JP3919000B2 - 非汚染性シリコーン樹脂系コーティング剤 - Google Patents

非汚染性シリコーン樹脂系コーティング剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗膜表面が長期間にわたり親水性を維持し、塗膜表面の汚染物質が雨水で洗い流されることによって非汚染性を発現する塗膜を形成するコーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
屋外において太陽光に曝される部位に塗工される塗料・コーティング剤の分野において、高耐久性を有する塗料としては、オルガノポリシロキサン系のシリコーン樹脂塗料、及びシリカ等の金属酸化物を主成分とした無機塗料が知られている。
【0003】
一般に、有機樹脂の耐候劣化は、太陽光・紫外光のエネルギーによって、炭素−炭素結合、又は炭素と他の元素との結合が開裂することに起因するとされている。オルガノポリシロキサンの場合、その主鎖はケイ素−酸素結合からなり、該結合は光照射により開裂しにくいため高耐候性が発現する。また、オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合したメチル基、エチル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、ビニル基等のアルケニル基等の有機基を有しており、この有機基は塗膜の成膜性を向上させるのに大きく役立つ。主としてメチル基を有するオルガノシロキサンの場合、高光沢、高硬度で、且つ耐候性に優れ、表面が基本的に撥水性の塗膜を形成する。一般に撥水性表面には、土埃等の親水性汚染物質は付着しにくいが、半面、ディーゼル車等自動車の排気ガス等に由来する親油性の汚染物質が付着しやすい傾向がある。
【0004】
一方、上記無機塗料として、有機基を持たないシリカを主成分とするものが挙げられる。これは、4官能性ケイ素化合物(SiX4)(式中Xは、加水分解性基)を出発原料としたオリゴマー、水ガラス、高重合体のシリカ粒子等からなるものである。例えば、特開平11−005920号には、シリコンアルコキシドを加水分解して得られたシリカ質コーティング剤が記載されている。これらの無機質塗膜は、一般的に表面が親水性であり、塗膜が屋外に設置された場合、雨水によるセルフクリーニング効果によって親油性汚染物質が除去されやすいという特徴を有する。しかしながら、シリコーン樹脂系塗膜の場合に比べて、被膜形成能が低い、厚膜化が困難である、根本的に被膜にクラックが発生しやすい等の問題点を有する。
【0005】
このシリカ系の低重合体(オリゴマー)を従来の有機樹脂系塗料に添加し、塗膜表面を親水化して防汚性を付与する試みも提案されている(国際公開番号94/06870号公報)。しかしながら、この方法によって防汚性能を十分発現させるためには、シリカ系成分の添加量を多くする必要があり、有機樹脂との相溶性に問題が生じやすい、また、十分相溶し得たとしても、長期間の屋外曝露中にシリカ系成分が塗膜内部から流出・脱落し、表面親水性が持続しないという問題点がある。
【0006】
一方、特許第2865065号公報及び特許第2943768号公報には、光触媒を用い、表面の水接触角が10°以下の超親水化した塗膜について記載されている。これは、光触媒の光励起によって、塗膜表面が親水化されて汚れるのを防止し、又は表面を自己浄化(セルフクリーニング)し、若しくは容易に清掃し得る技術である。この場合、塗膜表面に光触媒がある程度の高濃度で存在することが必須であり、塗膜内部に埋没した光触媒は表面親水化には寄与しない。従って、塗料とする場合、バインダー樹脂に対する光触媒配合量を多くするか、又は光触媒含有層を最外層に塗膜として別途形成するなどの工夫が必要であり、いずれもコスト的に不利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の問題点に鑑み、本発明は、屋外曝露に対し高耐久性の塗膜を形成することができ、更に、塗膜表面が長期間にわたり親水性を維持し、塗膜表面の汚染物質が雨水で洗い流されることによって非汚染性を発現する塗膜を形成し得るコーティング剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、
