JP3922486B2 - 移植用角膜の観察装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は移植用角膜コンテナ、所謂サンプル瓶といわれる瓶中に、薬液と共に収納された移植用角膜をそのままの状態で鏡面反射法顕微鏡により底部から観察、撮影又は計測するための移植用角膜の観察装置に関するもので、さらにミラーやカメラその他の光学系位置決め補助手段を設けて、移植用角膜コンテナ内の角膜を的確に観察できるよう透明容器の位置調整をし易くした移植用角膜の観察装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から移植用角膜の厚み、細胞の大きさや状態を観察し、撮影又は計測するためには、サンプル瓶中に薬液と共に収納されている角膜を瓶から取り出して、顕微鏡の光軸上に載置できる角膜専用容器の中に移し替えるのが普通である。これは上記サンプル瓶が元来角膜の安全な搬送や保存を目的とするものであり、それぞれ大きさを異にし、底部から観察するように作製されたものではなく、サンプル瓶の底部の厚みが一様でなく、平面度も一定していないので、そのままでは顕微鏡による観察に不向きであることに由来する。
【０００３】
これに対して角膜専用容器は、表面の平面度が良く、サンプル瓶から取り出された角膜を、薬液を入れた容器の中央で安定して支持できると共に蓋を閉じる際に気泡を排除し、前記薬液を入れた容器を通して顕微鏡で精密に観察できるようにしたものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようにサンプル瓶から角膜だけを角膜専用容器へ移し替えて観察、撮影又は計測するには、サンプル瓶の開放と角膜の取出、専用容器への移し替え、適正位置への設置等を必要とし、その間に角膜を損傷したり、汚染する危険性があり、手間もかかるという難点があった。
【０００５】
本発明の目的は、上記のような難点を解消し、移植用角膜コンテナ、所謂サンプル瓶をそのまま透明容器に収納でき、サンプル瓶の底部に平面度の差やばらつきがあっても、これを軽減して正確な角膜内皮細胞及び角膜上皮細胞の状態や角膜の厚み等を、鏡面反射法顕微鏡で透明容器の底部を介して観察、撮影又は計測することができる移植用角膜の観察装置を提供し、さらに顕微鏡による観察に先立ち、透明容器の底部からの観察部の位置決めを容易にできるようにして、サンプル瓶内の角膜の観察を的確にできる移植用角膜の観察装置を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は第１発明では、移植用角膜コンテナを収容し、底部の平面度が良く、液体を注入した透明容器と、この透明容器を保持又は一体化した保持台と、この保持台を回動自在に支持した受台と、鏡面反射法顕微鏡とを備えた移植用角膜の観察装置とした。
【０００７】
第２発明では、液体を注入した透明容器の底部と移植用角膜コンテナの底部との間に液体が流通できるように前記透明容器の底部に間隔板を付設した。
第３発明では、保持台が移植用角膜コンテナ内の角膜の曲率中心（Ｏ）付近を中心として回動するように設けた。
第４発明では、受台に移植用角膜コンテナ内の角膜の光軸（Ｘ）と鏡面反射法顕微鏡の光軸（Ｙ）とが一致するように上下前後左右に移動できる調整機構を設けた。
【０００８】
第５発明では、上下方向の調整機構が角膜の屈折率に基づいて移動量を読み取れる表示手段を設けた。
第６発明では、第１発明の構成に加えて、前記透明容器の底部からの顕微鏡による観察部を位置決めするためのミラーその他の光学系位置決め補助手段を設けた。
【０００９】
(作用)
第１発明では、移植用角膜コンテナをそのまま収容した透明容器を設け、この透明容器は底部の平面度が良く、液体が注入されている。従って、顕微鏡による底面からの観察時に、移植用角膜コンテナの平面度の不揃いを原因とする光の屈折の歪みを水の層を通すことにより、軽減できるようになった。保持台は、受台上で回動自在に支持されているので、透明容器が保持台を介して自在に回動でき、角膜の曲率中心と光軸を容易に一致するよう調整でき鏡面反射法顕微鏡による観察がし易くなった。
