JP3918050B2 - 新規な含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なペルフルオロカルボン酸フルオリド及びその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、界面活性剤、農薬、医薬品などの含フッ素製品や含フッ素高分子単量体などの合成中間体として有用な含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリド及びこのものを容易に入手しうる原料を用いて好収率で製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペルフルオロカルボン酸フルオリド(容易に加水分解して、ペルフルオロカルボン酸となる)は、種々のフッ素含有製品の原料や合成中間体として有用であり、例えば界面活性剤、農薬、医薬品などの製造に用いることができる。ところで、分子中にペルフルオロ複素環より成るグループを含む化合物は、該ペルフルオロ複素環を有する種々の含フッ素製品を与えうる合成中間体として有用な化合物であるために、これまでにペルフルオロピロリジノ基、ペルフルオロモルホリノ基、ペルフルオロピペリジノ基、ペルフルオロピペラジノ基{特許第1731805、特許第1451067、特許第2984759、特許第2967168、特許第2946045、特許第2002−3481}やペルフルオロヘキサメチレンイミノ基{T. Abe, S.K. Pandey, H. Baba, J. Fluorine Chem., 105, 149-157 (2000)}などを持つ含窒素ペルフルオロカルボン酸が製造されている。
【0003】
一方、種々のフッ素含有製品の原料として用いられるペルフルオロカルボン酸は、その分子構造を巧みに利用することにより種々の機能性の発現が可能である。例えば、射出成形の可能なフッ素樹脂の製造のためには、得られるポリマーのアモルファス性を増加(すなわち結晶性を低下)させる目的に側鎖基にペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルコキシル基をもつ単量体がテトラフルオロエチレンとの共単量体として用いられる。従って、その場合の共単量体としては、側鎖基のペルフルオロアルキル基(又はペルフルオロアルコキシル基)が嵩高いほど、少量で大きな効果が期待できる。そのため官能基として酸フルオリド基と嵩高い7員環のペルフルオロ(1,4−ジアゼピン)基を有する該化合物は有用な含フッ素製品の素材として考えられていたものの、これまでに合成された7員環の複素環としてはヘキサメチレンイミノ基環をもつ化合物が合成されているのみであり、新規含フッ素製品の開発のための原料としての含窒素ペルフルオロカルボン酸の選択の幅が制限されていた。更に、6員環や7員環の複素環化合物の電解フッ素化反応では、副反応として複素環の異性化反応がおきるために、目的物の対応するペルフルオロ複素環化合物とともに、それらと構造異性体の関係にある環が縮小した生成物の副生を免れることは出来なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、界面活性剤、農薬、医薬品、伝熱媒体、反応溶媒などのフッ素含有製品の原料や含フッ素プラスチック製品の合成中間体として使用できる新規な含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリド及びその製造方法を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、下記一般式(1)で表される含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリドが提供される。
【化3】
(式中、Rf 1は炭素数1〜5のフルオロカルボニルペルフルオロアルキル基を示しRf 2は炭素数1〜2のペルフルオロアルキル基又は炭素数1〜5のフルオロカルボニルペルフルオロアルキル基を示す)
また、本発明によれば、前記(1)に記載された含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリドを製造する方法において、下記一般式(2)で表される含窒素カルボン酸フルオリドを液体フッ化水素中で電解フッ素化することを特徴とする前記方法が提供される。
【化4】
(式中、R1は炭素数1〜5のフルオロカルボニルアルキル基又は炭素数1〜5のメトキシカルボニルアルキル基を示し、R2は炭素数1〜2のアルキル基、炭素数1〜5のフルオロカルボニルアルキル基、クロロカルボニルアルキル基又はメトキシカルボニルアルキル基を示す)
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリド(モノカルボン酸フルオリド及びジカルボン酸フルオリド)(以下、本発明化合物とも言う)を示す前記一般式(1)において、Rf 1は炭素数1〜5のフルオロカルボニルペルフルオロアル基を示す。このRfの具体例としては、−CF2COF、−C2F4COF、−C3F6COF、−C4F8COF、−C5F10COF、−CF(CF3)COF、−CF(CF3)CF2COF、−CF2CF(CF3)COF等が挙げられる。
前記一般式(1)において、Rf 2は−CF3又は−C2F5を示すかあるいは前記Rf 1に示した炭素数1〜5のフルオロカルボニルペルフルオロアルキル基を示す。その具体例としては、Rf 1に関して示した前記のものを挙げることができる。
前記一般式(1)においてRf 1とRf 2とは同一又は異っていてもよい。
【0007】
本発明で用いる原料化合物は、前記一般式(2)で表されるヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)化合物である。
前記一般式(2)において、R1は炭素数1〜5のフルオロカルボニルアルキル基、クロロカルボニルアルキル基又はメトキシカルボニルアルキル基を示すが、その具体例としては、−CH2COX(a)、−C2H4COX(b)、−C3H6COX(c)、−CH(CH3)COX(d)、−CH(CH3)CH2COX(e)、−CH2CH(CF3)COX(f)、−C4H8COX、−C5H10COX等が挙げられる。
なお、前記Xは塩素原子、フッ素原子又はメトキシ基(−OCH3)を示す。
前記一般式(2)において、R2はメチル基又はエチル基を示すかあるいは前記R1として示した炭素数1〜5のフルオロカルボニルアルキル基、クロロカルボニルアルキル基又はメトキシカルボニルアルキル基を示す。その具体例としてはR1に関して示した前記のものが挙げられる。
【0008】
本発明化合物は、前記一般式(2)で表されるヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)化合物を液体フッ化水素中において電解フッ素化することによって製造することができる。この原料化合物は、入手容易な化合物であり、その電解フッ素化反応においては、予期されるような環縮小を伴う異性化を伴わないで、またC−N結合の開裂も激しくなくて、対応するペルフルオロ(1−アルキル−4−フルオロカルボニルアルキル−1,4−ジアゼピン)及びペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]に効率よく変換される。