(I) 下記平均組成式(1):
1 a2 bc(OH)dSiO(4-a-b-c-d)/2 (1)
(式中、R1は、独立に、非置換又は置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基、R2は、独立に、非芳香族性不飽和結合を少なくとも1個有する炭素原子数2〜10の1価炭化水素基、Xは加水分解性基であり、a、b、c及びdは、0≦a≦1.68、0.3≦b≦1.98、0.3≦a+b≦1.98、0≦c≦2.7、0≦d≦2.7、0.001≦c+d≦2.7、及び 0.301≦a+b+c+d<4の範囲の条件を満足する0又は正数である)
で表されるシリコーン樹脂、及び
(II) 縮合反応硬化触媒
を含む非汚染性シリコーン樹脂系コーティング剤を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の非汚染性シリコーン樹脂系コーティング剤について詳細に説明する。
【0010】
[(I)成分]
<平均組成>
本(I)成分のシリコーン樹脂は、本発明のコーティング剤の主剤であり、下記平均組成式(1):
1 a2 bc(OH)dSiO(4-a-b-c-d)/2 (1)
(式中、R1、R2、X、a、b、c、dは、前記と同じ)
で表わされるものである。
【0011】
上記R1の非置換又は置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基;3,3,3-トリフルオロプロピル基、3-クロロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、プロピル基、ヘキシル基、フェニル基が好ましい。特に耐候性を要求される場合には、耐光劣化の少ないメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。構造物、建材などの外装用塗料に用いられる場合には、メチル基が好ましい。
【0012】
このR1は任意の基であり、上記式(1)中に含まれていなくてもよく、また、上記式(1)に含まれる場合の量(a)は、1.68以下である。前記量(a)が 1.68より大きい場合、シリコーン樹脂の3次元網状構造の硬化物が得られにくく、外装用トップコートとして要求される程度の硬度が得られにくいため適さない。
【0013】
上記R2の非芳香族性不飽和結合を少なくとも1個有する炭素原子数2〜10の1価炭化水素基としては、例えば、ビニル基、アリル基、1-プロペニル基、イソプロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、2-メチル-1-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1,3-ブタンジエニル基、1-ペンテニル基、1-ヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、1-メチル-2-プロピニル基、1-ブテン-3-イニル基、1,3-ブタジイニル基等のアルキニル基が挙げられる。中でも、本発明のコーティング剤から得られる硬化塗膜の親水性化が容易に発現できるとの観点から、特にビニル基が好ましい。
【0014】
本(I)成分のシリコーン樹脂が、上記R2を有することは必須であり、上記式(1)に含まれる量(b)が 0.3以上であることが必要である。前記量(b)が 0.3より少ないと、非汚染性を発現するのに十分な表面親水性を有する塗膜を得ることができない。また、前記量(b)及び(a+b)が、1.98より大きい場合は、シリコーン樹脂の3次元網状構造の硬化物が得られにくく、外装用トップコートとして要求される程度の硬度が得られにくいため適さない。
【0015】
上記Xの加水分解性基の具体例としては、塩素原子、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec-ブトキシ基、t-ブトキシ基、イソプロペノキシ基、フェノキシ基、アセトキシ基、ブタノキム基、アミノ基等を挙げることができる。このXは、後述するように、本(I)成分を加水分解性基含有シラン化合物の加水分解・縮合反応により生成させて得る際に、結果として残存して含まれる基である。このXの上記式(1)に含まれる場合の量(c)は、2.7以下である。前記量(c)が 2.7より大きい場合、本発明のコーティング剤を硬化させる際の架橋点が多すぎて、塗膜の柔軟性に欠け、また厚膜化が不可能となる。
