JP6883966B2 - 砥石径の推定方法及びそれを用いた工作機械 - Google Patents

砥石径の推定方法及びそれを用いた工作機械 Download PDF

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本発明は、工作機械 特に研削装置の砥石径の管理技術に関し、特に、AEセンサと工作機械の送り軸を用いた砥石径のブラインド推定方法及びそれを用いた砥石径推定機能付き工作機械に関する。
一般に研削装置では、砥石を回転させ、砥石と工作物とを接触させつつ工作物を削り取ることで加工を行う。この時、砥石は常に磨り減って小さく変化しており径を管理しないと仕上がりの寸法が当初の意図と異なるものに仕上がってしまう。特に、ツルーイングやドレッシングと呼ばれる作業の後には大きく砥石径が変化するため、自動化対応の機械では径を自動測定する装置が設けられる(例えば、特許文献1及び2参照)。
この様な砥石径管理に限らず測定用途対応のNC工作機械では送り指令を外部装置の信号で停止できるスキップ機能と呼ばれる機能が利用されており、停止したときの座標を基準として様々な測定に利用されている。そのスキップ機能に使用される、外部装置から出力される信号ないしNCに入力される信号をスキップ信号と呼ぶ(例えば、特許文献3参照)。一方で砥石と工作物が接触した時に接触検知の信号を出力するAEセンサと呼ばれる装置があり、この装置をスキップ信号として使用する例も多い(例えば、特許文献4参照)。また、従来の砥石径の推定方法として、例えば、ある寸法の既知のブロックを砥石の両側から当ててスキップ機能で接触位置で送りを止めることにより、その座標差から砥石径を推定する方法がある(比較例として後述する)。また、光学機械の分野であるが、SPMの測定器のチップのブラインド推定方法に関し、測定器の軸方向の移動機構の精度を信頼した上で、その移動距離からSPMの測定器のチップ形状を推定する方法も開示されている(非特許文献1参照)。
特開平7−299746号公報 特開2001−179587号公報 特開2014−002654号公報 特開2005−313323号公報
Algorithm for Scanned Probe Microscope Image Simulation, Surface Reconstruction, and Tip Estimation, J. S. Villarrubia, Journal of Research of the National Institute of Standards and Technology Volume 102, Number 4, July-August 1997, P425-454
しかしながら、上述した従来の砥石径の推定方法のうち、例えば、比較例として後述する方法では、ある寸法の既知のブロックを両側から当て、スキップ機能で接触位置で送りを止めた座標差から砥石径を評価するので、ブロックは正方形である必要はないが寸法既知でなければいけないという制約がある。また、AEセンサ等の接触検知手段を用いる方法では、AEセンサ等の感度が十分ではなく、接触と非接触の差が十分に明瞭とは言えないという問題があった。
このため、工作機械 特に研削装置の砥石径の管理技術の向上が望まれており、特に、AEセンサ等の接触検知手段を用いるのであれば、その感度が十分に高い、即ち、接触と非接触の差が明瞭であり、或いは一定の条件が揃えば、既知の寸法の物体を用意する手間を省略できる砥石径の新規な推定方法及びそれを用いた研削装置等の工作機械の開発が切望されている。
本発明は、以上のような事情から為されたものであり、その目的は、AEセンサ等の接触検知手段の感度が十分に高い、即ち、接触と非接触の差が明瞭であり、一定の条件が揃えば、既知の寸法の物体を用意する手間を省略できる砥石径の推定方法及びそれを用いた工作機械を提供することにある。
