JP4455922B2 - ガス検出装置、車両用オートベンチレーションシステム - Google Patents

ガス検出装置、車両用オートベンチレーションシステム Download PDF

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Description

本発明は、ガスセンサ素子を用いて環境気体中の特定ガスの濃度変化を検出するガス検出装置および車両用オートベンチレーションシステムに関する。
従来より、WO3やSnO2などの金属酸化物半導体を用いたガスセンサ素子などが知られている。これらは、環境気体中のNOxなどの酸化性ガスやCO、HC(ハイドロカーボン)などの還元性ガスの濃度変化によってそのセンサ抵抗値が変化するために、このセンサ抵抗値の変化によって特定のガス濃度の変化を検出可能である。また、電子回路を用いてこのようなガスセンサ素子のセンサ抵抗値に対応するセンサ出力値を得て、このセンサ出力値の変化から特定ガスの濃度変化を検知するガス検出装置も知られている。さらには、このガス検出装置を用いた各種の制御システム、例えば、車室外空気の汚染状況に応じて、車室内への外気導入・内気導入を切り替えるためのフラップ開閉制御を行う車両用オートベンチレーションシステムなどが知られている(例えば、特許文献1参照)。
米国特許第5320577号公報(第1欄、図1)
ところで、ガスセンサ素子をヒータ素子で加熱して活性化させ、これによって、特定ガスの濃度変化を検知できるようにされたガスセンサ素子では、外気の風速が変化することで、ガスセンサ素子等に当たる空気の速度(ガスセンサ素子等が感じる風速)が変化する。すると、ヒータ素子の発する熱の奪われ方が変化して、ヒータ素子及びガスセンサ素子の温度が変化する。例えば、ガス検出装置を自動車に搭載して走行した場合において、自動車を市街地などにおいて低速で走行させた後に、高速道路などにおいて高速で走行させた場合には、ガス検出装置に当たる風速が、市街地と高速道路とで変化する。そして、ガスセンサ素子の温度が変化することに起因して、ガスセンサ素子のセンサ抵抗値が変化する。一般に、風速が大きくなるほど良く冷やされて、ガスセンサ素子の温度が下がる。従って、空気中の特定ガスの濃度は変化していなくても、ガス検出装置に当たる風速の影響により、センサ抵抗値が変化してしまい、特定ガスの濃度変化があった(即ち濃度が上昇した、あるいは濃度が低下した)と誤検知することがあった。
これに対し、上述の特許文献1(図14参照)では、互いに性質の異なる2つのガスセンサ素子(具体的には、NOxガスに反応するNOxガスセンサ素子と、CO等の還元性ガスに反応する第2ガスセンサ素子)を用いる。そして、これらのガスセンサ素子がいずれも、上述のように、風によって冷やされるとセンサ抵抗値が上昇すること、及び、NOxガスセンサはNOxガスの濃度が上昇するとそのNOxセンサ抵抗値が上昇するが、第2ガスセンサの第2センサ抵抗値は影響を受けないことを利用し、風速が大きくなることによる誤検知を防止している。即ち、NOxガスセンサのNOxセンサ抵抗値が上昇していても、第2ガスセンサの第2センサ抵抗値も上昇している場合には、風の影響によって、NOxセンサ抵抗値が上昇したとしてこれを無視する。一方、NOxガスセンサのNOxセンサ抵抗値が上昇しているが、第2ガスセンサの第2センサ抵抗値は変化していない場合には、NOxガスの影響によって、NOxセンサ抵抗値が上昇したと解して、ダンパを閉塞する。このようにすることで、風速(車速)が大きくなることによるNOxセンサ抵抗値の上昇を、NOxガスの濃度上昇であると誤検知することが解消できる。
しかしながら、この特許文献1に記載の手法では、NOxセンサ抵抗値の変化が風の影響で上昇したと判断されると、これを無視してしまう。このため、風速の増加によるNOxセンサ抵抗値の変化の途中やその直後に、NOxガスの濃度上昇によるNOxセンサ抵抗値の上昇があっても、NOxガス濃度の増加を適切に検知することができない虞がある。また、この文献に記載の手法は、第2ガスセンサ素子の存在、あるいはその第2センサ抵抗値の使用を前提としており、第2ガスセンサ素子が必要となる。また、NOxガスの濃度変化によるか、風速変化によるかの判定時には、第2ガスセンサ素子が還元ガスに反応していないことが前提となっており、逆に、風速の増加と還元性ガスの濃度上昇とが同時あるいは相前後している場合には、NOxガスによる風速変化によるかの判定を適切に行うことができないことが判ってきた。風速変化によるNOxセンサ抵抗値の変化は、緩慢な変化であることが判ってきており、この特許文献1において行っているような、微分など急激な変化を検知するのに適した検知手法では、風速変化に起因するNOxセンサ抵抗値の変化を適切に検知できない。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、単独のガスセンサ素子で、あるいは他のガスセンサ素子の出力に影響されず独自に、ガスセンサ素子やヒータ素子と環境気体との相対速度の変化(風速変化)に起因するセンサ出力の変化を検知できるガス検出装置を提供することを目的とする。あるいは、複数のガスセンサ素子を用いて、これらのガスセンサ素子と環境気体との相対速度の変化に起因するセンサ出力の変化を検知できるガス検出装置を提供することを目的とする。またさらには、これらを用いた車両用オートベンチレーションシステムを提供することを目的とする。
その解決手段は、ヒータ素子によって加熱されて、環境気体中の特定ガスの濃度変化に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を取得する取得手段と、上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低下したことを示す濃度低信号及び上記特定ガスの濃度が上昇したことを示す濃度高信号を発生する濃度検知手段と、を備え、上記濃度検知手段は、上記ガスセンサ素子及び上記ヒータ素子とこれらに接触する上記環境気体との相対速度の変化に起因する上記センサ出力値の変化である風起因変化の有無を、上記センサ出力値を用いて検知する風起因変化検知手段を有し、上記風起因変化検知手段は、上記センサ出力値の濃度高方向または濃度低方向への変化が生じたときに、この変化の継続期間から、この変化が上記風起因変化であるか否かを判定するガス検出装置である。
前述したように、ガスセンサ素子と環境気体との相対速度(以下、風速と言うこともある)の変化に起因するセンサ出力値の変化は、一般に急激に生ずるのではなく、緩慢に生ずることが判ってきた。従って、前述した特許文献1の記載のように、微分など急激な変化を検知するのに好ましい検知手段ではなく、緩慢な変化を検知するのに適した検知手法を採用するのが好ましい。
さらに、一般に緩慢な変化であっても、特定ガスの濃度変化によって生じた場合には、ある程度継続すると、ガスの濃度が十分高くなりあるいは十分低くなるため、センサ出力値の変化(増加あるいは減少)が停止(飽和)し、変化しなくなる。一方、風速の変化による場合には、一般的に生じる特定ガスの濃度変化に比べてさらに緩慢であり、継続期間も長いことが多いことが判ってきた。車道などにおいて、排気ガス(特定ガス:CO,NOxなど)は所々に濃度の高い滞留空間が形成しやすい。従って、自動車にガス検出装置を搭載して走行した場合、通常の道路においては、特定ガスの濃度及びセンサ出力値が長時間掛けて徐々に上がったり下がったりすることは少なく、特定ガスの濃度及びセンサ出力値の上昇や低下の変化は比較的早い。これに対し、風速の変化によるセンサ出力値の変化は、これらの変化に比して長く、数十秒あるいはそれ以上継続する場合が多い。ヒータやガスセンサ素子の温度が静定するまでに時間を要するので、ガスセンサ素子の温度変化に伴って、センサ出力値が緩慢に変化するためであると考えられる。
従って、本発明のガス検出装置のように、センサ出力値の濃度高方向あるいは濃度低方向への変化の継続期間を監視することで、センサ出力値に生じた変化が、特定ガスの濃度変化によるものであるか、風速の変化によるものであるかを区別することができる。つまり、センサ出力値の風起因変化の有無を確実に判別することができる。
なお、本発明では、単一のガスセンサ素子のみを用い、他のガスセンサ素子またはその出力値を用いない場合のみならず、他のガスセンサ素子を用い、または他のガスセンサ素子の出力を用いて、風起因変化の有無の検知をする場合を含む。他のガスセンサ素子を、その出力値を用いないで、風起因変化の検知に用いる場合としては、第2のガスセンサ素子を、第1のガスセンサ素子と電気的に接続して、第1のガスセンサ素子からの風起因変化による出力変化を、第2のガスセンサ素子の出力変化でキャンセルする場合などが挙げられる。一方、他のガスセンサ素子の出力値を用いる場合としては、第1のガスセンサのセンサ出力値のほかに、第2のガスセンサ素子の第2センサ出力値を用いて、アナログあるいはデジタル的に処理して、センサ出力値の風起因変化の検知に役立てる場合が挙げられる。
本明細書において、風とは、ガスセンサ素子及びヒータ素子と、あるいは第2のガスセンサ素子とヒータ素子あるいは第2ヒータ素子と、これらに接触する環境気体とが相対移動することによる、環境気体のガスセンサ素子等に対する流れをいう。従って、ガスセンサ素子等が大地に対して移動しない場合においては、通常に用いる風の意味と同じく、環境気体が大地及びガスセンサ素子等に対する流れをいう。一方、ガスセンサ素子等が自動車等に搭載されて大地に対して移動している場合には、環境気体がガスセンサ素子等に対して相対的に移動する流れをいう。従って、たとえ環境気体が大地に対して移動しないいわゆる無風状態であっても、ガスセンサ素子等自身が移動することによって、ガスセンサ素子等から見れば、環境気体の流れが生じているように見える場合をも含む。
また、風起因変化とは、ガスセンサ素子等と環境気体との相対速度の変化に起因するセンサ出力値の変化である。従って、例えば相対速度が上昇した場合のほか、相対速度が低下した場合も含む。
また、本明細書では、便宜上、センサ出力値について、特定ガスの濃度が高くなった場合にセンサ出力値が変化する方向を濃度高方向ということとする。
従って、特定ガスの濃度が高くなったとき、センサ出力値が大きくなるようにガスセンサ素子の特性や電子回路が構成されているガス検出装置では、センサ出力値について濃度高方向とは、センサ出力値が大きくなる方向をいう。これとは逆に、特定ガスの濃度が高くなったとき、センサ出力値が小さくなるガス検出装置では、センサ出力値について濃度高方向とは、センサ出力値が小さくなる方向をいう。
さらに敷衍して、風起因変化によりセンサ出力値が濃度高方向に変化する場合の、この相対速度(風速)の変化方向も濃度高方向ということとする。即ち、濃度高方向の相対速度変化とは、センサ出力値が濃度高方向に変化するような方向への相対速度の変化をいうこととする。従って、例えば、特定ガスの濃度が高くなったとき、センサ出力値が大きくなるように構成されたガス検出装置では、風速が大きくなったときに、センサ出力値が大きくなるのであれば、風速が大きくなる方向へ変化することを、風速が濃度高方向へ変化すると言うこととする。
一方、濃度低方向とは、この濃度高方向とは逆方向をいうこととする。
さらに、センサ出力値の風起因変化のうち、センサ出力値の変化方向が、特定ガスの濃度が高くなったときにセンサ出力値が変化するのと同じ方向に変化する場合の風起因変化を、風起因高方向変化ということとする。従って、センサ出力値に風起因高方向変化が生じている場合には、センサ出力値は傾向として濃度高方向へ変化していることになる。
また、この逆に、センサ出力値の変化方向が、特定ガスの濃度が低くなったときにセンサ出力値が変化するのと同じ方向に変化する場合の風起因変化を風起因低方向変化ということとする。
なお、取得手段としては、センサ出力値を適宜の間隔で取得するもので有れば良く、従って、所定サイクル時間毎にセンサ出力値を取得するもののほか、取得間隔がばらつくものであっても良い。但し、所定サイクル時間毎に取得するものでは、得られるセンサ出力値間の時間間隔が一定になるので、処理が容易となり好ましい。
さらに、このガス検出装置であって、前記風起因変化検知手段は、前記センサ出力値における風起因変化のうち、少なくとも変化方向が濃度高方向である風起因高方向変化の有無を検知し、前記風補償手段は、上記風起因変化検知手段による上記風起因高方向変化の検知以降に、前記特定ガスの濃度変化の検知における、上記センサ出力値の上記風起因高方向変化の影響を補償するガス検知装置とするのが好ましい。
特定ガスがNOx,COなど自動車の排気ガスであり、ガス検出装置を自動車のフラップを開閉するのに用いる場合など、ガス検出装置で検出する特定ガスの濃度変化のうちでは、特に濃度上昇を確実に捕捉したい用途がある。
このガス検出装置では、センサ出力値の風起因変化のうち、風起因高方向変化の有無を検知し、風起因高方向変化の影響を補償するので、特定ガスの濃度上昇を特に確実に捕捉することができる。
また、上記ガス検出装置であって、前記濃度検知手段は、前記風起因変化の終期を検知する風変化終期検知手段を有し、前記風補償手段は、前記風起因変化検知手段による上記風起因変化の検知から、上記風変化終期検知手段による上記風起因変化の終期の検知までの期間について、前記特定ガスの濃度変化の検知における、前記センサ出力値の上記風起因変化の影響を補償するガス検出装置とするのが好ましい。
このガス検出装置では、風変化終期検知手段を有しており、検知した風起因変化の終期まで、適切に風起因変化の影響を補償することができる。
他の解決手段は、ヒータ素子によって加熱されて、環境気体中の特定ガスの濃度変化に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を取得する取得手段と、 上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低下したことを示す濃度低信号及び上記特定ガスの濃度が上昇したことを示す濃度高信号を発生する濃度検知手段と、を備え、上記濃度検知手段は、上記ガスセンサ素子及び上記ヒータ素子とこれらに接触する上記環境気体との相対速度の変化に起因する上記センサ出力値の変化である風起因変化のうち、少なくとも変化方向が濃度高方向である風起因高方向変化の有無を、上記センサ出力値を用いて検知する風起因変化検知手段を有し、上記風起因変化検知手段は、上記センサ出力値の濃度高方向への変化が生じたときに、この濃度高方向への変化の継続期間から、この変化が上記風起因高方向変化であるか否かを判定するガス検出装置である。
一般に、環境気体中の特定ガスの濃度変化に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いたガス検出装置においては、経験則から、特定ガスの濃度が上昇した場合には、センサ出力値は比較的早い変化を生じる。一方、ガスセンサ素子等と環境気体(例えば空気)との相対速度変化によるセンサ出力値の変化(風起因高方向変化)は、上述の特定ガスの濃度上昇の場合に比して、緩慢であることが判っている。
しかし、このことから、センサ出力値が濃度高方向に変化した場合、その変化当初には、その変化が特定ガスの濃度変化によるものであるか、風起因高方向変化によるものであるかは判別できない。但し、その後、適切な期間に亘って、センサ出力値の変化傾向を評価すれば、両者を判別することができると考えられる。
そこで、本発明のガス検出装置では、風起因変化検知手段は、センサ出力値の濃度高方向への変化が生じたときに、この濃度高方向への変化の継続期間から、この変化が風起因高方向変化であるか否かを判定する。例えば、センサ出力値の濃度高方向への変化の継続期間が長い場合には、センサ出力値の変化が緩慢であると考えられることから、風起因高方向変化であると判定する。従って、単独のガスセンサ素子を用いて、あるいは他のガスセンサ素子の出力を用いないで、自身のセンサ出力値から、風起因高方向変化の有無を検知することができる。
なお、ガスセンサ素子のみならず、他のガスセンサ素子(第2ガスセンサ素子)をも用いて、自身のセンサ出力値と第2ガスセンサ素子の第2センサ出力値とを用いて、風起因高方向変化の有無を検知することもできる。
また、上記ガス検出装置であって、前記風起因変化検知手段は、前記センサ出力値を取得する間隔よりも長い時間間隔で、前記風起因変化の有無を検知するガス検出装置とするのが好ましい。
前述したように、特定ガスの濃度変化によるセンサ出力値の変化に比して、風速変化によって生じるセンサ出力値の風起因変化は、緩やかであることが判っている。従って、このような知見によれば、風速変化に起因する緩慢な変化を検知する場合には、風起因変化検知手段で風起因変化の有無を検知するに当たり、検知の時間間隔を大きくしても問題なく検知することができる。
そこで、本発明のガス検出装置では、センサ出力値を取得する間隔よりも長い時間間隔で、風起因変化の有無を検知する。これにより、ノイズ成分など、比較的短い周期で変化する微小変化の影響を除去できるので、適切に風起因変化の有無を検知することができて好ましい。また、これにより、頻繁に風起因変化の有無を検知する必要が無く、センサ出力値等の取得毎に検知を行う場合に比して、メモリ等の節約にも寄与できる。
なお、風起因変化の有無を検知する時間間隔としては、風起因変化によってセンサ出力値に生じる変動の周期(周波数)を考慮して、例えば、この周期の数分の一以下程度の時間間隔を選択するのが好ましい。
さらに、上記ガス検出装置であって、前記濃度検知手段は、前記風起因変化検知手段が、前記センサ出力値の濃度高方向への変化を前記風起因高方向変化であると判定したとき、前記特定ガスの前記濃度低信号を発生する濃度低信号発生手段を有するガス検出装置とすると良い。
本発明のガス検出装置では、風起因変化検知手段によって、センサ出力値に生じた濃度高方向への変化を風起因高方向変化であると判定したとき、濃度低信号発生手段により、現在発生している信号が濃度高信号であるか濃度低信号であるかに拘わらず、特定ガスについて濃度低信号を発生する。これにより、たとえセンサ出力値の濃度高方向への変化の当初には、誤検知で濃度高信号を発生していたとしても、この判定時点以降には、それを訂正し、特定ガスの濃度に適合した濃度低信号を適切に発生させることができる。
さらに上記いずれかに記載のガス検出装置であって、前記風起因変化検知手段は、所定サイクル時間毎に現在及び過去の上記センサ出力値からその変化情報を取得し、上記センサ出力値が濃度高方向に変化していることを示す濃度高変化情報が連続して第1所定個得られたとき、または連続する第2所定個の上記変化情報において上記濃度高変化情報が第1所定個以上含まれることが判明したときに、前記風起因高方向変化であるとするガス検出装置とすると良い。
前述したように、特定ガスの濃度変化によるセンサ出力値の変化に比して、風起因変化は緩慢に生じることが判っている用途がある。
そこで、本発明のガス検出装置では、風起因変化検知手段は、濃度高変化情報が連続して第1所定個得られたとき、または連続する第2所定個の変化情報において濃度高変化情報が第1所定個以上含まれることが判明したときに、センサ出力値の変化が風起因高方向変化であると判定する。この様な条件を満たした場合には、「所定サイクル時間」×「第1所定個」または、「所定サイクル時間」×「第2所定個」程度の期間に亘って、センサ出力値が濃度高方向に変化し続けていることが判る。従って、第1所定個、あるいは第2所定個の数値を適切に定めておけば、センサ出力値の濃度高方向への変化を、特定ガスの濃度上昇による比較的早い変化と、比較的緩慢な風起因高方向変化とに分けることができるからである。
ここで、現在及び過去のセンサ出力値から取得する変化情報としては、センサ出力値の変化傾向を適切に表せる数値情報であればいずれのものも採用することができる。例えば、現在と所定回過去(下記では8回)のセンサ出力値の移動差分値(m=S(n)−S(n−8))、微分値(d=S(n)−S(n−1))などが挙げられる。特に、現在と所定回過去のセンサ出力値の移動差分値(m=S(n)−S(n−8))が好ましい。算出が簡単である上、各時点での変化傾向を適切に表せるからである。なお、何回過去のセンサ出力値を用いるかは、センサ出力値の変化の周波数や、センサ出力値のサンプリング間隔などを勘案して、ノイズによる変動を抑制し各時点での変化傾向が適切に得られるなどの条件を満足できる回数とすると良い。
また、濃度高変化情報とは、変化情報のうち、センサ出力値が濃度高方向に変化していることを示す変化情報をいう。例えば正の傾き、あるいは正の所定値より大きな傾きを持つ変化情報が挙げられる。一方、濃度低変化情報とは、変化情報のうち、濃度高変化情報以外の濃度変化情報をいう。例えば、傾きが0または負、あるいは正の所定値より小さな傾きを持つ変化情報が挙げられる。
また、「連続する第2所定個の上記変化情報において上記濃度高変化情報が第1所定個以上含まれることが判明し」ていれば良いので、第2所定個(例えば80ヶ)の変化をすべて検査しなければならないとは限らない。例えば、過去から現在までの結果(例えば73ヶ中70ヶが濃度高変化情報であるという結果)から、残りの結果の如何に関わらず第1所定個(例えば70ヶ)含まれることが明らかとなった場合には、その時点でセンサ出力値の変化が風起因高方向変化である判定しても良い。
なお、第1所定個と第2所定個とは、その性質上、第1所定個<第2所定個の関係となる。
また、第1所定個の具体的数値は、経験則などから、特定ガス濃度の上昇によって濃度高変化情報が得られたとしたときには得られず、センサ出力値の風起因高方向変化では起こり得る数を指定すると良い。また、第2所定個は、ガス検出装置の特性や使用環境などから、信号に侵入するノイズ等によって、得られるはずの濃度高変化情報が得られない場合が生ずる可能性の程度などを考慮して、第1所定個よりも若干大きな適宜の数に定めれば良い。
さらに上記ガス検出装置であって、前記濃度検知手段は、前記風起因変化検知手段での前記風起因高方向変化であるか否かの判定に用いた前記変化情報、及び上記判定以降に取得した上記変化情報のうち、前記濃度高変化情報の数と、前記センサ出力値が濃度高方向に変化していないことを示す濃度低変化情報の数とが所定の関係となったときに、または上記濃度低変化情報が得られるパターンが所定パターンとなったときに、上記風起因高方向変化の終期であると判定する風変化終期検知手段を有するガス検出装置とすると良い。
