JP3922834B2 - ガラス光学素子用成形型及び該成形型を用いたガラス光学素子の製造方法 - Google Patents

ガラス光学素子用成形型及び該成形型を用いたガラス光学素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガラス素材をプレス成形後に研削研磨が不要なレンズやプリズム等のガラス光学素子の精密プレス成形方法に関し、特に、プレス後の成形型に対するガラスの離型性を改善したガラス光学素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から光学用ガラス、特に光学レンズの成形方法として、軟化させたガラスをプレスして成形を行うプレス成形法が知られている。プレス成形法においては、ガラス素材を所定の温度(ガラスの粘度が107.5〜1011ポアズになる温度)まで加熱して軟化させ、又は溶融ガラスを該所定の温度になるように粘度調整して、上型及び下型を備えた成形型に供給する。次いで両型の成形面により該軟化させたガラス素材をプレスし、該成形面に沿った形状のガラスを成形する。そして、ガラスの温度がその転移点(約1013.4ポアズ)あるいはそれ以下になるまでその状態を維持して冷却を行い、その後、上型及び下型を相互に引き離して、プレス後のガラスを取り出せるようにする。
【0003】
前記ガラスのプレス成形法、特に凹面を有するガラスのプレス成形法においては、従来から前記プレス後の成形型の引き離し時におけるガラスの離型の問題が指摘されている。図11に示すように、プレス後のガラスの冷却の過程で、負圧の密閉空間Sが上型1とガラスGの間に生じることがある。これは、ガラスの線膨張係数が型のそれよりも大きく、従ってガラスが型の成形面に沿って相対的に収縮していくために引き起こされる。このような負圧の密閉空間Sが上型とガラスとの間に生じると、上型とガラスとの間の密着性が高まり、プレス後の型の引き離しの際に、ガラスが上型に一時的に又は永続的に貼り付くことがある。このため、後にガラスが上型から落下してその光学面が破損したり、又はガラスの搬送に支障を来すという問題がある。同様の問題は、周囲につば状の平面部を有する凸面ガラスの成形においても生じることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような問題に対処するために、従来幾つかの方法が提案されている。代表的な方法に、上型に貼り付いたガラスに物理的な力を作用させ、また成形型に振動を与えて離型を行う方法がある。しかしながら、この方法は、転移点程度の温度にあるガラスに物理的な力や振動が与えられるため、ガラスの面精度が損なわれたり、クラックを生じさせるなどの問題がある。
【0005】
また、型の引き離し時に、ガラスの周囲を減圧状態にする方法、ガラスの両面で曲率半径のきつい側を上型側にする方法などが知られている。しかしながら、前者の方法においては、周囲雰囲気を減圧させるための大掛かりな構造が必要となり、また後者の方法においては、該方法によって生成できるガラスの形状が限定されるなどの問題がある。
【0006】
更に、本発明者らにより、型の成形面に複数の窪みを形成し、プレス後のガラスの収縮時に、該窪みに対応する突起部分が該窪みを乗り越えることによって、型に対するガラスの離型を良好にするための技術が開示されている(特開平3−218932号公報)。しかしながら、前記方法においては、型の成形面に窪みを形成することが容易でなく、またその加工の出来具合によって、型の窪みがガラスの収縮の際の抵抗となり、該ガラスの部分に応力が集中してその面精度を歪めたり、クラックを生じさせたりすることがある。
【0007】
従って本発明の目的は、成形型の複雑な形状や複雑な装置構成を用いることなく、成形型に対する離型を良好に行い得る光学用ガラスのプレス成形方法を提供することにある。
【0008】
また本発明の別の目的は、成形型に対するガラスの離型の際に、ガラスの面精度を低下させたり、クラックを生じさせたりすることのない光学用ガラスのプレス成形方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のガラス光学素子用成形型は、相対向する成形面を有する上型及び下型を含み、前記成形面で軟化したガラス素材をプレスしてガラス光学素子を成形するための成形型であって、前記上型及び下型は、その成形面にそれぞれ前記ガラス光学素子の光学的機能面を形成するための光学的機能形成領域を有し、かつ、前記上型及び下型の成形面における前記光学的機能形成領域以外の領域には、前記光学的機能形成領域の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する粗面が各々形成されていて、前記上型の粗面におけるRmaxで表わされる凹凸の最大高さが、前記下型の粗面におけるRmaxにより表わされる凹凸の最大高さよりも大きいことを特徴とする。