砥石径の測定は、従来、ブロック状のワークを削ってみて、削ったブロックの寸法と、ブロックに砥石を当てて止めた位置から砥石半径を算出するようにしていたが、削った後の寸法を測らずにNCの軸方向の移動距離の精度を信頼し、その移動距離の情報をそのまま用いることで、砥石径のブラインド推定が可能になることに着眼した。即ち、本発明者は、上述した非特許文献1に記載の方法を応用し、AEセンサ等の接触検知手段と工作機械の送り軸を用い、砥石が丸いという前提で、砥石径のブラインド推定が可能になることを見出した。図面を用いて後述するように、適当な板を用意しX−Y送りを使用して面を削り角を出す(2面が出れば四角にする必要はない、換言すれば角は直角(90度)でなくても良い)、そこで辺に向けて送るステップと角に向けて送るステップを踏んで下記の数式(2A)のように砥石の半径rが評価できる。X−Y同時制御ができる機械であれば、板の角は必ずしも直角である必要はなく、辺に当てる動作と角に当てる動作があれば求められる。
Figure 0006883966
即ち、本発明の第1の様相は、少なくともX−Y−Zの三軸の送り軸を有し、該三軸のうち二軸以上の同時制御が可能なCNC制御の研削装置が有する砥石の半径を任意の形状のワークを用いて推定する方法であって、前記砥石をX軸方向に送り、前記ワークを、当該ワークの一辺が直線状になるように研削する工程と、前記砥石をY軸方向に送り、前記ワークを当該ワークの前記一辺と直交する他の一辺が直線状になるように研削し、前記ワークに角を形成する工程と、前記砥石を前記一辺に向けて直線に送り、接触検知手段によりワークの前記他の一辺と砥石との接触を検知する座標のX成分X1を求める工程と、進行を直角の半角45度に沿って二軸同時制御により前記角の座標に向って前進させて、接触検知手段によりワークの前記角と砥石との接触を検知する座標のX成分X2を求める工程と求めたX1とX2の値を用いて、砥石の半径rを以下の数式(2A)により求める工程と、を有することを特徴とする。三軸のうちどれかが入れ替わるないし座標が回転している場合にも座標変換により同等に扱うことができる場合も含むことは言うまでもない。たとえば、X−Y平面内における半径推定にとどまる場合にはZ一軸は推定に使用しない構成も可能である。すなわち、同時制御軸は二軸とする構成も可能であることは言うまでもない。
Figure 0006883966
また、本発明の第2の様相は、少なくともX−Y−Zの三軸の送り軸を有し、該三軸のうち二軸以上の同時制御が可能なCNC制御の研削装置が有する砥石の半径を任意の形状のワークを用いて推定する方法であって、前記ワークに対し、砥石をX−Y軸方向に送り前記ワーク面の一辺を砥石により直線に削りだし略半円形の第1の溝を創り、砥石のX−Y軸方向の送りを止めた時の砥石の中心点の座標位置C1(x1,Y1)を記憶する工程と、前記略半円形の第1の溝と間隔を開けて2溝分目を砥石により切り込んで略半円形の第2の溝創り、砥石のX−Y送りを止めた時の砥石の中心点の座標位置C2(x2,Y2)を記憶する工程と、接触検知手段により前記第1の溝G1と第2の溝G2の中間点と砥石との接触を検知するまで砥石を直進させ、前記中間点と砥石との接触を接触検知手段により検知したらスキップ信号で止め、砥石をスキップ信号でX−Y送りを止めた時の砥石の中心点の座標位置C3(x3,Y3)を記憶する工程と、以上3つの中心点の座標位置と、C3でスキップ信号で止めた時に砥石がワークに接触している座標位置P(xp,Yp)と砥石の半径Rを変数とし、最小二乗法や数値最適化手法を用いた以下の数式(3)を用いた計算により砥石の半径Rを求める工程と、を有することを特徴とする。
Figure 0006883966
前記接触検知手段はAEセンサであるのが好適である。また、以上の砥石径の推定方法を用いることを特徴とする工作機械が得られる。