【0009】
前記の方法で原料化合物として用いた一般式(2)のヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピン化合物は、酸クロリド、酸フルオリド、メチルエステルなどのいずれの形でもよいが、入手しやすさや電解フッ素化における操作性の点からメチルエステルが好適である。
メトキシカルボニルアルキル基として、前記(a)、(c)、(d)をもつ一般式(2)の化合物は、例えばMoffettの方法{「ジャーアル・オブ・オルガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)」第14巻、第862ページ(1949年)}に従い、それぞれヘキサヒドロ(1−アルキル−1,4−ジアゼピン)及びヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)を用い、それらとそれぞれ適量モル倍量のブロモ酢酸メチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、又は3−ブロモプロピオン酸メチルとの反応により容易に得られる。
【0010】
一方、メトキシカルボニルアルキル基として、前記(b)、(e)、(f)をもつ一般式(2)の化合物は、それぞれヘキサヒドロ(1−アルキル−1,4−ジアゼピン)及びヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)を用い、それらと適量モル倍量のアクリル酸メチル、クロトン酸メチル、あるいはメタクリル酸メチルとのMichael付加反応により容易に得られる。
【0011】
本発明方法における電解フッ素化反応においては、従来電解フッ素化反応で常用されている電解槽を用いることができる。また、該反応は液体フッ化水素中で行われ、この際原料のヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)化合物の濃度は1〜80重量%の範囲で選ばれるが、この濃度が高くなるとタール状化合物が生成し易くなるので、好ましくは3〜20重量%の濃度で選ばれる。電流密度は0.01〜10A/dm2、0.1〜5A/dm2の範囲で選ばれる。この電流密度が高すぎると電解電圧が高くなりすぎて副反応が生じやすくなる。また、電解温度は−20〜50℃、好ましくは−10〜20℃の範囲で選ばれる。この温度が低すぎると電解電圧が高くなりやすく、一方高すぎるとフッ化水素の逃散が起こりやすくなる。
【0012】
この電解反応は通常常圧で行われるが、所望に応じ加圧下で行うことも出きる。加圧下で行う場合は、フッ化水素の沸点が上昇するために、反応系の冷却を緩和しうる長所がある。また、該反応は連続法又はバッチ式のいずれの方法も用いることができるが、バッチ式で行う場合、反応を簡潔させるための電解時間は電流密度や原料の量に左右されるが、一般に電気量が理論電気量の80〜200%になるような時間を要して反応を行うのが好ましい。
【0013】
これらの電解フッ素化反応の条件は、使用する原料の種類によって異なるので、目的生成物の収率及び電流効率などを考慮して適宜選択することが望ましい。また、効率よく電解フッ素化を行い、目的生成物の収率を向上させるために、反応中電解液をかき混ぜることが望ましく、その為には機械的な強制攪拌や不活性ガスの導入によるかき混ぜなどの方法を用いることができる。
【0014】
このようにして得られたペルフルオロ[1−アルキル−4−(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]及びペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]は、電解槽内に残留し、液体フッ化水素と分離して二層となるために、その下層を形成している該化合物を電解終了後にドレインしてとりだすことができる。
【0015】
このような電解フッ素化反応により、前記一般式(2)で表されるヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)化合物から、それぞれR1、R2がRf 1、Rf 2に変化した前記一般式(1)で表されるペルフルオロ[1−アルキル−4−(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]及びペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]が得られる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例を挙げて説明する。以下の実施例で用いた電解槽は、モネルメタル製のものである。電極にはニッケル板製の陽極7枚と陰極8枚とを極間距離2mmで交互に配列した、有効面積が7.5dm2のものを使用した。
【0017】
実施例1
容量450mlの無水フッ化水素酸に1−エチル−4−(メトキシカルボニルメチル)ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピン(40.1g)を溶解し、この溶液を、6.1〜6.6Vで237Ahr電解した。
生成ガスは、フッ化ナトリウム管を通じて随伴するフッ化水素を除いた後、ドライアイスエタノール浴で−78℃に冷却したトラップで捕集した。電解終了後、電解槽下部のドレインコックを開き、フルオロカーボン混合物17.8gを抜き出した。また、冷却トラップ中にはフルオロカーボン混合物(セルドレイン化合物)11.2gが捕集された。
これらのフルオロカーボン混合物を、ガスクロマトグラフィー[キャリアー:He、液相:Fomblin YR 25%、坦体:60〜80メッシュ クロモソーブPAW]、IR、19F−NMR、Mass、元素分析などにより分析したところ、開裂生成物として得られたペルフルオロ[3,7−ジアザ−3,7−ジメチルノナノイルフルオリド](2.8g、収率7.5%)とともに目的物のペルフルオロ〔1−エチル−4−(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン〕が7.7g(収率7.8%)が得られた。
新規化合物として得られたペルフルオロ〔1−エチル−4−(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン〕の分光学的データは次の通りである。
【0018】
IR(gas):1896ν(C=O)(ms)、1331(s)、1246(vs)、1217(ms)、1151〜1165(ms)、1128(m、sh)、1099(w)、1055(m)、1011(w)、945(m)、932(m)、862(w)、810(w)、789(w)、735(w)、700(w).
