JP3920563B2 - 手動入力装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メカニカルスイッチとも呼称される手動入力装置に係り、特に、ノブに複数モードの操作フィーリングを付与可能なフィーリング付与手段の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ノブと当該ノブの操作量及び操作方向を検出する位置センサとを備えた手動入力装置が知られており、この種の手動入力装置には、通常、ノブの操作フィーリングを良好にしてノブの操作を確実なものにするため、ノブに所要の作動力やクリック感を付与するためのフィーリング付与手段が備えられている。
【0003】
図10(a),(b)に、従来より知られているこの種の手動入力装置の一例を示す。本例の手動入力装置は、ロータリ形の手動入力装置であって、これらの図から明らかなように、筐体101と、筐体101に回転自在に保持され、一端が筐体101に開設された透孔101aを貫通して外部に突出された回転軸102と、筐体101より突出された回転軸102の一端に固着されたノブ103と、筐体101内に収納されたフィーリング付与手段104及び位置センサ105とから主に構成されている。フィーリング付与手段104は、回転軸102に固着され、周面にフィーリング生成パターンとして多数のくぼみ106が所定の配列で形成された円板107と、弾性体108によって常時一方向に付勢され、円板107の周面に当接されたボール109とからなる。また、位置センサ105は、回転軸102に固着されたコード板110と、当該コード板110の表面側及び裏面側にそれぞれ発光素子111a及び受光素子111bが対向に配置されたフォトインタラプタ111とからなる。
【0004】
本例の手動入力装置は、ノブ103を回転軸102の軸心回りに回転すると、ノブ103と共に回転軸102、円板107及びコード板110が同一方向に同一回転量だけ回転する。そして、円板107が回転すると、弾性体108によって常時一方向に付勢されたボール109が円板107の周面に形成されたくぼみ106に係合されていた状態からランド(くぼみ106が形成されていない部分)に乗り上げ、隣接するくぼみ106に係合するという動作がノブ103の回転量に応じて繰り返されるので、そのときの操作力の変化がノブ103にクリック感触として付与される。また、コード板110が回転すると、コード板110に開設されたスリット110aが発光素子111aと受光素子111bとの設定部を横切るので、横切ったスリット110aの数とその方向とをフォトインタラプタ111によって検出することによって、ノブ103の回転量及び回転方向等の位置信号を検出することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の手動入力装置は、自動車に装備された車載機器制御装置に備えられ、自動車に装備された各種の電気機器、例えば、エアコン、ラジオ、テレビ、CDプレーヤ、ナビゲーションシステム等の機能調整に適用される。
【0006】
即ち、車載機器制御装置は、機能調整を行おうとする電気機器の選択スイッチと、当該選択スイッチによって選択された電気機器が有する各種の機能より機能調整を行おうとする機能を選択する機能選択スイッチと、当該機能選択スイッチによって選択された機能を調整する手動入力装置とを集約化したものであって、手動入力装置に備えられた1つのノブを操作することによって、各種電気機器が有する各種機能を調整できるようになっている。この車載機器制御装置を用いれば、運転者が操作しやすい位置に配置された電気機器選択スイッチ、機能選択スイッチ及び手動入力装置を操作することによって各電気機器が有する各機能を調整することができるので、自動車の安全運転を妨げることなく、各種電気機器の機能調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0007】