風起因高方向変化は、ガス濃度に変化が無く、相対速度の変化(風速変化)がなくなれば、ヒータ素子やガスセンサ素子の温度が安定するにつれて収まってくる。従って、濃度高方向の相対速度変化が生じ、風起因高方向変化が起こった場合、その当初は、変化情報として濃度高変化情報が多く得られる。一方、風起因高方向変化の終期には、濃度高変化情報ばかりでなく、その逆の濃度低変化情報も得られ、しかも連続して濃度低変化情報が得られるなど濃度低変化情報の得られるパターンも変化してくる。
そこで、本発明のガス検出装置では、風起因変化検知手段で風起因高方向変化であるか否かの判定に用いた変化情報とこの判定以降に取得した変化情報のうちで、濃度高変化情報の数と、濃度低変化情報の数とが所定の関係となったら、風変化終期検知手段で風起因高方向変化の終期であると判定する。あるいは、濃度低変化情報の得られるパターンが所定のパターンとなったら、風変化終期検知手段で風起因高方向変化の終期であると判定する。これにより、適切に風起因変化の終期を検知できる。
なお、濃度高変化情報の数と濃度低変化情報の数との所定の関係としては、例えば、濃度高変化情報の数をUヶ、濃度低変化情報の数をDヶとしたとき、判定数X=U−20Dが、所定値以下となる関係、例えば、X=U−20D≦0を満たす関係が挙げられる。
また、濃度低変化情報が所定パターンで得られる場合としては、濃度低変化情報が連続してAヶ(例えば3ヶ)得られた場合や、連続するBヶ(例えば5ヶ)の変化情報の中で、濃度低変化情報がCヶ(例えば3ヶ)得られた場合などが挙げられる。
さらに上記いずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記濃度検知手段は、前記風起因変化検知手段による前記風起因高方向変化の検知以降に、または、前記風起因変化検知手段による前記風起因高方向変化の検知から、前記風変化終期検知手段によって検知した前記風起因高方向変化の終期までの期間に、前記特定ガスの濃度変化の検知における、前記センサ出力値の上記風起因高方向変化の影響を補償する風補償手段を有するガス検出装置とすると良い。
風起因高方向変化が生じている期間には、特定ガスの濃度変化が生じていない場合でも、センサ出力値が緩慢ではあるが濃度高方向に変化している。従って、この期間の各時点で得られるセンサ出力値には、特定ガスの濃度に対応する部分のほかに、風起因高方向変化の分が加わっていると考えられる。このため、この分を考慮した上で特定ガスの濃度変化が生じた否かを判断しないと、適切に特定ガスの濃度上昇などを検知できず、誤検知となる虞がある。
本発明のガス検出装置では、特定ガスの濃度変化を検知するにあたり、風補償手段によってセンサ出力値の風起因高方向変化の影響を補償する。このため、風起因高方向変化が生じている期間でも、特定ガスの濃度変化の検知を適切に行うことができる。
さらに上記ガス検出装置であって、前記濃度検知手段は、現在の前記センサ出力値及び過去に得た過去の基準値を用いて現在の基準値を算出する基準値算出手段と、上記現在のセンサ出力値と上記現在の基準値とを対比して、前記特定ガスの前記濃度低信号と前記濃度高信号のいずれかを発生する濃度信号発生手段と、を有し、前記風補償手段は、風補償値を用いて、上記現在の基準値を、または上記基準値算出手段で用いる上記過去の基準値を補正するガス検出装置とすると良い。
センサ出力値に風起因高方向変化が生じているときに得られた現在のセンサ出力値は、風起因高方向変化が生じなかった場合に得られたであろうセンサ出力値とは異なる値となっていると考えられる。
ところで、センサ出力値のほかに過去の基準値を用いて現在の基準値を算出する基準値算出手段を有するガス検出装置が考えられる。このものでは、現在のセンサ出力値と対比する現在の基準値として、この風起因高方向変化を考慮しない値を用いると、風起因高方向変化を考慮しなかった影響が次第に累積して、算出される基準値が、適切な値から次第にずれてゆく。このため、特定ガスの濃度変化が生じていないのにガス濃度変化に関する誤検知が生じる虞がある。
これに対し本発明のガス検出装置では、上述の基準値算出手段を有する。しかも、風補償値を用いて現在の基準値を補正する。これにより、基準値算出手段で、次回に算出する基準値に生じる風起因高方向変化の影響をなくしあるいは低減することができる。
あるいは、過去の基準値を補正してから上述の基準値算出手段で現在の基準値を算出する。これにより、同様に、算出された現在の基準値に生じる風起因高方向変化の影響をなくしあるいは低減することができる。
なお、基準値を補正するのに用いる風補償値としては、風速の変化に起因してセンサ出力値に生じた風起因変化による影響が、基準値とセンサ出力値との対比において生じないようにできる値を選択するのが好ましい。例えば、センサ出力値を所定のサイクル時間毎に取得する場合には、1サイクル分の時間間隔におけるセンサ出力値の風起因高方向変化の大きさに略相当する値を用いるのが好ましい。また、風補償値を得る手法としても、このような値が得られる手法であれば、いずれの手法によって得たものでも良く、算出の容易さや値の適切さを考慮して選択すればよい。例えば、現在と所定回過去のセンサ出力値との差(移動差分値)を、この間のサイクル数で除して得たこの間の平均変化量(平均傾き)が挙げられる。また、センサ出力値の濃度高方向への変化の検知時点やその前回のサイクルからこの変化が風起因高方向変化であると判定されるまで期間におけるセンサ出力値の平均変化量(平均傾き)や、センサ出力値の濃度高方向への変化の検知時点やその前回のサイクルから現在までの期間におけるセンサ出力値の平均変化量(平均傾き)が挙げられる。またさらに、風起因変化検知手段での風起因高方向変化の判定に用いたセンサ出力値のうち最も過去のものからこの変化が風起因高方向変化であると判定されるまでの期間におけるセンサ出力値の平均変化量(平均傾き)や、風起因変化検知手段での風起因高方向変化の判定に用いたセンサ出力値のうち最も過去のものから現在までの期間におけるセンサ出力値の平均変化量(平均傾き)などが挙げられる。
また、風補償値が場合によって大きく変化することがないことが判っている場合には、風補償値を一定値とすることもできる。このようにすると風補償値を算出する必要が無く処理が容易になる。
さらに、上記ガス検出装置であって、前記濃度検知手段は、現在及び過去のセンサ出力値のうちから選択した少なくとも2つのセンサ出力値を用いて前記風補償値を算出する風補償値算出手段を有するガス検出装置とすると良い。
風起因高方向変化の大きさは、ガスセンサ素子等と環境気体間の相対速度の変化の大きさによって異なると考えられる。一般に相対速度の変化が大きい(例えば、停止状態から高速移動に移る場合や逆に高速移動から停止状態に移る場合など)と、風起因高方向変化が大きくなる。また、風起因高方向変化は、時間とともにその大きさが変化する。当初は変化が大きく、徐々に小さくなるのが通常である。
これに対し本発明のガス検出装置では、濃度検知手段が、現在及び過去のセンサ出力値のうちの2つ以上を用いて風補償値を算出する。このため、風起因高方向変化の大きさに応じた適切な風補償値を得ることができる。従って、この風補償値を用いれば、基準値を適切に補正することができ、適切なガス検知ができる。
なお、風補償値算出手段で用いる手法としては、1サイクル分の時間間隔におけるセンサ出力値の風起因高方向変化の大きさに略相当する値が得られる手法であればよい。例えば、現在と所定回過去のセンサ出力値から両者間の1サイクル当たりの平均変化量(平均傾き)を求める手法が挙げられる。また、センサ出力値の濃度高方向への変化の検知時点やその前回のサイクルとこの変化が風起因高方向変化であると判定された時点のセンサ出力値から両者間の平均変化量(平均傾き)を求める手法や、センサ出力値の濃度高方向への変化の検知時点やその前回のサイクルと現在のセンサ出力値から両者間の平均変化量(平均傾き)を求める手法が挙げられる。さらに、風起因変化検知手段での風起因変化の判定に用いたセンサ出力値のうち最も過去のものとこの変化が風起因高方向変化であると判定された時点のセンサ出力値とから両者間の平均変化量(平均傾き)を求める手法や、風起因変化検知手段での風起因変化の判定に用いたセンサ出力値のうち最も過去のものと現在のセンサ出力値とから両者間の平均変化量(平均傾き)を求める手法などが挙げられる。
上記いずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記風起因変化検知手段によって風起因高方向変化が有ると判断されている期間において、時間の経過と共に前記風補償値を更新して算出する風補償値更新算出手段を有するガス検出装置とすると良い。
風補償値としては、風補償値を何等かの手段で得たら、その風補償値を風起因高方向変化があると判断されている期間に亘り、同じ値を用いることもできる。しかし、風起因変化は、一般には、風速が変化した当初に比較的大きく生じ、時間の経過と共に小さくなることが判っている。
そこで、このガス検出装置では、風補償更新算出手段により、風補償値を更新して算出する。これにより、各時点で適切な風起因高方向変化に対する補償ができるから、より適切なガス検知ができる。
なお、風補償値更新算出手段で風補償値を得る手法としては、前述の風補償値算出手段と同様の手法を用い、適時、風補償値を算出、更新することができる。
さらに、上記いずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記風起因変化検知手段が、前記風起因高方向変化であると判断した場合に、特定ガスについて前記濃度低信号を発生する濃度低信号発生手段を有するガス検出装置とすると好ましい。
風起因高方向変化、つまり、センサ出力値に風起因変化があり、かつその変化が濃度高方向であると判断された場合には、その時点ですでに濃度検知手段で特定ガスの濃度が高くなったとして、この特定ガスについて濃度高信号を発生している場合が多い。しかし、このような場合には、この濃度高の判断は、風に起因する誤判断であり、本来は濃度低とされているべきであったことになる。
これに対し、このガス検出装置では、風起因高方向変化を検知すると、特定ガスについて、この時点で濃度低信号と濃度高信号のいずれを発生していたかに拘わらず、濃度低信号を発生する。このため、濃度高の誤判断を直ちに取り消すことができる。従って、オートベンチレーションシステムなどに適用した場合には、フラップが外気導入に変更されるなど、誤動作が速やかに解消される。なお、濃度低信号が出されていた場合には、信号を変える必要がなく、そのまま維持することとなる。
さらに、上記いずれかに記載のガス検出装置であって、前記ヒータ素子またはこれとは異なる第2ヒータ素子によって加熱されて、前記環境気体中の前記特定ガス以外の第2特定ガスの濃度変化に応じて第2センサ抵抗値が変化する第2ガスセンサ素子と、上記第2センサ抵抗値に応じた第2センサ出力値を取得する第2取得手段と、を備え、前記風起因変化検知手段は、前記センサ出力値の濃度高方向への変化が生じたときの、この濃度高方向への変化の継続期間、及び、上記第2センサ出力値の挙動を用いて、上記センサ出力値の変化が上記風起因高方向変化であるか否かを判定するガス検出装置とすると良い。
ガス検出装置としては、前述した特許文献1に記載したように、2つの異なるガスに反応する2つのガスセンサ素子を用いたガス検出装置が用いられる場合もある。この場合においても、2つのガスセンサ素子と環境気体との相対速度変化が生じると、(第1の)ガスセンサ素子から得たセンサ出力値及び第2ガスセンサ素子の第2センサ出力値の少なくともいずれかについて、これに起因する変化が生じる。
そこで、本発明のガス検出装置では、風起因変化検知手段において、センサ出力値に濃度高方向への変化が生じた場合に、このセンサ出力値の濃度高方向への継続時間のほかに、第2ガスセンサ素子にかかる第2センサ出力値の挙動をも用いて、センサ出力値の変化が風起因高方向変化か否かを判定する。
もし、センサ出力値に生じている変化が、風速変化に起因する変化であるとすれば、第2ガスセンサ素子にも、何等かの影響が有ると考えられる。また、特定ガスの濃度変動によって変化が生じている場合には、特定ガスと第2特定ガスとの間に何等かの関係がある場合には、その関係に従って、第2センサ出力値にも影響が生じると考えられる。そこで、第2センサ出力値の挙動を観察し、上述の関係を考慮すれば、センサ出力値のみで判定していた場合よりも、より適切に判定をすることができる。
なお、第2取得手段は、第2センサ出力値を適宜の時間間隔で取得するもので有れば良く、取得手段と同じサイクル時間毎に得ても良いし、あるいは、センサ出力値は第1のサイクル時間毎に、また第2センサ出力値はこれとは異なる第2所定サイクル時間毎に得ても良い。さらには、これらの取得時間間隔が時間と共に変動しても良い。但し、所定時間毎(所定サイクル時間毎、又は第2所定サイクル時間毎)に取得するものでは、得られるセンサ出力値及び第2センサ出力値間の時間間隔が一定になるので、処理が容易である。
また、特定ガスの濃度変化と第2特定ガスの濃度変化との間の相関関係などにもよるが、第2ガスセンサ素子の第2センサ抵抗値が、第2特定ガスの濃度が高くなることによって変化する方向と、(第1の)ガスセンサ素子のセンサ抵抗値が、特定ガスの濃度が高くなることによって変化する方向(濃度高方向)、あるいは、第2ガスセンサ素子の第2センサ抵抗値が、風速の増加によって変化する方向と、第1のガスセンサ素子のセンサ抵抗値が、風速の増加によって変化する方向のいずれかが、互いに異なる特性と持つように第2ガスセンサ素子を選択するのが好ましい。特定ガス及び第2特定ガスの濃度変化と、風速の変化との分離が容易となるからである。
また、本明細書では、ガスセンサ素子に関する場合と同じく、第2ガスセンサ素子についても、同様な表現をすることとする。即ち、便宜上、第2センサ出力値について、第2特定ガスの濃度が高くなった場合に第2センサ出力値が変化する方向を第2濃度高方向ということとする。
従って、第2特定ガスの濃度が高くなったとき、第2センサ出力値が大きくなるように第2ガスセンサ素子の特性や電子回路が構成されているガス検出装置では、第2センサ出力値について第2濃度高方向とは、第2センサ出力値が大きくなる方向をいう。これとは逆に、第2特定ガスの濃度が高くなったとき、第2センサ出力値が小さくなるガス検出装置では、第2センサ出力値について第2濃度高方向とは、第2センサ出力値が小さくなる方向をいう。
さらに敷衍して、第2ガスセンサ素子に接触する環境気体との相対速度の変化に起因する第2センサ出力値の変化を第2風起因変化ということとする。また、第2風起因変化により第2センサ出力値が第2濃度高方向に変化する場合の、この相対速度(風速)の変化方向も第2濃度高方向ということとする。即ち、第2濃度高方向の相対速度変化とは、第2センサ出力値が第2濃度高方向に変化するような方向への相対速度の変化をいうこととする。従って、例えば、第2特定ガスの濃度が高くなったとき、第2センサ出力値が大きくなるように構成されたガス検出装置では、風速が大きくなったときに、第2センサ出力値が大きくなるのであれば、風速が大きくなる方向へ変化することを、風速が第2濃度高方向へ変化すると言うこととする。
一方、第2濃度低方向とは、この第2濃度高方向とは逆方向をいうこととする。
さらに、第2センサ出力値の第2風起因変化のうち、第2センサ出力値の変化方向が、第2特定ガスの濃度が高くなったときに第2センサ出力値が変化するのと同じ方向に変化する場合の第2風起因変化を、第2風起因高方向変化ということとする。従って、第2センサ出力値に第2風起因高方向変化が生じている場合には、第2センサ出力値は傾向として第2濃度高方向へ変化していることになる。
また、この逆に、第2センサ出力値の変化方向が、第2特定ガスの濃度が低くなったときに第2センサ出力値が変化するのと同じ方向に変化する場合の第2風起因変化を第2風起因低方向変化ということとする。
さらに、第2ガスセンサ素子については、ガスセンサ素子と同じヒータ素子で加熱されていても、これとは別の第2ヒータ素子で加熱されていても良い。
なお、第2センサ出力値の挙動としては、センサ出力値が濃度高方向へ変化している継続期間に相前後する期間における、第2センサ出力値の変化の方向(増加するのか、減少するのか、あるいは変化しないのか)、変化の大きさ、変化が継続する期間の長さなどが挙げられる。例えば、第2センサ出力値の変化が継続する期間としては、具体的には、第2センサ出力値が、徐々に第2濃度高方向に変化する場合の第2継続期間と、徐々に第2濃度低方向に変化する場合の第2継続期間と、どちらにも変化しない場合の第2継続時間とが挙げられる。
上記いずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記ヒータ素子またはこれとは異なる第2ヒータ素子によって加熱されて、前記環境気体中の前記特定ガス以外の第2特定ガスの濃度変化に応じて第2センサ抵抗値が変化する第2ガスセンサ素子と、上記第2センサ抵抗値に応じた第2センサ出力値を取得する第2取得手段と、を備え、前記ガスセンサ素子は、上記環境気体との相対速度が増加した場合と、この素子で検知する特定ガスの濃度が増加した場合のいずれでも、前記センサ抵抗値が増加する特性を有し、第2ガスセンサ素子は、上記環境気体との相対速度が増加したときには、上記第2センサ抵抗値が増加または変化しないする一方、上記第2特定ガスの濃度が増加した場合には、上記第2センサ抵抗値が低下する特性を有し、前記風起因変化検知手段は、前記センサ出力値の濃度高方向への変化の継続期間に加え、前記第2センサ出力値の挙動を用いて、上記センサ出力値の変化が上記風起因高方向変化であるか否かを判定するガス検出装置とすると良い。
ガスセンサ素子にかかるセンサ出力値が濃度高方向に徐々に変化する場合として、風速変化に伴う風起因高方向変化があるが、その他に、トンネルなどガス滞留空間に進入した場合にも、トンネル内の特定ガスの濃度が徐々に高くなるため、センサ出力値が徐々に濃度高方向に変化することが判ってきた。
この場合には、センサ出力値が濃度高方向に変化する継続時間のみでは、この濃度高方向への変化が、風速変化によるものであるのか、トンネル等への進入によるものであるのかを区別することができない。
しかしながら、トンネルにおいては、酸化性ガス(NOx等)及び還元性ガス(CO,HC等)のいずれも、トンネル内の進行と共に徐々に濃度が上昇する傾向にあることが判ってきた。
また、酸化性ガスに反応するガスセンサ素子として、酸化性ガス濃度の上昇と風速の増加のいずれでも、センサ抵抗値が上昇する特性を持つガスセンサ素子を用いることができる。一方、還元性ガスに反応するガスセンサ素子として、風速の増加ではセンサ抵抗値は増加するが、還元性ガス濃度の上昇ではセンサ抵抗値が減少する特性を持つガスセンサ素子を用いることができる。
従って、本発明のガス検出装置では、このような互いに異なる変化特性を持つ2つのガスセンサ素子を組み合わせて使用することで、センサ出力値の濃度高方向への変化を、風速変化とトンネル等への進入とに区別することが可能としている。
即ち、ガスセンサ素子は、風速が増加した場合と特定ガスの濃度が増加した場合のいずれでもセンサ抵抗値が増加する特性を有している。一方、第2ガスセンサ素子は、風速が増加したときには第2センサ抵抗値が増加するが、第2特定ガスの濃度が増加した場合には第2センサ抵抗値は減少する特性を有している。
従って、特定ガス及び第2特定ガスが滞留している空間(例えばトンネル等)に進入した場合には、センサ出力値が増加(濃度高方向に変化)し、第2センサ出力値は減少(第2濃度高方向に変化)する。一方、風速が増加した場合には、センサ出力値は同様に増加(濃度高方向に変化)するものの、第2センサ出力値は増加(第2濃度低方向に変化)する。かくして、センサ出力値が同様に増加(濃度高方向に変化)していても、風速の増加による変化と、他の場合(トンネル等に進入した場合)とを区別することができる。
あるいは、請求項2〜請求項8のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記ヒータ素子またはこれとは異なる第2ヒータ素子によって加熱されて、前記環境気体中の前記特定ガス以外の第2特定ガスの濃度変化に応じて第2センサ抵抗値が変化する第2ガスセンサ素子と、上記第2センサ抵抗値に応じた第2センサ出力値を取得する第2取得手段と、を備え、ガスセンサ素子は、上記環境気体との相対速度が増加したときには、上記センサ抵抗値が増加または変化しない一方、上記特定ガスの濃度が増加した場合には、上記センサ抵抗値が低下する特性を有し、前記第2ガスセンサ素子は、上記環境気体との相対速度が増加した場合と、この素子で検知する第2特定ガスの濃度が増加した場合のいずれでも、前記第2センサ抵抗値が増加する特性を有し、前記風起因変化検知手段は、前記センサ出力値の濃度高方向への変化の継続期間に加え、前記第2センサ出力値の挙動を用いて、上記センサ出力値の変化が上記風起因高方向変化であるか否かを判定するガス検出装置とすると良い。
前述したように、酸化性ガスに反応するガスセンサ素子として、酸化性ガス濃度の上昇と風速の増加のいずれでも、センサ抵抗値が上昇する特性を持つガスセンサ素子が有り、一方、還元性ガスに反応するガスセンサ素子として、風速の増加ではセンサ抵抗値は増加するが、還元性ガス濃度の上昇ではセンサ抵抗値が減少する特性を持つガスセンサ素子もある。つまり、このように変化特性の互いに異なるガスセンサ素子がある。
そこで、本発明のガス検出装置では、ガスセンサ素子として想定するものと第2ガスセンサ素子として想定するものを、前述の場合とは逆にする。このようにしても、同様に、2つのガスセンサ素子を組み合わせて使用することで、センサ出力値の濃度高方向への変化を、風速変化とトンネル等への進入とに区別することが可能としている。
即ち、ガスセンサ素子は、風速が増加したときにはセンサ抵抗値が増加するが、特定ガスの濃度が増加した場合にはセンサ抵抗値は減少する特性を有している。一方、第2ガスセンサ素子は、風速が増加した場合と第2特定ガスの濃度が増加した場合のいずれでも第2センサ抵抗値が増加する特性を有している。
