JP3924117B2 - 屋根瓦 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の屋根を葺く屋根瓦の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般の屋根瓦はスレート系材料や陶器系材料にて形成されている。そして屋根面に屋根瓦を葺く場合には、軒先側から順に棟側に向けて葺かれるように施工されるが、このとき屋根瓦の非曝露部である棟側の端部が屋根面に釘、ビス等の固着具にて固着している。ところが、このように屋根瓦の棟側を固着具で固着しているだけのために台風等の強風時に吹き上げを防ぐことができず、破損や屋根面からの剥離が起きる。強風に耐える軒側の固定には屋根瓦の曝露部の表面より直接釘、ビス等の固着具を打入して止める方法も用いられることがあるが、外観を損ねると共に固着具を打入する位置に開口した穴より雨水が入る等の問題を残している。また屋根瓦の瓦面に浸水防止用のリブや溝を配したものもあるが、風雨環境下では浸水防止の効果が少なく、雨水が風により逆流して重ね合わせ部分から浸水して家屋の雨漏れに繋がることがある。
【0003】
本発明は叙述の点に鑑みてなされたものであって、強風時にも吹き上がらないように強固に取り付けることができると共に雨水が浸入して雨漏りを発生するおそれのない屋根瓦を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の屋根瓦Aは、略平板状の屋根瓦本体1の軒側の端部に屋根瓦本体1に対して略垂直に垂下縁2を垂下し、屋根瓦本体1の棟側の端部を釘、ビス等の固着具3の打入で固定する固定片4とし、屋根瓦本体1の軒側の下面に先端程棟側に行くように傾斜せる一対の後傾斜リブ5,6を略平行に突設すると共に一対の後傾斜リブ5,6間に差し込み溝7を形成し、屋根瓦本体1の棟側の上面に先端程軒側に行くように傾斜し且つ上記差し込み溝7に差し込み係止し得る前傾斜リブ8を突設して成ることを特徴とする。屋根瓦Aを屋根面9に葺く場合、軒側から棟側に向けて順に葺いて行くが、屋根瓦Aは棟側の固定片4が釘、ビス等の固着具3を打入することにより屋根面9に固定される。また軒棟方向に隣り合う屋根瓦A間では軒側に位置する屋根瓦Aの棟側の上面に棟側に位置する屋根瓦Aの軒側が重ねられる。このとき棟側に位置する屋根瓦Aの垂下縁2の下端が軒側の屋根瓦Aの上面に載置されると共に軒側に位置する屋根瓦Aの前傾斜リブ8が棟側に位置する屋根瓦Aの後傾斜リブ5,6間の差し込み溝7に差し込み接続される。このように軒側に位置する屋根瓦Aの前傾斜リブ8が棟側に位置する屋根瓦Aの後傾斜リブ5,6間の差し込み溝7に差し込み接続されることにより、棟側に重ねる屋根瓦Aの軒側が上に浮き上がらないように固定され、台風等の強風時における吹き上げを防ぐことができ、屋根瓦Aの破損や屋根面9からの剥離を防止でき、また屋根瓦Aの瓦面から固着具を打入するものでないので外観が悪くなったり、雨水が浸入したりするおそれがない。また垂下縁2で雨水の浸入が防止されると共に前傾斜リブ8や後傾斜リブ5,6にても確実に防水され雨水の浸入を確実に防止することができる。
【0005】
また上記一対の後傾斜リブ5,6のうち、棟側に位置する後傾斜リブ5の突出長さを他方の後傾斜リブ6より短くして成るので、棟側に位置する屋根瓦Aを重ねて一対の後傾斜リブ5,6間の差し込み溝7に前傾斜リブ8を差し込むとき棟側に位置する後傾斜リブ5が短くて差し込みやすくて施工性がよい。
【0006】
また垂下縁2の下端を係止し得る位置固定リブ10を前傾斜リブ8より軒側の位置で屋根瓦本体1の上面に突設して成ることを特徴とすることも好ましい。棟側に位置する屋根瓦Aを重ねるとき垂下縁2の下端を位置固定リブ10に係止させて位置固定できて施工性を向上できる。
【0007】
また防水リブ11を位置固定リブ10より棟側の位置で屋根瓦本体1の上面に突設して成ることを特徴とすることも好ましい。垂下縁2の下端と屋根瓦本体1の上面との間から雨水が浸入しても防水リブ11にて遮断できて一層雨水の浸入を確実に防止できる。
【0008】
また屋根瓦A全体を合成樹脂で一体に形成して成ることを特徴とすることも好ましい。屋根瓦Aを容易に成形できると共に屋根瓦Aが軽量で取り扱いしやすくなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