しかしながら、従来の手動入力装置は、図10に例示したように、フィーリング生成パターンとしてのくぼみ106が一列しか設けられておらず、しかも当該くぼみ106と係合されるボール109も1つしか備えられていないので、必要に応じてノブの操作フィーリングを変更するということができない。このため、従来の手動入力装置を車載機器制御装置に適用した場合においては、例えばエアコンの温度調節を行う場合にも、またエアコンの風量調節を行う場合にも、ノブ103に同一の操作フィーリングしか付与することができず、機能調整に誤操作を生じやすいという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の不備を解消するためになされたものであって、その課題とするところは、ノブの操作フィーリングを適宜変更することができて操作性に優れた手動入力装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、ノブと、当該ノブによって回転操作される操作軸と、複数列のフィーリング生成パターンが形成され、前記操作軸に固着された円板又は円筒体と、当該円板又は円筒体に弾接される1つのボール又はピンと、当該1つのボール又はピンを前記複数列のフィーリング生成パターンの配列方向に直線往復移動させ、前記複数列のフィーリング生成パターンのいずれかとこれに弾接される前記1つのボール又はピンとの組み合わせを切り替えるアクチュエータとを備え、前記複数列のフィーリング生成パターンのいずれかとこれに弾接される前記1つのボール又はピンとの組み合わせに応じた操作フィーリングを前記ノブに付与するという構成にした。
また、ノブと、当該ノブによって回転操作される操作軸と、1列のフィーリング生成パターンが形成され、前記操作軸に固着された円板又は円筒体と、当該円板又は円筒体に弾接される複数個のボール又はピンと、当該複数個のボール又はピンのいずれかを前記1列のフィーリング生成パターンと選択的に係合させる方向に直線往復移動させ、前記1列のフィーリング生成パターンとこれに弾接される前記複数個のボール又はピンのいずれかとの組み合わせを切り替えるアクチュエータとを備え、前記1列のフィーリング生成パターンとこれに弾接される前記複数個のボール又はピンのいずれかとの組み合わせに応じた操作フィーリングを前記ノブに付与するという構成にした。
【0010】
かかる構成によると、アクチュエータを駆動してフィーリング付与手段を駆動することにより、ノブに付与される操作フィーリングを適宜切り替えることができるので、手動入力装置の操作性が改善され、当該手動入力装置を用いて実行しようとする機器の機能調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
まず、本発明に係る手動入力装置の実施形態について説明する。
【0024】
〈手動入力装置の第1例〉
図1(a),(b)に、第1実施形態例に係る手動入力装置1Aを示す。本例の手動入力装置1Aは、ロータリ形の手動入力装置であって、この図から明らかなように、筐体1と、筐体1に回転自在に保持され、一端が筐体1に開設された透孔1aを貫通して外部に突出された操作軸2と、筐体1より突出された操作軸2の一端に固着されたノブ3とを備えており、筐体1内には、フィーリング付与手段4と、操作軸2ひいてはノブ3の回転量および回転方向を検出する第1位置センサ5と、フィーリング付与手段4を操作してノブ3に付与される操作フィーリングを切り替えるアクチュエータ6と、アクチュエータ6の駆動量および駆動方向を検出する第2位置センサ7とが収納されている。
【0025】
フィーリング付与手段4は、操作軸2に固着された複数枚(図1の例では、3枚)の円板8,9,10と、当該円板8,9,10と共働してノブ3に操作フィーリングを付与するボールホルダ11とからなる。前記円板8の円周面には、大径のくぼみ8aが中程度のピッチで配列された第1フィーリング生成パターンFP1が形成され、前記円板9の円周面には、中程度の直径を有するくぼみ9aが大きなピッチで配列された第2フィーリング生成パターンFP2が形成され、前記円板10の円周面には、小径のくぼみ10aが小さなピッチで配列された第3フィーリング生成パターンFP3が形成されている。一方、ボールホルダ11には、前記各円板8,9,10のいずれかに選択的に弾接されるボール11aと、当該ボール11aを常時外向きに付勢して各円板8,9,10の円周面に弾接させる弾性部材11bとが備えられている。