【0010】
前記成形型を用いてガラス素材をプレスした場合、前記粗面が成形されるガラス光学素子の面に転写される。前記プレス後のガラス光学素子の収縮時に、前記転写された凹凸が成形型の粗面の凹凸を乗り上げ、その結果、型とガラス光学素子の間に外部と連通する僅かな隙間が形成される。この僅かな隙間から外気が成形型の成形面とガラスの間へ入ることが可能となり、成形型に対するガラスの離型が良好となる。この場合において、前記粗面は所定の範囲をもって成形面上に形成されているので、前記ガラスの収縮時においてガラス光学素子の一点に応力が生じることが回避され、該応力に起因するクラックやガラス面の歪みを防ぐことができる。
【0011】
また、ガラス光学素子用成形型は、前記上型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に形成された粗面が、最大高さRmax0.1μm以上の粗面であるのが好ましい。
【0012】
また、前記上型の成形面が、成形しようとするガラス光学素子の光軸に対して垂直な平面を含んでいるのが好ましい。
【0013】
また、前記上型の成形面における光学的機能形成領域が、凸面であることが好ましい。
【0014】
また、前記下型成形面における光学的機能形成領域以外の領域に形成された粗面が、最大高さRmax0.1μm以下の粗面あることが好ましい。
【0015】
更に、前記上型及び/又は下型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に形成された粗面を、プレス成形されたガラスの除去される外周部分と対応する位置に形成することが好ましい。
【0016】
また、本発明のガラス光学素子の製造方法は、相対向する成形面を有する上型及び下型を含む成形型で、ガラス素材をプレス成形することによりガラス光学素子を製造する方法であって、前記上型及び下型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に、前記光学的機能形成領域の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する粗面が各々形成され、かつ、前記上型の粗面におけるRmaxで表わされる凹凸の最大高さが、前記下型の粗面におけるRmaxにより表わされる凹凸の最大高さよりも大きい成形型を用いて、前記ガラス素材のプレス成形を行い、前記ガラス素材に前記光学的機能形成領域及び前記粗面の凹凸に対応した凹凸を転写する工程、前記プレス成形後、前記成形型及びガラスを冷却する工程、冷却後、前記上型と下型とを相対的に引き離す工程、前記成形されたガラスを下型の成形面上から取り出す工程を含む方法としてある。
【0017】
また、本発明のガラス光学素子の製造方法は、前記上型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に、最大高さがRmax0.1μm以上の粗面が形成されていることが好ましい。
【0018】
また、前記下型成形面における光学的機能形成領域以外の領域に、最大高さRmax0.1μm以下の粗面が形成されていることが好ましい。
【0019】
また、前記上型の成形面が、成形しようとするガラス光学素子の光軸に対して垂直な平面を含むことが好ましい。
【0020】
また、前記上型の成形面における光学的機能形成領域が、凸面であることが好ましい。
【0021】
また、前記上型及び/または下型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に形成された粗面が、プレス成形されたガラスの除去される外周部分と対応する位置に形成してあることが好ましい。
【0022】
また、前記上型及び下型の成形面を相対的に引き離す工程は、前記プレス後のガラスの温度が、粘度1012ポアズに相当する温度よりも低く、該ガラスのガラス転移点の温度−50℃よりも高い温度にあるときに行われることが好ましい。
【0023】
更に、粗面転写部分を除去する工程を含むことが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に沿って説明する。以下に示す実施形態では、メニスカスレンズ成形用の型を用いた光学レンズの成形方法に沿って本発明を説明する。図1は、本発明が適用される成形型の側断面図を示している。図に示すように、成形型10は、図示しないプレス機に設置されることによって対向配置された、上型11及び下型12を備える。前記上型11及び下型12間に、ガラスプリフォーム、すなわちプレス成形のために予備成形したガラス素材を配置し、両型の成形面11a及び12aでこれをプレスすることによって、所望の形状の光学レンズを得る。プレス成形後、レンズは成形型10から取り出され、芯取りを行うためにその外周端が切削される。
【0025】
