JPH0637416B2 - フルオロジビニルエ−テル化合物及びその製造方法 - Google Patents

フルオロジビニルエ−テル化合物及びその製造方法

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JPH0637416B2
JPH0637416B2 JP15761187A JP15761187A JPH0637416B2 JP H0637416 B2 JPH0637416 B2 JP H0637416B2 JP 15761187 A JP15761187 A JP 15761187A JP 15761187 A JP15761187 A JP 15761187A JP H0637416 B2 JPH0637416 B2 JP H0637416B2
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祐二 井関
正広 武末
邦章 高田
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徳山曹達株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は新規なフルオロジビニルエーテル化合物及びそ
の製造方法に関する。
(従来技術及び発明が解決しようとする問題点) 従来、官能基を有するフルオロモノビニルエーテル化合
物は数多く合成されており、例えば、特公昭41−79
49号公報には一般式 (上記式中Rfはフッ素または1から10個までの炭素
原子を有するパーフルオロアルキル基であり、Yはフッ
素またはトリフルオロメチル基であり、nは1ないし3
である。)で示される化合物が記載されている。
前述したようなイオン交換基を有するフルオロモノビニ
ルエーテル化合物は、主としてハロゲン化アルカリ金属
水溶液の電解隔膜の原料モノマーとして用いられてい
る。しかしながら、一般には、フルオロモノビニルエー
テル化合物は重合性が悪いために、例えば、テトラフル
オロエチレンのようなオレフイン化合物との共重合によ
ってイオン交換膜が製造されている。このようなイオン
交換膜は、線状高分子の集合体であるため、槽電圧の低
下を目的としてイオン交換容量を高くすると、イオン交
換膜が膨潤して電流効率が低下するという欠点を有して
いる。
そこで、イオン交換膜の膨潤による電流効率の低下を防
止するために、テトラフルオロエチレンに代えて架橋剤
としてビニル基を2個有するフルオロ化合物を用い、イ
オン交換基又はイオン交換基に容易に変換できる基を有
するフルオロモノビニルエーテル化合物との共重合によ
って、架橋構造を持つイオン交換膜を製造する方法が特
開昭61-266828号公報に提案されている。しかしなが
ら、このイオン交換膜は、イオン交換基又は容易にイオ
ン交換基に変換できる基を有するフルオロモノビニルエ
ーテル化合物とビニル基を2個有するフルオロ化合物の
二成分共重合である為、イオン交換容量をあげると、結
果的に架橋密度が低下し、イオン交換容量と架橋密度の
両者を同時に満足させることはできなかった。
(問題点を解決するための手段) 本発明者らは、イオン交換容量と架橋密度の両者を同時
に満たすイオン交換膜の原料モノマーとして好適な化合
物を見い出すべく鋭意研究を重ねた結果、官能基を有す
る新規なフルオロジビニルエーテル化合物を見い出し、
本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は一般式〔I〕 (但し、Xはハロゲン、−COOR1(R1は水素、アルカリ
金属又は低級アルキル)、−CONR2R3(R2及びR3は同種
又は異種の水素又は低級アルキル)、−COY1(Y1はハロ
ゲン)、−SO3R4(R4は低級アルキル又はアルカリ金
属)、−SO2NR2R3(R2及びR3は同種又は異種の水素又は
低級アルキル)、−SO2Y2(Y2はOH又はハロゲン)又は
−SR5(R5は低級アルキル)であり、kは1〜4であ
り、lは0〜2であり、m及びnは0〜1である) で示されるフルオロジビニルエーテル化合物である。
上記R1,R2,R3,R4及びR5で示される低級アルキルは原
料の入手の容易さから炭素数1〜6のものが好ましく、
具体的には、アルキル基としてメチル基,エチル基,n
−プロピル基,i−プロピル基,n−ブチル基,i−ブ
チル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,n−ペンチ
ル基、n−ヘキシル基等が挙げられる。一般式中、R1
びR4で示されるアルカリ金属としては、リチウム,ナト
リウム,カリウム,ルピジウム等の各金属が用いられ、
X、Y1及びY2で示されるハロゲン原子としては、フッ
素,塩素、臭素,ヨウ素の各原子が用いられる。
また前記一般式〔I〕中、Xの−SR5基の代表的なもの
を例示すると、具体的には、メチルチオ基,エチルチオ
基,プロピルチオ基,フエニルチオ基等を挙げることが
できる。
前記一般式〔I〕中、kは1〜4で、1は0〜2で、m
及びnは0〜1の整数であることが好ましい。
本発明のフルオロジビニルエーテル化合物をイオン交換
膜製造のための原料モノマーとして用いる場合には、前
記一般式〔I〕中、Xで示される酸基若しくは容易に酸
基に変換できる基としては、−SO3H,−SO3R1,−SO
