JP3922334B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液状不純物源を使用してシリコン半導体基体に拡散領域を形成する工程を含むトランジスタ、サイリスタ、ダイオード等の半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
P形不純物としてのアルミニウムはホウ素よりも拡散係数が大きいので、これを使用すると熱処理時間の短縮を図ることができる。従って、アルミニウムは、シリコン半導体基体に例えば1015cm−3オーダのような比較的不純物濃度の低いP形半導体領域を数10μm以上の深さに形成する場合の不純物として好適である。アルミニウムの拡散方法としては、シリコン半導体基体の表面にアルミニウムを蒸着してアルミニウム層を形成し、これを不純物源としてシリコン半導体基体にアルミニウム拡散層を形成する方法と、アルミニウムを半導体基体にイオン注入する方法とがある。しかし、前者の方法では製造プロセスが複雑となり、後者の方法では製造装置がコスト高になるという問題があった。これ等の問題を解決するための方法としてアルミニウム化合物を含む液状不純物源を使用する方法が知られている。この方法では、AlCl3 ・6H2 O又はAl(NO33 ・9H2 O又はAl(CH3 COCHCOCH33 等のアルミニウム化合物と有機溶剤との混合物から成る液状不純物源を周知のスピンナ方法で半導体基体上に塗布して液状不純物被膜を形成し、次に、このシリコン半導体基体に120〜150℃、30秒〜1分の熱処理を施し、この液状不純物源をベーキングして有機溶剤を蒸発させて拡散源膜を形成し、続いて、このシリコン半導体基体に窒素雰囲気中で1200℃以上の熱処理を施してAl拡散層を形成する。その後、上記の熱処理によって半導体基体の表面に形成された絶縁膜を弗酸でエッチング除去してから、半導体基体の表面にオーミックコンタクト電極を形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のAl拡散方法では、液状不純物源としてアルコール等の溶液にアルミニウム化合物を溶解したものを使用するため、シリコンウエハに対する濡れ性が良好に得られず、不純物源の塗布むらが生じ易かった。ウエハに対して不純物源が均一に塗布されないと、不純物源からのAl拡散によって形成された拡散層に凹凸ができてしまい、電気的な諸特性を低下させる原因となる。また、溶剤にアルミニウム化合物を溶解した液状不純物源を使用すると、溶剤を除去する熱処理(ベーキング)によってAlの結晶が析出してしまう。このAlの析出も、拡散層に凹凸を形成する原因となる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、シリコンウエハに対する濡れ性を向上させると共に、Al化合物の析出を防止することで、凹凸が生じることを良好に防止された平坦性に優れたAl拡散層を形成することのできる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、上記目的を達成するための本発明は、
シリコン半導体基体の表面に導電型決定用不純物と溶媒と珪素又は珪素化合物を含有する不純物源溶液を塗布する工程と、
塗布された不純物源溶液に対して、前記導電型決定用不純物を前記シリコン半導体基体に拡散させるための温度よりも低い温度の加熱処理を施して前記溶液を揮発させ、不純物源膜を形成する工程と、
前記不純物源膜の上にガラス形成用材料と溶剤とを含むガラス膜形成用溶液を塗布する工程と、
塗布された前記ガラス膜形成用溶液に対して、前記導電型決定用不純物を前記シリコン半導体基体に拡散させるための温度よりも低い温度の加熱処理を施してガラス膜を形成する工程と、
前記不純物源膜及び前記ガラス膜を伴ったシリコン半導体基体に前記導電型決定用不純物を拡散させるための加熱処理を施して前記シリコン半導体基体に前記前記導電型決定用不純物を拡散させ、不純物拡散領域を形成する工程と、
前記ガラス膜及び残存している不純物源膜を除去する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法に係わるものである。
【0006】
なお、上記から明らかなように、本発明では、不純物源の上にガラス膜を形成した後、不純物を拡散させている
【0007】
【発明の効果】
各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
