JP3921759B2 - 柱状金属材の端面形状算定方法、および端面形状算定装置 - Google Patents

柱状金属材の端面形状算定方法、および端面形状算定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、稜線上の不特定位置にバリのある端面形状となっている可能性がある柱状金属材について、前記バリの有無にかかわらず、前記稜線上の点の座標を算出することができる端面形状算定技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
鋼製の棒材や線材(以下、単に鋼材という)の製造工程においては、鋼材が熱間ソーなどの切断装置によって所要寸法に切断されている。そして、この切断直後には、図3(a)、同図(b)に示すように、鋼材90の切断端面の外周に様々な形状のバリ92が付着していることが多い。このようなバリ92がそのまま放置されていると、引き続いて鋼材90に加工を施す場合はもちろん、単に鋼材90を運搬するだけであっても、バリ92が何かに引っかかったり、鋼材90から欠片が脱落するなどして、余計な弊害を招く恐れがある。そのため、従来から、上記のような鋼材90を切断した後には、バリ92だけを除去するバリ取り処理や、バリ92とともに鋼材90本体の一部を削る面取り処理を施していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のようなバリ取り処理や面取り処理を、NC加工機で行う場合、従来は、鋼材の外形寸法の公差を考慮して、公差寸法外となる領域にまで突出しているバリが確実に除去されるように、NCデータを作成していた。
【0004】
しかしながら、鋼材の外形寸法には、ロット毎に公差内でのばらつきがあるし、特に、端面の形状については、切断時の鋼材の状態等によっても変わるため、上記のようなNC加工機では、公差寸法内に収まっているようなバリを適切に除去することができないという問題があった。
【0005】
もちろん、ロット毎にNCデータを変更すれば、上記のような問題は生じないが、それではNCデータの更新に多大な手間がかかるため、作業の能率が著しく悪化するという問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、ロット毎に異なる柱状金属材の理想的な端面形状を自動的に算定することのできる端面形状算定方法を提供することにある。また、この端面形状算定方法を実施するのに好適な端面形状算定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段、および発明の効果】
上述の目的を達成するために、本発明の柱状金属材の端面形状算定方法は、請求項1記載の通り、
理想形状は、所定の稜線を有する端面形状であるものの、実形状は、前記稜線上の不特定位置にバリのある端面形状となっている可能性がある柱状金属材について、前記端面および柱面の各面内で、前記バリが存在しないと想定される距離だけ前記稜線付近から離れた領域を測定対象領域として、表面形状計測装置を使って計測することにより、前記測定対象領域内にある点の座標を求め、
この座標に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて、各面または各面に含まれる線を表す近似式を求め、
この近似式に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて得られた近似式を同時に満たす座標を、前記理想形状における前記稜線上にある点の座標として算出する
ことを特徴とする。
【0007】
この柱状金属材の端面形状算定方法によれば、バリが存在しないと想定される測定対象領域における実測値に基づいて、柱状金属材の端面形状を算定しているので、端面外周の稜線上におけるバリの有無にかかわらず、柱状金属材の端面形状を特定することができる。しかも、この端面形状算定方法で特定された端面形状は、実測値に基づいて算定されているため、測定対象となる柱状金属材の外形寸法が、ロット毎にばらついているような場合でも、各ロット毎に理想的と考えられる端面形状が算定される。
【0008】
したがって、この端面形状算定方法で得られた端面形状に従ってNCデータを作成して、NC加工機でバリ取り加工ないし面取り加工を行えば、公差寸法内に収まっているようなバリであっても適切に除去することができ、バリを取り残したり、逆に必要以上の研削加工が行われたりするのを防止できる。
【0009】
