までに算出する移動差分値の算出式が異なり、他の部分は同様である。従って、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0104】
本変形形態2では、前記した実施形態1におけるヒステリシス処理用データ取得のサブルーチン(図6参照)に代えて、図10に示すヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンを用いる。即ち、実施形態1と同じく、ステップS41で、ステップS31で取得した現在のセンサ出力値S(n)を記憶する。これにより、S(n−i)〜S(n)の合計i+1ヶ分のセンサ出力値の値を記憶する。その後、ステップS4Nに進み、濃度低信号への変更からiサイクル以内であるか否かを判断する。
ここで、iサイクル以内ではない場合(No)には、ステップS42に進み、通常の手法で移動差分値DI(n)を算出する。その後、補助値bを0としておく。
【0105】
一方、iサイクル以内の場合(Yes)には、ステップS4Qに進み、補助数bを1ずつインクリメントする。次いで、ステップS4Rにおいて、移動差分値DI(n)を以下の式(5)に従って算出する。式(5):DI(n)={S(n−i)−S(n)}・i/b。実施形態1と同じく、既に、ステップS63により、記憶してあったi+1ヶのセンサ出力値のうち、過去iヶのセンサ出力値がすべて濃度低信号への切換時点のセンサ出力値S(n)に入れ替えられている。従って、このステップS4Rで式(5)によって算出する移動差分値DI(n)は、実施形態1において得られる移動差分値に対し、それぞれi/b倍となる。つまり、移動差分値DI(n)の算出に用いる2つのセンサ出力値を取得した時間差がiサイクルよりも短い場合(ステップS4NでYesの場合)には、両者の差を、時間差がiサイクル分まで延長したときに得られる値にまで拡大している。
【0106】
このため、センサ出力値S(n)が図11(1)に示すように変化した場合、本変形形態2によって得られた移動差分値DI(n)は、図11(2)に示すようになる。なお、図11(2)において、白丸で示したのが、ステップS4Rによって算出した移動差分値である。
前記した実施形態1の場合(図9参照)と比較すれば容易に理解できるように、時刻t0〜t0+16Tの期間に算出された移動差分値DI(n)が、実施形態1の場合より大きな値となっている。このため、実施形態1においてステップS66で使用した所定値Rに代えて、これより大きな値を所定値Rとして用いることがきる。これにより、所定値Rをより適切な範囲から選択することができる。
図11(2)に示すように、実施形態1における時刻t4より早い時刻t4’において、DI(n)≦Rとなるから、敏感化期間は時刻t0〜t4’となる。
【0107】
(実施形態2)
次いで、本発明の実施形態2にかかるガス検出装置について説明する。前記した実施形態1では、敏感化フラグがセットされている敏感化期間の終期を、ステップS66に示す条件を満足したか否かで決定する。これに対し、本実施形態2では、敏感化期間の終期は、濃度低信号に切り換えた時刻から所定継続時間BJ1の経過後とする点で異なる。
また、実施形態1では、敏感化期間における濃度高しきい値Tuの値として、一律に所定の第1濃度高しきい値Tu1を用いた。これに対し、本実施形態2では、濃度低信号への変更直後に得られた移動差分値の大きさから第1濃度高しきい値Tu1を決定する。このため、敏感化期間における濃度高しきい値Tuは、得られたセンサ出力値S(n)に応じて変化する点で異なる。
従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
【0108】
本実施形態2においては、実施形態1におけるヒステリシス処理用データ取得のサブルーチン(図6参照)に代えて、図12に示すヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンを用いる。なお、破線で示すステップS45は、後述する変形形態4において用いる。まず。ステップS43では、ステップS31で取得した現在のセンサ出力値S(n)を記憶する。なお、本実施形態2では、マイクロコンピュータ16に記憶領域として、m+1ヶ分の記憶領域を用意しておき、S(n−m)〜S(n)の合計m+1ヶ分のセンサ出力値を記憶する。新たに取得した現在のセンサ出力値S(n)を記憶するには、(m+1)回分過去のセンサ出力値S(n−(m+1))が記憶されている記憶領域に、現在のセンサ出力値S(n)を上書き記憶すると良い。
続いて、ステップS44では、移動差分値DM(n)を、以下の式(6)に従って算出する。式(6):DM(n)=S(n−m)−S(n)。この移動差分値DM(n)は、現在のセンサ出力値S(n)とm回分過去のセンサ出力値S(n−m)との差、従って、この間のセンサ出力値の変化を示している。本実施形態2では、この移動差分値DM(n)を用いて、以下に詳述するステップS60の敏感化期間処理において、第1濃度高しきい値Tu1の大きさを決める(ステップS6A)。
【0109】
ステップS44で移動差分値DM(n)を算出した後、メインルーチンに戻る(図3参照)と、実施形態1と同じく、ステップS50で濃度高信号の発生中であるかどうかをチェックし、Yes即ち濃度高信号を発生している場合には、ステップS20に戻る。一方、Noつまり濃度低信号発生中である場合には、図13に示すステップS60のサブルーチンに進む。ヒステリシス期間中である可能性があるからである。
【0110】
次いで、図13に示すステップS60の敏感化期間処理サブルーチンについて説明する。このサブルーチンのうち、ステップS61,S62,S64,S69は実施形態1と同様である。なお、破線で示すステップS6Bは、後述する変形形態3で用いる。
まず、ステップS61では、濃度高信号に代えて濃度低信号を変更発生した直後であるか否かを判断する。
ここで、Yesの場合には、ステップS62に進み、実施形態1と同じく、敏感化フラグをセットする。
【0111】
その後、ステップS6Aで、以下の式(7)に従って、第1濃度高しきい値Tu1を設定する。式(7):Tu1=P1/DM(n)。ここで、P1は正の定数であるから、濃度低信号へ切換えたタイミングで得られた移動差分値DM(n)が大きくなるほど、第1濃度高しきい値Tu1は小さな値、つまり敏感方向の値となる。この第1濃度高しきい値Tu1は、敏感化フラグがセットされている敏感化期間において、ステップS22(図4参照)により、濃度高しきい値Tuとして設定される。従って、移動差分値DM(n)が大きな値であるほど、敏感化期間における濃度高しきい値が小さな値となる。従って、僅かなセンサ出力値S(n)の上昇に伴う、差分値D(n)の上昇によっても、この差分値D(n)が濃度高しきい値Tuを超えることとなる。かくして、移動差分値DM(n)が大きいほど、より敏感にセンサ出力値の上昇を、従って、ガス濃度の上昇を捉えることができる。
なお、ステップS6Aを実行するのは、濃度低信号を変更発生した直後のみである。
このステップS6Aの後、ステップS6Cに進み、敏感化期間タイマをスタートさせる。
【0112】
一方、ステップS61でNoと判断された場合には、ステップS64に進み、敏感化フラグがセットされているか否かを判断する。ここで敏感化フラグがセットされていない場合(No)には、メインルーチンに戻る。一方、敏感化フラグがセットされている場合(Yes)には、ステップS6Dに進む。
ステップS6Dでは、敏感化期間タイマがステップS6Cでのスタートから所定の継続時間BJ1経過したか否かを判断する。敏感化期間タイマのスタートから継続時間BJ1が経過する前(No)は、メインルーチンに戻る。すると、前述したように、ステップS22において、ステップS6Aで設定した第1濃度高しきい値Tu1が、濃度高しきい値Tuに設定される。一方、敏感化期間タイマが所定の継続時間BJ1を経過した後(Yes)には、ステップS69に進み、敏感化フラグをリセットしメインルーチンに戻る。メインルーチンに戻ると、ステップS21(図4参照)でNoと判断され、ステップS23で、第2濃度高しきい値Tu2が濃度高しきい値Tuとして設定される。
【0113】
このように、本実施形態2では、濃度低信号への変更から所定時間BJ1経過後に敏感化フラグをリセットした。即ち、敏感化フラグがセットされている敏感化期間の終期を、濃度低信号への変更から所定継続時間BJ1経過後に固定した。ヒステリシス現象の継続時間であるヒステリシス期間は、その時々に応じて異なる長さとなるが、感度が大きく低下するのは当初の期間であるから、敏感化期間を固定の長さとしても、感度が大きく低下する期間について、ガス濃度上昇検知を敏感化することができるから、概略、ヒステリシス現象による感度低下防止を達成しうるものと考えられる。
かくして、本実施形態2のガス検出装置でも、ヒステリシス現象が生じても、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0114】
次いで、図14(1)〜(5)の各図を用いて、図14(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図14(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態1の場合と同じである。このため、同じく図14(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状も、実施形態1の場合と同じとなる。
【0115】
一方、ステップS44で算出される移動差分値DM(n)は、図14(4)に示すようになる。この移動差分値DM(n)とセンサ出力値S(n)との関係について、図15を参照して説明する。時刻t0に得られたセンサ出力値をS(0)として各時刻のセンサ出力値S(n)及び移動差分値DI(n)を表現すると、センサ出力値S(n)は、図15(1)に示すようになる。なお、このグラフは、実施形態1における図9(1)と同じである。また、図15においては、簡単のため、2サイクル毎の値のみを示している。
ここで、本実施形態2では、いずれの場合にも、S(−2)とS(−18)、S(0)とS(−16)、S(2)とS(−14)というように、m=16サイクルだけ離れた2つのセンサ出力値同士の間で移動差分値を得る(図15(2)参照)。このように、本実施形態2では、実施形態1においてステップS63で行ったような過去のセンサ出力値の入れ替えを行わないので、実施形態1における移動差分値DI(n)(図9(2)参照)と異なり、移動差分値DM(n)が時刻t0の前後でなだらかに変化している。
【0116】
時刻t0において、D(n)≦Tdとなったため(図14(2)参照)、時刻t0において、濃度高フラグがリセットされ、濃度信号LVがLOレベルに切り換えられる(図14(3)参照)。それと共に、ステップS44において、時刻t0における移動差分値DM(0)を算出する(図14(4)参照)。さらに、ステップS6Aにおいて第1濃度高しきい値Tu1を算出し、この第1濃度高しきい値Tu1を敏感化期間における濃度高しきい値Tuとする(図14(5)参照)。このように、敏感化期間における濃度高しきい値Tuの値は、時刻t0における移動差分値DM(0)の値に応じて変化し、移動差分値DM(0)が大きいほど、濃度高しきい値Tuは小さな値とされる。移動差分値DM(0)が大きいほど、つまり、濃度高信号から濃度低信号への切換時点(時刻t0)におけるセンサ出力値S(n)の変化が大きいほど、ヒステリシス現象の大きさが大きいことが判ってきた。そこで、移動差分値DM(0)が大きいほど、濃度高しきい値Tuを小さな値として、ヒステリシス現象による、酸化性ガスの濃度上昇感度の低下を補うのである。
【0117】
一方、本実施形態2では、敏感化フラグをセット状態とする敏感化期間は、時刻t0から所定継続時間BJ1だけ経過した時刻t7で終了する(図14(5)参照)。従って、その後は、濃度高しきい値Tuとして、所定の値の第2濃度高しきい値Tu2が設定される。ヒステリシス現象による酸化性ガスの濃度上昇の感度低下は、濃度高信号から濃度低信号への切換時(時刻t0)の直後が最も大きく、時間の経過と共に徐々に感度低下が小さくなる。従って、時刻t0から一律に所定継続時間BJ1だけを敏感化期間とすれば、少なくとも大きく感度低下する期間を敏感化期間とすることができるので、これで足りる場合も多いと考えられるからである。
【0118】
かくして、濃度高しきい値Tuは、図14(5)に実線で、また図14(2)に破線で示すように変化する。ステップS39において、この濃度高しきい値Tuと差分値D(n)との比較(図5参照)により、濃度高信号の発生(濃度高フラグのセット、濃度信号LVのHIレベルへの変化)の適否が決定される。なお、図14(1)に示すセンサ出力値S(n)の変化では、時刻t3にD(n)>Tuとなり、この時刻t3以降、濃度高フラグがセットされ、濃度信号LVがHIレベルとされる。
【0119】