【００１０】
第２発明では、液体を注入する透明容器の底部と移植用角膜コンテナの底部との間に液体が流通できる間隔板を付設したので、透明容器の底部に水の層が確実に構成され気泡が残らないようになっている。
第３発明では、保持台が移植用角膜コンテナ内の角膜の曲率中心（Ｏ）付近を中心として、受台上で回動するように設けたので、角膜内皮細胞及び角膜上皮細胞の観察に当たり、調整が容易にできる。又回動により、角膜の観察部位を変えたとき、上下前後左右方向への移動調整が少なくてすむようになる。
【００１１】
第４発明では、受台に移植用角膜コンテナ内の角膜の光軸（Ｘ）と鏡面反射法顕微鏡の光軸（Ｙ）とが概ね一致するように上下前後左右に移動できる調整機構を設けたので、観察の為の移動調整が容易になった。
第５発明では、受台の上下方向の調整機構が角膜の屈折率に基づいて移動量を読み取れる表示手段を設けたので、空気と角膜との屈折率の相違による比例計算をしなくても、直ちに角膜の厚みを目視で観察できるようになった。
【００１２】
第６発明では、第１発明の構成に加えて、ミラーやカメラその他の光学系位置決め補助手段を設けたので、透明容器の底部からの顕微鏡による観察部を下から覗き込む形となり、観察照明光が当たっている点を目安にして、サンプル瓶の保持台を操作して位置合わせができる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
光学系を図１により説明する。１は光源、２はコンデンサーレンズ、３はスリットである。光源１より、ミラー４ならびに対物レンズ５を介して照明用スリット３で角膜７中の角膜内皮細胞８上を照明する。この際、照明光は対物レンズ５の左半分を通過して、斜めから照明される。斜めから照明されることにより、角膜内皮細胞のスリット反射像は対物レンズ５の図の右半分を通り、例えばＣＣＤカメラ６（電荷結合素子を用いた画像情報を処理伝達する集積回路を有するカメラ）上に結像する。上記１乃至６により、鏡面反射法顕微鏡を構成している。
【００１４】
【実施例】
図２に示した機構により、本発明の構成をさらに詳しく説明する。角膜７は移植用角膜コンテナ１０（サンプル瓶）に入れられている。１１は移植用角膜コンテナの底部、１２は透明容器で、移植用角膜コンテナ１０を収容可能とし、水を注入できるようにしている。１３は透明容器の底部、１４は水の層で、透明容器１２及びこの透明容器の底部１３に形成されている。１５は間隔板で、移植用角膜コンテナ１０の底部１１が透明容器の底部１３に直接接触しないようにし、透明容器１２に水を注入時、特に底部１３に気泡が残らないよう水を流通させる。１６は係合部で、受台１７の上で保持台１８が回動自在に支持され、この保持台１８には透明容器１２が保持されるか、一体的に設けられている。係合部１６としては、例えば図示しているように凹凸球面の係合部の他、直交する２軸支点の回動機構のように自在回動できるものであればよく、限定されない。
【００１５】
角膜７の角膜内皮細胞８を観察するには、角膜内皮細胞のスリット反射像がＣＣＤカメラ６上に結像するまで透明容器１２を保持した保持台１８を係合部１６と共に受台１７に接合した調整機構１９、２０、２１を介して移動させる。１９は上下調整機構、２０は左右調整機構、２１は前後調整機構を示す。
角膜内皮細胞面の結像位置と角膜上皮細胞面の結像位置との差（受台の移動量）が、角膜厚さである。受台１７を上下方向に移動する上下調整機構１９には、レバー当たり軸２２を設け、受台１７を介して保持台１８上の透明容器１２と、これに収容されているサンプル瓶１０とを共に上下動させる。この軸２２に一端を当接し他端を表示手段２５に当接したレバー２３を設け、このレバー２３は空気と角膜との屈折率に比例する長さの比（ａ：ｂ＝１：１．３７６）の位置で軸支２４され、角膜内皮細胞面の結像位置と角膜上皮細胞面の結像位置との差である移動量が角膜の厚さとして、表示手段２５で読み取れるようにした。従って表示手段による表示を見るだけでよく、従来のように屈折率による比例計算をしなくてもよくなった。表示手段２５としては、図示したダイヤルゲ−ジやマグネテイックスケールその他機器的又は電気的に変動を表示できる装置が用いられる。