【0019】
Mass:447[M−C(O)F]+(5.4)、375C7F13N2O+(5.3)、309C6F11N2 +(4.9)、264C5F10N+(25.1)、214C4F8N+(45.6)、195C4F7N+(4.6)、169C3F7 +(12.7)、164C3F6N+(51.4)、150C3F6 +(26.5)、145C3F5N+(9.3)、131C3F5 +(4.6)、119C2F5 +(100)、114C2F4N+(74.2)、100C2F4 +(75.4)、97CF2C(O)F+(22.4)、95C2F3N+(4.1)、69CF3 +(98.0)、50CF2 +(8.4).
【0020】
NMR:
【化5】
【0021】
新規化合物として得られたペルフルオロ〔1−エチル−4−(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン〕は、更に対応するメチルエステルに誘導し、その物性を測定した。
メチルエステルとしての物性値は、沸点161〜163℃、密度がd4 201.8045、屈折率がnD 201.3266でありその分光学的データ(IR、 Mass)は次の通りである。
【0022】
IR(capillary film):1798ν(C=O)(vs)、1445(w)、1310(Vs)、1276(s)、1236(vs)、1209(vs)、1155(s)、1109(ms)、1074(w)、1051(ms)、1009(w)、941(m)、930(m)、860(w)、843(w)、814(w)、793(w).
【0023】
Mass:437[M−CF3]+(12.5)、349(3.3)、321C7F11N2 +(14.4)、309C6F11N2 +(13.3)、288(5.4)、264C5F10N+(1.1)、254(3.6)、238C4F10 +(9.1)、224C6F8 +(2.8)、214C4F8N+(26.1)、204(1.1)、181C4F7 +(3.5)、174C5F6 +(8.2)、164C3F6N+(8.6)、145C3F5N+(3.0)、131C3F5 +(4.4)、124C4F4 +(7.5)、114C2F4N+(24.7)、109CF2C(O)OCH3 +(51.3)、100C2F4 +(27.4)、95C2F3N+(1.4)、93C3F3 +(2.9)、81C2F3 +(28.6)、69CF3 +(15.3)、65CF2CH3+(16.9)、59C(O)OCH3 +(100)、50CF2 +(2.7).
【0024】
実施例2
原料として1,4−ジ(メトキシカルボニルメチル)ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピン(39.0g、0.16mol)を用い、電解電圧は、5.8〜6.3Vで213Ahr電解した以外は実施例1と同様にして実験を行った。電解終了後、冷却トラップ中にはフルオロカーボン混合物8.4gと電解槽下部よりセルドレイン化合物が17.6g捕集された。この場合には、二官能性化合物として、ペルフルオロ(2,6−ジアザ−2,6−ジメチル−1,7−ヘプタンジカルボン酸フルオリド)(2.1g)とともに、目的物のペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]が5.6g得られた。仕込んだ原料を基にするとペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]の収率は7.4%であった。
新規化合物として得られたペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]の分光学的データは次の通りである。
【0025】
IR(gas):1896ν(C=O)(s)、1333(vs)、1265(ms)、1240(ms)、1217(ms)、1167(ms)、1060(w)、1049(w)、1011(w)、934(ms)、810(w)、696(w).
【0026】
Mass:425[M−C(O)F]+(14.1)、400(2.9)、325C6F11N2O+(3.1)、309C6F11N2 +(5.5)、264C5F10N+(11.2)、214C4F8N+(33.5)、169C3F7 +(8.6)、164C3F6N+(42.2)、150C3F6 +(12.2)、145C3F5N+(6.7)、131C3F5 +(3.3)、119C2F5 +(24.1)、114C2F4N+(67.1)、100C2F4 +(50.5)、97CF2C(O)F+(37.3)、95C2F3N+(4.5)、76C2F2N+(3.5)、69CF3 +(100)、50CF2 +(10.1).