ところで、面を表す近似式は、多数の測定点がわかっている場合には、最小二乗法等によって数学的に確定することができるが、近似式の信頼性を高めるには多数の測定点が必要であり、特に柱面については、多角柱などのように多数の面から構成されている場合もあるので、各面についてそれぞれ正確に近似式を求めることは、迅速な処理を行う上では必ずしも得策ではない。
【0010】
この点、請求項2記載の柱状金属材の端面形状算定方法のように、
前記表面形状計測装置による計測を行うに当たって、xyz直交座標系のz軸と前記柱面が平行をなすように前記柱状金属材を配置し、
前記端面については、該端面外周の稜線付近から離れた該端面中央部付近を測定対象領域として、該測定対象領域内にある複数の点の座標を計測した上で、最小二乗法によって端面を表す近似式を求め、
一方、前記柱面については、前記端面付近から離れた位置を前記測定対象領域として、該測定対象領域内にある複数の点の座標を計測した上で、当該座標を通ってz軸に平行な柱面上の直線を表す近似式を求め、
前記端面の近似式および前記柱面上の直線の近似式を同時に満たす座標を、前記理想形状における前記端面外周の稜線上にある点の座標として算出するようにすれば、
少なくとも柱面については、上記xyz直交座標系のz軸に平行で、表面計測装置によって得られた測定箇所の座標を通る直線が、柱面上に必ず存在するので、柱面上の1点を測定するだけで直ちに1本の直線が確定する。具体的には、柱面上のある点の座標を測定した場合、その点とx座標およびy座標が同一でz座標のみ異なるという点が、端面外周の稜線上に必ず存在している。
【0011】
したがって、端面については、測定対象領域内にある複数の点の座標を計測した上で、最小二乗法によって端面を表す近似式を求める必要があるものの、柱面については、端面の近似式に柱面上で測定したx座標、y座標を代入することで、端面外周の稜線上にある点の座標が確定することになる。
【0012】
このような方法で端面外周の稜線上にある点の座標を求めるのであれば、端面の近似式が確定した後は、面倒な計算を行って柱面の近似式を算出しなくても、必要な線密度で柱面上の点を測定してゆくだけで、端面外周の稜線上にある点の座標を迅速に求めてゆくことができる。
【0013】
ちなみに、請求項1記載の端面形状算定方法の場合、通常は、端面および柱面のそれぞれについて、測定対象領域の三次元形状を測定可能な表面形状測定装置(すなわち、三次元形状測定装置)による測定が必要となるが、請求項2記載の端面形状算定方法の場合は、柱面がz軸と平行をなすことはあらかじめ確定しているので、柱面の表面形状を測定した結果としては、xy平面上の座標があればよく、z座標についてはあえて測定する必要はない。したがって、端面については、測定対象領域の三次元形状を測定可能な表面形状測定装置(すなわち、三次元形状測定装置)による測定が必要となるものの、柱面については、あるxy平面との交線上の座標に相当する二次元形状を測定可能な表面形状測定装置(すなわち、二次元形状測定装置)による測定を行えば十分である。なお、請求項2記載の端面形状算定方法において、柱面の三次元形状を測定してもよいことはもちろんである。
【0014】
次に、請求項3に記載の柱状金属材の端面形状算定装置は、
理想形状は、所定の稜線を有する端面形状であるものの、実形状は、前記稜線上の不特定位置にバリのある端面形状となっている可能性がある柱状金属材について、前記端面および柱面の各面内で、前記バリが存在しないと想定される距離だけ前記稜線付近から離れた領域を測定対象領域として計測することにより、前記測定対象領域内にある点の座標を求める表面形状計測手段と、
該表面形状計測手段により計測された座標に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて、各面または各面に含まれる線を表す近似式を求める近似式算出手段と、
該近似式算出手段によって算出された近似式に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて得られた近似式を同時に満たす座標を、前記理想形状における前記稜線上にある点の座標として算出する稜線座標算出手段と
を備えたことを特徴とする。
【0015】
ここで、表面形状計測手段としては、例えば、レーザー曲面形状計測装置、三次元形状入力装置等の名称で市販されている各種三次元形状計測装置を利用できる。この種の装置は、例えば、レーザー光を使って計測対象物を走査するとともに、その反射光をCCD(電荷結合素子)で捉えて、三角測量の原理で計測対象物との距離を測定し、計測対象物表面の座標に相当する数値データを順次算出してゆく装置であり、非接触で測定対象物の形状を数値化することができる。但し、本発明においては、測定対象物表面の座標に相当する数値データを取得できる手段であれば、装置の具体的な構造については問わないので、例えばレーザー光以外の光源を用いるもの、CCD以外の受光手段を有するもの、接触を伴って測定を行うものなどであっても、表面形状計測手段として採用し得る。
