JP3921382B2 - プリント硬質床材及びその製造方法並びにプリント床構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、多色印刷による鮮やかな絵柄(写真画像等)が形成されたプリント硬質床材及びその製造方法並びに多色印刷による連続絵柄を大面積で鮮明に表せるプリント床構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面に図柄等が付与された硬質床材としては、その表面側にグラビア印刷が施されることによって石目調、木目調等のリピート柄が形成されたものが知られている。このような図柄の形成によって硬質床材のデザイン性が高められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、このような硬質床材においても、絵柄等がフルカラー印刷等の多色印刷によって鮮やかに形成されたものが求められるようになってきている。例えば、タイル状硬質床材を多数個敷き詰めてその表面全体に大きな連続絵柄(風景写真、航空写真等の写真画像)をフルカラーで形成したいというニーズがある。
【0004】
しかしながら、従来のようなグラビア印刷では、一般的にせいぜい3〜4色ぐらいまでしか対応できず、少なくともフルカラー印刷は到底困難であり、いずれにしても多色印刷を行うことは難しかった。また、グラビア印刷の場合には色の数だけの版を製作する必要があり、もし多色印刷を行うとすれば版を多数製作しなければならず、この版の製作に多大なコストと時間を要するという問題があった。更に、グラビア印刷は版による転写印刷方式であるので、大きな面積の連続絵柄を印刷することはできなかった。
【0005】
そこで、本発明者らは、上記のような課題を解決すべく、インクジェット方式等のオンデマンド方式によってフルカラー等の多色印刷を行うことを試みた。即ち、まず上面にインク受理層が設けられたフィルムの上にインクジェット方式により風景写真等の絵柄(画像)をフルカラー印刷して印刷フィルムを製作した。この印刷フィルムを印刷面を上にして熱可塑性樹脂からなる基材シートの上に載せ、更にこの上に接着シートを介して熱可塑性樹脂からなる透明表面シート(保護シート)を載せて、熱プレスを行うことでプリント硬質床材の製作を試みたが、接着シートを用いているにもかかわらず、印刷フィルムと透明表面シートとの接着が悪く、良好状態に両者を一体化することができなかった。このように接着性が低いのはインクジェット用フィルムの表面に吸水性のインク受理層が設けられていることの影響があると考えられる。更に、透明表面シートを通して外観される絵柄は鮮明さが十分に得られるものではなかった。
【0006】
このような印刷フィルムと透明表面シート間の接着性の悪さは静電カラープリント方式を用いて同様の印刷を行った場合でも同じであった。
【0007】
この発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、多色印刷による絵柄(写真画像等)を鮮明に形成することができ、また大きな面積の連続絵柄の形成も可能になると共に、低コストで、生産性にも優れ、しかも良好状態に接着一体化されて耐久強度に優れた高品質のプリント硬質床材及びその製造方法並びに大面積の連続絵柄を鮮明状態に形成できるプリント床構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、熱可塑性樹脂からなる透明表面層と、重ね合わせ面にオンデマンド方式によってプリントが施された熱可塑性樹脂からなる基材層とが、ポリウレタン系ホットメルト樹脂からなる接着層を介して接着一体化されてなることを特徴とするプリント硬質床材(第1発明)によって達成される。
【0009】
上記目的は、重ね合わせ面にオンデマンド方式によってプリントが施された熱可塑性樹脂からなる透明表面層と、熱可塑性樹脂からなる基材層とが、ポリウレタン系ホットメルト樹脂からなる接着層を介して接着一体化されてなることを特徴とするプリント硬質床材(第2発明)によっても達成される。
【0010】