【００１６】
保持台１８の上には、底部の平面度が良く液体を注入した透明容器１２を取り付けているので、透明容器に収容された移植用角膜コンテナ１０(サンプル瓶)の底部１１の厚みが一様でなくても、透明容器１２中の水とサンプル瓶１０の底面の不揃いによる屈折歪みが軽減されてしまい、カメラ上での結像性能を向上させるようになっている。
【００１７】
光源１からの光は、ミラー４及び対物レンズ５の左半分を介して、透明容器１２の底部１３、水の層１４、サンプル瓶１０の底部１１を通り、サンプル瓶１０中の角膜７へ照明用スリット３で照明し、反射光を前記対物レンズ５の右半分を介して、ＣＣＤカメラ６上に結像する光学系により正確な観察、撮影又は計測をすることができるようになった。
【００１８】
透明容器１２は、透明ガラス瓶であるのが望ましいが、これに限定されない。透明容器にサンプル瓶を収納した保持台が、角膜の曲率中心（Ｏ）を支点として角膜の光軸（Ｘ）と光学系の光軸（Ｙ）とが一致するよう、係合部による回動と共に上下前後左右に調整機構を介して移動できるので、角膜の観察位置の設定が容易である。上下前後左右調整機構としては、図示のように互いにスライドできる面をスクリューネジ等で摺動する機構を用いることができるが、これに限定されない。
【００１９】
なお、移植用角膜コンテナとしてのサンプル瓶に代えて、角膜専用容器を用いて観察することもできる。
図３は、ミラーを用いた位置決め補助手段２６を示すもので、このミラーは受台１７と一体的に固定され、透明容器１２の底部からサンプル瓶１０を透して光学系の観察部の位置を見ることができ、保持台１８を操作して透明容器内の角膜の位置を光学系に一致するよう制御し易くなった。即ち、光源１からの照明光が透明容器１２の底部では小さな光の点となって見えるので、これを観察部の目安とすることができる。なおミラーに代えて観察部を見ることのできるものであれば良く、例えば小型ＴＶカメラを使用することもできる。
【００２０】
図４は、鏡面反射法顕微鏡の光学系内に、低倍用レンズ２７及び低倍用レンズ（結像レンズ）２８から成る位置決め補助手段を設けて、ＣＣＤにより観察して保持台の位置決めをする例である。レンズ２７及び２８はセットで横から顕微鏡の光学系に挿入し、位置決めが終わった段階で退避させ、多少のピント合わせ位で角膜の観察ができるようにしている。この例によると、低倍、広視野用の位置決め光学系により、観察部が広く見え調整がさらに容易になる。
【００２１】
このように下向きの透明容器の観察部をミラーや光学系等の位置決め補助手段を用いて覗き込むことにより、サンプル瓶の蓋が不透明で上部から見えない場合や角膜が容器の中で動いて、定位置にない場合などでも保持部の位置決めが容易にできる。
【００２２】
【発明の効果】
本発明では、移植用角膜コンテナをそのまま透明容器に収容することにより、角膜の状態を透明容器の底部から顕微鏡で観察できるので、容易に且つ敏速に観察、撮影又は計測が行われる。移植用角膜コンテナの底面が例え不均一であっても、底面下に設けた間隔板により水が流通でき、給水時に水の層が形成されるので、屈折率の歪を軽減することができ、底面からの観察が容易にできるようになった。また、係合部により受台上の保持台を介して透明容器が自在に回動でき、角膜の曲率中心と顕微鏡の光軸との位置調整が極めて容易にできる。
【００２３】