【0026】
第1位置センサ5としては、操作軸2に固着されたコード板14と、当該コード板14の表面側及び裏面側にそれぞれ発光素子15a及び受光素子15bが対向に配置されたフォトインタラプタ15とからなるロータリエンコーダが備えられている。コード板14には、多数のスリット14aが所定の配列で開設されており、フォトインタラプタ15を横切るスリット14aを検出することによって、操作軸2ひいてはノブ3の回転量と回転方向等の位置信号を検出する。
【0027】
アクチュエータ6としては、電磁石6aと、当該電磁石6aによって多段階に直線往復駆動される駆動軸6bとからなるソレノイドが備えられており、駆動軸6bの先端部に前記ボールホルダ11が取り付けられている。駆動軸6bには、以下に説明する第2位置センサ7の回転軸7aに固着されたピニオン7bと噛み合わされて第2位置センサ7を駆動するラック6cが形成されている。アクチュエータ6は、電磁石6aの励磁状態を切り替えることによって駆動軸6bの突出量を変更し、ボール11aが弾接される円板8,9,10を切り替える。ボール11aを円板8の周面に弾接させた場合には、触感が大きくて連続する操作フィーリングをノブ3に付与することができ、ボール11aを円板9の周面に弾接させた場合には、触感が大きくて間歇的な操作フィーリングをノブ3に付与することができ、ボール11aを円板10の周面に弾接させた場合には、触感が小さくて連続する操作フィーリングをノブ3に付与することができる。
【0028】
第2位置センサ7としては、ロータリエンコーダやロータリ形可変抵抗器などの回転形の位置センサが用いられている。この第2位置センサ7は、前記ラック6cと当該ラック6cに噛み合わされたピニオン7bとを介して前記アクチュエータ6の駆動軸6bと連結されており、電磁石6aからの駆動軸6bの突出量ひいてはボール11aが弾接されている円板8,9,10を検出する。
【0029】
本例の手動入力装置1Aは、アクチュエータ6を駆動してボールホルダ11を移動することにより、ボール11aと当該ボール11aが弾接される円板8又は9又は10との組み合わせを変更することができる。そして、ボール11aを所要の円板8又は9又は10の円周面に弾接した後、ノブ3を操作軸2の軸線回りに回転操作すると、操作軸2と円板8,9,10とがノブ3と一体に回転し、弾性部材11bによって常時一方向に付勢されたボール11aが円板8又は9又は10の円周面に形成されたくぼみ8a又は9a又は10aに係合されていた状態からランドに乗り上げ、隣接するくぼみ8a又は9a又は10aに係合するという動作がノブ3の回転量に応じて繰り返されるので、そのときの操作力の変化がノブ3にクリック感触として付与される。前記したように、各円板8,9,10の円周面には、互いにサイズ及び形成ピッチが異なる複数個のくぼみ8a,9a,10aの配列からなる第1乃至第3のフィーリング生成パターンFP1〜FP3が形成されているので、ボール11aと当該ボール11aが弾接される円板8又は9又は10との組み合わせを変更することにより、ノブ3に付与されるクリック感触を変更することができる。また、ノブ3の回転操作に伴って、コード板14も操作軸2と一体に回転するので、ノブ3の回転量と回転方向とがフォトインタラプタ15によって検出される。
【0030】
かように、本例の手動入力装置1Aは、フィーリング付与手段4として、操作軸2に固着され、円周面にそれぞれ異なるフィーリング生成パターンFP1〜FP3が形成された複数枚の円板8,9,10と、これら円板8,9,10の円周面に弾接されるボール11aを備えたボールホルダ11とからなるものを用い、アクチュエータ6によってボール11aが弾接される円板8,9,10を選択的に切り替えるようにしたので、操作軸2に固着されたノブ3の操作に複数モードの操作フィーリングを付与することができ、よって、この手動入力装置1Aを用いれば、実行しようとする機器の機能調整を容易かつ確実に行うことができる。また、操作軸2に複数枚の円板8,9,10を固着する構成にしたので、フィーリング生成パターンFP1〜FP3の変更や増減を容易に行うことができる。
