JP3919168B2 - 乾式トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像するための現像剤に使用される乾式トナーに関する。更に詳しくは直接または間接電子写真現像方式を用いた複写機、レーザープリンター及び普通紙ファックス等に使用される電子写真用等の乾式トナーに関する。更に直接または間接電子写真多色現像方式を用いたフルカラー複写機、フルカラーレーザープリンター及びフルカラー普通紙ファックス等に使用される電子写真用等の乾式トナーに関する。更にまた乾式トナーを用いた現像剤を装填した画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真、静電記録、静電印刷等に於いて使用される現像剤は、その現像工程において、例えば、静電荷像が形成されている感光体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において感光体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。その際、潜像保持面上に形成される静電荷像を現像する為の現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤及びキャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。
【0003】
電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられる乾式トナーとしては、スチレン系樹脂、ポリエステルなどのトナーバインダー樹脂を着色剤などと共に溶融混練し、微粉砕したものが用いられている。これらの乾式トナーは紙などに現像転写された後、熱ロールを用いて加熱溶融することで定着することが行われている。その際、熱ロール温度が高すぎるとトナーが過剰に溶融し熱ロールに融着する問題(ホットオフセット)が発生する。また、熱ロール温度が低すぎるとトナーが充分に溶融せず定着が不十分になる問題が発生する。省エネルギー化、複写機等の装置の小型化の観点から、よりホットオフセット発生温度が高く(耐ホットオフセット性)、かつ定着温度が低い(低温定着性)トナーが求められている。
【0004】
また、トナーが保管中及び装置内の雰囲気温度下でブロッキングしない耐熱保存性が必要である。とりわけフルカラー複写機、フルカラープリンターにおいては、その画像の光沢性及び混色性が必要なことから、トナーはより低溶融粘度であることが必要であり、シャープメルト性のポリエステル系のトナーバインダー樹脂が用いられている。このようなトナーではホットオフセットの発生が起こりやすいことから、従来からフルカラー用の機器では、熱ロールにシリコーンオイルなどを塗布することが行われている。
【0005】
しかしながら、熱ロールにシリコーンオイルを塗布する方法は、オイルタンク、オイル塗布装置が必要であり、装置が複雑で大型となる。また、熱ロールの劣化をも引き起こし、一定期間毎のメンテナンスを必要とする。さらに、コピー用紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)用フィルム等にオイルが付着することが不可避であり、とりわけOHPにおいては付着オイルによる色調の悪化の問題がある。
【0006】
そこで、熱ロールにオイル塗布することなくトナーの融着を防ぐために、トナーにワックスを添加する方法が一般的に用いられているが、その離型効果にはワックスのバインダー中での分散状態が大きく影響している。ワックスはバインダー樹脂中に相溶してしまうと離型性を発現できず、非相溶なドメイン粒子として存在することにより初めて離型性を向上させることができる。ドメイン粒子の分散径が大きすぎると、トナー粒子表面近傍に存在するワックスの割合が相対的に増加するため、凝集性を示して流動性が悪化したり、長期の使用においてワックスがキャリアや感光体に移行してフィルミングを生じたりして良好な画質を得るのを妨げるという問題が生じる。また、カラートナーにおいては色再現性や透明性を損なうという問題もある。逆に、分散径が小さすぎると、ワックスが過度に微分散されて十分な離型性が得られない。このようにワックスの分散径のコントロールは必要不可欠であるにもかかわらず、未だ適切な方法が見つかっていない。
【0007】
上記問題点のうち、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性を成立させるものとして、▲1▼多官能のモノマーを用いて部分架橋せしめたポリエステルをトナーバインダー樹脂として用いたもの(特開昭57−109825号公報)、▲2▼ウレタン変性したポリエステルをトナーバインダー樹脂として用いたもの(特公平7−101318号公報)などが提案されている。また、フルカラー用に熱ロールへのオイル塗布量を低減するものとして、▲3▼ポリエステル微粒子とワックス微粒子を造粒したもの(特開平7−56390号公報)が提案されている。
【0008】
さらに、小粒径化した場合の粉体流動性、転写性を改善するものとしては、▲4▼着色剤、極性樹脂及び離型剤を含むビニル単量体組成物を水中に分散させた後、懸濁重合した重合トナー(特開平9−43909号公報)、▲5▼ポリエステル系樹脂からなるトナーを水中にて溶剤を用いて球形化したトナー(特開平9−34167号公報)が提案されている。さらにまた▲6▼特開平11−133666号公報には、ウレア結合で変性されたポリエステル樹脂を用いた略球形の乾式トナーが開示されている。
【0009】
しかし、▲1▼〜▲3▼に開示されているトナーは、いずれも粉体流動性、転写性が不十分であり、小粒径化して高画質化できるものではない。さらに、▲1▼及び▲2▼に開示されているトナーは、耐熱保存性と低温定着性の両立がまだ不十分であると共に、フルカラー用には光沢性が発現しないため使用できるものではない。また、▲3▼に開示されているトナーは低温定着性が不十分であると共に、オイルレス定着におけるホットオフセット性が満足できるものではない。
【0010】
▲4▼及び▲5▼に開示されているトナーは粉体流動性、転写性の改善効果は見られるものの、▲4▼に開示されているトナーは、低温定着性が不十分であり、定着に必要なエネルギーが多くなる問題点がある。特にフルカラー用のトナーではこの問題が顕著である。▲5▼に開示されているトナーは、低温定着性ではより優れるものの、耐ホットオフセット性が不十分であり、フルカラー用において熱ロールへのオイル塗布を不用にできるものではない。