前記上型11及び下型12は、相互に対向する成形面11a、12aをそれぞれ有している。上型の成形面11aは凸面に成形され、下型の成形面12aは凹面に形成され、これら成形面を用いてプレスを行うことにより、該形状に沿ったメニスカスレンズが形成される。面精度の高いメニスカスレンズを成形するため、前記成形面11a及び12aは、高度に精密加工されている。ダイヤモンド砥石による粗研削及び精研削の後、仕上げ研磨を施すことにより、これらの成形面を平滑な光学鏡面に仕上げることができる。本発明では、仕上げ加工ののち所定部分を粗らしたり、又は、粗研削若しくは粗研削ののち、光学的機能形成領域のみその後の工程(精研削、仕上げ研磨)を行うことができる。なお、本発明の実施に関し、成形型10の材料は特に限定されない。超硬合金を基盤とし成形面に貴金属合金や窒化チタンなどの薄膜を設けたもの、炭化ケイ素や超硬合金を基盤とし硬質炭素やダイヤモンドライクカーボンなどの炭素系薄膜を設けたものなどを採用することができる。
【0026】
本発明において、前記成形型のうち上型11の成形面11aには、粗面20が形成される。ここで、成形面とは、ガラスに形状を転写することを予定されている面をいう。図2には、上型の成形面を平面的に見た様子を示しており、ここに成形面11aに対する粗面20の領域が明瞭に示されている。また、図3及び図4は、ガラスプレス後の状態における成形型10の側断面図及びその要部拡大図であり、ここに、プレスされたガラスGに対する前記粗面20の対応位置関係が示されている。以下、これらの図に沿って、上型の成形面の詳細について説明する。
【0027】
これら図に示すように、上型11の成形面11aには、その周囲に沿って環状に粗面20が形成されている。粗面20は、成形面11aの周端部から内側の所定の領域まで形成されるが、成形面における前記粗面20の配置は、プレス後のレンズGの諸寸法との関係で決定することができる。すなわち、図3に示すように、光学レンズGでは、その中心から所定の範囲が、有効径rで示された光学的に機能する領域とされ、粗面20は、これに対応する成形面11a上の領域(以下、光学的機能形成領域という)の外側に形成されている。従って、プレスによってレンズ側に転写される粗面20の凹凸は、光学的機能面に影響を与えることはない。また、光学的機能形成領域以外の領域全体に粗面を形成する必要はなく、その配置形状も前記環状のほか、ブロック状や、成形面中心から放射状に位置する島状に点在させるなど適宜選択することができる。なお、図中の芯取り後レンズ外径Kは、芯取りのための切削を行った後のレンズの外径寸法を示している。
なお、図3に示す例では、上型の成形面において、レンズの有効径より外側に対応する領域に粗面を形成したが、図9に示すように、レンズの芯取り後のレンズ外径より外側に対応する位置に粗面20を形成してもよい。
【0028】
前記粗面20は、仕上げ研磨後の成形面11aの周囲部分を、粒度の大きいダイヤモンド砥石などで加工することによって形成することができる。また、成形面の製造工程において、その周囲部分について精研削又は最終の仕上げ研磨を行わないことによって、前記粗面を形成しても良い。このとき、粗面の凹凸形状は特に限定されず、島状であってもすじ状であっても良い。好ましい実施態様において、前記成形面の光学的機能形成領域の表面粗さRmaxは0.03μm以下であるが、必要とされる光学特性に応じて、0.015μm、さらには0.007μm以下とすることができる。
【0029】
また、粗面とは、同一成形面における光学的機能形成領域の表面粗さRmaxよりも大きい表面粗さRmaxを有する面をいうが、Rmax0.1μmを超えることが好ましく、特に、Rmax0.2μm以上がより好ましい。前記粗面の具体的な作用については、次の成形手順の項において説明する。
【0030】
次に、前記成形型を用いた本発明に係る光学レンズの成形の手順について説明する。図5〜図7は、本発明の一実施形態に係るプレス成形の手順を示す工程図である。プレスの工程に先立って、成形型10及び供給されるガラスプリフォームは、非酸化性雰囲気中で、所定の温度、例えばガラスプリフォームの軟化点近傍に予熱される。一つの実施例で、成形型10を、供給されるガラスプリフォームの温度よりも低い温度、すなわち非等温に予熱することができる(例えば、ガラスをその粘度が10ポアズとなる温度に予熱する場合に、ガラスの粘度が10ポアズとなるに必要な温度に成形型を予熱する)。もっとも、成形型をガラスプリフォームと等温に予熱する場合でも、本発明は好適に利用される。
【0031】
成形の最初の工程で、上型11に対し離間させた下型12の成形面12a上に、前記予熱したガラスプリフォームGを供給する(図5)。好適には、ガラスプリフォームGを気流で浮かせて搬送する図示しない浮上皿を用いることができる。ここで、供給されるガラスプリフォームGのガラス組成は、成形するガラスの種類や用途、化学的耐久性、熱膨張係数、成形型の材料との関係等を考慮して決定される。また、ガラスプリフォームとして、球、円板又は球面又は非球面を有する扁平な球形状その他の形状が採用され、冷間研磨又は熱間成形したものが採用される。このようなガラスプリフォームの種類や製法に拘わらず、本発明のプレス成形方法が適用可能なことは当業者であれば明らかであろう。