(1) 導電圧型決定用不純物と有機溶剤と珪素化合物との混合物から成る液状不純物源を塗布して拡散するという比較的簡単な製造工程によって、相対的に不純物濃度が低く且つ拡散の深さが深いP形半導体領域を容易に形成することができる。
(2) 珪素又は珪素化合物を含む液状不純物源を使用するので、液状不純物源の半導体基体に対する濡れ性が向上し、半導体基板の上に液状不純物源をむら無く均一な厚みで形成することができる。この結果、拡散層の平坦性を向上することができ、電気的諸特性が良好な半導体装置を製造することができる。
また、請求項2の発明によれば、ガラス膜を設けたので、半導体基板の一方の主面に容易に除去することができない絶縁膜(例えばシリコン窒化膜)の生成を抑制することができる。この結果、不純物源膜等から構成される残さ被膜を弗酸又はこれを主成分とするエッチング液によって容易に且つ完全にエッチング除去することができ、P形半導体領域に対してオーミック電極等を形成することが可能になる。
【0008】
【実施形態及び実施例】
次に、図1及び図2を参照して本発明の実施形態及び実施例を説明する。
【0009】
まず、半導体基体としてN型のシリコン半導体基板1を用意する。
【0010】
次に、本発明に従うアルコール系溶媒と導電型決定用不純物としてのAl化合物と珪素化合物とから成る不純物源溶液即ち液状不純物源を用意する。ここで、アルコール系溶媒は、例えばメタノール、エタノール、2−プロパノール、2−メトキシエタノール等のAl化合物が可溶な有機溶剤から選択される。
アルミニウム化合物としては、塩化アルミニウム、六水和物(AlCl3 ・6H2 O)即ちAlCl3 分子1個に対して結晶水として6個の水を保有しているもの、硝酸アルミニウム・九水和物Al(NO33 ・9H2 O即ちAl(NO3 )3分子1個に対して結晶水として9個の水を保有しているもの、アルミニウムアセチルフセテートAl(CH3 COCHOCH3 3 等の高純度で容易に入手でき、且つアルコールに対して可溶であって取り扱いが比較的安全なものが適する。
珪素化合物は例えばRn Si(OH)4-n (Rはアルキル基を示し、nは任意の数値を示す)であり、液状不純物源に対してはこの珪素化合物を酢酸エチルやメタノール等の有機溶剤に溶かしたもの(以下、珪素化合物溶液と言う)を含有させている。本実施例では、アルコール系溶媒とAl化合物との混合物中に、珪素化合物の濃度が5.9%の珪素化合物溶液を混合させて液状不純物源を形成した。ここで、珪素化合物がシリコンウエハに対する液状不純物源の濡れ性を向上させる機能を有効に発揮するためには、液状不純物中の珪素化合物とAl化合物との含有比率が重要であるが、これについては後述する。
【0011】
次に、この液状不純物源を、周知のスピンナ方法によって半導体基板1の一方の主面即ち不純物拡散予定領域の表面に均一に塗布して液状不純物源層2を図1(B)に概念的に示すように形成する。本実施例では、液状不純物源のスピンナ塗布形成時における半導体基板の回転数を3000〜4000rpmに設定した。本実施例では、液状不純物源に上述のように珪素化合物が含まれているため、半導体基板1に対する液状不純物源の濡れ性が向上し、半導体基板1の一方の主面に対して液状不純物源を、塗布むらの少ないほぼ均一な厚みに塗布することができる。
【0012】
次に、図1(B)に示す不純物源層2を形成した半導体基板1をホットプレート(ヒートプレート)上に配置し、この不純物源層2を伴った半導体基板1に対してアルミニウムの拡散温度よりも低い120〜150℃の温度で熱処理を施して、液状不純物源層2に含まれる溶剤を揮発させ、図1(C)に示すように半導体基板1の一方の主面にP形導電型不純物としてのAlを含む珪素化合物フィルムから成る拡散源膜即ち不純物源膜3を形成する。
【0013】
次に、半導体基板1の一方の主面に設けられた不純物源膜3の上にガラス膜を形成する。ガラス膜形成材料としては、上述の珪素化合物Rn Si(OH)4-n (Rはアルキル基を示し、nは任意の数値を示す)を溶剤としてのアルコールに溶かしたものから成る溶液を使用することができる。即ち、このガラス形成溶液を周知のスピンナ方法によって均一に塗布して図1(D)に概略的に示すようにガラス溶液層4を形成する。本実施例では、ガラス形成溶液をスピンナで塗布する時における半導体基板1の回転数を約3000rpmに設定した。
【0014】
次に、図1(D)に示すガラス溶液層4を形成した半導体基板1をホットプレート(ヒートプレート)上に配置し、これに対してアルミニウムの拡散温度よりも低い150℃の温度で空気中において熱処理を施して、ガラス溶液層4に含まれるアルコールを揮発させる。