【0027】
NMR:
【化6】
【0028】
ペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]の物性値はメチルエステルに誘導化して測定した。
そのメチルエステルとしての物性値は、沸点178〜180℃、密度d4 201.7297、屈折率nD 201.3562でありその分光学的データは次の通りである。
【0029】
IR(capillary film):2968ν(CH)(w)、1793ν(C=O)(s)、1444(w)、1346(s)、1323(s)、1276(vs)、1211(vs)、1159(vs)、1051(m)、1008(ms)、945(m)、925(s)、854(w)、840(w)、792(w).
【0030】
Mass:264C5F10N+(1.2)、214C4F8N+(6.2)、169C3F7 +(1.2)、164C3F6N+(756)、145C3F5N+(1.7)、131C3F5 +(1.9)、119C2F5 +(14.3)、114C2F4N+(15.0)、109CF2C(O)OCH3 +(16.8)、100C2F4 +(12.6)、81C2F3 +(7.0)、69CF3 +(16.4)、59C(O)OCH3 +(100)50CF2 +(1.6).
【0031】
実施例3
原料として4−メチル−1−[2−(メトキシカルボニル)エチル]−ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピン(40.7g、0.204mol)を用い、電解電圧は、5.8〜6.2Vで228Ahr電解した以外は実施例1と同様にして実験を行った。電解終了後、冷却トラップ中にはフルオロカーボン混合物11.8gと電解槽下部よりセルドレイン化合物が18.6g捕集された。セルドレイン化合物中に、ペルフルオロ(4,8−ジアザ−4,8−ジメチルノナノイルフルオリド)(3.2g)とともに、目的物のペルフルオロ[4−メチル−1−[2−(フルオロカルボニル)エチル]−1,4−ジアゼピン]が3.9g得られた。仕込んだ原料を基にするとペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]の収率は3.8%であった。新規化合物として得られたペルフルオロ[4−メチル−1−[2−(フルオロカルボニル)エチル]−1,4−ジアゼピン]の分光学的データは次の通りである。
【0032】
IR(gas):1886ν(C(O))(m)、1348(vs)、1294(m)、1236(s)、1202(m)、1153(ms)、1084(w)、1020(m)、935(m)、891(w)、829(w)、793(w)、731(w).
【0033】
MS:m/e475[M−F]+(1.1)、398(3.0)、397[M−CF2C(O)F]+(24.7)、387(2.7)、375(11.7)、347[M−CF2CF2C(O)F]+(2.8)、309C6F11N2 +(15.5)、297C6F11O+(3.5)、283(5.7)、264C6F10N+(16.8)、259(3.9)、221(7.5)、214C4F8N+(40.7)、196(3.8)、169C3F7 +(1.3)、164C3F6N+(41.9)、150C3F6 +(34.2)、145C3F5N+(10.5)、131C3F5 +(10.5)、119C2F5 +(67.5)、114C2F4N+(46.4)、100C2F4 +(90.5)、69CF3 +(100)、50CF2 +(5.0)、47C(O)F+(3.5).
【0034】
NMR:
【化7】
【0035】
ペルフルオロ{4−メチル−1−[2−(フルオロカルボニル)エチル]−1,4−ジアゼピン}の物性値はメチルエステルに誘導化して測定した。
ペルフルオロ[4−メチル−1−[2−(フルオロカルボニル)エチル]−1,4−ジアゼピン]は、そのメチルエステルとしての物性値は、沸点183〜186℃、密度d4 201.8193、屈折率nD 201.3288でありその分光学的データは次の通りである。
【0036】
IR(capillary film):2968ν(CH)(w)、1790ν(C(O))(s)、1443(w)、1337(vs)、1146〜1245(vs)、1082(m)、1020(ms)、1005(m)、943(s)、932(s)、889(w)、843(s)、823(w)、806(w)、787(w)、777(w).
【0037】
MS:m/e447[M−C(O)OMe]+(0.4)、397[M−CF2C(O)OMe]+(46.0)、347[M−CF2CF2C(O)OMe]+(5.7)、309C6F11N2 +(13.8)、264C5F10N+(7.8)、259(3.6)、221(2.7)、214C4F8N+(52.7)、176(2.2)、171(3.2)、159CF2CF2C(O)OMe+(29.7)、150(4.0)、131C3F5 +(47.7)、119C2F5 +(35.8)、114C2F4N+(40.4)、100 C2F4 +(65.7)、81C2F3 +(17.6)、69CF3 +(55.1)、59C(O)OMe+(100).