従って、特定ガス及び第2特定ガスが滞留している空間(例えばトンネル等)に進入した場合には、センサ出力値が減少(濃度高方向に変化)し、第2センサ出力値は増加(第2濃度高方向に変化)する。一方、風速が減少した場合には、センサ出力値は同様に増加(濃度高方向に変化)するものの、第2センサ出力値は減少(第2濃度低方向に変化)する。かくして、センサ出力値が同様に減少(濃度高方向に変化)していても、風速の減少による変化と、他の場合(トンネル等に進入した場合)とを区別することができる。
上記いずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記風起因変化検知手段によって風起因高方向変化が有ると判断されている期間において、時間の経過と共に前記風補償値を更新して算出する風補償値更新算出手段を有するガス検出装置とすると良い。
風補償値としては、風補償値を何等かの手段で得たら、その風補償値を風起因高方向変化があると判断されている期間に亘り、同じ値を用いることもできる。しかし、風起因変化は、一般には、風速が変化した当初に比較的大きく生じ、時間の経過と共に小さくなることが判っている。
そこで、このガス検出装置では、風補償更新算出手段により、風補償値を更新して算出する。これにより、各時点で適切な風起因高方向変化に対する補償ができるから、より適切なガス検知ができる。
なお、風補償値更新算出手段で風補償値を得る手法としては、前述の風補償値算出手段と同様の手法を用い、適時、風補償値を算出、更新することができる。
さらに、上記いずれか1項に記載のガス検出装置であって、前記風起因変化検知手段が、前記風起因高方向変化であると判断した場合に、特定ガスについて前記濃度低信号を発生する濃度低信号発生手段を有するガス検出装置とすると好ましい。
風起因高方向変化、つまり、センサ出力値に風起因変化があり、かつその変化が濃度高方向であると判断された場合には、その時点ですでに濃度検知手段で特定ガスの濃度が高くなったとして、この特定ガスについて濃度高信号を発生している場合が多い。しかし、このような場合には、この濃度高の判断は、風に起因する誤判断であり、本来は濃度低とされているべきであったことになる。
これに対し、このガス検出装置では、風起因高方向変化を検知すると、特定ガスについて、この時点で濃度低信号と濃度高信号のいずれを発生していたかに拘わらず、濃度低信号を発生する。このため、濃度高の誤判断を直ちに取り消すことができる。従って、オートベンチレーションシステムなどに適用した場合には、フラップが外気導入に変更されるなど、誤動作が速やかに解消される。なお、濃度低信号が出されていた場合には、信号を変える必要がなく、そのまま維持することとなる。
さらに、上記のいずれか1項に記載のガス検出装置を含む車両用オートベンチレーションシステムとすると良い。
この車両用オートベンチレーションシステムでは、ガスセンサ素子と環境気体との相対速度の変化によって生じる風起因変化、風起因高方向変化を、単独のガスセンサ素子にかかるセンサ出力値の変化の継続時間を用いて、あるいはガスセンサ素子にかかるセンサ出力値の変化の継続時間と第2ガスセンサ素子にかかる第2センサ出力値の挙動を用いて検出することができるガス検出装置を用いている。このため、この車両用オートベンチレーションシステムでは、センサ出力値に風起因変化や風起因高方向変化が起きた場合でも、これを確実に検知し、適切なフラップの開閉を行うことができる。
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。まず、図1に本実施形態のガス検出装置10の回路図及びブロック図と、これを含む車両用オートベンチレーションシステム100の概略構成を示す。このシステム100は、特定ガスの濃度変化に応じて濃度信号LVを出力するガス検出装置10と、フラップ34を回動させて、内気取り入れ用ダクト32及び外気取り入れ用ダクト33のいずれかをダクト31に接続させる換気系30と、濃度信号LVに従って換気系30のフラップ34を制御する電子制御アセンブリ20とを備える。
まずガス検出装置10について説明する。このガス検出装置10は、被測定ガス(本実施形態では大気)中にNOxなど酸化性ガス成分がある場合に、これに反応し、酸化性ガス成分の濃度上昇と共にセンサ抵抗値Rsが上昇するタイプの酸化物半導体のガスセンサ素子11を用いるものである。このガスセンサ素子11は、ヒータ素子2に近接した位置に配置されており、このヒータ素子2に通電することによって加熱されることで、酸化性ガスの検出能力を発揮する。ガスセンサ素子11とヒータ素子2とは、外気が流入可能としつつ1つの容器内に配置されてガスセンサ1を成している。このガスセンサ1は、自動車の車室外に配置される。
このガスセンサ素子11(ガスセンサ1)を用い、センサ抵抗値変換回路14、バッファ13、A/D変換回路15からなるセンサ出力値取得回路19で、センサ出力値S(n)を取得する。センサ抵抗値変換回路14は、このガスセンサ素子11のセンサ抵抗値Rsに応じたセンサ出力電位Vsを出力する。具体的には、電源電圧Vccをガスセンサ素子11と検出抵抗値Rdを有する検出抵抗12とで分圧した動作点Pdのセンサ出力電位Vsを、バッファ13を介して出力するようになっている。このため、このセンサ抵抗値変換回路14では、NOxなどの酸化性ガスの濃度が上昇すると、センサ抵抗値Rsが上昇し、センサ出力電位Vsが上昇し、得られるセンサ出力値S(n)の値が上昇するように構成されている。
バッファ13の出力(センサ出力電位Vs)は、A/D変換回路15に入力されて、所定のサイクル時間(例えば0.5秒)毎にデジタル化された現在のセンサ出力値S(n)として出力され、マイクロコンピュータ16の入力端子17に入力される。nは順序を表す一連の整数である。
従って、本実施形態1では、酸化性ガスの濃度が高くなるとセンサ出力値S(n)が大きな値になるから、センサ出力値S(n)について濃度高方向とは、センサ出力値S(n)の値が大きくなる方向をいう。一方、濃度低方向がこの逆になることは、いうまでもない。
また、本実施形態1では、風起因変化のうち、風起因高方向変化とは、センサ出力値S(n)が大きくなる方向(濃度高方向)に変化する場合を指すので、ガスセンサ素子11等と外気との相対速度が大きくなった場合に生じる変化を指すこととなる。
さらにこのマイクロコンピュータ16の出力端子18からは、電子制御アセンブリ20を制御するための濃度高信号(LV=1)と濃度低信号(LV=0)のいずれかの濃度信号LVが出力される。この電子制御アセンブリ20は、自動車の内気循環及び外気取り入れを制御する換気系30のフラップ34を制御するものである。この換気系30は、本実施形態では具体的には、自動車室内につながるダクト31に、二股状に接続された、内気を取り入れ循環させる内気取り入れ用ダクト32と外気を取り入れる外気取り入れ用ダクト33とを切り替えるフラップ34を制御するものである。
電子制御アセンブリ20のうち、フラップ駆動回路21は、マイクロコンピュータ16の出力端子18からの濃度信号LV、本実施形態1に即して言えば、NOxなどの酸化性ガス成分の濃度が上昇したか下降したかを示す濃度信号LVに従って、アクチュエータ22を動作させフラップ34を回動させて、内気取り入れ用ダクト32及び外気取り入れ用ダクト33のいずれかをダクト31に接続させる。
例えば、図2のフローチャートに示すように、ステップS1で初期設定を行った後、ステップS2で濃度レベル信号LVを取得し、ステップS3で濃度信号LVがハイレベル(LV=1)であるか否か、つまり濃度高信号発生中であるか否かを判断する。ここで、Noつまり濃度低信号発生中(LV=0)の場合には、特定ガス(本実施形態1では酸化性ガス)の濃度が低いのであるから、ステップS4において、フラップ34の全開を指示する。これにより、フラップ34が回動して、外気取り入れ用ダクト33がダクト31に接続され、外気が車室内に取り入れられる。一方、ステップS3においてYesつまり濃度高信号発生中(LV=1)の場合には、車室外の特定ガスの濃度が高いのであるから、ステップS5において、フラップ34の全閉を指示する。これにより、フラップ34が回動して、内気取り入れ用ダクト32がダクト31に接続され、外気導入が遮断されると共に、内気循環となる。
ダクト31内には、空気を圧送するファン35が設置されている。なお、フラップ駆動回路21は、濃度信号LVだけに応じてフラップ34を開閉するようにしても良いが、例えば、マイクロコンピュータなどを用い、ガス検出装置10による濃度信号LVの他、図中破線で示すように、例えば室温センサや湿度センサ、外気温センサなどからの情報をも加味して、フラップ34を開閉するようにしても良い。
マイクロコンピュータ16では、入力端子17から入力されたセンサ出力値S(n)を後述するフローに従った処理を行うことにより、ガスセンサ素子11のセンサ抵抗値Rsやその変化などから酸化性ガス成分の濃度変化を検出する。マイクロコンピュータ16は、詳細は図示しないが、公知の構成を有し、演算を行うマイクロプロセッサ、プログラムやデータを一時記憶しておくRAM、プログラムやデータを保持するROMなどを含む。また、バッファ13やA/D変換回路15をも含むものを用いることもできる。
ところで、このような構成を有するガス検出装置10(車両用オートベンチレーションシステム100)では、特定ガス(酸化性ガス)の濃度変化が生じていないにも拘わらず、得られたセンサ出力値S(n)が緩やかに変化する現象が生じることがある。この現象は、例えば、市街地を比較的低速で走行した後、高速道路に入って高速移動を行った場合、あるいはこの逆の場合などに観察される。
これは、ガスセンサ素子11をヒータ素子2で加熱しているため、自動車の移動速度の変化や外気の風速の変化によって、ガスセンサ素子11やヒータ素子2から外気に奪われる時間当たりの熱量が変化するため、ガスセンサ素子11の温度が変化するためであると考えられる。ガスセンサ素子11のセンサ抵抗値Rsは、特定ガスの濃度変化のみならず、その温度変化によっても変化する。具体的には、本実施形態1のガスセンサ素子11は、それ自身の温度が低下するとセンサ抵抗値Rsが上がる特性を有している。
従って、このような変化を生じている期間には、自動車の速度変化などによるセンサ出力値S(n)の変化を、酸化性ガスの濃度変化によるものと誤検知する虞がある。本実施形態1では、ガスセンサ素子11が冷やされる側、つまり、自動車の車速が高くなったり、風速が大きくなったりして、ガスセンサ素子11と外気との相対速度が大きくなる側に変化した場合に、ガスセンサ素子11(ガスセンサ1)のセンサ抵抗値Rsが高くなる方向に変化し、酸化性ガスの濃度上昇と誤検知を生じやすい。つまり、風速が濃度高方向に変化した場合に、酸化性ガスの濃度が濃度高方向に変化したと誤検知されやすい。
これに対し、前述したように、従来技術では、異なる特性のガスセンサ素子、例えばCOなどの還元性ガスに反応し、還元性ガスの濃度が高くなったときにセンサ抵抗値が低くなる特性を有する第2のガスセンサ素子を別途用意する。そして、この第2のガスセンサ素子の出力変化を参照して、センサ出力値S(n)の変化が、自動車の速度変化によるものか、酸化性ガスの濃度変化によるものかを判別する。
しかし、前述の従来技術では、第2のガスセンサ素子が、他のガス(還元性ガス)の濃度変化を検知しているときには、この処理を行えないなどの不具合がある。
これに対し、本実施形態1のガス検出装置10では、マイクロコンピュータ16における制御を、図3,図4のフローチャートに示すようにして行う。
まず、自動車のエンジンが駆動されると、本制御システムが立ち上がる。ガスセンサ素子11がヒータ素子2によって加熱され、活性状態となるのを待って、まずステップS11で初期設定を行う。初期設定として、ベース値B(0)として、ガスセンサ素子11が活性状態となった当初のセンサ出力値S(0)を記憶しておく(B(0)=S(0))。また、後述するステップS13で、不適切な値が算出されないようにするため、S(−7)=S(−6)=…=S(−1)=S(0)としておく。また、濃度信号LVとして濃度低信号を発生させておく、具体的には濃度信号LVをローレベル(LV=0)としておく。
次いで、ステップS12に進み、前述したように、A/D変換回路15を用いて、センサ出力値S(n)を取得する。その後、ステップS13で移動差分値M(n)を算出する。移動差分値M(n)は、式(1):M(n)=S(n)−S(n−8)によって求める。この移動差分値M(n)は、容易に理解できるように、現在のセンサ出力値と過去(本実施形態1ではサイクル数8回分過去)のセンサ出力値とを比較しており、この間のセンサ出力値の変化の傾向が判る変化情報である。そしてこの移動差分値M(n)が0または正の所定値より大きいときは(本実施形態1では具体的には後述するように100)、センサ出力値S(n)が濃度高方向(増加方向)に変化していることを示す濃度高変化情報であるとする。逆に、この移動差分値M(n)が上述の0または所定値(本実施形態1では100)以下の値の時は、濃度低変化情報であるとする。
なお、起動から8回サンプリングするまでは、このステップS13による移動差分値M(n)の算出には、意味がない。
次いで、ステップS14に進み、後述するステップS16,S17またはS18で前回(前のサイクル)に得たベース値B(n−1)を現在のセンサ出力値S(n)と比較する。本実施形態1では、酸化性ガスの濃度が上昇したときにセンサ出力値S(n)が大きな値となる、つまり、値が大きくなる方向が濃度高方向であるセンサ出力値S(n)を用いている。また、車両用オートベンチレーションシステム100では、酸化性ガスの濃度が上昇した場合に、早く的確にフラップ34を閉じて内気循環にできることが重要視される。そこで、酸化性ガスの濃度の上昇によるセンサ出力値S(n)の上昇を素早く捕捉するべく、前回に得たベース値B(n−1)がセンサ出力値S(n)以上の値となっている場合(No)には、ステップS18に進んで、ベース値B(n)をセンサ出力値S(n)に一致させ、その後ステップS19に進む。
一方、このステップS14で、Yesの場合には、ステップS15に進んで、濃度高信号発生中であるか否かを判断する。具体的には、濃度信号LVがハイレベル(LV=1)となっているか否かをチェックする。
ここで、No、即ち、濃度低信号(LV=0)を発生している場合には、ステップS16に進んで、ベース値B(n)を算出する。一方、Yes、即ち、濃度高信号(LV=1)を発生している場合には、ステップS17に進んで、ベース値B(n)を算出する。
ステップS16では、前回ベース値B(n-1)と現在センサ出力値S(n)と8回過去センサ出力値S(n-8)を利用して、以下の式(2)によって現在ベース値B(n)を算出し、ステップS19に進む。式(2):B(n)=B(n-1)+k1[S(n)−B(n-1)]−k2[S(n)−S(n-q)]、ここで、第1係数k1は、0<k1<1である。また、第2係数k2は、k2>0である。また、qは正の整数であり、本実施形態1では、q=8である。なお、式(2)のうち、S(n)-S(n-8)は、式(1)によって既に求めてあるので、これを用いることもできる。
上記式(2)のうち、B(n-1)+k1[S(n)−B(n-1)]で表される第1,第2項で得られる値は、使用する係数k1が0<k1<1の範囲内では、現在センサ出力値S(n)に追従し、しかも現在センサ出力値S(n)よりも緩慢に変化する。一方、−k2[S(n)−S(n-8)]で表される第3項は、現在のセンサ出力値S(n)と8回過去センサ出力値S(n-8)との差分値を算出する項であり、センサ出力値が増加傾向にある場合にそれを強調する。例えば、センサ出力値が過去より増加(S(n)>S(n-8))すると、この項が無いとした場合、つまり、第1,第2項のみであるB(n-1)+k1[S(n)−B(n-1)]で算出した値に比して、式(2)を用いた現在ベース値B(n)は小さな値となる。このため、後述するステップS21において算出する比L(n)が早期に大きな値となるので、酸化性ガスの濃度上昇をより早期に捕捉することができる。
次いで、濃度高信号を発生している場合(LV=1)、つまりステップS15でYesとして、ステップS17に進んだ場合について説明する。ステップS17では、ステップS16と同様な式(3)を用いて前回ベース値B(n-1)と現在センサ出力値S(n)とから現在ベース値B(n)を算出してステップS19に進む。式(3):B(n)=B(n-1)+k3[S(n)−B(n-1)]−k4[S(n)−S(n-r)]、ここで、第3係数k3は、0<k3≦k1<1である。また、第4係数k4は、k4>0である。また、rは正の整数であり、本実施形態では、r=8である。
前記した式(2)と同様に、式(3)のうち、B(n-1)+k3[S(n)−B(n-1)]で表される第1,第2項で得られる値は、使用する係数k3が0<k3<1の範囲内では、現在センサ出力値S(n)に追従し、しかも現在センサ出力値S(n)よりも緩慢に変化する。一方、−k4[S(n)−S(n-8)]で表される第3項は、式(2)における第3項と同じく、現在のセンサ出力値S(n)と8回過去センサ出力値S(n-8)との移動差分値を算出する項であり、センサ出力値が増加傾向にある場合にそれを強調する。例えば、センサ出力値が過去より増加(S(n)>S(n-8))すると、この項が無いとした場合、つまり、第1,第2項のみであるB(n-1)+k3[S(n)−B(n-1)]で算出した値に比して、式(3)を用いた現在ベース値B(n)は小さな値となる。このため、後述するステップS21において算出する比L(n)が早期に大きな値となるので、酸化性ガスの濃度上昇をより早期に捕捉することができる。
ステップS19では、後述する風補正ルーチン(ステップS30)内でセットする風補正フラグがセットされているか否かを判断する。ここで、風補正フラグがセットされている(Yes)、つまり、風起因方向変化に対する補償を行うべき時には、ステップS20に進み、ステップS16,S17,S18のいずれかで得たベース値B(n)に風補償値NMSを加えて、新たなベース値B(n)とし、ステップS21に進む。
一方、No、風補正フラグがセットされていない場合には、補正は不要であるので、そのままステップS21に進む。
ステップS21では、比L(n)を式(4):L(n)=S(n)/B(n)によって算出する。ガス濃度が高くなるとセンサ出力値が大きくなるので、この比L(n)によりガス濃度変化を捕捉できるからである。
そこで、まずステップS22に進み、濃度高信号発生中であるか否かを判断する。
ここで、No、即ち、濃度低信号を発生している場合には、ステップS23に進んで、比L(n)と第1しきい値TH1とを比較する。比L(n)が第1しきい値TH1を超えた場合(Yes)、つまりセンサ出力値S(n)がベース値B(n)に対して相対的に大きくなった場合には、ステップS24に進んで、濃度信号LVとして、現在の濃度低信号(ローレベル:LV=0)に代えて濃度高信号(ハイレベル:LV=1)を発生する。一方、比L(n)が第1しきい値TH1以下の場合(No)には、現在の濃度低信号発生を維持すればよいから、そのままステップS30に進む。
一方、ステップS22でYes、即ち、濃度高信号を発生している場合には、ステップS25に進んで、比L(n)と第2しきい値TH2とを比較する。比L(n)が第2しきい値TH2以下の場合(Yes)、つまりセンサ出力値S(n)がベース値B(n)に対して相対的に小さくなってきた場合には、ステップS26に進んで、濃度信号LVとして、現在の濃度高信号(ハイレベル:LV=1)に代えて濃度低信号(ローレベル:LV=0)を発生する。一方、比L(n)が第2しきい値TH2を超える場合(No)には、現在の濃度高信号発生を維持すればよいから、そのままステップS30に進む。
なお、第2しきい値TH2は、ステップS23で用いる第1しきい値TH1と比較して、TH2<TH1とするのが好ましい。2つのしきい値TH1,TH2を異ならせて濃度信号LVの切換えにヒステリシス特性を持たせ、濃度高信号発生と濃度低信号発生を短時間で繰り返すチャタリングを防止するためである。
次いで、風補正ルーチンS30について、図4を参照して説明する。この風補正ルーチンS30では、まず、ステップS31において、風補正フラグがセットされているか否かをチェックする。
そして、No、即ち風補正フラグがセットされていない場合には、以下のステップにおいて、風起因高方向変化の発生を検知する。まず、ステップS32に進み、前述のステップS13で算出した移動差分値M(n)が正の値であるか否かをチェックする。このステップS32では、移動差分値M(n)により、センサ出力値S(n)の最近の変化動向をチェックする。
ここで、M(n)≦100である場合(No)、つまり、濃度低変化情報が得られたときには、センサ出力値S(n)が増加傾向を示していないことから、風によるセンサ出力値増加が生じている虞はないと考えられる。従って、ステップS34で、カウント値ANGに0を代入し、ステップS35に進む。即ち、ANG=0とする。
一方、M(n)>100である場合(Yes)、つまり、濃度高変化情報が得られた場合には、ガス濃度の上昇によるほか、風によってセンサ出力値が濃度高方向へ変化(増加)している可能性があるので、ステップS33において、カウント値ANGを1だけ増加させて(ANG=ANG+1)、ステップS35に進む。
ステップS35では、カウント値ANGが所定値を越えたか否か、具体的には、ANG>70であるか否かを判断する。酸化性ガス濃度が上昇してセンサ出力値S(n)が上昇する場合には、比較的急峻に値が上昇し、上昇傾向が長くは続かないことが経験的に判っている。一方、風速の変化(相対速度の変化)によるセンサ出力値S(n)の変化(増加、減少)、つまり風起因変化は、濃度変化による場合に比して、緩慢に増加し、しかも変化が長く続くことが経験的に判っている。ガスセンサ素子11の温度変化によるセンサ抵抗値Rsの変化に起因するため、ガスセンサ素子11等の熱容量の存在により、温度変化が徐々に生じるためと考えられる。
そこで、このステップS35でNo、つまりカウント値ANGが70を超えない場合には、そのままステップS46に進む。センサ出力値S(n)の増加傾向がそれほど長く継続しているとは認められないから、少なくとも現段階で風起因高方向変化によってセンサ出力値S(n)が増加していると判定できないからである。