本発明によれば、透明表面層と基材層とがポリウレタン系ホットメルト樹脂の溶融固化により接着されるので、十分な接着強度が確保され、耐久強度に優れたプリント硬質床材が得られる。また、接着層がポリウレタン系ホットメルト樹脂で形成されているので、該接着層及び透明表面層を介して外観される絵柄(画像等)は非常に鮮明なものとなる。また、オンデマンド方式によってプリントされるので、印刷のための版作成を必要とせず、低コストであるし、生産性にも優れている。更に、オンデマンド方式によるプリントであるから、フルカラー印刷等の多色印刷による絵柄を形成できるし、また例えば図5に示すように本発明の硬質床材を多数個敷き詰めてこれらの表面全体としてフルカラーの大きな面積の連続絵柄(風景写真、航空写真等の写真画像など)を表現することも可能となる。
【0011】
第1発明において、プリントが、前記基材層の表面に設けられたインク受理層に対してインクジェット方式により行われたものである場合には、絵柄(画像等)が一層鮮明に外観されるものとなる。
【0013】
また、基材層には顔料が配合されているのが好ましく、これにより絵柄の鮮明さをより一層向上できる。
【0014】
更に、上記透明表面層及び基材層を構成する樹脂は、塩化ビニル樹脂またはポリオレフィン系樹脂であるのが、接着強度を一層向上できる点で、好ましい。
【0015】
また、この発明に係るプリント床構造は、上記いずれかに記載のプリント硬質床材がタイル状に形成されて、このプリント硬質床材の複数個が、下地床面上に敷き詰められることによってこれらの表面全体として多色印刷の連続絵柄が外観されるように構成されたものである。
【0016】
上記プリント硬質床材を敷き詰めて構成しているので、全体として鮮明な連続絵柄(風景写真、航空写真等の写真画像等)を大きな面積で表現することができるとともに、このような耐久性に優れたプリント床構造を低コストで構築できる。
【0017】
また、この発明のプリント硬質床材の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる基材シートの上に、上面にオンデマンド方式によってプリントが施された熱可塑性樹脂からなる印刷フィルム、ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルム、熱可塑性樹脂からなる透明表面シートをこの順に重ね合わせた状態で熱プレスを行い接着一体化することを特徴とするものであり、前記第1発明のプリント硬質床材が得られる。
【0018】
また、この発明の別のプリント硬質床材の製造方法は、熱可塑性樹脂からなる基材シートの上に、ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルム、下面にオンデマンド方式によってプリントが施された熱可塑性樹脂からなる印刷フィルム、熱可塑性樹脂からなる透明表面シートをこの順に重ね合わせた状態で熱プレスを行い接着一体化することを特徴とするものであり、前記第2発明のプリント硬質床材が得られる。
【0019】
上記いずれの製造方法も、熱プレスを行って接着一体化するものであり、これにより、ポリウレタン系ホットメルト樹脂が、透明表面シート、印刷フィルムのいずれに対しても隙間を生じることなく充填状態に接着するものとなるので、接着強度を一層向上させることができると共に、外観される絵柄(風景写真、航空写真等の写真画像等)の鮮明さ及び画質が一段と向上する。
【0020】
上記製造方法においては、ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルムとしてその融点が60〜150℃のものを用いるものとし、かつ熱プレス時の加熱温度を、該ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルムの融点よりも5〜100℃高い温度範囲に設定するのが、好ましい。これにより、耐熱性に優れたプリント硬質床材を製造できると共に、熱プレスの際に表面層や基材層を劣化させることがないし、更には熱プレス時の加熱温度を上記範囲に設定するので接着空間においてポリウレタン系ホットメルト樹脂を一段と隙間なく充填させることができ、ひいては接着強度をより一層向上させることができる。
【0021】
