JP3122765U - 床用タイル - Google Patents

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Abstract

【課題】 インクジェット印刷意匠を有する床用タイルであって、該印刷意匠がタイル加工時の熱圧着工程によって破壊されることが無く、床タイルとしての十分な耐久性、耐傷性、耐汚染性を備えた床用タイルを提供する。
【解決手段】 少なくとも透明保護層6、意匠層3、基材1からなる床用タイル10において、意匠層3が、インク受容層4を有する樹脂シート2にインクジェット式印刷装置で印刷されたインクジェット印刷意匠層であることを特徴とする。
インクジェット印刷意匠層3は、温度140℃以上、圧力100N/cm2以上で変質しないインク受容層4に形成されてなることが好ましく、インク受容層4が、樹脂シート2に酸化処理されたものか、または、インク受容性無機微粒子が塗布されたものであってもよい。
【選択図】 図1

Description

本考案は、インクジェット式印刷装置を使用して形成された印刷意匠(以下、「インクジェット印刷意匠」とする)を有する床用タイルに関する。
床施工面に接着剤で固定したり、または、単に置敷きにより施工される床用タイルは、店舗や商業施設などの床材として幅広く利用されている。
最近では、ブランド志向の高まりから差別化された店舗の設計が望まれ、店舗特有のデザインやロゴ、デジタル写真等が印刷された床用タイルを少量(数枚単位)で求められる場合がある。
数量がまとまったり、継続した需要が見込まれるものであれば、床材における一般的な印刷方式(例えば、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷)を用いて意匠を形成することが可能であるが、少量製造(例えば1枚だけ等)においては、コストや時間的に対応することができないと共に、デジタル写真等の精細な印刷層を形成するのに再現性に乏しいものであった。
そこで、所望の意匠をデジタルデータとして取り込み、効率的に任意の数量から出力できるインクジェット式印刷装置による印刷方式(以下、「インクジェット印刷」とも言う)を、床用タイルにも適用することが提案されてきている(特許文献1、特許文献2、特許文献3など参照)。
インクジェット印刷は、細いノズルからインクを小滴として吐出し、被印刷物表面に付着させることで意匠を形成する方法であり、それら先提案の床材には、インクの濡れ性、吸着性、浸透性等の性能や印刷適性を保持するためのインク受容層(インク吸収層)が通常設けられている。
しかし、歩行頻度が高く、しかも商品の搬入や搬出の際の重荷重がかかる頻度の高い店舗や商業施設に用いられる床用タイルとしての耐久性を得るためには、タイル加工する際に少なくとも基材とインクジェット印刷意匠層と透明保護層とを完全に密着・一体化させるための熱圧着工程が必須であり、該工程の熱や圧力で意匠が破壊される可能性がある。
加えて、インクジェット式印刷に使用されるインクには、従来、グリコール類、アルカノールアミン類などのような水溶性の高沸点有機溶剤が添加されているため、前述の熱圧着工程によって溶剤蒸気の揮発が起こり、意匠の破壊が生じることもあった。
このため、そのような高温・高圧に耐えられるインクジェット印刷意匠層を形成する必要がある。
特開昭63−302042号公報 特開2002−89024公報 特開2003−161030公報
本考案は、このような問題を解決するためになされたもので、インクジェット印刷意匠を有する床用タイルであって、該印刷意匠がタイル加工時の熱圧着工程によって破壊されることが無く、床タイルとしての十分な耐久性、耐傷性、耐汚染性を備えた床用タイルを提供することを課題とする。
本考案は、少なくとも透明保護層、意匠層、基材からなる床用タイルにおいて、意匠層がインク受容層を有する樹脂シートにインクジェット式印刷装置で印刷されたインクジェット印刷意匠層であることを特徴とする床用タイルを要旨とするものである。
このとき、インクジェット印刷意匠層が、温度140℃以上、圧力100N/cm2以上で変質しないインク受容層に形成されてなることが好ましい。
さらに、インク受容層としては、インク受容性無機微粒子が塗布されたものが好ましい。
樹脂シートとしては、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂が使用されることが好ましい。