【0031】
〈手動入力装置の第2例〉
図2(a),(b)に、第2実施形態例に係る手動入力装置1Bを示す。本例の手動入力装置1Bは、フィーリング付与手段4を、操作軸2に固着された1枚の円板8と、当該円板8と共働してノブ3に操作フィーリングを付与する複数個(図2の例では、3個)のボールホルダ11,12,13とから構成したことを特徴とする。前記複数個のボールホルダ11,12,13は、アクチュエータ6の駆動軸6bに取り付けられる。前記円板8の円周面には、フィーリング生成パターンFPとして、所定形状及び所定サイズの複数個のくぼみ8aが所定のピッチで形成されている。一方、ボールホルダ11,12,13には、前記円板8に選択的に弾接されるボール11a,12a,13aと、当該各ボール11a,12a,13aをそれぞれ常時外向きに付勢して各円板8,9,10の円周面に弾接させる弾性部材11b,12b,13bとが備えられており、各ボールホルダ11,12,13ごとに、ボール11a,12a,13aのサイズや弾性部材11b,12b,13bの弾性力が変更されている。その他の部分の構成については、第1実施形態例に係る手動入力装置1Aと同じであるので、図2の対応する部分に図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0032】
本例の手動入力装置1Bは、アクチュエータ6を駆動し、ボールホルダ11,12,13を同時に同一量だけ同一方向に移動することによって、円板8と当該円板8の円周面に弾接されるボール11a,12a,13aとの組み合わせを変更することができる。そして、所要のボール11a又は12a又は13aを円板8の円周面に弾接した後、ノブ3を操作軸2の軸線回りに回転操作すると、操作軸2と円板8とがノブ3と一体に回転し、弾性部材11b又は12b又は13bによって常時一方向に付勢されたボール11a又は12a又は13aが円板8の円周面に形成されたくぼみ8aに係合されていた状態からランドに乗り上げ、隣接するくぼみ8aに係合するという動作がノブ3の回転量に応じて繰り返されるので、そのときの操作力の変化がノブ3にクリック感触として付与される。前記したように、各ボールホルダ11,12,13には、サイズの異なるボール11a,12a,13a及び/又は弾性力が異なる弾性部材11b,12b,13bが備えられているので、円板8と当該円板8の円周面に弾接されるボール11a,12a,13aとの組み合わせを変更することによって、ノブ3に付与されるクリック感触を変更することができる。その他の部分の動作については、第1実施形態例に係る手動入力装置1Aと同じであるので説明を省略する。
【0033】
かように、本例の手動入力装置1Bは、フィーリング付与手段4として、操作軸2に固着された1枚の円板8と、くぼみ8aが形成された当該円板8の円周面に選択的に弾接されるボール11a,12a,13aを備えたボールホルダ11,12,13とからなるものを用い、アクチュエータ6によって円板8に弾接されるボール11a,12a,13aを選択的に切り替えるようにしたので、ノブ3の操作に複数モードの操作フィーリングを付与することができ、この手動入力装置1Bを用いて実行しようとする機器の機能調整を容易かつ確実に行うことができる。また、操作軸2に1枚の円板8のみを固着する構成にしたので、手動入力装置の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0034】
〈手動入力装置の第3例〉
図3(a),(b)に、第3実施形態例に係る手動入力装置1Cを示す。本例の手動入力装置1Cは、フィーリング付与手段4を、操作軸2に固着された1個の円筒体16と、当該円筒体16と共働してノブ3に操作フィーリングを付与する1個のボールホルダ11とから構成したことを特徴とする。前記円板8の円周面には、上端寄りに大径のくぼみ8aが中程度のピッチで配列された第1フィーリング生成パターンFP1が形成され、中央部に中程度の直径を有するくぼみ9aが大きなピッチで配列された第2フィーリング生成パターンFP2が形成され、下端寄りに小径のくぼみ10aが小さなピッチで配列された第3フィーリング生成パターンFP3が形成されている。その他の部分の構成については、第1実施形態例に係る手動入力装置1Aと同じであるので、図3の対応する部分に図1と同一の符号を付して説明を省略する。また、動作についても、第1実施形態例に係る手動入力装置1Aと同じであるので説明を省略する。
