JP3922351B2 - 電荷結合デバイス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、n形半導体基板上に形成した電荷結合デバイスに関し、より詳しくは、縦型オーバーフロードレイン構造を備えたその種の電荷結合デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子として使用する電荷結合デバイス(CCD)には、p形半導体基板上に形成したCCD(pSUB−CCD)と、n形半導体基板上に形成したCCD(nSUB−CCD)とがある。pSUB−CCDは、nSUB−CCDと比べて優れた点が多々あるが、しかしながら、そのオーバーフロードレイン構造を、画素に隣接して設けたドレインを介して過剰電荷を排出する横型オーバーフロードレイン構造とせねばならないため、CCDの開口率が小さくなり、また、光電変換領域の一部が中性領域となることから近赤外領域でのMTFが悪化するという短所が付随している。
【0003】
一方、nSUB−CCDでは、n形半導体基板上に形成したp形拡散層から成るpウェル部を通過させて、n形半導体基板の中へ過剰電荷を排出する縦型オーバーフロードレイン構造(VOD)を採用することができるため、横型オーバーフロードレイン構造に付随する上述の短所を回避することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のnSUB−CCDに設けられているVODは、光電変換領域への入射光量が増大して、蓄積電荷のオーバーフローが発生しはじめるレベルを超えた後も、そこから更に入射光量が増大するにつれて、蓄積電荷が徐々に増大するという性質があった。このように、入射光量がオーバーフロー発生レベルを超えてから更に増大する電荷量は、撮像素子としてのCCDにとって無意味な情報であるにもかかわらず、その余分な電荷もレジスタで転送しなければならないために、CCDのダイナミックレンジがその分削られてしまうという問題が生じていた。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑み成されたものであり、本発明の目的は、光電変換領域への入射光量がオーバーフロー発生レベルを超えた後には、入射光量が更に増大しても蓄積電荷が殆ど増大することのない、優れたオーバーフロー特性を有するVODを備えたnSUB−CCDを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明にかかる電荷結合デバイスは、n形半導体基板上に形成した電荷結合デバイスにおいて、前記n形半導体基板に形成したp形拡散層から成る第1pウェルと、前記第1pウェル上に形成した低ドープn形半導体層と、前記低ドープn形半導体層にアレイを成すように形成したn形拡散領域から成る複数の光電変換領域であって各々が前記複数の光電変換領域の表面に形成した高ドープp形拡散領域と前記低ドープn形半導体層及び前記第1pウェルの対応する部分とでフォトセンサを構成する複数の光電変換領域と、前記低ドープn形半導体層に形成したn形拡散領域から成る複数の電荷転送路と、前記低ドープn形半導体層に形成した高ドープp形拡散領域から成る複数のチャネルストップ部であって各々が前記複数の電荷転送路の一側に接して形成された複数のチャネルストップ部と、前記低ドープn形半導体層に形成したp形拡散領域から成る複数の第2pウェル部であって各々が前記複数の電荷転送路の底部に接して形成された複数の第2pウェル部と、前記低ドープn形半導体層の上面を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に前記複数の光電変換領域の各々に対応させて形成した複数のゲート電極とを備え、前記低ドープn形半導体層の厚さを前記チャネルストップ部及び前記第2pウェル部の深さと比べて十分に大きくすることで、前記第1pウェルと前記チャネルストップ部及び前記第2pウェル部とが電気的に分離され、前記チャネルストップ部及び前記第2pウェル部にグラウンド電位を与え、前記n形半導体基板に第1正電位を印加し、前記第1pウェルに第2正電位を印加し、前記第2正電位を前記第1正電位より低くして前記n形半導体基板と前記第1pウェルとの間のpn接合に逆方向バイアスがかかるようにすることで縦型オーバーフロードレイン構造が構成され、前記第1pウェルの厚さを十分に大きく、前記第1pウェルのドーピング濃度を十分に高くすることで、前記第1pウェルの厚さの少なくとも一部が中性領域として維持されるようにしたことを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる電荷結合デバイスによれば、縦型オーバーフロードレイン構造(VOD)を構成する第1pウェルの厚さの一部が常に中性領域として維持され、その中性領域の電位が第2正電位に固定されるため、オーバーフロー電流の大きさによって第1pウェルの電位が振られることがない。そのため、光電変換領域への入射光量がオーバーフロー発生レベルを超えた後には、入射光量が更に増大しても蓄積電荷が殆ど増大することがなく、それゆえ、ダイナミックレンジが無駄に消費されることのない、優れたオーバーフロー特性を有するVODを備えたnSUB−CCDが得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明して行く。