【0016】
また、近似式算出手段および稜線座標算出手段は、測定対象領域として選ばれた範囲を上記表面形状計測手段にて計測した後、この計測によって得られる数値データを、計算処理して端面外周の稜線上の座標を算定する手段である。このような近似式算出手段および稜線座標算出手段は、周知の各種コンピュータ・システム上で、上記機能を実行可能に構成されたソフトウェアを動作させることにより実現することができる。
【0017】
このような端面形状算定装置によれば、表面形状計測手段によってバリが存在しないと想定される測定対象領域を実測し、その実測値に基づいて、近似式算出手段および稜線座標算出手段が、柱状金属材の端面形状を算定しているので、端面外周の稜線上におけるバリの有無にかかわらず、柱状金属材の端面形状を特定することができる。しかも、この端面形状算定装置で特定された端面形状は、実測値に基づいて算定されているため、測定対象となる柱状金属材の外形寸法が、ロット毎にばらついているような場合でも、各ロット毎に理想的と考えられる端面形状が算定される。
【0018】
したがって、この端面形状算定装置で得られた端面形状に従ってNCデータを作成して、NC加工機でバリ取り加工ないし面取り加工を行えば、公差寸法内に収まっているようなバリであっても適切に除去することができ、バリを取り残したり、逆に必要以上の研削加工が行われたりするのを防止できる。
【0019】
なお、以上の説明から明らかなように、本発明の端面形状算定装置は、上記表面形状計測手段、近似式算出手段、および稜線座標算出手段に加えて、該稜線座標算出手段により算出された前記稜線上の座標に基づいて、NC切削装置で前記バリの除去を行うのに必要なNCデータを作成するNCデータ作成手段を備えることにより、バリ取り用データ作成装置として完成されたものとなる。NCデータ作成手段としては、コンピュータ・システムによって所定形式のNCデータ列を作成可能に構成された周知のものを採用すればよい。
【0020】
また、このバリ取り用データ作成装置は、上記表面形状計測手段、近似式算出手段、稜線座標算出手段、NCデータ作成手段に加えて、該NCデータ作成手段によって作成されたNCデータに従って、前記バリの除去を行う切削手段をも備えることにより、バリ取り装置として完成されたものとなる。切削手段としては、バイト旋削、グラインダ研削、ハンドグラインダ研削、ワイヤブラシ研削など、周知の切削方法で切削加工可能なNC切削装置を採用すればよい。
【0021】
また一方、上記NCデータ作成手段を、前記稜線座標算出手段により算出された前記稜線上の座標に基づいて、NC切削装置で前記稜線の面取りを行うのに必要なNCデータを作成する手段に置き換えれば、上記バリ取り用データ作成装置、および上記バリ取り装置は、それぞれ面取りデータ作成装置、面取り装置としても完成されたものとなる。
【0022】
加えて、近似式算出手段および稜線座標算出手段は、上述の通り、周知の各種コンピュータ・システム上で、各機能を実行可能に構成されたソフトウェアを動作させることにより実現することができる。
したがって、例えば、理想形状は、所定の稜線を有する端面形状であるものの、実形状は、前記稜線上の不特定位置にバリのある端面形状となっている可能性がある柱状金属材について、前記端面および柱面の各面内で、前記バリが存在しないと想定される距離だけ前記稜線付近から離れた領域を測定対象領域として、表面形状計測装置を使って計測することにより、前記測定対象領域内にある点の座標を求めた際に、その座標をデータ処理するためのプログラムであって、
表面形状計測装置を用いて計測された座標に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて、各面または各面に含まれる線を表す近似式を求める近似式算出処理と、
該近似式算出処理によって算出された近似式に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて得られた近似式を同時に満たす座標を、前記理想形状における前記稜線上にある点の座標として算出する稜線座標算出処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする柱状金属材の端面形状算定処理プログラムを記録した記録媒体があれば、
必ずしも専用の端面形状算定装置を構成しなくても、汎用のコンピュータ・システムに上記記録媒体から端面形状算定処理プログラムをインストールし、汎用のコンピュータ・システム上で、端面形状の算定に必要な計算処理を実行させることが可能となる。