2Y,−CO2H,−CO2R1及び−SR(但し、R,R1及びYは
前記と同じである。)で示される基が好ましい。
本発明の前記一般式〔I〕で示される化合物は、新規化
合物であり、その構造は次の手段によって確認すること
ができる。
(A)赤外線吸収スペクトル(以下、IRと略称する。)
を測定することにより、1840〜1845cm-1付近に
フルオロビニルエーテル基に基づく吸収を観察すること
ができる。また、前記一般式〔I〕においてXで示され
る基が官能基である場合、その官能基に基づく吸収を観
察することができる。前記一般式〔I〕で示される化合
物のIRの代表例として、パーフルオロ5−(2−フル
オロスルホニルエトキシ)−3,7−ジオキサ−1,8
−ノナジエン のIRチヤートを第1図に示した。
(B)質量スペクトル(以下、MSと略称する。)を測定
し、観察された各ピーク(一般にはイオン質量mをイオ
ンの荷電数eで除したm/eで表わされる値)に相当する
組成式を算出する事により、測定に供した化合物の分子
量ならびに、該分子内における各原子団の結合様式を知
る事ができる。即ち、測定に供した試料を前記一般式
〔I〕で表わした場合、+ OCF=CF2 に由来する特徴的な強いピークを観察する事ができる。
(C)元素分析によって炭素,水素,イオウ,窒素及びハ
ロゲンの各重量%を求め、さらに認知された各元素の重
量%の和を100から減じる事により酸素の重量%を算
出する事ができ、従って、該化合物の組成式を決定する
事ができる。
(D)19F−核磁気共鳴スペクトル(以下、19F−NMRと
略称する。)を測定する事により、前記一般式〔I〕で
表わされる本発明の化合物中に存在するフッ素原子の結
合様式を知る事ができる。前記一般式〔I〕で示される
化合物の19F−NMR(トリクロロフルオロメタン基
準;高磁場側を正としppmで表わす)の代表例として、
パーフルオロ5−(2−フルオロスルホニルエトキシ)
−3,7−ジオキサ−1,8−ノナジエンについて19F
−NMRチヤートを第2図に示す。その解析結果を示す
と次のとおりである。
即ち、−44.4ppmにフッ素原子1個分に相当する多重線
が認められ、イオウ原子に結合したフッ素(a)によるも
のと帰属できる。78.0ppmにフッ素原子2個に相当する
多重線が認められ、酸素に隣接したジフルオロメチレン
中のフッ素原子(c)によるものと帰属できる。82.6ppmに
フッ素原子4個に相当する多重線が認められ、ビニルエ
ーテル基に隣接したジフルオロメチレン基のフッ基原子
(e)及び(i)によるものと帰属できる。110.7ppmにフッ素
原子2個に相当する多重線が認められ、スルホニルフル
オライド基に隣接するジフルオロメチレン基のフッ素原
子(b)によるものと帰属できる。112.2ppmにフッ素原子
2個に相当する二重二重線が認められ、ビニル基に置換
したフッ素原子(g)及び(k)によるものと帰属できる。12
1.1ppmにフッ素原子2個に相当する二重二重三重線が認
められ、ビニル基に置換したフッ素原子(h)及び(l)によ
るものと帰属できる。133.9ppmにフッ素原子2個分に相
当する二重二重三重線が認められ、ビニル基に置換した
フッ素原子(f)及び(j)によるものと帰属できる。141.7p
pmにフッ素原子1個に相当する三重三重線が認められ、
分岐点の炭素に置換したフッ素原子(d)によるものと帰
属できる。
(E)前記一般式〔I〕で示される化合物中に水素原子が
存在すれば、H−核磁気共鳴スペクトル(以下、
−NMRと略称する。)(テトラメチルシラン基準:低
磁場側を正とし、ppmで表わす)を測定する事により核
化合物中に存在する水素原子の結合様式を知ることがで
きる。
本発明の前記一般式〔I〕で示される化合物の製造方法
は、特に制限されるものではなく、どのような方法であ
っても良いが、例えば下記の方法によって好適に製造す
ることができる。
下記式〔II〕 で示される化合物を下記一般式〔III〕 で示される化合物とを反応させることにより、下記式
〔IV〕 で示される化合物を得る。次に、上記一般式〔IV〕で示
される化合物をルイス酸触媒と接触させることにより、
下記一般式〔V〕 で示される化合物を得る。そして、一般式〔V〕で示さ
れる化合物とヘキサフルオロプロピレンとを反応させる
ことにより、下記一般式〔VI〕 で示されるフルオロジカルボニル化合物を得る。次い
で、上記一般式〔VI〕で示されるフルオロジカルボニル
化合物を熱分解することによって前記一般式〔I〕で示
される本発明のフルオロジビニルエーテル化合物を得る
ことができる。
次に、上記した本発明のフルオロジビニルエーテル化合
物の製造に於ける各反応について詳細に説明する。
まず、前記一般式〔II〕で示される化合物と前記一般式
〔III〕で示される化合物の反応は、触媒の存在下で行
なうことが好ましい。触媒としては、フッ素陰イオン生
成触媒が好適である。フッ素陰イオン生成触媒として
は、フッ化ナトリウム,フッ化カリウム,フッ化セシウ
ム,フッ化アンチモン等の金属フッ化物及びテトラメチ
ルアンモニウムフルオライド,テトラエチルアンモニウ
ムフルオライド等の第四級アンモニウムフルオライドが
好ましい。
使用するフッ素陰イオン生成触媒は一般式〔II〕で示さ
れる化合物に対し通常0.01〜5モル当量、好ましくは0.