図1は本発明の第1の実施の形態にかかる電荷結合デバイスの構造を示した模式的断面図、図2は図1の電荷結合デバイスの2−2線に沿った断面の電位を示した模式図、図3は本発明の第2の実施の形態にかかる電荷結合デバイスの構造を示した模式的断面図である。
【0009】
図1に模式的断面図で構造を示した本発明の第1の実施の形態にかかる電荷結合デバイス(CCD)10は、固体撮像素子として使用されるものであり、n形半導体基板12上に形成されている。n形半導体基板12には、p形拡散層から成る第1pウェル14が形成されており、この第1pウェル14の上に、低ドープn形半導体層16が形成されている。
【0010】
低ドープn形半導体層16には、n形拡散領域から成る複数の光電変換領域18がアレイを成すように形成されており、それら光電変換領域18の各々の表面に、高ドープp形拡散領域20が形成されており、この高ドープp形拡散領域20は、ノイズ低減のための表面ホール蓄積層を画成している。また、それら光電変換領域18は、その各々が、光電変換領域18の表面に形成した高ドープp形拡散領域20、低ドープn形半導体層16、及び第1pウェル14の対応する部分と協働してフォトセンサを構成しており、それらフォトセンサは、その各々が、CCD10の1つずつの画素に対応している。
【0011】
低ドープn形半導体層16には更に、n形拡散領域から成る複数の電荷転送路22が形成されていると共に、各々にそれら電荷転送路22に付随する複数のチャネルストップ部24及び第2pウェル部25が形成されている。1つの電荷転送路22に付随するチャネルストップ部24は、その電荷転送路22の一側に接して形成された高ドープp形拡散領域で構成されており、第2pウェル部25はその電荷転送路22の底部に接して形成された高ドープp形拡散領域で構成されている。そして、低ドープn形半導体層16の厚さを、チャネルストップ部24及び第2pウェル部25の深さと比べて十分に大きくすることで、第1pウェル14とチャネルストップ部24及び第2pウェル部25とを電気的に完全に分離している。
【0012】
更に、光電変換領域18、表面ホール蓄積層20、電荷転送路22、チャネルストップ部24、及び第2pウェル部25を形成した低ドープn形半導体層16の上面を、絶縁層26で覆い、この絶縁層26上に、複数の光電変換領域18の各々に対応させて複数のゲート電極28を形成してある。
【0013】
表面ホール蓄積層20、チャネルストップ部24、及び第2pウェル部25は接地してあり、それによって、それらにグラウンド電位を与えている。また、n形半導体基板12には第1正電位E1を印加し、第1pウェル14には第2正電位E2を印加している。
【0014】
特に、図1の実施の形態では、第1pウェル14をn形半導体基板12の端面に露出させ、その露出部を介して第1pウェル14に第2正電位E2を与えるようにしている。
【0015】
n形半導体基板12に印加する第1正電位E1は固定電圧としており、一方、第1pウェルに印加する第2正電位E2は調節可能な可変電圧としているが、ただし第2正電位E2は、それを最も高く設定したときでも、第1正電位E1より低い電位にとどまるようにしてあり、それによって、n形半導体基板12と第1pウェル14との間のpn接合に逆方向バイアスがかかるようにして、縦型オーバーフロードレイン構造(VOD)を構成している。
【0016】
このVODは、低ドープn形半導体層16と、第1pウェル14と、n形半導体基板12とが、夫々、npnトランジスタの、エミッタ、ベース、コレクタとして機能することで、光電変換領域18に入射する光の強度が所定レベルのときに、その光電変換領域18に蓄積しようとする過剰電荷を、低ドープn形半導体層16から第1pウェル14を通過させて、n形半導体基板12の中へ排出させるように機能するものである。
【0017】