【0038】
【発明の効果】
本発明による新規なペルフルオロ(1,4−ジアゼピン)環を有するペルフルオロカルボン酸フルオリドは、界面活性剤、農薬、医薬品等の含フッ素製品や、含フッ素高分子単量体等の合成中間体等として用いることができる。
また、本発明の方法によれば、前記化合物を有利に製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なペルフルオロカルボン酸フルオリド及びその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、界面活性剤、農薬、医薬品などの含フッ素製品や含フッ素高分子単量体などの合成中間体として有用な含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリド及びこのものを容易に入手しうる原料を用いて好収率で製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ペルフルオロカルボン酸フルオリド(容易に加水分解して、ペルフルオロカルボン酸となる)は、種々のフッ素含有製品の原料や合成中間体として有用であり、例えば界面活性剤、農薬、医薬品などの製造に用いることができる。ところで、分子中にペルフルオロ複素環より成るグループを含む化合物は、該ペルフルオロ複素環を有する種々の含フッ素製品を与えうる合成中間体として有用な化合物であるために、これまでにペルフルオロピロリジノ基、ペルフルオロモルホリノ基、ペルフルオロピペリジノ基、ペルフルオロピペラジノ基{特許第1731805、特許第1451067、特許第2984759、特許第2967168、特許第2946045、特許第2002−3481}やペルフルオロヘキサメチレンイミノ基{T. Abe, S.K. Pandey, H. Baba, J. Fluorine Chem., 105, 149-157 (2000)}などを持つ含窒素ペルフルオロカルボン酸が製造されている。
【0003】
一方、種々のフッ素含有製品の原料として用いられるペルフルオロカルボン酸は、その分子構造を巧みに利用することにより種々の機能性の発現が可能である。例えば、射出成形の可能なフッ素樹脂の製造のためには、得られるポリマーのアモルファス性を増加(すなわち結晶性を低下)させる目的に側鎖基にペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルコキシル基をもつ単量体がテトラフルオロエチレンとの共単量体として用いられる。従って、その場合の共単量体としては、側鎖基のペルフルオロアルキル基(又はペルフルオロアルコキシル基)が嵩高いほど、少量で大きな効果が期待できる。そのため官能基として酸フルオリド基と嵩高い7員環のペルフルオロ(1,4−ジアゼピン)基を有する該化合物は有用な含フッ素製品の素材として考えられていたものの、これまでに合成された7員環の複素環としてはヘキサメチレンイミノ基環をもつ化合物が合成されているのみであり、新規含フッ素製品の開発のための原料としての含窒素ペルフルオロカルボン酸の選択の幅が制限されていた。更に、6員環や7員環の複素環化合物の電解フッ素化反応では、副反応として複素環の異性化反応がおきるために、目的物の対応するペルフルオロ複素環化合物とともに、それらと構造異性体の関係にある環が縮小した生成物の副生を免れることは出来なかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、界面活性剤、農薬、医薬品、伝熱媒体、反応溶媒などのフッ素含有製品の原料や含フッ素プラスチック製品の合成中間体として使用できる新規な含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリド及びその製造方法を提供することをその課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、下記一般式(1)で表される含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリドが提供される。
【化3】
(式中、Rf 1は炭素数1〜5のフルオロカルボニルペルフルオロアルキル基を示しRf 2は炭素数1〜2のペルフルオロアルキル基又は炭素数1〜5のフルオロカルボニルペルフルオロアルキル基を示す)
また、本発明によれば、前記(1)に記載された含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリドを製造する方法において、下記一般式(2)で表される含窒素カルボン酸フルオリドを液体フッ化水素中で電解フッ素化することを特徴とする前記方法が提供される。
【化4】
(式中、R1は炭素数1〜5のフルオロカルボニルアルキル基又は炭素数1〜5のメトキシカルボニルアルキル基を示し、R2は炭素数1〜2のアルキル基、炭素数1〜5のフルオロカルボニルアルキル基、クロロカルボニルアルキル基又はメトキシカルボニルアルキル基を示す)
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の含窒素ペルフルオロカルボン酸フルオリド(モノカルボン酸フルオリド及びジカルボン酸フルオリド)(以下、本発明化合物とも言う)を示す前記一般式(1)において、Rf 1は炭素数1〜5のフルオロカルボニルペルフルオロアル基を示す。このRfの具体例としては、−CF2COF、−C2F4COF、−C3F6COF、−C4F8COF、−C5F10COF、−CF(CF3)COF、−CF(CF3)CF2COF、−CF2CF(CF3)COF等が挙げられる。
前記一般式(1)において、Rf 2は−CF3又は−C2F5を示すかあるいは前記Rf 1に示した炭素数1〜5のフルオロカルボニルペルフルオロアルキル基を示す。その具体例としては、Rf 1に関して示した前記のものを挙げることができる。
前記一般式(1)においてRf 1とRf 2とは同一又は異っていてもよい。
【0007】
本発明で用いる原料化合物は、前記一般式(2)で表されるヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)化合物である。
前記一般式(2)において、R1は炭素数1〜5のフルオロカルボニルアルキル基、クロロカルボニルアルキル基又はメトキシカルボニルアルキル基を示すが、その具体例としては、−CH2COX(a)、−C2H4COX(b)、−C3H6COX(c)、−CH(CH3)COX(d)、−CH(CH3)CH2COX(e)、−CH2CH(CF3)COX(f)、−C4H8COX、−C5H10COX等が挙げられる。
なお、前記Xは塩素原子、フッ素原子又はメトキシ基(−OCH3)を示す。
前記一般式(2)において、R2はメチル基又はエチル基を示すかあるいは前記R1として示した炭素数1〜5のフルオロカルボニルアルキル基、クロロカルボニルアルキル基又はメトキシカルボニルアルキル基を示す。その具体例としてはR1に関して示した前記のものが挙げられる。
【0008】