【0016】
上記水酸基(OH)は、上記と同様に加水分解性基含有シラン化合物の加水分解・縮合反応により生成し得る基であって、上記Xと同様の理由により、上記式(1)に含まれる場合の量(d)は、2.7以下である。
上記Xの加水分解性基及び上記水酸基(OH)は、塗膜の硬化時に架橋基として作用するものであり、上記式(1)にはそのいずれかが含まれていなければならない。従って、上記c+dの和は、0.001以上かつ 2.7以下とされる。
【0017】
<(I)成分の製造>
本発明の(I)成分のシリコーン樹脂は、加水分解性基含有シラン化合物を加水分解し縮合反応させる従来公知の方法によって得ることができる。前記加水分解性基としては、上記Xに関して例示したものがあげられるが、中でも加水分解・縮合反応時の制御のし易さから、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基を用いるのが好ましい。
加水分解性基含有シラン化合物を加水分解する際には、前記シラン化合物をトルエン等の有機溶剤で希釈してもよい。
【0018】
加水分解用触媒としては、酸性触媒又はアルカリ性触媒のどちらも適用可能である。酸性触媒としては、ギ酸、塩酸、酢酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸等が使用でき、アルカリ性触媒としてはアンモニア、アルキルアミン類、芳香族アミン類、金属水酸化物等が使用できる。これら以外にも、加水分解触媒としてチタン化合物、アルミニウム化合物、スズ化合物等も使用可能である。
加水分解水量は、任意な水量で加えられるが、好ましくは加水分解性基の総モル数に対し、0.01〜100倍モル、より好ましくは 0.05〜30倍モルの範囲で使用することができる。
【0019】
また、本発明の成分(I)として、
(A)SiX4:0〜50モル%、
(B)R1SiX3及び/又はR2SiX3:30〜100モル%、
(C)R12SiX2及び/又はR1 2SiX2:0〜70モル%、並びに、
(D)R1 22SiX及び/又はR1 3SiX:0〜45モル%
(上記各式中、R1、R2及びXは前記と同じであり、上記(A)〜(D)の合計は100モル%であり、かつ、ケイ素原子1個当りのR1の合計の含有量は0個以上 1.68個以下であり、ケイ素原子1個当りのR2の合計の含有量は 0.3個以上 1.98個以下である)
を含む加水分解性基含有シラン化合物の加水分解縮合物であるシリコーン樹脂を用いることができる。上記(A)〜(D)成分のうち、(A)、(C)及び(D)は任意の成分である。また、3官能性の(B)成分は必須であり、この使用量が 30モル%より少ない場合、塗膜形成性に乏しいものとなってしまう。(A)成分が 50モル%より多い場合、(C)成分が 70モル%より多い場合、及び(D)成分が 45モル%より多い場合には、いずれの場合も、塗膜形成性の低下、溶剤揮発後のタック(粘着性)等の問題が生じるため適さない。
【0020】
[(II)成分]
本発明のコーティング剤で用いられる(II)成分の縮合反応硬化触媒は、上記(I)のシリコーン樹脂を、室温で又は加熱して硬化させて硬化塗膜を形成させるためのものであって、これには従来公知の縮合反応硬化触媒が使用できる。
【0021】
例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、ジメチルアミン、n-ヘキシルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン、ジシアンジアミド、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等の塩基性化合物類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウム-ジ-n-ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム-ジ-イソプロポキシドモノエチルアセトアセテート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、スズアセチルアセトナート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジオクチレート、ジブチルスズジラウレート等の含金属化合物類;p-トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸等の酸性化合物類などが挙げられる。