図2は、図1のCCD10の2−2線に沿った断面の電位を示した模式図である。図中、第1pウェル14に印加する正電位E2は可変であり、この正電位E2が比較的低いときには、第1pウェル14と低ドープn形半導体層16との間のpn接合の逆方向バイアスと、第1pウェル14とn形半導体基板12との間のpn接合の逆方向バイアスとは共に大きくなっており、比較的多量の電荷が蓄積してからでなければオーバーフローが発生しない。一方、この正電位E2が比較的高いときには、第1pウェル14と低ドープn形半導体層16との間のpn接合の逆方向バイアスと、第1pウェル14とn形半導体基板12との間のpn接合の逆方向バイアスとは共に小さくなっており、比較的少量の電荷が蓄積しただけでオーバーフローが発生する。従って、第1pウェル14に印加する第2正電位E2を調節可能とすることで、オーバーフローが発生する蓄積電荷量を制御可能にしている。
【0018】
また、第1pウェル14に印加する正電位E2を低く設定して、第1pウェル14と低ドープn形半導体層16との間のpn接合の逆バイアスと、第1pウェル14とn形半導体基板12との間のpn接合の逆方向バイアスとを共に大きくすると、それらpn接合の空乏層が拡大するが、本発明においては、第1pウェル14の厚さを十分に大きく、第1pウェル14のドーピング濃度を十分に高くすることで、蓄積電荷量の多少にかかわらず、また、正電位E2の高低にかかわらず、第1pウェル14の厚さの少なくとも一部が常に中性領域として維持されるようにしている。
【0019】
以上の構成によれば、第1pウェル14とチャネルストップ部24及び第2pウェル部25とを電気的に分離し、第1pウェル14の厚さの少なくとも一部が常に中性領域として維持されるようにした上で、その中性領域の電位を第2正電位E2に固定しているため、オーバーフローする電荷の電流の大きさによって第1pウェル14の電位が振られることがない。そのため、光電変換領域への入射光量がオーバーフロー発生レベルを超えた後には、入射光量が更に増大しても蓄積電荷が殆ど増大することがなく、それゆえ、ダイナミックレンジが無駄に消費されることのない、優れたオーバーフロー特性を有するVODを備えたnSUB−CCDが得られる。
【0020】
図3は、本発明の第2の実施の形態にかかるCCD40の構造を示した模式的断面図である。図1の実施の形態では、第1pウェル14をn形半導体基板12の端面に露出させ、その露出部を介して第1pウェル14に第2正電位E2を与えるようにしていたが、図3の実施の形態では、下端が第1pウェル14に接続し上端が低ドープn形半導体層16の表面に露出したp形半導体領域42を低ドープn形半導体層に形成し、このp形半導体領域42を介して第1pウェル14に第2正電位E2を与えるようにしている。また、図3の実施の形態では、n形半導体基板12に高ドープn形拡散領域44を形成し、この高ドープn形拡散領域44を介してn形半導体基板12に第1正電位E1を与えるようにしている。図3の実施の形態のその他の部分は、図1の実施の形態と同じであり、対応する部分には、図1の実施の形態の説明に用いた参照符号と同じ参照符号を付してある。
【0021】
図1と図3の実施の形態のいずれにおいても、低ドープn形半導体層16の厚さは10μm以上にすることが好ましく、そうすることによって、一般的なpSUB−CCDと同等の優れた近赤外感度を達成することができる。また、図1と図3の実施の形態のいずれも、その基本構造はnSUB−CCDであるため、一般的なnSUB−CCDの特徴である、低スミア、無残像、高解像度等の長所を全て備えており、オーバーフロー構造が縦型であることによる長所も維持されている。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる電荷結合デバイスは、n形半導体基板上に形成した電荷結合デバイスにおいて、前記n形半導体基板に形成したp形拡散層から成る第1pウェルと、前記第1pウェル上に形成した低ドープn形半導体層と、前記低ドープn形半導体層にアレイを成すように形成したn形拡散領域から成る複数の光電変換領域であって各々が前記複数の光電変換領域の表面に形成した高ドープp形拡散領域と前記低ドープn形半導体層及び前記第1pウェルの対応する部分とでフォトセンサを構成する複数の光電変換領域と、前記低ドープn形半導体層に形成したn形拡散領域から成る複数の電荷転送路と、前記低ドープn形半導体層に形成した高ドープp形拡散領域から成る複数のチャネルストップであって各々が前記複数の電荷転送路の一側に接して形成された複数のチャネルストップ部と、前記低ドープn形半導体層に形成したp形拡散領域から成る複数の第2pウェル部であって各々が前記複数の電荷転送路の底部に接して形成された複数の第2pウェル部と、前記低ドープn形半導体層の上面を覆う絶縁層と、前記絶縁層上に前記複数の光電変換領域の各々に対応させて形成した複数のゲート電極とを備え、前記低ドープn形半導体層の厚さを前記チャネルストップ部及び前記第2pウェル部の深さと比べて十分に大きくすることで、前記第1pウェルと前記チャネルストップ部及び前記第2pウェル部とが電気的に分離され、前記チャネルストップ部及び前記第2pウェル部にグラウンド電位を与え、前記n形半導体基板に第1正電位を印加し、前記第1pウェルに第2正電位を印加し、前記第2正電位を前記第1正電位より低くして前記n形半導体基板と前記第1pウェルとの間のpn接合に逆方向バイアスがかかるようにすることで縦型オーバーフロードレイン構造が構成され、前記第1pウェルの厚さを十分に大きく、前記第1pウェルのドーピング濃度を十分に高くすることで、前記第1pウェルの厚さの少なくとも一部が中性領域として維持されるようにした。