本発明化合物は、前記一般式(2)で表されるヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)化合物を液体フッ化水素中において電解フッ素化することによって製造することができる。この原料化合物は、入手容易な化合物であり、その電解フッ素化反応においては、予期されるような環縮小を伴う異性化を伴わないで、またC−N結合の開裂も激しくなくて、対応するペルフルオロ(1−アルキル−4−フルオロカルボニルアルキル−1,4−ジアゼピン)及びペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]に効率よく変換される。
【0009】
前記の方法で原料化合物として用いた一般式(2)のヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピン化合物は、酸クロリド、酸フルオリド、メチルエステルなどのいずれの形でもよいが、入手しやすさや電解フッ素化における操作性の点からメチルエステルが好適である。
メトキシカルボニルアルキル基として、前記(a)、(c)、(d)をもつ一般式(2)の化合物は、例えばMoffettの方法{「ジャーアル・オブ・オルガニック・ケミストリー(J. Org. Chem.)」第14巻、第862ページ(1949年)}に従い、それぞれヘキサヒドロ(1−アルキル−1,4−ジアゼピン)及びヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)を用い、それらとそれぞれ適量モル倍量のブロモ酢酸メチル、2−ブロモプロピオン酸メチル、又は3−ブロモプロピオン酸メチルとの反応により容易に得られる。
【0010】
一方、メトキシカルボニルアルキル基として、前記(b)、(e)、(f)をもつ一般式(2)の化合物は、それぞれヘキサヒドロ(1−アルキル−1,4−ジアゼピン)及びヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)を用い、それらと適量モル倍量のアクリル酸メチル、クロトン酸メチル、あるいはメタクリル酸メチルとのMichael付加反応により容易に得られる。
【0011】
本発明方法における電解フッ素化反応においては、従来電解フッ素化反応で常用されている電解槽を用いることができる。また、該反応は液体フッ化水素中で行われ、この際原料のヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)化合物の濃度は1〜80重量%の範囲で選ばれるが、この濃度が高くなるとタール状化合物が生成し易くなるので、好ましくは3〜20重量%の濃度で選ばれる。電流密度は0.01〜10A/dm2、0.1〜5A/dm2の範囲で選ばれる。この電流密度が高すぎると電解電圧が高くなりすぎて副反応が生じやすくなる。また、電解温度は−20〜50℃、好ましくは−10〜20℃の範囲で選ばれる。この温度が低すぎると電解電圧が高くなりやすく、一方高すぎるとフッ化水素の逃散が起こりやすくなる。
【0012】
この電解反応は通常常圧で行われるが、所望に応じ加圧下で行うことも出きる。加圧下で行う場合は、フッ化水素の沸点が上昇するために、反応系の冷却を緩和しうる長所がある。また、該反応は連続法又はバッチ式のいずれの方法も用いることができるが、バッチ式で行う場合、反応を簡潔させるための電解時間は電流密度や原料の量に左右されるが、一般に電気量が理論電気量の80〜200%になるような時間を要して反応を行うのが好ましい。
【0013】
これらの電解フッ素化反応の条件は、使用する原料の種類によって異なるので、目的生成物の収率及び電流効率などを考慮して適宜選択することが望ましい。また、効率よく電解フッ素化を行い、目的生成物の収率を向上させるために、反応中電解液をかき混ぜることが望ましく、その為には機械的な強制攪拌や不活性ガスの導入によるかき混ぜなどの方法を用いることができる。
【0014】
このようにして得られたペルフルオロ[1−アルキル−4−(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]及びペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]は、電解槽内に残留し、液体フッ化水素と分離して二層となるために、その下層を形成している該化合物を電解終了後にドレインしてとりだすことができる。
【0015】
このような電解フッ素化反応により、前記一般式(2)で表されるヘキサヒドロ(1,4−ジアゼピン)化合物から、それぞれR1、R2がRf 1、Rf 2に変化した前記一般式(1)で表されるペルフルオロ[1−アルキル−4−(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]及びペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルアルキル)−1,4−ジアゼピン]が得られる。
【0016】
【実施例】
次に、本発明を実施例を挙げて説明する。以下の実施例で用いた電解槽は、モネルメタル製のものである。電極にはニッケル板製の陽極7枚と陰極8枚とを極間距離2mmで交互に配列した、有効面積が7.5dm2のものを使用した。
【0017】
実施例1
容量450mlの無水フッ化水素酸に1−エチル−4−(メトキシカルボニルメチル)ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピン(40.1g)を溶解し、この溶液を、6.1〜6.6Vで237Ahr電解した。
生成ガスは、フッ化ナトリウム管を通じて随伴するフッ化水素を除いた後、ドライアイスエタノール浴で−78℃に冷却したトラップで捕集した。電解終了後、電解槽下部のドレインコックを開き、フルオロカーボン混合物17.8gを抜き出した。また、冷却トラップ中にはフルオロカーボン混合物(セルドレイン化合物)11.2gが捕集された。
これらのフルオロカーボン混合物を、ガスクロマトグラフィー[キャリアー:He、液相:Fomblin YR 25%、坦体:60〜80メッシュ クロモソーブPAW]、IR、19F−NMR、Mass、元素分析などにより分析したところ、開裂生成物として得られたペルフルオロ[3,7−ジアザ−3,7−ジメチルノナノイルフルオリド](2.8g、収率7.5%)とともに目的物のペルフルオロ〔1−エチル−4−(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン〕が7.7g(収率7.8%)が得られた。
新規化合物として得られたペルフルオロ〔1−エチル−4−(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン〕の分光学的データは次の通りである。
【0018】
IR(gas):1896ν(C=O)(ms)、1331(s)、1246(vs)、1217(ms)、1151〜1165(ms)、1128(m、sh)、1099(w)、1055(m)、1011(w)、945(m)、932(m)、862(w)、810(w)、789(w)、735(w)、700(w).