本発明によれば、工作機械 特に研削装置の砥石径の管理技術の向上が可能であり、AEセンサ等の接触検知手段の感度が十分に高い、即ち、接触と非接触の差が明瞭であり、一定の条件が揃えば、既知の寸法の物体を用意する手間を省略できる砥石径の推定方法及びそれを用いた砥石径推定機能付き工作機械を提供することができる。また、たとえ工作機械の送りの繰り返し性や分解能に対して妥当なほど正確な数値が得られなくても概ねの数値が得られれば、それを管理することで砥石周辺の異常検知にも寄与する。
本発明が適用される工作機械の一例を示す図である。 比較例としての従来の砥石径の推定方法について説明するための図である。 本発明の第1の実施形態の砥石径の推定方法について説明するための第1の図である。 本発明の第1の実施形態の砥石径の推定方法について説明するための第2の図である。 本発明の第1の実施形態の変形例に係る砥石径の推定方法について説明するための図である。 本発明の第2の実施形態の砥石径の推定方法について説明するための第1の図である。 本発明の第2の実施形態の砥石径の推定方法について説明するための第2の図である。 本発明の第1の実施形態の変形例において、計算上の座標を回転(X-Y → X’-Y’)し回転後の座標系で砥石径を推定する方法について説明するための図である。
図1は、本発明が適用される工作機械の一例を示す図であり、(a)はその斜視図、(b)はその右側面図である。本発明の砥石径の推定方法は、少なくともX−Y−Zの三軸の同時制御ができるCNC制御の工作機械(研削装置)であれば適用可能である。本発明が適用される工作機械としての研削装置10は、図1に示すように、ベッド12上にコラム14が図示しないレールを介してY軸方向(前後方向)へ移動可能に支持されている。ベッド12の後部には図示しないコラム移動用モータが配設され、このモータにより図示しないボールネジ等を介してコラム14がレールに沿って前後移動されるようになっている。コラム14には主軸ヘッド16がZ軸方向に移動可能(昇降可能)に支持され、その主軸ヘッド16の先端には工具としての砥石18が取り付けられている。
コラム14の上部には図示しない主軸ヘッド昇降用モータが配設され、このモータにより図示しないボールネジ等を介して主軸ヘッド16が昇降されるようになっている。主軸ヘッド16の後部には図示しない砥石回転用モータが配設され、このモータにより回転砥石18が回転されるようになっている。ヘッド昇降用モータには、図示しない計測手段を構成するエンコーダが付設され、このエンコーダから出力されるデータにより主軸ヘッド16の昇降量、及び図示しないワークに対する切り込み量が算出される。
ベッド12上にはワークテーブル20がレールを介して、コラム14の移動方向と直交するX軸方向(左右方向)へ移動可能に支持され、その上面には図示しないワークが着脱可能に設置固定されるようになっている。ベッド12には図示しないテーブル移動用モータが配設され、このモータにより図示しないボールネジ等を介してワークテーブル20がレールに沿って移動されるようになっている。
そして、前記砥石回転用モータにより砥石18が回転された状態で、前記ヘッド昇降用モータにより主軸ヘッド16(砥石18)が下降されて、砥石18がワークテーブル20上のワークの上面に接触される。これと同時に、コラム移動用モータによる砥石18の前後移動をともないながら、テーブル移動用モータによりワークテーブル20が左右方向へ往復移動される。このため、ワークの表面が砥石18にて研削されるようになっている。尚、研削装置10は、砥石18とワークとの接触検知手段としての図示しないAE(アコースティックエミッション)センサをワーク側に備えている。そして、AEセンサによりワークと砥石18との接触を検知したら、スキップ信号により砥石18の送りを止めることができるように構成されている。