また、熱プレス時の加圧圧力は3〜15N/cm2 の範囲に設定するのが好ましい。これにより応力歪みを過度に残存させることなく硬質床材を製造できるので、得られる硬質床材は反り発生の一層少ないものとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1に、第1発明のプリント硬質床材(1)の一実施形態を示す。(3)は熱可塑性樹脂からなる基材層であり、その表面に設けられたインク受理層(6)の上にインクジェット方式によりプリント層(5)が形成されてなり、この基材層(3)が、プリント層(5)側を重ね合わせ面にしてポリウレタン系ホットメルト樹脂からなる接着層(4)を介して熱可塑性樹脂からなる透明表面層(2)と接着一体化されたものである。
【0023】
図3に、第2発明のプリント硬質床材(1)の一実施形態を示す。(2)は熱可塑性樹脂からなる透明表面層であり、その下面に設けられたインク受理層(6)の下にインクジェット方式によりプリント層(5)が形成されてなり、この透明表面層(2)が、プリント層(5)側を重ね合わせ面にしてポリウレタン系ホットメルト樹脂からなる接着層(4)を介して熱可塑性樹脂からなる基材層(3)と接着一体化されたものである。
【0024】
上記第1発明、第2発明ともに透明表面層(2)と基材層(3)とがポリウレタン系ホットメルト樹脂の溶融固化によって接着されているので、十分な接着強度を得ることができ、ひいては耐久性に優れた硬質床材(1)を提供できる。また、インク受理層(6)を介してプリント層(5)が設けられている場合でも、十分な接着強度を確保できる。これに対して、前記接着層(4)を構成する樹脂として、例えばポリオレフィンホットメルト樹脂やポリエステルホットメルト樹脂を用いても十分な接着強度を確保することはできない。
【0025】
更に、この発明では、接着層(4)がポリウレタン系ホットメルト樹脂で形成されているので、その溶融によってプリント層(5)への密着性が高くて乱反射が少ないものとなり、従ってこの接着層(4)及び透明表面層(2)を介して外観される絵柄(写真画像等)は鮮明なものとなるし、硬質床材(1)として反り発生のないもの、或いは若干の山反り傾向のものが得られて敷設施工性にも優れている。
【0026】
前記基材層(3)を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、塩化ビニル樹脂またはポリオレフィン系樹脂を用いるのが、接着強度を一層向上できる点で、好ましい。前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えばEVA(エチレン−酢酸ビニル樹脂)、ポリエチレン等を例示できる。
【0027】
前記基材層(3)には顔料を含有せしめるのが好ましい。この場合には、顔料による遮蔽効果によって絵柄がより鮮明に外観されるものとなる。前記顔料としては、特に限定されるものではないが、例えばシアン顔料としてフタロシアニン系、マジェンタ顔料としてキナクリドン系、イエロー顔料としてベンズイミダゾリン系、ブラック顔料としてカーボンブラック等を例示できる。
【0029】
前記透明表面層(2)を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、塩化ビニル樹脂またはポリオレフィン系樹脂を用いるのが、接着強度を一層向上できる点で、好ましい。前記ポリオレフィン系樹脂としては、例えばEVA(エチレン−酢酸ビニル樹脂)、ポリエチレン等を例示できる。
【0030】
前記透明表面層(2)の厚さは100〜1000μmの範囲であるのが好ましい。100μm未満ではプリント層(5)の保護層としての機能が低下するし、1000μmを超えると外観される印刷画像の鮮明度や画質が低下するので、好ましくない。
【0031】
前記プリント層(5)を形成するための印刷方式としては、上記例示のインクジェット方式に特に限定されるものではなく、オンデマンド方式であればどのようなものでも良い。このようなオンデマンド方式としては、インクジェット方式の他に静電カラープリント方式等を例示できる。これらオンデマンド方式の中でも、より鮮明な印刷画像を形成できる点で、インクジェット方式でプリントするのが好ましい。なお、前記インク受理層(6)としては、一般に非晶質シリカ及びバインダーとしての非イオン性材料(例えばポリビニルアルコール)等からなる混合組成物が用いられることが多い。
【0032】