【0019】
Mass:447[M−C(O)F]+(5.4)、375C7F13N2O+(5.3)、309C6F11N2 +(4.9)、264C5F10N+(25.1)、214C4F8N+(45.6)、195C4F7N+(4.6)、169C3F7 +(12.7)、164C3F6N+(51.4)、150C3F6 +(26.5)、145C3F5N+(9.3)、131C3F5 +(4.6)、119C2F5 +(100)、114C2F4N+(74.2)、100C2F4 +(75.4)、97CF2C(O)F+(22.4)、95C2F3N+(4.1)、69CF3 +(98.0)、50CF2 +(8.4).
【0020】
NMR:
【化5】
【0021】
新規化合物として得られたペルフルオロ〔1−エチル−4−(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン〕は、更に対応するメチルエステルに誘導し、その物性を測定した。
メチルエステルとしての物性値は、沸点161〜163℃、密度がd4 201.8045、屈折率がnD 201.3266でありその分光学的データ(IR、 Mass)は次の通りである。
【0022】
IR(capillary film):1798ν(C=O)(vs)、1445(w)、1310(Vs)、1276(s)、1236(vs)、1209(vs)、1155(s)、1109(ms)、1074(w)、1051(ms)、1009(w)、941(m)、930(m)、860(w)、843(w)、814(w)、793(w).
【0023】
Mass:437[M−CF3]+(12.5)、349(3.3)、321C7F11N2 +(14.4)、309C6F11N2 +(13.3)、288(5.4)、264C5F10N+(1.1)、254(3.6)、238C4F10 +(9.1)、224C6F8 +(2.8)、214C4F8N+(26.1)、204(1.1)、181C4F7 +(3.5)、174C5F6 +(8.2)、164C3F6N+(8.6)、145C3F5N+(3.0)、131C3F5 +(4.4)、124C4F4 +(7.5)、114C2F4N+(24.7)、109CF2C(O)OCH3 +(51.3)、100C2F4 +(27.4)、95C2F3N+(1.4)、93C3F3 +(2.9)、81C2F3 +(28.6)、69CF3 +(15.3)、65CF2CH3+(16.9)、59C(O)OCH3 +(100)、50CF2 +(2.7).
【0024】
実施例2
原料として1,4−ジ(メトキシカルボニルメチル)ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピン(39.0g、0.16mol)を用い、電解電圧は、5.8〜6.3Vで213Ahr電解した以外は実施例1と同様にして実験を行った。電解終了後、冷却トラップ中にはフルオロカーボン混合物8.4gと電解槽下部よりセルドレイン化合物が17.6g捕集された。この場合には、二官能性化合物として、ペルフルオロ(2,6−ジアザ−2,6−ジメチル−1,7−ヘプタンジカルボン酸フルオリド)(2.1g)とともに、目的物のペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]が5.6g得られた。仕込んだ原料を基にするとペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]の収率は7.4%であった。
新規化合物として得られたペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]の分光学的データは次の通りである。
【0025】
IR(gas):1896ν(C=O)(s)、1333(vs)、1265(ms)、1240(ms)、1217(ms)、1167(ms)、1060(w)、1049(w)、1011(w)、934(ms)、810(w)、696(w).
【0026】
Mass:425[M−C(O)F]+(14.1)、400(2.9)、325C6F11N2O+(3.1)、309C6F11N2 +(5.5)、264C5F10N+(11.2)、214C4F8N+(33.5)、169C3F7 +(8.6)、164C3F6N+(42.2)、150C3F6 +(12.2)、145C3F5N+(6.7)、131C3F5 +(3.3)、119C2F5 +(24.1)、114C2F4N+(67.1)、100C2F4 +(50.5)、97CF2C(O)F+(37.3)、95C2F3N+(4.5)、76C2F2N+(3.5)、69CF3 +(100)、50CF2 +(10.1).