まず、本発明の理解を容易にするため、比較例として前述した従来の砥石径の推定方法について図2を参照して簡単に説明しておく。この比較例も、図1に示した工作機械としての研削装置10に適用可能であるのは、本発明と同様である。図2に示す比較例は、ある寸法の既知のブロックを砥石の両側から当ててスキップ機能で接触位置で送りを止めることにより、その座標差から砥石径を推定する方法である。即ち、図2(a)(b)に示すように、例えば正方形で、寸法が既知のブロックBを用意し、まずは、図2(a)に示すように、ブロックBの右側から砥石SをX軸方向でブロックBに切り込む側に移動させ、ブロックBの右辺との接触を検知するまでの距離X1を求める。次に、図2(b)に示すように、ブロックBの左側から砥石SをX軸方向でブロックBに切り込む側に移動させ、ブロックBの左辺との接触を検知するまでの距離X2を求める。ここでブロックBの左右方向の寸法aが既知であれば、砥石Sの径(半径)rは、下記の数式(1)により求めることができる。
Figure 0006883966
しかしながら、図2に示しつつ上述した比較例の砥石径の推定方法では、寸法が既知のブロックBの両側から砥石Sを当て、スキップ機能で接触位置で送りを止めた座標差から砥石Sの径を評価するので、ブロックBは図示の正方形である必要はないが、少なくとも寸法が既知でなければいけないという問題がある。
これに対し、本発明の第1の実施形態は、図3(a)に示すように、適当な形状の板Wを用意し、X−Y送りを使用して板Wの面を砥石Sにより削り角を出す。ここで、2面(2辺)が出れば四角(4面・4辺)にする必要はない。そして、図3(b)(c)に示すように、板Wの一辺(一面)に向けて送るステップと角に向けて送るステップを踏んで下記の数式(2A)のように砥石Sの半径rが評価できる。尚、図面では板Wを平面図で示しているので辺と表現するが、板Wの厚みを考えた場合が面という意味である(以下、同様の使い方をする)。
Figure 0006883966
尚、X−Y同時制御ができる機械であれば、砥石Sを当ててスキップ信号により止めるターゲットとなる板Wの角は、必ずしも図3(b)(c)に示すような直角(90度)である必要はなく、後述する図5(a)(b)に示すように、例えば120度ぐらいの角でも良い。このような角を形成する場合でも、板Wの一辺(一面)に砥石Sを当てる動作と当該120度の角に砥石Sを当てる動作があれば求められる。
本発明の第1の実施形態を、図4(a)(b)(c)(d)(e)を参照して分かり易く説明する。即ち、図4(a)に示すように、まず、適当な形状の板(ワーク)Wを用意する。上述した比較例と異なるのは、板(ワーク)Wの形状は任意であり、その寸法は既知である必要は無い。次に、図4(b)に示すように、砥石SをX軸方向に送り(往復移動)を実行し、実際に板(ワーク)Wを、図4(b)における下辺が直線状になるように砥石Sにより削る。続いて、図4(c)に示すように、砥石SをY軸方向に送り(往復移動)を実行し、実際に板(ワーク)Wを、図4(c)における左辺が直線状になるように砥石Sにより削る。これにより、板(ワーク)Wに角(K)が形成される。そして、次に、図4(d)に示すように、砥石SをX軸方向に送りを実行し、板(ワーク)Wの左側から砥石SをX軸方向で板(ワーク)Wを切り込む側に移動させ、図示しない接触検知手段としてのAE(アコースティックエミッション)センサにより板(ワーク)Wの左辺と砥石Sとの接触を検知するまでの距離X1を求める。続いて、図4(e)に示すように、砥石SがY軸上の所定位置にある状態で、砥石Sを板(ワーク)Wの角(K)に向けて送り、図示しない接触検知手段としてのAE(アコースティックエミッション)センサにより板(ワーク)Wの角(K)と砥石Sとの接触を検知するまでの距離X2を求める。これにより、砥石Sの径(半径)rは、上記した数式(2A)により求めることができることになる。