【0023】
なお、上記記録媒体としては、周知の磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク等)、あるいは光学的に読み取り可能な記録媒体(例えば、CD−ROM等)など、コンピュータ・システムで利用可能な記録媒体を任意に採用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
図1に示すように、端面形状算定装置1は、鋼材端面の三次元形状を測定可能な第1表面形状測定装置10と、第1表面形状測定装置10から得られるデータを処理可能な第1制御用パーソナルコンピュータ12(以下、第1制御用PC12という)と、鋼材柱面の二次元形状を測定可能な第2表面形状測定装置14と、第2表面形状測定装置14から得られるデータを処理可能な第2制御用パーソナルコンピュータ16(以下、第2制御用PC16)とを備えてなる。
【0025】
第1表面形状測定装置10は、市販のレーザー曲面形状計測装置(株式会社浜野エンジニアリング製)を利用して構成されている。この装置は、光源として半導体レーザー(出力5mW,波長670nm)を備え、パルスモータ方式でレーザーによる走査を行い、計測対象物からの反射光をCCDカメラで捉えて、三角測量の原理で計測対象物との距離を測定し、測定結果である形状データを、xyz直交座標系で表された数値データとして出力可能な装置である。この装置を用いると、300mm×300mmの視野範囲について200mmの測定深度まで表面形状を測定でき、その分解能は、平面方向で0.93mm、高さ方向で0.015mm、320×240点の座標データを、1分足らずで計測して出力することができる。
【0026】
第2表面形状測定装置14も、同じレーザー曲面形状計測装置を利用して構成されている。但し、上記第1表面形状測定装置10と同じxyz直交座標系においてz座標が特定位置となるxy平面の座標だけを測定可能に構成されている点が、上記第1表面形状測定装置10とは異なる。より具体的には、この端面形状算定装置1においては、鋼材を中心にしてその外周を旋回するように移動する移動体を配設し、この移動体に第2表面形状測定装置14を搭載することで、鋼材の端面から約30mm離れた位置において鋼材の柱面を全周にわたって測定できるように構成してある。鋼材の端面からどの程度の距離まで離すかは、切断方法などに対応して変わるバリの大きさ(予想される大きさ)に応じて変わりうる。なお、鋼材の柱面を全周にわたって測定する方法としては、第2表面形状測定装置14を固定配置し、鋼材側を回転させる方法もあるので、これらはいずれを採用しても構わない。
【0027】
第1制御用PC12、第2制御用PC16は、いずれも市販のパーソナルコンピュータで、それぞれ、上記第1表面形状測定装置10、第2表面形状測定装置14の動作を制御している。また、第1制御用PC12は、第1表面形状測定装置10の他に、第2制御用PC16ともデータ通信可能に接続されている。そして、第2表面形状測定装置14から得られるデータは、第2制御用PC16から第1制御用PC12へと送信され、第1制御用PC12側において、後述する端面形状算定処理が実行されるようになっている。
【0028】
なお、第1制御用PC12には、さらに、NC研削装置20がデータ通信可能に接続され、第1制御用PC12で作成されたNCデータが、NC研削装置20へと送信されるようにも構成されている。但し、第1制御用PC12で作成されたNCデータは、例えば磁気記録媒体等に記録した上で、NC研削装置20に引き渡すことも可能である。
【0029】
以上のように構成された端面形状算定装置1において、第1表面形状測定装置10、および第2表面形状測定装置14は、基準サンプルを用いて原点位置が調整され、両者が同じxyz直交座標系に従った座標を出力できるように初期化される。また、測定対象となる鋼材は、その長手方向が上記直交座標系のz軸と平行をなすように、言い換えれば、柱状の鋼材の柱面がz軸と平行をなすように配置される。そして、以下に説明する端面形状算定処理により、端面外周の稜線上の座標が算出される。
【0030】
端面形状算定処理を開始すると、図2に示すように、第1制御用PC12は、まず、第2制御用PC16に対して柱面上の座標の測定を要求する(S110)。この要求を受けた第2制御用PC16では、第2表面形状測定装置14を制御して鋼材の柱面の測定を開始する。
【0031】