一方、このステップS35でYes、つまりカウント値ANGが70を超えた場合には、ステップS36に進み、風補正フラグをセットする。カウント値ANGを1つずつ加えて、ANG>70になったこと、しかも、ステップS34では、減少傾向(M(n)≦100)となれば、カウント値ANGが0にリセットされるということから考えて、最低でも、サイクル数にして70回分の期間(例えば、35秒=0.5秒×70回)に亘って、濃度高変化情報(M(n)>100)が連続して得られたことが判る。これほどの長さに亘るセンサ出力値S(n)の増加は、経験則から、風速の増加によるものであると推測される。そこで、ステップS36で風補正フラグをセットするのである。このようにしてステップS35で風速変化によるセンサ出力値の変化を捕捉することができる。
なお、このように長期間に亘ってセンサ出力値S(n)が濃度高方向に増加すると、前述のステップS16で算出されたベース値B(n)は、逆に減少しセンサ出力値S(n)より小さな値となることが多い。このため、センサ出力値の上昇開始からある程度時間が経過すると、ステップS23で比L(n)が、L(n)>TH1と判断される。従って、ほぼ確実に濃度信号LVは濃度高信号(ハイレベル)を発生していると考えられる。
また、上述のステップS35では、カウント値ANGと数値70との大小を比較したが、比較する数値は、適宜の値を選択できる。この値を小さくすると、実際には、ガス濃度の上昇変化によるセンサ出力値の増加であるにも拘わらず、風起因高方向変化によるセンサ出力値の増加であると誤判定する危険性が増える。一方、この値を大きくしすぎると、カウント値ANGがこの値を超えるまでに時間が掛かる。このため、それまでの間、後述するように、濃度高信号を誤発生することとなり好ましくない。従って、ガスセンサ素子11の特性等を考慮して適宜選択すればよい。
次いで、ステップS37,S38で、前述したステップS20で用いる風補償値NMSを求める。まず、ステップS37で、現在のセンサ出力値S(n)から、保持値NMPを差し引いて、差分SAを得る。具体的には、式(5):SA=S(n)−NMPによって、差分SAを得る。なお、保持値NMPは、後述するステップS47によって得られる値であり、前述するステップS24で、濃度高信号切換え発生前のセンサ出力値、具体的には、濃度信号LVを濃度高信号(ハイレベル)に切り換える直前の回に得たセンサ出力値を記憶保持したものである。但し、もし、未だ濃度高信号に切り換えられていない場合でも、NMPとして前回のセンサ出力値S(n−1)が得られる。
また、ステップS37で用いる現在のセンサ出力値S(n)は、具体的には、風速変化によるセンサ出力値の変化を検知した回に得たセンサ出力値である。
その後、さらにステップS38で、風補償値NMSを求める。具体的には、式(6):NMS=SA/SNSによって、風補償値NMSを得る。なお、サイクル数SNSは、後述するステップS48,S49によって得られる値であり、前述するステップS24で、濃度信号LVを濃度高信号(ハイレベル)に切り換えた回から、この風補償値NMSを得る回まで、即ち風速変化によるセンサ出力値の変化を検知した回までのサイクル数をカウントしたものである。NMS=SA/SNS=[S(n)−NMP]/SNSであるから、風補償値NMSは、風速変化によるセンサ出力値の変化を検知した時点のセンサ出力値S(n)と、濃度信号LVを濃度高信号(ハイレベル)に切り換えた回の1つ前の回におけるセンサ出力値NMPとの差を、この間のサイクル数SNSで除した値である。つまり具体的には、2つのセンサ出力値間の1サイクル当たりの平均変化量(傾き)に相当する。
但し、もし、未だ濃度高信号に切り換えられていない場合にも、サイクル数SNSとしてSNS=1が得られる。従って、この場合でも、風補償値NMSを得ることができる。
さらに、ステップS39では、ベース値B(n)を現在のセンサ出力値S(n)に一致させる。
このようにする理由は以下である。酸化性ガスの濃度変化に応じたセンサ抵抗値Rsを発生するというガスセンサ素子11に要求された特性からみれば、風速変化によるセンサ抵抗値Rsの変化、さらには、センサ出力値S(n)の変化は、本来的に不要なものである。従って、もし、この風速変化が無ければ、センサ出力値S(n)は変化しなかったと考えられる。すると、前述したステップS16,S17,S18のいずれかで得られたベース値B(n)は、その性質上、センサ出力値S(n)に等しいかごく近い値になっていたと考えられる。例えば、しばらくの間センサ出力値S(n)が一定の値であったとすると、式(2)において、第3項は0となる。また、第1項及び第2項で得られる値は、センサ出力値S(n)に追従するので、センサ出力値S(n)が変化しないと、徐々にこれに漸近するように変化することから、理解できるであろう。この状態に戻すために、ステップS39において、ベース値B(n)をセンサ出力値S(n)に一致させるのである。
そして、それ以降は、ベース値B(n)の算出に当たって、風速変化による影響を各回毎に補償するために、前述したステップS20において、ベース値B(n)に風補償値NMSを加えて、これを補正するのである。
さらに、ステップS40では、濃度低信号(ローレベル)を発生させ、ステップS46に進む。前述したように、ステップS35において、Yesと判断される場合には、濃度信号LVは、濃度高信号を発生していることがある。しかし、これは風速変化に起因する誤検知によるものであり、正しくは濃度低信号を発生しているべきだからである。
ステップS31に戻って説明する。ここでYes、即ち風補正フラグがセットされている場合には、以下のステップにおいて、風起因高方向変化による影響の終期を検知する。風速変化によるセンサ抵抗値Rs及びセンサ出力値S(n)の変化は、緩慢に継続するものの、いつかは変化が終息する。従って、ガス濃度の変化が生じなければ、センサ抵抗値Rsはある値に落ち着き、センサ出力値も一定の値になる。従って、風起因高方向変化によるセンサ出力値の変化は、その終期には、増加傾向から変化無しに移ると考えられる。あるいは若干の値の変動によっては、減少傾向と判断される場合も増えると考えられる。つまり、濃度低変化情報が得られる場合も出てくると考えられる。そこでまず、ステップS41に進み、ステップS32と同じく、前述のステップS13で算出した移動差分値M(n)が100より大きいか否かをチェックする。このステップS41でも、移動差分値M(n)によって、センサ出力値S(n)の最近の変化動向をチェックする。
ここで、M(n)>100である場合(Yes)、つまり、センサ出力値S(n)の増加傾向を示す濃度高変化情報が得られた場合には、風起因高方向変化が継続していると考えられるので、ステップS42において、カウント値ANGを1だけ増加させて(ANG=ANG+1)、ステップS44に進む。
一方、M(n)≦100である場合(No)、つまり濃度低変化情報が得られた場合には、ステップS43で、ANG=ANG−20として、新たなカウント値を、現在のカウント値ANGよりも大きく減少させてステップS44に進む。センサ出力値S(n)が増加傾向にないことを示していることから、風起因高方向変化によるセンサ出力値の増加が終息したか終息に近づいている可能性があるからである。
なお、本実施形態では、ステップS43で、カウント値ANGから数値20を差し引いたが、差し引く値は、正の値であれば適宜の値を選択できる。さらに好ましくは、ステップS35で判断する値(本実施形態では70)よりも小さな値とするのが好ましく、さらには、この値の数分の一(本実施形態では2/7)程度を選択するのが好ましい。この値を小さくすると、風起因高方向変化によるセンサ出力値の増加が実際には収まっているにも拘わらず、その後長い期間に亘って、風補正を続けることとなる。一方、この値を大きくしすぎると、ノイズ等によって、誤って小さなセンサ出力値が得られた場合には、風起因高方向変化によるセンサ出力値の増加が終息していないにも拘わらず、後述するように風補正を打ち切ることとなる。従って、ガス検出装置10の特性、環境等を考慮して適宜の値を選択すればよい。
その後、ステップS44では、カウント値ANGが所定値を下回ったか否か、具体的には、ANG<0であるか否かを判断する。ステップS41でNo(M(n)≦100)と判断されるものが幾つか出てきた場合には、風起因高方向変化によるセンサ出力値S(n)の増加が終息したと考えられるからである。
そこで、このステップS44でYes、つまりカウント値ANGが負の値となった場合(ANG<0)には、ステップS45に進み、風補正フラグをリセットし、その後ステップS46に進む。
一方、このステップS44でNo、つまりカウント値ANGが未だ正の値である場合には、まだ風起因高方向変化によるセンサ出力値の増加が終息していないと考えられるので、そのままステップS46に進む。
ステップS46では、濃度高信号発生中であるか否かをチェックする。ここで、No、つまり濃度低信号発生中である場合には、ステップS47に進み、保持値NMPとして、現在のセンサ出力値S(n)を代入する。この保持値NMPは、ステップS46でNoと判断されたときだけ更新される値であるから、ステップ濃度高信号の発生期間中には、濃度高信号を切換え発生した回より1つ前(直前)の回のセンサ出力値を保持したものとなる。
次いで、ステップS48では、サイクル数SNSとして1を代入する、即ち、SNS=1とし、メインルーチンに戻る。
一方、ステップS46でYes、つまり濃度高信号発生中である場合には、ステップS49に進み、サイクル数SNSを1つずつインクリメントし、、メインルーチンに戻る。これにより、ステップS38で用いる際には、サイクル数SNSは、風起因高方向変化を検知し、風補償値NMSを得る回までのサイクル数をカウントしたものとなる。
かくしてステップS30での処理を終えた後には、ステップS50に進む。このステップS50で次回のセンサ出力値を取得するタイミングの到来を判定し、サンプリングタイム(サイクルタイム)が経過した(Yes)と判定されたときに、ステップS12に戻る。その後は、上述したのと同様に、ステップS12以降の処理を繰り返し行う。
このようにして、本実施形態のガス検出装置10では、1つのガスセンサ素子11を用いて、マイクロコンピュータ16における制御を行う。このため、本実施形態では、車速の変化や風速の変化などによって、ガスセンサ素子11やヒータ素子2と外気との相対速度が変化し、センサ出力値が濃度高方向に変化する場合でも、その影響を補償して、適切に特定ガスの濃度変化を検知することができるようになる。
なお、上述の処理では、ステップS32で一旦Noと判断されると、それまで算出してきたカウント値ANGの値に拘わらず、ステップS34でANG=0を代入する。このため、センサ出力値が連続して増加したために、カウント値ANGがある程度大きな値(例えばANG=65)となっているにも拘わらず、1回でもノイズ等によって誤って小さな値のセンサ出力値が得られた場合には、カウント値ANGがリセットされることとなる。これにより、風起因高方向変化の検知が遅れる危険がある。そこで、例えば、80ヶの連続するセンサ出力値のうち、70ヶが増加傾向(M(n)>100)を示していれば良いとする。あるいは、ステップS32でNo(M(n)≦100)とされても数回程度は考慮外とするなど、ノイズ等によって誤って小さな値のセンサ出力値が得られた場合でも、早期に風速変化によるセンサ出力値変化の検知ができるように、考慮しておくのがより好ましい。
次いで、本実施形態にかかるガス検出装置10(システム100)における、具体的なセンサ出力値S(n)の変化例と、これに対するベース値B(n)、風補正フラグ、濃度信号の変化について、図5,図6を参照して説明する。
なお、図5では、ステップS30に示す風補正ルーチン(図4参照)及びステップS19,S20が無いとした場合に得られる無補正ベース値Ba(n)も併せて示してある。また、時刻t0等と共に示してあるのは、その時刻に得られたセンサ出力値S(n)等の番号nを示している。つまり時刻t0には、センサ出力値S(n0)やベース値B(n0)が得られることを示す。
図5に従って説明する。本例で示すセンサ出力値S(n)は、当初(時刻t0以前)は比較的小さな値で且つほぼ一定であったが、時刻t0以降、時間の経過とともに徐々にその値が増加し、時刻t2以降には当初より大きな値であるがほぼ一定の値となる。このような変化は、例えば、システム100を搭載した自動車が市街地などを低速で走行した後に、高速道路などで高速走行を始めた場合など、ガスセンサ素子11等と外気との相対速度が大きくなる方向に変化した場合に起こりやすい状況である。
なお、この図5においては、特定ガスの濃度変化が生じていない状況下でのセンサ出力値S(n)の変化を示している。
このようなセンサ出力値S(n)の時系列が得られた場合、上述した本実施形態1の処理フローのうちから、ステップS19,S20,S30が無いとした場合に得られる無補正ベース値Ba(n)は、図5に破線で示すようになる。なお、無補正ベース値Ba(n)を用いる場合には、上述のフローチャート(図3、但しステップS19,S20,S30を除く)において、ベース値B(n)を無補正ベース値Ba(n)として処理すればよい。
無補正ベース値Ba(n)は、当初(時刻t0以前)は、センサ出力値S(n)とほぼ同じ値である。しかし、時刻t0以降のセンサ出力値の上昇により、逆にその値が小さくなるように変化する。式(2)及び式(3)を参照すれば理解できるように、その第3項が、移動差分値(S(n)-S(n-8))、つまりその変化の大きさに応じて、ベース値B(n)を引き下げるように作用するからである。そしてそれ以降、センサ出力値S(n)の増加に反して、無補正ベース値Ba(n)は減少する。しかし、時間の経過と共に、センサ出力値S(n)の増加の程度が小さくなると、反転してセンサ出力値S(n)に近づくように変化する。センサ出力値の増加が収まると、式(2)及び式(3)における第3項が小さくなり、代わりに、第1,第2項によるセンサ出力値S(n)に追従する変化が優勢になるからである。
このように無補正ベース値Ba(n)が変化すると、濃度信号LVは、当初ローレベル(濃度低信号)であったのに、時刻t0以降、無補正ベース値Ba(n)に対してセンサ出力値S(n)が大きな値となる。このため、時刻t1において、ステップS23でL(n1)=S(n1)/Ba(n1)>TH1と判断され、濃度信号LVは濃度高信号(ハイレベル)に切り換えられる。そして、この濃度高信号の発生は、破線で示すように、無補正ベース値Ba(n)がセンサ出力値S(n)に近づき、ステップS25でL(n3)=S(n3)/Ba(n3)≦TH2となる時刻t3まで続くこととなる。このように、無補正ベース値Ba(n)を用いると、破線で示すように時刻t1〜t3までの長期間に亘って、濃度信号LVは、誤検知である濃度高信号を出力し続けることとなる。すると、フラップ34が長期間に亘って誤って内気循環となり好ましくない。
次いで、ステップS30に示す風補正ルーチン(図4参照)等を含めた本実施形態1の処理フローを行って得たベース値B(n)について説明する。
ベース値B(n)は、図5に示すように、時刻t4までは上述の無補正ベース値Ba(n)と同じである。即ち、当初(時刻t0以前)は、センサ出力値S(n)とほぼ同じ値であった。なお、時刻t0以前の期間には、カウント値ANGは0あるいはそれに近い値となる。
そして、時刻t0以降、センサ出力値S(n)の増加により、ベース値B(n)は逆にその値が小さくなるように変化する。式(2)における第3項の影響によるものである。
次いで、時刻t1にステップS23を満たし、濃度信号LVが濃度高信号(ハイレベル)に切り換えられると、ステップS47においてその直前の回のセンサ出力値S(n1−1)が保持値NMPに保持される。また、ステップS48においてそれ以降のサイクル数SNSがカウントされる。
図5を見れば判るように、この時刻t1〜t4においては、センサ出力値S(n)は増加傾向を示していることから、ステップS32で算出される移動差分値M(n)は、この期間には100(正の所定値)より大きい値となる。従って、ステップS33に従って、各回毎にカウント値ANGが1ずつ増加する。そして、時刻t4には、ついにステップS35でANG>70となると、ステップS36において風補正フラグがセットされる。さらに、ステップS37で差分SAが算出される。具体的には、時刻t4におけるセンサ出力値S(n4)を用い、SA=S(n4)−NMPが算出される。なお、上述したように、保持値NMPは、センサ出力値S(n1−1)である(NMP=S(n1−1))。次いで、S38で風補償値NMSが算出される。具体的には、NMS=SA/SNS={S(n4)−S(n1−1)}/SNSであるから、風補償値NMSは、時刻t1〜t4の間のセンサ出力値の1サイクル当たりの平均変化量(平均傾き)を求めたことに相当する。
さらに、ステップS39により、ベース値B(n4)は、時刻t4におけるセンサ出力値S(n4)に一致させられる。
次いで、ステップS40おいて、濃度信号LVが実線で示すように濃度低信号(ローレベル)に戻される。濃度高信号の発生は風速変化に起因する誤りであったからである。
それ以降、ベース値B(n)は、風補正フラグがセットされている期間中(時刻t4〜t5)、ステップS20において、風補償値NMSが加えられる。これにより、時刻t4〜t5の期間において、ベース値B(n)に対する風起因高方向変化の影響が補償される。
なお、本実施形態1では、風補償値NMSとして、時刻t1〜t4の期間におけるセンサ出力値の平均変化量(平均傾き)を算出し、これを時刻t4〜t5においてベース値B(n)の補正に用いている。このため、センサ出力値S(n)の変化が時間の経過と共に収まってくると、同じ風補償値NMSを用い続けることで、過補償となる可能性が考えられる。しかし、本実施形態では、補正されたベース値B(n)が次回のサイクルにおいてB(n−1)として、ステップS14でセンサ出力値S(n)と対比され、B(n−1)≧S(n)のときには、ステップS18で、新たなベース値B(n)は、センサ出力値に一致させられる(B(n)=S(n))ので、過補償となることはない。
かくして、補正されたベース値B(n)は、センサ出力値S(n)に追従し、これとほぼ同じ値を維持する。
もし風起因高方向変化がなく、センサ出力値に変動がなかったとすれば、ベース値B(n)は、センサ出力値S(n)に追従し、これとほぼ同じ値となっていたと考えられるから、本実施形態1の処理フローにより、これと同様な状態を実現でき、風起因高方向変化の影響を無くしあるいは抑制できたことが判る。
また、カウント値ANGは、ステップS42によって、徐々に増加する。
その後、センサ出力値S(n)の増加が収まり、その変化が終息した時刻t2以降になると、センサ出力値の微小な変動により、移動差分値M(n)が100以下(M(n)≦100)の場合が出始める。すると、ステップS43により、カウント値ANGが急速に減少する。そして時刻t5には、ついにステップS44を満足し(ANG<0)、ステップS45で風補正フラグがリセットされる。
これにより、時刻t5以降には、ベース値B(n)の風補正(ステップS20)が行われなくなる。
次いで、時刻t4〜t5の期間において、酸化性ガスの濃度上昇によって、センサ出力値が大きくなった場合について、図6を参照して説明する。この図6は、既に説明した図5とほぼ同じであるが、無補正ベース値Ba(n)を記載していないこと、及び時刻t6以降のセンサ出力値S(n)及びベース値B(n)の変化を付加してある点で異なる。
時刻t4で風補正フラグをセットし、ベース値B(n)を風補償値NMSで補正している期間のうち、時刻t6でセンサ出力値S(n)が、ガス濃度の上昇によって、図6に矢印状の実線で示すように急激に増加した場合を考える。この場合には、ステップS16(式(2))で得られるベース値B(n)は、矢印状の破線で示すように急激に減少する。従って、その直後の時刻t7には、ステップS23を満たし(L(n7)=S(n7)/B(n7)>TH1)、濃度信号LVで濃度高信号(ハイレベル:LV=1)を発生することができる。
従って、本実施形態1によれば、時刻t1〜t4において、誤検知による濃度高信号が発生するものの、図5に破線で示す無補正ベース値Ba(n)を用いた場合に比して、誤検知による濃度高信号発生は早期(時刻t4)に解消することができ、フラップ34を適切に外気導入に戻すことができる。
また、例えば図6において矢印状の実線で示すように、風起因高方向変化によるセンサ出力値の増加の最中であるにも拘わらず、確実に酸化性ガスの濃度変化を検知できる。
(実施形態2)
ついで、本発明の第2の実施形態について、図7〜図18を参照して説明する。まず、図7に本実施形態2のガス検出装置210の回路図及びブロック図と、これを含む車両用オートベンチレーションシステム200の概略構成を示す。このシステム200は、前述した実施形態1にかかるシステム100(図1参照)と対比すれば容易に理解できるように、システム100では、1つのガスセンサ素子11を用いたのに対して、本実施形態2のシステム200では、2つのガスセンサ素子211,221を用いた点で異なり、他は同様であるので、異なる部分を中心に説明する。
本実施形態2にかかるシステム200では、酸化性ガス(特定ガス)及び還元性ガス(第2特定ガス)の濃度変化に応じた濃度信号LVを出力するガス検出装置210と、実施形態1と同様の、換気系30及び電子制御アセンブリ20を備える。
本実施形態2のガス検出装置210は、実施形態1と異なり、D側ガスセンサ素子211と、G側ガスセンサ素子221と、ヒータ素子202とからなり、外気が流入可能としつつ1つの容器内に配置されたガスセンサ201を用いる。このガスセンサ201は、実施形態1と同じく、自動車の車室外に配置される。
このうち、D側ガスセンサ素子211は、実施形態1のガスセンサ素子11と同じく、被測定ガス(本実施形態2でも大気)中にNOxなど酸化性ガス成分がある場合に、これに反応し、酸化性ガス成分の濃度上昇と共にセンサ抵抗値Rs1が上昇するタイプの酸化物半導体のガスセンサ素子である。このD側ガスセンサ素子211は、ヒータ素子202に近接した位置に配置されており、このヒータ素子202に通電することによって加熱されることで、NOx等の酸化性ガスの検出能力を発揮する。