前記接着層(4)を構成するポリウレタン系ホットメルト樹脂としては、特に限定されるものではないが、その融点が60〜150℃であるものを用いるのが好ましい。融点が60℃未満では、硬質床材(1)が比較的高温の環境に晒された際に接着強度の低下が懸念されるし、一方融点が150℃を超えると、熱プレス時の加熱温度も高く設定する必要が生じ、このような高温での熱プレスによって表面層(2)または基材層(3)を構成する樹脂の劣化が生じやすくなるので、好ましくない。
【0033】
前記接着層(4)の厚さは20〜200μmの範囲とするのが好ましい。20μm未満では十分な接着強度が得られなくなることが懸念されるし、200μmを超えると、硬質床材(1)としての剛軟度が小さくなって施工性が低下するので、好ましくない。
【0034】
しかして、図5に示すように、この発明のプリント硬質床材(1)を矩形状等のタイル形状に形成し、これらプリント硬質床材(1)の多数個を下地床面上に縦横方向に整然と敷き詰めれば、これらの表面全体としてフルカラーの大きな面積の連続絵柄(風景写真、航空写真等の写真画像など)が外観されるプリント床を構成できる。
【0035】
上記第1発明のプリント硬質床材(1)は、例えば次のようにして製造できる。まず、片面にインク受理層(6)が設けられた熱可塑性樹脂製の印刷用フィルムの該インク受理層(6)に対してインクジェット方式等のオンデマンド方式によってプリントを施してプリント層(5)を形成せしめて印刷フィルム(25)を作成する。
【0036】
次に、図2に示すように、上下一対の熱盤(30)(30)の間に、下から順に、熱可塑性樹脂からなる基材シート(23)(23)(23)、プリント層(5)を上側にした態様で印刷フィルム(25)、ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルム(24)、熱可塑性樹脂からなる透明表面シート(22)を配置し、この状態で熱盤(30)(30)により熱プレスを行うことによって製造できる。
【0037】
また、上記第2発明のプリント硬質床材(1)は、例えば次のようにして製造できる。まず、片面にインク受理層(6)が設けられた熱可塑性樹脂製の印刷用フィルム(25)の該インク受理層(6)に対してインクジェット方式等のオンデマンド方式によってプリントを施してプリント層(5)を形成せしめて印刷フィルム(25)を作成する。
【0038】
次に、図4に示すように、上下一対の熱盤(30)(30)の間に、下から順に、熱可塑性樹脂からなる基材シート(23)(23)(23)、ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルム(24)、プリント層(5)を下側にした態様で印刷フィルム(25)、熱可塑性樹脂からなる透明表面シート(22)を配置し、この状態で熱盤(30)(30)により熱プレスを行うことによって製造できる。
【0039】
なお、上記実施形態では、基材シート(23)は3枚重ね配置するものとしているが、この基材シート(23)は1枚だけ配置するものとしても良いし、2枚或いは4枚以上重ね配置しても良い。また、ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルム(24)や透明表面シート(22)についても同様にその複数枚を用いて熱プレスするものとしても良い。
【0040】
前記熱プレス時の加熱温度は、ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルム(24)の融点よりも5〜100℃高い温度範囲に設定するのが、好ましい。上記下限値を下回る場合には、透明表面シート(22)、印刷フィルム(25)のいずれに対しても隙間を生じることなく十分に充填された状態を確保するのが難しくなるので、好ましくない。一方、上記上限値を上回る場合には、熱プレスの際に透明表面シート(22)や基材シート(23)等を劣化させることがあるので、好ましくない。
【0041】
前記熱プレス時の加圧圧力は3〜15N/cm2 の範囲に設定するのが、好ましい。3N/cm2 未満では透明表面シート(22)、印刷フィルム(25)のいずれに対しても隙間を生じることなく十分に充填された状態を確保するのが難しくなるので、好ましくない。一方、15N/cm2 を超えると、各構成層において応力歪みが残存しやすいものとなり、製造した硬質床材において反りを生じやすくなるので、好ましくない。