インク受容性無機微粒子としては、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、重炭酸カリウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、コロイダルシリカ、クレー、酸化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも1種類を使用することが好ましい。、
インク受容性無機微粒子の分布量が、インク受容層の表面側から内部に行くに従って少なくなるように傾斜分布を有してなることが好ましい。
本考案の床用タイルでは、インクジェット式印刷装置による印刷方式を用いるため、意匠をデジタルデータとして取り込み、効率的に任意の数量を出力することができる。従って、個別受注に対応しやすく、店舗特有のデザイン、ロゴ、デジタル写真なども容易にかつ低価格でタイル意匠として提供することができる。しかも、出力されたインクジェット印刷意匠は、タイル加工時の熱圧着工程によって破壊されることが無いうえ、床タイルとしての十分な耐久性、耐傷性、耐汚染性を備えている。
このような床用タイルは、一般家屋、オフィスビル、店舗用建物、商業施設、公共施設、寺院、その他各種の建築物などに幅広く使用できる。
本考案の床用タイルにおいて、少なくとも透明保護層、意匠層、基材からなり、意匠層がインク受容層を有する樹脂シートにインクジェット式印刷装置で印刷されたインクジェット印刷意匠層であることが重要である。
インクジェット印刷意匠層は、インクジェット式印刷装置で出力した任意の文字、図形、模様、写真など又はこれらを組み合わせたものであって、例えば、タイル加工の際に上記温度および上記圧力をかけても変質しない水性インクなどのインクジェット用インク(各種染料を水又は有機溶剤、あるいはそれらの混合液に溶解させたもの)からなる。
そして、本考案では、前記インクジェット印刷意匠層が、温度140℃以上、圧力100N/cm2以上で変質しないインク受容層に形成されてなることが好ましい。
このインク受容層を、温度140℃以上、圧力100N/cm2以上で変質しないものとすることで、加熱・加圧によって破壊されない印刷意匠を確実に床用タイルに付与することができる。
以下、本考案の床用タイルの実施形態について、図1により説明する。
図1は、床用タイル10を示し、1は基材であり、その上面には、樹脂シート2が(インクジェット印刷意匠層3が施された側が基材1と接するように)、必要に応じて接着剤(図示省略)を用い、熱ラミネート等の熱圧着工程によって設けられていて、さらに、接着層5を介して透明保護層6が積層されている。
本実施形態では、インクの濡れ性や浸透性等をより一層向上させるために、インクジェット印刷意匠層3を吸収・定着させるインク受容層4をインク受容性無機微粒子が塗布されたものとすることができる。
樹脂シート2としては、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂からなることが好ましい。
樹脂シート2中には、本考案の目的とする効果を損なわない範囲で、通常の樹脂シートに用いられる、安定剤や着色剤などの添加剤を用いても良い。
なお、樹脂シート2は、インクジェット印刷意匠層3が視認できるよう、透明または半透明が好ましい。
樹脂シート2の厚みは、50〜300μmであり、好ましくは100〜200μmである。
50μm未満では、シワや折り目が入り易く、インクジェット印刷意匠層3やインク受容層4を設ける際の作業性が低下し、また300μmを超えた場合にも、柔軟性がなく剛性が強すぎるため、作業性は低下し、コスト高である。
樹脂シート2に塗布されるインク受容性無機微粒子としては、温度140℃以上、圧力100N/cm2以上で変質することなく、インクジェット用インクと物理的、化学的に吸着・結合するものであれば、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、重炭酸カリウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、コロイダルシリカ、クレー、酸化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも1つとすることができる。
このようなインク受容性無機微粒子は、例えば、カゼイン、澱粉、あるいは、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、メラミン樹脂等の合成樹脂(以下、これらを「バインダー」とも言う)と均一に混合分散され、公知の手段により樹脂シート2に塗布してもよく、または、フィルム化させたものを樹脂シート2に積層してもよい。