【0011】
▲6▼に開示されているトナーはウレア結合によって伸長されたポリエステルを用いることによってトナーの粘弾性を適宜調節でき、フルカラートナーとしての適正な光沢性と離型性を両立することができる点で優れていた。特に定着ローラーが使用中に電荷を帯び、転写媒体上の未定着画像上のトナーが静電的に散ったり、定着ローラーに付着してしまう、いわゆる静電オフセットは、ウレア結合成分の正帯電性とポリエステル樹脂自身の弱負帯電性の中和により緩和することができた。しかし耐ホットオフセット性という点においては、オイル塗布をすることなく満足な離型性を得られるレベルには達していない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、粉体流動性、転写性に優れると共に耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れた乾式トナー、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、かつ熱ロールへのオイル塗布を必要としない乾式トナーを提供することを目的とする。また本発明は、上記乾式トナーを用いた現像剤を装填した画像形成装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は下記の手段により達成される。
すなわち、本発明によれば、第一に、少なくともバインダー樹脂、着色剤及びアクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有する乾式トナーであって、該アクリル変性ポリオルガノシロキサンが、(イ)下記一般式(I)
【化4】
〔式中、R1、R2及びR3は、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、Yはラジカル反応性基、Z1及びZ2は、それぞれ同一又は異なる水素原子、低級アルキル基又は
【化5】
基(R4及びR5は、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、R6は炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、あるいはラジカル反応性基である)、mは10,000以下の正の整数、nは1以上の整数である〕で表わされるポリオルガノシロキサンと、(ロ)下記一般式(II)
【化6】
(式中、R7は水素原子又はメチル基、R8はアルキル基、アルコキシ置換アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基である)で表わされる(メタ)アクリル酸エステル又はこの(メタ)アクリル酸エステル70重量%以上と共重合可能な単量体30重量%以下との混合物とを、(イ)成分と(ロ)成分の重量比5:95ないし95:5の割合で乳化グラフト共重合させて得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンであることを特徴とする乾式トナーが提供される。
第二に、前記(ロ)成分として用いるグラフト共重合用単量体のポリマー化物のガラス転移温度が20℃以上であることを特徴とする上記第一の乾式トナーが提供される。
第三に、前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンのトナー中の分散径の分布が、0.1〜3μmである粒子が70個数%以上であることを特徴とする上記第一又は第二の乾式トナーが提供される。
第四に、前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの平均粒径が0.05μm〜4.0μmであることを特徴とする上記第三の乾式トナーが提供される。
第五に、上記第一〜第四のいずれかの乾式トナーを用いた現像剤を装填したことを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の乾式トナーは、少なくともバインダー樹脂、着色剤及びアクリル変性ポリオルガノシロキサンを有効成分として含有するものである。このアクリル変性ポリオルガノシロキサンはシロキサン部分が低摩擦性を有する重合体であり、アクリル部分がマトリックス樹脂との相溶性が良い重合体であり、トナーに良く分散できることから、本発明の目的を達成することができる。
【0015】
通常ワックス成分は他のトナー成分、特にバインダー樹脂と相溶性が悪く、トナー中で大きなドメインとして分散していたり、トナー表面に露出していたりする。従ってこのような低分子のワックス成分は感光体、現像ローラなどトナーと接触する部分の汚染を引き起こし、満足した画像が得られなくなる。これに対して本発明において使用されるアクリル変性ポリオルガノシロキサンはトナー中への分散に優れており、従来のワックスに比べ他の部材への汚染性が少ない。従ってシステムの耐久性や信頼性を上げることができる。
【0016】
さらに、本発明において使用されるアクリル変性ポリオルガノシロキサンは、アクリル部分がトナーバインダー樹脂との相溶性を持ち、トナーバインダー樹脂との溶融混練によりトナー全域に一次粒子まで均一に分散でき、かつ、シロキサン部分とアクリル部分が劣化し難いグラフト化学結合で繋がっていることから、粒径が小さく流動性と耐久性と保存安定性が優れ、透明性が良いトナーが実現できる。従ってフルカラー現像剤にも好適である。
【0017】
また、アクリル部分とシロキサン部分はグラフト化学結合で繋がっているので、独特な球形構造を持つ。したがって、溶融混練のエネルギーを増加させても構造を保持し、バインダー樹脂と完全に相溶しないので、従来のワックスと比べ他の部材への汚染性が少ない。また、得られたトナーの定着性や耐高温オフセット性が優れる。
【0018】
ここで、本発明の乾式トナーは製法や材料に関しては公知のものが全て使用可能である。
【0019】
以下にさらに詳細に本発明において用いられるアクリル変性ポリオルガノシロキサンについて述べる。
このアクリル変性ポリオルガノシロキサンは、(イ)下記一般式(I)
【化7】
(式中のR1、R2、R3、Y、Z1及びZ2は前記と同じ意味をもつ)
で表わされるポリオルガノシロキサンに、(ロ)下記一般式(II)