さらに、上下前後左右の調整機構を受台に設けているので、移植用角膜コンテナ内の角膜と光学系との光軸を一致させることが容易で位置調整が正確にでき、又空気と角膜との屈折率との差を自動的に換算表示するよう上下調整機構の移動量を確認できる表示手段を設けたので、角膜内皮細胞面の結像位置と角膜上皮細胞面の結像位置との差としての移動量を、角膜の厚みとして自動的に読み取ることができる等の効果がある。
【００２４】
また、ミラーその他の光学系の位置決め補助手段を用いることにより透明容器の底部の観察部の位置決めが保持部を介して容易にできるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の光学系の説明図
【図２】同機構の説明図
【図３】本発明の他実施例を示す説明図
【図４】本発明のさらに他実施例を示す説明図
【符号の説明】
１〜６：鏡面反射法顕微鏡
１：光源
２：コンデンサーレンズ
３：スリット
４：ミラー
５：対物レンズ
６：ＣＣＤカメラ
７：角膜
８：角膜内皮細胞
９：角膜上皮細胞
１０：移植用角膜コンテナ（サンプル瓶）
１１：サンプル瓶の底部
１２：透明容器
１３：透明容器の底部
１４：水の層
１５：間隔板
１６：係合部
１７：受台
１８：保持台
１９：上下調整装置
２０：左右調整装置
２１：前後調整装置
２２：当たり軸
２３：レバー
２４：軸
２５：表示手段
２６：位置決め補助手段（ミラー）
２７、２８、２９：位置決め補助手段（レンズ）
【発明の属する技術分野】
本発明は移植用角膜コンテナ、所謂サンプル瓶といわれる瓶中に、薬液と共に収納された移植用角膜をそのままの状態で鏡面反射法顕微鏡により底部から観察、撮影又は計測するための移植用角膜の観察装置に関するもので、さらにミラーやカメラその他の光学系位置決め補助手段を設けて、移植用角膜コンテナ内の角膜を的確に観察できるよう透明容器の位置調整をし易くした移植用角膜の観察装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来から移植用角膜の厚み、細胞の大きさや状態を観察し、撮影又は計測するためには、サンプル瓶中に薬液と共に収納されている角膜を瓶から取り出して、顕微鏡の光軸上に載置できる角膜専用容器の中に移し替えるのが普通である。これは上記サンプル瓶が元来角膜の安全な搬送や保存を目的とするものであり、それぞれ大きさを異にし、底部から観察するように作製されたものではなく、サンプル瓶の底部の厚みが一様でなく、平面度も一定していないので、そのままでは顕微鏡による観察に不向きであることに由来する。
【０００３】
これに対して角膜専用容器は、表面の平面度が良く、サンプル瓶から取り出された角膜を、薬液を入れた容器の中央で安定して支持できると共に蓋を閉じる際に気泡を排除し、前記薬液を入れた容器を通して顕微鏡で精密に観察できるようにしたものである。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のようにサンプル瓶から角膜だけを角膜専用容器へ移し替えて観察、撮影又は計測するには、サンプル瓶の開放と角膜の取出、専用容器への移し替え、適正位置への設置等を必要とし、その間に角膜を損傷したり、汚染する危険性があり、手間もかかるという難点があった。
【０００５】
本発明の目的は、上記のような難点を解消し、移植用角膜コンテナ、所謂サンプル瓶をそのまま透明容器に収納でき、サンプル瓶の底部に平面度の差やばらつきがあっても、これを軽減して正確な角膜内皮細胞及び角膜上皮細胞の状態や角膜の厚み等を、鏡面反射法顕微鏡で透明容器の底部を介して観察、撮影又は計測することができる移植用角膜の観察装置を提供し、さらに顕微鏡による観察に先立ち、透明容器の底部からの観察部の位置決めを容易にできるようにして、サンプル瓶内の角膜の観察を的確にできる移植用角膜の観察装置を提供するものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は第１発明では、移植用角膜コンテナを収容し、底部の平面度が良く、液体を注入した透明容器と、この透明容器を保持又は一体化した保持台と、この保持台を回動自在に支持した受台と、鏡面反射法顕微鏡とを備えた移植用角膜の観察装置とした。