【0035】
本例の手動入力装置1Cは、フィーリング付与手段4を操作軸2に固着された1個の円筒体16と当該円筒体16と共働してノブ3に操作フィーリングを付与する1個のボールホルダ11とから構成したので、前記第1及び第2実施形態例に係る手動入力装置1A,1Bと同様の効果を奏するほか、部品点数の減少による低コスト化を図ることができる。
【0036】
〈手動入力装置の第4例〉
図4に、第4実施形態例に係る手動入力装置1Dを示す。本例の手動入力装置1Dは、フィーリング付与手段4を、操作軸2に固着された1枚の円板8と、当該円板8と共働してノブ3に操作フィーリングを付与する1個のボールホルダ11とから構成し、円板8のディスク面に複数列(図4の例では、3列)のフィーリング生成パターンFP1〜FP3を同心円状に形成すると共に、ボールホルダ11をアクチュエータ6によって円板8の半径方向に移送するようにしたことを特徴とする。
【0037】
円板8のディスク面には、図4に示すように、内周側より、山17aと谷17bとが交互に形成された波形の第1フィーリング生成パターンFP1と、小径のくぼみ8aが小さなピッチで形成された第2フィーリング生成パターンFP2と、大径のくぼみ8bが大きなピッチで形成された第3フィーリング生成パターンFP3とが同心円状に形成されている。アクチュエータ6としては、ボイスコイルモータなどのリニアモータが備えられており、前記円板8の半径方向に配列された駆動軸6bの先端部にボールホルダ11が取り付けられている。アクチュエータ6は、駆動軸6bの突出量を変更し、ボール11aが弾接されるフィーリング生成パターンFP1〜FP3を切り替える。ボール11aを第1フィーリング生成パターンFP1に弾接させた場合には、連続的に上下動する操作フィーリングをノブ3に付与することができ、ボール11aを第2フィーリング生成パターンFP2に弾接させた場合には、触感が小さくて間歇的な操作フィーリングをノブ3に付与することができ、ボール11aを第3フィーリング生成パターンFP3に弾接させた場合には、触感が大きくて間歇的な操作フィーリングをノブ3に付与することができる。その他の部分の構成については、第1実施形態例に係る手動入力装置1Aと同じであるので、図4の対応する部分に図1と同一の符号を表示して説明を省略する。また、動作についても、ボールホルダ11の駆動方向が異なる点を除いて第1実施形態例に係る手動入力装置1Aと同じであるので説明を省略する。
【0038】
本例の手動入力装置1Dは、フィーリング付与手段4を操作軸2に固着された1個の円板8と当該円板8と共働してノブ3に操作フィーリングを付与する1個のボールホルダ11とから構成したので、前記第1及び第2実施形態例に係る手動入力装置1A,1Bと同様の効果を奏するほか、部品点数の減少による低コスト化を図ることができる。また、ボールホルダ11を円板8の半径方向に移送するようにしたので、手動入力装置の薄形化を図ることができる。
【0039】
〈手動入力装置の第5例〉
図5に、第5実施形態例に係る手動入力装置1Eを示す。本例の手動入力装置1Eは、スライダ形の手動入力装置であって、フィーリング付与手段4を、図示しない筐体(図1参照)に回転可能に保持された回転多面体18と、操作軸2に固着され、前記回転多面体18と共働してノブ3に操作フィーリングを付与する1個のボールホルダ11とから構成し、アクチュエータ6により前記回転多面体18をその軸線回りに回転往復駆動することによって、ノブ3に付与する操作フィーリングを切り替えることを特徴とする。
【0040】