【化8】
(式中のR7、R8は前記と同じ意味をもつ)
で表わされる(メタ)アクリル酸エステル及び所望に応じて用いられる共重合可能な単量体を、乳化重合法によりグラフト重合させることにより製造される。
【0020】
前記一般式(I)で表わされるポリオルガノシロキサンにおいては、R1、R2及びR3は、それぞれメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基やフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などのアリール基などの炭素数1〜20の炭化水素基又はこれらの炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子の少なくとも1つをハロゲン原子で置換した炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基であって、R1、R2及びR3は、それぞれ同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
【0021】
また、Yはビニル基、アリル基、γ−アクリロキシプロピル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−メルカプトピロピル基などのラジカル反応性基である。
【0022】
Z1及びZ2は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの低級アルキル基又は
【化9】
で示されるトリオルガノシリル基であり、このトリオルガノシリル基におけるR4及びR5は、それぞれ同一又は異なる炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン化炭化水素基、R6は炭素数1〜20の炭化水素基もしくはハロゲン化炭化水素基、あるいはラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基である。該トリオルガノシリル基における炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基及びラジカル反応性基又はSH基もしくはその両方をもつ有機基としては、前記に例示したものを挙げることができる。該Z1とZ2は、それぞれ同一であってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
【0023】
さらに、mは10,000以下の正の整数、好ましくは500〜8,000の範囲の整数であり、nは1以上の整数、好ましくは1〜500の範囲の整数である。
【0024】
前記一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンは、環状ポリオルガノシロキサン、分子鎖両末端が水酸基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がアルコキシ基で封鎖された液状ポリジメチルシロキサン、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたポリジメチルシロキサンなどを、また、ラジカル反応性基を導入するためのシラン類或いはシラン類の加水分解生成物などを、さらに所望に応じ、本発明の目的を損なわない程度の量の三官能性のトリアルコキシシラン及びその加水分解生成物などを用い、反応させることにより製造することができる。
【0025】
次に、一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンの製造方法の異なった例について説明する。
まず、第1の方法は、原料として、例えば前記のオクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状低分子シロキサンとラジカル反応性基をもつジアルコキシシラン化合物やその加水分解物を用い、強アルカリ性又は強酸性触媒の存在下に重合させることにより高分子量のポリオルガノシロキサンを得る方法である。このようにして得られた高分子量のポリオルガノシロキサンは、次工程の乳化グラフト共重合に供するために、適当な乳化剤の存在下に水性媒体中に乳化分散させる処理が施される。
【0026】
次に、第2の方法は、原料として、例えば前記の低分子ポリオルガノシロキサンと、ラジカル反応性基をもつジアルコキシシランやその加水分解物とを用い、スルホン酸系界面活性剤や硫酸エステル系界面活性剤の存在下に、水性媒体中において乳化重合させる方法である。
この乳化重合の場合、同様な原料を用い、アルキルトリメチルアンモニウムクロリドやアルキルベンジルアンモニウムクロリドなどのカチオン性界面活性剤により、水性媒体中に乳化分散させたのち、適当量の水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの強アルカリ性化合物を添加して重合させることもできる。
【0027】
このようにして得られた前記一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンは、その分子量が小さいと、組成物から得られるトナーに持続性のある流動性、耐久性などを付与する効果が劣るようになるので、分子量ができるだけ大きい方が好ましい。このため、第1の方法においては、重合においてポリオルガノシロキサンを高分子量のものとしておき、これを乳化分散することが必要であり、また第2の方法においては、乳化重合後に施される熟成処理の際に、温度を低くすればポリオルガノシロキサンの分子量が大きくなるので、熟成温度は30℃以下、好ましくは15℃以下とするのが有利である。
【0028】
本発明において、(イ)成分の前記一般式(I)で示されるポリオルガノシロキサンに、グラフト重合させる(ロ)成分の単量体として用いられる前記一般式(II)で示される(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは1種のみを用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