【０００７】
第２発明では、液体を注入した透明容器の底部と移植用角膜コンテナの底部との間に液体が流通できるように前記透明容器の底部に間隔板を付設した。
第３発明では、保持台が移植用角膜コンテナ内の角膜の曲率中心（Ｏ）付近を中心として回動するように設けた。
第４発明では、受台に移植用角膜コンテナ内の角膜の光軸（Ｘ）と鏡面反射法顕微鏡の光軸（Ｙ）とが一致するように上下前後左右に移動できる調整機構を設けた。
【０００８】
第５発明では、上下方向の調整機構が角膜の屈折率に基づいて移動量を読み取れる表示手段を設けた。
第６発明では、第１発明の構成に加えて、前記透明容器の底部からの顕微鏡による観察部を位置決めするためのミラーその他の光学系位置決め補助手段を設けた。
【０００９】
(作用)
第１発明では、移植用角膜コンテナをそのまま収容した透明容器を設け、この透明容器は底部の平面度が良く、液体が注入されている。従って、顕微鏡による底面からの観察時に、移植用角膜コンテナの平面度の不揃いを原因とする光の屈折の歪みを水の層を通すことにより、軽減できるようになった。保持台は、受台上で回動自在に支持されているので、透明容器が保持台を介して自在に回動でき、角膜の曲率中心と光軸を容易に一致するよう調整でき鏡面反射法顕微鏡による観察がし易くなった。
【００１０】
第２発明では、液体を注入する透明容器の底部と移植用角膜コンテナの底部との間に液体が流通できる間隔板を付設したので、透明容器の底部に水の層が確実に構成され気泡が残らないようになっている。
第３発明では、保持台が移植用角膜コンテナ内の角膜の曲率中心（Ｏ）付近を中心として、受台上で回動するように設けたので、角膜内皮細胞及び角膜上皮細胞の観察に当たり、調整が容易にできる。又回動により、角膜の観察部位を変えたとき、上下前後左右方向への移動調整が少なくてすむようになる。
【００１１】
第４発明では、受台に移植用角膜コンテナ内の角膜の光軸（Ｘ）と鏡面反射法顕微鏡の光軸（Ｙ）とが概ね一致するように上下前後左右に移動できる調整機構を設けたので、観察の為の移動調整が容易になった。
第５発明では、受台の上下方向の調整機構が角膜の屈折率に基づいて移動量を読み取れる表示手段を設けたので、空気と角膜との屈折率の相違による比例計算をしなくても、直ちに角膜の厚みを目視で観察できるようになった。
【００１２】
第６発明では、第１発明の構成に加えて、ミラーやカメラその他の光学系位置決め補助手段を設けたので、透明容器の底部からの顕微鏡による観察部を下から覗き込む形となり、観察照明光が当たっている点を目安にして、サンプル瓶の保持台を操作して位置合わせができる。
【００１３】
【発明の実施の形態】
光学系を図１により説明する。１は光源、２はコンデンサーレンズ、３はスリットである。光源１より、ミラー４ならびに対物レンズ５を介して照明用スリット３で角膜７中の角膜内皮細胞８上を照明する。この際、照明光は対物レンズ５の左半分を通過して、斜めから照明される。斜めから照明されることにより、角膜内皮細胞のスリット反射像は対物レンズ５の図の右半分を通り、例えばＣＣＤカメラ６（電荷結合素子を用いた画像情報を処理伝達する集積回路を有するカメラ）上に結像する。上記１乃至６により、鏡面反射法顕微鏡を構成している。
【００１４】
【実施例】
図２に示した機構により、本発明の構成をさらに詳しく説明する。角膜７は移植用角膜コンテナ１０（サンプル瓶）に入れられている。１１は移植用角膜コンテナの底部、１２は透明容器で、移植用角膜コンテナ１０を収容可能とし、水を注入できるようにしている。１３は透明容器の底部、１４は水の層で、透明容器１２及びこの透明容器の底部１３に形成されている。１５は間隔板で、移植用角膜コンテナ１０の底部１１が透明容器の底部１３に直接接触しないようにし、透明容器１２に水を注入時、特に底部１３に気泡が残らないよう水を流通させる。１６は係合部で、受台１７の上で保持台１８が回動自在に支持され、この保持台１８には透明容器１２が保持されるか、一体的に設けられている。係合部１６としては、例えば図示しているように凹凸球面の係合部の他、直交する２軸支点の回動機構のように自在回動できるものであればよく、限定されない。