【0022】
本(II)成分の添加量は、触媒としての有効量でよく、特に制限されないが、通常、(I)成分のシリコーン樹脂固形分 100重量部に対して 0.02〜0.4重量部の使用が好ましい。
【0023】
[溶剤]
本発明のコーティング剤は、溶剤により希釈され使用してもよい。この溶剤としては、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-プロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエン等が挙げられる。
【0024】
[その他の成分]
本発明のコーティング剤には、更に必要に応じ、従来のコーティング剤に用いられる公知の添加剤、例えばレベリング剤、分散剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤、防腐剤、防カビ剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、増量剤などを配合しても差し支えない。また、屋外構造物の外装への適用に当たって塗膜の透明性が求められない場合には、既存の顔料を添加してもよい。
【0025】
[本発明のコーティング剤の機能等]
本発明のコーティング剤は、上記のとおり主剤である(I)成分のシルコーン樹脂が、非芳香族性不飽和結合含有1価炭化水素基を有する点に特徴を有し、そのため、得られる硬化塗膜は屋外曝露により親水性となり、非汚染性を発現するものである。
【0026】
例えば、ケイ素原子に結合したビニル基を上記一定の必要量以上含有したシリコーン樹脂を用いた場合、得られた硬化塗膜は、屋外曝露により水接触角が低下し、親水性を呈するようになる。なお、本発明では、水接触角が 55度以下の場合を親水性と定義する。これは、太陽光中の紫外線や空気中の酸素、水分等が複合的に作用し、ビニル基に化学的変化をもたらし、硬化塗膜の最外表面に水酸基を形成することによって水分の吸着を促し、親水性を発現するものと考えられる。その機構は、汎用の(不飽和結合を有しない)オルガノポリシロキサンが有するメチル基等のアルキル基等と比較して、ビニル基が電子的に極めて特異であることに起因すると考えられる。
【0027】
硬化塗膜の水接触角が 55度以下に低下し親水性を呈するに至るまでに要する屋外曝露期間は、ビニル基等不飽和結合の含有率、及び、その曝露が行われる環境に依存するが、実験の結果、最短で 0.5〜2ヶ月程度は必要であることが判明している。
表面が親水性となった硬化塗膜は、その表面に各種汚染物質が付着しても雨水等により、容易に洗い流されて、清浄なものとなるというセルフクリーニング性を有しているので、別途洗浄する必要がない。
【0028】
また、本発明で用いる上記シリコーン樹脂は、従来公知のシリコーン樹脂と同様に、塗膜形成性に優れ、硬化塗膜内部においては、屋外曝露によっても経時変化の少ない耐候性塗膜を形成することが可能である。
こうしたことから、本発明コーティング剤は、構造物、建材などの屋外構造物外装用の塗料として特に好適である。特に、ガラス窓やガラス製外壁に適用した場合、定期的清掃作業を不要とするとの大きなコスト的利点がある。
【0029】
【実施例】
以下、シリコーン樹脂の調製例及び実施例・比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明が以下の実施例に限定されるものではない。また、「Me」はメチル基を表す。
【0030】
[調製例−1]
温度計、攪拌機及び冷却器を備えた7L三口フラスコに、純水 2700g、塩酸(濃度:35重量%)2.2gを仕込み、攪拌しつつ、氷冷下でビニルトリメトキシシラン 1520gを滴下して加水分解反応を行った。滴下終了後、更に内温を 30℃以下に保持しながら1時間攪拌して、無色透明な加水分解溶液を得た。これを、30℃に昇温し5時間かけて徐々に縮合反応を行った結果、加水分解縮合物である白色のシリコーン樹脂が析出してきた。次いで、メチルイソブチルケトン(MIBK)1660gを投入し、シリコーン樹脂をこれに溶解させた。その後、加水分解によって生成したメタノールを減圧下、留去した後、静置することにより酸性水層を分離して、シリコーン樹脂のMIBK溶液(固形分濃度 33重量%)2430gを得た。これを、溶液Aとする。
