JP3920710B2 - レーザ加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザ光を加工対象物に照射し、加工対象物から反射された反射光の強度を予め定めた基準値と比較して加工状態をインプロセスで検出するようにしたレーザ加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、高密度実装化に伴い、プリント配線基板は複数の基板を積層した多層配線基板が主流となっている。多層配線基板では、上下に積層された基板間の導電層を電気的に接続する必要がある。そこで、多層配線基板の絶縁層に下層の導電層に達するビアホールと呼ばれる穴を形成し、ビアホールの内部に導電性メッキを施すことによって上下に配置された導電層を電気的に接続する。
【0003】
細径のビアホールを加工する手段としては高出力のCO2レーザやYAGの高調波を利用したUVレーザが採用されている。また、高速加工を行うため、ガルバノミラーとfθレンズを組み合せたビームスキャン光学系が採用されている。また、加工する穴径を均一なものとするため、窓を設けたアパーチャをマスクとして使用すると共に、転写光学系により窓の像を結像レンズを用いて基板上に転写する。また、通常、1つの穴を加工するのに、レーザ光を複数回に分けて照射する。
【0004】
ところで、レーザ発振器のショットミス、外部振動あるいはスキャン光学系の位置決め誤差等により、所定の位置にレーザ光が照射されないことがある。プリント基板は1つでも不導通のビアホールがあるとその基板は不良になる。このため、加工装置とは別の穴検査装置により加工が終了した加工個所を全数検査し、加工不良が見つかった場合は当該穴を補修加工することにより、プリント基板の信頼性を保証している。
【0005】
しかし、上記の方法では、穴検査時に不良穴が発見されて初めてその基板が不良であることがわかるので、不良穴の発見が遅くなる。しかも、それまでの加工時間や検査時間が無駄になり、加工スループットが低下する。
【0006】
そこで、特開平11−170078号では、被加工基板で反射するレーザ光の強度を検出する手段をレーザ加工装置に設け、被加工基板の樹脂層と内層銅箔の反射光量の違いから加工状態を判断して、早期に加工不良を検出するようにしている。
【0007】
また、特開平8−243771号では、カメラを設け、カメラにより加工した穴の状態を観察している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ビアホールを加工する方法として、コンフォーマルマスク法と呼ばれる加工方法がある。この方法は、エッチングやUVレーザを用いて予め外層銅箔にビアホールと同径の穴を明けておき、ビアホールよりも大径のレーザ光を照射して内層銅箔に至る絶縁層を除去する方法である。この方法の場合、レーザ光は加工部と表面の外層銅箔の両者で反射される。このため、従来技術の前者では加工結果の判定が困難になり、加工不良が発生する場合があった。
【0009】
また、ビームスキャン光学系を用いたレーザ加工装置の場合、カメラを配置する場所の確保が困難であるため、従来技術の後者を採用することは困難である。また、カメラを配置する場所が確保できたとしても、ビアホールは50mm×50mmの範囲に加工されるため、視野および分解能に優れるカメラを準備しなければならず、装置が高価になる。
【0010】
本発明の目的は、上記した課題を解決し、加工不良が発生せず、かつ加工能率を向上させることができるレーザ加工方法を提供するにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、レーザ光を加工対象物に照射し、前記加工対象物から反射された反射光の強度を予め定めた基準値と比較することにより加工状態をインプロセスで検出し、前記反射光の強度が予め定めた基準値に達しない場合は、当該個所の補修加工を行うようにしたレーザ加工方法において、前記反射光の強度が予め定めた基準値に達しない場合は、当該個所の補修加工を行うのに先立ち、当該個所に、加工に用いるレーザ光よりも小径の検査用レーザ光を照射し、前記検査用レーザ光の反射光の強度が予め定めた基準値に達している場合は当該個所の補修加工を行わずに次の加工を行い、前記検査用レーザ光の反射光の強度が予め定めた基準値に達していない場合は当該個所の補修加工を行なうことを特徴とする。
【0012】
この場合、前記検査用レーザ光の直径を加工に用いるレーザ光の直径の0.7倍以下にすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第一の実施形態)
図1は、本発明に係るレーザ加工装置の構成図である。