【００１５】
角膜７の角膜内皮細胞８を観察するには、角膜内皮細胞のスリット反射像がＣＣＤカメラ６上に結像するまで透明容器１２を保持した保持台１８を係合部１６と共に受台１７に接合した調整機構１９、２０、２１を介して移動させる。１９は上下調整機構、２０は左右調整機構、２１は前後調整機構を示す。
角膜内皮細胞面の結像位置と角膜上皮細胞面の結像位置との差（受台の移動量）が、角膜厚さである。受台１７を上下方向に移動する上下調整機構１９には、レバー当たり軸２２を設け、受台１７を介して保持台１８上の透明容器１２と、これに収容されているサンプル瓶１０とを共に上下動させる。この軸２２に一端を当接し他端を表示手段２５に当接したレバー２３を設け、このレバー２３は空気と角膜との屈折率に比例する長さの比（ａ：ｂ＝１：１．３７６）の位置で軸支２４され、角膜内皮細胞面の結像位置と角膜上皮細胞面の結像位置との差である移動量が角膜の厚さとして、表示手段２５で読み取れるようにした。従って表示手段による表示を見るだけでよく、従来のように屈折率による比例計算をしなくてもよくなった。表示手段２５としては、図示したダイヤルゲ−ジやマグネテイックスケールその他機器的又は電気的に変動を表示できる装置が用いられる。
【００１６】
保持台１８の上には、底部の平面度が良く液体を注入した透明容器１２を取り付けているので、透明容器に収容された移植用角膜コンテナ１０(サンプル瓶)の底部１１の厚みが一様でなくても、透明容器１２中の水とサンプル瓶１０の底面の不揃いによる屈折歪みが軽減されてしまい、カメラ上での結像性能を向上させるようになっている。
【００１７】
光源１からの光は、ミラー４及び対物レンズ５の左半分を介して、透明容器１２の底部１３、水の層１４、サンプル瓶１０の底部１１を通り、サンプル瓶１０中の角膜７へ照明用スリット３で照明し、反射光を前記対物レンズ５の右半分を介して、ＣＣＤカメラ６上に結像する光学系により正確な観察、撮影又は計測をすることができるようになった。
【００１８】
透明容器１２は、透明ガラス瓶であるのが望ましいが、これに限定されない。透明容器にサンプル瓶を収納した保持台が、角膜の曲率中心（Ｏ）を支点として角膜の光軸（Ｘ）と光学系の光軸（Ｙ）とが一致するよう、係合部による回動と共に上下前後左右に調整機構を介して移動できるので、角膜の観察位置の設定が容易である。上下前後左右調整機構としては、図示のように互いにスライドできる面をスクリューネジ等で摺動する機構を用いることができるが、これに限定されない。
【００１９】
なお、移植用角膜コンテナとしてのサンプル瓶に代えて、角膜専用容器を用いて観察することもできる。
図３は、ミラーを用いた位置決め補助手段２６を示すもので、このミラーは受台１７と一体的に固定され、透明容器１２の底部からサンプル瓶１０を透して光学系の観察部の位置を見ることができ、保持台１８を操作して透明容器内の角膜の位置を光学系に一致するよう制御し易くなった。即ち、光源１からの照明光が透明容器１２の底部では小さな光の点となって見えるので、これを観察部の目安とすることができる。なおミラーに代えて観察部を見ることのできるものであれば良く、例えば小型ＴＶカメラを使用することもできる。
【００２０】
図４は、鏡面反射法顕微鏡の光学系内に、低倍用レンズ２７及び低倍用レンズ（結像レンズ）２８から成る位置決め補助手段を設けて、ＣＣＤにより観察して保持台の位置決めをする例である。レンズ２７及び２８はセットで横から顕微鏡の光学系に挿入し、位置決めが終わった段階で退避させ、多少のピント合わせ位で角膜の観察ができるようにしている。この例によると、低倍、広視野用の位置決め光学系により、観察部が広く見え調整がさらに容易になる。
【００２１】