【0027】
NMR:
【化6】
【0028】
ペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]の物性値はメチルエステルに誘導化して測定した。
そのメチルエステルとしての物性値は、沸点178〜180℃、密度d4 201.7297、屈折率nD 201.3562でありその分光学的データは次の通りである。
【0029】
IR(capillary film):2968ν(CH)(w)、1793ν(C=O)(s)、1444(w)、1346(s)、1323(s)、1276(vs)、1211(vs)、1159(vs)、1051(m)、1008(ms)、945(m)、925(s)、854(w)、840(w)、792(w).
【0030】
Mass:264C5F10N+(1.2)、214C4F8N+(6.2)、169C3F7 +(1.2)、164C3F6N+(756)、145C3F5N+(1.7)、131C3F5 +(1.9)、119C2F5 +(14.3)、114C2F4N+(15.0)、109CF2C(O)OCH3 +(16.8)、100C2F4 +(12.6)、81C2F3 +(7.0)、69CF3 +(16.4)、59C(O)OCH3 +(100)50CF2 +(1.6).
【0031】
実施例3
原料として4−メチル−1−[2−(メトキシカルボニル)エチル]−ヘキサヒドロ−1,4−ジアゼピン(40.7g、0.204mol)を用い、電解電圧は、5.8〜6.2Vで228Ahr電解した以外は実施例1と同様にして実験を行った。電解終了後、冷却トラップ中にはフルオロカーボン混合物11.8gと電解槽下部よりセルドレイン化合物が18.6g捕集された。セルドレイン化合物中に、ペルフルオロ(4,8−ジアザ−4,8−ジメチルノナノイルフルオリド)(3.2g)とともに、目的物のペルフルオロ[4−メチル−1−[2−(フルオロカルボニル)エチル]−1,4−ジアゼピン]が3.9g得られた。仕込んだ原料を基にするとペルフルオロ[1,4−ビス(フルオロカルボニルメチル)−1,4−ジアゼピン]の収率は3.8%であった。新規化合物として得られたペルフルオロ[4−メチル−1−[2−(フルオロカルボニル)エチル]−1,4−ジアゼピン]の分光学的データは次の通りである。
【0032】
IR(gas):1886ν(C(O))(m)、1348(vs)、1294(m)、1236(s)、1202(m)、1153(ms)、1084(w)、1020(m)、935(m)、891(w)、829(w)、793(w)、731(w).
【0033】
MS:m/e475[M−F]+(1.1)、398(3.0)、397[M−CF2C(O)F]+(24.7)、387(2.7)、375(11.7)、347[M−CF2CF2C(O)F]+(2.8)、309C6F11N2 +(15.5)、297C6F11O+(3.5)、283(5.7)、264C6F10N+(16.8)、259(3.9)、221(7.5)、214C4F8N+(40.7)、196(3.8)、169C3F7 +(1.3)、164C3F6N+(41.9)、150C3F6 +(34.2)、145C3F5N+(10.5)、131C3F5 +(10.5)、119C2F5 +(67.5)、114C2F4N+(46.4)、100C2F4 +(90.5)、69CF3 +(100)、50CF2 +(5.0)、47C(O)F+(3.5).
【0034】
NMR:
【化7】
【0035】
ペルフルオロ{4−メチル−1−[2−(フルオロカルボニル)エチル]−1,4−ジアゼピン}の物性値はメチルエステルに誘導化して測定した。
ペルフルオロ[4−メチル−1−[2−(フルオロカルボニル)エチル]−1,4−ジアゼピン]は、そのメチルエステルとしての物性値は、沸点183〜186℃、密度d4 201.8193、屈折率nD 201.3288でありその分光学的データは次の通りである。
【0036】
IR(capillary film):2968ν(CH)(w)、1790ν(C(O))(s)、1443(w)、1337(vs)、1146〜1245(vs)、1082(m)、1020(ms)、1005(m)、943(s)、932(s)、889(w)、843(s)、823(w)、806(w)、787(w)、777(w).
【0037】
MS:m/e447[M−C(O)OMe]+(0.4)、397[M−CF2C(O)OMe]+(46.0)、347[M−CF2CF2C(O)OMe]+(5.7)、309C6F11N2 +(13.8)、264C5F10N+(7.8)、259(3.6)、221(2.7)、214C4F8N+(52.7)、176(2.2)、171(3.2)、159CF2CF2C(O)OMe+(29.7)、150(4.0)、131C3F5 +(47.7)、119C2F5 +(35.8)、114C2F4N+(40.4)、100 C2F4 +(65.7)、81C2F3 +(17.6)、69CF3 +(55.1)、59C(O)OMe+(100).
【0038】
【発明の効果】
本発明による新規なペルフルオロ(1,4−ジアゼピン)環を有するペルフルオロカルボン酸フルオリドは、界面活性剤、農薬、医薬品等の含フッ素製品や、含フッ素高分子単量体等の合成中間体等として用いることができる。
また、本発明の方法によれば、前記化合物を有利に製造することができる。
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