1〜1.5モル当量の範囲から選ばれる。前記一般式〔II
I〕で示される化合物は、前記一般式〔II〕で示される
化合物に対して通常0.1〜10倍モルの範囲で使用され
る。反応は一般に有機溶媒を用いるのが好ましい。該溶
媒として好適に使用されるものを例示すれば、アセトニ
トリル,アジポニトリル,モノグライム,ジグライム、
トリグライム,テトラグライム,スルホラン等の非プロ
トン性溶媒が挙げられる。該反応における反応温度は特
に制限さえるものではないが、好適には−20〜80℃
の範囲から選ばれる。反応時間は原料の種類によって異
なるが通常5分〜10日間、好ましくは1〜48時間の
範囲から選べば充分である。また反応中においては、攪
拌を行なうのが好ましい。
次に、一般式〔IV〕で示される化合物から一般式〔V〕
で示される化合物を得る反応について述べる。この反応
で使用されるルイス酸触媒としては、公知のものが何ら
制限なく使用可能である。特に好適に用いられるルイス
酸触媒としては、SbF5,SbCl5,TiF4,TiCl4,SO3が挙
げられる。ルイス酸触媒量は原料となる一般式〔IV〕で
示される化合物に対し、0.5〜80モル%、好ましくは
3〜30モル%の範囲から選ばれる。反応温度は原料及
び触媒によって異なるが、一般には−20〜200℃、
好ましくは−10〜150℃の範囲から選ばれる。反応
時間は5分〜2日間、好ましくは30分〜24時間の範
囲から選べば十分である。該反応は、原料,生成物及び
触媒に対して不活性な液体、例えばフッ素系オイル等を
溶媒として使用することも可能である。また反応中にお
いては、攪拌を行なうのが好ましい。
次に、前記一般式〔V〕で示される化合物から前記一般
式〔VI〕で示される化合物を得る反応は、前記一般式
〔V〕で示される化合物とヘキサフルオロプロピレンオ
キシド(以下、HFPOと略称する。)との反応であ
る。
一般に、酸フルオライド基を持つ化合物とHFPOとの
反応のメカニズムから、酸フルオライド基を持つ化合物
に対するHFPOの付加量比は本質的に分布を持つもの
であり、本反応においても生成物である前記一般式〔V
I〕で示される化合物中のm及びnは0以上の整数値を
取る。しかしながら、該反応において導入するHFPO
の量比あるいは触媒量等の反応条件を適宜選択すること
により、前記一般式〔VI〕で示される化合物のm,nの
数を制御する事が可能である。該反応において使用され
るフッ素陰イオン源としては一般に金属フッ化物又はア
ンモニウムフッ化物を用いる事ができるが、CsF,KF,
テトラアルキルアンモニウムフッ化物及びAgFが好まし
く用いられる。触媒量は、一般式〔VI〕で示される化合
物のm,n値に影響を及ぼす。例えば原料である一般式
〔V〕で示される化合物に対し触媒量が少なければ、
n,m値の高い生成物が得られる傾向がある。
該反応における反応温度は一般には−60〜120℃、
好ましくは−30〜70℃の範囲から選ばれる。
また該反応において使用される溶媒は非反応性、例えば
水酸基を持たない溶媒が好適であり、例えば、モノグラ
イム,ジグライム,トリグライム,テトラグライム,ア
セトニトリル,プロピオニトリル,スルホラン,ニトロ
ベンゼン等が好適に用いられる。反応時間はHFPOの
導入時間によるが通常1分〜3日間、好ましくは10分
〜24時間の範囲から選べば十分である。また反応中に
おいては攪拌を行なうのが好ましい。
最後に、前記一般式〔I〕で示される本発明の化合物
は、前記一般式〔VI〕で示される化合物を熱分解するこ
とにより得られる。熱分解の方法は特に限定はされず、
一般にフルオロビニルエーテル化合物を熱分解によって
得る公知の方法が採用される。熱分解反応における反応
温度は、広い範囲から選択でき、一般には50〜400
℃、好ましくは80〜300℃の範囲から選ばれる。反
応時間は0.1秒〜10時間、好ましくは10秒〜3時間
である。反応温度と反応時間は、例えば高い反応温度を
選択した時は反応時間を短く、低い反応温度を選択した
時は反応時間を長くするなど、好適な反応条件を適宜採
用するのが望ましい。
該反応は、反応形態に応じて、不活性な気体又は液体、
例えば気体としては窒素,ヘリウム,アルゴン等が、液
体としてはポリエーテル化合物,フッ素系オイル等を希
釈剤として、希釈率0等〜100倍で使用することも可
能である。
また、前記一般式〔VI〕で示される化合物の で示される末端基が酸フルオライド又はエステルの場合
には、前記一般式〔VI〕で示される化合物に対して過剰
量の金属塩又は金属酸化物の存在下に熱分解反応を実施
する事が可能であるし好ましい。特に末端基が酸フルオ
ライドの場合、該反応によって発生する腐食性,有毒性
のCOF2を分解する事ができる固体塩基、例えば、炭酸ナ
トリウム,炭酸カリウム,炭酸リチウム,リン酸ナトリ
ウム,リン酸カリウム,炭酸バリウム,炭酸マグネシウ
ム,炭酸カルシウムなどの存在下で熱分解反応をおこな
うのが好ましい。
前記一般式〔IV〕,〔V〕及び〔VI〕で示される化合物
は、新規化合物であり、次の手段によって確認すること
ができる。
(A)IR 前記一般式〔IV〕で示される化合物のIRを測定するこ
とにより、1870〜1890cm-1にカルボン酸フルオ
ライドに基づく吸収を観察することが出来る。また、3
000cm-1付近に-CH3に基づく吸収を観察することが出
来る。
前記一般式〔V〕及び〔VI〕で示される化合物について
は、1880〜1900cm-1にカルボン酸フルオライド
に基づく吸収を観察することが出来る。
また、いずれの化合物も、Xで示される基が官能基であ
る場合は、その官能基に基づく吸収を観察することがで
きる。
(B)MS 観察された各ピークに相当する組成式を算出することに
より、測定に供した化合物の分子量ならびに該分子内に
おける各原子団の結合様式を知ることが出来る。
例えば、前記一般式〔V〕で示される化合物について
は、 及び に相当する特徴的なピークを観察することができる。ま