なお、本実施形態2において、濃度低信号への変更直後に得られた移動差分値DM(n)、即ち、時刻t0における移動差分値DM(0)は、ヒステリシス強度情報の1つである。また、マイクロコンピュータ16で実現する機能のうち、ステップS44はしきい値用移動差分値算出手段に相当し、ステップS6Aは第1濃度高しきい値決定手段に相当する。これらは各々の手段の一例である。
【0120】
(変形形態3)
次いで、変形形態3にかかるガス検出装置について説明する。上述の実施形態1,2等では、濃度高しきい値Tuの設定のサブルーチン(図4参照)のステップS21において、Yesつまり敏感化フラグがセットされていると判断すると、ステップS22で第1濃度高しきい値Tu1を濃度高しきい値Tuとして設定した。この第1濃度高しきい値Tu1は、実施形態1においては、常に一定の値である。一方、実施形態2においては、ステップS6Aにより移動差分値DM(n)の値に応じた第1濃度高しきい値Tu1が選択される。しかし、いずれにおいても、一続きの敏感化期間内では、一定の値を維持しており、第1濃度高しきい値Tu1及び濃度高しきい値Tuが、敏感化期間内に変化することはなかった。
これに対し、本変形形態3にかかるガス検出装置では、敏感化期間において、第1濃度高しきい値Tu1の値、従って濃度高しきい値Tuを変化させる点で異なり、他の部分は実施形態2と同様である。従って、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0121】
図4に示す実施形態1,2等の濃度高しきい値Tuの設定のサブルーチンと比較すると容易に理解できるように、図16に示す本変形形態3における濃度高しきい値Tuの設定のサブルーチンは、ステップS21とS22との間に、新たなステップS24,S25を有する。
即ち、ステップS21において、敏感化フラグがセットされていると判断される(Yes)と、ステップS24に進み、濃度高しきい値Tuを変更してから時間W1が経過したか否かの判断をする。ここで、Noの場合には、ステップS25をスキップして、ステップS22に進む。一方、Yesの場合には、ステップS25に進み、第1濃度高しきい値Tu1の更新を行う。具体的には、現在の濃度高しきい値Tu1に変化分△Tu1を加えた値を、新たな濃度高しきい値Tu1とする。これにより、第1濃度高しきい値Tu1は、時間W1の経過毎に値が徐々に増加することとなる。その後、ステップS22では、濃度高しきい値Tuに、第1濃度高しきい値Tu1を設定する。従って、敏感化フラグがセットされている敏感化期間には、濃度高しきい値Tuも時間W1経過毎に値が△Tu1ずつ徐々に増加する。
なお、ステップS21において、敏感化フラグがセットされていないと判断された場合(No)には、実施形態1,2と同じく、第2濃度高しきい値Tu2が濃度高しきい値Tuに設定される。
【0122】
また、本変形形態3では、図13に示す敏感化期間処理のサブルーチンにおいて、破線で示すように、ステップS6AとS6Cとの間に、ステップS6Bを有する。このステップS6Bでは、第1濃度高しきい値Tu1の更新間隔W1毎の変化分△Tu1を算出する。本変形形態3では、実施形態2と同じく、ステップS6Aで第1濃度高しきい値Tu1の大きさが、切換時(時刻t0)に得られた移動差分値DM(n)の大きさに応じて変化する。一方、敏感化期間における第1濃度高しきい値Tu1の大きさは、第2濃度高しきい値Tu2を超えないように、かつ、第1濃度高しきい値Tu1が徐々に第2濃度高しきい値Tu2に近づくようにするのが好ましい。そこで、変化分△Tu1が適切な値となるように、このステップS6Bで算出するのである。具体的には、以下の式(8)に従って、変化分△Tu1を算出する。式(8):△Tu1=(Tu2−Tu1)・W1/BJ1。
かくして、本変形形態3のガス検出装置では、ヒステリシス現象が生じても、各時点で適切な濃度高しきい値を設定することができ、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0123】
なお、本変形形態3では、更新間隔W1を一定とした。また、変化分△Tu1は、ステップS6Bによって算出するため、各敏感化期間毎に異なる値となりうるが、一連の敏感化期間内では、一定とした。しかし、更新間隔W1や変化分△Tu1には、各時点において、適宜の値を選択することもできる。但し、敏感化期間の継続時間BJ1や敏感化期間当初の第1濃度高しきい値Tu1の大きさを勘案して、敏感化期間における第1濃度高しきい値Tu1の大きさが、第2濃度高しきい値Tu2を超えないようにするのが好ましい。
また、本変形形態3では、更新間隔W1は一定とし、変化分△Tu1も一連の敏感化期間内では一定の値とした。しかし、例えば、変化分△Tu1を時間と共に減少させて、敏感化期間のうち早い段階だけ特に敏感化を図り、第1濃度高しきい値Tu1を第2濃度高しきい値Tu2に漸近するように変化させるなど、変化分△Tu1を時間の経過と共に変化させることもできる。また、濃度高しきい値を更新する時間W1を徐々に長くすることで、敏感化期間のうち早い段階だけ特に敏感化を図るようにするなど、更新の時間W1を時間の経過と共に変化させることもできる。
【0124】
なお、本変形形態3において、マイクロコンピュータ16で実現する機能のうち、ステップS6Bは第1濃度高しきい値変更手段に相当する。これらは各々の手段の一例である。
【0125】
(変形形態4)
次いで、変形形態4にかかるガス検出装置について説明する。上述の実施形態2及び変形形態3にかかるガス検出装置では、濃度低信号への切換直後に、ステップS6Aにおいて、第1濃度高しきい値Tu1を決定することにより、移動差分値DM(n)に応じて第1濃度高しきい値Tu1が変化するようにした。一方、敏感化期間については、ステップS6Dにより一律に継続時間BJ1の長さを持たせた(図13参照)。さらに変形形態3では、この敏感化期間内において、第1濃度高しきい値Tu1の値、従って濃度高しきい値Tuを徐々に増加させた。
これに対し、本変形形態4では、実施形態2等と同じく濃度低信号への変更直後の第1濃度高しきい値Tu1を移動差分値DM(n)に応じて変化させるのみならず、敏感化期間の長さをも変化させる点で異なり、他の部分は変形形態3と同様である。従って、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0126】
図12に示すように、本変形形態4においては、実施形態2及び変形形態3と同じく、ヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンにおいて、ステップS44で第1濃度高しきい値Tu1の決定に用いる移動差分値DM(n)を算出する。このほか、図12に破線で示すように、ステップS45により、敏感化期間の終期を決定に用いる移動差分値DJ(n)を、現在のセンサ出力値S(n)とjサイクル過去のセンサ出力値S(n−j)とから、以下の式(9)によって算出する。式(9):DJ(n)=S(n−j)−S(n)。なお、これらに先立ち、ステップS43において、j≦mのときはm+1ヶ分のセンサ出力値を記憶し、j>mのときはj+1ヶ分のセンサ出力値を記憶する。つまり、mとjのいずれか大きい方に1加えた数だけ記憶しておく。
【0127】
さらに、図13に示す実施形態2及び変形形態3の敏感化期間処理のサブルーチンと比較すると容易に理解できるように、図17に示す本変形形態4の敏感化期間処理のサブルーチンは、ステップS6AとS6Cとの間に、新たなステップS6E,S6Fを有する。
即ち、実施形態2及び変形形態3と同じく、濃度低信号への切換直後には、ステップS62で敏感化フラグをセットした後、ステップS6Aにおいて、移動差分値DM(n)を用いて第1濃度高しきい値Tu1を設定する。さらに、本変形形態4では、ステップS6Eにおいて、敏感化期間継続時間BJ2の設定を以下の式(10)により行う。式(10):BJ2=BJ2S+DJ(n)×Q1。ここで、BJ2SとQ1は正の定数である。従って、濃度低信号への変更直後に得られた移動差分値DJ(n)が大きいほど、敏感化期間継続時間BJ2は大きな値となる。
【0128】
さらに、ステップS6Fでは、更新間隔W1毎の変化分△Tu1を算出する。本変形形態4でも、実施形態2及び変形形態3と同じく、ステップS6Aで得られる第1濃度高しきい値Tu1の大きさが、切換時(時刻t0)に得られた移動差分値DM(n)の大きさに応じて変化する。一方、敏感化期間における第1濃度高しきい値Tu1の大きさは、第2濃度高しきい値Tu2を超えないように、かつ、第1濃度高しきい値Tu1が徐々に第2濃度高しきい値Tu2に近づくようにするのが好ましい。そこで、変化分△Tu1が適切な値となるように、このステップS6Fで算出する。本変形形態4では、敏感化期間継続時間BJ2をステップS6Eで設定したので、この継続時間BJ2を用い、以下の式(11)に従って、変化分△Tu1を算出する。式(11):△Tu1=(Tu2−Tu1)・W1/BJ2。
【0129】
一方、ステップS61でNoと判断され、さらに、ステップS64でYesと判断された場合(敏感化期間内の場合)、ステップS6Gにおいて、ステップS6Cでスタートさせた敏感化期間タイマが、スタートから継続時間BJ2だけ経過したか否かを判断し、Noの場合はメインルーチンに戻り、Yesの場合にはステップS69で敏感化フラグをリセットする。これにより、敏感化期間の終期が、タイマのスタートから継続時間BJ2経過した時刻となる。
【0130】
このようにするのは、以下の理由による。即ち、ヒステリシス現象の大きさが大きく、従って、濃度低信号への変更直後のセンサ出力値の変化が大きいほど、ヒステリシス現象が継続するヒステリシス期間が長くなることが判ってきた。そこで、本変形形態4では、敏感化期間継続時間BJ2の大きさを式(10)によって設定することとした。即ち、濃度低信号への変更直後のセンサ出力値の変化に対応する変更直後に得られた移動差分値DJ(n)の大きさに応じ、移動差分値DJ(n)が大きいほど敏感化期間継続時間BJ2の大きさを大きくする。これにより、ヒステリシス期間が長いほど、敏感化期間も長くすることができ、ヒステリシス現象による、ガス濃度上昇の感度低下を適切な期間にわたって補うことができる。
なお、本変形形態4では、変形形態3と同じく、第1濃度高しきい値Tu1を徐々大きくするようにしている。
かくして、本変形形態4のガス検出装置でも、ヒステリシス現象が生じても、各時点で適切な濃度高しきい値Tuを設定することができ、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0131】
次いで、図18(1)〜(4)の各図、及び、図19を用いて、図18(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図18(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態1,2及び変形形態3の場合と同じである。このため、同じく図18(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状、及び(3)に示す濃度高フラグの変化も、実施形態1,2及び変形形態3の場合と同じとなる。なお、図18及び図19に示す例においては、簡単のため、j=m=16としたので、第1濃度高しきい値Tu1の決定に用いる移動差分値DM(n)と敏感化期間の終期を決定に用いる移動差分値DJ(n)とは等しい(図18(4)参照)。
一方、図19に実線で、及び図18(2)で破線で示す濃度高しきい値Tuは、濃度高信号から濃度低信号に切り替わる時刻t0から、敏感化期間継続時間BJ2が経過する時刻t8までの敏感化期間において、第1濃度高しきい値Tu1が設定される。しかも、図19に示すように、時間W1の経過毎に、濃度高しきい値Tu(第1濃度高しきい値Tu1)が変化分△Tu1ずつ増加するように設定される。このうち、時刻t0の直後に設定される第1濃度高しきい値Tu1及び濃度高しきい値Tuは、時刻t0の時点で得られた移動差分値DM(0)を用いてステップS6Aにより算出される。
なお、この敏感化期間継続時間BJ2の大きさは、図19に示すように、時刻t0に得られる移動差分値DJ(0)を用いてステップS6Eによって設定される。さらに、変化分△Tu1の大きさは、この継続時間BJ2をも用いて、ステップS6Fによって設定される。
【0132】
本変形形態4においても、前記した変形形態3と同じく、各時点において、更新間隔W1や変化分△Tu1に適宜の値を選択することもできる。但し、敏感化期間の継続時間BJ2や敏感化期間当初の第1濃度高しきい値Tu1の大きさを勘案して、敏感化期間における第1濃度高しきい値Tu1の大きさが、第2濃度高しきい値Tu2を超えないようにするのが好ましい。
また、例えば、変化分△Tu1を時間と共に減少させて、敏感化期間のうち早い段階だけ特に敏感化を図るようにするなど、変化分△Tu1を時間の経過と共に変化させることもできる。また、濃度高しきい値を更新する時間W1を徐々に長くすることで、敏感化期間のうち早い段階だけ特に敏感化を図るようにするなど、更新の時間W1を時間の経過と共に変化させることもできる。