一方、G側ガスセンサ素子221は、D側ガスセンサ素子211とは特性が異なり、被測定ガス中にCO、HC(ハイドロカーボン)など還元性ガス成分がある場合に、これに反応し、還元性ガス成分の濃度上昇と共にセンサ抵抗値Rs2が低下するタイプの酸化物半導体のガスセンサ素子である。このG側ガスセンサ素子221も、ヒータ素子202に近接した位置に配置されており、このヒータ素子202によって加熱されることで、CO,HC等の還元性ガスの検出能力を発揮する。
本実施形態2のガス検出装置210では、実施形態1と同様、D側ガスセンサ素子211、センサ抵抗値変換回路214、バッファ213、A/D変換回路215からなるD側センサ出力値取得回路219で、D側センサ出力値Sd(n)を取得する。このうち、センサ抵抗値変換回路214は、電源電圧Vccを、D側ガスセンサ素子211のセンサ抵抗値Rs1と、検出抵抗212の検出抵抗値Rd1とで分圧した動作点Pd1のセンサ出力電位Vs1を出力する。このため、このセンサ抵抗値変換回路214では、NOxなどの酸化性ガスの濃度が上昇すると、D側ガスセンサ素子211のセンサ抵抗値Rs1が上昇し、センサ出力電位Vs1が上昇し、得られるD側センサ出力値Sd(n)の値が上昇するように構成されている。
バッファ213の出力は、A/D変換回路215を経由し、所定のサイクル時間(例えば0.5秒)毎に現在のD側センサ出力値Sd(n)として出力され、マイクロコンピュータ216の入力端子217に入力される。nは順序を表す一連の整数である。
さらに、ガス検出装置210では、G側ガスセンサ素子221、センサ抵抗値変換回路224、バッファ223、A/D変換回路225からなるG側センサ出力値取得回路229で、G側センサ出力値Sg(n)を取得する。このうち、センサ抵抗値変換回路224は、電源電圧Vccを、G側ガスセンサ素子221のセンサ抵抗値Rs2と、検出抵抗222の検出抵抗値Rd2とで分圧した動作点Pd2のセンサ出力電位Vs2を出力する。このため、このセンサ抵抗値変換回路224では、COなどの還元性ガスの濃度が上昇すると、G側ガスセンサ素子221のセンサ抵抗値Rs2が低下し、センサ出力電位Vs2が低下し、得られるG側センサ出力値Sg(n)の値が低下するように構成されている。
バッファ223の出力は、A/D変換回路225を経由し、D側センサ出力値Sd(n)と同じ所定のサイクル時間(例えば0.5秒)毎に、現在のG側センサ出力値Sg(n)として出力され、マイクロコンピュータ216の入力端子227に入力される。D側センサ出力値Sd(n),G側センサ出力値Sg(n)等を対比する場合、「n」など同じ記号を用いて、同じタイミングで得られた値であることを示すこととする。
従って、本実施形態2では、酸化性ガスの濃度が高くなるとD側センサ出力値Sd(n)が大きな値になるから、D側センサ出力値Sd(n)について濃度高方向とは、D側センサ出力値Sd(n)の値が大きくなる方向をいう。一方、濃度低方向はこの逆に、D側センサ出力値Sd(n)の値が小さくなる方向である。
また、本実施形態2において、D側センサ出力値Sd(n)に生じる風起因変化のうち、風起因高方向変化とは、D側センサ出力値Sd(n)が大きくなる方向(濃度高方向)に変化する場合を指すので、D側ガスセンサ素子211等と外気との相対速度が大きくなった場合(風速が大きくなった場合)に生じる変化を指すこととなる。
一方、還元性ガスの濃度が高くなるとG側センサ出力値Sg(n)が小さな値になるから、G側センサ出力値Sg(n)について第2濃度高方向とは、G側センサ出力値Sd(n)の値が小さくなる方向をいう。一方、第2濃度低方向はこの逆に、G側センサ出力値Sg(n)の値が大きくなる方向である。
また、G側センサ出力値Sg(n)に生じる第2風起因変化のうち、第2風起因高方向変化とは、G側センサ出力値Sg(n)が小さくなる方向(第2濃度高方向)に変化する場合を指すので、G側ガスセンサ素子211等と外気との相対速度が小さくなった場合(風速が小さくなった場合)に生じる変化を指すこととなる。
さらにこのマイクロコンピュータ216の出力端子218からは、実施形態1と同じく、電子制御アセンブリ20を制御するための濃度高信号(LV=0)と濃度低信号(LV=1)のいずれかの濃度信号LVが出力される。この電子制御アセンブリ20は、自動車の内気循環及び外気取り入れを制御する換気系30のフラップ34を制御するものであり、そのうち、フラップ駆動回路21が、濃度信号LVに従って、アクチュエータ22を動作させフラップ34を回動させ、内気取り入れ用ダクト32及び外気取り入れ用ダクト33のいずれかをダクト31に接続させる。この制御は、実施形態1と同様である(図2参照)。ガス検出装置210による濃度信号LVの他、室温センサや湿度センサ、外気温センサなどからの情報をも加味して、フラップ34を開閉するようにしても良いことも同様である。
なお、実施形態1では、1つのガスセンサ素子11を用いていたため、センサ出力値S(n)を用いた判断で、濃度高信号(LV=0)と濃度低信号(LV=1)のいずれかの濃度信号を発生させ得た。しかし、本実施形態2では、2つのガスセンサ素子211,221を用いるため、後述するように、D側ガスセンサ素子211によるD側ガス検知信号がクリーンエア検知の状態(濃度低:LVd=0)で、かつ、G側ガスセンサ素子221によるG側ガス検知信号もクリーンエア検知の状態(濃度低:LVg=0)である場合にのみ、濃度信号LVが濃度低(LV=0)となる(図10:ステップT64〜T66参照)。
マイクロコンピュータ216では、入力端子217,227から入力されたD側センサ出力値Sd(n)及びG側センサ出力値Sg(n)を後述するフローに従った処理を行うことにより、D側ガスセンサ素子211及びG側ガスセンサ素子221のセンサ抵抗値Rs1,Rs2やその変化などから酸化性ガス成分及び還元性ガス成分の濃度変化を検出する。マイクロコンピュータ216も、実施形態1と同じく、公知の構成を有し、マイクロプロセッサ、RAM、ROMなどを含む。また、バッファ213,223やA/D変換回路215,225をも含むものを用いることもできる。
ところで、このような構成を有するガス検出装置210(車両用オートベンチレーションシステム200)では、酸化性ガスの濃度変化が生じていないにも拘わらず、得られたD側センサ出力値Sd(n)が緩やかに変化する現象が生じることがある。同様に、還元性ガスの濃度変化が生じていないにも拘わらず、得られたG側センサ出力値Sg(n)が緩やかに変化する現象が生じることがある。この現象は、例えば、市街地を比較的低速で走行した後、高速道路に入って高速移動を行った場合、あるいはこの逆の場合などに観察される。
これは、D側ガスセンサ素子211及びG側ガスセンサ素子221の両者をヒータ素子202で加熱しているため、自動車の移動速度の変化や外気の風速の変化によって、D側ガスセンサ素子211及びG側ガスセンサ素子221やヒータ素子202から外気に奪われる時間当たりの熱量が変化するため、D側ガスセンサ素子211及びG側ガスセンサ素子221の温度が変化するためであると考えられる。
このうち、D側ガスセンサ素子211のセンサ抵抗値Rs1は、酸化性ガスの濃度変化のみならず、その温度変化によっても変化する。具体的には、前述したように、本実施形態2のD側ガスセンサ素子211は、それ自身の温度が低下するとセンサ抵抗値Rs1が上がる特性を有している。従って、本実施形態2のセンサ抵抗値変換回路214(D側センサ出力値取得回路219)を用いた場合には、D側センサ出力値Sd(n)も上昇する。
従って、このような変化を生じている期間には、自動車の速度変化などによるD側センサ出力値Sd(n)の変化を、酸化性ガスの濃度変化によるものと誤検知する虞がある。本実施形態2では、D側ガスセンサ素子211が冷やされる側、つまり、自動車の車速が高くなったり、風速が大きくなったりして、D側ガスセンサ素子211と外気との相対速度が大きくなる側に変化した場合に、D側ガスセンサ素子211のD側センサ抵抗値Rs1が高くなる方向に変化し、D側センサ出力値Sd(n)も上昇するから、酸化性ガスの濃度上昇が生じたとの誤検知を生じやすい。つまり、風速が増加した場合に、酸化性ガスの濃度が濃度高方向に変化したと誤検知されやすい。
同様に、G側ガスセンサ素子221のセンサ抵抗値Rs2は、還元性ガスの濃度変化のみならず、その温度変化によっても変化する。具体的には、G側ガスセンサ素子221は、それ自身の温度が上昇するとセンサ抵抗値Rs2が下がる特性を有している。従って、センサ抵抗値変換回路224(G側センサ出力値取得回路229)を用いた場合には、G側センサ出力値Sg(n)も低下する。
G側ガスセンサ素子221が暖められる側、つまり、自動車の車速が低くなったり、風速が小さくなったりして、G側ガスセンサ素子221と外気との相対速度が小さくなる側に変化した場合に、G側ガスセンサ素子221のG側センサ抵抗値Rs2が低くなる方向に変化し、G側センサ出力値Sg(n)も低下するから、還元性ガスの濃度上昇が生じたとの誤検知を生じやすい。つまり、風速が低下した場合に、還元性ガスの濃度が第2濃度高方向に変化したと誤検知されやすい。
これに対し、前述の従来技術では、COなどの還元性ガスに反応し、還元性ガスの濃度が高くなったときにセンサ抵抗値が低くなる特性を有する第2のガスセンサ素子を使用する。そして、この第2のガスセンサ素子の出力変化を参照して、(第1の)センサ出力値の変化が、自動車の速度変化によるものか、酸化性ガスの濃度変化によるものかを判別する。
しかし、この従来技術では、(第1の)センサ出力値の変化が自動車の速度変化によるものであることを検知すると、センサ出力値を無視してしまい、自動車の速度変化が検知されている期間中、あるいはその直後などにおいては、酸化性ガスの濃度上昇が生じてもこれを検知することはできない。また、第2のガスセンサ素子が、還元性ガスの濃度変化を検知しているときには、この処理を行えないなどの不具合がある。
そこで、本実施形態のガス検出装置210では、マイクロコンピュータ216における制御を、図8〜図16のフローチャートに示すようにして行う。以下に説明するように、本実施形態2のガス検出装置210は、2つのガスセンサ素子211,221を用いることにより、大気中の酸化性ガス及び還元性ガスの濃度上昇を検知することができるほか、自動車の車速あるいは風速の変化による、D側センサ出力値Sd(n)及びG側センサ出力値Sg(n)への影響をも検知し、これを補償して、ガス検知を適切に継続することができる。さらに、トンネルなど酸化性ガス及び還元性ガスの両者の濃度が上昇しているガス滞留空間に進入したか否かをも検知すること(以下、トンネル検知ともいう)ができる。
まず、自動車のエンジンが駆動されると、本制御システムが立ち上がる。D側,G側ガスセンサ素子211,221がヒータ素子202によってそれぞれ加熱され、活性状態となるのを待って、まずステップT11で初期設定を行う。
初期設定として、D側,G側ベース値Bd(0),Bg(0)として、D側,G側ガスセンサ素子211,221が活性状態となった当初のD側,G側センサ出力値Sd(0),Sg(0)を記憶しておく(Bd(0)=Sd(0),Bg(0)=Sg(0))。また、濃度信号LVとして濃度低信号を発生させておく、具体的には濃度信号LVをローレベル(LV=0)としておく。
さらに、図8に示すように、トンネル検知フラグTNをTN=0に、トンネル終了認識フラグTNEをTNE=0に、監視時間カウンタC0をC0=0に、D側,G側傾き認識カウンタC1,C2をC1=C2=0に、D側,G側風補償値VADD,VADGをVADD=VADG=0に、D側,G側風検知フラグWd,WgをWd=Wg=0、保持カウンタCd,CgをCd=Cg=0にそれぞれ設定しておく。
次いで、ステップT12,T13に進み、前述したように、D側センサ出力値Sd(n)及びG側センサ出力値Sg(n)を取得する。
ついで、ステップT14に進み、D側センサ出力値Sd(n)及びG側センサ出力値Sg(n)の変化の傾きを監視するタイミングであるか否かを判断する。具体的には、監視時間カウンタC0=16であるか否かを判断する。No、即ち、この監視時間カウンタC0≦15の場合には、ステップT21に進み、この監視時間カウンタC0を1つだけインクリメントし(C0=C0+1)、ステップT24に進む。一方、Yes、即ちC0=16の場合には、ステップT15に進み、まず、この監視時間カウンタC0をクリアする(C0=0)。
従って、本実施形態2のガス検出装置210では、ステップT12,T13で、D側センサ出力値Sd(n)及びG側センサ出力値Sg(n)を取得するうち、16回に1回ずつステップT15に進み、後述する風補正終了判断やトンネル・風検知を行うこととなる。
ステップT15に続いてステップT16に進み、本実施形態2のガス検出装置210が、トンネル内などガス滞留空間内に位置していると判断されているか否か(トンネル検知の有無)をチェックする。具体的には、トンネル検知フラグTN=1であるか否かを判断する。ここで、No、即ち、トンネル検知中ではない場合には、ステップT17に進み、D側傾き&風補正終了判断(ステップT17)、G側傾き&風補正終了判断(ステップT18)、D,Gセンサ変化タイミングずれ認識(ステップT19)、D,Gセンサによるトンネル・風検知(ステップT20)の各サブルーチンによる処理を行った後、ステップT24に進む。これらのサブルーチンについては、後述する。
一方、トンネル検知中の場合(Yes)には、ステップT25に進む。トンネル検知中の場合には、後述するように、D側センサ出力値Sd(n)及びG側センサ出力値Sg(n)のいずれも、それぞれ濃度高方向、第2濃度高方向に徐々に変化し、あるいは十分に濃度高方向、第2濃度高方向にシフトした値になっているため、ステップT17〜T20における、風補正に関する処理やトンネル、風検知など各処理は不要だからである。
ステップT24では、トンネル検知フラグTN=1であるか否かを判断する。ここで、トンネル検知中の場合(Yes)には、ステップT25に進み、トンネル検知中ではない場合(No)には、ステップT26に進む。
ステップT25では、後述するステップT314,T317(図15参照)及びT514,T517(図16参照)で算出するD側ベース値Bd(n)及びG側ベース値Bg(n)の算出式に用いる係数Kd,Hd,Kg,Hgをそれぞれ設定する。具体的には、Kd=k1,Hd=h1,Kg=k4,Hg=h4とする。
一方、ステップT26でも、係数Kd,Hd,Kg,Hgをそれぞれ設定する。具体的には、Kd=k2,Hd=h2,Kg=k5,Hg=h5とする。
なお、0<k1<k2<1,0<h1<h2<1,0<k4<k5<1,0<h4<h5<1の関係とされている。後述するように、D側ベース値Bd(n)の算出式(ステップT314,T317)において、その係数Kd,Hdが小さいほど、D側ベース値Bd(n)の変化が緩慢となる。同様に、G側ベース値Bg(n)についても、その算出式(ステップT514,T517)において、その係数Kg,Hgが小さいほど、G側ベース値Bg(n)の変化が緩慢となる。
従って、ステップT16,T24でトンネル検知中の場合(Yes)であると判断されると、トンネル検知中ではない場合(No)に比して、ステップT314,T317で算出されるD側ベース値Bd(n)は、変化が緩慢にされる。また、ステップT514,T517で算出されるG側ベース値Bg(n)も、変化が緩慢にされる。
その後、いずれの場合も、ステップT31に進み、このサブルーチンにおいて、D側ベース値Bd(n)を算出する(図15参照)。
ステップT31のサブルーチンでは、まずステップT311において、D側センサ出力値Sd(n)の取得開始後、4サンプリング以上経過しているか否かを判断する。後述するようにD側ベース値Bd(n)の算出(ステップT314参照)の際、4サンプリング分過去のD側センサ出力値Sd(n−4)を用いるが、始動から4サンプリング分の期間は、このSd(n−4)を得ていないからである。
そこで、4サンプリング以上経過していない場合(No)には、ステップT317によりD側ベース値Bd(n)を算出し、メインルーチンに戻る。具体的には、Bd(n)=Bd(n-1)+Kd[Sd(n)−Bd(n-1)]−Hd[Sd(n)−Sd(0)]の式による。
一方、取得開始から4サンプリング以上経過している場合(Yes)には、ステップT312に進み、トンネル終了認識フラグTNEが、TNE=1であるか否かを判定する。トンネル終了認識フラグTNEは、後述するステップT39及びT59でTNE=1にセットされるフラグであり、トンネル検知の終了、つまり、ガス滞留空間から自動車が抜け出たことを示すフラグである。また、このトンネル終了認識フラグTNE、及び前述のトンネル検知フラグTNは、2つのセンサ出力値Sd(n),Sg(n)の処理に共通に用いられるフラグである。
ステップT312で、TNE=0と判定された場合(No)には、ステップT313に進み、前回(前のサイクル)に得たD側ベース値Bd(n−1)を、現在のD側センサ出力値Sd(n)と比較する。本実施形態2では、酸化性ガスの濃度が上昇したときにD側センサ出力値Sd(n)が大きな値となる。つまり、D側センサ出力値Sd(n)は、値が大きくなる方向が濃度高方向である。また、車両用オートベンチレーションシステム200では、酸化性ガスの濃度が上昇した場合に、早く的確にフラップ34を閉じて内気循環にできることが重要視される。
ところで、後述するように(ステップT32,T34,T40参照)、D側センサ出力値Sd(n)とD側ベース値Bd(n)とのD側差分値Dd(n)を用いて、酸化性ガスの濃度の高低を判断する。
そこで、酸化性ガスの濃度の上昇によるD側センサ出力値Sd(n)の上昇を素早く捕捉するべく、前回得たD側ベース値Bd(n−1)がD側センサ出力値Sd(n)以上の値となっている場合(ステップT313においてNo:Bd(n−1)≧Sd(n))には、ステップT316に進んで、D側ベース値Bd(n)を強制的にD側センサ出力値Sd(n)に一致させる。D側センサ出力値Sd(n)の値が上昇(濃度高方向に変化)したとき、ステップT40において、早期にYesと判断される、即ち、Dd(n)=Sd(n)−Bd(n)>TH21となるようにすべく、D側ベース値Bd(n)がD側センサ出力値Sd(n)よりも大きい(Bd(n)>Sd(n))状態を避けるためである。その後、メインルーチンに戻る。
一方、ステップ313で、Bd(n−1)<Sd(n)と判断された場合(Yes)には、ステップT314に進んで、D側ベース値Bd(n)を算出し、メインルーチンに戻る。具体的には、Bd(n)=Bd(n-1)+Kd[Sd(n)−Bd(n-1)]−Hd[Sd(n)−Sd(n-4)]+VADDの式による。
なお上記式のうち、第4項は、D側風補償値VADDである。この式においては、式中にD側風補償値VADDが現れているため、常に風速変化による補正を行っているように見える。しかし、後述するステップT704(図11参照)において、D側ベース値Bd(n)に対する補正が不要となった場合に、D側風補償値VADDをVADD=0として、実質的に風補正がなされないようにしている。
一方、ステップT312で、TNE=1と判定された場合(Yes)には、ステップT315に進み、トンネル終了認識フラグTNEを、TNE=0として、次のトンネル終了認識に備える。
続いて、ステップT316に進み、D側ベース値Bd(n)を強制的にD側センサ出力値Sd(n)に一致させる。トンネル終了認識フラグTNEがTNE=1とされる場合には、後述するように、G側センサ出力値Sg(n)を用いて、ガス滞留空間から自動車が抜け出たことを検知した場合(ステップT59参照)である。この時点では、既に還元性ガスのみならず、酸化性ガスの濃度もガス滞留空間における濃度よりも低くなっていると考えられる。そこで、この時点で、D側ベース値Bd(n)をD側センサ出力値Sd(n)に一致させて、その後の酸化性ガスの濃度上昇をより早期に捕捉できるようにする。その後、メインルーチンに戻る。
ついで、ステップT32において、D側差分値Dd(n)を算出する。具体的には、Dd(n)=Sd(n)−Bd(n)の式により算出する。前述したように、酸化性ガスの濃度が比較的急速に高くなると、D側センサ出力値Sd(n)が大きくなる(濃度高方向に変化する)一方、D側ベース値Bd(n)は、係数Kd,Hdの値によるが、D側センサ出力値Sd(n)から離れるように減少する、あるいは、緩慢に追従する。このため、酸化性ガスの濃度上昇により、このD側差分値Dd(n)が大きくなり、酸化性ガスの濃度上昇を捕捉できるからである。
続くステップT33では、酸化性ガスの検知中であるか否かを判定する。具体的には、D側センサ出力値Sd(n)で判定され酸化性ガスの濃度が高いか否かを示すD側ガス検知信号LVdが、現在、LVd=1(濃度高)であるか否かを判定する。
ここで、D側ガス検知信号がLVd=0(濃度低)の場合(No)には、ステップT40に進む。一方、LVd=1の場合(Yes)には、ステップT34に進む。
D側ガス検知信号LVd=0であると判定されて進んだステップT40では、D側差分値Dd(n)を正のD側第1しきい値TH21と比較する。
このうち、D側差分値Dd(n)がD側第1しきい値TH21より大きい場合(ステップT40においてYes:Dd(n)>TH21)、つまりD側センサ出力値Sd(n)がD側ベース値Bd(n)に対して所定値(TH21)分よりも大きくなった場合には、ステップT41に進む。ステップT41では、酸化性ガスの濃度上昇を検知したとする。具体的には、D側ガス検知信号LVdとして、現在のLVd=0に代えてLVd=1を発生する。D側差分値Dd(n)が、大きくなったと言うことは、D側センサ出力値Sd(n)の値が上昇、つまり、濃度高方向に変化したことを示すからである。その後、ステップT43に進む。
逆に、D側差分値Dd(n)がD側第1しきい値TH21以下の場合(No)には、ステップST42において、酸化性ガスについてクリーンエアが維持されているとし、現在のLVd=0を維持し、ステップT43に進む。
一方、D側ガス検知信号LVd=1であると判定されて進んだステップT34では、D側差分値Dd(n)を正のD側第2しきい値TH22と比較する。ここで、D側第2しきい値TH22は、D側第1しきい値TH21より小さくしてある(TH22<TH21)。2つのしきい値TH21,TH22をこのような関係とすることで、D側ガス検知信号LVdの切換えにヒステリシス特性を持たせてチャタリングを防止することができる。