た、前記一般式〔VI〕で示される化合物については、 に相当する特徴的なピークを観察することができる。
(C)元素分析 元素分析によって炭素,水素,窒素,イオウおよびハロ
ゲンの各重量%を求め、さらに認知された各元素の重量
%の和を100から減じることにより酸素の重量%を算
出することが出来、従って、該化合物の組成式を決定す
ることができる。
(D)19F−NMR19 F−NMRを測定することにより、化合物中に存在す
るフッ素原子の結合様式を知ることが出来る。
(E)1H−NMR 化合物が水素原子を持っておれば、1H−NMRを測定す
ることにより、その水素原子の結合様式を知ることが出
来る。
前記一般式〔II〕及び〔III〕で示される化合物から本
発明の前記一般式〔I〕で示される化合物を得る反応に
於いては、各化合物の酸基又は容易に酸基に変換できる
基は、-SO2Y又は-CO2R1(但し、YおよびR1は前記と同
じ)であることが合成上好ましい。-SO2Y及び-CO2R1
示される基から、それぞれの酸及び酸誘導体への変換は
特に制限なく公知の方法を用いることができる。例え
ば、酸ハロゲン化物の対応する酸への転化は、水と反応
させることによって容易に行うことができ、エステル,
アミドへの転化はそれぞれアルコール類又はアミン類と
の反応によってできる。酸類はPCl5又はPBr5の様なハロ
ゲン化剤と反応させて酸塩化物又は酸臭化物に容易に転
化できる。また、酸フッ化物へは、酸塩化物又は酸臭化
物とNaFとの反応によって誘導できる。酸ハライド,
酸,エステル又はアミドは水酸化アルカリ溶液によって
対応するアルカリ金属塩に容易に変換できる。
本発明の前記一般式〔I〕で示されるフルオロジビニル
エーテル化合物を単独重合、又はフッ素化オレフインと
共重合する事によって、耐薬品性,耐熱性及び機械的強
度に優れた重合体を得る事ができる。
更に前記一般式〔I〕中、Xが酸基又は容易に酸基に変
換できる基である化合物を単独重合又は、フッ素化オレ
フイン、好ましくはフルオロジビニルエーテル化合物と
の共重合によって得られる重合体を化学処理して得られ
るイオン交換膜は、従来のものに比べ、非常に高い交換
容量を持つことができるとともに、高密度架橋構造を有
している為、優れた機械的強度を持ち、かつハロゲン化
アルカリ水溶液の電解隔膜として用いた場合、低膜抵
抗,高電流効率といった極めて優れた特徴を有する。
共重合成分として使用できるフッ素化オレフインとして
は、例えば、 CF2=CF(CF2)0〜10CF=CF2, テトラフルオロエチレン,クロロトリフルオロエチレ
ン,フッ化ビニリデン,トリフルオロエチレン,ジフル
オロエチレン,フルオロエチレン,ペンタフルオロプロ
ピレン,オクタフルオロブテン,CF2=CFO(CF2)
1〜10F,CF2=CFCF2O(CF2)1〜10F等が挙げられる。これ
らのフッ素化オレフインは、イオン交換膜を得る場合に
は本発明のフルオロジビニルエーテル化合物100重量
部に対して、10重量部〜1000重量部の範囲で使用
することが好ましい。
(効果) 本発明の前記一般式〔I〕で示されるフルオロジビニル
エーテル化合物は、重合開始剤存在下、単独重合あるい
は他のフッ素化オレフインと共重合することにより、機
械的強度を保ちながら官能基に基づく機能を十分に発揮
した重合体が得られるという極めて優れた特徴を有す
る。さらに詳しくは、前記酸基又は容易に酸基に変換で
きる基を持つ一般式〔I〕で示されるフルオロジビニル
エーテル化合物を重合開始剤存在下、単独重合あるいは
他のフルオロビニル化合物と共重合することによって得
られるイオン交換膜は、交換容量を極めて高くすること
ができ、さらに高交換容量を持つ膜であるにもかかわら
ず、高密度の架橋構造を有する為、機械的強度を維持し
つつ高電流効率,低電気抵抗といった十分な膜性能を有
するといった極めて優れた特徴を有する。
更に本発明の化合物は、界面活性剤,繊維処理剤,農薬
等に用いられる種々のフッ素化合物,特に側鎖に官能基
を有する種々のフッ素化合物合成の為の中間体として有
用であり、フッ素系樹脂の機械的強度を向上させる為の
架橋剤,改質剤としても有用である。
(実施例) 本発明を更に具体的に説明するため、以下実施例及び参
考例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例及び
参考例を限定されるものではない。
参考例1 攪拌機、−20℃の温度の還流コンデンサー及び滴下ロ
ートを取りつけた300m三ッ口フラスコに乾燥テト
ラグライム150mと無水KF18.0gを入れた。反応
器を0℃に冷却し、フルオロスルホニルジフルオロアセ
チルフルオライド 140.0gを30分間で滴下した後、更に1時間混合しア
ルコキシドを十分生成させた。
反応器を0℃に保ちながら 76.5gを30分間かけて徐々に滴下した。添加終了後2
時間攪拌し、反応器の温度を室温に上昇させて更に6時
間攪拌をした。
反応器のコンデンサーをはずし、蒸留装置を取り付け、
蒸留により沸点45℃/13mmHgの留分136gを得た。
該留分の化合物の構造は、下記に示すIR,19F−NM
R,1H−NMR,元素分析,MSにより であることが確認された。
(イ)IR 2970,2880cm-1(CH3-) 1875cm-1(-COF) 1460cm-1(-SO2F) (ロ)19F−NMR (ハ)1H−NMR 3.71ppm-OCH3 (ニ)元素分析値:C6H3F9O5S 計算値 C:20.12% H:0.85% F:47.74% O:22.34% S:8.95% 実測値 C:19.96% H:0.92% F:47.25% O:23.16% S:8.71% (ホ)MS 参考例2 コンデンサー、滴下ロート、攪拌機を取り付けた三ッ口
300mフラスコにSbF510.2gとクライトックスAZ
(商品名:デュポン社製)を100g入れたのち、反応
器を0℃に冷却し、参考例1で得られた。