【0133】
なお、本変形形態4において、濃度低信号への変更直後に得られた移動差分値DJ(n)、即ち、時刻t0における移動差分値DJ(0)は、ヒステリシス期間情報の1つである。また、マイクロコンピュータ16で実現する機能のうち、ステップS45は終期決定用移動差分値算出手段に相当し、ステップS6E,S6Gは終期先決め手段に相当する。これらは各々の手段の一例である。
また、本変形形態4においては、濃度高信号から濃度低信号への切換時点に得られた移動差分値DJ(n)を用いて、図18,図19に即して言えば、時刻t0に得られた移動差分値DJ(0)を用いて、ステップS6Eにより継続時間BJ2の大きさを決定した。しかし、切換時点より所定時間前または所定時間後に得られた移動差分値から終期を決定することもできる。図18,図19に即して言えば、時刻t0よりも所定時間だけ前または後の時点に得られた移動差分値、例えばDJ(−2),DJ(4)等を用いて、ステップS6Eにより継続時間BJ2の大きさを決定することもできる。
【0134】
(実施形態3)
次いで、本発明の実施形態3にかかるガス検出装置について説明する。前記した実施形態2では、第1濃度しきい値Tu1を、濃度低信号への変更直後に得られた移動差分値DM(n)に応じてステップS6Aにより決定した(図13参照)。 これに対し、本実施形態3では、第1濃度しきい値Tu1を、濃度低信号への切換直前の濃度高信号発生期間における、差分値D(n)の最大値により決定する点で異なる。
従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
【0135】
本実施形態3においては、実施形態1,2におけるヒステリシス処理用データ取得のサブルーチン(図6,図12参照)に代えて、図20に示すヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンを用いる。このサブルーチンにおいて、濃度低信号への切換直前の濃度高信号発生期間における、差分値D(n)の最大値(最大差分値)Dmaxを取得する。まず、ステップS46では、濃度高信号への変更直後であるか否か、つまり、濃度高フラグをセットした直後であるか否かを判断する。
ここで、Yesの場合には、ステップS47に進み、現在の差分値D(n)をDmaxとする。濃度高信号への変更があった時刻以降の差分値の最大値を得るべく、初期値を設定するのでためである。
一方、Noの場合には、ステップS48に進む。この場合には、既にDmaxが保持されているはずであるので、現在の差分値D(n)とDmaxとを比較し、D(n)>Dmaxのとき、現在の差分値D(n)をDmaxに置換する。濃度高信号発生期間中において、これが繰り返えされることにより、濃度高信号発生期間中における最大差分値Dmaxが得られる。
【0136】
次いで、図21に示す敏感化期間処理のサブルーチンについて説明する。このサブルーチンは、図13に示す実施形態2にかかる敏感化期間処理のサブルーチンにおいて、ステップS6Aに代えてステップS6Hを用いる。即ち、濃度低信号への変更直後(ステップS61でYes)の場合には、ステップS62で敏感化フラグをセットした後、ステップS6Hにおいて、上記したヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンにおいて予め得ておいた最大差分値Dmaxを用いて、以下の式(12)に従って、濃度高しきい値Tu1を設定する。式(12):Tu1=P2/Dmax。ここで、P2は正の定数であるから、最大差分値Dmaxが大きくなるほど、算出される第1濃度高しきい値Tu1は小さな値となる。この第1濃度高しきい値Tu1は、実施形態1,2と同じく、敏感化フラグがセットされている敏感化期間において、ステップS22(図4参照)により、濃度高しきい値Tuとして設定される。従って、最大差分値Dmaxが大きな値であるほど、敏感化期間における濃度高しきい値Tuが小さな値となる。このため、より敏感にセンサ出力値の上昇を、従って、ガス濃度の上昇を捉えることができる。
【0137】
ヒステリシス現象は、特定ガス分子のガスセンサ素子への吸着によって生じると考えられる。このため、ヒステリシス現象の大きさは、濃度高信号から濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間において曝された特定ガスの最大濃度に依存すると考えられる。
これに対して、センサ出力値S(n)とベース値B(n)との差である差分値D(n)は、各時点でのガス濃度の大きさをある程度反映していると考えられる。このため、最大差分値Dmaxは、濃度高信号から濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間において曝された特定ガスの最大濃度に応じた大きさになると考えられる。
そこで、本実施形態3では、最大差分値Dmaxに基づいて第1濃度高しきい値Tu1を決定するのである。しかも、最大差分値Dmaxが大きな値であるほど、濃度高信号から濃度低信号への切換後に生じるヒステリシス現象の大きさは大きくなると推測されるから、第1濃度高しきい値Tu1をより小さな値として、ガス濃度上昇の検出感度の低下を補うのである。
【0138】
なお、ステップS6Hを実行するのは、濃度低信号への切換直後のみである。また、実施形態2と同じく、本実施形態3では、ステップS6Cにおける敏感化期間タイマのスタートから、所定の継続時間BJ1経過後に敏感化期間が終了する。それ以降は、濃度高しきい値Tuとして第2濃度高しきい値Tu2が設定される。
かくして、本実施形態3のガス検出装置でも、ヒステリシス現象が生じても、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0139】
次いで、図22(1)〜(4)の各図を用いて、図22(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図22(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態1,2の場合と同じである。このため、同じく図22(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状、及び(3)に示す濃度高フラグの変化も、実施形態1,2の場合と同じとなる。
一方、図22(2)で破線で、図22(4)に実線で示す濃度高しきい値Tuは、濃度高信号から濃度低信号に切り替わる時刻t0から、所定継続時間BJ1経過する時刻t7までの敏感化期間において、第1濃度高しきい値Tu1が設定される。この第1濃度高しきい値Tu1は、濃度高信号から濃度低信号への切換時点(時刻t0)の直前の濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)に得られた差分値D(n)のうち最大差分値Dmax(図22(2)参照)を用いて、ステップS6Hにより、式(12)で与えられる。従って、この第1濃度高しきい値Tu1は、最大差分値Dmaxが大きいほど小さな値とされる。かくして、ヒステリシス現象による検出感度の低下が大きいほど、第1濃度高しきい値Tu1を小さくして、センサ出力値S(n)の上昇、従って酸化性ガスの濃度上昇をより敏感に検出できるようにすることができる。
【0140】
(変形形態5)
次いで、変形形態5にかかるガス検出装置について説明する。上述の実施形態3にかかるガス検出装置では、濃度低信号への変更直後に、ステップS6Hにおいて、式(12)により第1濃度高しきい値Tu1を決定することにより、最大差分値Dmaxに応じた値になるようにした。一方、敏感化期間については、ステップS6Dにより一律の継続時間BJ1とした(図21参照)。
これに対し、本変形形態5では、実施形態3と同じく濃度低信号への変更直後に最大差分値Dmaxに応じた第1濃度高しきい値Tu1を設定する。しかし、これに加えて、敏感化期間の長さ(敏感化期間の終期)をも最大差分値Dmaxに応じて設定する点で異なる。その他の部分は実施形態3と同様である。従って、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0141】
図21に示す実施形態3の敏感化期間処理のサブルーチンと比較すると容易に理解できるように、図23に示す本変形形態5の敏感化期間処理のサブルーチンは、ステップS6HとS6Cとの間に、新たなステップS6Iを有する。
即ち、実施形態3と同じく、濃度低信号への変更直後には、ステップS62で敏感化フラグをセットした後、ステップS6Hにおいて、最大差分値Dmaxを用いて第1濃度高しきい値Tu1を設定する。さらに、ステップS6Iにおいて、敏感化期間継続時間BJ3の設定を以下の式(13)により行う。式(13):BJ3=BJ3S+Dmax×Q2。ここで、BJ3SとQ2は正の定数である。従って、最大差分値Dmaxが大きいほど、敏感化期間継続時間BJ3は大きな値となる。
【0142】
一方、ステップS61でNoと判断され、さらに、ステップS64でYesと判断された場合(敏感化期間内の場合)、ステップS6Jにおいて、ステップS6Cでスタートさせた敏感化期間タイマが、スタートから継続時間BJ3だけ経過したか否かを判断し、Noの場合はメインルーチンに戻り、Yesの場合にはステップS69で敏感化フラグをリセットする。このようにして敏感化期間の終期が決定され、敏感化期間の継続時間は、ステップS6Iで設定された敏感化期間継続時間BJ3の長さとなる。
【0143】
このようにするのは、以下の理由による。即ち、濃度低信号への切換直前の濃度高信号発生期間において曝された酸化性ガスの最大濃度が高いほど、従って、この期間に得られた最大差分値Dmaxの大きさが大きいほど、ヒステリシス現象が継続するヒステリシス期間が長くなることが判ってきた。そこで、本変形形態5では、敏感化期間継続時間BJ3の大きさを式(13)によって設定することとした。即ち、最大差分値Dmaxが大きいほど敏感化期間継続時間BJ3の大きさを大きくする。これにより、ヒステリシス期間が長いほど、敏感化期間も長くすることができ、ヒステリシス現象によるガス濃度上昇の感度低下を適切な期間にわたって補うことができる。
かくして、本変形形態5のガス検出装置でも、ヒステリシス現象が生じても、適切な濃度高しきい値Tuを設定することができ、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0144】
次いで、図24(1)〜(4)の各図を用いて、図24(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図24(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態3の場合と同じである。このため、同じく図24(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状、及び(3)に示す濃度高フラグの変化も、実施形態3の場合と同じとなる。
一方、図24(4)に示す濃度高しきい値Tuは、濃度高信号から濃度低信号に切り替わる時刻t0から、敏感化期間継続時間BJ3が経過する時刻t9までの敏感化期間において、第1濃度高しきい値Tu1に設定される。この第1濃度高しきい値Tu1及び濃度高しきい値Tuは、実施形態3と同じく、濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)において得られた最大差分値Dmax(図24(2)参照)を用いて、式(12)で与えられる。従って、この第1濃度高しきい値Tu1は、最大差分値Dmaxが大きいほど小さな値とされる。
【0145】
さらに、本変形形態5では、敏感化期間継続時間BJ3の長さも、最大差分値Dmaxを用いて、式(13)によって設定される。この敏感化期間継続時間BJ3は、最大差分値Dmaxが大きいほど大きな値とされる。
センサ出力値S(n)とベース値B(n)との差である差分値D(n)は、酸化性ガス濃度の変化をある程度反映した値となっていると考えられる。このため、最大差分値Dmaxは濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)内においてガスセンサ素子11が曝された酸化性ガスの最大濃度を反映した値となっていると考えられる。一方、ガスセンサ素子11が曝された酸化性ガスの最大濃度が大きいほど、ヒステリシス現象が継続するヒステリシス期間が長くなることが判ってきた。従って、上述の如く、最大差分値Dmaxに応じた敏感化期間継続時間BJ3を用いることにより、ヒステリシス期間が長いほど敏感化期間を長くして、酸化性ガス濃度上昇の検知感度の低下を補うことができる。
【0146】
(実施形態4)
次いで、本発明の実施形態4にかかるガス検出装置について説明する。前記した実施形態3では、第1濃度しきい値Tu1を、濃度高信号発生期間内に得られた最大差分値Dmaxに応じてステップS6Hにより決定した(図21参照)。これに対し、本実施形態4では、第1濃度しきい値Tu1を、濃度高信号発生期間の継続時間(濃度高継続時間)GHにより決定する点で異なる。