屋根瓦Aは本例の場合、図1や図2に示すように合成樹脂にて一体に形成されており、左右方向に長い大版サイズに形成されている。図1で矢印B方向が軒側で、矢印C方向は棟側である。この屋根瓦Aの屋根瓦本体1は左右に長い矩形の平板状に形成されており、屋根瓦本体1の軒側の端部には屋根瓦本体1に対して垂直方向に突出する垂下縁2を左右方向全長に亙って設けてあり、屋根瓦本体1の棟側の端部は釘、ビス等の固着具3で固着するための固定片4となっている。屋根瓦本体1の軒側の下面には一対の後傾斜リブ5,6を平行に突設してあり、一対の後傾斜リブ5,6間には2〜5mm程度の隙間を隔てることにより差し込み溝7を形成してある。かかる後傾斜リブ5,6は垂下縁2と平行でなく、先端程棟側に行くように傾斜している。本例の場合、一対の後傾斜リブ5,6は左右方向全長に亙って連続している。また本発明の場合、一対の後傾斜リブ5,6のうち棟側に位置する後傾斜リブ5を軒側に位置する後傾斜リブ6より突出長さを短くしてある。
【0010】
また屋根瓦本体1の上面の軒側の非曝露部には前傾斜リブ8を突設してあり、前傾斜リブ8が上記差し込み溝7に差し込み得るようになっている。この前傾斜リブ8は後傾斜リブ5,6と平行になるように傾斜している。本例の場合、前傾斜リブ8も左右方向全長に亙って連続している。また屋根瓦本体1の上面には前傾斜リブ8より軒側の位置で位置固定リブ10を突設してある。かかる位置固定リブ10が断面略半円状になっている。この位置固定リブ10より棟側の位置で屋根瓦本体1の上面には左右方向に亙るように防水リブ11を突設してある。かかる防水リブ11は断面略直角三角形状になっている。上記位置固定リブ10と防水リブ11との間には垂下縁2の厚さ程度の隙間を隔ててある。
【0011】
また屋根瓦本体1の上面の曝露部には軒棟方向に亙る凹条13を左右に等間隔に設けてある。また屋根瓦本体1の左右方向の一端には水切り機能のある重合部14を設けてあり、屋根瓦本体1の左右方向の他端には重合部14の上に重ね得る被重合部15を設けてある。
【0012】
上記のように構成せる屋根瓦Aは次のように屋根に葺かれる。屋根下地のような屋根面9の上に屋根瓦Aを葺くとき、軒側から棟側に向けて順次葺かれる。そして各屋根瓦Aの棟側の固定片4の上面から固定片4を介して屋根面9に釘、ビス等の固着具3を打入することで屋根面9に固定してある。軒棟方向に隣り合う屋根瓦Aの間では棟側に位置する屋根瓦Aの軒側が軒側に位置する屋根瓦Aの棟側の非曝露部の上面に重ねられる。このとき棟側に位置する屋根瓦Aの垂下縁2の下端が軒側に位置する屋根瓦Aの位置固定リブ10と防水リブ11との間に挿入され、垂下縁2の下端が位置固定リブ10に係止することで棟側に葺く屋根瓦Aの位置が位置決めされる。
【0013】
またこのとき棟側に位置する屋根瓦Aの後傾斜リブ5,6間の差し込み溝7に軒側の位置する屋根瓦Aの前傾斜リブ8が差し込まれる。これにより棟側に位置する屋根瓦Aの軒側が上に浮き上がらないように固定され、台風等の強風時に吹き上がるのを防止でき、屋根瓦Aの破損や屋根面9からの剥離を防止できる。つまり、図3の矢印Dのように風雨が吹き付けたとき図3のEの矢印のように風による吹き上げ力が働くが、差し込み溝7への前傾斜リブ8の係止にて屋根瓦Aが浮き上がることがない。また差し込み溝7への前傾斜リブ8の差し込みにて固定しているので瓦面から釘、ビス等の固着具を打入して固定するもののように外観が悪くならないと共に固着具を打入した部分から雨水が浸入しなく、また点検補修の実施の際には着脱を容易にできる。また図3の矢印Dのように風雨が吹き付けたとき垂下縁2の下端と屋根瓦Aの上面との間から雨水が浸入するおそれがあるが、例え浸入しても防水リブ11にて止水されてそれ以上浸入するのが防止される。またたとえ防水リブ11を越えても後傾斜リブ5,6と前傾斜リブ8との重なりにてそれ以上雨水が浸入するのが阻止され、雨水の浸入を確実に防止して雨漏りを防止できる。また後傾斜リブ5,6のうち棟側の後傾斜リブ5の方が軒側の後傾斜リブ6より短くなっていることにより、前傾斜リブ8を差し込み溝7に差し込むときに差し込みしやすくて施工性を向上できる。また左右方向に隣り合う屋根瓦Aの間では一方の屋根瓦Aの重合部14に他方の屋根瓦Aの被重合部15を重ねることにより接合される。
【0014】