134.2gを30分かけて滴下した。滴下終了後、徐々に
温度を上げてゆき、80℃まで昇温した。60℃以上で
反応混合液からガスが発生した。分析の結果、このガス
はCH3Fであった。80℃で1時間攪拌を続けたのち、反
応器より直接蒸留し、沸点111℃の留分108.5gを得
た。該留分の化合物の構造はIR,19F−NMR,元素
分析,MSより19 F−NMR,元素分析,MSより であることが確認された。
(I)IR (ロ)19F−NMR (ハ)元素分析値:C5F805S 計算値 C:18.53% F:46.90% O:24.68% S:9.89% 実測値 C:17.71% F:45.81% O:26.66% S:9.82% (ニ)MS M/e 183FSO2CF2CF2 M/e 125 M/e 47 参考例3 200mガラス製オートクレーブに乾燥テトラグライ
ム10m,無水KF1.0g及び参考例2で得られた 128.2gを入れた。−78℃に冷却しオートクレブ内を
脱気したのち、−10℃まで昇温し、−10℃で攪拌し
ながらHFPO130gを5時間かけて導入した。攪拌
を中止すると2層にわかれた。下層を取り出し秤量する
と241gであった。この生成物を蒸留して、沸点91
℃/20mmHgの留分が135g,沸点99℃/7mmH
gの留分が31g得られた。
IR,19F−NMR,元素分析,MSにより沸点91℃
/20mmHgの留分の化合物は原料にHFPOが2個付
加した。
であることが確認された。
(イ)IR(第4図にチヤートに示した。) 1890cm-1(-COF) 1475cm-1(-SO2F) (ロ)19F−NMR(第5図にチヤートを示した。) (ハ)元素分析値:C11F20O7S 計算値:C:20.13% F:57.91% O:17.07% S:4.89% 実測値 C:20.01% F:57.73% O:17.48% S:4.78% (ニ)MS M/e 457 M/e 213 M/e 183FSO2CF2CF2 同様にして沸点99℃/7mmHgの留分の化合物の構造
は、原料にHFPOが3個付加した。
であることが確認された。
(イ)IR:1890cm-1(-COF) 1475cm-1(-SO2F) (ロ)19F−NMR (ハ)元素分析値:C14F26O8S 計算値:C:20.45% F:60.08% O:15.57% S:3.90% 実測値 C:20.51% F:59.93% O:15.85% S:3.71% 参考例4 参考例2で得られた 60g,KF0.5g及びHFPO110gを参考例3と
同様にして反応させたところ が13.3gと が94.3g得られた。
参考例5 攪拌機、滴下ロート及び還流コンデンサーを取りつけた
100m三ッ口フラスコに乾燥アセトニトリル30m
,無水K2CO329.6gを入れた。反応器を60℃に保ち
ながら参考例3で得られた。
60.0gを15分かけて滴下した。60℃で4時間攪拌を
続けた後、減圧下アセトニトリルを留去した。フラスコ
内には白色のサラサラした粉体が残った。この粉体の主
成分の構造はIR分析の結果、 であることが確認された。
(イ)IR 1690cm-1(-CO2K) 1465cm-1(-SO2F) 参考例6 参考例5と同様にして、参考例4で得られた をカリウム塩に変換した。
(イ)IR 1690cm-1(-CO2K) 1470cm-1(-SO2F) 参考例7 攪拌機、温度計、−20℃の温度の還流コンデンサー及
び滴下ロートを取り付けた三ッ口フラスコに乾燥テトラ
グライム100mと無水KF12.0gを入れた。反応器
を0℃に冷却し、 82.2gを20分間で滴下した後、室温に昇温し、30分
間攪拌しアルコキシドを十分に生成させた。
室温下で、 48.1gを20分かけて滴下したのち、18時間攪拌を続
けた。
反応器のコンデンサーをはずし、蒸留装置を取り付け、
蒸留により沸点91℃/7mmHgの留分を91.5g得た。該
留分の化合物の構造は、IR,19F−NMR,1H−NM
R,元素分析,MSにより であることが確認された。
(イ)IR:2890,2990cm-1(-CH3) 1885cm-1(-COF) 1795cm-1(-CO2Me) (ロ)19F−NMR (ハ)1H−NMR (ニ)元素分析値:C10H6F12O5 計算値 C:27.66% H:1.40% F:52.52% O:18.42% 実測値 C:27.91% H:1.33% F:52.66% O:18.10% (ホ)MS M/e 415 M/e 159 参考例8 攪拌機、滴下ロート、還流コンデンサーを取り付けた3
00m三ッ口フラスコにSbF56.5gとクライトックス
AZ(商品名:デュポン社製)80.0gを入れたのち反応
器を5℃に冷却し、参考例7で得られた 87.7gを30分かけて滴下した。滴下終了後、徐々に昇
温し、100℃で4時間攪拌したのち、反応器より直接
蒸留し、沸点94℃/30mmHgの留分を51.2g得た。
該留分の化合物の構造はIR,19F−NMR,1H−NM
R、元素分析,MSにより であることを確認した。
(イ)IR:1890cm-1(-COF) 1790cm-1(-CO2Me) (ロ)19F−NMR (ハ)1H−NMR 3.97ppm (ニ)元素分析:C9H3F11O5 計算値 C:27.01% H:0.76% F:52.23% O:19.99% 実測値 C:27.26% H:0.69% F:52.21% O:19.84% (ホ)MS M/e 341 M/e 259 M/e 125 M/e 47 参考例9 200mガラス製オートクレーブに乾燥テトラグライ
ム5m,無水KF0.3g及び参考例8で得られた 46.5gを入れた。オートクレーブを−5℃に冷却し、攪
拌しながらHFPO42.5gを3時間かけて導入した。攪
拌を中止すると2層にわかれた。下層を取り出し蒸留
し、沸点83℃/2mmHgの留分を55.1g得た。該留分
の化合物の構造は、IR,19F−NMR,1H−NMR,
元素分析,MSにより原料にHFPOが2個付加した。