このうち、D側差分値Dd(n)がD側第2しきい値TH22より大きい場合(ステップT34においてYes:Dd(n)>TH22)、つまりD側センサ出力値Sd(n)がD側ベース値Bd(n)に対して所定値(TH22)分よりも大きい状態を維持している場合には、ステップT35に進み、酸化性ガスの濃度が高く維持された状態を検知したとし、現在のLVd=1を維持し、ステップT43に進む。
逆に、D側差分値Dd(n)がD側第2しきい値TH22以下の場合(No)には、ステップT36で、酸化性ガスの濃度低下つまりクリーンエアを検知したとし、D側ガス検知信号LVdとして、現在のLVd=1に代えてLVd=0を発生し、ステップT37に進む。D側差分値Dd(n)が、小さくなったと言うことは、D側センサ出力値Sd(n)の値が減少、つまり、濃度低方向に変化したことを示すからである。
続くステップT37では、トンネル検知フラグTN=1であるか否かを判断する。ここで、トンネル検知中ではない場合(No)には、直接、ステップT43に進む。一方、トンネル検知中の場合(Yes)には、ステップT38に進む。
ステップT38では、トンネル検知中であったのをクリアする。つまりトンネル検知フラグTN=1であったのを、TN=0とする。さらに、ステップT39において、トンネル終了認識フラグTNEを、TNE=1とし、ステップT43に進む。トンネルなどガス滞留空間内では、他の場所よりも酸化性ガス及び還元性ガスの濃度が高くなっている。従って、ステップT36において酸化性ガスの濃度低下を検知できたことから、トンネルなどのガス滞留空間を抜け出したと解されるからである。
ついで、いずれの場合にもステップT43で、現在のD側センサ出力値Sd(n)及びD側ベース値Bd(n)を記憶する。後刻、傾き検知、D側ベース値Bd(n)の算出、D側風補正値VADDの算出等に用いるためである。
続いて、ステップT51に進み、このサブルーチンにおいて、D側ベース値Bg(n)と同様にして、G側ベース値Bg(n)を算出する(図16参照)。
ステップT51のサブルーチンでは、まずステップT511において、G側センサ出力値Sg(n)の取得開始後、4サンプリング以上経過しているか否かを判断する。D側ベース値算出の場合と同じく、G側ベース値Bg(n)の算出(ステップT514参照)の際、4サンプリング分過去のG側センサ出力値Sg(n−4)を用いるが、始動から4サンプリング分の期間は、このSg(n−4)を得ていないからである。
そこで、4サンプリング以上経過していない場合(No)には、ステップT517によりG側ベース値Bg(n)を算出し、メインルーチンに戻る。具体的には、Bg(n)=Bg(n-1)+Kg[Sg(n)−Bg(n-1)]−Hg[Sg(n)−Sg(0)]の式による。
一方、取得開始から4サンプリング以上経過している場合(Yes)には、ステップT512に進み、トンネル終了認識フラグTNEが、TNE=1であるか否かを判定する。
ステップT512で、TNE=0と判定された場合(No)には、ステップT513に進み、前回得たG側ベース値Bg(n−1)を、現在のG側センサ出力値Sg(n)と比較する。本実施形態2では、還元性ガスの濃度が上昇したときにG側センサ出力値Sg(n)が小さな値となる。つまり、G側センサ出力値Sg(n)は、値が小さくなる方向が第2濃度高方向である。また、車両用オートベンチレーションシステム200では、酸化性ガスのみならず、還元性ガスの濃度が上昇した場合にも、早く的確にフラップ34を閉じて内気循環にできることが重要視される。
ところで、後述するように(ステップT52,T54,T60参照)、G側センサ出力値Sg(n)とG側ベース値Bg(n)とのG側差分値Dg(n)を用いて、還元性ガスの濃度の高低を判断する。
そこで、還元性ガスの濃度の上昇によるG側センサ出力値Sg(n)の低下を素早く捕捉するべく、前回得たG側ベース値Bg(n−1)がG側センサ出力値Sg(n)以下の値となっている場合(ステップT513においてNo:Bg(n−1)≦Sg(n))には、ステップT516に進んで、G側ベース値Bg(n)を強制的にG側センサ出力値Sg(n)に一致させる。G側センサ出力値Sg(n)の値が低下(第2濃度高方向に変化)したとき、ステップT60において、早期にYesと判断される、即ち、Dg(n)=Bg(n)−Sg(n)>TH23となるようにすべく、G側ベース値Bg(n)がG側センサ出力値Sg(n)よりも小さい(Bg(n)<Sg(n))状態を避けるためである。その後、メインルーチンに戻る。
一方、ステップT513で、Bg(n−1)>Sg(n)と判断された場合(Yes)には、ステップT514に進んで、G側ベース値Bg(n)を算出し、メインルーチンに戻る。具体的には、Bg(n)=Bg(n-1)+Kg[Sg(n)−Bg(n-1)]−Hg[Sg(n)−Sg(n-4)]−VADGの式による。
なお上記式のうち、第4項は、G側風補償値VADGである。この式においては、式中にG側風補償値VADGが現れているため、常に風速変化による補正を行っているように見える。しかし、後述するステップT804において、G側ベース値Bg(n)に対する補正が不要となった場合に、G側風補償値VADGをVADG=0として、実質的に風補正がなされないようにしている。
一方、ステップT512で、TNE=1と判定された場合(Yes)には、ステップT515に進み、トンネル終了認識フラグTNEを、TNE=0として、次のトンネル終了認識に備える。
続いて、ステップT516に進み、G側ベース値Bg(n)を強制的にG側センサ出力値Sg(n)に一致させる。トンネル終了認識フラグTNEがTNE=1とされる場合には、後述するように、D側センサ出力値Sd(n)を用いて、ガス滞留空間から自動車が抜け出たことを検知した場合(ステップT39参照)もある。この時点では、既に酸化性ガスのみならず、還元性ガスの濃度もガス滞留空間における濃度よりも低くなっていると考えられる。そこで、TNE=1とされたら、G側ベース値Bg(n)をG側センサ出力値Sg(n)に一致させて、その後の還元性ガスの濃度上昇をより早期に捕捉する。その後、メインルーチンに戻る。
ついで、ステップT52において、G側差分値Dg(n)を算出する。具体的には、Dg(n)=Bg(n)−Sg(n)の式により算出する。前述したように、還元性ガスの濃度が比較的急速に高くなると、G側センサ出力値Sg(n)が小さくなる(第2濃度高方向に変化する)一方、G側ベース値Bg(n)は、係数Kg,Hgの値によるが、G側センサ出力値Sg(n)から離れるように増加する、あるいは、緩慢に追従する。このため、還元性ガスの濃度上昇により、このG側差分値Dd(n)が大きくなり、還元性ガスの濃度上昇を捕捉できる。
続くステップT53では、還元性ガスの検知中であるか否かを判定する。具体的には、G側センサ出力値Sg(n)で判定され還元性ガスの濃度が高いか否かを示すG側ガス検知信号LVgが、現在、LVg=1(濃度高)であるか否かを判定する。
ここで、G側ガス検知信号がLVg=0(濃度低)の場合(No)には、ステップT60に進む。一方、LVg=1の場合(Yes)には、ステップT54に進む。
G側ガス検知信号LVg=0であると判定されて進んだステップT60では、G側差分値Dg(n)を正のG側第1しきい値TH23と比較する。
このうち、G側差分値Dg(n)がG側第1しきい値TH23より大きい場合(ステップT60においてYes:Dg(n)>TH23)、つまりG側センサ出力値Sg(n)がG側ベース値Bg(n)に対して所定値(TH23)分よりも小さくなった場合には、ステップT61に進む。ステップT61では、還元性ガスの濃度上昇を検知したとする。具体的には、G側ガス検知信号LVgとして、現在のLVg=0に代えてLVg=1を発生する。G側差分値Dg(n)が、大きくなったと言うことは、G側センサ出力値Sg(n)の値が減少、つまり、第2濃度高方向に変化したことを示すからである。その後、ステップT63に進む。
逆に、G側差分値Dg(n)がG側第1しきい値TH23以下の場合(No)には、ステップST62において、還元性ガスについてクリーンエアが維持されているとし、現在のLVg=0を維持し、ステップT63に進む。
一方、G側ガス検知信号LVg=1であると判定されて進んだステップT54では、G側差分値Dg(n)を正のG側第2しきい値TH24と比較する。ここで、G側第2しきい値TH24は、G側第1しきい値TH23より小さい(TH24<TH23)。チャタリングを防止するためである。
このうち、G側差分値Dg(n)がG側第2しきい値TH24より大きい場合(ステップT54においてYes:Dg(n)>TH24)、つまりG側センサ出力値Sg(n)がG側ベース値Bg(n)に対して所定値(TH24)分よりも小さい状態を維持している場合には、ステップT55に進み、還元性ガスの濃度が高く維持された状態を検知したとし、現在のLVg=1を維持し、ステップT63に進む。
逆に、G側差分値Dg(n)がG側第2しきい値TH24以下の場合(No)には、ステップT56で、還元性ガスの濃度低下つまりクリーンエアを検知したとし、G側ガス検知信号LVgとして、現在のLVg=1に代えてLVg=0を発生し、ステップT57に進む。G側差分値Dg(n)が、小さくなったと言うことは、G側センサ出力値Sg(n)の値が上昇、つまり、濃度低方向に変化したことを示すからである。
続くステップT57では、トンネル検知フラグTN=1であるか否かを判断する。ここで、トンネル検知中ではない場合(No)には、直接、ステップT63に進む。一方、トンネル検知中の場合(Yes)には、ステップT58に進む。
ステップT58では、トンネル検知フラグをクリア、つまりトンネル検知フラグTNを、TN=0とする。さらに、ステップT59において、トンネル終了認識フラグTNEを、TNE=1とし、ステップT63に進む。トンネルなどガス滞留空間内では、他の場所よりも酸化性ガス及び還元性ガスの濃度が高くなっている。従って、ステップT56において還元性ガスの濃度低下を検知できたことから、トンネルなどのガス滞留空間を抜け出したと解されるからである。
ついで、いずれの場合にもステップT63で、現在のG側センサ出力値Sg(n)及びG側ベース値Bg(n)を記憶する。後刻、傾き検知、G側ベース値Bg(n)の算出、G側風補正値VADGの算出等に用いるためである。
その後、ステップT64において、酸化性ガス、還元性ガスともにクリーンエアとなったか否か、具体的には、LVd=0かつLVg=0である以下否かを判断する。ここで,Yes、即ち、酸化性ガス、還元性ガスともに濃度が低下した場合には、ステップT65において、濃度信号LVをLV=0とする。一方、No,即ち、酸化性ガス及び還元性ガスの少なくともいずれかの濃度が高いと判断されている間は、ステップT66において、LV=1を発生する。その後、ステップT67で所定のサンプリングタイムの経過を待って、前述のステップT12に戻り、その後は、上述したのと同様に、ステップT12以降の処理を繰り返し行う。
ついで、未だ説明をしていないステップT17〜T20について順に説明する。
ステップT17のD側傾き&風補正終了判断サブルーチン(図11参照)では、ステップT701において、D側センサ出力値Sd(n)を用いた傾き検知を行う。具体的には、現在と16サンプリング分だけ過去のD側センサ出力値Sd(n),Sd(n−16)及び正の所定値A1を用い、Sd(n)−Sd(n-16)>A1であるか否かを判定する。ここでは、D側センサ出力値の近時の上昇量(濃度高方向へ変化の傾き)が、所定の大きさを超えているか否かを判断している。
ここで、Yes、即ち、増加の傾きが大きい場合には、現在まで16サンプリング分の期間(8秒=16×0.5)において、D側センサ出力値Sd(n)が増加傾向にあったと考えられる。そこで、ステップT702に進み、D側傾き認識カウンタC1をインクリメントし(C1=C1+1)、メインルーチンに戻る。従って、このD側傾き認識カウンタC1の値は、D側センサ出力値Sd(n)の増加(濃度高方向への変化)が継続している期間の長さに対応していることになる。一方、上昇量(傾き)が小さい場合には(No)、ステップT703に進む。
ステップT703では、D側傾き認識カウンタC1をクリアする(C1=0)。D側センサ出力値Sd(n)の近時の上昇量が小さい、増減相半ばの程度である、あるいはむしろ低下していると考えられることから、少なくともD側センサ出力値Sd(n)がはっきりとした上昇傾向には無いと判断されるからである。
ついで、ステップT704では、D側風補償値VADDをVADD=0とする。これにより、前述したD側ベース値Bd(n)の算出式におけるD側風補償値VADDによる補正(ステップT314,図15参照)を実質的に終了させ、メインルーチンに戻る。ステップT701でNoとされた場合には、上述のように、D側センサ出力値Sd(n)は、近時、上昇傾向にはないと考えられることから、風速変化によるD側センサ出力値Sd(n)の濃度高方向への変化は生じていないあるいは終息したと解される。従って、このD側センサ出力値Sd(n)の濃度高方向への変化による誤検知を抑制するために行っているD側ベース値Bd(n)の算出におけるD側風補正(ステップT314参照)を、継続する必要がないと考えられる。このため、実質的に補正を行わなくするのである。
さらに、このステップT704では、D側風検知フラグWdをクリアし、Wd=0とする。D側センサ出力値Sd(n)について、風速変化に起因する濃度高方向への変化が認められないからである。
このステップT17の処理に続いて、ステップT18のG側傾き&風補正終了判断サブルーチン(図12参照)を実行する。このステップT18のサブルーチンでは、まずステップT801において、G側センサ出力値Sg(n)を用いた傾き検知を行う。具体的には、Sd(n-16)−Sd(n)>A2であるか否かを判定する。ここでは、G側センサ出力値の近時の減少量(第2濃度高方向へ変化の傾き)が、所定の大きさを超えているか否かを判断している。
ここで、Yes、即ち、減少の傾きが大きい場合には、現在まで16サンプリング分の期間において、G側センサ出力値Sg(n)が減少傾向にあったと考えられる。そこで、ステップT802に進み、G側傾き認識カウンタC2をインクリメントし(C2=C2+1)、メインルーチンに戻る。従って、このG側傾き認識カウンタC2の値は、G側センサ出力値Sg(n)の減少(第2濃度高方向への変化)が継続している期間の長さに対応していることになる。
一方、減少量(傾き)が小さい場合には(No)、ステップT803に進む。
ステップT803では、G側傾き認識カウンタC2をクリアする(C2=0)。G側センサ出力値Sg(n)の近時の減少量が小さい、増減相半ばの程度である、あるいはむしろ増加していると考えられることから、少なくともG側センサ出力値Sg(n)が明確な減少傾向には無いと判断されるからである。
ついで、ステップT804では、G側風補償値VADGをVADG=0とする。これにより、前述したG側ベース値Bg(n)の算出式におけるG側風補償値VADGによる補正(ステップT514,図16参照)を実質的に終了させ、メインルーチンに戻る。ステップT801でNoとされた場合には、G側センサ出力値Sg(n)は、近時、減少傾向にはないと考えられることから、風速変化によるG側センサ出力値Sg(n)の第2濃度高方向への変化は生じていないまたは終息したと解される。従って、このG側センサ出力値Sg(n)の第2濃度高方向への変化による誤検知を抑制するために行っているG側ベース値Bg(n)の算出におけるG側風補正(ステップT514参照)を、継続する必要がないと考えられる。このため、実質的に補正を行わなくするのである。
さらに、このステップT804では、G側風検知フラグWdをクリアし、Wd=0とする。G側センサ出力値Sg(n)について、風速変化に起因する第2濃度高方向への変化が認められないからである。
このステップT18の処理に続いて、ステップT19のD,Gセンサ変化タイミングずれ認識サブルーチン(図13参照)を実行する。このステップT19のサブルーチンは、ステップT901〜T906における、D側傾き認識カウンタC1は、C1=5となったが、G側傾き認識カウンタC2がC2=5に至らない場合(C2<5)の処理と、この逆に、ステップT911〜T916における、G側傾き認識カウンタC2は、C2=5となったが、D側傾き認識カウンタC1がC1=5に至らない場合(C1<5)の処理とに大別される。
トンネルなどのガス滞留空間内に自動車が進入すると、酸化性ガスの濃度が徐々に増加する。すると、D側センサ出力値Sd(n)が徐々に増加し続けるので、前述のステップT701で増加の傾きが大きいとの判断が連続して生じる。これにより、ステップT702おいて、D側傾き認識カウンタC1がインクリメントされるため、徐々にD側傾き認識カウンタC1の値が増加する。一方、還元性ガスについても同様に、その濃度が徐々に増加する。従って、ステップT802でG側傾き認識カウンタC2もインクリメントされるため、徐々にG側傾き認識カウンタC2の値が増加するはずである。しかしながら、酸化性ガスの濃度上昇と、還元性ガスの濃度上昇の程度が一致しているわけではないし、酸化性ガスに対するD側ガスセンサ素子211の感度と、還元性ガスに対するG側ガスセンサ素子221の感度とが一致しているわけでもない。従って、トンネル内に自動車が進入して場合でも、D側傾き認識カウンタC1の値が増加の様子と、G側傾き認識カウンタC2の値が増加の様子とが一致しているわけではなく、むしろ一方が遅れて増加するなどの挙動を示すことが多い。一方、早くからガス濃度の上昇を検知したガスセンサ素子(例えばD側ガスセンサ素子211)については、次第に濃度上昇の増加率が低下し、ついには高濃度のまま濃度がほぼ一定の状態となる場合もある。この場合には、例えば、ステップS701でNoと判断されてしまい、結局、実際にトンネル内に進入しているにも拘わらず、これを検知できないこととなる虞がある。
そこで、本実施形態2のガス検出装置210では、酸化性ガスの濃度上昇と、還元性ガスの濃度上昇の時間的なずれを、以下のようにして許容する。
まずステップT901では、D側傾き認識カウンタC1がC1=5であり、かつ、G側傾き認識カウンタC2がC2≧2であるか否かを判定する。ここで、Yesの場合、つまり、D側センサ出力値Sd(n)については、C1=5となるまでの長期間(具体的には、少なくとも16×5=80サンプリング分以上の期間)に亘り、その値が増加傾向(濃度高方向への変化)を維持している。その一方、G側センサ出力値Sg(n)については、C2≧2となるまでの期間(具体的には、少なくとも16×2=32サンプリング分以上の期間)に亘り、その値が減少傾向(第2濃度高方向への変化)を維持しているが、未だ十分長いとは言えない場合には、ステップT902に進む。ここでは、D側保持カウンタCdをCd=3に設定する。
一方、ステップT901でNoと判断された場合には、ステップT903に進む。ステップT903では、D側保持カウンタCdがCd>0であり、且つG側傾き認識カウンタC2がC2>0であるか否かを判断する。
ここで、Yes、つまり、以前に前述のステップT902においてD側保持カウンタCdが設定されており、かつ、G側傾き認識カウンタC2がC2>0であるとき(この場合には、G側傾き認識カウンタC2は、C2≧2となっているはずである)には、ステップT904に進む。ステップT904では、D側保持カウンタCdをデクリメントする(Cd=Cd−1)。さらに続いて、ステップT905で、D側傾き認識カウンタC1を強制的にC1=5に設定する。
逆に、ステップT903でNo、即ち、Cd=0及びC2=0の少なくともいずれかに該当する場合には、ステップT906でD側保持カウンタCdをクリアする(Cd=0)。
このような処理により、D側傾き認識カウンタC1が先にC1=5となって時点で、G側センサ出力値Sg(n)の減少傾向が続いているものの、G側傾き認識カウンタC2が5>C2≧2(例えば、C2=2)の場合には、D側保持カウンタCdとして、3回分(3×16=48サイクル分)の猶予を与えている。そして、この間に、C2=5を満たした場合には、後述するステップT201でYesと判断され、ステップT231でトンネル検知とされるようにしている。本実施形態2では、このようにすることで、酸化性ガスの濃度上昇が先に起こり、続いて還元性ガスの濃度上昇が起こるような場合の時間的なずれを許容をしている。
ステップT911〜T916についても、ステップT901〜T906とほぼ同様である。即ち、ステップT911では、G側傾き認識カウンタC2がC2=5であり、かつ、D側傾き認識カウンタC1がC1≧2であるか否かを判定する。ここで、Yesの場合、つまり、G側センサ出力値Sg(n)については、C2=5となるまでの長期間に亘り、その値が減少傾向(第2濃度高方向への変化)を維持している。その一方、D側センサ出力値Sd(n)については、C1≧2となるまでの期間に亘り、その値が増加傾向(濃度高方向への変化)を維持しているが、未だ十分長いとは言えない場合には、ステップT912に進む。ここでは、G側保持カウンタCgをCg=3に設定する。
一方、ステップT911でNoと判断された場合には、ステップT913に進む。ステップT913では、G側保持カウンタCgがCg>0であり、且つD側傾き認識カウンタC1がC1>0であるか否かを判断する。
ここで、Yes、つまり、以前に前述のステップT912においてG側保持カウンタCgが設定されており、かつ、D側傾き認識カウンタC1がC1>0であるときには、ステップT914に進む。ステップT914では、G側保持カウンタCgをデクリメントする(Cg=Cg−1)。さらに続いて、ステップT915で、G側傾き認識カウンタC2を強制的にC2=5に設定する。
逆に、ステップT913でNo、即ち、Cg=0及びC1=0の少なくともいずれかに該当する場合には、ステップT916でG側保持カウンタCgをクリアする(Cg=0)。
このような処理によれば、前述とは逆に、G側傾き認識カウンタC2が先にC2=5となって時点で、D側センサ出力値Sd(n)の増加傾向が続いているものの、D側傾き認識カウンタC1が5>C1≧2(例えば、C1=2)の場合には、G側保持カウンタCgとして、3回分の猶予を与えている。そして、この間に、C1=5を満たした場合には、前述と同様、ステップT201でYesと判断され、ステップT231でトンネル検知とされるようにしている。本実施形態2では、このようにすることで、還元性ガスの濃度上昇が先に起こり、続いて酸化性ガスの濃度上昇が起こるような場合の時間的なずれをも許容をしている。