このように下向きの透明容器の観察部をミラーや光学系等の位置決め補助手段を用いて覗き込むことにより、サンプル瓶の蓋が不透明で上部から見えない場合や角膜が容器の中で動いて、定位置にない場合などでも保持部の位置決めが容易にできる。
【００２２】
【発明の効果】
本発明では、移植用角膜コンテナをそのまま透明容器に収容することにより、角膜の状態を透明容器の底部から顕微鏡で観察できるので、容易に且つ敏速に観察、撮影又は計測が行われる。移植用角膜コンテナの底面が例え不均一であっても、底面下に設けた間隔板により水が流通でき、給水時に水の層が形成されるので、屈折率の歪を軽減することができ、底面からの観察が容易にできるようになった。また、係合部により受台上の保持台を介して透明容器が自在に回動でき、角膜の曲率中心と顕微鏡の光軸との位置調整が極めて容易にできる。
【００２３】
さらに、上下前後左右の調整機構を受台に設けているので、移植用角膜コンテナ内の角膜と光学系との光軸を一致させることが容易で位置調整が正確にでき、又空気と角膜との屈折率との差を自動的に換算表示するよう上下調整機構の移動量を確認できる表示手段を設けたので、角膜内皮細胞面の結像位置と角膜上皮細胞面の結像位置との差としての移動量を、角膜の厚みとして自動的に読み取ることができる等の効果がある。
【００２４】
また、ミラーその他の光学系の位置決め補助手段を用いることにより透明容器の底部の観察部の位置決めが保持部を介して容易にできるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の光学系の説明図
【図２】同機構の説明図
【図３】本発明の他実施例を示す説明図
【図４】本発明のさらに他実施例を示す説明図
【符号の説明】
１〜６：鏡面反射法顕微鏡
１：光源
２：コンデンサーレンズ
３：スリット
４：ミラー
５：対物レンズ
６：ＣＣＤカメラ
７：角膜
８：角膜内皮細胞
９：角膜上皮細胞
１０：移植用角膜コンテナ（サンプル瓶）
１１：サンプル瓶の底部
１２：透明容器
１３：透明容器の底部
１４：水の層
１５：間隔板
１６：係合部
１７：受台
１８：保持台
１９：上下調整装置
２０：左右調整装置
２１：前後調整装置
２２：当たり軸
２３：レバー
２４：軸
２５：表示手段
２６：位置決め補助手段（ミラー）
２７、２８、２９：位置決め補助手段（レンズ）
Claims (6)
- 移植用角膜コンテナを収容し、底部の平面度が良く、液体を注入した透明容器と、
この透明容器を保持又は一体化した保持台と、
この保持台を回動自在に支持した受台と、
鏡面反射法顕微鏡とを備えたことを特徴とする移植用角膜の観察装置。 - 液体を注入した透明容器の底部と移植用角膜コンテナの底部との間に液体が流通できるように前記透明容器の底部に間隔板を付設したことを特徴とする請求項１記載の移植用角膜の観察装置。
- 保持台が移植用角膜コンテナ内の角膜の曲率中心（O）付近を中心とし
て回動するように設けたことを特徴とする請求項１記載の移植用角膜の観察装置。 - 移植用角膜コンテナ内の角膜の光軸（X）と鏡面反射法顕微鏡の光軸（Y）とが概ね一致するよう受台に上下前後左右に移動できる調整機構を設けたことを特徴とする請求項１〜３のいずれか１つに記載の移植用角膜の観察装置。
- 受台の上下方向の調整機構が角膜の屈折率に基づいて移動量を読み取れる表示手段を設けたことを特徴とする請求項１〜４のいずれか１つに記載の移植用角膜の観察装置。
- 移植用角膜コンテナを収容し、底部の平面度が良く、液体を注入した透明容器と、
この透明容器を保持又は一体化した保持台と、
この保持台を回動自在に支持した受台と、
鏡面反射法顕微鏡と、
前記透明容器の底部からの顕微鏡による観察部を位置決めするためのミラーやカメラその他の光学系位置決め補助手段と、
を備えたことを特徴とする移植用角膜の観察装置。
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