従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
【0147】
本実施形態4においては、実施形態3におけるヒステリシス処理用データ取得のサブルーチン(図20参照)に代えて、図25に示すヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンを用いる。このサブルーチンにおいて、濃度低信号への切換直前の濃度高信号発生期間の長さである濃度高継続時間GHを取得する。
まず、実施形態3と同じく、ステップS46では、濃度高信号への変更直後であるか否か、つまり、濃度高フラグをセットした直後であるか否かを判断する。濃度高信号発生期間の始期を検知するためである。
ここで、Yesの場合には、ステップS49に進み、濃度高継続時間計時タイマをスタートさせ、メインルーチンに戻る。
一方、Noの場合には、ステップS4Aに進む。このステップS4Aでは、上述したステップS46とは逆に、濃度低信号への変更直後であるか否か、つまり、濃度高フラグをリセットした直後であるか否かを判断する。濃度高信号発生期間の終期を検知するためである。ここで、Noの場合にはメインルーチンに戻る。一方、Yesの場合には、ステップS4Bに進み、濃度高継続時間計時タイマをストップさせると共に、このタイマで計時した時間を濃度高継続時間GHとして取得する。
【0148】
次いで、図26に示す敏感化期間処理のサブルーチンについて説明する。このサブルーチンは、図21に示す実施形態3にかかる敏感化期間処理のサブルーチンにおけるステップS6Hに代えて、ステップS6Kを用いる。即ち、濃度低信号への変更直後(ステップS61でYes)の場合には、ステップS62で敏感化フラグをセットした後、ステップS6Kにおいて、上記したヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンで予め得ておいた濃度高継続時間GHを用いて、以下の式(14)に従って、濃度高しきい値Tu1を設定する。式(14):Tu1=P3/GH。ここで、P3は正の定数であるから、濃度高継続時間GHが大きくなるほど、算出される第1濃度高しきい値Tu1は小さな値となる。この第1濃度高しきい値Tu1は、実施形態1〜3と同じく、敏感化期間において、ステップS22(図4参照)により、濃度高しきい値Tuとして設定される。従って、濃度高継続時間GHが大きな値であるほど、敏感化期間における濃度高しきい値Tuが小さな値となる。このため、より敏感にセンサ出力値の上昇を、従って、ガス濃度の上昇を捉えることができる。
【0149】
ヒステリシス現象は、特定ガス分子のガスセンサ素子への吸着によって生じると考えられるので、ヒステリシス現象の大きさは、特定ガス(酸化性ガス)濃度が上昇してから低下するまでの期間の長さにも依存すると考えられる。ガスセンサ素子が特定ガスに曝される時間が長くなるほど、より多くのガス分子がガスセンサ素子に吸着されると考えられるからである。
これに対して、濃度高フラグがセットされ、濃度信号LVをHIレベルとしている期間、つまり、濃度高信号発生期間は、ガスセンサ素子が高い濃度の特定ガスに曝されている期間に概略対応していると考えられる。このため、濃度高信号発生期間の長さである濃度高継続時間GHは、ヒステリシス現象の大きさに応じた値になると考えられる。
そこで、本実施形態4では、この濃度高継続時間GHに基づいて第1濃度高しきい値Tu1を決定するのである。しかも、濃度高継続時間GHが大きな値であるほど、濃度高信号から濃度低信号への切換後に生じるヒステリシス現象の大きさは大きくなると推測されるから、第1濃度高しきい値Tu1をより小さな値として、ガス濃度上昇の検出感度の低下を補うのである。
【0150】
なお、ステップS6Kを実行するのは、濃度低信号への切換直後のみである。また、実施形態2,3と同じく、本実施形態4では、ステップS6Cにおける敏感化期間タイマのスタートから、所定の継続時間BJ1だけ経過後に敏感化期間が終了する。それ以降は、濃度高しきい値Tuとして第2濃度高しきい値Tu2が設定される。
かくして、本実施形態4のガス検出装置でも、ヒステリシス現象が生じても、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0151】
次いで、図27(1)〜(4)の各図を用いて、図27(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図27(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態1〜3の場合と同じである。このため、同じく図27(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状、及び(3)に示す濃度高フラグの変化も、実施形態1〜3の場合と同じとなる。
一方、図27(2)に破線で、図27(4)に実線で示す濃度高しきい値Tuは、濃度高信号から濃度低信号に切り替わる時刻t0から、所定継続時間BJ1経過する時刻t7までの敏感化期間において、第1濃度高しきい値Tu1が設定される。この第1濃度高しきい値Tu1は、濃度高信号から濃度低信号への切換時点(時刻t0)の直前の濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)の継続時間である濃度高継続時間GH(図27(2)参照)を用いて、ステップS6Kにより、式(14)で与えられる。従って、この第1濃度高しきい値Tu1は、濃度高継続時間GHが大きいほど小さな値とされる。かくして、ヒステリシス現象による検出感度の低下が大きいほど、第1濃度高しきい値Tu1を小さくして、センサ出力値S(n)の上昇、従って酸化性ガスの濃度上昇をより敏感に検出できるようにすることができる。
【0152】
(変形形態6)
次いで、変形形態6にかかるガス検出装置について説明する。上述の実施形態4にかかるガス検出装置では、濃度低信号への変更直後に、ステップS6Kにおいて、式(14)により第1濃度高しきい値Tu1を決定することにより、濃度高継続時間GHに応じた値になるようにした。一方、敏感化期間については、ステップS6Dにより一律の継続時間BJ1とした(図27参照)。
これに対し、本変形形態6では、実施形態4と同じく濃度低信号への変更直後に濃度高継続時間GHに応じた第1濃度高しきい値Tu1を設定する。しかし、これに加えて、敏感化期間の長さ(敏感化期間の終期)をも濃度高継続時間GHに応じて設定する点で異なる。その他の部分は実施形態4と同様である。従って、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0153】
図26に示す実施形態4の敏感化期間処理のサブルーチンと比較すると容易に理解できるように、図28に示す本変形形態6の敏感化期間処理のサブルーチンは、ステップS6KとS6Cとの間に、新たなステップS6Lを有する。
即ち、実施形態4と同じく、濃度低信号への変更直後には、ステップS62で敏感化フラグをセットした後、ステップS6Kにおいて、濃度高継続時間GHを用いて第1濃度高しきい値Tu1を設定する。さらに、ステップS6Lにおいて、敏感化期間継続時間BJ4の設定を以下の式(15)により行う。式(15):BJ4=BJ4S+GH×Q3。ここで、BJ4SとQ3は正の定数である。従って、濃度高継続時間GHが大きいほど、敏感化期間継続時間BJ4は大きな値となる。
【0154】
一方、ステップS61でNoと判断され、さらに、ステップS64でYesと判断された場合(敏感化期間内の場合)、ステップS6Mにおいて、ステップS6Cでスタートさせた敏感化期間タイマが、スタートから継続時間BJ4だけ経過したか否かを判断し、Noの場合はメインルーチンに戻り、Yesの場合にはステップS69で敏感化フラグをリセットする。このようにして敏感化期間の終期が決定され、敏感化期間の継続時間は、ステップS6Lで設定された敏感化期間継続時間BJ4の長さとなる。
このようにするのは、ガスセンサ素子が特定ガスに曝される時間が長いほど、従って、濃度高信号発生期間が長いほど、ヒステリシス期間も長くなることが判ってきたからである。そこで、本変形形態6では、敏感化期間継続時間BJ4の大きさを式(15)によって設定することとし、濃度高継続時間GHが大きいほど敏感化期間継続時間BJ4の大きさを大きくする。これにより、ヒステリシス期間が長いほど、敏感化期間も長くすることができ、ヒステリシス現象による、ガス濃度上昇の感度低下を適切な期間にわたって補うことができる。
【0155】
次いで、図29(1)〜(4)の各図を用いて、図29(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図29(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態1〜4の場合と同じである。このため、同じく図29(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状、及び(3)に示す濃度高フラグの変化も、実施形態4の場合と同じとなる。
一方、図29(4)に示す濃度高しきい値Tuは、濃度高信号から濃度低信号に切り替わる時刻t0から、敏感化期間継続時間BJ4が経過する時刻t10までの敏感化期間において、第1濃度高しきい値Tu1が設定される。この第1濃度高しきい値Tu1及び濃度高しきい値Tuは、実施形態4と同じく、濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)の長さである濃度高継続時間GH(図29(3)参照)を用いて、式(14)で与えられる。従って、この第1濃度高しきい値Tu1は、濃度高継続時間GHが大きいほど小さな値とされる。
【0156】
さらに、本変形形態6では、敏感化期間継続時間BJ4の長さも、濃度高継続時間GHを用いて、式(15)によって設定される。この敏感化期間継続時間BJ4は、濃度高継続時間GHが大きいほど大きな値とされる。
ヒステリシス期間は、曝された特定ガスの継続時間にも依存すると考えられるからである。このため、濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)の長さである濃度高継続時間GHに応じた敏感化期間継続時間BJ4を用いることにより、ヒステリシス期間が長いほど敏感化期間を長くして、適切な期間にわたり酸化性ガス濃度上昇の検知感度の低下を補うことができる。
【0157】
(実施形態5)
次いで、本発明の実施形態5にかかるガス検出装置について説明する。前記した実施形態3では、第1濃度しきい値Tu1を、濃度高信号発生期間内に得られた最大差分値Dmaxに応じてステップS6Hにより決定した(図21参照)。これに対し、本実施形態5では、第1濃度しきい値Tu1を、濃度高信号発生期間に得られた差分値D(n)の差分値和SDにより決定する点で異なる。
従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
【0158】
本実施形態5においては、実施形態3におけるヒステリシス処理用データ取得のサブルーチン(図20参照)に代えて、図30に示すヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンを用いる。このサブルーチンにおいて、差分値和SDを取得する。
まず、実施形態3と同じく、ステップS46では、濃度高信号への変更直後であるか否か、つまり、濃度高フラグをセットした直後であるか否かを判断する。濃度高信号発生期間の始期を検知するためである。
ここで、Yesの場合には、ステップS4Cに進み、現在の差分値D(n)を用いて差分値和SDの算出を開始する。具体的には、差分値和SDとして、現在の差分値D(n)を代入し、メインルーチンに戻る。
一方、Noの場合には、ステップS4Dに進む。このステップS4Dでは、現在、濃度高信号発生中であるか否かを判断する。具体的には、濃度高フラグがセットされているか否かを判断する。濃度高信号発生期間だけ、差分値和SDを更新するからである。ここで、Noの場合にはメインルーチンに戻る。一方、Yesの場合には、ステップS4Eに進み、既に得られた差分値和SDに現在の差分値D(n)加えたものを新たな差分値和SDとする。このようにして差分値和SDを得るので、濃度高信号発生期間には、差分値和SDは徐々に増加する。
【0159】