であることが確認された。
(イ)IR(第6図にチヤートを示した。) 2890,2990cm-1(-CH3) 1890cm-1(-COF) 1795cm-1(-CO2CH3) (ロ)19F−NMR (ハ)1H−NMR 3.93ppm (ニ)元素分析値:C15H3F23O7 計算値 C:24.60% H:0.41% F:59.68% O:15.30% 実測値 C:24.55% H:0.49% F:59.39% O:15.57% (ホ)MS M/e 569 M/e 213 参考例10 参考例9で得られた化合物を用いて参考例5と同様に反
応を行ない を得た。
(イ)IR 1790cm-1(-CO2Me) 1685cm-1(-CO2K) 実施例1 攪拌機及び蒸留装置を取り付けた100m三ッ口フラ
スコに、希釈剤としてフオンブリンYR(商品名:旭硝
子(株)製)90.0g及び参考例5で得られた を66.0gを入れた。反応器内を3mmHgに減圧し、20
0℃で1時間攪拌したところ、37.8gの留出物が得られ
た。蒸留により精製し、86〜87℃/40mmHgの留
分を29.5g得た。該留分の構造はIR,19F−NMR,
元素分析,MSにより であることが確認された。
(イ)IR(第1図にチヤートを示した。) 1845cm-1(-OCF=CF2) 1470cm-1(-SO2F) (ロ)19F−NMR(第2図にチヤートを示した。
(ハ)元素分析値:C9F16O5S 計算値 C:20.62% F:58.00% O:15.26% S:6.11% 実測値 C:20.45% F:58.12% O:15.45% S:5.98% (ニ)MS M/e 341 M/e 133 FSO2CF2 M/e 97 OCF=CF2 また、該反応において、二成分の副生成物があわせて3.
3g生じ、IR,19F−NMR,1H−NMR,元素分析,
MSにより下式に示す構造であることがわかった。
実施例2 実施例1において、 のかわりに、参考例6で得られた 60.0gを用いた他は実施例1と同様にして蒸留により9
3〜94℃/10mmHgの留分26.6gが得られた。該留
分の構造は、IR,19F−NMR,元素分析,MSによ
り、 であることが確認された。
(イ)IR 1845cm-1(-OCF=CF2) 1465cm-1(-SO2F) (ロ)19F−NMR (ハ)元素分析値:C12F22O6S 計算値 C:20.88% F:60.56% O:13.91% S:4.65% 実測値 C:21.01% F:60.44% O:14.13% S:4.42% (ニ)MS M/e 313 M/e 183 FSO2CF2CF2 M/e 97 OCF=CF2 実施例3 直径1インチ,長さ30cmのガラス製反応器にNa2CO3
0gを充填し、乾燥窒素を50m/minで流し、外部
より電熱ヒーターで充填層部を300℃に加熱し乾燥し
た。6時間乾燥後、充填層部温度を240℃に保持しつ
つ、参考例3で得られた。
50gを5g/hrで反応器に供給した。管の底部から出
る蒸気をドライアイス−メタノールで冷却されたトラッ
プに保集した。この液体を蒸留したところ、 が12.6g得られた。
実施例4 実施例1において、希釈剤を用いない他は全て同じ条件
にして反応をおこなったところ、 が、24.7g得られた。
実施例5 実施例1において のかわりに、参考例10で得られた 60.0gを用いた他は実施例1と同様にして を21.5g得た。構造は、IR,19F−NMR,1H−NM
R,元素分析,MSにより確認した。
(イ)IR(第3図にチヤートを示した。) 2890,2990cm-1(-CH3) 1840cm-1(-OCF=CF2) 1790cm-1(-CO2CH3) (ロ)19F−NMR (g),(k) 134.0ppm (h),(l) 113.6ppm (i),(m) 123.2ppm (ハ)1H−NMR 3.92ppm (ニ)元素分析値 C13H3F19O5 計算値 C:26.01% H:0.50% F:60.15% O:13.33% 実測値 C:25.96% H:0.71% F:60.33% O:13.00% 実施例6 参考例1〜10及び実施例1〜5において詳細に記述し
たのと同様な方法により、第1表に記載したフルオロジ
ビニルエーテル化合物を合成した。なお、第1表には合
成したフルオロジビニルエーテル化合物の赤外吸収スペ
クトルにおける特性吸収値及び元素分析結果も併せて略
記した。
実施例7 攪拌機、還流コンデンサー及び滴下ロートを取り付けた
100m三ッ口フラスコにNaOH4.1g,メタノール2
0mを入れ、室温にて滴下ロートより実施例1で得ら
れたFSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)225.5gを攪拌しなが
ら徐々に滴下した。滴下終了後、60℃で1時間加熱し
た。メタノールを減圧下留去して得られた白色の粉体の
IRを測定したところ、1465cm-1付近の吸収が消
え、1065cm-1付近に新たに吸収が現われていた。こ
のことから、ほぼ定量的にスルホン酸フルオライドから
スルホン酸ナトリウムへの変換が起ていることがわかっ
た。
実施例8 実施例7で得られた NaOSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2に過剰の塩酸を加えた
のち、エーテルで抽出した。抽出液をロータリーエバポ
レーターにかけエーテルを留去すると HOSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2が得られた。
IR 1060cm-1(-SO2H) 1840cm-1(-OCF=CF2) 実施例9 攪拌機及び還流コンデンサーを取り付けた100m三
ッ口フラスコに、実施例7で得られたNaOSO2CF2CF2OCF
(CF2OCF=CF2)220.0g及び五塩化リン20.0gを入れ強く
攪拌しながら140℃に加熱した。蒸留によって精製し