上述したように、X−Y同時制御ができる機械であれば、砥石Sを当ててスキップ信号により止めるターゲットとなる板Wの角は、必ずしも図3(b)(c)に示したような直角(90度)である必要はなく、図5(a)(b)に示すように、例えば120度ぐらいの角(K)でも良い。本発明の第1の実施形態の変形例として、図5(a)(b)に示すように、例えば120度ぐらいの角(K)を形成する場合でも、板Wの一辺(一面)に砥石Sを当てる動作と当該120度の角に砥石Sを当てる動作があれば砥石Sの半径rが求められる。その場合、図8の様に計算上の座標を回転(X-Y → X’-Y’)し回転後の座標系の中で下記の数式(4)を解くことで同様に扱える。またXとYやXとZなどが入れ替わっても同様であることは言うまでもない。
Figure 0006883966
次に、本発明の第2の実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。本発明の第2の実施形態は、図6(a)(b)(c)(d)に示すように、少なくともX−Y−Zの三軸の同時制御ができるCNC制御の研削装置が有する砥石Sを用いて、任意の形状のワークWを研削することにより、砥石Sの半径を推定する方法である。本実施形態では、ワークWに対し、砥石SをX−Y軸方向に送りワークWの面の一辺を砥石Sにより直線に削りだし略半円形の第1の溝G1を創り、砥石SのX−Y軸方向の送りを止めた時の砥石Sの中心点の座標位置C1(x1,Y1)を記憶しておく。次に、略半円形の第1の溝G1と間隔を開けて2溝分目を砥石により切り込んで略半円形の第2の溝G2創り、砥石SのX−Y送りを止めた時の砥石Sの中心点の座標位置C2(x2,Y2)を記憶しておく。図示しない接触検知手段としてのAEセンサにより第1の溝G1と第2の溝G2の中間点Ceと砥石Sとの接触を検知するまで砥石Sを直進させ、中間点Ceと砥石Sとの接触を図示しない接触検知手段としてのAEセンサにより検知したらスキップ信号で止め、砥石Sをスキップ信号でX−Y送りを止めた時の砥石Sの中心点の座標位置C3(x3,Y3)とスキップ信号で止めた時に砥石SがワークWに接触している上記中間点Ceの座標位置P(xp,Yp)を記憶しておく。以上3つの中心点の座標位置C1、C2及びC3と1つの中間点Ceの座標位置Pから砥石Sの半径Rを最小二乗法や計算機を用いた数値最適化手法ないし数値最小化手法と呼ばれる方法を用いて以下の数式(3)のε2最小化問題を解くことにより求める。
Figure 0006883966
本発明の第2の実施形態を、図6(a)(b)(c)(d)及び数式(3)を参照して分かり易く説明する。即ち、図6(a)に示すように、まず、適当な板Wを用意し砥石SをX−Y送りを使用して板Wの面の一辺を砥石Sにより直線に削りだし第1の溝G1を創る、そして、この砥石SをX−Y送りを止めた時の砥石Sの中心の座標位置C1(x1,Y1)を記憶しておく。次に、図6(b)に示すように、そこに間隔を開けて2溝分目を砥石Sにより切り込んで第2の溝G2を創る。そして、この砥石SをX−Y送りを止めた時の砥石Sの中心の座標位置C2(x2,Y2)を記憶しておく。更に、図6(c)に示すように、図示しない接触検知手段としてのAEセンサにより第1の溝G1と第2の溝G2の中間点Ceと砥石Sとの接触を検知するまで中間(中央)Ceに向かって砥石Sを前進(直進)させ接触を検知したらスキップ信号(スキップ機能)で止める。そして、この砥石Sをスキップ信号でX−Y送りを止めた時の砥石Sの中心の座標位置C3(x3,Y3)を記憶しておく。これにより、図6(d)に示すように、それぞれ砥石Sを止めた時の砥石Sの輪郭を構成する3つの円が重なるので、以上3つの点の座標位置から砥石Sの半径Rは最小二乗法を用いて上記の数式(3)により推定できる。即ち、図7に示すように、それぞれ砥石Sを止めた時の砥石Sの輪郭を構成する3つの円が重なるので、以上3つの点の座標位置から砥石Sの半径Rは最小二乗法や計算機を用いた数値最適化手法を用いて上記の数式(3)のε2最小化問題を解くことにより推定できる。