次いで、図31に示す敏感化期間処理のサブルーチンについて説明する。このサブルーチンは、図21に示す実施形態3にかかる敏感化期間処理のサブルーチンにおけるステップS6Hに代えて、ステップS6Nを用いる。即ち、濃度低信号への変更直後(ステップS61でYes)の場合には、ステップS62で敏感化フラグをセットした後、ステップS6Nにおいて、上記したヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンで予め得ておいた差分値和SDを用いて、以下の式(16)に従って、濃度高しきい値Tu1を設定する。式(16):Tu1=P4/SD。ここで、P4は正の定数であるから、差分値和SDが大きくなるほど、算出される第1濃度高しきい値Tu1は小さな値となる。この第1濃度高しきい値Tu1は、実施形態3と同じく、敏感化フラグがセットされている敏感化期間において、ステップS22(図4参照)により、濃度高しきい値Tuとして設定される。従って、差分値和SDが大きな値であるほど、敏感化期間における濃度高しきい値Tuが小さな値となる。このため、より敏感にセンサ出力値の上昇を、従って、ガス濃度の上昇を検知することができる。
【0160】
ヒステリシス現象の大きさは、濃度高信号発生期間における特定ガス濃度及びこの期間の継続時間に依存すると考えられる。ガスセンサ素子が曝される特定ガスの濃度が高いほど、また、曝される時間が長くなるほど、より多くのガス分子がガスセンサ素子に吸着されると考えられるからである。
これに対して、差分値D(n)は特定ガスの濃度変化にある程度対応しており、一方、濃度高信号発生期間はガスセンサ素子が高い濃度の特定ガスに曝されている期間に概略対応していると考えられる。このため、濃度高信号発生期間における差分値D(n)の和である差分値和SDは、ヒステリシス現象の大きさに応じた値になると考えられる。そこで、本実施形態5では、この差分値和SDに基づいて第1濃度高しきい値Tu1を決定するのである。しかも、差分値和SDが大きな値であるほど、濃度高信号から濃度低信号への切換後に生じるヒステリシス現象の大きさが大きくなると推測されるから、第1濃度高しきい値Tu1をより小さな値として、ガス濃度上昇の検出感度の低下を補うのである。
【0161】
なお、ステップS6Nを実行するのは、濃度低信号への切換直後のみである。また、実施形態2〜4と同じく、本実施形態5では、ステップS6Cにおける敏感化期間タイマのスタートから、所定の継続時間BJ1だけ経過後に敏感化期間が終了する。それ以降は、濃度高しきい値Tuとして第2濃度高しきい値Tu2が設定される。
かくして、本実施形態5のガス検出装置でも、ヒステリシス現象が生じても、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0162】
次いで、図32(1)〜(5)の各図を用いて、図32(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図32(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態1〜4の場合と同じである。このため、同じく図32(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状、及び(3)に示す濃度高フラグの変化も、実施形態1〜4の場合と同じとなる。
一方、図32(2)に破線で、図32(5)に実線で示す濃度高しきい値Tuは、濃度高信号から濃度低信号に切り替わる時刻t0から、所定継続時間BJ1経過する時刻t7までの敏感化期間において、第1濃度高しきい値Tu1が設定される。
この第1濃度高しきい値Tu1は、濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)における差分値D(n)の和である差分値和SDのグラフ(図32(4)参照)のうち、時刻t0における差分値和SDを用いて、ステップS6Nにより、式(16)で与えられる。時刻t0における差分値和SDは、時刻t1〜t0の濃度高信号発生期間(濃度高フラグがセットされている期間)における各差分値D(n)の総和である。この第1濃度高しきい値Tu1は、時刻t0における差分値和SDが大きいほど小さな値とされる。かくして、ヒステリシス現象による検出感度の低下が大きいほど、第1濃度高しきい値Tu1を小さくして、センサ出力値S(n)の上昇、従って酸化性ガスの濃度上昇をより敏感に検出できるようにすることができる。
【0163】
なお、本実施形態5では、濃度低信号への変更直後に差分値和SDに応じた第1濃度高しきい値Tu1を設定する一方、敏感化期間の長さ(敏感化期間の終期)を一定(所定継続時間BJ1)にした。しかし、敏感化期間の長さ(敏感化期間の終期)をも差分値和SDに応じて設定し、差分値和SDが大きくなるほど長くなるようにしても良い。例えば、敏感化期間継続時間BJ5として、式(17):BJ5=BJ5S+SD×Q4(ここで、BJ5SとQ4は正の定数)で与えるようにしても良い。
さらに、本実施形態5では、第1濃度しきい値Tu1を差分値和SDにより決定したが、濃度高信号発生期間の始期に得られた開始時センサ出力値とこの期間の各時点で得られたセンサ出力値との差の和である出力値和SSにより決定することもできる。これに加えて、敏感化期間の長さについても、出力値和SSが大きくなるほど長くなるように設定することもできる。
【0164】
(実施形態6)
次いで、本発明の実施形態6にかかるガス検出装置について説明する。前記した実施形態3では、第1濃度しきい値Tu1を、濃度高信号発生期間内に得られた最大差分値Dmaxに応じてステップS6Hにより決定した(図21参照)。
これに対し、本実施形態6では、第1濃度しきい値Tu1を、濃度高信号発生期間の始期に得られた開始時センサ出力値とこの期間に得られた最大のセンサ出力値(ピークセンサ出力値)との差である最大差MDにより決定する点で異なる。
従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
【0165】
本実施形態6においては、実施形態3におけるヒステリシス処理用データ取得のサブルーチン(図20参照)に代えて、図33に示すヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンを用い、最大差MDを取得する。
まず、実施形態3と同じく、ステップS46では、濃度高信号への変更直後であるか否か、つまり、濃度高フラグをセットした直後であるか否かを判断する。濃度高信号発生期間の始期を検知するためである。
ここで、Yesの場合には、ステップS4Fに進み、現在のセンサ出力値S(n)を開始時センサ出力値Sbとして記憶する。さらに、ステップS4Gで、ピークセンサ出力値Smaxに0を代入して初期設定をし、メインルーチンに戻る。
一方、Noの場合には、ステップS4Hに進む。このステップS4Hでは、ステップS46とは逆に、濃度低信号への変更直後であるか否か、つまり、濃度高フラグをリセットした直後であるか否かを判断する。
ここで、Noの場合、ステップS4Iに進む。この場合には、既にピークセンサ出力値Smaxが保持されているはずであるので、現在のセンサ出力値S(n)とSmaxとを比較し、S(n)>Smaxのとき、現在のセンサ出力値S(n)をSmaxに置換する。濃度高信号発生期間中において、これが繰り返えされることにより、濃度高信号発生期間中におけるピークセンサ出力値Smaxが得られる。一方、ステップS4HでYesの場合には、ステップS4Jに進む。この場合、濃度高信号発生期間が終了したことになるので、既に得られたピークセンサ出力値Smaxから開始時センサ出力値Sbを差し引いて最大差MD(=Smax−Sb)を得る。
【0166】
次いで、図34に示す敏感化期間処理のサブルーチンについて説明する。このサブルーチンは、図21に示す実施形態3にかかる敏感化期間処理のサブルーチンにおけるステップS6Hに代えて、ステップS6Rを用いる。即ち、濃度低信号への変更直後(ステップS61でYes)の場合には、ステップS62で敏感化フラグをセットした後、ステップS6Rにおいて、上記したヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンで予め得ておいた最大差MDを用いて、以下の式(18)に従って、濃度高しきい値Tu1を設定する。式(18):Tu1=P5/MD。ここで、P5は正の定数であるから、最大差MDが大きくなるほど、算出される第1濃度高しきい値Tu1は小さな値となる。この第1濃度高しきい値Tu1は、実施形態3と同じく、敏感化フラグがセットされている敏感化期間において、ステップS22(図4参照)により、濃度高しきい値Tuとして設定される。従って、最大差MDが大きな値であるほど、敏感化期間における濃度高しきい値Tuが小さな値となる。このため、より敏感にセンサ出力値の上昇を、従って、ガス濃度の上昇を捉えることができる。
【0167】
ヒステリシス現象の大きさは、濃度高信号発生期間における特定ガス濃度に依存すると考えられる。ガスセンサ素子が曝される特定ガスの濃度が高いほど、より多くのガス分子がガスセンサ素子に吸着されると考えられるからである。
これに対して、開始時センサ出力値Sbは、特定ガス濃度が低い状態に関係しており、ピークセンサ出力値Smaxは特定ガス濃度の最大値に関係すると考えられる。このため、ピークセンサ出力値Smaxと開始時センサ出力値Sbとの差である最大差MDは、ヒステリシス現象の大きさに応じた値になると考えられる。そこで、本実施形態6では、この最大差MDに基づいて第1濃度高しきい値Tu1を決定するのである。しかも、最大差MDが大きな値であるほど、濃度高信号から濃度低信号への切換後に生じるヒステリシス現象の大きさが大きくなると推測されるから、第1濃度高しきい値Tu1をより小さな値として、ガス濃度上昇の検出感度の低下を補うのである。
【0168】
なお、ステップS6Rを実行するのは、濃度低信号への切換直後のみである。また、実施形態2〜5と同じく、本実施形態6では、ステップS6Cにおける敏感化期間タイマのスタートから、所定の継続時間BJ1だけ経過後に敏感化期間が終了する。それ以降は、濃度高しきい値Tuとして第2濃度高しきい値Tu2が設定される。
かくして、本実施形態5のガス検出装置でも、ヒステリシス現象が生じても、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0169】
次いで、図35(1)〜(4)の各図を用いて、図35(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図35(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態1〜4の場合と同じである。このため、同じく図35(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状、及び(3)に示す濃度高フラグの変化も、実施形態1〜4の場合と同じとなる。
一方、図35(2)に破線で、図35(4)に実線で示す濃度高しきい値Tuは、濃度高信号から濃度低信号に切り替わる時刻t0から、所定継続時間BJ1経過する時刻t7までの敏感化期間において、第1濃度高しきい値Tu1が設定される。
この第1濃度高しきい値Tu1は、濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)のうち、始期である時刻t1に得られた開始時センサ出力値Sbと、濃度高信号発生期間内のピークセンサ出力値Smaxとの差である最大差MD(図35(1)参照)を用いて、ステップS6Rにより、式(18)で与えられる。この第1濃度高しきい値Tu1は、最大差MDが大きいほど小さな値とされる。かくして、ヒステリシス現象による検出感度の低下が大きいほど、第1濃度高しきい値Tu1を小さくして、センサ出力値S(n)の上昇、従って酸化性ガスの濃度上昇をより敏感に検出できるようにすることができる。
【0170】
(変形形態7)
次いで、変形形態7にかかるガス検出装置について説明する。上述の実施形態6にかかるガス検出装置では、濃度低信号への変更直後に、ステップS6Rにおいて、式(18)により第1濃度高しきい値Tu1を決定することにより、最大差MDに応じた値になるようにした。一方、敏感化期間については、ステップS6Dにより一律の継続時間BJ1とした(図34参照)。
これに対し、本変形形態7では、実施形態6と同じく濃度低信号への変更直後に最大差MDに応じた第1濃度高しきい値Tu1を設定する。しかし、これに加えて、敏感化期間の長さ(敏感化期間の終期)をも最大差MDに応じて設定する点で異なる。その他の部分は実施形態6と同様である。従って、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0171】
図34に示す実施形態6の敏感化期間処理のサブルーチンと比較すると容易に理解できるように、図36に示す本変形形態7の敏感化期間処理のサブルーチンは、ステップS6RとS6Cとの間に、新たなステップS6Sを有する。
即ち、実施形態6と同じく、濃度低信号への変更直後には、ステップS62で敏感化フラグをセットした後、ステップS6Tにおいて、最大差MDを用いて第1濃度高しきい値Tu1を設定する。さらに、ステップS6Sにおいて、敏感化期間継続時間BJ6の設定を以下の式(19)により行う。式(19):BJ6=BJ6S+MD×Q5。ここで、BJ6SとQ5は正の定数である。従って、最大差MDが大きいほど、敏感化期間継続時間BJ6は大きな値となる。