た結果 ClSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2が得られた。構造はI
R,19F−NMR,元素分析により確認した。
(イ)IR 1840cm-1(-OCF=CF2) 1420cm-1(-SO2Cl) (ロ)元素分析値:C9F15O5SCl 計算値 C:19.99% F:52.72% O:14.80% S:5.93% Cl:6.56% 実測値 C:19.91% F:52.66% O:15.12% S:5.69% Cl:6.62% 実施例10 攪拌機、滴下ロート、及び還流コンデンサーを取り付け
た100m三ッ口フラスコに、無水エーテル20m
,実施例1で得られたFSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)
29.5g及びジエチルアミン1.6gを加え、30℃で30
分間反応した。反応混合液を水洗したのち、エーテルを
留去した。残渣を蒸留して精製した結果、 (C2H5)2NSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2が4.1g得られ
た。構造は、IR、19F−NMR,1H−NMR,元素分
析により確認した。
(イ)IR 1840cm-1(-OCF=CF2) (ロ)元素分析値:C11F15O5SNH10 計算値 C:23.87% F:51.51% O:14.46% S:5.80% N:2.53% H:1.83% 実測値 C:23.81% F:51.33% O:14.55% S:5.77% N:2.62% H:1.92% 実施例11 攪拌機、滴下ロート、及び還流コンデンサーを取り付け
た100m三ッ口フラスコに、硫酸ジメチル30.0g,
ついで実施例8で得られたHOSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=C
F2)28.5gを入れ3時間反応した結果、 CH3OSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2が得られた。
元素分析値:C10F15O6SH3 計算値 C:22.40% F:53.15% O:17.90% S:5.98% H:0.57% 実測値 C:22.18% F:53.22% O:18.20% S:5.91% H:0.49% 実施例12 攪拌機、滴下ロート、及び還流コンデンサーを取り付け
た100m三ッ口フラスコに、イソプロピルアルコー
ル50mを加え、氷冷したのちに実施例9で得られた ClSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)29.5gを滴下した。滴下
終了後、小形エアーポンプで空気を100〜150m
/minで送り込み、80℃で3時間加熱した。反応終了
後、反応液を水洗し、蒸留により C3H7OCOCF2OCF(CF2OCF=CF2)2が得られた。構造は、I
R、19F−NMR,1H−NMR,元素分析′MSにより
確認した。
(イ)IR (ロ)元素分析:C12F13O5H7 計算値 C:30.14% F:51.65% O:16.73% H:1.48% 実測値 C:30.19% F:51.38% O:16.88% H:1.55% 実施例13 攪拌機、滴下ロート、及び還流コンデンサーを取り付け
た100m三ッ口フラスコに、メタノール20m,
NaOH1.5gを入れ、室温にて滴下ロートより実施例5で
得られたCH3OCOCF2CF2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)220.0g
を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、60℃で1時間
加熱した。メタノールを減圧下留去したところ、白色の
粉体が20.4g得られた。この粉体のIRを測定したとこ
ろ1790cm-1付近の-CO2CH3の吸収が消失し、新たに
1680cm-1付近に-CO2Naに由来する吸収が現われてい
た。このことから、ほぼ定量的にカルボン酸エステルか
らカルボン酸ナトリウムへの変換が起きていることがわ
かった。
実施例14 実施例8と同様にして、実施例13で得られた を塩酸により に変換した。
IR 1780cm-1(-CO2H) 1840cm-1(-OCF=CF2) 実施例15 実施例9において NaOSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2の代りに、実施例13
で得られた NaOCOCF2CF2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2を用いた他は、実
施例9と同様にして ClCOCF2CF2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2を得た。該化合物
の構造は、IR,19F−NMR,元素分析で確認した。
IR 1805cm-1(-COCl) 1840cm-1(-OCF=CF2) 実施例16 攪拌機、滴下ロート、及び還流コンデンサーを取り付け
た100m三ッ口フラスコに、乾燥NaF7.5g,無水ス
ルホラン20mを入れた。反応器を100℃に加熱し
ながら実施例15で得られた 9.5gを30分かけて滴下ロートより滴下した。10
0℃にて40時間攪拌を続けたのち、蒸留により生成物
を精製した。得られた生成物はIR,19F−NMR,元
素分析により FCOCF2CF2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2であった。
IR 1885cm-1(-COF) 1840cm-1(-OCF=CF2) 実施例17 攪拌機、滴下ロート、及び還流コンデンサーを取り付け
た100m三ッ口フラスコに、無水エーテル30m