【0042】
なお、この発明の製造方法の説明において用いた「シート」(22)(23)、「フィルム」(24)(25)の語は、これによって厚さの限定をすることを意図したものではなく、その好適な形態を示す意図でそれぞれ「シート」「フィルム」という語を選択したものであって、その厚さはいずれの語を用いた場合にも限定されるものではない。
【0043】
【実施例】
次に、この発明の具体的実施例について説明する。
【0044】
<実施例1>
片面にインク受理層(6)が設けられた塩化ビニル樹脂製印刷用フィルムの該インク受理層(6)にインクジェット方式によってフルカラー印刷を施してプリント層(5)を形成せしめて、厚さ150μmの印刷フィルム(25)を作成した(図2参照)。
【0045】
次に、図2に示すように、上下一対の熱盤(30)(30)の間に、下から順に、塩化ビニル樹脂からなる厚さ800μmの基材シート(23)(23)(23)、プリント層(5)を上側にして印刷フィルム(25)、厚さ25μmのポリウレタンホットメルト樹脂(融点:80℃)フィルム(24)、塩化ビニル樹脂からなる厚さ500μmの透明表面シート(22)を配置して、熱盤(30)(30)により160℃で20分間熱プレス(10N/cm2 )を行った。なお、基材シート(23)を構成する塩化ビニル樹脂の組成は、塩化ビニル樹脂65重量%、炭酸カルシウム19重量%、可塑剤(DINP)15重量%、顔料1重量%であった。
【0046】
次いで、冷却後にプレス機から取り外して、最下面(基材層)をサンディングマシーンを用いて削ることによって全体厚さを3.0mmに調整した後、水槽(85℃×5分、60℃×5分、25℃×5分)に浸漬してアニーリングを行った。この後、裁断機によって所定形状に打ち抜きを行うことによって、図1に示すようなプリント硬質床材(1)を得た。
【0047】
<実施例2>
ポリウレタンホットメルト樹脂フィルム(24)として厚さ50μmのものを用いた以外は、実施例1と同様にしてプリント硬質床材(1)を得た。
【0048】
<実施例3>
ポリウレタンホットメルト樹脂フィルム(24)として厚さ90μmのものを用いた以外は、実施例1と同様にしてプリント硬質床材(1)を得た。
【0049】
<実施例4>
ポリウレタンホットメルト樹脂フィルム(24)として厚さ110μmのものを用いた以外は、実施例1と同様にしてプリント硬質床材(1)を得た。
【0050】
<実施例5>
片面にインク受理層(6)が設けられたポリエチレン樹脂製印刷用フィルムの該インク受理層(6)にインクジェット方式によってフルカラー印刷を施してプリント層(5)を形成せしめて、厚さ250μmの印刷フィルム(25)を作成した(図2参照)。
【0051】
次に、図2に示すように、上下一対の熱盤(30)(30)の間に、下から順に、EVA樹脂からなる厚さ800μmの基材シート(23)(23)(23)、プリント層(5)を上側にして印刷フィルム(25)、厚さ50μmのポリウレタンホットメルト樹脂(融点:80℃)フィルム(24)、EVA樹脂からなる厚さ300μmの透明表面シート(22)を配置して、熱盤(30)(30)により130℃で10分間熱プレス(10N/cm2 )を行った。
【0052】
なお、基材シート(23)(23)(23)を構成するEVA樹脂の組成は、その最上層と中間層についてはEVA樹脂25重量%、炭酸カルシウム75重量%であり、その最下層についてはEVA樹脂100重量%であった。また、基材シート(23)(23)(23)の積層に際しては、縦横の寸法安定性向上を目的として、最下層のシートの押出方向が他のシート(最上層、中間層)の押出方向と90度交叉するように配置した。また、前記透明表面シート(22)の重ね合わせ面にはプライマー塗布処理が行われている。
【0053】
次いで、冷却後にプレス機から取り外して、最下面(基材層)をサンディングマシーンを用いて削ることによって全体厚さを3.0mmに調整した後、水槽(85℃×5分、60℃×5分、25℃×5分)に浸漬してアニーリングを行った。この後、裁断機によって所定形状に打ち抜きを行うことによって、図1に示すようなプリント硬質床材(1)を得た。
【0054】
<実施例6>
片面にインク受理層(6)が設けられた塩化ビニル樹脂製印刷用フィルムの該インク受理層(6)にインクジェット方式によってフルカラー印刷を施してプリント層(5)を形成せしめて、厚さ150μmの印刷フィルム(25)を作成した(図4参照)。