【0015】
次に、図1(D)に示すガラス溶液層4からアルコールを揮発させた層を有する半導体基板1を石英やSiC(シリコンカーバイト)から構成される半導体基板拡散用ホルダーにチャージした後に、これを石英やSiC等から構成されるプロセスチューブ内に入れて所定の温度プロファイルの熱処理を施す。即ち、チューブ内に酸素を導入してチューブ内を酸素雰囲気とした状態でアルミニウムの拡散温度(1260℃)よりも低い500〜1000℃の温度まで半導体基板を徐々に加熱する。この熱処理の結果、ガラス形成用材料としてのシラノールが酸化して図2(E)に示すように半導体基板1の一方の主面にSiO2 から成るガラス膜5が形成される。このガラス膜5は一般にSOG(Spin on Giass )と呼ばれるものであり、不純物源膜3のほぼ全面を被覆している。
【0016】
次に、チューブ内に導入するガスを酸素から窒素に切り替えてから、図2(E)の半導体基板1内に1260℃の熱処理を約5時間施して不純物源膜3からシリコン半導体基板1内にAlを拡散する。これにより、図2(F)に示すように半導体基板1内に表面濃度が2×1015cm−3、拡散深さが約36μmの比較的低濃度のP形半導体領域6が形成される。ガラス膜5の形成後における不純物源膜3は、Alのみではなく、AlとSiとの化合物又は混合物の状態になっているものと考えられ、ここからAlが半導体基板1内に拡散する。本実施例では、拡散源膜即ち不純物源膜3のほぼ全面がSOG膜即ちガラス膜5によって被覆された状態でAlの拡散を行っているので、このAl拡散工程の熱処理によってシリコン半導体基板1の一方の主面が窒化されない。なお、半導体基板1の他方の主面側にN型半導体領域1aが残存し、PN接合が得られる。
【0017】
次に、図2(F)の半導体基板1に弗酸又はこれを主成分とする液でエッチングを施して、半導体基板1の一方の主面に残存した不純物源膜3及びガラス膜5を除去して、図2(G)に示すように半導体基板1の一方の主面にP型半導体領域6を露出させる。本実施形態では、上述のようにシリコン半導体基板1の一方の主面が窒化されることがないため、半導体基板1の一方の主面に形成された不純物源膜3やガラス膜5から成る残さ被膜を容易に且つ安全に除去することができる。この理由については、後述する。
【0018】
次に、図2(H)に示すようにP形半導体領域6の上に金属オーミック電極7を形成する。なお、図2(H)では省略されているが、N型半導体領域1aに必要に応じてP形半導体領域等を形成し、周知のトランジスタ、サイリスタ等を構成する。
【0019】
本実施例によれば次の効果を得ることができる。
(1) アルミニウム化合物、有機溶剤及び珪素化合物との混合物から成る液状不純物源を塗布して、これを乾燥し、拡散するという比較的簡単な製造工程によって、相対的に不純物濃度が低く且つ拡散の深さが深いP形半導体領域6を容易に形成することができる。
(2) 珪素化合物を含む液状不純物源を使用するので、液状不純物源の半導体基板1に対する濡れ性が向上し、半導体基板1の上に液状不純物源をむら無く均一な厚みで形成することができる。この結果、拡散層の平坦性を向上することができ、電気的諸特性が良好な半導体装置を製造することができる。液状不純物源濡れ性が向上する理由は、次のように考えられる。即ち、液状不純物源に珪素化合物を含有させない場合には半導体基板(シリコンウエハ)1に対して濡れ性の悪いアルコールが配位するため濡れ性が良好に得られないが、珪素化合物を含有させるとこの化合物又は珪素元素がAl3+に配位していたアルコールの一部と置換して濡れ性の良い配位化合物を形成するためと考えられる。従って、液状不純物源中の珪素化合物の含有率が小さすぎると、濡れ性向上の効果が良好に得られなくなる。このため、液状不純物源中のAl化合物と珪素化合物の含有比率 (珪素化合物/Al化合物)を0.06以上、好ましくは0.1以上とするのが良い。一方、液状不純物源中の珪素化合物の含有率が大きすぎると、Alを良好に拡散させることができなくなる。従って、液状不純物源中のAl化合物と珪素化合物の含有比率(珪素化合物/Al化合物)を10以下、好ましくは5以下とするのが良い。
(3) ガラス膜5を設けたので、半導体基板1の一方の主面にシリコン窒化膜が形成されない。この結果、不純物源膜等から構成される残さ被膜を弗酸又はこれを主成分とするエッチング液によって容易に且つ完全にエッチング除去することができ、P形半導体領域に対してオーミック接触する電極を形成することができる。