また、所望に応じ、これらの(メタ)アクリル酸エステルと共に用いられる共重合可能な単量体としては、多官能性単量体やエチレン性不飽和単量体が挙げられる。該多官能性単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのエチレン性不飽和アミド及びエチレン性不飽和アミドのアルキロール又はアルコキシアルキル化物、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルアリルエーテルなどのオキシラン基含有不飽和単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸などのカルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有不飽和単量体、(メタ)アクリル酸のエチレンオキシドやプロピレンオキシド付加物などのポリアルキレンオキシド基含有不飽和単量体、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸との完全エステル、さらにはアリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。これらは1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの多官能性単量体は、アクリル変性ポリオルガノシロキサンにおけるポリマー間の架橋に関与することによって、トナーに粘弾性、耐久性、保存性などを付与する効果を有している。
【0030】
一方、エチレン性不飽和単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどが挙げられる。これらの単量体は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、これらの単量体1種以上と前記多官能性単量体1種以上とを組み合わせて用いてもよい。
【0031】
前記所望に応じて用いられる共重合可能な単量体の使用量は、前記一般式(II)で示される(メタ)アクリル酸エステルと該共重合可能な単量体との合計重量に基づき、30重量%以下の範囲で選ぶことが好ましい。この量が30重量%を超えると、得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンとトナーバインダー樹脂との混和性が低下する。
【0032】
また、前記(ロ)成分のグラフト共重合用単量体、すなわち前記一般式(II)で示される(メタ)アクリル酸エステル、又はこれと共重合可能な単量体との混合物は、トナーにより優れた摺動性、耐摩耗性を付与するためには、そのポリマー化物のガラス転移温度が20℃、好ましくは30℃以上のものが望ましい。
【0033】
本発明におけるアクリル変性ポリオルガノシロキサンは、前記(イ)成分のポリオルガノシロキサンと(ロ)成分の単量体とを、好ましくは重量比5:95〜95:5の割合で用いて、乳化重合法により、グラフト共重合させることにより得られる。該(イ)成分のポリオルガノシロキサンの使用割合が前記範囲より少ないと、得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンはポリオルガノシロキサン自体がもつ効果を十分に発揮することができず、かつアクリル系ポリマーの欠点である粘着感が生じるようになるし、前記範囲より多いと該アクリル変性ポリオルガノシロキサンはバインダー樹脂との混和性が低下し、トナーの流動性、離型性が不十分となる傾向がみられる。
【0034】
前記(イ)成分と(ロ)成分との乳化グラフト共重合は、該(イ)成分としてポリオルガノシロキサンの水性エマルジョンを用い、通常のラジカル開始剤を使用して、公知の乳化重合法によって行うことができる。
なおアクリル変性ポリオルガノシロキサンの製造に関しては特公平7−5808号公報(日信化学工業株式会社)に詳細に記載されている。
こうして得られるアクリル変性ポリオルガノシロキサンとして好ましい平均粒子径は0.05〜4μmである。
【0035】
また本発明に用いられるアクリル変性ポリオルガノシロキサンにおいて、重合時に用いる乳化剤、凝集剤等不純物の残留は帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く恐れがあるため、必要に応じて精製して用いることが好ましい。精製法としては酸、アルカリ水溶液、水及びアルコールなどで攪拌洗浄処理する方法またソックスレー抽出等による固液抽出法が挙げられる。
【0036】
かかるアクリル変性ポリオルガノシロキサンのトナーにおける使用量は、通常1〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
以下に本発明で使用される変性ポリオルガノシロキサンの代表的な例を示す。
例えば日信化学工業(株)のシャリーヌR−170S、R−170、R−210、信越化学工業(株)のX−22−8084、X−22−8171という商品名で市販されているものが挙げられる。
【0037】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0038】
着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレトVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
使用量は一般にバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜50重量部である。
【0039】
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カ一リット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0040】
本発明において帯電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。より好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0041】
これらの着色剤、帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0042】
本発明のトナー粒子には外添剤を添加することができる。
外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0043】