【0031】
上記により得られたシリコーン樹脂の平均組成式は、29Si-NMRスペクトルから、及びIRによるメトキシ基量測定の結果、下記式のとおりであることが判明した。
(CH2=CH)1.0(OMe)0.03(OH)0.35SiO1.31
【0032】
[調製例−2]
ビニルトリメトキシシラン 1520gを、メチルトリメトキシシラン 696g及びビニルトリメトキシシラン 760gの混合液に変更したこと以外は、調製例−1と同様にして、加水分解・縮合反応を行った。MIBK 1540gを投入して、白色のシリコーン樹脂をこれに溶解させた。その後、調製例−1と同様にして、シリコーン樹脂のMIBK溶液(固形分濃度 34重量%)2215gを得た。これを、溶液Bとする。
【0033】
調製例−1と同様にして、得られたシリコーン樹脂の平均組成式は、下記式のとおりであることが判明した。
Me0.5(CH2=CH)0.5(OMe)0.02(OH)0.34SiO1.32
【0034】
[調製例−3]
温度計、攪拌機及び冷却器を備えた5L三口フラスコに、ビニルトリメトキシシラン 1036g、ビニルメチルジメトキシシラン 396g、トルエン 1240gを仕込み、触媒としてメタンスルホン酸(濃度:98重量%)37.4gを添加し、内温を 45℃以下に保ちながら水 460gを滴下し、上記アルコキシシランを加水分解した。滴下終了後、更に室温で2時間攪拌して反応を完結させた。その後、酸性成分を中和し、生成したメタノールを減圧留去した。2回水洗することにより完全に中和塩を除去した後、再び 10mmHg、100℃減圧条件下で1時間かけてトルエン等の溶剤成分を除去することにより、無色透明の液状シロキサン樹脂 880gを得た。この樹脂のGPC測定による重量平均分子量は、2.4×103であった。これを樹脂Cとする。
【0035】
この樹脂Cの平均組成式は、H−,29Si−NMRスペクトルから、及びグリニャール法によるメトキシ基量測定の結果、下記式のとおりであることが判明した。
Me0.3(CH2=CH)1.0(OMe)0.15(OH)0.17SiO1.19
【0036】
[調製例−4]
ビニルトリメトキシシラン 740g、ビニルメチルジメトキシシラン 660g、トルエン 1240g、メタンスルホン酸(濃度:98重量%)34.6g、及び水 427gを用い、調製例−3と同様にして、無色透明の液状シロキサン樹脂 912gを得た。この樹脂のGPC測定による重量平均分子量は、1.8×103であった。これを樹脂Dとする。
【0037】
調製例−3と同様にして、この樹脂Dの平均組成式は、下記式のとおりであることが判明した。
Me0.5(CH2=CH)1.0(OMe)0.15(OH)0.11SiO1.12
【0038】
[調製例−5](比較用)
ビニルトリメトキシシラン 1520gに代えて、メチルトリメトキシシラン 1397gを用いること以外は、調製例−1と同様にして、シリコーン樹脂のMIBK溶液(固形分濃度 33重量%)2060gを得た。これを、溶液Eとする。
【0039】
調製例−1と同様にして、得られたシリコーン樹脂の組成式は、下記式のとおりであることが判明した。
Me1.0(OMe)0.02(OH)0.32SiO1.33
【0040】
[調製例−6](比較用)
温度計、攪拌機及び冷却器を備えた1L三口フラスコに、テトラエトキシシラン 312g、エタノール 207を仕込み、滴下ロートに純水 26.3g及びアンモニア水(濃度:28重量%)0.91gの混合液を入れ、攪拌しながら5分間で前記混合液を滴下し、加水分解・縮合反応を行った。12時間加熱還流した後、純水 25.5g及び 1.8重量%希塩酸水 15gを加え、室温で 12時間攪拌し、反応を終結させて、エタノール及びアンモニウム塩を含むシロキサン溶液を得た。これを溶液Fとする。
【0041】
[実施例1〜8、比較例1〜3]