【0055】
次に、図4に示すように、上下一対の熱盤(30)(30)の間に、下から順に、塩化ビニル樹脂からなる厚さ800μmの基材シート(23)(23)(23)、厚さ50μmのポリウレタンホットメルト樹脂(融点:80℃)フィルム(24)、プリント層(5)を下側にして印刷フィルム(25)、塩化ビニル樹脂からなる厚さ500μmの透明表面シート(22)を配置して、熱盤(30)(30)により160℃で20分間熱プレス(10N/cm2 )を行った。なお、基材シート(23)を構成する塩化ビニル樹脂の組成は、実施例1と同様とした。
【0056】
次いで、冷却後にプレス機から取り外して、最下面(基材層)をサンディングマシーンを用いて削ることによって全体厚さを3.0mmに調整した後、水槽(85℃×5分、60℃×5分、25℃×5分)に浸漬してアニーリングを行った。この後、裁断機によって所定形状に打ち抜きを行うことによって、図3に示すようなプリント硬質床材(1)を得た。
【0057】
<比較例1>
厚さ50μmのポリウレタンホットメルト樹脂フィルムに代えて厚さ50μmのポリオレフィンホットメルト樹脂フィルムを用いた以外は、実施例2と同様にしてプリント硬質床材(1)を得た。
【0058】
<比較例2>
厚さ50μmのポリウレタンホットメルト樹脂フィルムに代えて厚さ50μmのポリエステルホットメルト樹脂フィルムを用いた以外は、実施例2と同様にしてプリント硬質床材(1)を得た。
【0059】
<比較例3>
厚さ50μmのポリウレタンホットメルト樹脂フィルムに代えて厚さ50μmのポリアミドホットメルト樹脂フィルムを用いた以外は、実施例2と同様にしてプリント硬質床材(1)を得た。
【0060】
上記のようにして得られた各プリント硬質床材に対して下記評価法により性能評価を行った。その結果を表1、表2に示す。
【0061】
<剥離強度>
JIS A1454の6.15の層間剥離強度試験に準拠して剥離強度を測定した。
【0062】
<床材の反り>
JIS L4406の7.9に準拠して反り(mm)を測定した。
【0063】
<印刷画像の鮮明さ>
印刷フィルムの印刷画像をそのままの状態で見た(上に接着層及び表面層を設けない状態で外観した)時の鮮明さと比較して、ほぼ同程度の鮮明さが得られたものを「○」とし、鮮明さが明らかに少し低下しているものを「△」とし、鮮明さが顕著に低下しているものを「×」とした。
【0064】
<総合評価>
上記3評価項目を総合的に捉えて、総合的に優れているものから順に「◎」、「○」、「△」、「×」の4段階で評価した。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
表1から明らかなように、この発明の実施例1〜6のプリント硬質床材は、表面透明層と基材層の接着強度が十分に得られると共に、床材の反りが若干の山反り傾向で敷設施工性に優れ、また外観される絵柄も鮮明なものであった。
【0068】
これに対し、接着層がポリオレフィンホットメルト樹脂からなる比較例1では、接着強度が不十分であったし、印刷画像の鮮明さも少し不足していた。また、接着層がポリエステルホットメルト樹脂からなる比較例2では、接着強度が不十分である上に、谷反りを生じており敷設施工性も良好でないし、印刷画像の鮮明さも少し不足していた。接着層がポリアミドホットメルト樹脂からなる比較例3では、良好な接着強度が得られるものの、谷反りを生じており敷設施工性が良好でないし、印刷画像の鮮明さも少し不足していた。
【0069】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、透明表面層と基材層とをポリウレタン系ホットメルト樹脂の溶融固化により接着するので、両層間で十分な接着強度を確保することができ、プリント硬質床材として耐久性に優れたものとなる。また、接着層がポリウレタン系ホットメルト樹脂で形成されているので、乱反射が少ないものとなり、外観される絵柄(画像等)は非常に鮮明なものとなるし、谷反り(床材の縁部の上方への反り)発生がなくて敷設施工性にも優れている。更に、オンデマンド方式によりプリントされるので、グラビア印刷のような版作成を要せず、低コストであり、生産性にも優れているし、また本発明の硬質床材を複数個敷き詰めてこれらの表面全体としてフルカラーの大きな面積の連続絵柄を形成することも可能となる。