さて続いて、第1制御用PC12は、第1表面形状測定装置10を制御して鋼材の端面の測定を開始する(S120)。そのため、以後、鋼材の端面と柱面は、第1表面形状測定装置10、および第2表面形状測定装置14によって同時進行で表面形状が測定されることになる。S120での測定対象となる範囲は、端面の中央部付近であるが、この範囲は、事前に判明している理想的な端面の大きさに応じて自動設定される範囲としても、手動操作で適当に設定される範囲としてもよい。
【0032】
そして、S120の処理を終えたら、第1制御用PC12は、鋼材の端面を表す近似式を算出する(S130)。ここでは、例えば、鋼材の端面が平面であるものと仮定して、最小二乗法により、最も確からしい平面の方程式ax+by+cz=dを求める。なお、鋼材の端面に球面加工あるいはその他の曲面加工が施されている場合には、同じく最小二乗法によって、最も確からしい曲面の方程式を求めればよい。
【0033】
こうして鋼材端面の近似式を求めたら、第1制御用PC12は、第2制御用PC16に対して柱面上の座標の送信を要求し(S140)、座標データが送信されてくるまで待機する(S150:NO)。上記S140の要求を受けた第2制御用PC16では、第2表面形状測定装置14にて測定した鋼材の柱面の座標を、第1制御用PC12に対して送信する。なお、鋼材の柱面の測定を完了していない場合には、その旨を示す信号を送信するなど、あらかじめ定められた規則に従ったデータ通信を行い、測定が完了した時点で座標データの送信に移ることになるが、これらの細かな手順自体は本発明の要部ではないので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0034】
そして、第1制御用PC12は、座標データが送信されてきたら(S150:YES)、その座標データを受信する(S160)。なお、第2制御用PC16からは、第1制御用PC12に対して、座標データとして、第2表面形状測定装置14にて測定した座標(x1,y1)が送信される。上述の通り、測定対象となる鋼材の柱面は、z軸と平行をなすように配置されているため、x座標およびy座標が判明すれば、その座標を通ってz軸方向に延びる直線、すなわち、理想的な端面外周の稜線と交差する直線を求められる。
【0035】
但し、具体的な処理として直線の方程式を求める必要はなく、上記S130で求めた近似式に、送信されてきた(x1,y1)を代入することで、近似式からz座標の値z1を求める処理を行えば、直線の方程式を求めた上で端面の方程式との交点を求めたことになる(S170)。すなわち、このS170の処理によって得られた座標(x1,y1,z1)が、理想的な稜線上の座標となる。
【0036】
ちなみに、このS170の処理は、第2制御用PC16から送信されてきたn個の座標データをすべて処理するまで実行され、その結果、理想的な稜線上の座標としてn個の座標データを得ることができる。
以上説明したように、この端面形状算定処理によれば、最小二乗法によって端面を表す方程式を求めるとともに、その端面と柱面上でz軸と平行をなす直線の方程式との交点から端面外周の稜線上の座標を求めており、特に、上記端面を表す方程式および上記柱面上の直線の方程式を決定するに当たっては、バリがないと想定される範囲を実測しているので、実際には端面外周の稜線上にバリがある鋼材を測定しているとしても、そのバリの影響を受けることなく理想的な端面外周の稜線上の点を算定することができる。
【0037】
しかも、実測値に基づいて決定した理想的な稜線上の座標なので、公差範囲を考慮して大まかに決定した稜線とは異なり、ロット毎に存在するばらつきをも加味した座標となっている。
したがって、上記の端面形状算定処理で得た稜線上の座標に基づいて、NC加工機用のNCデータを作成し、NC研削装置20へと送信すれば、鋼材のロット毎に理想的な稜線に沿ってバリ取りや面取りを実施することができ、公差範囲外に突出しているバリはもちろんのこと、公差範囲内に収まっているようなバリをも残らず除去することができる。
【0038】
なお、上記実施形態において、第1表面形状測定装置10,および第2表面形状測定装置14が、本発明の表面形状測定手段に相当する。また、第1制御用PC12、および第2制御用PC16が、上記端面形状算定処理プログラムを実行することで、本発明の近似式算出手段、および稜線座標算出手段として機能する。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態については上記のもの以外にも種々の具体的形態が考えられる。
例えば、上記実施形態においては、鋼材の表面形状を測定するに当たって、鋼材の長手方向がz軸と平行をなすように配置することで、鋼材の柱面については、1点を測定する毎に、理想的な稜線上の座標を1点分得られるように構成してあったが、鋼材の柱面についても、端面と同様に、平面ないし曲面の近似式を算定し、2つの近似式から交線上の座標を求めるようにしてもよい。このようにすれば、鋼材の長手方向がz軸と平行をなすように配置する手間はかからない。但し、より正確に柱面の近似式を求めるには、多数箇所の測定を行う必要があるので、データ処理にかかる時間を考慮すると、上記実施形態のものの方が現実的である。