前記回転多面体18は、軸線に垂直な断面形状が6角形に形成されており、軸線に対して平行に配列された6つの面のそれぞれにフィーリング生成パターンが形成されている(図5には、3列のフィーリング生成パターンFP1〜FP3のみ表示する)。第1フィーリング生成パターンFP1は、山17aと谷17bとが交互に形成された波形をもって構成され、第2フィーリング生成パターンFP2は、小径のくぼみ8aを小さなピッチで配列してなり、第3フィーリング生成パターンFP3は、大径のくぼみ8bを大きなピッチで配列してなる、アクチュエータ6としては、回転多面体18をその軸線回りに回転往復駆動する回転モータが用いられる。また、第1位置センサ5としては、図示しない摺動子がボールホルダ11と連結部材19を介して連結され、操作軸2ひいてはノブ3の移動量及び移動方向に応じた位置信号を出力するスライド形ボリュームが用いられる。また、第2位置センサ7としては、駆動軸7aが回転多面体18に直結されたロータリエンコーダやロータリ形可変抵抗器などの回転形の位置センサが用いられ、回転多面体18の回転位置、即ち、ボール11aが弾接されているフィーリング生成パターンFP1〜FP3が検出される。
【0041】
本例の手動入力装置1Eは、アクチュエータ6を回転駆動することによって、ボール11aが弾接されるフィーリング生成パターンFP1〜FP3を切り替えることができる。そして、ボール11aを所要のフィーリング生成パターンFP1又はFP2又はFP3に弾接した後、ノブ3を回転多面体18の軸線方向に直線操作すると、操作軸2及びボールホルダ11がノブ3の移動方向にノブの移動量だけ移動するので、ボール11aが弾接されたフィーリング生成パターンFP1〜FP3の形状及び/又は配列に応じた操作フィーリングがノブ3に付与される。即ち、ボール11aを第1フィーリング生成パターンFP1に弾接させた場合には、連続的に上下動する操作フィーリングをノブ3に付与することができ、ボール11aを第2フィーリング生成パターンFP2に弾接させた場合には、触感が小さくて間歇的な操作フィーリングをノブ3に付与することができ、ボール11aを第3フィーリング生成パターンFP3に弾接させた場合には、触感が大きくて間歇的な操作フィーリングをノブ3に付与することができる。前記回転多面体18の回転位置は、第2の位置センサ7によって検出される。また、ノブ3の操作に伴って、第1位置センサ5に備えられた摺動子(図示省略)が、操作軸2、ボールホルダ11及び連結部材19を介してノブ3の操作方向にノブ3の操作量だけ移動されるので、当該第1位置センサ5によって、ノブ3の操作量及び操作方向を検出することができる。
【0042】
かように、本例の手動入力装置1Eは、フィーリング付与手段4を、回転多面体18と、直線操作される操作軸2に固着され、回転多面体18と共働してノブ3に操作フィーリングを付与する1個のボールホルダ11とから構成し、アクチュエータ6により前記回転多面体18をその軸線回りに回転往復駆動することによって、ノブ3に付与する操作フィーリングを切り替えるようにしたので、スライダ形の手動入力装置について、ノブ3の操作に複数モードの操作フィーリングを付与することができ、この手動入力装置を用いて実行しようとする機器の機能調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0043】
なお、前記各実施形態例においては、フィーリング付与手段4にボール11aを備えたが、かかる構成に代えて、ピンを用いることも勿論可能である。また、第2実施形態例に係る手動入力装置1Bのように複数個のボールホルダ11を備えるタイプの手動入力装置においては、ボール11aとピンの双方を用いることもできる。
【0044】
〈車載機器制御装置の実施形態〉
以下、本発明に係る車載機器制御装置の一実施形態を、図6乃至図8に基づいて説明する。図6は本実施形態例に係る車載機器制御装置のダッシュボードへの取り付け状態を示す要部斜視図、図7は本実施形態例に係る車載機器制御装置が取り付けられた自動車の室内の状態を示す要部平面図、図8は本実施形態例に係る車載機器制御装置の機能ブロック図である。
【0045】