【0020】
【変形例】
本発明は上述の実施例に限定されるものでなく、例えば次の変形が可能なものである。
(1) Alを含む液状不純物の代りに、Al(アルミニウム)とB(ホウ素)と珪素又は珪素化合物を含む液状不純物源を半導体基板1に塗布し、乾燥し、その上にガラス膜5を形成して拡散処理することができる。この場合、ホウ素はアルミニウムよりも拡散係数が小さいので、半導体基板1の表面寄りに高い不純物濃度を有した第1のP型半導体領域(AlとBの拡散領域)と、これよりも低い不純物濃度を有して第1のP形半導体領域よりも深い位置に配置された第2のP形半導体領域(Al拡散領域)とが同時に形成される。この結果、第1及び第2のP形半導体領域を比較的短時間且つ容易に形成することができる。
なお、Al化合物と共にB化合物も含有する液状不純物源を使用すると、実施例と同じ1260℃、5時間の熱処理拡散によって、表面不純物濃度3×10 8cm−3、拡散深さが約18μmの高濃度の第1のP型半導体領域と、不純物濃度2×1015cm−3、拡散深さが約36μmの低濃度の第2のP形半導体領域とを一度の拡散によって形成することができる。ボロン化合物としては、高純度のものが得易く、アルコールに可溶であり取り扱いが容易で比較的安全なものである例えば三酸化二ホウ素(B23 )、オルトホウ酸(H3 BO3 )等を使用する。
(2) N形不純物の拡散にも本発明を使用することができる。
(3) 実施例では、珪素化合物Rn Si(OH)4-n をアルコールに溶かしたものから成るガラス溶液(SOG)を使用したが、ポリシラザン系の化合物をエーテル等の溶剤に溶かしたものから成るガラス溶液(SOG)を使用しても良い。この場合、このガラス溶液(SOG)を塗布した後に湿潤雰囲気中で加熱して加水分解、脱NH3 、脱H2 反応を起こさせて重合させることによってSOG被膜を形成することができる。この場合、チューブ内をウェットN2 雰囲気として、半導体基板に対してAl等の不純物を拡散する温度よりも低い温度(例えば500℃程度)の熱処理を施してSOGを加水分解し、その後にAl等が拡散する1260℃に上昇させる。これにより、半導体基板1の一方の主面における窒化膜の生成が防止される。
(4) シラノール、ポリシラザン系化合物以外の有機珪素化合物をガラス膜5の形成に使用することができる。
(5) 窒素雰囲気の代りにアルゴン等の非酸化性雰囲気で不純物を拡散する場合においても、弗酸又はこれを主成分とするエッチング液で除去し難いシリコン化合物が形成されることがある。従って、本発明は、この場合にも適用可能である。
(6) 液状不純物源を半導体基板1の特定領域即ち拡散予定領域のみに塗布することができる。
(7) オーミック電極9の代りに、ショットキバリア電極、FETのゲート絶縁膜等をP形半導体領域6の表面に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例ら従う半導体装置の製造方法を工程順に説明するための概略断面図である。
【図2】図1の工程に続く工程を説明するための断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 液状不純物源層
5 ガラス膜
6 P形半導体領域

Claims (1)

  1. シリコン半導体基体の表面に導電型決定用不純物と溶媒と珪素又は珪素化合物を含有する不純物源溶液を塗布する工程と、
    塗布された不純物源溶液に対して、前記導電型決定用不純物を前記シリコン半導体基体に拡散させるための温度よりも低い温度の加熱処理を施して前記溶液を揮発させ、不純物源膜を形成する工程と、
    前記不純物源膜の上にガラス形成用材料と溶剤とを含むガラス膜形成用溶液を塗布する工程と、
    塗布された前記ガラス膜形成用溶液に対して、前記導電型決定用不純物を前記シリコン半導体基体に拡散させるための温度よりも低い温度の加熱処理を施してガラス膜を形成する工程と、
    前記不純物源膜及び前記ガラス膜を伴ったシリコン半導体基体に前記導電型決定用不純物を拡散させるための加熱処理を施して前記シリコン半導体基体に前記前記導電型決定用不純物を拡散させ、不純物拡散領域を形成する工程と、
    前記ガラス膜及び残存している不純物源膜を除去する工程と
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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