上記バインダーとインク受容性無機微粒子との混合割合は、インク吸着機能を好適に発現できる範囲で適宜変更すればよいが、塗料全重量(塗布後乾燥した状態での重量)中、バインダーの固形分100重量部に対し、インク受容性無機微粒子10〜50重量部が適している。
インク受容性無機微粒子が少なすぎると、インクジェット用インクを吸着・結合する効果が充分に得られず、多すぎても、インクの吸着・結合度合いは飽和するうえ、樹脂シート2との密着性が低下しインク受容性無機微粒子が剥落する虞がある。
インク受容性無機微粒子は、粒子径が1.0〜16μm程度のものを用いることが好適である。
粒子径が小さすぎれば、無機粒子間の空隙が狭くなり、インク吸収速度が遅くなり好ましくなく、大きすぎても、表面がざらつき外観が悪くなると共に、JISP8119記載の平滑度が低くなり、印字後のドットの形状が歪となり、高精細な画像が得られない。
このようなバインダー、インク受容性無機微粒子、その他の添加剤の混合体からなるインク受容層4の厚みは、3g/m2以上、30g/m2以下の範囲から適宜選択して用いられる。インク受容層が3g/m2未満では多くの場合インク吸収容量が不足し、画像が流れ出したり、色にじみ込みが生じ、画像がぼけてしまう。しかしながら、30g/m2を越えるインク受容層を設け
ると、インク受容層が脆くなり、出来上がった顔料インクジェット記録用シートの表面強度が弱くなり実用上問題になる。さらにコスト的にも高価なものとなる。なお、インク受容層は、複数回に分けて塗工することもできる。
また、本考案では、図1に示すように、インク受容性無機微粒子の分布量が、インク受容層4の表面側から内部に行くに従って少なくなるような傾斜分布を有してなることができる。
例えば、塗料化した上記混合体において、インク受容性無機微粒子の含有量を変化させたものを複数種用意し、樹脂シート2上に、含有量の少ないものから塗布していくことで、インク受容性無機微粒子をインクジェット印刷意匠層3を施す側(すなわち表面側)に集中するように傾斜分布させてもよい。
このように、インク受容性無機微粒子の分布量が、インク受容層4の厚さ方向に傾斜分布することで、表面側にインクが所望量でかつ強固に吸着・固定され、内部に行くに従って徐々に少量となるように吸着・固定された状態となり、均一分布とする場合に比べて、裏側からの視認態様に変化をもたせることができるのみならず、インク受容層4全体の重量を軽量化させることができるにも拘わらず表面側の印刷を長期間に渡って良好な状態で保持させることができる。
基材1としては、床用タイルの基材として従来から一般的に使用されているものを使用すればよく、少なくとも合成樹脂層と基布層とからなる。
合成樹脂層は発泡層を有していても良く、使用される樹脂としては、オレフィン系樹脂が好ましい。合成樹脂層は複数の層から構成されても良い。また合成樹脂層はガラス繊維などの補強材を併用したものであってもよい。
基布層としては、織布、編布、不織布などを使用することができる。
なお、本考案では、図1に示すように、インクジェット印刷意匠層3(およびインク受容層4)が加熱や加圧によって変質することをより一層防止するために、接着層5を介して透明保護層6を設けてもよい。
床用タイル10の最表層となり得る透明保護層6としては、透明で、強度のある材質のものが好適に使用される。
例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂等からなるフィルムやシートを使用することができる。
透明保護層6は、単層であってもよいし、複数の層からなっていてもよい。複数層とする場合は、各層の樹脂を同種のものにしてもよいし、異種のものとすることもできる。
また、この透明保護層6中に、熱や圧力からの負荷をより防止するためのガラス繊維材を挟持させてもよい。
透明保護層6の厚みは、3〜200μmであり、好ましくは10〜200μmである。
薄すぎると、インクジェット印刷意匠層3(インク受容層4)への熱や圧力の負荷を受け難くするのに不充分であり、樹脂シート2との接着作業時、床用タイルの施工時などに損傷してしまう可能性が高くなる。厚すぎると、コスト高となり、床用タイルとしての反り等の問題が発生する可能性もある。
さらに、図1に示すように、透明保護層6の上面には、透明な被膜である保護膜7を設けてもよい。
保護膜7としては、加熱硬化樹脂、UV硬化樹脂、電子線硬化樹脂、中でも、透明保護層上に設ける塗装の容易性や、傷や汚れの防止性などの面から、ウレタンアクリレート系UVハードコート塗料が好適に使用される。
このような保護膜を設けることで、床用タイルの対傷性や耐汚染性を高めることができる。
また、透明保護層6は、樹脂シート2との間に、全面あるいは部分的に設けられる接着層5により固定される。