【0032】
次に、上型11に対し下型12を相対的に上昇させて(もちろん上型11を下降させる構成のものであっても良い)、下型の成形面12a上に供給されたガラスプリフォームGを所定圧力(例えば、100Kg/cm)でプレスする(図6)。成形面間の距離やプレスの圧力は、必要とされる光学ガラスの形状に従って決定される。該プレスにより、ガラスプリフォームGは、図示のように、両成形面に沿って圧延され、所望の形状となる(以下、プレス後のものを成形されたガラスという)。ここで、上型の成形面11aの周囲には、上述したように粗面20が形成されていることに留意すべきである。前記プレスによるガラスプリフォームGの変形により、レンズの周囲は該粗面20を形成した成形面の領域に至り、従って成形されたガラスの周囲表面に、粗面の凹凸に対応した凹凸が転写されることとなる。
【0033】
前記成形型によるプレスは所定時間維持され、この間、成形型10及び成形されたガラスGは冷却される。このとき、成形型及びガラスの冷却は、プレス成形開始前から、またはプレス成形開始と同時に、またはプレス開始後に開始することができる。本発明の作用に関連して、この冷却工程は、成形型10と成形されたガラスGとの線膨張係数差によって、前記粗面20の凹凸と前記成形されたガラスGに転写された凹凸とが位置ずれを起こすように行われる。かかる位置ずれは、プレス中、特にプレス圧が減圧されたときに生じる場合、プレス圧を解除したときに生じる場合、またはプレス圧解除後の前記引き離し工程の開始のとき、さらに下型にあっては引き離し工程中に生じる場合、または成形されたガラスの取り出しと同じに生じる場合を含む。
【0034】
上型及び下型を相対的に引き離す工程は、成形されたガラスの粘度が1012ポアズ以上の粘度にまで冷却された後に行うことが好ましい。一方、成形されたガラスが(Tg−50)℃よりも低くなるまで冷却した後に離型を行うと、成形のサイクルタイムが長くなり生産性が低下するため、(Tg−50)℃よりも高い温度で引き離しを行うことが好ましい。従って、引き離しは、(Tg−50)℃〜1012ポアズに相当する温度が好ましく、(Tg−30)℃〜1012ポアズに相当する温度がより好ましい。発明者らの実験により、これ以下の粘度又はその粘度を得るに相応する温度以上の温度で離型を行った場合は、成形されたガラスの面精度が十分でないことがある。
【0035】
そして、位置ずれが生じるように冷却した後に、すなわち、ガラスと型が位置ずれを生じた後に、又は生じる状態になった後に、下型12を下降させて型同士を引き離す(図7)。ここで、ガラスと成形型とが位置ずれを生じる状態とは、プレス圧を減圧または解除されたとき、または成形されたガラスが離型されたときに、位置ずれを生じるような状態であることをいう。この際、引き離し開始時点では前記粗面の作用により位置ずれが生じて、少なくともこの部分においてはオプティカルコンタクト状態が解除されているので、上型11の成形面11aに対する成形されたガラスGの離型が良好に行われる。このことを図8に沿って概念的に説明する。同図(A)は、成形面11a上の粗面20付近における、プレス直後の成形面11aと成形されたガラスGとの関係を示し、同図(B)は、冷却の工程により、成形されたガラスGが上型の11に対し相対的に収縮した後の状態を示している。同図(A)に示すように、粗面20の凹凸は、プレスの際に成形されたガラスGの表面に転写される。冷却により成形されたガラスGの粘度が増すので、転写された凹凸の形状は維持されるが、型と成形されたガラスの線膨張係数差による相対的な成形されたガラスGの収縮又は膨張により、成形されたガラスGの周囲は中心部に向かって移動するとともに、成形されたガラスGの凹凸が成形面11aの凹凸を乗り上げ、成形されたガラスと成形面の間に隙間が生じる。かかる隙間の生じる現象を位置ずれという。該隙間は、成形されたガラスGの中央付近と成形面11aとの間への気体の流れ込みを可能とし、該凹凸部分におけるガラスと型のオプティカルコンタクト状態が解除され、成形されたガラスGの型に対する離型が良好となる。このとき、上型の光学的機能形成領域以外の部分のRmaxが下型の光学的機能形成領域以外の部分のRmaxよりも大きいことにより、位置ずれを生じる際のガラスと成形面の隙間が上型の方が大きくなり、ガラスと型の密着性は、上型の方が小さくできる。従って、位置ずれを生じるようにガラスと成形型とを冷却することが好ましい。
【0036】