このステップT19の処理に続いて、ステップT20のD,Gセンサによるトンネル・風検知サブルーチン(図14参照)を実行する。このステップT20のサブルーチンは、ステップT202〜T209,T215〜T219,T221,T222における、風検知及び風補償値算出の処理と、ステップT231〜T234における、トンネル検知の処理とに大別される。
まず、ステップT201では、D側傾き認識カウンタC1及びG側傾き認識カウンタC2がいずれも5であるか否か(C1=5でかつC2=5)を判断する。即ち、D側センサ出力値Sd(n)が、長い期間(少なくとも40秒間=16×5×0.5秒)にわたって濃度高方向(増加方向)へ変化し続けたこと、及び、G側センサ出力値Sg(n)も、同様に長い期間(少なくとも40秒間)にわたって第2濃度高方向(減少方向)へ変化し続けたことが確認できたか否かを判断する。
ここで、Yesの場合には、ステップT231に進み、ステップT231で、トンネル検知をしたとする。具体的には、トンネル検知フラグTNをTN=1とする。D側センサ出力値Sd(n)もG側センサ出力値Sg(n)も、長い期間にわたって濃度高方向、及び第2濃度高方向へ変化し続けるということは、酸化性ガスも還元性ガスも長期間にわたり徐々にその濃度が上昇したことを示しており、このような現象を示すのは、トンネルのようなガス滞留空間に自動車が進入した場合であると考えられるからである。
そこで、続いて、ステップT232では、2つの風検知フラグWd,Wgを強制的にクリアする(Wd=Wg=0)。後述するように、ステップT202以下において、D側、G側風検知フラグWd,Wgをセットする場合がある。しかし、上述のT201において、Yesと判断された場合には、D側センサ出力値Sd(n)あるいはG側センサ出力値Sg(n)が長い期間にわたって濃度高方向及び第2濃度高方向へ変化し続けるのは、風速変化によるのではなく、トンネル等に進入したためであり、風検知とした(Wd=1あるいはWg=1とした)ことがあっても、それは誤りであったと解されるからである。
続いて、ステップT233では、2つの傾き認識カウンタC1,C2をいずれもクリアし(C1=C2=0)、さらに、ステップT234で、保持カウンタCd,Cgもクリアする(Cd=Cg=0)。ステップT231でトンネル検知とされたので、もはやこれらのカウンタの値を維持しておく必要が無く、次回に備えるためである。その後、メインルーチンに戻る。
一方、ステップT201で、No、即ち、C1=5でかつC2=5に至らない場合には、ステップT202に進む。この中には、(1)トンネル内に進入したわけではなく、風によるD,G側センサ出力値の変化も生じていない場合(トンネルあるいは風による変化を検知できる状態に至らない場合を含む)、(2)風による変化を検知できる状態となっている場合、(3)既に風による変化を検知している場合が含まれる。
そこで、ステップT202では、まず、D側風検知フラグWdが、セットされているか否か、つまり、Wd=1であるか否かを判断する。このD側風検知フラグWdは、後述するステップT206でセットする(Wd=1とする)。
既に、以前に、Wd=1とされている場合(Yes)には、ステップT221に進み、D側風補償値VADDを算出する。算出式は、VADD=[Sd(n)-Sd(n-16)]/16で与えられる。
なお、このD側風補償値VADDは、このD,Gセンサによるトンネル・風検知サブルーチンが実行されるたび、従って、D側センサ出力値Sd(n)取得の16サイクル毎に1回(16×0.5=8秒に1回)算出される、つまり、16サイクル毎に更新されるという点で、前述の実施形態1と異なっている。風速変化に起因してD側センサ出力値Sd(n)に生じる変化は、一般には、風速変化の生じた当初に大きく、次第に小さくなり終息する。従って、この変化を補償するための風補償値VADDについても、一定値を用いるよりも、各時点で適切な値を算出・選択する方が、より適切に変動の影響を抑制できて好ましいことは明らかである。
その後は、メインルーチンに戻る。
一方、ステップT202で、Noの場合には、ステップT203に進み、今度は、G側風検知フラグWgが、セットされているか否か、つまり、Wg=1であるか否かを判断する。このG側風検知フラグWgは、後述するステップT216でセットする(Wg=1とする)。
既に、以前に、Wg=1とされている場合(Yes)には、ステップT222に進み、G側風補償値VADGを算出する。算出式は、VADG=[Sg(n-16)-Sg(n)]/16で与えられる。
なお、このG側風補償値VADGも、D側風補償値VADDと同様の理由により、G側センサ出力値Sg(n)取得の16サイクル毎に1回算出される点で、前述の実施形態1と異なる。その後は、メインルーチンに戻る。
かくして、既に風検知フラグWdあるいはWgがセットされている場合、つまり、既に風による変化を検知している場合(前述の(3)の場合)には、D側風補償値VADDまたはG側風補償値VADGが算出されてメインルーチンに戻ることとなる。
しかしながら、Wd=1でもWg=1でもない場合(Wd=Wg=0)には、ステップT204に進む。ステップT204では、D側保持カウンタCdがCd≧1またはG側保持カウンタCgがCg≧1であるか否かを判断する。2つの保持カウンタCd,Cgのうちいずれかが1以上の値を持つ場合(Yes)には、メインルーチンに戻る。この場合には、前述のD,Gセンサ変化タイミングずれ認識のサブルーチンにおいて、ズレを許容している期間であるから、トンネル検知(ステップT231)、風検知(ステップT206,T216)のいずれも行うのが適切でないからである。
ステップT204でNo、つまり、Cd=Cg=0の場合には、上述のずれ許容期間ではないと考えられるから、風検知を行う。具体的には、まずステップT205において、D側傾き認識カウンタC1がC1=5であるか否かを判断する。
ここで、C1=5である場合(Yes)には、ステップT206に進む。この場合、
前提として、G側傾き認識カウンタC2は、C2=5ではなく(ステップT201)、風検知フラグWd,Wgがセットされておらず(ステップT202,T203)、保持カウンタCd,Cgが0である(ステップT204)。このことから、このステップT206で、C1=5である(Yes)と判断される場合には、G側センサ出力値Sg(n)は減少傾向が続いていないことになる。とすると、D側センサ出力値Sd(n)のみが長期間(本実施形態2では少なくとも40秒以上)に亘り濃度高方向に変化し続けていると言うことは、この変化は、風起因高方向変化であると推測される。酸化性ガスの濃度上昇が起こっている場合、トンネルなどの場合を除き、一般に40秒以上に亘って徐々に生じることはなく、通常、比較的短時間に濃度上昇が起き、これに伴ってD側センサ出力値Sd(n)が比較的早く上昇することが判っている。従って、このような長期間にわたる濃度高方向への変化は、トンネルを除けば、風速変化に起因する風起因高方向変化であると解されるからである。
そこで、ステップT206において、D側風検知フラグWdをWd=1にセットする。
続いて、ステップT207において、D側ベース値Bd(n)を設定する。具体的には、D側ベース値Bd(n)を現在のD側センサ出力値Sd(n)に一致させる。D側センサ出力値Sd(n)について、風起因高方向変化が検知されたのであるから、現在得られているD側センサ出力値Sd(n)は、風速変化がなかったとした場合に得られたはずの仮想の値からはズレていると考えられる。そこで、そのズレによって、酸化性ガスの濃度上昇について誤検知が生じるのを防止あるいは解消するため、D側センサ出力値Sd(n)ではなく、D側ベース値Bd(n)を変化させて(現在のD側センサ出力値Sd(n)に一致させて)解消したのである。
続いて、ステップT208では、酸化性ガスについて濃度が低く、クリーンエアであったとして、D側ガス検知信号LVdとして、現在の値にかかわりなく、LVd=0とする。D側センサ出力値Sd(n)に関し、長期間にわたって濃度高方向への変化が観察されたのであるから、D側ガス検知信号LVdは、通常、既にLVd=1(濃度高)となっていると解される。しかし、この判断は、風起因高方向変化によるものであり、LVd=1とするのは誤判断であったと考えられる。従って、このステップT208でこれを取り消したのである。
さらに続いて、ステップT209において、D側風補償値VADDを算出する。算出式は、ステップT221と同じく、VADD=[Sd(n)-Sd(n-16)]/16で与えられる。
その後は、メインルーチンに戻る。
ステップT205において、D側傾き認識カウンタC1がC1=5でない場合(No)には、ステップT215に進む。このステップT215では、G側傾き認識カウンタC2がC2=5であるか否かを判断する。
ここで、C2=5でない場合(No)には、メインルーチンに戻る。トンネル内に進入したわけではなく、風によるD,G側センサ出力値の変化も生じていない、通常の場合(前記(1)の場合)である。
一方、C2=5である場合(Yes)には、ステップT216に進む。この場合、前提として、D側傾き認識カウンタC1は、C2=5ではなく(ステップT201,T205)、風検知フラグWd,Wgがセットされておらず(ステップT202,T203)、保持カウンタCd,Cgが0である(ステップT204)。このことから、このステップT216で、C2=5である(Yes)と判断される場合には、D側センサ出力値Sd(n)は増加傾向が続いてはいないことになる。とすると、G側センサ出力値Sg(n)のみが長期間(40秒以上)に亘り第2濃度高方向に変化し続けていると言うことは、この変化は、第2風起因高方向変化であると推測される。還元性ガスの濃度上昇が起こっている場合、トンネルなどの場合を除き、一般に40秒以上に亘って徐々に生じることはなく、通常、比較的短時間に濃度上昇が起き、これに伴ってG側センサ出力値Sg(n)が比較的すばやく減少することが判っている。従って、このような長期間にわたる第2濃度高方向への変化は、トンネルを除けば、風速変化に起因する第2風起因高方向変化であると解されるからである。
そこで、ステップT216において、G側風検知フラグWgをWg=1にセットする。
続いて、ステップT217において、G側ベース値Bg(n)を設定する。具体的には、G側ベース値Bg(n)を現在のG側センサ出力値Sg(n)に一致させる。上述のD側センサ出力値Sd(n)の場合(ステップT207)と同じく、現在得られているG側センサ出力値Sg(n)は、風速変化がなかったとした場合に得られる仮想の値からはズレていると考えられる。そこで、そのズレによる誤検知の防止あるいは解消のため、G側センサ出力値Sg(n)ではなく、G側ベース値Bg(n)を変化させている。
続いて、ステップT218では、還元性ガスについて濃度が低く、クリーンエアであったとして、G側ガス検知信号LVgとして、現在の値にかかわりなく、LVg=0とする。G側ガス検知信号LVgは、通常、既にLVg=1(濃度高)となっていると解される。しかし、この判断は、第2風起因高方向変化によるものであり、LVg=1とするのは誤判断であったと考えられるからこれを取り消したのである。
さらに続いて、ステップT219において、G側風補償値VADGを算出する。算出式は、ステップT222と同じく、VADG=[Sg(n-16)-Sg(n)]/16で与えられる。
その後は、メインルーチンに戻る。
このようにして、本実施形態2のガス検出装置210では、2つのD側ガスセンサ素子211及びG側ガスセンサ素子221を用いて、マイクロコンピュータ216における制御を行う。このため、本実施形態2では、車速の変化や風速の変化などによって、2つのガスセンサ素子211,221やヒータ素子202と外気との相対速度(風速)が変化し、D側センサ出力値Sd(n)が風起因濃度高方向、またG側センサ出力値Sg(n)が第2風起因濃度高方向に変化する場合でも、変化の継続期間からこれらを検知することができる。また、D側センサ出力値あるいはG側センサ出力値の変化の影響を補償して、適切に酸化性ガス及び還元性ガスの濃度変化を検知することができるようになる。
さらに、本実施形態2のガス検出装置210では、風速変化に伴う風起因高方向変化あるいは第2風起因高方向変化を検知し、D側センサ出力値あるいはG側センサ出力値の変化の影響を補償することができるのみならず、2つのガスセンサ素子211,221の特性の違いを利用して、D側センサ出力値Sd(n)の風起因高方向変化と、あるいはG側センサ出力値Sg(n)の第2風起因高方向変化と、トンネルなどガス滞留空間に進入した場合の変化とを分離し、トンネルなどに進入したか否かについても検知することができる。
次いで、本実施形態2にかかるガス検出装置210(システム200)における、具体的なD側,G側センサ出力値Sd(n),Sg(n)の変化例と、これに対するD側,G側ベース値Bd(n),Bg(n)、D側,G側風補正フラグWd,Wg、D側,G側ガス検知信号LVd,LVgの変化について、図17,図18を参照して説明する。
このうち、図17は、本実施形態2のガス検出装置210を搭載した自動車について、低速走行から高速走行に移行し再び低速走行のパターンで走らせた場合のデータについて記載している。一方、図18は、自動車で、長いトンネル内を走行した場合のデータについて記載している。
また、これらには、風検知及びトンネル検知に関する処理(ステップT17〜T20)をしなかった場合に得られる仮想D側ベース値ABd(n),仮想G側ベース値ABg(n)及びこのようにした場合に得られる仮想D側,G側ガス検知信号ALVd,ALVgについても併せて示してある。
これらの図のうち、最も下方に記載したのは、別途、NO2ガスセンサ(Interscan社製ポータブルガス分析計(Model No.4150-2)及びCOガスセンサ(Interscan社製ポータブルガス分析計(Model No.4140-1)で測定したNO2ガス濃度(一点鎖線で示す)とCOガス濃度(実線で示す)の変化を示すグラフである。また、各図の上方には、D側センサ出力値Sd(n)を実線で、D側ベース値Bd(n)を破線で、仮想D側ベース値ABd(n)を一点鎖線で示す。その下方には同様に、G側センサ出力値Sg(n)を実線で、G側ベース値Bg(n)を破線で、仮想G側ベース値ABg(n)を一点鎖線で示す。
まず、図17について説明する。本図におけるNO2ガス濃度(一点鎖線で示す)とCOガス濃度(実線で示す)の変化を、図18のそれと対比すると判るように、本図で示す場合には、NO2,CO共あまり大きな濃度変動が生じていない。
本図に示す場合には、本図の計測の開始直後(時刻0秒)に、低速走行(市街地走行)から高速走行(高速道路走行)に移行している、このため、時刻t0において、D側センサ出力値Sd(n)が徐々に上昇をはじめている。自動車の速度が上昇することで風速が増加し、D側ガスセンサ素子211が冷やされてそのセンサ抵抗値Rs1が上昇したためであると考えられる。このD側センサ出力値Sd(n)の緩慢な上昇は、概略250秒以上に亘って継続している。
しかしながら、D側センサ出力値Sd(n)の上昇が緩やかであるため、D側ベース値Bd(n)も緩やかに追従しており、両者の差(D側差分値Dd(n))の値が大きくならないため、ステップT40においてYesと判断されるまでに時間がかかり、漸く時刻t1において、D側ガス検知信号LVd=1(ステップT41)となり、酸化性ガスの濃度上昇を検知している。但し、NO2ガス濃度の変化から判るように、この酸化性ガスの検知は、誤検知である。
なお、仮想D側ガス検知信号ALVdも同様に、時刻t1でALVd=1となる。
その後、時刻t2において、D側風検知フラグWdがWd=1(ステップT206)とされる。D側センサ出力値Sd(n)の上昇が40秒(=16サイクル×5回×0.5秒)以上継続したため、このD側センサ出力値Sd(n)の上昇変化は、風速変化に起因するもの(風起因高方向変化)であると判断したからである。そのため、このタイミング(t2)で、D側ベース値Bd(n)はD側センサ出力値Sd(n)に一致させられ、時刻t1で一旦LVd=1としたD側ガス検知信号LVdはクリアされる(LVd=0)。従って、本図には示していないが、ガス検出装置210の出力端子218から出力している濃度信号LVも、LV=0にクリアされ、フラップ34が外気導入側に回動される。
一方、仮想D側ガス検知信号ALVdについては、風起因高方向変化を検知できないため、時刻t2以降も引き続いて、LVd=1とされ続け、D側センサ出力値Sd(n)が反転(減少)に転じる時刻t3までの約200秒間に亘り、酸化性ガスの濃度が高くないのに濃度高(LVd=1)と判断する誤検知の状態が継続していることが判る。従って、この間、LV=1とされ、フラップ34が内気循環側に回動された状態となる。
その後、D側センサ出力値Sd(n)が反転(減少)に転じた時刻t3の後の時刻t4まで、D側風検知フラグWdがWd=1とされる状態は続き、時刻t4において、D側風検知フラグWdがクリアされる(Wd=0、ステップT704)。この時刻t2〜t4においては、本図には示さないが、ステップT209及びT221においてD側風補償値VADDが16サンプリング毎(8秒ごと)に更新されて、各時点で適切に補正されたD側ベース値Bd(n)が算出される。従って、この期間には、風速変化によるD側センサ出力値Sd(n)の変化の影響により、酸化性ガスの濃度上昇検知が不適切となるのを、D側ベース値Bd(n)の補正(ステップT314)によって抑制している。かくして、この期間においても、D側差分値Dd(n)を用いて、適切に酸化性ガスの濃度上昇を適切に検知できる。
なお、その後、D側センサ出力値Sd(n)に緩慢な変動により、時刻t5,t6においても風起因高方向変化が検知され、D側風検知フラグWdがWd=1とされている。
ついで、時刻t7の頃に、高速走行から低速走行に転じると、風速が減少することに伴って、D側,G側ガスセンサ素子211,221のいずれの温度も上昇する、これにより、D側,G側センサ出力値Sd(n),Sg(n)は、これ以降、緩慢に減少し続ける。
G側センサ出力値Sg(n)の減少(第2濃度高方向への変化)により、時刻t8で、G側ガス検知信号LVgが、LVg=1とされ(ステップT61)となり、還元性ガスの濃度上昇を検知している。但し、COガス濃度の変化から判るように、この還元性ガスの検知は、誤検知である。
なお、仮想G側ガス検知信号ALVgも同様に、時刻t8でALVg=1となる。
その後、時刻t9において、G側風検知フラグWgがWg=1(ステップT216)とされる。G側センサ出力値Sg(n)の減少が40秒以上継続したため、時刻t7以降に続くG側センサ出力値Sg(n)の減少変化は、風速変化に起因するもの(第2風起因高方向変化)であると判断したからである。そのため、このタイミング(t9)で、G側ベース値Bg(n)はG側センサ出力値Sg(n)に一致させられ、時刻8で一旦LVg=1としたG側ガス検知信号LVgはクリアされ(LVg=0)、誤検知が解消される。従って、出力端子218の濃度信号LVも、LV=0にクリアされ、フラップ34が外気導入側に回動される。
一方、仮想G側ガス検知信号ALVgについては、風起因高方向変化を検知できないため、時刻t9以降も引き続いて、LVg=1とされ続け、還元性ガスの濃度が高くないにも拘わらず、濃度高(LVg=1)と判断する誤検知の状態が継続されていることが判る。
時刻t9以降、時刻t10まで、一旦、G側風検知フラグWgがWg=0とされる。この時刻t9〜t10の期間中、ステップT219及びT222においてG側風補償値VADGが16サンプリング毎(8秒毎)に更新されて、各時点で適切に補正されたG側ベース値Bg(n)が算出される。従って、この時刻t9〜t10には、風速変化によるG側センサ出力値Sg(n)の変化の影響により、還元性ガスの濃度上昇検知が不適切となるのを、G側ベース値Bg(n)の補正(ステップT514)によって抑制している。かくして、この期間においても、G側差分値Dg(n)を用いて、適切に還元性ガスの濃度上昇を適切に検知できる。
なお、その後も続くG側センサ出力値Sg(n)に緩慢な変動により、時刻t11においても風起因高方向変化が検知され、G側風検知フラグWgがWg=1とされている。
このように、本実施形態2のガス検出装置210(システム200)によれば、D側センサ出力値Sd(n)及びG側センサ出力値Sg(n)のいずれについても、風速変化に起因する風起因高方向変化及び第2風起因高方向変化を、適切に検知できる。さらにそれに基づいて、D側センサ出力値Sd(n)あるいはG側センサ出力値Sg(n)の変化の影響を補償して、適切な酸化性ガス及び還元性ガスの濃度上昇検知を行うことができる。
ついで、図18について説明する。本図は、時刻t20〜t28の約300秒間に亘り、トンネル内を走行した場合のデータを示しており、この期間において、NO2ガス濃度(一点鎖線)は、緩やかであるがほぼ直線的にその濃度が上昇しており、トンネル出口付近(時刻t27)で、急激にその濃度が低下している。一方、COガス濃度(実線)も、やや変動は大きいものの、時間の経過(トンネル内の走行)と共に、その濃度が高くなる傾向を示し、トンネル出口付近(時刻t27)で急激に濃度が低下している。
自動車がトンネル内に進入した時刻t20以降、D側センサ出力値Sd(n)が緩やかに上昇をはじめると共に、G側センサ出力値Sg(n)も緩やかに減少をはじめる。
しかしながら、G側センサ出力値Sg(n)の減少が緩やかであるため、G側ベース値Bg(n)も緩やかに追従して減少しており、両者の差(G側差分値Dg(n))の値が大きくならないため、ステップT60においてYesと判断されるまでに時間がかかり、G側センサ出力値Sg(n)が急減した時刻t21において、漸くG側ガス検知信号LVg=1(ステップT61)とされり、還元性ガスの濃度上昇を検知している。なお、仮想G側ガス検知信号ALVgも同様に、時刻t21でALVg=1となっている。
一方、D側センサ出力値Sd(n)の上昇も緩やかであるため、D側ベース値Bd(n)も緩やかに追従して上昇おり、両者の差(D側差分値Dd(n))の値が大きくならないため、ステップT40においてYesと判断されるまでに時間がかかっている。従って、次述するトンネル検知が行われ、D側ベース値Bd(n)算出の式の係数が変更になった以降、漸く時刻t23において、D側ガス検知信号LVd=1(ステップT41)となり、酸化性ガスの濃度上昇を検知している。