この他高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0044】
このような流動化剤等の外添剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤などが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0045】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにクリーニング向上剤を添加することができ、クリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0046】
(アクリル変性ポリオルガノシロキサンの分散径の測定)
本発明においては、アクリル変性ポリオルガノシロキサン(グラフト共重合体)の最大方向の粒径をもって該共重合体の分散径とした。具体的には、現像剤をエポキシ樹脂に包埋して約100nmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率10000倍で観察を行い、写真撮影し、この写真を画像評価することにより、グラフト共重合体の分散状態を観察し分散径を測定した。本発明の現像剤中に存在するグラフト共重合体分散径の分布は0.1〜3μmの粒子が70個数%以上が好ましく、より好ましくは1〜2μmの粒子が70個数%以上である。0.1μmより小さい粒子が多いと、充分な離型性を発現できない。また、3μmより大きい粒子が多いと、凝集性を示して流動性が悪化したり、フィルミングを生じたりするばかりか、カラートナーにおいては色再現性や光沢性を著しく低下させてしまう。
【0047】
(トナーの製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、少なくともバインダー樹脂、主帯電制御剤、顔料、アクリル変性ポリオルガノシロキサンを含むトナー成分を機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有する製造方法により製造でき、該製造方法の機械的に混合する工程において、粉砕または分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末を少なくとも加えてトナー成分と共に機械的に混合することもできる。
【0048】
このような製造方法によれば、粉砕、分級工程で発生する製品以外の微粒子や粗粒子(副製品)を再利用しても再利用しない場合のトナーと変わらない帯電性、現像性、耐久性を有す、低コストの乾式トナーを提供することができる。
ここで言う副製品とは溶融混練する工程後、粉砕工程で得られる所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子や引き続いて行われる分級工程で発生する所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子を意味する。このような副製品を混合工程で原料と好ましくは副製品1に対しその他原材料99から、副製品50に対しその他原材料50の重量比率で混合するのが好ましい。
【0049】
少なくとも結着剤樹脂、主帯電制御剤、着色剤及びアクリル変性ポリオルガノシロキサン、副製品を含むトナー成分を機械的に混合する混合工程は、回転させる羽による通常の混合機などを用いて通常の条件で行えばよく、特に制限はない。
【0050】
以上の混合工程が終了したら、次いで混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、一軸、二軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖の切断を招来しないような適正な条件で行うことが重要である。具体的には、溶融混練温度は、バインダー樹脂の軟化点を参考に行うべきであり、軟化点より低温過ぎると切断が激しく、高温過ぎると分散が進まない。
【0051】
以上の溶融混練工程が終了したら、次いで混練物を粉砕する。この粉砕工程においては、まず粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕したり、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕する方式が好ましく用いられる。
【0052】
この粉砕工程が終了した後に、粉砕物を遠心力などで気流中で分級し、もって所定の粒径、例えば平均粒径が5〜20μmのトナーを製造する。
【0053】
また、トナーを調製する際には、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナーにさらに先に挙げた疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。外添剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中または漸次外添剤を加えていけばよい。もちろん混合機の回転数、転動速度、時間、温度などを変化させてもよい。はじめに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えても良いし、その逆でも良い。
使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられる。
【0054】
(二成分系現像剤用キャリア)
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
【0055】
また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、及びシリコーン樹脂等が使用できる。
【0056】
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0057】
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない1成分系の磁性トナー、あるいは非磁性トナーとしても用いることができる。
【0058】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。また、以下の例において、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
【0059】