【0072】
請求項2の発明によれば、接着強度を一層向上できて、硬質床材として耐久性により優れたものを提供できる。
【0073】
請求項3の発明によれば、絵柄の鮮明さ及び画質をさらに向上できる。
【0074】
請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリント硬質床材を敷き詰めてプリント床を構成しているので、全体として鮮明な連続絵柄(風景写真、航空写真等の写真画像等)を大きな面積で表現できると共に、耐久性に優れたプリント床構造を良好な敷設施工状態でかつ低コストで構築できる。
【0075】
また、請求項5の発明によれば、請求項1に記載のプリント硬質床材を生産性良く製造できる。請求項5の発明は、熱プレスにより接着一体化するので、ポリウレタン系ホットメルト樹脂を、透明表面シート、印刷フィルムのいずれに対しても隙間を生じることなく充填状態に接着させることができ、これにより印刷表面での光の乱反射がなくなり、外観される絵柄の鮮明度及び画質が向上すると共に、接着強度を一層向上させることができる。
【0076】
請求項6の発明によれば、熱プレスの際に表面層や基材層を劣化させることなく、耐熱性及び耐久性により優れたプリント硬質床材を製造できる。
【0077】
請求項7の発明によれば、反り発生の一層少ない硬質床材を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1発明のプリント硬質床材の一実施形態を示す断面図である。
【図2】第1発明の製造方法の概略を示す説明図である。
【図3】第2発明のプリント硬質床材の一実施形態を示す断面図である。
【図4】第2発明の製造方法の概略を示す説明図である。
【図5】この発明のプリント硬質床材(タイル状)を多数個敷き詰めた状態で表される全体画像を模式的に示す平面図である。
【符号の説明】
1…プリント硬質床材
2…透明表面層
3…基材層
4…接着層
5…プリント層
6…インク受理層
22…透明表面シート
23…基材シート
24…ウレタンホットメルトフィルム
25…印刷フィルム
Claims (7)
- 重ね合わせ面にプリントが施された熱可塑性樹脂からなる透明表面層と、熱可塑性樹脂からなる基材層とが、ポリウレタン系ホットメルト樹脂からなる接着層を介して接着一体化されてなり、前記プリントは、前記透明表面層の下面に設けられたインク受理層の下にインクジェット方式により形成されたものであることを特徴とするプリント硬質床材。
- 前記透明表面層及び前記基材層を構成する樹脂が、塩化ビニル樹脂またはポリオレフィン系樹脂である請求項1に記載のプリント硬質床材。
- 前記基材層に顔料が配合されている請求項1または2に記載のプリント硬質床材。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のプリント硬質床材がタイル状に形成され、該プリント硬質床材の複数個が、下地床面上に敷き詰められることによってこれらの表面全体として多色印刷の連続絵柄が外観されるように構成されていることを特徴とするプリント床構造。
- 熱可塑性樹脂からなる基材シートの上に、ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルム、下面に設けられたインク受理層にインクジェット方式によってプリントが施された熱可塑性樹脂からなる印刷フィルム、熱可塑性樹脂からなる透明表面シートをこの順に重ね合わせた状態で熱プレスを行い接着一体化することを特徴とするプリント硬質床材の製造方法。
- 前記ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルムとして融点が60〜150℃のものを用い、かつ前記熱プレス時の加熱温度を、ポリウレタン系ホットメルト樹脂フィルムの融点よりも5〜100℃高い温度範囲に設定する請求項5に記載のプリント硬質床材の製造方法。
- 前記熱プレス時の加圧圧力を3〜15N/cm 2 の範囲に設定する請求項5または6に記載のプリント硬質床材の製造方法。
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