同図において、加工機制御部1はレーザ加工機全体を制御する。レーザ発振器2の光軸上には、ズームユニット7、アパーチャ5、ビームスプリッタ8、ガルバノミラー25、26からなる2軸スキャナ11およびfθレンズ12が配置されている。ビームスプリッタ8の背面側の一方には光減衰手段20、集光レンズ18および光検出器16が、他方には光減衰手段21、集光レンズ19および光検出器17が、それぞれ配置されている。ズームユニット7は駆動機構6を介して加工機制御部1により駆動される。アパーチャ5には加工に使用される複数の窓5aと、後述する検査用の窓27が配置されている。窓27の直径は、最小径の窓5aの直径の0.7倍である。アパーチャ5はアパーチャ切替え駆動機構4を介して加工機制御部1により駆動される。光検出器16、17は加工エラー診断部22に接続されている。
【0014】
被加工基板14はXYステージ13に固定されている。XYステージ13と対向するようにして、加工部観察カメラ28が配置されている。加工エラー診断部22は、記憶部23および加工機制御部1に接続されている。加工エラー診断部22は反射光強度信号と予め設定されている許容値とを比較し、反射光強度信号が許容範囲内である場合は、正常加工信号を加工機制御部1に出力する。記憶部23には表示部24が接続されている。
【0015】
次に、このレーザ加工機の動作を説明する。なお、ここでは、レーザ光を1穴あたり4回照射すると加工が完了する条件が定められているものとする。
図2は、本発明の動作を示すフローチャートであり、図3はレーザパルス信号と反射光強度信号および加工部の断面形状との関係を示す図である。
【0016】
加工機制御部1は、加工条件データを参照し、ズームユニット駆動機構6およびアパーチャ切替え駆動機構4を指示された穴を加工するために適した状態に設定しておく。
【0017】
そして、未加工個所があるかどうかを確認し(S10)、未加工個所がある場合は、2軸スキャナ11を加工個所に位置決めし(S20)、照射数iを1としてから(S30)、レーザ発振機2を動作させ、レーザ光を1穴あたり4回照射する(S40〜S60)。
【0018】
レーザ発振器2から発振出射したレーザ光3は、ズームユニット7で指定されたビーム径に変換され、選択された窓5aを透過してビームスプリッタ8に入射し、大部分は加工ビーム9として反射し、極一部がモニタビーム10として透過する。加工ビーム9は2軸スキャナ11およびfθレンズ12によりXY方向に位置決めされて被加工基板14に入射し、加工部に穴を明ける。加工ビーム9の一部は加工部で反射され(以下、反射ビーム15という)、加工ビーム9と逆のコースを通ってビームスプリッタ8に入射する。ビームスプリッタ8を透過した反射ビーム15は光減衰手段20によりエネルギを減衰され、集光レンズ18で集光されて光検出器16に入射する。
【0019】
正常に加工が行われている場合、図3に示すように、光検出器16から出力される反射光強度信号すなわち反射ビーム15の強度は、1ショット目ではほとんど0であり、2ショット目の途中から4ショット目の途中にかけて徐々に増加した後、ほぼ一定になる。また、同図に示すように、1ショット目では、外層銅箔32に予め形成された穴33を通った加工ビーム9により樹脂層29に僅かな凹みが形成され、2ショット目で穴の底部が導体層30に到達する。そして、以後、穴径が徐々に増加し、4ショット目で所望の穴が形成される。そして、加工が正常に終了した場合はS10の処理を行い、その他の場合はS80の処理を行う(S70)。
【0020】
このとき、1ショット目のレーザ光では、加工が樹脂層29の途中までしか進んでいないため、反射光出力は、ほとんど検出されない。つぎに、2ショット目のレーザ光が照射されると、レーザ光が照射される間に内層銅箔30が露出し始める。内層銅箔30は樹脂層29に比べて光の吸収が少なく表面での反射が高いため、光検出器16で反射光が検出される。反射光の強度は露出する内層銅箔30の面積に比例するので加工が進むに従って増加して、あるショット数以降はいくらレーザ光を照射しても露出面積の変化がなくなり、それに従って強度も飽和する。本実施例の場合、4ショット目始めのレーザ照射ではまだ内層銅箔30の露出面積が大きくなり続け、4ショット目の途中以降露出面積の変化がなくなるので反射光強度信号は一定となる。つまり、図3の場合所定の加工が4ショット目で加工が完了したことを意味している。
【0021】
S80では、アパーチャ切替え駆動機構4を動作させ、窓27をレーザ光3の光軸上に配置する。この状態で検査用のレーザ光3を1ショット照射してその時の反射光強度を調べ(S90)、反射光強度が所定の強度である場合はS10の処理を行い、その他の場合はS105の処理を行う(S100)。S105では、窓5aをレーザ光の光軸上に位置決めし、修正照射回数jを1として(S110)、予め定めた出力の修正用レーザ光3を1回照射する(S120)。そして、この時の反射光強度が所定の強度である場合はS10の処理を行い、その他の場合はS140の処理を行う(S130)。S140では修正照射回数jに1を加えてjと4とを比較する(S150)。そして、j≦4の場合はS120の処理を行い、その他の場合は当該加工個所の位置を記憶して(S160)、S10の処理を行う。