(粒子製造例1)
アクリル変性ポリオルガノシロキサン(シャリーヌR−170S、日信化学工業株式会社製)30部をメタノール240部に採り、60分間の攪拌操作を2回行った後、イオン交換水で置換処理した。得られたアクリル変性ポリオルガノシロキサンを凍結乾燥して27.76部を得た。以下に示す実施例においては本操作で得られたシャリーヌR−170Sを使用した。
【0060】
(実施例1)
水 1200部
フタロシアニングリーン含水ケーキ(固形分30%) 200部
カーボンブラック(MA60三菱化学社製) 540部
をフラッシャーでよく撹拌した。ここに、ポリエステル樹脂(酸価;3、水酸基価;25、Mn;45000、Mw/Mn;4.0、Tg;60℃)1200部を加え、150℃で30分混練後、キシレン1000部を加えさらに1時間混練、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ顔料を得た。
ポリエステル樹脂(酸価:3、水酸基価:25、
Mn:45000、Mw/Mn:4.0、Tg:60℃) 100部
上記マスターバッチ 5部
主帯電制御剤(保土谷化学社製TN−105) 4部
粒子製造例1で得られたシャリーヌR170S 5部
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル;日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機;日本ニューマチック工業社製)を行い、体積平均粒径8.1μm、4μm以下の微粉含有率7.2個数%のトナーを得た。
このトナー中で分散径が0.1〜3.0μmのアクリル変性ポリオルガノシロキサンは91個数%であった。評価結果を表1に示す。
【0061】
(実施例2)
実施例1におけるシャリーヌR−170Sの添加量を4部に代える他は実施例1と同様にブラックトナーを作製した。この現像剤中で分散径が0.1〜3.0μmのアクリル変性ポリオルガノシロキサンは87個数%であった。評価結果を表1に示す。
【0062】
(比較例1)
実施例1におけるシャリーヌR−170Sをペンタエリスリトールテトラベヘネート(融点81℃、溶融粘度25cps)に代えた以外は実施例1と同様にブラックトナーを作製した。このトナー中で分散径が0.1〜3.0μmのワックスは67個数%であった。評価結果を表1に示す。
【0063】
(比較例2)
実施例1におけるシャリーヌR−170Sをシリコーン変性アクリル共重合体(GS−101、東亜合成化学工業製)に代えた以外は実施例1と同様にブラックトナーを作製した。このトナー中で分散径が0.1〜3.0μmのシリコーン変性アクリル共重合体は80個数%であった。評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、低摩擦成分が少ないシリコーン変性アクリル共重合体はトナーの離型性、流動性及び保存安定性に役立たなかった。
【0064】
(比較例3)
実施例1におけるシャリーヌR−170Sをシリコーンゴムパウダー(KMP595、信越シリコーン製)に代えた以外は実施例1と同様にブラックトナーを作製した。このトナー中で分散径が0.1〜3.0μmのシリコーンゴムパウダーは31個数%であった。評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、相溶性に寄与するシェル成分を含有していないシリコーンゴムパウダーはトナーへの分散性が劣るため、離型性、流動性及び保存安定性に役立たなかった。
【0065】
[評価方法]
(1)粉体流動性:ホソカワミクロン製パウダーテスターを用いてかさ密度を測定した。流動性の良好なトナーほど、かさ密度は大きい。
(2)定着下限温度:定着ローラーとしてテフロンローラーを使用した(株)リコー製カラー複写機(PRETER550;リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、定着温度を変化させてこれにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
(3)ホットオフセット発生温度(HOT):上記定着下限温度と同様に定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
(4)保存安定性:トナーを金属製シャーレに入れ、調湿剤で湿度を91%RHにコントロールしたデシケータ中に50℃で24時間放置し、トナーの凝集の程度を目視で評価した。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、トナーに少なくともアクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有させたことにより、該アクリル変性ポリオルガノシロキサンのポリオルガノシロキサン部分が低摩擦性を有する重合体であり、さらにアクリル部分がマトリックス樹脂との相溶性のある重合体であることから、トナー中に良く分散され、粉体流動性が優れると共に低温定着性が優れ、また耐ホットオフセット性に優れると共に保存安定性の優れた乾式トナーが提供される。
また、該トナーを用いた現像剤を装填した画像形成装置が提供される。
Claims (5)
- 少なくともバインダー樹脂、着色剤及びアクリル変性ポリオルガノシロキサンを含有する乾式トナーであって、該アクリル変性ポリオルガノシロキサンが、(イ)下記一般式(I)
- 前記(ロ)成分として用いるグラフト共重合用単量体のポリマー化物のガラス転移温度が20℃以上である請求項1記載の乾式トナー。
- 前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンのトナー中の分散径の分布が、0.1〜3μmである粒子が70個数%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の乾式トナー。
- 前記アクリル変性ポリオルガノシロキサンの平均粒径が0.05〜4.0μmであることを特徴とする請求項3に記載の乾式トナー。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の乾式トナーを用いた現像剤を装填したことを特徴とする画像形成装置。
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