表面を清浄化したガラス板又はアルミニウム板に、表1に記載した組成の各コーティング組成物をバーコーターにて塗工し、120℃にて約 30分硬化させた。このようにして得られた硬化塗膜について、下記評価方法により評価した結果を表1に示した。
【0042】
[塗膜評価方法]
・屋外曝露試験:
塗膜試料を試料台に固定し、屋外に2ヶ月間曝露することによって実施した。
・接触角:
塗膜の水に対する表面接触角は、接触角測定器(協和界面科学社製、形式:CA-X150)にて3点について測定し、その平均値として得た。曝露前の初期接触角と曝露後のものとの双方について測定した。なお、屋外曝露後の試料表面は土埃等が付着しているため、水道水で十分に汚れを洗い流し、室内で1日風乾した塗膜について前記接触角測定を行った。
・外観:
曝露前の塗膜試料と曝露後のものとの双方について、その外観を評価し、特にクラックの有無を目視で評価し、クラックのないものを○とし、クラックが生じているものを×とした。
・防汚性:
屋外曝露後の塗膜試料の表面を、手でこすることなく、水道水で洗い流した後、土埃が除去されるものを○、多量に残存するものを×とした。
【0043】
【表1】
Figure 0003919000
【0044】
[評価]
表1に記載の結果から明らかなように、ケイ素原子に結合したビニル基を有するシリコーン樹脂を用いた場合には、得られた硬化塗膜の初期接触角が、実施例7及び8のように100度を越える場合であっても、屋外曝露の結果55度以下となり良好な親水性が発現しており、外観及び防汚性も良好であるのに対して、不飽和結合を含有しないシリコーン樹脂を用いた比較例1及び2では、屋外曝露によっても接触角に特段の変化はなく、しかも、55度を越えており親水性のものとはなっておらず、防汚性は不良であった。更に、比較例3は、クラックが激しく基材に定着した塗膜を形成しておらず、表面も平滑ではないことから、初期接触角等の測定が不可能なものであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明のコーティング剤から得られる硬化塗膜は、一定期間屋外に曝露されるとその表面が親水性を呈するようになり、塗膜表面に汚染物質が付着しても雨水で容易に洗い流されて、清浄性を保つという非汚染性を発現するとの顕著な効果を奏するとともに、耐久性にも優れることから、構造物、建材、ガラス壁等の屋外構造物外装用塗料として特に好適である。

Claims (4)

  1. (I) 下記平均組成式(1):
    1 a2 bc(OH)dSiO(4-a-b-c-d)/2 (1)
    (式中、R1は、独立に、非置換又は置換の炭素原子数1〜18の1価炭化水素基、R2は、独立に、非芳香族性不飽和結合を少なくとも1個有する炭素原子数2〜10の1価炭化水素基、Xは加水分解性基であり、a、b、c及びdは、0≦a≦1.68、0.3≦b≦1.98、0.3≦a+b≦1.98、0≦c≦2.7、0≦d≦2.7、0.001≦c+d≦2.7、及び 0.301≦a+b+c+d<4の範囲の条件を満足する0又は正数である)
    で表されるシリコーン樹脂、及び
    (II) 縮合反応硬化触媒
    を含む非汚染性シリコーン樹脂系コーティング剤。
  2. 前記(I)成分のシリコーン樹脂が、
    (A)SiX4:0〜50モル%、
    (B)R1SiX3及び/又はR2SiX3:30〜100モル%、
    (C)R12SiX2及び/又はR1 2SiX2:0〜70モル%、並びに、
    (D)R1 22SiX及び/又はR1 3SiX:0〜45モル%
    (上記各式中、R1、R2及びXは前記と同じであり、上記(A)〜(D)の合計は100モル%であり、かつ、ケイ素原子1個当りのR1の合計の含有量は0個以上 1.68個以下であり、ケイ素原子1個当りのR2の合計の含有量は 0.3個以上 1.98個以下である)
    を含む加水分解性基含有シラン化合物の加水分解縮合物である請求項1記載のコーティング剤。
  3. 前記R2がビニル基である請求項1又は請求項2記載のコーティング剤。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーティング剤を適用することを特徴とする屋外構造物外装の防汚及び自己浄化方法。
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