【0023】
この構成によれば、縦型オーバーフロードレイン構造を構成する第1pウェルの厚さの少なくとも一部が常に中性領域として維持され、その中性領域の電位が第2正電位に固定されるため、オーバーフロー電流の大きさによって第1pウェルの電位が振られることがない。従って、光電変換領域への入射光量がオーバーフロー発生レベルを超えた後には、入射光量が更に増大しても蓄積電荷が殆ど増大することがなく、それゆえ、ダイナミックレンジが無駄に消費されることのない、優れたオーバーフロー特性を有する縦型オーバーフロードレイン構造を備えた、n形半導体基板上に形成した電荷結合デバイスが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる電荷結合デバイスの構造を示した模式的断面図である。
【図2】図1の電荷結合デバイスの2−2線に沿った断面の電位を示した模式図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態にかかる電荷結合デバイスの構造を示した模式的断面図である。
【符号の説明】
10……電荷結合デバイス(CCD)、12……n形半導体基板、14……第1pウェル、16……低ドープn形半導体層、18……光電変換領域、22……電荷転送路、24……チャネルストップ部、25……第2pウェル部、26……絶縁層、28……ゲート電極、40……電荷結合デバイス(CCD)。
Claims (4)
- n形半導体基板上に形成した電荷結合デバイスにおいて、
前記n形半導体基板に形成したp形拡散層から成る第1pウェルと、
前記第1pウェル上に形成した低ドープn形半導体層と、
前記低ドープn形半導体層にアレイを成すように形成したn形拡散領域から成る複数の光電変換領域であって各々が前記複数の光電変換領域の表面に形成した高ドープp形拡散領域と前記低ドープn形半導体層及び前記第1pウェルの対応する部分とでフォトセンサを構成する複数の光電変換領域と、
前記低ドープn形半導体層に形成したn形拡散領域から成る複数の電荷転送路と、
前記低ドープn形半導体層に形成した高ドープp形拡散領域から成る複数のチャネルストップ部であって各々が前記複数の電荷転送路の一側に接して形成された複数のチャネルストップ部と、
前記低ドープn形半導体層に形成したp形拡散領域から成る複数の第2pウェル部であって各々が前記複数の電荷転送路の底部に接して形成された複数の第2pウェル部と、
前記低ドープn形半導体層の上面を覆う絶縁層と、
前記絶縁層上に前記複数の光電変換領域の各々に対応させて形成した複数のゲート電極とを備え、
前記低ドープn形半導体層の厚さを前記チャネルストップ部及び前記第2pウェル部の深さと比べて十分に大きくすることで、前記第1pウェルと前記チャネルストップ部及び前記第2pウェル部とが電気的に分離され、
前記チャネルストップ部及び前記第2pウェル部にグラウンド電位を与え、前記n形半導体基板に第1正電位を印加し、前記第1pウェルに第2正電位を印加し、前記第2正電位を前記第1正電位より低くして前記n形半導体基板と前記第1pウェルとの間のpn接合に逆方向バイアスがかかるようにすることで縦型オーバーフロードレイン構造が構成され、
前記第1pウェルの厚さを十分に大きく、前記第1pウェルのドーピング濃度を十分に高くすることで、前記第1pウェルの厚さの少なくとも一部が中性領域として維持されるようにした、
ことを特徴とする電荷結合デバイス。 - 前記第2正電位を調節可能とすることで、オーバーフローが発生する蓄積電荷量を制御可能にしたことを特徴とする請求項1記載の電荷結合デバイス。
- 前記第1pウェルを前記n形半導体基板の端面に露出させ、その露出部を介して該第1pウェルに前記第2正電位を印加するようにしたことを特徴とする請求項1記載の電荷結合デバイス。
- 下端が前記第1pウェルに接続し上端が前記低ドープn形半導体層の表面に露出したp形半導体領域を前記低ドープn形半導体層に形成し、該p形半導体領域を介して前記第1pウェルに前記第2正電位を印加するようにしたことを特徴とする請求項1記載の電荷結合デバイス。
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