JP4376735B2 - 計測信号の積分処理装置 - Google Patents
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Description
そこで、従来、ハイパスフィルタを用いて対象信号に含まれる直流オフセット成分を抽出し、その信号を対象信号に加算し、直流成分を除去しているが、この除去処理では直流成分が完全に除去できないため、この信号を長時間、完全積分処理すると発散に至ることが多く、よって、通常は、直流オフセット除去回路と直列に所定の放電時定数を待たせて不完全積分を行う積分回路を配列したものを用いているが、不完全積分を用いると、長期間、傾斜角度に変化がない場合、放電時定数に従い、傾斜角度が実際より小さく計測されるという問題がある。
また、車両の走行時に生じる衝突の現象を検出した後に短時間の積分処理により、発散現象を回避する方法もある(例えば、特許文献3参照)。
また、上記特許文献3の場合は、車両の走行時に生じる衝突の判定に有効であるが、ロールオーバ判定ではロールレートが比較的小さい傾斜路を継続走行する時にも積分処理を継続し、車両の傾斜角度を求める必要があるので、利用できない(有効でない)という問題点があった。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による計測信号の積分処理装置の構成を示すブロック図である。
図1において、本実施の形態による計測信号の積分処理装置は、ロールレート(角速度)Rr(deg/sec)を検出するロールレート検出手段としてのロールレートセンサ1と、ロールレートセンサ1の出力信号すなわちロールレートRrを(完全)積分処理し、車両の傾斜角度検出信号に重畳する直流オフセット成分あるいは積分処理の発散現象を除去して車両の静的な傾斜角度Ra(s)、つまり、長時間の傾斜角度に変化がない場合の傾斜角度Ra(s)を出力する直流オフセット処理手段2と、傾斜路からの発進時に対応して、直流オフセット処理手段2から出力される車両の静的な傾斜角度Ra(s)を補正する傾斜角度補正手段3とを備える。
先ず、図2は、直流オフセット処理手段2における直流オフセット処理の仕方を示しており、ロールレートセンサ1からのロールレートRrを直流オフセット処理手段2の積分処理部21で積分処理(Ra=∫Rrdt)して重み付け加算平均処理部22に供給する。一方、ロールレートセンサ1からのロールレートRrはロールレート判定部23にも供給され、ロールレート判定部23は、ロールレートRrの値が所定の値nより小さいか否かを判別し、ロールレートRrの値が所定の値nより小さいときに重み付け加算平均処理部22を作動して直流オフセット処理機能を起動させる。
従って、この図3の場合は、IG・ON/OFF時の傾斜角度を記憶し、発進時に積分処理機能に加算することにより、慣用の加速度センサの情報を用いないで、静的な傾斜角度を求めることができる。
また、IG・ON/OFFあるいは車速から車両停車時の傾斜角度を記憶し、車両発進時に積分処理機能に加算することにより、慣用の加速度センサの情報を用いないで静的な傾斜角度を求めることができるので、構成の簡略化、コストの低廉化が図れる。
図5は、この発明の実施の形態2による計測信号の積分処理装置の構成を示すブロック図である。なお、図5において、図1と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明を省略する。
本実施の形態では、上記実施の形態1の図1における重み付け加算平均処理部22の部分を、実質的に積分処理部21の前段に入れ換え配置した場合である。
図5において、直流オフセット処理手段2Aは、ロールレートセンサ1からのロールレートRrに対して重み付け加算平均処理を行ってその超低周波オフセット(以下、直流オフセットと称する)成分を除去する重み付け加算平均処理部22と、重み付け加算平均処理部22からの出力信号Rr1を積分処理する積分処理部21と、ロールレートセンサ1からのロールレートRrまたは破線aで示す積分処理部21からの出力信号Raのレベルを判定し、重み付け加算平均処理部22の作動/休止を制御するロールレート判定部23とを備える。
図6は、この発明の実施の形態3による計測信号の積分処理装置の構成を示すブロック図である。なお、図6において、図1と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明を省略する。
本実施の形態では、ロールレートセンサ1のロールレートRrの直流オフセットドリフトが大きい場合は、このロールレートRrの直流オフセット成分に対しても、直流オフセット除去を行うもので、ロールレートRrの信号から直流オフセット成分を除去し、直流オフセット除去後のロールレートRr1の信号を求め、この直流オフセット除去後のロールレートRr1に対して、上記実施の形態1と同様の処理を行うものである。
この直流オフセット処理手段4は、ロールレートセンサ1からのロールレートRrに対して重み付け加算平均処理を行ってその直流オフセット成分を除去する重み付け加算平均処理部41と、ロールレートセンサ1からのロールレートRrのレベルを判定し、重み付け加算平均処理部41の作動/休止を制御するロールレート判定部42とを備える。その他の構成は、図1の場合と同様である。
先ず、図7は、直流オフセット処理手段4および直流オフセット処理手段2における直流オフセット処理の仕方を示しており、ロールレートセンサ1からのロールレートRrを直流オフセット処理手段4の重み付け加算平均処理部41に供給する。一方、ロールレートセンサ1からのロールレートRrはロールレート判定部42にも供給され、ロールレート判定部42は、ロールレートRrの値、つまり走行中の車両のゆれが閾値値mより小さいか否かを判別し、ロールレートRrの値が所定の値mより小さいときに重み付け加算平均処理部41を作動して直流オフセット処理機能を起動させる。
図8は、この発明の実施の形態4による計測信号の積分処理装置の構成を具体的に示すブロック図である。なお、図8において、図6と対応する部分には同一符号を付し、その詳細説明を省略する。