一方、仮想D側ガス検知信号ALVdについては、トンネル検知を行わないため、係数が変更にならず、時刻t23以降も、ALVd=0、つまり、濃度上昇を検知できないままとなっている。
この時刻t23より早い時刻t22において、トンネル検知フラグTNがTN=1とされる(ステップT231)。時刻t20から約60秒経過後である。時刻t20付近におけるD側センサ出力値Sd(n)とG側センサ出力値Sg(n)の挙動について、本図を観察すると理解できるが、時刻t20以降、G側センサ出力値Sg(n)は徐々に減少しているが、D側センサ出力値Sd(n)は、時刻t20から10〜20秒程度、ほぼ一定値を保っている時間があったことが判る。つまり、本図の例においては、D側センサ出力値Sd(n)の増加が、G側センサ出力値Sg(n)の減少よりも若干遅れて生じたのである。しかも、時刻t21以降、G側センサ出力値Sg(n)が急激に減少したのち、時刻t22までに、若干反転(増加)する挙動を示している。
しかしながら、本実施形態2では、前述したように、D,Gセンサ変化タイミングずれ認識のサブルーチン(ステップT19:T901〜916)を有しているため、G側保持カウンタCg(ステップT912)を用いて、タイミングのずれを認識しているため、時刻t22で、適切にトンネルなどのガス滞留空間を検知できている。
なお、本実施形態2に用いるD側センサ出力値Sd(n)については、風速が増加した場合にこれが変化する方向と、酸化性ガスの濃度が高くなった場合に変化する方向とは、両方とも値が増加する方向である。このため、このD側センサ出力値Sd(n)のみを用い、その値の増加傾向の継続時間を検討しただけでは、風速が増加したための風起因高方向変化であるのか、トンネル内に進入したために酸化性ガスの濃度が徐々に増加する濃度高方向の変化なのかを区別することができない。
しかるに、G側センサ出力値Sg(n)については、風速が増加した場合にこれが変化する方向と、還元性ガスの濃度が高くなった場合に変化する方向とは、逆方向である。具体的には、風速が増加した場合、G側センサ出力値Sg(n)は増加するかあるいは余り変化しない(図17参照)。一方、還元性ガスの濃度が高くなった場合には、G側センサ出力値Sg(n)は減少する。
従って、もし、風速が増加してD側センサ出力値Sd(n)の値が徐々に増加した場合には、G側センサ出力値Sg(n)も増加するかあるいは余り変化しない。一方、トンネルなどに進入してD側センサ出力値Sd(n)の値が徐々に増加した場合には、G側センサ出力値Sg(n)は、還元性ガスの濃度上昇によりその値が減少する。かくして、2つの特性の異なるガスセンサ素子211,221を用いることにより、D側,G側センサ出力値の変化が、風速変化によるものであるか、トンネルなどへの進入によるものであるかを区別することができている。
さらに、この時刻t22では、TN=1とされたことにより、ステップT24がYesとされ、ステップT25でステップT26よりも相対的に小さな係数、k1,h1,k4,h4が選択され、ステップT314,514において、これを用いてD側ベース値Bd(n)及びG側ベース値Bg(n)が算出される。このため、本図18において、係数を変更していない仮想D側ベース値ABd(n)及び仮想G側ベース値ABg(n)とそれぞれ比較すれば容易に理解できるように、時刻t22以降、D側ベース値Bd(n)及びG側ベース値Bg(n)の変化が、さらに緩慢にされている。
逆に言えば、この時刻t22以降、D側センサ出力値Sd(n)とD側ベース値Bd(n)との差(D側差分値Dd(n))が大きくなり、時刻t23において、ステップT40を満たしてLVd=1(ステップT42)とされている。
本図では、時刻t22〜t27まで、トンネル検知(TN=1)とされている。これに伴い、上述のようにD側ベース値Bd(n)及びG側ベース値Bg(n)の変化を緩慢にしたため、G側ガス検出信号LVgは、この時刻t22〜t27を含む、時刻t21〜t27に亘って、LVg=1とされている。D側ガス検出信号LVdでも、時刻t22より若干遅れた時刻t23以降、時刻t27までの期間に亘って、LVd=1とされている。
一方、仮想G側ガス検出信号ALVgは、この時刻t21〜t27のうち、時刻t24〜t25,t26〜27において、ALVg=0とされている。即ち、この期間においては、還元性ガスの濃度が低いと誤判断していることとなる。この原因は、時刻t22〜t27において、仮想G側ベース値ABg(n)が、G側ベース値Bg(n)に比して、比較的早くG側センサ出力値Sg(n)に追従して変化するため、これらの差が、第2差分値Dg(n)よりも小さな値となっている。このため、時刻t24,t26に、ステップT54においてNoと判断され、ステップT56で仮想LVgがクリアされたためである(ALVg=0)。逆に、本実施形態2のガス検出装置210では、時刻t22において、D側ベース値Bd(n)及びG側ベース値Bg(n)算出のための係数を変更したため(ステップT24,T25)、このような誤判断を防止し得たと言える。
その後、時刻t27において、還元性ガスの濃度が急減し、G側センサ出力値Sg(n)が急増すると、G側センサ出力値Sg(n)とG側ベース値Bg(n)の差である第2差分値Dg(n)がTH24以下となり(ステップT55においてNo)、G側ガス検知信号LVgが0とされ(ステップT56)、トンネル検知フラグTNがクリア(TN=0)され(58)、トンネル終了認識フラグTNEがクリアされる(ステップT59)。
本例では、時刻t27の直後の時刻t28に、実際のトンネルを抜け出しており、トンネルの終了検知についても適切であったことが理解できる。
このように、本実施形態2のガス検出装置210(システム200)によれば、D側センサ出力値Sd(n)の濃度高方向変化の継続時間と、G側センサ出力値Sg(n)の第2濃度高方向変化の継続時間を利用して、トンネルなどのガス滞留空間への進入をも検知することができる。しかも、D側ガスセンサ素子211とG側ガスセンサ素子221との特性の違いを利用して、同様なD側センサ出力値Sd(n)の濃度高方向変化の継続時間が生じても、風速変化によるものか、トンネル等への進入によるものかを区別することもできる。
以上において、本発明を実施形態1,2に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、上記実施形態1では、酸化性ガスに反応してセンサ抵抗値Rsが変化するタイプのガスセンサ素子11を有するガス検出装置10に用いた例を示した。しかし、還元性ガスに反応してセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いたガス検出装置に適用することもできる。
また、上記実施形態1では、センサ出力値S(n)とベース値B(n)との比L(n)を用いてガス濃度の変化を検知した。しかし、実施形態2で示したように(ステップT32,T52参照)、センサ出力値S(n)とベース値B(n)との差分値を用いることもできる。また逆に、実施形態2において、D側差分値、G側差分値に代えて、実施形態1のL(n)と同様の比を用いることもできる。
また、ベース値B(n)を求める式として式(2),式(3)等を用いたが、他の算出式を用いることもできる。例えば、式(2),式(3)における第3項を無くした形式の算出式を用いることもできる。実施形態2においても同様である。
さらに、風補償値NMSとして、ステップS37,S38によって求めた値を用いたが、他の手法によって求めた値を用いることもできる。風補償値NMSを固定値とせずに、各時点でのセンサ出力値の変化に応じた値として各時点でその都度算出して用いることもできる。
また、ステップS13で算出した移動差分値M(n)を用いてセンサ出力値S(n)の変化傾向を判断し、ステップS33,S34,S42,S43において、カウント値ANGを増加あるいは減少させたが、他の値を用いてセンサ出力値S(n)の変化傾向を判断することもできる。
また、ステップS33,S34,S42,S43におけるカウント値の増加または減少の大きさ等も適宜設定することができる。
また、上記実施形態1では、ステップS16等で、一旦現在のベース値B(n)を得た後に、ステップS20において、現在のベース値B(n)に風補償値NMSを加えてこれを補正した。しかし、予め前回のベース値B(n−1)を風補償値NMSで補正し、その後、ステップS16等で現在のベース値B(n)を得るようにしても良い。
また、前述の実施形態1,2では、風速変化により、酸化性ガスあるいは還元性ガスの濃度が高くなったのと同じ方向に変化(風起因高方向変化、あるいは第2風起因高方向変化)が生じた場合にのみ、これを検知し、風補償値を用いてベース値等に補正を施した。しかし、風速変化に起因して、ガス濃度が低下したのと同じ方向に変化した場合にも、これを検知し、風補償値等を用いてベース値等を補正しても良い。
実施形態1にかかるガス検出装置および車両用オートベンチレーションシステムの概要を示す説明図である。 実施形態1,2にかかる車両用オートベンチレーションシステムにおける制御のフローを示す説明図である。 実施形態1にかかるガス検出装置のうち、マイクロコンピュータにおける制御のメインルーチンのフローを示す説明図である。 実施形態1にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、風補正ルーチンの内容を示す説明図である。 実施形態1にかかり、(1)はセンサ出力値S(n)、ベース値B(n)の変化を示し、(2)は風補正フラグの変化を示し、(3)は濃度信号LVの変化を示す説明図である。(1)においては、本発明を用いない無補正ベース値Ba(n)の変化も併せて示す。 実施形態1にかかり、図5と同じく、(1)はセンサ出力値S(n)、ベース値B(n)の変化を示し、(2)は風補正フラグの変化を示し、(3)は濃度信号LVの変化を示す説明図である。 但し、時刻t6以降にガスによるセンサ出力値に上昇があった場合を追記して示してある。 実施形態2にかかるガス検出装置および車両用オートベンチレーションシステムの概要を示す説明図である。 実施形態2にかかるガス検出装置のうち、マイクロコンピュータにおける制御のメインルーチンのフローを示す説明図のうちの第1図である。 実施形態2にかかるガス検出装置のうち、マイクロコンピュータにおける制御のメインルーチンのフローを示す説明図のうちの第2図である。 実施形態2にかかるガス検出装置のうち、マイクロコンピュータにおける制御のメインルーチンのフローを示す説明図のうちの第3図である。 実施形態2にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、D素子−傾き&風補正終了判断ルーチンの内容を示す説明図である。 実施形態2にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、G素子−傾き&風補正終了判断ルーチンの内容を示す説明図である。 実施形態2にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、D,G素子変化タイミングずれ認識ルーチンの内容を示す説明図である。 実施形態2にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、D,G素子によるトンネル,風検知ルーチンの内容を示す説明図である。 実施形態2にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、D側ベース値Bd(n)の算出ルーチンの内容を示す説明図である。 実施形態2にかかり、マイクロコンピュータにおける制御のうち、G側ベース値Bg(n)の算出ルーチンの内容を示す説明図である。 本実施形態2のガス検出装置を、自動車に装着して走行した場合のうち、風起因変化が生じた場合の、Dセンサ出力値、Gセンサ出力値、D側ベース値、G側ベース値等の変化を示す説明図である。 本実施形態2のガス検出装置を、自動車に装着して走行した場合のうち、トンネル内を走行した場合の、Dセンサ出力値、Gセンサ出力値、D側ベース値、G側ベース値等の変化を示す説明図である。
符号の説明
1,201 ガスセンサ
2,202 ヒータ素子
Rh ヒータ抵抗
100,200 車両用オートベンチレーションシステム
10,210 ガス検出装置
11 ガスセンサ素子
211 D側ガスセンサ素子(ガスセンサ素子)
221 G側ガスセンサ素子(第2ガスセンサ素子)
12,212,222 検出抵抗
Rs,Rs1,Rs2 センサ抵抗値
Rd,Rd1,Rd2 検出抵抗値
Pd,Pd1,Pd2 動作点
13,213,223 バッファ
14,214,224 センサ抵抗値変換回路
15,215,225 A/Dコンバータ
16,216 マイクロコンピュータ
17,217,227 入力端子
18,218 出力端子
19 センサ出力値取得回路(取得手段)
219 D側センサ出力値取得回路(取得手段)
229 G側センサ出力値取得回路(第2取得手段)
20 電子制御アセンブリ
21 フラップ駆動回路
31,32,33 ダクト
34 フラップ
S(n) センサ出力値
Sd(n) D側センサ出力値(センサ出力値)
Sg(n) G側センサ出力値(第2センサ出力値)
B(n) ベース値(基準値)
Bd(n) D側ベース値(基準値)
Bg(n) G側ベース値(第2基準値)
Dd(n) D側差分値
Dg(n) G側差分値
LV 濃度信号
LVd D側ガス検知信号(濃度信号)
LVg G側ガス検知信号(第2濃度信号)
NMS 風補償値
VADD D側風補償値
VADG G側風補償値
Wd,Wg 風検知フラグ
TN トンネル検知フラグ
TNE トンネル終了検知フラグ
TH1,TH2,TH21,TH22,TH23,TH24 しきい値

Claims (12)

  1. ヒータ素子によって加熱されて、環境気体中の特定ガスの濃度変化に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、
    上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を取得する取得手段と、
    上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低下したことを示す濃度低信号及び上記特定ガスの濃度が上昇したことを示す濃度高信号を発生する濃度検知手段と、
    を備え、
    上記濃度検知手段は、
    上記ガスセンサ素子及び上記ヒータ素子とこれらに接触する上記環境気体との相対速度の変化に起因する上記センサ出力値の変化である風起因変化の有無を、上記センサ出力値を用いて検知する風起因変化検知手段を有し、
    上記風起因変化検知手段は、
    上記センサ出力値の濃度高方向または濃度低方向への変化が生じたときに、この変化の継続期間から、この変化が上記風起因変化であるか否かを判定する
    ガス検出装置。
  2. ヒータ素子によって加熱されて、環境気体中の特定ガスの濃度変化に応じてセンサ抵抗値が変化するガスセンサ素子を用いるガス検出装置であって、
    上記センサ抵抗値に応じたセンサ出力値を取得する取得手段と、
    上記センサ出力値を用いて上記特定ガスの濃度変化を検知して、上記特定ガスの濃度が低下したことを示す濃度低信号及び上記特定ガスの濃度が上昇したことを示す濃度高信号を発生する濃度検知手段と、
    を備え、
    上記濃度検知手段は、
    上記ガスセンサ素子及び上記ヒータ素子とこれらに接触する上記環境気体との相対速度の変化に起因する上記センサ出力値の変化である風起因変化のうち、少なくとも変化方向が濃度高方向である風起因高方向変化の有無を、上記センサ出力値を用いて検知する風起因変化検知手段を有し、
    上記風起因変化検知手段は、
    上記センサ出力値の濃度高方向への変化が生じたときに、この濃度高方向への変化の継続期間から、この変化が上記風起因高方向変化であるか否かを判定する
    ガス検出装置。
  3. 請求項2に記載のガス検出装置であって、
    前記濃度検知手段は、
    前記風起因変化検知手段が、前記センサ出力値の濃度高方向への変化を前記風起因高方向変化であると判定したとき、前記特定ガスの前記濃度低信号を発生する濃度低信号発生手段を有する
    ガス検出装置。
  4. 請求項2または請求項3に記載のガス検出装置であって、
    前記風起因変化検知手段は、
    所定サイクル時間毎に現在及び過去の上記センサ出力値からその変化情報を取得し、上記センサ出力値が濃度高方向に変化していることを示す濃度高変化情報が連続して第1所定個得られたとき、または連続する第2所定個の上記変化情報において上記濃度高変化情報が第1所定個以上含まれることが判明したときに、前記風起因高方向変化であるとする
    ガス検出装置。
  5. 請求項4に記載のガス検出装置であって、
    前記濃度検知手段は、
    前記風起因変化検知手段での前記風起因高方向変化であるか否かの判定に用いた前記変化情報、及び上記判定以降に取得した上記変化情報のうち、前記濃度高変化情報の数と、前記センサ出力値が濃度高方向に変化していないことを示す濃度低変化情報の数とが所定の関係となったときに、または上記濃度低変化情報が得られるパターンが所定パターンとなったときに、上記風起因高方向変化の終期であると判定する風変化終期検知手段を有する
    ガス検出装置。
  6. 請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
    前記濃度検知手段は、
    前記風起因変化検知手段による前記風起因高方向変化の検知以降に、または、
    前記風起因変化検知手段による前記風起因高方向変化の検知から、前記風変化終期検知手段によって検知した前記風起因高方向変化の終期までの期間に、
    前記特定ガスの濃度変化の検知における、前記センサ出力値の上記風起因高方向変化の影響を補償する風補償手段を有する
    ガス検出装置。
  7. 請求項6に記載のガス検出装置であって、
    前記濃度検知手段は、
    現在の前記センサ出力値及び過去に得た過去の基準値を用いて現在の基準値を算出する基準値算出手段と、
    上記現在のセンサ出力値と上記現在の基準値とを対比して、前記特定ガスの前記濃度低信号と前記濃度高信号のいずれかを発生する濃度信号発生手段と、を有し、
    前記風補償手段は、
    風補償値を用いて、上記現在の基準値を、または上記基準値算出手段で用いる上記過去の基準値を補正する
    ガス検出装置。
  8. 請求項7に記載のガス検出装置であって、
    前記濃度検知手段は、
    現在及び過去のセンサ出力値のうちから選択した少なくとも2つのセンサ出力値を用いて前記風補償値を算出する風補償値算出手段を有する
    ガス検出装置。
  9. 請求項2〜請求項8のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
    前記ヒータ素子またはこれとは異なる第2ヒータ素子によって加熱されて、前記環境気体中の前記特定ガス以外の第2特定ガスの濃度変化に応じて第2センサ抵抗値が変化する第2ガスセンサ素子と、
    上記第2センサ抵抗値に応じた第2センサ出力値を取得する第2取得手段と、を備え、
    前記風起因変化検知手段は、
    前記センサ出力値の濃度高方向への変化が生じたときの、この濃度高方向への変化の継続期間、及び、上記第2センサ出力値の挙動を用いて、上記センサ出力値の変化が上記風起因高方向変化であるか否かを判定する
    ガス検出装置。
  10. 請求項2〜請求項8のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
    前記ヒータ素子またはこれとは異なる第2ヒータ素子によって加熱されて、前記環境気
    体中の前記特定ガス以外の第2特定ガスの濃度変化に応じて第2センサ抵抗値が変化する第2ガスセンサ素子と、
    上記第2センサ抵抗値に応じた第2センサ出力値を取得する第2取得手段と、を備え、
    前記ガスセンサ素子は、
    上記環境気体との相対速度が増加した場合と、この素子で検知する特定ガスの濃度が増加した場合のいずれでも、前記センサ抵抗値が増加する特性を有し、
    第2ガスセンサ素子は、
    上記環境気体との相対速度が増加したときには、上記第2センサ抵抗値が増加または変化しない一方、上記第2特定ガスの濃度が増加した場合には、上記第2センサ抵抗値が低下する特性を有し、
    前記風起因変化検知手段は、
    前記センサ出力値の濃度高方向への変化の継続期間に加え、前記第2センサ出力値の挙動を用いて、上記センサ出力値の変化が上記風起因高方向変化であるか否かを判定するガス検出装置。
  11. 請求項2〜請求項8のいずれか1項に記載のガス検出装置であって、
    前記ヒータ素子またはこれとは異なる第2ヒータ素子によって加熱されて、前記環境気体中の前記特定ガス以外の第2特定ガスの濃度変化に応じて第2センサ抵抗値が変化する第2ガスセンサ素子と、
    上記第2センサ抵抗値に応じた第2センサ出力値を取得する第2取得手段と、を備え、
    ガスセンサ素子は、
    上記環境気体との相対速度が増加したときには、上記センサ抵抗値が増加または変化しない一方、上記特定ガスの濃度が増加した場合には、上記センサ抵抗値が低下する特性を有し、
    前記第2ガスセンサ素子は、
    上記環境気体との相対速度が増加した場合と、この素子で検知する第2特定ガスの濃度が増加した場合のいずれでも、前記第2センサ抵抗値が増加する特性を有し、
    前記風起因変化検知手段は、
    前記センサ出力値の濃度高方向への変化の継続期間に加え、前記第2センサ出力値の挙動を用いて、上記センサ出力値の変化が上記風起因高方向変化であるか否かを判定するガス検出装置。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のガス検出装置を含む
    車両用オートベンチレーションシステム。
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