【0172】
一方、ステップS61でNoと判断され、さらに、ステップS64でYesと判断された場合(敏感化期間内の場合)、ステップS6Tにおいて、ステップS6Cでスタートさせた敏感化期間タイマが、スタートから継続時間BJ6だけ経過したか否かを判断し、Noの場合はメインルーチンに戻り、Yesの場合にはステップS69で敏感化フラグをリセットする。このようにして敏感化期間の終期が決定され、敏感化期間の継続時間は、ステップS6Sで設定された敏感化期間継続時間BJ6の長さとなる。
このようにするのは、ガスセンサ素子が曝される特定ガスの濃度が高いほど、従って、濃度高信号発生期間のうち始期に得られた開始時センサ出力値Sbとピークセンサ出力値Smaxとの差である最大差MDが大きいほど、ヒステリシス期間も長くなることが判ってきたからである。そこで、本変形形態7では、敏感化期間継続時間BJ6の大きさを式(19)によって設定することとした。即ち、最大差MDが大きいほど敏感化期間継続時間BJ6の大きさを大きくする。これにより、ヒステリシス期間が長いほど、敏感化期間も長くすることができ、ヒステリシス現象による、ガス濃度上昇の感度低下を適切な期間にわたって補うことができる。
かくして、本変形形態7のガス検出装置でも、ヒステリシス現象が生じても、適切な濃度高しきい値Tuを設定することができ、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0173】
次いで、図37(1)〜(4)の各図を用いて、図37(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図37(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態1〜6の場合と同じである。このため、同じく図37(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状、及び(3)に示す濃度高フラグの変化も、実施形態6の場合と同じとなる。
一方、図37(4)に実線で、図37(2)破線で示す濃度高しきい値Tuには、濃度高信号から濃度低信号に切り替わる時刻t0から、敏感化期間継続時間BJ6が経過する時刻t12までの敏感化期間において、第1濃度高しきい値Tu1が設定される。この第1濃度高しきい値Tu1及び濃度高しきい値Tuは、実施形態6と同じく、濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)のうち、始期である時刻t1に得られた開始時センサ出力値Sbと、濃度高信号発生期間内のピークセンサ出力値Smaxとの差である最大差MD(図37(1)参照)を用いて、ステップS6Rにより、式(18)で与えられる。この第1濃度高しきい値Tu1は、最大差MDが大きいほど小さな値とされる。
【0174】
さらに、本変形形態7では、敏感化期間継続時間BJ6の長さも、濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)に得られた最大差MDを用いて、式(19)によって設定される。この敏感化期間継続時間BJ6は、最大差MDが大きいほど大きな値とされる。
このように、最大差MDに応じた敏感化期間継続時間BJ6を用いることにより、ヒステリシス期間が長いほど敏感化期間を長くして、適切な期間にわたって、酸化性ガス濃度上昇の検知感度の低下を補うことができる。
【0175】
(実施形態7)
次いで、本発明の実施形態7にかかるガス検出装置について説明する。
前記した実施形態6では、図33に示すヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンにより、濃度高信号発生期間の始期に得られた開始時センサ出力値とこの期間に得られた最大のセンサ出力値であるピークセンサ出力値との差である最大差MDを取得した。また、第1濃度しきい値Tu1を、濃度高信号発生期間のうち、始期に得られた開始時センサ出力値とこの期間に得られた最大のセンサ出力値(ピークセンサ出力値)との差である最大差MDにより決定した(図34、ステップS6R参照)。一方、敏感化期間については、ステップS6Dにより一律の継続時間BJ1とし、その長さ(終期)を予め設定していた。
また、変形形態7では、実施形態6と同じく濃度低信号への変更直後に最大差MDに応じた第1濃度高しきい値Tu1を設定するほか、敏感化期間の長さ(敏感化期間の終期)をも最大差MDに応じて予め設定した。
【0176】
これに対し、本実施形態7では、実施形態6及び変形形態7と同じく、濃度低信号への変更直後に最大差MDに応じた第1濃度高しきい値Tu1を設定する。しかし、敏感化期間の終期を予め設定せず、センサ出力値S(n)が所定の解除しきい値以下となったときに、敏感化期間を終了する。具体的には、濃度低信号への変更直前の濃度高信号発生期間の始期に得られた開始時センサ出力値とこの期間に得られた最大のセンサ出力値(ピークセンサ出力値)との中間の解除しきい値以下となったときに、敏感化期間を終了する点で異なる。
従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については説明を省略あるいは簡略化する。
【0177】
本実施形態7においては、実施形態6と同じく、図33に示すヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンを用いて、最大差MDを予め取得する。
次いで、図38に示す敏感化期間処理のサブルーチンについて説明する。このサブルーチンは、図34に示す実施形態6にかかる敏感化期間処理のサブルーチンにおけるステップS6Cが無く、ステップS6Dに代えて、ステップS6Xを用いる。即ち、濃度低信号への変更直後(ステップS61でYes)の場合には、ステップS62で敏感化フラグをセットした後、ステップS6Rにおいて、上記したヒステリシス処理用データ取得のサブルーチンにおいて予め得ておいた最大差MDを用いて、以下の式(18)に従って、濃度高しきい値Tu1を設定する。式(18):Tu1=P5/MD。ここで、P5は正の定数であるから、最大差MDが大きくなるほど、算出される第1濃度高しきい値Tu1は小さな値となる。この第1濃度高しきい値Tu1は、実施形態6と同じく、敏感化フラグがセットされている敏感化期間において、ステップS22(図4参照)により、濃度高しきい値Tuとして設定される。従って、最大差MDが大きな値であるほど、敏感化期間における濃度高しきい値Tuが小さな値となる。このため、より敏感にセンサ出力値の上昇を、従って、ガス濃度の上昇を捉えることができる。
なお、ステップS6Rを実行するのは、濃度低信号への切換直後のみである。
【0178】
一方、ステップS61でNoと判断され、さらに、ステップS64でYesと判断された場合(敏感化期間内の場合)、ステップS6Xにおいて、現在のセンサ出力値S(n)が、解除しきい値以下となったか否かを判断する。解除しきい値には、開始時センサ出力値Sbとピークセンサ出力値Smaxとの中間の値が選択される。具体的には、開始時センサ出力値Sbと最大差MD(=Smax−Sb)と定数aとを用いて算出される(Sb+MD/a)を解除しきい値として用いる。ここでaはa>1の定数である。ステップ6WでNoと判断された場合には、メインルーチンに戻り、Yesの場合にはステップS69で敏感化フラグをリセットする。このようにして敏感化期間の終期が決定されるので、敏感化期間の継続時間はセンサ出力値S(n)の変化によって変動することとなる。
【0179】
このようにして得た解除しきい値(Sb+MD/a)を用いるのは、以下の理由による。環境の湿度や温度変化などによるセンサ出力値のドリフトが生じていないと仮定すると、一旦ガス濃度が高くなったと判断された濃度高信号発生期間の経過後に、センサ出力値がこの期間の始期に得られていたセンサ出力値(開始時センサ出力値Sb)と同じ大きさに戻った場合には、ヒステリシス現象が終了したと考えられる。一方、温度や湿度の変化などによって、センサ出力値が大きな値になる方向にドリフトが生じたとすると、ヒステリシス現象が収束したときに得られるセンサ出力値は、開始時センサ出力値Sbよりも大きな値となる。従って、センサ出力値のドリフトが有り得る場合には、開始時センサ出力値Sbを敏感化期間を終了させるためのしきい値として用いると、センサ出力値が開始時センサ出力値Sbを下回らないために敏感化期間が不必要に長く継続してしまう場合があり得る。そこで、本実施形態7では、開始時センサ出力値SbよりもMD/aだけ大きな値(Sb+MD/a)を解除しきい値として用いる。かくして、ドリフトがあった場合でも敏感化期間を適切に終了させることができる。一方、ヒステリシス現象がほぼ収束するまで、敏感化期間を継続させることができるから、ヒステリシス現象による、ガス濃度上昇の感度低下を適切に補うことができる。
なお、実施形態2〜6と同じく、本実施形態7でも、敏感化期間が終了した以降は、濃度高しきい値Tuとして第2濃度高しきい値Tu2が設定される。
かくして、本実施形態7のガス検出装置でも、ヒステリシス現象が生じても、特定ガス濃度の上昇を確実に検知でき、あるいは早期に検知できる。
【0180】
次いで、図39(1)〜(4)の各図を用いて、図39(1)に実線で示すセンサ出力値S(n)が得られた場合に、各値の得られる様子について説明する。図39(1)に示すS(n)のグラフ形状は、実施形態1〜6の場合と同じである。このため、同じく図39(1)に示すB(n)及び(2)に示すD(n)のグラフ形状、及び(3)に示す濃度高フラグの変化も、実施形態1〜6の場合と同じとなる。
一方、図39(4)に実線で、図39(2)破線で示す濃度高しきい値Tuには、濃度高信号から濃度低信号に切り替わる時刻t0から敏感化期間が終了する時刻t14まで、第1濃度高しきい値Tu1が設定される。この第1濃度高しきい値Tu1及び濃度高しきい値Tuは、実施形態6と同じく、濃度高信号発生期間(時刻t1〜t0)のうち、始期である時刻t1に得られた開始時センサ出力値Sbと、濃度高信号発生期間内のピークセンサ出力値Smaxとの差である最大差MD(図39(1)参照)を用いて、ステップS6Rにより、式(18)で与えられる。この第1濃度高しきい値Tu1は、最大差MDが大きいほど小さな値とされる。
【0181】
さらに、本実施形態7では、敏感化期間の終期のタイミング(時刻t14)を、解除しきい値を用いて決定する。具体的には、図39(1)に示すように、S(n)≦Sb+MD/aとなる時刻t14で、敏感化期間を終了させ、濃度高しきい値Tuとして、第1濃度高しきい値Tu1に代えて第2濃度高しきい値Tu2を設定する(図39(4)参照)。なお、定数aの値によって、敏感化期間の終期(時刻t14)を調整することができ、定数aが大きな値であるほど、敏感化期間の終期が後にずれ、敏感化期間が長くなる。
センサ出力値S(n)が開始時センサ出力値Sbと同程度の小さな値となれば、ヒステリシス現象はほぼ終ったと考えられる。一方、湿度や温度の変化等によって、時刻t0以降にセンサ出力値S(n)にドリフトが生じた場合、センサ出力値S(n)が開始時センサ出力値Sbまで低下できない場合が考えられる。そこで、解除しきい値として開始時センサ出力値SbよりもMD/aだけ大きな値を用いることで、ドリフトがあった場合も含め、敏感化期間を適切に終了させることができる。しかも、ヒステリシス現象が継続している場合には、センサ出力値が相対的に大きな値を維持していると考えられるので、センサ出力値が解除しきい値以下になりにくい。このため、ヒステリシス期間が長いほど敏感化期間を長くして、酸化性ガス濃度上昇の検知感度の低下を補うことができる。
【0182】
なお、本実施形態7では、開始時センサ出力値Sbと最大差MDを用いて算出した解除しきい値(Sb+MD/a)を用いた。
しかし、例えば、開始時センサ出力値Sbと、前記した実施形態5において用いた濃度低信号への切換直後(時刻t0)に得た差分値和SDとを用いて、(Sb+SD/a1)を解除しきい値として用いることもできる。ここで、a1は、a1>1の定数である。
【0183】
以上において、本発明を実施形態1〜7及び変形形態1〜7に即して説明したが、本発明は上記実施形態及び変形形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態2〜6等では、敏感化期間における第1濃度高しきい値Tu1を、式(7),(12),(14),(16),(18)によって設定した。これらの式では、移動差分値DM(n)、最大差分値Dmaxなど、ヒステリシス強度情報を1つだけ用いて、第1濃度高しきい値Tu1を設定する。しかし、2つ以上のヒステリシス強度情報を組み合わせて、第1濃度高しきい値Tu1を設定するようにしても良い。