図6から明らかなように、本実施形態例に係る車載機器制御装置21は、筐体22が所要の大きさの角形容器状に形成されており、当該筐体22の内部には、前記第1乃至第5実施形態例に係る手動入力装置1A〜1Eのいずれかが内蔵されていて、手動入力装置1A〜1Eのいずれかに備えられたノブ3が筐体22の上方に配設されている。また、前記筐体22の上面には、前記ノブ3の設定部を中心として円弧状に配列された6個の押釦スイッチ24a,24b,24c,24d,24e,24fと、当該6個の押釦スイッチ群の配列位置の外周部分にこれと同心円状に配列された3個の押釦スイッチ25a,25b,25cと、ボリュームつまみ26とが配設されている。また、前記筐体22の前面には、カードスロット27と、ディスクスロット28とが開設されている。
【0046】
この車載機器制御装置は、図7に示すように、自動車のダッシュボードAの運転席Bと助手席Cとの間に取り付けられ、ダッシュボードAに備えられた表示装置D並びにダッシュボードA内に収納された機能コントローラ(図9参照)と共働して、所要の機能を発揮できるようになっている。
【0047】
円弧状に配列された6個の押釦スイッチ24a〜24fは、本例の車載機器制御装置21を用いて操作しようとする車載電気機器、例えばエアコン、ラジオ、テレビジョン、CDプレーヤ、カーナビゲーションシステム、ハンドルチルト装置、シート姿勢調整装置、電話などを選択するための電気機器選択スイッチであって、各車載電気機器と個別に接続されている。どの押釦スイッチとどの車載電気機器とを接続するかは任意に設定することができるが、本例の車載機器制御装置21においては、図8に示すように、押釦スイッチ24aがエアコン、押釦スイッチ24bがラジオ、押釦スイッチ24cがテレビジョン、押釦スイッチ24dがCDプレーヤ、押釦スイッチ24eがカーナビゲーションシステム、押釦スイッチ24fがハンドルチルト装置にそれぞれ接続されており、所望の押釦スイッチのノブを押圧操作することによって、当該押釦スイッチに接続された車載電気機器を選択できるようになっている。
【0048】
前記6個の押釦スイッチの外周部分に配列された3個の押釦スイッチ25a〜25cは、前記6個の押釦スイッチ24a〜24fを操作することによって選択された車載電気機器の機能を選択するための機能選択スイッチであって、例えば押釦スイッチ24aによってエアコンが選択された場合、図8に示すように、3個の押釦スイッチ25a〜25cは、それぞれ温度調整スイッチ、風量調整スイッチ、内外気切替スイッチとして機能する。勿論、押釦スイッチ24a〜24fによって選択された車載電気機器の種類に応じて、押釦スイッチ25a〜25cによって選択可能な機能の種類も変化する。筐体22内に内蔵された手動入力装置1A(〜1E)は、押釦スイッチ25a〜25cによって選択された機能の調整手段として使用され、例えば押釦スイッチ25aによってエアコンの温度調節が選択された場合、ノブ3を操作することによって、オートエアコンの設定温度を15℃、20℃、25℃等の所要の温度に設定することができる。
【0049】
次に、本例に係る車載機器制御装置の動作を図9に基づいて説明する。図9は本実施形態例に係る車載機器制御装置の動作ブロック図である。
【0050】
押釦スイッチ24a〜24fを操作して車載電気機器の種類を選択し、次いで押釦スイッチ25a〜25cを操作して先に選択された車載電気機器の機能を選択すると、選択された車載電気機器の種類及びその機能並びに第2位置センサ7から取り込まれたアクチュエータ6の現在位置に応じた制御信号aが機能コントローラ30よりアクチュエータ6に出力され、アクチュエータ6が駆動されて、フィーリング生成パターンFP1〜FP3とこれに弾接されるボール11aとの組み合わせが設定される。この状態からノブ3を操作すると、フィーリング生成パターンFP1〜FP3とこれに弾接されるボール11aとの組み合わせに応じた操作フィーリングがノブ3に付与されるので、操作者は、自分が選択した所要の機能調整をノブ3を用いて行っていることを感覚として知ることができる。選択された車載電気機器の種類及びその機能が異なれば、フィーリング生成パターンFP1〜FP3とこれに弾接されるボール11aとの組み合わせも変更され、ノブ3に異なるモードの操作フィーリングが付与される。また、ノブ3を操作すると、ノブ3の操作量及び操作方向に応じた信号bが第1位置センサ5から出力されるので、機能コントローラ30はこの信号bに応じた制御信号cを出力し、先に選択された車載電気機器の機能を調整する。