このように、上型と下型との引き離し工程において、成形されたガラスが上型に貼り付くのを防止するために、上型には、前記粗面を形成するこのとき、対向する下型に粗面を形成することにより、下型から成形されたガラスを取り出すときの離型性が向上する。
【0037】
ただし、上型と下型との引き離し工程において上型に成形されたガラスが貼り付くのを防止するためには、上型とガラスとの離型性を下型とガラスとのそれよりも高めるほうが有利であるため、上型に形成する粗面を下型に形成する粗面よりも表面粗さRmaxを大きくすることが重要である。また、例えば、好ましい実施形態としては、下型に表面粗さRmax0.1μm以下の前記粗面を形成したときに、上型に表面粗さRmax0.2μm以上の前記粗面を形成する場合挙げられる。
【0038】
また、前記粗面の表面粗さRmaxに拘わらず、上型及び下型の引き離し工程の開始時においては上型とガラスの間にのみ位置ずれが生じており、かつ、下型から成形されたガラスを取り出す工程の開始時においては下型とガラスの間に位置ずれが生じているように前記冷却工程を行っても良い。
【0039】
下型12上の成形されたガラスGは、図示しない吸着パッドによって吸着され、成形型10より搬出される。ここで、本発明は、成形されたガラスを取り出す型が下型である場合に限られず、例えば、ガラス素材を光軸が水平となるように配置した左右の成形型でプレス成形し、成形されたガラスの取り出しを左右何れかの決められたほうの成形型から行う光学素子のプレス成形方法にも適用される。搬出された成形されたガラスGは、後の工程で、芯取りを行うためにその外周端が切削される。本実施形態においては、成形されたガラスに転写された粗面の凹凸は、前記芯取り後もその一部が周囲に残るが、これは、成形されたガラスの有効径よりも外側にあるので、その光学的機能に支障を来すことがない。
【0049】
以上、本発明の一実施形態を図面に沿って説明した。しかしながら本発明は前記実施形態に示した事項に限定されず、特許請求の範囲の記載に基いてその変更、改良等が可能であることは明らかである。また、本発明の方法は、プレス成形後に芯取りの必要がない、マイクロレンズの成形においても用いることができる。また、上型に対するガラスの離型を改善するための他の周知の方法を本発明と併用することもできる。
【0049】
また、本発明のプレス成形方法に従って、図10に示すような、周辺に平面部30を有する両凸レンズを成形することもできる。平面部30は、光学系への組み込みの際の保持部分として機能される。従来、このような形状のレンズをプレス成形する場合においても、レンズの収縮時にこの平面部が成形面側に密着しているので、その離型性が悪かった。
【0050】
【発明の効果】
以上の如く本発明によれば、プレス成形によってガラスには、成形型に形成した粗面の凹凸を概ね転写され、この凹凸がプレス後のガラスの収縮時に型側の凹凸を乗り上げるために、型の成形面とガラスの間に僅かな隙間が形成され、ここから気体が型とガラスの間に流入する。この結果、ガラスは成形型に密着することなく、容易に離型される。
【0051】
前記粗面は、型の成形面の所定範囲に亘って形成されているために、これがガラスの一点に応力を生じさせたりすることがなく、クラックや面精度の低下を引き起こすことがない。
【0052】
また、本発明によれば、レンズがTg−50℃以上であっても型の引き離し時に良好に離型がなされるので、短いサイクルで支障なく光学ガラスの成形を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明が適用される成形型の側断面図である。
【図2】 本発明に係る上型の成形面を平面的に見た図である。
【図3】 ガラスプレス後の状態における成形型の側断面図である。
【図4】 図3の要部拡大図である。
【図5】 本発明の一実施形態に係るプレス成形の手順を示す工程図である。
【図6】 本発明の一実施形態に係るプレス成形の手順を示す工程図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るプレス成形の手順を示す工程図である。
【図8】 粗面による作用を説明するための図である。
【図9】 芯取り後のレンズ外径より外側に対応する位置に粗面を形成した成形型による成形の過程を説明するための本発明の一実施形態に係る側断面図である。
【図10】 周辺に平面部を有する両凸レンズを成形するための本発明の一実施形態に係る側断面図である。
【図11】 従来の問題点を説明するための型とガラスの関係を示した断面図である。
【符号の説明】
G ガラスプリフォーム
10 成形型
11 上型
11a、12a 成形面
12 下型
20 粗面
30 平面部

Claims (14)

  1. 相対向する成形面を有する上型及び下型を含み、前記成形面で軟化したガラス素材をプレスしてガラス光学素子を成形するための成形型であって、
    前記上型及び下型は、その成形面にそれぞれ前記ガラス光学素子の光学的機能面を形成するための光学的機能形成領域を有し、