同様に、上記変形形態4〜9等では、敏感化期間の長さ(終期)を、式(10),(13),(15),(17),(19)によって得られる敏感化期間継続時間BJ2,BJ3などで決定した。これらの式では、移動差分値DM(n)、最大差分値Dmaxなど、ヒステリシス期間情報を1つだけ用いて、敏感化期間継続時間BJ2,BJ3等を設定する。しかし、2つ以上のヒステリシス期間情報を組み合わせて、敏感化期間継続時間BJ2,BJ3を設定するようにしても良い。
【0184】
また、上記した実施形態1〜7及び変形形態1〜7においては、酸化性ガスに反応し、酸化性ガス成分の濃度上昇と共にセンサ抵抗値Rsが上昇するタイプの酸化物半導体のガスセンサ素子11を用いた。また、センサ抵抗値Rsが上昇すると、センサ出力電位Vsが上昇するセンサ抵抗値変換回路14を用いた。従って、センサ出力値S(n)の大きくなる方向が、センサ出力値S(n)についての濃度高方向であるガス検出装置10を用いた。
しかし、センサ出力値S(n)の小さくなる方向が、センサ出力値S(n)についての濃度高方向であるガス検出装置を用いることもできる。また、センサ抵抗値Rsが上昇すると、センサ出力電位Vsが低下するセンサ抵抗値変換回路を用いることもできる。また、図1に示すセンサ抵抗値変換回路14とは異なる回路構成や原理により、センサ抵抗値を電圧等に変換する変換回路を用いることもできる。さらに、還元性ガスに反応し、還元性ガス成分の濃度上昇と共にセンサ抵抗値Rsが低下するタイプの酸化物半導体のガスセンサ素子を用いることもできる。また、酸化性ガスと還元性ガスのいずれにも反応するガスセンサ素子を用いることもできる。
【0185】
また、上記した実施形態1〜7及び変形形態1〜7においては、得られたセンサ出力値S(n)から、式(1),(2)等を用いてベース値B(n)を得た。しかし、これらの式を用いて得たベース値B(n)に代えて、他の式を用いて基準値を得るようにしても良い。
さらに、実施形態1と同様に、上記実施形態2〜7や変形形態1〜7等に示したガス検出装置を車両用オートベンチレーションシステムに適用することができるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1等にかかるガス検出装置および車両用オートベンチレーションシステムの概要を示す説明図である。
【図2】実施形態1等にかかる車両用オートベンチレーションシステムにおける制御のフローを示す説明図である。
【図3】実施形態1等にかかるガス検出装置のうちマイクロコンピュータにおける制御のフローを示す説明図である。
【図4】実施形態1等にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、濃度高しきい値の設定ルーチンを示す説明図である。
【図5】実施形態1等にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、ガス濃度変化検知ルーチンを示す説明図である。
【図6】実施形態1及び変形形態1にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、ヒステリシス処理用データ取得ルーチンを示す説明図である。
【図7】実施形態1及び変形形態1にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図8】実施形態1にかかり、(1)はNOxの濃度上昇及び下降をに対応するセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化を示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)はセンサ出力値S(n)から得た移動差分値DI(n)の変化を示し、(5)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。さらに、(6)は(5)に代えて変形形態1における濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図9】実施形態1および変形形態1にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)とこれに基づいて移動差分値DI(n)を得る様子を示し、(2)はこれによって得た移動差分値DI(n)の変化を示す説明図である。
【図10】変形形態2にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、ヒステリシス処理用データ取得ルーチンを示す説明図である。
【図11】変形形態2にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)とこれに基づいて移動差分値DI(n)を得る様子を示し、(2)はこれによって得た移動差分値DI(n)の変化を示す説明図である。
【図12】実施形態2及び変形形態3にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、ヒステリシス処理用データ取得ルーチンを示す説明図である。
【図13】実施形態2及び変形形態3にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図14】実施形態2にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化を示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)はセンサ出力値S(n)から得た移動差分値DM(n)の変化を示し、(5)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図15】実施形態2にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)とこれに基づいて移動差分値DI(n)を得る様子を示し、(2)はこれによって得た移動差分値DI(n)の変化を示す説明図である。
【図16】変形形態3にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、濃度高しきい値の設定ルーチンを示す説明図である。
【図17】変形形態4にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図18】変形形態4にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化を示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)はセンサ出力値S(n)から得た移動差分値DM(n),DJ(n)の変化を示す説明図である。
【図19】変形形態4にかかり、敏感化期間における濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図20】実施形態3および変形形態5にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、ヒステリシス処理用データ取得ルーチンを示す説明図である。
【図21】実施形態3にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図22】実施形態3にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化と最大差分値Dmaxを示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図23】変形形態5にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図24】変形形態5にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化と最大差分値Dmaxを示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図25】実施形態4にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、ヒステリシス処理用データ取得ルーチンを示す説明図である。
【図26】実施形態4にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図27】実施形態4にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化を示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図28】変形形態6にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図29】変形形態6にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化を示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図30】実施形態5にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、ヒステリシス処理用データ取得ルーチンを示す説明図である。
【図31】実施形態5にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図32】実施形態5にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化を示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)は差分値和SDの変化を示し、(5)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図33】実施形態6,7及び変形形態7にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、ヒステリシス処理用データ取得ルーチンを示す説明図である。
【図34】実施形態6にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図35】実施形態6にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化を示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図36】変形形態7にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図37】変形形態7にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化を示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化を示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【図38】実施形態7にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、敏感化期間処理ルーチンを示す説明図である。
【図39】実施形態7にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)の変化とこれに追従するベース値B(n)の変化、および開始時センサ出力値Sb、ピークセンサ出力値Smax、両者の差MD、解除しきい値Sb+MD/aを示し、(2)は差分値D(n)及び濃度しきい値の変化を示し、(3)は濃度高フラグのセット状態の変化を示し、(4)は濃度高しきい値Tuの変化を示す説明図である。
【符号の説明】
100 車両用オートベンチレーションシステム
10 ガス検出装置
11 ガスセンサ素子
12 検出抵抗
13 バッファ
14 センサ抵抗値変換回路
15 A/Dコンバータ
16 マイクロコンピュータ
19 センサ出力値取得回路(取得手段)
20 電子制御アセンブリ
21 フラップ駆動回路
31,32,33 ダクト
34 フラップ
Tu,Tu1,Tu2 濃度高しきい値
Tu1 第1濃度高しきい値
Tu2 第2濃度高しきい値
BJ1 継続時間(第1所定期間)
Claims (22)
- 特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、
上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、
上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低いときに濃度低信号を発生し、上記特定ガスの濃度が高いときに濃度高信号を発生する濃度検知手段と、
を備え、
上記濃度検知手段は、
上記濃度低信号の発生期間において、上記センサ出力値が基準値よりも濃度高しきい値分以上に濃度高方向側の値であるときに、上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生する濃度上昇検知手段と、
上記濃度高信号の発生期間において、上記センサ出力値が上記基準値よりも濃度低しきい値分以上に濃度低方向側の値であるときに、上記濃度高信号に代えて上記濃度低信号を発生する濃度低下検知手段と、