,実施例15で得られた ClCOCF2CF2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2 12.2g,ジブチルアミン2.9gを加え、40℃で20分
間加熱攪拌した。エーテル留去後、精製して得られた化
合物の構造は、IR,19F−NMR,1H−NMR,元素
分析により(C4H9)2NCOCF2CF2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2
であることが確認された。
(イ)IR (ロ)元素分析:C20F19O4NH18 計算値 C:34.44% F:51.76% O:9.18% H:2.01% H:2.61% 実測値 C:34.31% F:51.79% O:9.13% N:1.98% H:2.79% 用途例1 FSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2を6.5重量部,CF2=CFOCF
2CF2OCF=CF28.0重量部及び(C2F5CO2)2を0.4重量部を混
合し、低温で脱気した後、ポリテトラフルオロエチレン
製の多孔膜(FP−1000住友電工製)にモノマー混
合液を含浸し、ポリテトラフルオロエチレン製のフイル
ムを剥離材として用いて、巻取重合方式により、30
℃,2日間重合した。重合後、重合膜を剥離フイルムよ
り取りはずし、NaOH15重量部,ジメチルスルホキシド
35重量部,水55重量部よりなる加水分解液に80
℃,4時間浸漬することによって、スルホン酸ナトリウ
ム型のイオン交換膜とした。この陽イオン交換膜を用い
2室型電解槽(有効面積:50cm2,陽極:酸化ルテニ
ウム被覆チタン電極,陰極:鉄,膜と陰極の距離:4m
m,膜と陽極は密着,電解温度:90℃,電流密度:3
0A/dm2)を使用して、陽極室に5N−NaCl水溶液,
陰極室に水を供給し、32%の水酸化ナトリウム水溶液
を製造した。その結果、槽電圧3.30V,電流効率92%
であった。
用途例2 CH3OCOCF2CF2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2を10重量部,C
F2=CFO(CF2)3OCF=CF25重量部及び(C2F5CO2)20.5重
量部を混合したのち、用途例1と同様にして、カルボン
酸ナトリウム型の陽イオン交換膜を得た。
この陽イオン交換膜を用い、用途例1と同様に電解評価
したところ、槽電圧3.1V,電流効率95%であった。
比較用途例1 用途例1において FSO2CF2CF2OCF(CF2OCF=CF2)2のかわりに 5.0重量部用いたほかは、用途例1と同様にして陽イオ
ン交換膜を得た。この陽イオン交換膜を用い、用途例1
と同様に電解評価した結果、槽電圧3.0V,電流効率5
5%であった。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、実施例1で得られた化合物の赤外
吸収スペクトル及び19F−核磁気共鳴スペクトルであ
り、第3図は、実施例5で得られた化合物の赤外吸収ス
ペクトルであり、第4図及び第5図は、参考例3で得ら
れた化合物の赤外吸収スペクトル及び19F−核磁気共鳴
スペクトルであり、第6図は、参考例9で得られた化合
物の赤外吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 69/708 A 9279−4H 231/12 7106−4H 235/04 7106−4H 303/30 7419−4H 303/40 7419−4H 309/68 7419−4H 311/23 7419−4H

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (但し、Xはハロゲン、−COOR1(R1は水素、アルカリ
    金属又は低級アルキル)、−CONR2R3(R2及びR3は同種
    又は異種の水素又は低級アルキル)、−COY1(Y1はハロ
    ゲン)、−SO3R4(R4は低級アルキル又はアルカリ金
    属)、−SO2NR2R3(R2及びR3は同種又は異種の水素又は
    低級アルキル)、−SO2Y2(Y2はOH又はハロゲン)又は
    −SR5(R5は低級アルキル)であり、kは1〜4であ
    り、は0〜2であり、m及びnは0〜1である) で示されるフルオロジビニルエーテル化合物。
  2. 【請求項2】一般式 (但し、Xはハロゲン、−COOR1(R1は水素、アルカリ
    金属又は低級アルキル)、−CONR2R3(R2及びR3は同種
    又は異種の水素又は低級アルキル)、−COY1(Y1はハロ
    ゲン)、−SO3R4(R4は低級アルキル又はアルカリ金
    属)、SO2NR2R3(R2及びR3は同種又は異種の水素又は低
    級アルキル)、−SO2Y2(Y2はOH又はハロゲン)又は−S
    R5(R5は低級アルキル)であり、kは1〜4であり、
    は0〜2であり、m及びnは0〜1であり、Aはフッ素
    原子又はOA′(但しA′はアルカリ金属又は低級アルキ
    ル)である) で示されるフルオロジカルボニル化合物を熱分解するこ
    とを特徴とする一般式 (但し、Xはハロゲン、−COOR1(R1は水素、アルカリ
    金属又は低級アルキル)、−CONR2R3(R2及びR3は同種
    又は異種の水素又は低級アルキル)、−COY1(Y1はハロ
    ゲン)、−SO3R4(R4は低級アルキル又はアルカリ金
    属)、−SO2NR2R3(R2及びR3は同種又は異種の水素又は
    低級アルキル)、−SO2Y2(Y2はOH又はハロゲン)又は
    −SR5(R5は低級アルキル)であり、kは1〜4であ
    り、は0〜2であり、m及びnは0〜1である) で示されるフルオロジビニルエーテル化合物の製造方法
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