    かつ、前記上型及び下型の成形面における前記光学的機能形成領域以外の領域には、前記光学的機能形成領域の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する粗面が各々形成されていて、前記上型の粗面におけるRmaxで表わされる凹凸の最大高さが、前記下型の粗面におけるRmaxにより表わされる凹凸の最大高さよりも大きいことを特徴とするガラス光学素子用成形型。
  2. 前記上型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に形成された粗面が、最大高さRmax0.1μm以上の粗面であることを特徴とする請求項1に記載のガラス光学素子用成形型。
  3. 前記上型の成形面が、成形しようとするガラス光学素子の光軸に対して垂直な平面を含むことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のガラス光学素子用成形型。
  4. 前記上型の成形面における光学的機能形成領域が、凸面であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス光学素子用成形型。
  5. 前記下型成形面における光学的機能形成領域以外の領域に形成された粗面が、最大高さRmax0.1μm以下の粗面であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス光学素子用成形型。
  6. 前記上型及び/又は下型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に形成された粗面が、プレス成形されたガラスの除去される外周部分に対応する位置に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラス光学素子用成形型。
  7. 相対向する成形面を有する上型及び下型を含む成形型で、ガラス素材をプレス成形することによりガラス光学素子を製造する方法であって、
    前記上型及び下型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に、前記光学的機能形成領域の表面粗さよりも大きい表面粗さを有する粗面が各々形成され、かつ、前記上型の粗面におけるRmaxで表わされる凹凸の最大高さが、前記下型の粗面におけるRmaxにより表わされる凹凸の最大高さよりも大きい成形型を用いて、前記ガラス素材のプレス成形を行い、前記ガラス素材に前記光学的機能形成領域及び前記粗面の凹凸に対応した凹凸を転写する工程、
    前記プレス成形後、前記成形型及びガラスを冷却する工程、
    冷却後、前記上型と下型とを相対的に引き離す工程、
    前記成形されたガラスを下型の成形面上から取り出す工程
    を含むことを特徴とするガラス光学素子の製造方法。
  8. 前記上型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に、最大高さRmax0.1μm以上の粗面が形成されていることを特徴とする請求項7に記載のガラス光学素子の製造方法。
  9. 前記下型成形面における光学的機能形成領域以外の領域に、最大高さRmax0.1μm以下の粗面が形成されていることを特徴とする請求項7〜8のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  10. 前記上型の成形面が、成形しようとするガラス光学素子の光軸に対して垂直な平面を含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  11. 前記上型の成形面における光学的機能形成領域が凸面であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  12. 前記上型及び/または下型の成形面における光学的機能形成領域以外の領域に形成された粗面が、プレス成形されたガラスの除去される外周部分に対応する位置に形成してあることを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  13. 前記上型及び下型の成形面を相対的に引き離す工程は、前記プレス後のガラスの温度が、粘度1012ポアズに相当する温度よりも低く、該ガラスのガラス転移点の温度−50℃よりも高い温度にあるときに行われることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
  14. 粗面転写部分を除去する工程を行うことを特徴とする請求項7〜13のいずれか1項に記載のガラス光学素子の製造方法。
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