即ち、第1の溝G1をつける時に止めた座標位置C1(x1,Y1)、第2の溝G2をつける時に止めた座標位置C2(x2,Y2)、スキップ信号で止めた時の座標位置C3(x3,Y3)は、分かっておりスキップ信号で止めた時に砥石Sが接触している点の座標位置P(xp,Yp)と砥石Sの半径Rは未知であるが、砥石Sの半径Rは最小二乗法などを用いて上記の数式(3)により推定できる。
本発明によれば、AEセンサ等の接触検知手段の感度が十分に高い、即ち、接触と非接触の差が明瞭であり、一定の条件が揃えば、既知の寸法の物体を用意する手間を省略できる砥石径の推定方法及びそれを用いた砥石径推定機能付き工作機械を提供することができる。即ち、AEセンサ等の接触検知手段の感度が十分に高い、すなわち接触・非接触の差が非常に明瞭であり、CNC制御の工作機械の送り軸の制御が常に正しいという条件がそろえば既知の寸法の物体を用意する手間が省略できる。
10 研削装置、 S 砥石、 W ワーク(板)、 Ce 中間点、 G1 第1の溝、
G2 第2の溝、 K 角

Claims (4)

  1. 少なくともX−Y−Zの三軸の送り軸を有し、該三軸のうち二軸以上の同時制御が可能なCNC制御の研削装置が有する砥石の半径を任意の形状のワークを用いて推定する方法であって、
    前記砥石をX軸方向に送り、前記ワークを、当該ワークの一辺が直線状になるように研削する工程と、
    前記砥石をY軸方向に送り、前記ワークを当該ワークの前記一辺と直交する他の一辺が直線状になるように研削し、前記ワークに角を形成する工程と、
    前記砥石を前記一辺に向けて直線に送り、接触検知手段によりワークの前記他の一辺と砥石との接触を検知する座標のX成分X1を求める工程と、
    進行を直角の半角45度に沿って二軸同時制御により前記角の座標に向って前進させて、接触検知手段によりワークの前記角と砥石との接触を検知する座標のX成分X2を求める工程と
    求めたX1とX2の値を用いて、砥石の半径rを以下の数式(2A)により求める工程と、を有することを特徴とする砥石径の推定方法。
    Figure 0006883966
  2. 少なくともX−Y−Zの三軸の送り軸を有し、該三軸のうち二軸以上の同時制御が可能なCNC制御の研削装置が有する砥石の半径を任意の形状のワークを用いて推定する方法であって、
    前記ワークに対し、砥石をX−Y軸方向に送り前記ワーク面の一辺を砥石により直線に削りだし略半円形の第1の溝を創り、砥石のX−Y軸方向の送りを止めた時の砥石の中心点の座標位置C1(x1,Y1)を記憶する工程と、
    前記略半円形の第1の溝と間隔を開けて2溝分目を砥石により切り込んで略半円形の第2の溝創り、砥石のX−Y送りを止めた時の砥石の中心点の座標位置C2(x2,Y2)を記憶する工程と、
    接触検知手段により前記第1の溝G1と第2の溝G2の中間点と砥石との接触を検知するまで砥石を直進させ、前記中間点と砥石との接触を接触検知手段により検知したらスキップ信号で止め、砥石をスキップ信号でX−Y送りを止めた時の砥石の中心点の座標位置C3(x3,Y3)を記憶する工程と、
    以上3つの中心点の座標位置と、C3でスキップ信号で止めた時に砥石がワークに接触している座標位置P(xp,Yp)と砥石の半径Rを変数とし、最小二乗法や数値最適化手法を用いた以下の数式(3)を用いた計算により砥石の半径Rを求める工程と、を有することを特徴とする砥石径の推定方法。
    Figure 0006883966
  3. 請求項1又は2に記載の砥石径の推定方法において、前記接触検知手段はAEセンサであることを特徴とする砥石径の推定方法。
  4. 請求項3に記載の砥石径の推定方法を用いることを特徴とする工作機械。
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