なお、上記例では後傾斜リブ5,6や前傾斜リブ8を屋根瓦Aの左右方向の全長に亙って連続的に設けたものについて述べたが、雨水の浸入を防ぐために千鳥状に配した非連続でもよい。また上記例では上記後傾斜リブ5,6や前傾斜リブ8を一箇所に設けるものについて述べたが、固定を強固にし且つ雨水の浸入を防ぐために複数箇所に設けてもよい。
【0015】
【発明の効果】
本発明の請求項1の発明は略平板状の屋根瓦本体の軒側の端部に屋根瓦本体に対して略垂直に垂下縁を垂下し、屋根瓦本体の棟側の端部を釘、ビス等の固着具の打入で固定する固定片とし、屋根瓦本体の軒側の下面に先端程棟側に行くように傾斜せる一対の後傾斜リブを略平行に突設すると共に一対の後傾斜リブ間に差し込み溝を形成し、屋根瓦本体の棟側の上面に先端程軒側に行くように傾斜し且つ上記差し込み溝に差し込み係止し得る前傾斜リブを突設したので、屋根面に屋根瓦を葺いたとき棟側に位置する屋根瓦の垂下縁の下端が軒側の屋根瓦の上面に載置されると共に軒側に位置する屋根瓦の前傾斜リブが棟側に位置する屋根瓦の後傾斜リブ間の差し込み溝に差し込み接続されるものであって、棟側に重ねる屋根瓦の軒側が上に浮き上がらないように固定され、台風等の強風時における吹き上げを防ぐことができ、屋根瓦の破損や屋根面からの剥離を防止できるものであり、しかも屋根瓦の瓦面から固着具を打入するものでないので外観が悪くなったり、雨水が浸入したりするおそれがないものであり、また垂下縁で雨水の浸入が防止されると共に前傾斜リブや後傾斜リブにても確実に防水され雨水の浸入を確実に防止することができて雨漏りを確実に防止できるものである。
【0016】
また上記一対の後傾斜リブのうち、棟側に位置する後傾斜リブの突出長さを他方の後傾斜リブより短くしているので、棟側に位置する屋根瓦を重ねて一対の後傾斜リブ間の差し込み溝に前傾斜リブを差し込むとき棟側に位置する後傾斜リブが短くて差し込みやすく、施工性がよいものである。
【0017】
また本発明の請求項2の発明は、請求項1において、垂下縁の下端を係止し得る位置固定リブを前傾斜リブより軒側の位置で屋根瓦本体の上面に突設しているので、棟側に位置する屋根瓦を重ねるとき垂下縁の下端を位置固定リブに係止させて位置固定できて施工性を向上できるものである。
【0018】
また本発明の請求項3の発明は、請求項2において、防水リブを位置固定リブより棟側の位置で屋根瓦本体の上面に突設しているので、垂下縁の下端と屋根瓦本体の上面との間から雨水が浸入しても防水リブにて遮断できて一層雨水の浸入を確実に防止できるものである。
【0019】
また本発明の請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3において、全体を合成樹脂で一体に形成したので、屋根瓦を容易に成形できると共に屋根瓦が軽量で取り扱いしやすくなるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す一部切欠せる分解斜視図である。
【図2】同上の施工状態の断面図である。
【図3】同上の動作を説明する断面図である。
【符号の説明】
A 屋根瓦
1 屋根瓦本体
2 垂下縁
3 固着具
4 固定片
5 後傾斜リブ
6 後傾斜リブ
7 差し込み溝
8 前傾斜リブ
9 屋根面
10 位置固定リブ
11 防水リブ

Claims (4)

  1. 略平板状の屋根瓦本体の軒側の端部に屋根瓦本体に対して略垂直に垂下縁を垂下し、屋根瓦本体の棟側の端部を釘、ビス等の固着具の打入で固定する固定片とし、屋根瓦本体の軒側の下面に先端程棟側に行くように傾斜せる一対の後傾斜リブを略平行に突設すると共に一対の後傾斜リブのうち、棟側に位置する後傾斜リブの突出長さを他方の後傾斜リブより短くし、上記一対の後傾斜リブ間に差し込み溝を形成し、屋根瓦本体の棟側の上面に先端程軒側に行くように傾斜し且つ上記差し込み溝に差し込み係止し得る前傾斜リブを突設して成ることを特徴とする屋根瓦。
  2. 垂下縁の下端を係止し得る位置固定リブを前傾斜リブより軒側の位置で屋根瓦本体の上面に突設して成ることを特徴とする請求項1記載の屋根瓦。
  3. 防水リブを位置固定リブより棟側の位置で屋根瓦本体の上面に突設して成ることを特徴とする請求項2記載の屋根瓦。
  4. 全体を合成樹脂で一体に形成して成ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の屋根瓦。
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