を含み、
上記濃度上昇検知手段では、
上記濃度低信号の発生期間のうち、上記濃度高信号から上記濃度低信号への切換に続く敏感化期間には、上記濃度高しきい値として第1濃度高しきい値を用い、
上記濃度低信号の発生期間のうち、上記敏感化期間以外の期間には、上記濃度高しきい値として第2濃度高しきい値を用い、
上記第1濃度高しきい値は上記第2濃度高しきい値に比して敏感方向の値である
ガス検出装置。 - 請求項1に記載のガス検出装置であって、
前記敏感化期間において、前記第1濃度高しきい値を時間とともに徐々に第2濃度高しきい値に近づける第1濃度しきい値変更手段を備える
ガス検出装置。 - 請求項1または請求項2に記載のガス検出装置であって、
ヒステリシス強度情報に基づいて、前記第1濃度高しきい値を決定する第1濃度高しきい値決定手段
を備えるガス検出装置。 - 請求項3に記載のガス検出装置であって、
現在の前記センサ出力値と所定サイクル数m回(mは1以上の整数)だけ過去に取得された前記センサ出力値であるm回過去センサ出力値とから第1濃度高しきい値決定用の移動差分値を算出するしきい値用移動差分値算出手段を備え、
前記ヒステリシス強度情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点に、上記切換時点より所定時間前に、または、上記切換時点から所定時間経過後に得られた上記第1濃度高しきい値決定用の移動差分値を含み、
前記第1濃度高しきい値決定手段は、
上記ヒステリシス強度情報として用いる上記第1濃度高しきい値決定用の移動差分値が、0から離れた値であるほど、前記第1濃度高しきい値を敏感方向の値とする
ガス検出装置。 - 請求項3または請求項4に記載のガス検出装置であって、
前記ヒステリシス強度情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点直前の濃度高信号発生期間中に得られた前記センサ出力値のうち最も濃度高方向の値であるピークセンサ出力値と上記直前の濃度高信号発生期間の開始時に得られた前記センサ出力値である開始時センサ出力値との差である最大差を含み、
前記第1濃度高しきい値決定手段は、
上記最大差が0から離れた値であるほど、前記第1濃度高しきい値を敏感方向の値とする
ガス検出装置。 - 請求項3または請求項4に記載のガス検出装置であって、
前記ヒステリシス強度情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間における各々の前記センサ出力値と前記基準値との差分値のうち最も0より離れた値である最大差分値を含み、
前記第1濃度高しきい値決定手段は、
上記最大差分値が0から離れた値であるほど、前記第1濃度高しきい値を敏感方向の値とする
ガス検出装置。 - 請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
前記ヒステリシス強度情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間の継続時間を含み、
前記第1濃度高しきい値決定手段は、
上記継続時間が長いほど、前記第1濃度高しきい値を敏感方向の値とする
ガス検出装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点から第1所定期間経過時に前記敏感化期間を終了させる終了手段を備える
ガス検出装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
ヒステリシス期間情報に基づいて、前記敏感化期間の終期を予め決定する終期先決め手段を備える
ガス検出装置。 - 請求項9に記載のガス検出装置であって、
現在の前記センサ出力値と所定サイクル数j回(jは1以上の整数)だけ過去に取得された前記センサ出力値であるj回過去センサ出力値とから終期決定用の移動差分値を算出する終期決定用移動差分値算出手段を備え、
前記ヒステリシス期間情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点に、上記切換時点よりの所定時間前、または上記切換時点から所定時間経過後に得られた上記終期決定用の移動差分値を含み、
前記終期先決め手段は、
上記ヒステリシス期間情報として用いる上記終期決定用の移動差分値が0から離れた値であるほど、前記敏感化期間の終期を遅らせた時点にする
ガス検出装置。 - 請求項9または請求項10に記載のガス検出装置であって、
前記ヒステリシス期間情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点直前の濃度高信号発生期間中に得られた前記センサ出力値のうち最も濃度高方向の値であるピークセンサ出力値と上記直前の濃度高信号発生期間の開始時に得られた前記センサ出力値である開始時センサ出力値との差である最大差を含み、前記終期先決め手段は、上記最大差が0から離れた値であるほど、前記敏感化期間の終期を遅らせた時点にする
ガス検出装置。 - 請求項9または請求項10に記載のガス検出装置であって、
前記ヒステリシス期間情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点直前の濃度高信号発生期間における各々の前記センサ出力値と前記基準値との差分値のうち最も0より離れた値である最大差分値を含み、
前記終期先決め手段は、上記最大差分値が0から離れた値であるほど、前記敏感化期間の終期を遅らせた時点にする
ガス検出装置。 - 請求項9〜請求項12のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
前記ヒステリシス期間情報は、前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点直前の濃度高信号発生期間の継続時間を含み、
前記終期先決め手段は、上記継続時間が長いほど、前記敏感化期間の終期を遅らせた時点にする
ガス検出装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
現在の前記センサ出力値と所定サイクル数i回(iは1以上の整数)だけ過去に取得された前記センサ出力値であるi回過去センサ出力値とから交代決定用の移動差分値を算出する交代決定用移動差分値算出手段と、
所定値を基準にして上記交代決定用の移動差分値が0と同じ側にあるか否かを判断する移動差分値判断手段と、を含み、
前記濃度上昇検知手段では、上記交代決定用の移動差分値が0と同じ側となったとき以降、前記濃度高しきい値として前記第1濃度高しきい値に代えて前記第2濃度高しきい値を用いる
ガス検出装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
現在の前記センサ出力値と所定サイクル数i回(iは1以上の整数)だけ過去に取得された前記センサ出力値であるi回過去センサ出力値とから交代決定用の移動差分値を算出する交代決定用移動差分値算出手段と、
所定値を基準として上記交代決定用の移動差分値が0と同じ側にあるか否かを判断する移動差分値判断手段と、を含み、
前記濃度上昇検知手段では、上記交代決定用の移動差分値が0と同じ側となってから所定期間の経過以降、前記濃度高しきい値として前記第1濃度高しきい値に代えて前記第2濃度高しきい値を用いる
ガス検出装置。 - 請求項14または請求項15に記載のガス検出装置であって、
前記交代決定用移動差分値算出手段は、
前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点から、
前記交代決定用の移動差分値の算出を開始し、または、
上記切換時点以前に得られた前記センサ出力値を用いずに、前記交代決定用の移動差分値の算出を再開し、
上記切換時点から前記所定サイクル数i回分の前記センサ出力値を取得するまでの期間には、上記切替え時点に得られた上記センサ出力値とその後の各サイクルで得られた上記センサ出力値との差分値を、各サイクルにおける上記交代決定用の移動差分値とする
ガス検出装置。 - 請求項14または請求項15に記載のガス検出装置であって、
前記交代決定用移動差分値算出手段は、
前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点から、
前記交代決定用の移動差分値の算出を開始し、または、
上記切換時点以前に得られた前記センサ出力値を用いずに、前記交代決定用の移動差分値の算出を再開し、
上記切換時点から前記所定サイクル数i回分の前記センサ出力値を取得するまでの期間は、上記切替え時点に得られた上記センサ出力値と上記切換時点からbサイクル後に得られた上記センサ出力値との差分値にi/bを掛けた値を、各サイクルにおける上記交代決定用の移動差分値とする
ガス検出装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
前記濃度高信号から前記濃度低信号への切換時点の直前の濃度高信号発生期間の開始時に得られた前記センサ出力値である開始時センサ出力値と、この濃度高信号発生期間中に得られた前記センサ出力値のうち最も濃度高方向の値であるピークセンサ出力値との間の値である解除しきい値よりも、現在の前記センサ出力値が濃度低方向側の値となったか否かを判断する判断手段、を含み、
前記濃度上昇検知手段は、上記現在のセンサ出力値が上記解除しきい値よりも濃度低方向側の値となったとき以降、前記濃度高しきい値として前記第1濃度高しきい値に代えて前記第2濃度高しきい値を用いる
ガス検出装置。 - 請求項18に記載のガス検出装置であって、
前記解除しきい値は、
前記ピークセンサ出力値と前記開始時センサ出力値との差の1/a(但しa>1)だけ、上記開始時センサ出力値よりも上記ピークセンサ出力値側の値である
ガス検出装置。 - 特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、
上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、
上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低いときに濃度低信号を発生し、上記特定ガスの濃度が高いときに濃度高信号を発生する濃度検知手段と、
を備え、
上記濃度検知手段は、
敏感化期間の終期を決定する終期決定手段を含み、
上記濃度低信号の発生期間のうち上記濃度高信号から上記濃度低信号への切換以降、上記敏感化期間の終期までの期間には、上記濃度低信号の発生期間のうちの他の期間において上記センサ出力値の濃度高方向への変化によって上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生させる場合に比して、上記センサ出力値の濃度高方向への小さな変化によっても上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生させ得るようにしてなる
ガス検出装置。 - 特定ガスの濃度に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、
上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を所定サイクル時間毎に取得する取得手段と、
上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低いときに濃度低信号を発生し、上記特定ガスの濃度が高いときに濃度高信号を発生する濃度検知手段と、
を備え、
上記濃度検知手段は、
上記濃度低信号の発生期間において、上記センサ出力値が上記基準値よりも濃度高しきい値分以上に濃度高方向側の値であるときに、上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生する濃度上昇検知手段と、
上記濃度高信号の発生期間において、上記センサ出力値が上記基準値よりも濃度低しきい値分以上に濃度低方向側の値であるときに、上記濃度高信号に代えて上記濃度低信号を発生する濃度低下検知手段と、
敏感化期間の終期を決定する終期決定手段と、を含み、
上記濃度上昇検知手段では、
上記濃度低信号の発生期間のうち上記濃度高信号から上記濃度低信号への切換以降、上記敏感化期間の終期までの期間には、上記濃度低信号の発生期間のうちの他の期間において上記センサ出力値の濃度高方向への変化によって上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生させる場合に比して、上記センサ出力値の濃度高方向への小さな変化によっても上記濃度低信号に代えて上記濃度高信号を発生させ得るようにしてなる
ガス検出装置。 - 請求項1〜請求項21のいずれか1項に記載のガス検出装置を含む
車両用オートベンチレーションシステム。
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