【0040】
また、上記実施形態においては、端面と柱面のそれぞれについて、個別に表面形状測定装置と制御用PCを用意して、表面形状の計測を行っていたが、表面形状測定装置ないし鋼材を移動させることにより、1台の表面形状測定装置で端面および柱面の双方を計測してもよい。また、2台の表面形状測定装置を1台の制御用PCで制御してもよい。
【0041】
なお、上記実施形態においては、鋼材の端面形状を算定する例を示したが、柱状金属材であれば、同様にバリの影響を受けずに端面形状を算定できることはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態の端面形状算定装置を示すブロック図である。
【図2】 端面形状算定処理を示すフローチャートである。
【図3】 柱状鋼材端面外周の稜線上に突出するバリの形態を例示する図であり、(a)はバリを柱面側から見た図、(b)はバリを切断端面側から見た図である。
【符号の説明】
1・・・端面形状算定装置、10・・・第1表面形状測定装置、12・・・第1制御用パーソナルコンピュータ、14・・・第2表面形状測定装置、16・・・第2制御用パーソナルコンピュータ、20・・・NC研削装置。

Claims (3)

  1. 理想形状は、所定の稜線を有する端面形状であるものの、実形状は、前記稜線上の不特定位置にバリのある端面形状となっている可能性がある柱状金属材について、前記端面および柱面の各面内で、前記バリが存在しないと想定される距離だけ前記稜線付近から離れた領域を測定対象領域として、表面形状計測装置を使って計測することにより、前記測定対象領域内にある点の座標を求め、
    この座標に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて、各面または各面に含まれる線を表す近似式を求め、
    この近似式に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて得られた近似式を同時に満たす座標を、前記理想形状における前記稜線上にある点の座標として算出する
    ことを特徴とする柱状金属材の端面形状算定方法。
  2. 請求項1記載の柱状金属材の端面形状算定方法において、
    前記表面形状計測装置による計測を行うに当たって、xyz直交座標系のz軸と前記柱面が平行をなすように前記柱状金属材を配置し、
    前記端面については、該端面外周の稜線付近から離れた該端面中央部付近を測定対象領域として、該測定対象領域内にある複数の点の座標を計測した上で、最小二乗法によって端面を表す近似式を求め、
    一方、前記柱面については、前記端面付近から離れた位置を前記測定対象領域として、該測定対象領域内にある複数の点の座標を計測した上で、当該座標を通ってz軸に平行な柱面上の直線を表す近似式を求め、
    前記端面の近似式および前記柱面上の直線の近似式を同時に満たす座標を、前記理想形状における前記端面外周の稜線上にある点の座標として算出する
    ことを特徴とする柱状金属材の端面形状算定方法。
  3. 理想形状は、所定の稜線を有する端面形状であるものの、実形状は、前記稜線上の不特定位置にバリのある端面形状となっている可能性がある柱状金属材について、前記端面および柱面の各面内で、前記バリが存在しないと想定される距離だけ前記稜線付近から離れた領域を測定対象領域として計測することにより、前記測定対象領域内にある点の座標を求める表面形状計測手段と、
    該表面形状計測手段により計測された座標に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて、各面または各面に含まれる線を表す近似式を求める近似式算出手段と、
    該近似式算出手段によって算出された近似式に基づいて、前記端面および柱面のそれぞれについて得られた近似式を同時に満たす座標を、前記理想形状における前記稜線上にある点の座標として算出する稜線座標算出手段と
    を備えたことを特徴とする柱状金属材の端面形状算定装置。
JP28859797A 1997-10-21 1997-10-21 柱状金属材の端面形状算定方法、および端面形状算定装置 Expired - Fee Related JP3921759B2 (ja)

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