【0051】
かように、本例の車載機器制御装置は、複数モードの操作フィーリングをノブ3に付与可能な手動入力装置1A〜1Eを車載電気機器の機能調整手段として備えたので、車載された電気機器の調整内容に応じて異なる操作フィーリングをノブ3に付与することができる。よって、車載機器制御装置の操作性が改善され、当該車載機器制御装置を用いて実行しようとする電気機器の機能調整を容易かつ確実に行うことができる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の手動入力装置は、ノブと、少なくとも2種類のフィーリング生成パターンを有するフィーリング付与手段と、当該フィーリング付与手段を駆動し、前記ノブに付与される操作フィーリングを切り替えるアクチュエータとを備えたので、アクチュエータを駆動してフィーリング付与手段を駆動することにより、ノブに付与される操作フィーリングを適宜切り替えることができ、手動入力装置の操作性を改善することができる。よって、当該手動入力装置を用いて実行しようとする機器の機能調整を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態例に係る手動入力装置の構成図である。
【図2】第2実施形態例に係る手動入力装置の構成図である。
【図3】第3実施形態例に係る手動入力装置の構成図である。
【図4】第4実施形態例に係る手動入力装置の構成図である。
【図5】第5実施形態例に係る手動入力装置の構成図である。
【図6】実施形態例に係る車載機器制御装置のダッシュボードへの取り付け状態を示す要部斜視図である。
【図7】実施形態例に係る車載機器制御装置が取り付けられた自動車の室内の状態を示す要部平面図である。
【図8】実施形態例に係る車載機器制御装置の機能ブロック図である。
【図9】実施形態例に係る車載機器制御装置の動作ブロック図である。
【図10】従来例に係る手動入力装置の構成図である。
【符号の説明】
1A〜1E 手動入力装置
1 筐体
2 操作軸
3 ノブ
4 フィーリング付与手段
5 第1位置センサ
6 アクチュエータ
7 第2位置センサ
8,9,10 円板
FP1〜FP3 フィーリング生成パターン
11 ボールホルダ
11a ボール
11b 弾性部材
21 車載機器制御装置
22 筐体
24a〜24f 押釦スイッチ
25a〜25c 押釦スイッチ
26 ボリュームつまみ
Claims (2)
- ノブと、当該ノブによって回転操作される操作軸と、複数列のフィーリング生成パターンが形成され、前記操作軸に固着された円板又は円筒体と、当該円板又は円筒体に弾接される1つのボール又はピンと、当該1つのボール又はピンを前記複数列のフィーリング生成パターンの配列方向に直線往復移動させ、前記複数列のフィーリング生成パターンのいずれかとこれに弾接される前記1つのボール又はピンとの組み合わせを切り替えるアクチュエータとを備え、前記複数列のフィーリング生成パターンのいずれかとこれに弾接される前記1つのボール又はピンとの組み合わせに応じた操作フィーリングを前記ノブに付与することを特徴とする手動入力装置。
- ノブと、当該ノブによって回転操作される操作軸と、1列のフィーリング生成パターンが形成され、前記操作軸に固着された円板又は円筒体と、当該円板又は円筒体に弾接される複数個のボール又はピンと、当該複数個のボール又はピンのいずれかを前記1列のフィーリング生成パターンと選択的に係合させる方向に直線往復移動させ、前記1列のフィーリング生成パターンとこれに弾接される前記複数個のボール又はピンのいずれかとの組み合わせを切り替えるアクチュエータとを備え、前記1列のフィーリング生成パターンとこれに弾接される前記複数個のボール又はピンのいずれかとの組み合わせに応じた操作フィーリングを前記ノブに付与することを特徴とする手動入力装置。
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