本実施の形態では、一例として、図6における重み付け加算平均処理部41、積分処理部21および重み付け加算平均処理部22の具体例を示すものである。
図8において、重み付け加算平均処理部41は、ロールレートセンサ1からのロールレートRr、即ちロールレートセンサ1の出力信号Vi(t)から後述の参照信号を減算する減算器41aと、この減算器41aからのロールレートRrが所定の値m(deg/sec)より小さいか否かを判別するロールレート比較判定部41bと、ロールレートRrが閾値mより小さい場合、つまり直流オフセット除去機能の作動時に、重み係数kの値N1に設定し、ロールレートRrが閾値mより大きい場合、つまり直流オフセット除去機能の休止時に、重み係数kの値を0に設定する重み係数設定部41cと、重み係数設定部41cの出力と後述のシフトレジスタ41eの出力Vref(t−1)を加算し、その出力側に参照信号Vref(t)として出力する加算器41dと、加算器41dの出力である参照信号Vref(t)のデータのサンプル数tを1つずつシフトし、参照信号Vref(t−1)として減算器41aおよび加算器41dに入力するシフトレジスタ41eとを備える。
先ず、重み付け加算平均処理部41においては、減算器41aでロールレートセンサ1からのロールレートRrから加算器41dよりシフトレジスタ41eを介して入力される参照信号が減算されてロールレート比較判定部41bに供給され、ロールレート比較判定部41bで減算器41aからのロールレートRrが閾値m(deg/sec)より小さいか否かを判別し、その判別結果に基づいて重み係数設定部41cでは、ロールレートRrが閾値mより小さい場合、つまり直流オフセット除去機能の作動時に、重み係数kの値N1に設定し、ロールレートRrが閾値mより大きい場合、つまり直流オフセット除去機能の休止時に、重み係数kの値を0に設定する。
減算器21dでは、加算器21bの出力から重み付け加算平均処理部22の出力、即ち加算器22dからの参照信号Vref(t)を減算し、その出力側に傾斜角度Raとして出力する。
Vref(t)=(1−k)Vref(t−1)+kVi(t)
=Vref(t−1)+k(Vi(t)−Vref(t−1))
・・・・(1)
Vo(t)=Vi(t)−Vref ・・・・(2)
k=2 −12 =0.00024414
k=2 −9 =0.0019531
k=2 −6 =0.015625
k=2 −5 =0.03125
k=2 −4 =0.0625
k=2 −3 =0.125
従って、重み係数kの値Nを、直流オフセット除去機能の作動時に、上記のように変えることによって、計測信号を0点を中心とした信号波形とすることができ、直流オフセット分が除去されて、計測の精度を向上することができる。
本実施の形態では、IG・ON直後でロールレートRrが一定閾値以下の場合のみ、重み係数kの値を大きくし、ロールレートセンサ1からのロールレートRrの直流オフセット成分を早期に除去し、その後は重み係数kの値を小さく設定し緩やかに直流オフセット成分を除去する。なお、その回路構成については、例えば図8と同様のものを用いてよく、従って、ここではその記載を省略している。
Claims (4)
- 車両のロールレートを検出するロールレート検出手段と、
該ロールレート検出手段の検出出力を積分処理する積分処理部、該積分処理部からの出力信号に対して重み付け加算平均処理を行ってその直流オフセット成分を除去する重み付け加算平均処理部、及び、上記ロールレート検出手段からのロールレートのレベルを判定し、上記重み付け加算平均処理部の作動/休止を制御するロールレート判定部により、車両の傾斜角度に重畳する直流オフセット成分または積分処理の発散現象を除去し、該車両の静的な傾斜角度を出力する直流オフセット処理手段と、
該直流オフセット処理手段の出力に基づき、傾斜路からの車両の発進時に対応して、該車両の静的な傾斜角度を補正する傾斜角度補正手段と
を備えた計測信号の積分処理装置。 - 傾斜角度補正手段は、車両の車速を監視し一定時間の停車・走行あるいはイグニッションスイッチのON/OFFを判定する車両動作判定部と、
該車両動作判定部からの出力が停車またはイグニッションスイッチのOFFを表す場合にそのときの重み付け加算平均処理部の出力側に得られる傾斜角度を記憶する記憶部と、
上記車両動作判定部の出力に応答してイグニッションスイッチのONまたは車両の発進時に、上記記憶部で記憶しておいた傾斜角度を積分処理部に設定する傾斜角度設定部とを備えた請求項1記載の計測信号の積分処理装置。 - 車両のロールレートを検出するロールレート検出手段と、
上記ロールレート検出手段で検出されたロールレートに対して重み付け加算平均処理を行ってその直流オフセット成分を除去する重み付け加算平均処理部、上記加算平均処理部の出力を積分処理する積分処理部、及び、上記ロールレート検出手段からのロールレートのレベルを判定し、上記重み付け加算平均処理部の作動/休止を制御するロールレート判定部により、車両の傾斜角度に重畳する直流オフセット成分または積分処理の発散現象を除去し、該車両の静的な傾斜角度を出力する直流オフセット処理手段と、
該直流オフセット処理手段の出力に基づき、傾斜路からの車両の発進時に対応して、該車両の静的な傾斜角度を補正する傾斜角度補正手段と
を備えた計測信号の積分処理装置。 - 傾斜角度補正手段は、車両の車速を監視し一定時間の停車・走行あるいはイグニッションスイッチのON/OFFを判定する車両動作判定部と、該車両動作判定部からの出力が停車またはイグニッションスイッチのOFFを表す場合にそのときの積算処理部の出力側に得られる傾斜角度を記憶する記憶部と、上記車両動作判定部の出力に応答してイグニッションスイッチのONまたは車両の発進時に、上記記憶部で記憶しておいた傾斜角度を積分処理部に設定する傾斜角度設定部とを備えた請求項3記載の計測信号の積分処理装置。
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