【0022】
次に、S90の内容をさらに詳しく説明する。
図4は、本発明における検査用レーザ光を照射する場合の説明する図である。反射光強度が許容値よりも小さい場合には、いろいろの場合があり得る。すなわち、同図(a)に示すように、加工は完了しているが反射光強度の測定がうまくいかなかった場合、また、同図(b)に示すように、加工部の穴径は若干小さいが実用上差し支えない場合(導体層の露出径が通常の40%程度以上)とが含まれる。
【0023】
そこで、加工用のレーザ光の直径よりも小径の検査用レーザ光31を照射し、その時の反射光強度が、予め定める値(ここでは通常の40%)を超えている場合は次の加工に移り、その他の場合は修正用のレーザ光を照射してから加工部について評価する。そして、反射光強度が例えば許容値の40%未満の場合は、修正用のレーザ光(加工用のレーザ光でも良い)を照射する。
【0024】
なお、加工エラー診断部22に送られた加工ビーム9および加工状態検出ビーム15の情報は加工機制御部1内で加工位置およびレーザショット数の情報と統合され、記憶部23に貯えられると共に表示部24に表示して、オペレータに状況を伝える。そして、それ以降の加工や検査等のプロセスに活用される。
【0025】
加工機制御部1は、2軸スキャナ11の走査領域での加工が終了すると、XYステージ13を動作させ、次の加工領域をスキャナ11の走査領域に位置決めする。
以下、加工が終了するまで、上記の動作を繰り返す。
【0026】
(第二の実施形態)
次に、加工部観察カメラを用いる場合について説明する。
上記第一の実施形態では、反射光強度だけで加工状態を判定するようにしたが、加工部をカメラにより、作業者が実際に目視したり、あるいは加工部の像を図形処理して加工状態を評価するようにしても良い。
【0027】
図5は、反射光強度が小さい場合に、作業者が関与する場合のフローチャートである。
すなわち、手順S70において加工が正常に終了しなかった場合は、手順S200により作業者を呼び出す。そして、作業者は、カメラと加工部とを相対的に移動させ、カメラにより加工部を検査する。そして、加工状況に応じて当該個所の修正を行い、修正が終了すると再び加工を継続する(S210〜S250)。
【0028】
また、上記では、1個の穴の加工を終了させた後に次の穴を加工するようにしたが、総ての穴を加工してから、加工不良と判定された穴に検査用レーザ光を照射して、評価および補修を行うようにしてもよい。
【0030】
なお、窓27は、加工用のレーザ光の直径が大きい場合には、他の加工用の窓5aを用いることができるので、通常は、最小径の加工用の窓5aに対してだけ設ければよい。
【0031】
また、本発明はコンフォーマルマスク法に限らず、最上層が樹脂層である基板の加工にも適用することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、加工状態をリアルタイムで検出すると共に、加工不良が発生した場合でも、加工用レーザ光よりも小径の検査用レーザ光により、加工結果を再確認するようにしたので、コンフォーマルマスク法の場合も、加工品質に優れる加工ができると共に、加工能率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るレーザ加工装置の構成図である。
【図2】本発明の動作を示すフローチャートである。
【図3】レーザパルス信号と反射光強度信号および加工部の断面形状との関係を示す図である。
【図4】本発明における検査用レーザ光を照射する場合の説明する図である。
【図5】反射光強度が小さい場合に、作業者が関与する場合のフローチャートである。
【符号の説明】
14 加工対象物
15 反射光
9 加工ビーム
31 検査用レーザ光

Claims (2)

  1. レーザ光を加工対象物に照射し、前記加工対象物から反射された反射光の強度を予め定めた基準値と比較することにより加工状態をインプロセスで検出し、前記反射光の強度が予め定めた基準値に達しない場合は、当該個所の補修加工を行うようにしたレーザ加工方法において、
    前記反射光の強度が予め定めた基準値に達しない場合は、当該個所の補修加工を行うのに先立ち、当該個所に、加工に用いるレーザ光よりも小径の検査用レーザ光を照射し、
    前記検査用レーザ光の反射光の強度が予め定めた基準値に達している場合は当該個所の補修加工を行わずに次の加工を行い、
    前記検査用レーザ光の反射光の強度が予め定めた基準値に達していない場合は当該個所の補修加工を行なう
    ことを特徴とするレーザ加工方法。
  2. 前記検査用レーザ光の直径は加工に用いるレーザ光の直径の0.7倍以下であることを特徴とする請求項に記載のレーザ加工方法。
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