この接着層としては、ゴムあるいはアクリル樹脂などの合成樹脂からなる粘着材、例えば、市販のホットメルトシート、ドライラミネート接着材などを使用すればよい。このとき、床用タイル使用後に基材を再利用するために透明保護層のみを剥離できるような接着力としてもよい。
なお、図1では、樹脂シート2を、インクジェット印刷意匠層3が施された側が基材1と接するように、基材1上に設けた例を示しているが、本考案では、この態様に限らず、図示はしないが、インクジェット印刷意匠層3が施された側が接着層5と接するように(すなわち、図1と逆転する方向で)、基材1上に設けることもできる。
本考案による床用タイルの形状は、特に限定されず、例えば、1辺の長さが6〜100cm程度の正方形や長方形であってもよく、三角形や円形、星形、その他適用する絵柄に合わせた不定形等でもよい。
また、床用タイルの厚みは、通常使用されている厚さであり、例えば1〜13mm程度である。
なお、本考案では、必要に応じて、本考案の特性を損なわない範囲で、基材あるいは透明保護層においても、安定剤、帯電防止剤、滑剤、殺菌剤、防虫剤、着色剤などの各種添加剤を適宜添加することができる。
これらの添加剤としては、通常の床材に配合する通常のものが使用できる。
実施例1
ポリビニルアルコールに、インク受容性無機微粒子(炭酸カルシウム)の配合量を変えて混合したものを3種類準備し、配合量の少ないものから、グラビアコーターにより厚さ150μmの樹脂シート(PET樹脂)上に塗布していく(塗布するごとに乾燥させる)ことで、インク受容性無機微粒子をインク受容層の厚さ方向に傾斜分布させた。
風景写真をスキャナーにかけてデジタルデータとして取り込み、上記インク受容層を伴った樹脂シートに、水性インク(ローランド・ディー・ジー社製 商品名“ECO-SOL MAX”)を用いてインクジェット式印刷装置にて印刷を行った。
この樹脂シートを、ガラス繊維材と合成樹脂とからなる基材(厚さ4700μm)上に、意匠が形成された面が基材と接するように熱ラミネート貼り(150℃、200N/cm2、13分間)した。
さらに、意匠が形成されていない面にホットメルトシート(日本マタイ社製 商品名“エルファン”)を介して、厚さ125μmのPETフィルムを積層した。
得られた積層シートを35℃の保温室に2日間養生した後、500mm×500mmのサイズにカットし、床用タイル原版を作成した。
この床用タイル原版の表面側をウレタンアクリレート系UVハードコート塗料(ナトコ社製 商品名“ANH-4”)で塗装し、インクジェット印刷意匠層を有する床用タイルを得た。
本考案による床用タイルの一実施形態を模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 基材
2 樹脂シート
3 インクジェット印刷意匠層
4 インク受容層
5 接着層
6 透明保護層
7 保護膜
10 床用タイル

Claims (6)

  1. 少なくとも透明保護層、意匠層、基材からなる床用タイルにおいて、
    意匠層が、インク受容層を有する樹脂シートにインクジェット式印刷装置で印刷されたインクジェット印刷意匠層であることを特徴とする床用タイル。
  2. インクジェット印刷意匠層が、温度140℃以上、圧力100N/cm2以上で変質しないインク受容層に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の床用タイル。
  3. インク受容層が、インク受容性無機微粒子が塗布されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の床用タイル。
  4. 樹脂シートが、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の床用タイル。
  5. インク受容性無機微粒子が、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、珪酸カルシウム、重炭酸カリウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、コロイダルシリカ、クレー、酸化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の床用タイル。
  6. インク受容性無機微粒子の分布量が、インク受容層の表面側から内部に行くに従って少なくなるように傾斜分布を有してなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の床用タイル。

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